[財政]

◎誰のためか?何のためか?ごまかされてはいけません!
自律的労働時間制度→過重労働を合法化する法律:2007年?月?日
「自律的労働時間制度(日本版ホワイトカラー・イグゼンプション)」が来年可決されれば、医師の過重労働の問題も合法となる!
障害者自立支援法の内容が障害者の自立を阻害するものだったのと同じです。自律という名のものとに過重労働を押し付けようとしています
国民保護法→国民を統制するため法律、国家保護法:2006年6月14日
障害者自立支援法→障害者の自立を阻害する法律:2005年10月31日
<自律的労働時間制>残業代11兆6千億円不払いも(毎日新聞) 2006年11月8日18時54分更新
「労働運動総合研究所」(代表理事・牧野富夫日大教授)は8日、厚生労働省が導入を検討している「自律的労働時間制度(日本版ホワイトカラー・イグゼンプション)」が導入されれば、約11兆6000億円の残業代が支払われなくなる可能性があるとする推計を発表した。同制度は、管理職手前の労働者を対象に、年収や休日確保などを条件に、労働基準法の週40時間の労働時間規制を除外するもの。労働者の判断で労働時間を管理する制度で残業代は支払われない。厚労省は来年の通常国会に労基法改正案を提出する方向で検討している。推計は、条件となる年収を、導入を強く推奨してきた日本経団連が提案していた400万円以上のホワイトカラー労働者で計算した。厚労省や総務省の労働データをもとにした計算では、管理・監督職をのぞいた対象者は約1013万人。これらの労働者の年収総額からボーナスを除き、残業時間の割合などから残業代と不払い残業代分を推計した結果、約11兆6000億円(残業代約4.5兆円、不払い残業代約7兆円)とした。厚労省の試案は、対象者の年収を1000万円以上と想定しているため、これより低額になるとみられる。同研究所は「残業代を横取りし、長時間労働で過労死など健康被害を招く制度であり、到底容認できない」と話している【東海林智】

◎国民の所得を搾取するモラルなき経済政策:ゼロ金利政策による国民の所得の銀行への移転とアメリカへの移転!
地方公共団体が財政破綻している原因のひとつに、日米合意に基づく公共工事の国からの押し付けがある!
大企業の法人税と高額所得者の所得税の減税は据え置き、収入が減り続ける国民にだけは定率減税廃止で負担増をおしつける
1999年の税制改正で、法人税の引き下げ、所得税の最高税率の引き下げ、所得税の定率減税、この三つの減税が行われました。
トヨタなどは2年連続1兆円を超える純利益を上げ、わが世の春を謳歌しています。
史上最高の利益を上げている大企業にむけては2兆7000億円の減税を続ける、そして高額所得者向けに5000億円の減税を続ける、
その一方で収入が減り続ける国民にだけは負担増をおしつける、こんなことがあるでしょうか!
法人税減税分を消費税で補填していて、さらなる法人税減税は当然大幅な消費税アップとなります。

[平和憲法を持つ国が多額の税金を使ってステルス戦闘機「心神」を開発] 世界のニュース・トレンド 2007年12月21日
[「思いやり予算」財布のひもが緩すぎる] 中国新聞 社説 2007年12月11日
[「道路整備計画」巨費を投じる余裕はない] 朝日新聞 社説 2007年11月15日
[「在日米軍思いやり予算」米光熱水料の大幅増要求/日本側は難色] 中国新聞 2007年10月8日
[貧乏人に増税で軍事費5兆円] 2007年度政府予算案  大企業には1兆円減税 長州新聞2006年12月27日
[政治理念が見られない](税収という巨額の金と既得権益に振り回される政治)中国新聞 社説 2006年12月9日
[エスカレートする経済財政諮問会議の暴論] かけはし2006.12.4号 キャノン会長の居直り 2006年10月13日
[巨額の借金の結果が、わずか0.5%の経済成長] 毎日新聞コラム「余禄」2000年6月11日

<抜本改革が求められる特別会計>
[道路特定財源は「行革推進法」で一般財源化が決まっている] 2006年6月2日 公布
[<霞が関埋蔵金>「試算は96兆円」] 毎日新聞 1月28日21時14分配信
[今回きり?まだある?埋蔵金(予算案に11.7兆円)] 朝日新聞 2007年12月27日
[抜本改革が求められる特別会計] 公明新聞 2005年11月28日
[例外のはずが一般会計の約5倍! 国の「もうひとつの財布」 特別会計っていったい何なの?]


