[危険な医療]

医療に伴う危険をさけるために!
医療は危険なもの・病院は危険なところ、自分の健康・自分の命は、自分で守りましょう!
本来、医療は危険なものです。それをいかに安全に行うかということが医療者の腕であり、いかに安全に医療を受けるかということが市民の知恵です。インターネットの医療相談でも多くの方から怒りのメイルを頂いていますが、私の身近でも適切でない医療の被害に会う人が増えていますので、そのような例を紹介してまず危険な医療をさけるための知識を身につけて頂きたいと思います。

[過労状態の医師が支える日本の医療][なんでも癌にする病院、なんでも手術する病院][「このような症状が出たら、すぐに病院へ!」…でも結果は?][医療の質は看板ではわからない][肺ガン検診の危険性][民間病院での夜間の緊急手術の危険性][誤診はどこでも起きる][公的な総合病院といえども危険]

→見出しページヘ


[過労状態の医師が支える日本の医療]

「小児科医師中原利郎先生の過労死認定を支援する会」
「あなたの子供のいのち、疲れ切った小児科医にまかせますか?」
「小児科医過労死労災請求及び訴訟」

[「研修医」生活保障のない薄給が慣習] 朝日新聞「ふしぎの国の医療」2000年10月1日
[「大学勤務医」使命感だけが過重勤務支え] 朝日新聞「くらし」欄 2000年4月27日
日本の医療は人手とお金をかけない本当に「貧しい医療」なのです。
医師や医療関係者の犠牲的精神と献身的な努力で支えられているのですが、
一部の金儲け主義の医者や圧力団体としての医師会のせいでイメージが悪く、
良心的な医療をする医療機関はますます厳しい状態になってきています。
これ以上、医師や患者さんの犠牲者を出さないような医療システムにしなければいけません。
日本の医療を正しく理解してもらうために(川崎市立川崎病院 鈴木厚)
遅れている専門医療センター設置:がん治療、救急医療、産婦人科(女性)医療、小児医療(特に小児救急)!
こども救急医療電話相談や夜間小児診療所を利用しよう!

→見出しページヘ


[なんでも癌にする病院、なんでも手術する病院]

[老人施設のショートステイで下血があり入院した経営母体の病院であらゆる検査をして大腸癌と診断された認知症の91才・女性] この病院は経営している老人施設の入居者を定期的に入院させて検査を繰り返し、とにかく癌という診断名をつけて手術を繰り返していた地域でも悪評高い病院だった。この患者さんは今までなんの症状もなかったのに、大腸癌で人工肛門の手術をしなければいけないと説明されて、手術の準備にとりかかっていたが、かかりつけ医のすすめで自宅近くの病院に転院された。なんと紹介状には「胃癌ですでに内視鏡手術をした」と書いてあったが、家族にも説明がなかったようで、看護師の転書には「胃の生検ではグループ3(まだ癌ではない)」となっていた。

[交通事故のため救急車で入院した病院で手術が必要な鎖骨骨折と言われた81才・女性] この患者さんはペースメーカーが入っていてアスピリンを内服していたため手術が延期になったので、かかりつけ医のすすめでペースメーカーを植え込んだ病院で治療するために、紹介状を書いてもらいとりあえず自宅近くの病院へ転院した。転院先の病院で再度レントゲン検査をしたところ、わかりにくいくらいの骨折で手術の必要はないと診断されて退院された。この病院はなんでも手術することにしているようで、特に交通事故の患者さんは健康保険で治療する患者さんと違って、病院は治療期間や治療費の心配をせずに長期間・高額医療費の治療ができるので、なんでも手術をすることにしているようだ。ちなみに最初の病院は、以前、診療報酬の不正請求で2年間(現在なら5年間)の保健診療の資格停止の処分を受けたことがある地域でも悪評高い病院だった。

☆医者が「手術」と言っても診断が正しいとは限らないので、納得できなければ「ちょっと待って」とか「いやだ」と言える。
☆その病院で治療を受けても大丈夫なのか、治療する医者は経験を積んだ腕の良い医者なのか聴かなければいけない。
☆専門病院でも病院の能力や医者の能力には限界があるので、他に病気を持っている人や危険性が高い検査や治療を受ける時には総合病院や高度に専門的な病院に移ることもできる。

→見出しページヘ


[「このような症状が出たら、すぐに病院へ!」…でも結果は?]

