ばんえいファンドに出資


 世界中でも北海道でしか見られないばんえい競馬。サラブレッドの倍近くの大きさの農耕馬たちが最大1トンのおもりを積んだソリを曳くレースである。そこには単に速さを競うサラブレッド等軽種馬のレースとは違った魅力がある。かつては旭川、岩見沢、北見、帯広の4市で行われていた。しかし、売り上げが減ってきていることから2006年シーズン一杯で旭川、岩見沢、北見の3市が撤退を表明。残された帯広も単独開催は厳しいということから撤退を検討し、存亡の危機に立たされたが、日本が世界に誇る馬文化を絶やすべきではないということから、ちょうど2006年に東京国際映画祭で史上初の四冠を獲得した映画「雪に願うこと」の舞台となった帯広で継続開催されることになった。

 その北海道遺産であるばんえい競馬を盛りあげよう!とのことで楽天競馬 シルクホースクラブが共同でばんえい一口ファンドを今年(2010年)からスタートした。

 中山グランドジャンプの日に東京で説明会があったので、中山競馬場から会場である日比谷のビルまで直行して説明会を聞いてきた。初年度のばんえいファンドの募集馬は1頭だけらしい。その馬は能試時点ではメジロタローと名付けられて能力検定試験に出走したのであるが、馬名は今後変えるとのことである。まだ正式にデビューしていないので馬名を変更して登録ができるそうだ。馬名は出資者からの公募で決めるそうだがシルクかシルキーを冠名として付ける予定だそうだ。ちなみに、ばんえい馬の馬名はサラブレッドの馬名とは別に管理されているので、例えば「シルクジャスティス」とつけても制度上はOKだそうである(シルクがこれを認めるかどうかは別)。説明会の際に須田鷹雄さんがこのことを言ったら場内爆笑だったのだが、結局元の馬名の冠名の部分をシルクに変えた「シルクタロー」という馬名に決定となった。

 この説明会を聞いて思ったのだが、ばんえい馬への出資は単に一口馬主として馬に投資するというだけではなく、存亡が議論されるばんえい競馬に対して「これだけばんえい競馬を文化として支持している人が居ますよ」というアピールにもつながるらしい。

 また、ばんえい競馬を応援するという意味では「ふるさと納税」として帯広市に納税するという方法もある。一口ファンドとは直接関係はないのだが、その説明会の中で紹介されていた。詳しくは須田鷹雄さんの日記で紹介されているのでそちらをご覧いただきたい。帯広市に税金を納めると半年後に手数料5000円を引いた残りが所得税から還元されるというものである。つまり元手は5000円しかかからない。その際納税したお金の使い道を指定できるので、「ばんえい競馬の運営・振興のため」とぜひ書いておこう。こういうのもばんえい存続に向けてのアピールとなる。お金が半年間戻ってこないし利息が付くどころか手数料もかかるが、納税した自治体からさまざまな特典を受けられる可能性もある。私は住宅減税が適用されていて、財源が地方自治体に移管されてからは所得税をほとんど払っていない(昨年はゼロ)のでちょっと難しいが、お金に余裕がある方はぜひ検討していただきたいも。須田さんも「自分は無理でも知り合いのお金持ちの方にぜひアピールして下さい。」と言っていたのでここで宣伝しておく。

 中央競馬のシルクの募集馬は500口に分割されているが、このばんえいファンドの分割口数は100口である。つまり単純計算で5倍お金がかかるが賞金も5倍得られるということだ。ただし、馬代金自体が安いのでそれでも一口当たり2万4千円(総額240万円)である。また、中央馬の場合一口当たり維持会費(預託料などに当てられるお金)が1200円かかるのだが、ばんえいの場合は100口にもかかわらず1500円と、中央で一口持つのと大して変わらないお金しかかからない。それだけばんえいは預託料が安いのだろう。というか中央が高すぎるということもあるが。

 ばんえい競馬の馬を持つ魅力はとにかく丈夫なことでなかなか故障せずコンスタントに走ってくれるということである。また、2週間に1回の出走が標準的なので持ち馬が出走する回数も多い。そして12歳ぐらいまで走ることが多いので長く楽しめるということの特徴である。賞金ははっきり言って安いが、出走回数が多いし長く楽しめるのは魅力である。また、既に能試に受かっている馬なので、デビューしないというリスクを負うことはない。中央だとせっかく当歳か1歳の時に出資したのにデビューしなかったということがあるよね。ばんえいの取引システムでは2歳になって能試を受かってから買うということが可能であり、シルクはその様に能試に既に受かった馬を買って募集するのである。

 ただし、長く走れることはメリットといえばメリットだが同時にデメリットでもあるかも知れない。というのは、何らかの事情で一口馬主をやめなければならなくなった時に権利を失うということだ。長ければ10年ぐらい現役でいるので、持ち馬が全部引退したら一口をやめようと思っても、ばんえいの1頭だけ残ってしまい、その間ずっとシルクに月会費を収め続けるか権利を放棄することになる。そこがデメリットかな。まあ、万が一そういうことになっても、北海道遺産であり日本が世界に誇ってもいいばんえい競馬の応援のために寄付をしたと思えば、それはそれでいいんだけどね。

 というわけで、せっかくシルクHCの会員でもあるので日本初のばんえいファンドであるシルクタローに一口出走することにした。6倍近い倍率だったが抽選の結果無事出資できた。今回は1頭だけの募集だったが、ここまで人気を集めるのなら来年以降は3頭ぐらい募集してもいいと思う。日本初のばんえい一口馬シルクタロー君は多くの人が注目している馬だけに、活躍するとその話題で盛り上がり、ばんえい競馬のアピールにつながるので、ぜひ大活躍して欲しいな。これを書こうと思っていたが書けないうちにデビューして、危なげのない勝利でデビュー戦をものにしたが。今後の活躍にも期待しよう!


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