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平和憲法を持つ国が多額の税金を使ってステルス戦闘機を開発
「心神」の概要
世界のニュース・トレンド 鳥羽 賢 2007年12月21日

防衛省の発表によりますと、「心神」は今後6年間の期間と、466億円の開発費用をかけて開発される予定となっています。これはあくまで実験用のステルス機であり、すぐに実用化して戦闘に使えるものではありません。初飛行は、2011年を目指していると発表されています。予定では、全長14m、全幅10m、重量9t、XF5-1という急速な方向転換や超音速飛行を可能にする高機動エンジンを搭載することになっています。また同時に、飛行中に周囲の探査ができる高性能レーダーの研究開発も並行して進められる予定です。

「心神」開発の背景

今回日本が「心神」を開発することになった背景には、世界におけるステルス機利用の拡大があります。これまでステルス機はアメリカがほぼ独占的に開発・利用しており、実際に湾岸戦争などで使われてきました。しかしここ最近になって、ロシアや中国が独自のステルス機の開発を進めるようになりました。そのために日本も、ステルス機によって攻撃された場合の防衛について考えなくてはいけなくなってきています。そこで、日本でもステルス機を開発して、「仮想敵機」として日本のレーダーで捉えることができるように対策を採っていくことが必要となってきました。そういった背景から、今回の「心神」開発発表となったわけです。

輸出禁止になったアメリカの「F-22ラプター」

今回日本が「心神」の開発を進めている裏には、主力戦闘機の輸出をしようとしないアメリカとの駆け引きという意味合いが裏にあります。アメリカは「F-22ラプター」というステルスタイプの戦闘機を持っていて、本来は日本はそれを欲しがっていました。ところがアメリカは、「国防上の機密を守るため」という理由で「F-22ラプター」の輸出を早々と禁止にしてしまい、日本はそれを買えなくなってしまいました。そういうわけで独自にステルス機を開発するしかなくなったのですが、それ以外にも裏の狙いがあると推測できます。

開発の裏にある日米の駆け引き

というのも、アメリカは「F-22ラプター」を日本に将来輸出するにしても、高い値段で売ってくる可能性があるからです。「F-22ラプター」は1機200億円と言われていますが、実際に売るとなるとさらに高値で売ろうとしてくると見られています。そこで日本が独自にステルス機を開発すれば「うちは自分でも作れるんだから、無理に買う必要はないよ」と、交渉を有利に進めることができます。ただこのような状況で起こったのが、海上自衛隊のイージス艦機密情報流出事件です。この事件のために、アメリカにとっては日本は余計に「機密情報を分かち合うことは難しい」相手と思われてしまったことでしょう。将来的に「F-22ラプター」を売ってもらえるのも、難しくなってしまったかもしれません。それを考えると、日本も「心神」や他のステルス機を独自に開発していくことが、他国のステルス機に対する国防につながるのではないかと思われます。アメリカからのステルス機提供が必ずしも期待できない状況にある以上は、防衛のために「心神」開発の成功を目指していくことも必要であると思われます。

<ドクターちゃびんの解説>世界平和への理念が微塵もない、防衛族を喜ばせるだけの理論です。

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「思いやり予算」財布のひもが緩すぎる
中国新聞 社説 2007年12月11日

米軍が日本の基地に駐留する経費として、日本政府は毎年二千億円以上の「思いやり予算」を計上している。政府は、厳しい財政事情から来年度以降の大幅な減額をもくろんだが、米国の強い反対に押し切られた。財布のひもを緩めるのが早過ぎないか。思いやり予算は、在日米軍の隊舎や家族の住宅整備など日米地位協定に基づくものと、その枠外で米国に代わって日本が負担している特別協定によるものの二種類がある。今回焦点になったのは来年三月で期限切れの特別協定分だった。基地で働く日本人従業員の労務費や、米軍の光熱水道費などで、政府は五年間で五百五十億円を削る案を米政府に打診した。