[脳硬塞の前ぶれの症状が出たためすぐに脳専門病院へ行ったが半身不随になった82才・女性)] 軽い高血圧と糖尿病ので治療中でしたが、左側の手足がしびれるため、以前からかかったことのある脳専門病院へ入院した。入院時の検査では軽い脳梗塞で、念のために10日ほど入院するように言われた。ところが入院して二日目には左半身完全麻痺と言語障害になってしまった。担当の若い女医さん曰く「糖尿病と高血圧があるので、沢山点滴すると脳の血管が破れるからあまり薬を使えなかった。もうすることはないので転院してリハビリを」。家族はいろいろな病院に電話をかけて、リハビリができるという病院を探して、紹介状を書いてもらって転院した。ところが転院先の病院では、入院患者のリハビリはしていなかったので、また転院先を探さなければいけなくなった。

☆早期発見、早期治療が大切なので「すぐに病院へ!」という場合でも、病院をよく選ばなければいけない。脳専門の病院といっても、交通事故などで頭に怪我をして救急車でかつぎこまれるような病院では、内科的な病気を持っている人の治療は難しい。少々遠くても救急医療をしている総合病院(救命救急センターなど)へ行くべきです。
☆専門病院は、その専門の科のことしかわからないのです。専門医といわれる医者は、「専門バカ」とも呼ばれます。患者や家族には、平気で「糖尿病と高血圧があるので、沢山点滴すると脳の血管が破れる」というような非科学的(非常識)なことを言います。

「脳硬塞のまえぶれ」このような症状に覚えはありませんか
こんな症状が一時的にでも出でたら、すぐ病院へ!
一時的に脳の血液の流れが悪くなるために起こる症状です。
これらの症状の多くは15分以内、長くても24時間以内に完全に良くなりますが、
そのままにしておくと脳硬塞を起こす危険性が高く、注意が必要です。
「急に箸が上手に使えなくなる、落とす」「片側の手足がしびれる」「言葉が上手にしゃべれない、もつれる」
「物が二重に見えたり、ゆがんで見える」「めまいがしたり、バランスがとれない」「一方の目が見えなくなる。一側の視野が欠ける」
(日本脳卒中学会・日本脳卒中協会監修のポスターより引用)

→見出しページヘ


[医療の質は看板ではわからない]

[間違った骨折治療で障害が残った60才・男性] 手の指の骨折で近くの「外科整形外科医院」へ行ったら「日本整形外科学会専門医」に指を切開されたうえに鋼線固定をされた。いつまでたっても骨が治らないし指が動かなくなったので他の医者にかかったら、最初の治療が間違っていて再手術をしなければいけないと言われた。

☆病院や医者を選ぶ時に、総合病院とか専門病院とか専門医とかの看板はまったくあてにならない。
☆いつでも何でも相談できる「かかりつけの医者」をつくっておいて紹介してもらうことが大切。
[未熟な「専門医」に不信] 朝日新聞「時時刻刻」2005年3月31日


[肺ガン検診の危険性]

[検診で3回誤診されて入院後4ヵ月で亡くなった54才・男性] 3年前の医師会の肺ガン検診で異常を見のがされ、2年前の検診では「要精査」とされたため近医を受診ししたが、胸部レントゲン写真を撮っただけで異常なしとされた。1年前の検診では大きな陰影があったのに前年の精査で異常なしとなっていたために異常なしとされた。背部の痛みが続くため検査したところ、大きな肺ガンがあり転移のために肋骨が溶けていて、肝臓にも無数に転移していた。

☆肺ガンの早期発見は大変難しい:普通の胸部レントゲン写真ではわからないので、検診もCTで行うべきだとの意見もある。
☆検診で異常を指摘されたら、精密検査はまずCTと喀痰の細胞診を行い、わからなければさらに他の検査も行う。
☆参考:[乳ガン検診は産婦人科で受けてはいけない] 超音波検査やレントゲン検査(マンモグラフィ)ができる乳腺専門の外来(外科医)で受けなければいけない。


[民間病院での夜間の緊急手術の危険性]
☆本人が苦しんでいる状態でないのに「すぐに検査や手術をしなければいけない」と迫られたら、
「身内の医者に相談するから」とか「掛かりつけ医に相談するから」と言って、もう一度説明を求める。
その時、かかりつけ医の真価が発揮できる。

その(1)
[不安定狭心症で入院し緊急手術を受けたが良くならなかった74才・男性]
不安定狭心症で循環器専門病院に入院してすぐにカテーテル検査を受け、危機的な血管の狭窄があると診断され、循環補助をしながら同日の夜に緊急手術となった。色々な合併症を起こして手術後の回復が遅れ、一ヵ月かかって術後急性期の危険な状態を脱するも胸痛がとれず、本人の強い希望で退院してすぐに日本でも屈指の循環器内科の専門医にカテーテル治療をしてもらって良くなったが、PTSDと思われるうつ状態が続いている。