ところが米側は、十一月上旬に来日したゲーツ国防長官が「この程度の問題で閣僚同士が話し合うとは」と不快感を示し、最終的には本年度の水準(約千四百億円)を維持することで、両政府が基本合意した。日本にとっては、極めてタイミングが悪かった。インド洋で給油活動をしていた海上自衛隊が撤収した直後である。米国から「また負担から逃れようとするのか」と見られたようだ。一方で北朝鮮のテロ支援国家指定問題では、日本が米国に「解除しないように」とお願いする立場だった。

ただそうはいっても、いかにも腰砕けに見える。もっと交渉のやりようはなかっただろうか。もともと特別協定は、円高で駐留経費がかさむことに対して日本が米国に出した助け船だった。一九七八年に始まった時は福利厚生費の一部負担だったが、何回かの協定改定で次第に拡大した。金額はここ数年こそ下降傾向といえ、累計では五兆円に及ぶ。米軍が駐留している諸外国と比べても経費負担は突出している。当初の事情を考えると白紙に戻していい既得権とも考えられる。そういったことを合め政府は筋を通した主張をしたのだろうか。

今の日本の財政は、生活保護の基準さえ切り下げようというほどの状態だ。政府が言う「日米同盟」がいかに大事でも、支払うコストとしてこの額が適正かどうかも疑問が残る。日本はさらに、米軍再編に伴うグアムヘの基地移転などで三兆円規模ともいわれる巨費を求められそうだ。これも合わせて、政府はまず国民の納得のいく説明を果たさねばならない。

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「道路整備計画」巨費を投じる余裕はない
朝日新聞 社説 2007年11月15日

これほど巨額の投資をして造らなければならない道路は、どれほどあるのだろうか。国土交通省が発表した道路整備計画の素案によると、08年度から10年間に道路に投じる事業費は国費だけで35兆円余り、地方自治体の負担も合めると68兆円にのぼる。今後もいほぼこれまで通りのぺースで道路建設を進めようというのだ。そのなかには、現在計画されている高速道路の未着工区間2900キロ分の建設もすべて含まれている。国交省がこれほど大盤振る舞いの計画を打ち出したのは、道路整備に使い道が限られるガソリン税や自動車重量税などの道路特定財源を是が非でも守ろうという思惑からだ。小泉政権も安倍政権も、道路特定財源を使途が限定されない一般財源に組み入れることを構造改革の目玉の一つにあげていた。制度ができた半世紀前は道路造りの安定した財源を確保することが国の課題だった。だが、その役割はすでに終わり、最近はむしろバラマキ財政のような弊害が目立っているからだ。

ところが昨年12月、安倍政権は「真に必要な道路」の整備をして余った財源だけを一般財源に回す、という玉虫色の決着をした。道路特定財源は今後10年間で31兆〜34兆円にのぼる見通しだ。国交省は、これをすべて使い切るので一般財源に回す分はない、と宣言したわけだ。多くの地方自治体や、与党の道路族議員も道路整傭計画の推進を支持している。交通の便がよくなるだけでなく、公共事業を通じて地方経済を活性化することを期待しているのだ。しかし、それは「土建国家」への危険な逆戻りになる恐れがある。日本の財政はいまや先進国で最悪の状態にある。自治体も事情は同じだ。まずは歳出削滅につとめ、さらに増税をしてでも財政健全化に取り組む必要がある。少子高齢化のスピードが上がり、年金や医療、介護の社会保障費用が急速に膨らむからだ。

ガソリン税など道路特定財源の税率はいま本来の約2倍に上乗せされている。1リットルあたり150円ほどのレギュラーガソリンの価格のうち、54円ほどを道賂特定財源として負担している。上乗せ税率は来春、期限切れを迎えるが、計画はこれを10年間延長する案だ。原油高でガソリン値上げに苦しむ国民が、それを受け入れるだろうか。国交省は、開かずの踏切対策や安全な通学賂の確保、市街地道路のバリアフリー化など「住民ニーズにも合致する事業を積み上げた」という。確かに必要な事業もあるだろう。ただし、それを吟昧するには道路特定財源を一般財源化することが欠かせない。福祉に回す費用や教育費とも比べたうえで、必要性や緊急性を判断したい。限られた財源をどう有効に活用するかの知恵が問われているのだから。

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「在日米軍思いやり予算」
光熱水料の大幅増要求 米政府/日本側は難色
中国新聞 2007年10月8日

クリック:思いやり予算
在日米軍駐留経費の日本側負担分。日本の物価高騰を受け、1978年度から「思いやりを持って対処する」(当時の金丸信防衛庁長宮)として、米軍基地従業員の一部福利費などの負担を開始。その後、特別協定で基地従業員の基本給や光熱水料、訓練移転費などの負担に応じるようになった。従来、特別協定の対象期聞は5年聞だったが、2006隼4月に発効した現在の特別協定は「米軍再編の進展を見極めることが困難」という事情を踏まえ、2年間とした。

今秋から本格化している日米両政府の在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)に関する新特別協定締結協議で、米側が軍事負担増を理由に電気、ガス、水道代など光熱水料の大幅増額を求めていることが七日、分かった。日本側は難色を示している。

二〇〇七年度の光熱水料は二百五十三億円だが、具体的な要求額は不明。現在の特別協定は来年三月に失効するため、政府は年内に協議を決着させ、新協定案に基づく経費を来年度予算案に計上する方針だが、見通しは不透明だ。

日米関係筋が明らかにした。十一月一日のテロ対策特別措置法の期限切れに伴い、インド洋で給油活動中の海上自衛隊の一時撤収は避けられない情勢。政府内では、活動中断に加えて思いやり予算をめぐる対立が深刻化すれば「日米関係に亀裂が生じる」(外務省幹部)との思念も出ている。日米両政府が新特別協定案で合意しても、参院の与野党逆転により、承認をめぐる国会審議は難航が予想される。

思いやり予算は、在日米軍の隊舎や家族住竈など施設整備を図る地位協定分と、それ以外の特別協定分に分かれる。〇七年度の総額は二千百七十三億円で、うち特別協定分は千四百九億円。基地従業員の基本給千百五十億円のほか、在日米軍が公用で使用した光熱水料などが含まれる。

日米両政府は今春から新特別協定に関する事前折衝を実施。米側は北朝鮮や中国の軍事的脅威に対抗するため、アジア太平洋地域の米軍戦力を増強、地域の安定に貢献してきたとして、日本側にも思いやり予算の増額による「応分の負担」(米政府関係者)を要求。特に光熱水料の大幅増額を求めている。これに対し財務、防衛両省や自民党からは、思いやり予算の削減を求める声が出ている。

解説:安保と財政 認識にずれ

日米両政府間による思いやり予算に関する次期特別協定協議が難航している背景にほ、平和・安定への貢献と財政支出抑制という二つの課題をめぐる日米間の認識のずれがある。日本側は在日米軍につ例て「日本とアジア太平洋地域の平和と安定に貢献し、存在自体が抑止機熊を果たしている」(防衛省)と評価し、さまざまな経費負担増に応じてきた。政府は経済財政諮問会議の答申を受け、思いやり予算も全体として抑制を基調とする方針を打ち出してきたものの、駐留経費負担率は二〇〇二年の時点で約75%に上り、他の駐留国に比べて突出。「思いやり予算で間接的に地域安全保障に貢献してきたが、その分本来の防衛予算が抑え込まれてきた」(政府筋)との不満も少なくない。

一方の米国側には、財政赤字に苦しむ中で中国の軍備増強に対抗するため、アジア太平洋地域の軍事力を維持・強化してきたとの自負がある。日米関係筋は「在日米軍の存在で、日本は比較的軽い軍事負担で済んできたというのが米政府の立場だ」としており、双方とも容易に引き下がることはできない情勢だ。

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[貧乏人に増税で軍事費5兆円] 2007年度政府予算案
大企業には1兆円減税 2006年12月27日付

長州新聞 本社 下関市田中町10番2号 電話(0832)22ー9377 FAX(0832)22ー9399
いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関 独立・民主・平和・繁栄1955年創刊