☆医者が「危険な状態」と言っても診断が正しいとは限らないので、納得できなければ「ちょっと待って」とか「いやだ」と言える。
☆その病院で治療を受けても大丈夫なのか、治療する医者は経験を積んだ腕の良い医者なのか聴かなければいけない。
☆専門病院でも病院の能力や医者の能力には限界があるので、危険性が高い検査や治療を受ける時には高度に専門的な病院に移ることもできる。

その(2)
[軽い脳硬塞で入院し緊急手術の結果半身不随になった66才・男性)]:ふらつきと舌のもつれの症状があり、以前からかかっていた脳専門病院に入院した。入院時の検査では右中大脳動脈と後大脳動脈境界領域に梗塞があり、右内頚動脈に高度の狭窄が認められた。入院した日の夜になって「麻痺が進行してきた、そのままでは120%悪くなる」と言われ、同日夜、主治医と院長によって緊急頚部内頚動脈ステント術を施行された結果、右の中大脳動脈が閉塞して左半身完全麻痺と失語症となった。

☆医者が「今すぐに」とか「120%悪くなる」とか言っても、納得できなければ「ちょっと待って」とか「いやだ」と言える。
☆専門病院でもさらに色々細かな専門があるので主治医が専門外のこともあり、知識と経験を積んだ腕のよい医者ばかりではない。
☆この病院では患者さんを前に医者が説明している写真を掲載して、写真の下に「○○先生:インフォームドコンセント中」と、
今だにインフォームド・コンセントを意味を取り違えた説明を堂々とつけている。


[誤診はどこでも起きる]
検査で異常がないと言われたり医者の治療を受けても、調子が悪ければ診断を疑おう

その(1)
[「あなたの胃はきれいなものだ」と言われたが手遅れの胃ガンだった54才・女性] 胃の調子が悪くて、近くの内科胃腸科でレントゲン検査と胃カメラの検査を受けたが「あなたの胃はきれいなものだ」と言われた。それでも調子が悪いので3ヵ月後に近くの総合病院へ行ったら手遅れの胃ガンだった。手術を受けたが合併症を起こして回復しないうちに転移のために黄疸となり、病院での治療の見通しがなくなったために在宅でターミナルケアを受けた。

その(2)
[胸に水が溜まって肺結核と言われたが手遅れの肺ガンだった50才・女性] 咳が出るので近くの内科へ行ったら胸に水が溜まっているので結核だろうと言われて3ヵ月治療を受けたが良くならず、近くの総合病院へ紹介されたら手遅れの肺ガンだった。

☆検査を受けて異常がないと言われても調子が悪かったり、治療を受けても良くならなかったりしたら、
診断を疑って医者をかわるか、専門家や専門病院へ紹介して欲しいと申し出ること。


[公的な総合病院といえども危険]

その(1)
[伝達ミスで輸血が遅れて危篤状態になった88才・女性(ドクターちゃびんの母)]:骨盤骨折のため救急車で地域医療の中心的存在だった近くの古い総合病院入院した。外来診察医(古参の医長)は病態を把握できず、危険な状態に気付いた他の医者が治療の指示を出した。しかし緊急輸血のための血液オーダーの指示(伝票)が伝わらず、輸血が間に合わなかったためにショック状態となり、気管内挿管されICU(名目だけのICU)管理となった。ICUでMRSAの院内感染から肺炎となり、色々な合併症を起こして転院先の個人病院で結局死亡した。

☆病院内での情報伝達はあてにならない(急ぎの伝達事項や重要な伝達事項は直接口頭か電話で伝えて確認しているか)。
☆医師から看護師、看護師から医師へ、情報は伝わらないと思わなければいけない。
☆病院の医師や看護師の知識は結構いいかげんで、たとえ間違えても絶対にあやまらないし、カルテはすぐに改ざんされる。
☆ミスを侵しても決して認めず、あやまらないので、録音や写真で記録をとっておくこと。

その(2)
[子宮癌検診でクラス4が出たが半年後に来るように云われた75才・女性]:腰痛症で通院中に、子宮癌検診を受けているか聴いたら、半年後とに近くの古い総合病院で検診を受けているという話から、先日の結果はクラス4だったというのでびっくりした。クラス4はガンですよと話し、いつも紹介している産婦人科の先生に相談したら、クラス4で半年後に受診と云うのはどう考えてもおかしいと云われ、紹介した。円錐切除の結果は、子宮頚部の腺ガンで、後日、子宮全摘術を受けた。幸い転移はなく、ステージ1aという早期ガンだったが、半年後には手後れになっていたと思われる。

☆偶然セカンドオピニオンを得ることができたが、総合病院には非常識な医者がいるので注意を要する。

→見出しページヘ