安倍晋三総理がはじめて編成した2007年度政府予算案を24日の閣議で決定した。一般会計の総額は82兆9088億円(06年度当初予算比四%増)となった。その内容は米日独占・大企業のための「成長重視路線」であり、国民の90%以上を占める労働者、勤労人民に対しては定率減税全廃による所得税・住民税の増税を中心に高負担を押しつける。歳出面では、雇用保険(失業保険)の国庫負担を半減させ、生活保護母子加算の全廃開始など社会保障費の2200億円カットの一方で、軍事費はアメリカが要求する弾道ミサイル防衛(MD)の実戦配備を急ぎ、今年度補正で先取りした分を含めて大増額、なんの支出理由もない在日米軍再編経費は別枠扱い、アメリカの戦争の下請を担う軍拡予算である。

増税は約1兆7千億円 庶民から搾り歳入増

歳入では、定率減税全廃による個人所得税と住民税をあわせて約1兆7000億円の増税。これに独占・大企業が「過去最高利益」をあげ続けるなかで、法人税率を30%に引き下げたままでも法人税収が回復。税収は53兆4670億円(06年度当初比16・5%増)と過去最大の増税幅となった。これは、減価償却制度見直しと証券優遇税制の見直しによる約1兆円の大企業・大金持ち減税を見こんでの話である。労働者、勤労人民にたいする大増税は、非課税世帯を課税世帯にし、課税世帯のランクを引き上げることによって、健康保険料、厚生年金保険料、国民健康保険料、介護保険料の大幅負担増を押しつけ、大収奪のもとになる。さらに、住民税非課税から課税となることで、医療費などの減定措置がなくなり、低所得層をますます生活できない状況に追いこむ。

大銀行グループは、法人税を1円も納めていない。大企業も定率減税と合わせて法人税率を30%に引き下げたままである。今年8月、谷垣禎一財務相(当時)でさえ「法人税率を40%に戻すと新たに5兆円の税収増が見こめる」としている。法人税率を引き下げたままで、減価償却見直しなどで1兆円の減税。安倍政府の米日財界いいなり、国民に自殺、孤独死、過労死を押しつけてはばからない正体を浮き彫りにしている。

一方で、新規国債発行高は社会保障制度改悪などの歳出削減の結果、25兆4320億円と、4兆5000億円の減額としている。だが、日本が抱える借金残高は07年度末に国・地方合わせて過去最大の773兆円。国内総生産(GDP)比で148%と世界1の借金大国。国の借金だけで赤ちゃんから高齢者まで国民1人当り428万円の多重債務状況。「成長重視頼み」というが、行きづまる対米従属社会で打開の見とおしはない。

MDに大盤振舞い 突出する軍事費 米軍再編は「別枠」

歳出で突出しているのは軍事費である。「防衛関係費」は4兆8016億円(06年度比0・3%減)としているが、実際は大インチキである。アメリカが要求する「先制攻撃戦略」で、日本を米本土の盾として、「弾道ミサイル防衛」の実戦配備では、04年の導入開始以来最大の約1826億円(06年度比30・5%増)を計上。海上自衛隊のイージス艦に配備するスタンダード・ミサイル3(SM3)の経費、地対空弾道ミサイル迎撃誘導弾パトリオット・ミサイル3(PAC3)の購入費などを含んでいる。だがすでに06年度補正予算で、「防衛関係費」711億円を先取りしている。「北朝鮮の脅威」を煽り、パトリオット・ミサイル3の購入費の一部、海上自衛隊の電子戦データ収集機EP3改修費など。これを加えると2536億円となる。安倍総理は、任期中に憲法改悪をやって「戦争をする国」にするといっている。

<参考> 北朝鮮とミサイル防衛システムの裏側
2003年9月5日  田中 宇

湾岸戦争の時、米政府が高い命中率を示すために発表したパトリオット使用時のビデオ映像を分析し「このビデオを見る限り、一発も当たっていない」という結論を発表して注目されたのは、MIT(マサチューセッツ工科大学)のセオドア・ポストル教授(元国防総省顧問)だったが、同教授は今年3月、改良型のパトリオットについても「使い物にならない」とする分析結果を発表した。教授によると、ブッシュ政権は使い物にならないパトリオット迎撃システムを「十分使える」とウソを言い、これを全米に配備して今後の防衛システムの中核に据えようとしている。このままだと、本当にどこからか核ミサイルが飛んできたときに、実は何の備えもないということになりかねず、非常に危険だ、とポストル教授は警告している。

臨時国会で、「防衛省法」を自・公の賛成多数で強行。海外派兵を自衛隊の本来任務とした。予算案では、この海外派兵に迅速対応する実戦部隊=中央即応連隊(約700人)の新設を盛りこんだ。同部隊は、キャンプ座間に移転を計画する米陸軍司令部と連携する陸上自衛隊中央即応集団司令部のもとに配置。宇都宮駐屯地(栃木県)にもうける。同中央即応集団司令部は、陸上自衛隊の海外派兵に関する計画・訓練・指揮を一元的におこなう。来年1月の防衛庁から省への移行にともない、日米軍事協力と海外派兵を含めた政策立案能力を強化すると、「日米防衛協力課」「国際政策課」「戦略企画室」を新設する。

在日米軍再編・自衛隊一体化を進める経費約313億円を今回、初めて計上した。安倍政府は同経費の一部166億円を「地元の負担軽減に資する措置」と称して「別枠」扱いしている。その中身は、キャンプ・シュワブ沿岸部(沖縄県)に米海兵隊新基地を建設するための調査費約八二億円、米空軍嘉手納基地の戦斗機部隊の訓練を本土に移転するための経費約4億円、米海兵隊岩国基地(山口県)に米空母艦載機部隊を移駐する調査費約23億円など。安倍政府は「別枠」をつくることで、総額3兆円にのぼる在日米軍再編経費を確保するとともに、今後、「防衛関係費」の枠にしばられないで、軍事予算を拡張することを狙っている。

「地元の負担軽減に資する措置」以外では、米陸軍キャンプ座間(神奈川県)への陸上自衛隊中央即応集団司令部の移転調査費1000万円、米空軍横田基地(東京都)への航空自衛隊航空総隊司令部の移転経費約143億円、「ミサイル防衛」(MD)用レーダー配置にともなう航空自衛隊車力基地(青森県)の拡張費約4億円を計上している。20日決定した06年度追加補正では、キャンプシュワブ沿岸部への新基地建設の調査費など約110億円、米原子力空母の米海軍横須賀基地(神奈川県)配備のための港湾浚渫工事費約40億円も盛りこんだ。

在日米軍駐留経費負担(「思いやり予算」)も合計で2173億円計上した。「沖縄に関する特別行動委員会」(SACO)関連経費は126億円。「第2の軍事費」である、内閣官房予算の情報収集衛星(軍事偵察衛星)関連経費約630億円。これら06年補正での先取り、「別枠」、内閣官房予算などを加えると軍事費は5兆円規模にはね上がる。安倍政府はアメリカの戦争の下請を担い、戦争に乗り出す軍事予算拡張へ突っ走り始めた。

雇用関連費は半減 生活保護制度も改悪

社会保障費は、高齢化などにともなう自然増分を2200億円もカットした。総額で21兆1408億円。2200億円削減の中心は雇用保険(失業保険)の国庫負担金3947億円を半分以下への削減である。雇用保険の大幅な黒字を理由にしているが、正規雇用の大量首切りとパート、アルバイト、派遣・請負などの非正規雇用の大拡大による失業給付者の減少と、失業手当給付期間の短縮などの制度改悪によるものである。安倍総理は「再チャレンジできる社会」を重点施策と宣伝しているが、政府予算案はまったく逆である。

「生活できる仕事を保障せよ」。失業と半失業がかつてなく増大するなかで、「再チャレンジ」の中心は雇用である。雇用関係予算は、06年度の4327億円から2215億円に半減した。雇用保険への国庫負担金を除いた雇用対策費はわずか369億円。これまで、目玉としてきた「フリーター25万人常雇用化プラン」の予算も224億円から218億円に削減した。さらに経済産業省の、若者が就職相談や就労支援を1カ所で受けられる「ジョブカフェ事業」は、わずか3年で終え52億5000万円の予算を全廃する。フリーターの常用雇用を促進するとして、一定条件で企業に助成金を支給する事業に18億円を計上している。だが、これは目前のごまかしである。

一方で、労働市場の規制緩和・構造改革の推進をはかり、1日8時間とした労働時間規制の適用除外制度を導入、残業代ゼロで働かせることを可能にし、命まで奪おうとしている。また、派遣労働で3年をこえて雇用する場合の正社員化の義務や、請負労働は請負った仕事だけで企業側の指揮・命令を禁止するなどの規制全廃を狙っている。これが「再チャレンジ」どころか、労働者を賃金奴隷として、低賃金・使い捨て労働として極限まで搾取しようとしている。

社会保障費削減のもう1つの核は生活保護制度の改悪である。貧富格差のかつてない拡大のもとで、生活保護世帯は100万世帯をこえ、離婚の増加による母子家庭が増大している。このなかで安倍政府は、生活保護の母子加算を3年間で廃止することを決め、07年度から開始する。母子加算は子ども1人に月額約2万円である。もう1つは、持ち家に住む高齢の生活保護世帯への保護をうち切り、持ち家を担保に生活費を貸しつけ、担保資金がなくなった段階で生活保護に切りかえる。住んでいる家まで、むしりとろうとしている。

教育改革には予算投入 学テや学校評価に

文教・科学振興費は5兆2743億円、(06年度比0・1%増)。小中学校の義務教育費国庫負担金は同0・6%減。内容は競争原理による「教育改革」を盛りこみ、全国一斉学力テストに新規に66億円を計上。学校の序列化を進める学校評価システム推進に8億円を計上。教員免許更新制の導入調査・研究に新たに2億2000万円を確保している。教育現場の差別と競争による荒廃は一段と激化し、ごく1部のエリートと、圧倒的多数の落ちこぼれをつくり、アメリカの戦争の下請を担う肉弾にする腹である。国立大学法人運営費交付金は06年度比1・4%減、私立大学への補助も46億円削減した。

中小企業対策費は1625億円で、一般歳出比では0・35%。1963年の中小企業基本法制以来最低水準。日本の全企業の99・8%を占める中小企業の切り捨てである。「中小企業地域資源活用プログラム」「戦略的中心市街地商業活性化支援事業」を目玉としているが、選別・集中による淘汰・再編策にほかならない。

農林水産関係予算は、06年度当初比3・1%減の2兆6927億円。公共事業関係が同5・7%減、食料安定供給関係が同4・5%減。大多数の農家を切り捨て、1部の「担い手」に施策を集中している。品目横断的経営安定対策に1395億円、「担い手」育成・確保に176億円を計上した。公共事業関係費は06年度比3・5%減の6兆9472億円。「成長力強化」の名で、米日財界が要求する大都市圏の物流強化に重点配分。東京港などのスーパー中枢港湾整備に524億円(同37・5%増)、空港・港湾へのアクセス道路などの整備に、900億円(同34・3%増)、三大都市圏環状道路に1859億円(同9・7%増)。

「経済成長戦略大綱」関連施策には、各省庁あわせて3092億円を計上

三菱重工、石川島播磨重工が参加する次世代航空機開発は06年度の5億円から13億3000万円に。インターネットを検索するプログラムを日本で開発する「情報大航海プロジェクト」に45億7000万円、NTT、電通、日立製作所、富士通、NEC、東京大学などが参加する。「成長重視」の名で、独占・大企業には、企業減税のうえに、血税で大盤振舞をやっている。

地方関係予算は、市場原理による格差の拡大を促すものである。地方交付税は06年度比7000億円削減、15兆2000億円とした。交付税配分に市場原理を持ちこみ、「頑張る地方応援プログラム」を新設。2700億円程度を見積っている。その基準に、「出生率」「転入者人口」などをあげており、農漁村部はお呼びでなく、「行政改革」の指標にすることから、地方自治体のリストラを進めようとしている。市町村合併の推進のための補助金は06年度比45%増の58億円を計上、上からの第2次合併の強行をはかり、安倍総理が主張する「道州制」への道をつけようとしている。

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[政治理念が見られない](税収という巨額の金と既得権益に振り回される政治)
中国新聞 社説 2006年12月9日

改革のポーズは崩したくないが、与党内の求心力も失いたくないー安倍晋三首相の心境はハムレット的だったようだ。こうした際に最も必要な強い政治哲学が、首相には欠如していたのではないだろうか。「改革の試金石」と位置づけていた首相の意欲はどこかに消えてしまった。道路特定財源見直しをめぐる政府と与党の攻防は、道路族議員を中心とした与党側の完勝に終わった。道路財源の大半を占める揮発油税の全額一般財源化は見送られ、道路歳出を上回る余剰の税収分だけ一般財源化されることになった。
これでは、土木建築業界の圧力と、道路族を中心にした勢力の巻き返しを抑えることは困難だろう。まず「税収ありき」に頼った姿勢では、無駄な道路を造り続ける悪循環を果たしてどこで断ち切れるのだろうか。そもそも、使い道を道路整備に限ると約束して集め始めた税金を、政府の都合で別の財源に回すこと自体、理屈に合わない話だった。もし、道路整備がもう十分なものになっていて、税収全体を使う必要がないのなら、税金を軽減するのが筋だろう。しかも、今の税率は本来の税率の一・二倍から二・五倍も増やしている「暫定税率」である。まず、それを引き下げる話があってしかるべきなのに、合意した見直しでは「現行の税率は維持する」という。取りやすい税収は手放したくないとの思惑がありありと見えてくる。
安倍政権が道路特定財源の抜本的な見直しを図るつもりなら、与党内の反発や抵抗を押し切るだけの政治理念と方法論を、きちんと用意すべきだった。例えば、地球温暖化対策に思い切って回すことにすれば、揮発油税の使い道として大きな意味を持ち得る。あるいは、超高齢化社会に備えて、バリアフリーで安全・安心な歩道整備を徹底して進める、との青写真を描くことも選択肢の一つだろう。中央と地方との格差是正が必要なら、そうした目に見える充実策も示すべきだった。見直し推進側にも抵抗側にも、理念より先に、来年の参院選をにらんだお互いの思惑が複雑に交錯しただけだったように思える。与党と政府のせめぎ合いが水面下で行われた結果が、こうした半端なものでは情けない。税収という巨額の金と既得権益に、政治はまだまだ振り回されている。

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[エスカレートする経済財政諮問会議の暴論] かけはし2006.12.4号

「格差縮小のために規制緩和を」「労働法制変えて市場に委ねよ」
キャノン会長の居直り

「請負法制に無理があり過ぎる。勧告にも無理があり過ぎる。これを是非もう一回見直してほしい」。労働局に偽装請負を摘発され、二万人以上の請負・派遣労働者から数百人を正社員雇用することを決定したキヤノンの御手洗冨士夫会長は、十月十三日に安倍政権下で始めて開催された経済財政諮問会議で、みずからの違法行為は棚に上げて、派遣法のさらなる規制緩和を要求した。

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[巨額の借金の結果が、わずか0.5%の経済成長]
毎日新聞コラム「余禄」2000年6月11

100兆円以上の借金を積み上げ、時の首相が命まで失う心労を重ねた結果、日本の経済が得たものは、わずか0.5%の成長なのだそうだ▲国を挙げて1年間、景気、景気と稼ぎ出した総額、国内総生産(GDP)は482兆円。前年度より2兆2000億円増えた計算だ。100兆円も借金して増えたのがごれだけ。政府は「やったやった。景気回復だ」と自慢する。世にもまれな非効率。不思議な仕組みだ▲破たんした日本長期信用銀行に3兆6000億円、日本債券信用銀行に3兆2000億円、国はお金をつぎ込んだ。あわせると0.5%成長の3年分。微々たる成長のもう一つの陰の力はゼロ金利。1300兆円ある金融資産に1%今より高い金利がつけば、13兆円の利息がついた。それで余分に買い物しただけで2.5%成長できたのに▲もう一つ数字がある。名目GDP494兆円だ。物価上昇を差し引いて実質は12兆円少い482兆円になる。この物価による人為的修正幅だけで、世界一ち密な0.5%分の5倍以上ある。長年の物価調査の積み上げを反映するが、街中のバーゲンはこの物価に反映しない。もしバーゲンをいれたら5%成長かもしれない▲そもそもGDPは生産の統計。それなのに全体の6割以上は個人消費と呼ばれているもの。生産とは正反対の消費した分だ。すべての生産を調べるのは不可能なので、消費したからにはだれかが生産したはずと類推している。中古品や去年作ったものを買うと話があわなくなる。理屈は精密で立派だが、実際に調べるのは大変なのだ▲GDPは馬の前にぶら下げるニンジン。追いつけ追い越せと、10%成長の世界で生産に励むには絶好の道具だった。だが今やサービス、情報、マネーと測れないものばかり。古臭い道具にこだわると、前に進めない

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