天皇賞・クラシックの外国産馬解放について

 約1年半ぶりにこのコーナーを更新である。一番まじめなコーナーをずっとお休みしていて申し訳ない。

 さて、今まで天皇賞および5大クラシックは内国産種牡馬や繁殖牝馬選定レースとして行われ、外国産馬やセン馬の出走資格はなかった。しかし、先日JRAから平成12年の両天皇賞を皮切りに、順次外国産馬に部分開放するという発表がなされた。その内容は下記の通りである。

年度競走名当初出走枠
平成12年天皇賞(春)・天皇賞(秋)各2頭
平成13年東京優駿(日本ダービー)・菊花賞各2頭
平成14年皐月賞2頭
平成15年優駿牝馬(オークス)2頭
平成16年桜花賞2頭

 これらの伝統の内国産牡牝限定レースの外国産馬への解放であるが、賛否両論あると思う。賛成派の意見としては「日本の厩舎に所属していながら日本のG1に出走できないのはおかしい」というものである。現役日本調教馬最強レベルのレースを見たいという観点からすれば、確かにこれは一理ある。

 しかし、反対派の意見としては「競馬は血のドラマであり、生産があってこそ真のおもしろさがあるものだ。生産者の保護も必要だ。」というものである。これまたまさに正論である。強い馬のレースが見たいだけなら解放も問題ないが、やはり国内で生産が行われているからこそ日本で走った馬の種牡馬や繁殖牝馬としての受け入れ先があるわけであり、(すべての馬にというわけにはいかないものの)引退後の余生が保証され、その子が競走馬としてデビューする姿も見れるわけである。何年も競馬をやっているとかつて自分がレースをリアルタイムで見ていた馬の子供が競走馬として登場してくるのを見るのも楽しみであり、競馬の魅力の1つでもある。

 このような賛成も反対も一理ある中で折衷案として出されたのが、今回の「出走頭数限定での解放」であそう。私も完全解放には賛成しかねるが、部分開放ならしかたないかとは思う。

 ○外の特徴としては「早熟馬が多い」ということがあげられる。これは血統的なものもあるが、日本と競馬先進国との育成時代の調教技術の差もあるだろう。とにかく○外は早熟馬が多いのである。近年○混のレースが増えてきたが、3歳戦や4歳のはじめごろのレースは○外の活躍が目立つ。クラシックを完全解放してしまうと、早いうちに賞金を稼いだ早熟馬ばかりが賞金順で優先的に出走してきてしまう。皐月賞なんかほとんど早熟の○外ばかりになってしまう可能性が大きい。そして内国産が泣きをみることになる。そのためにも○外枠は2頭に制限するのが妥当なところだろう。

 また、○外の特徴として「値段が安い」ということもあげられる。日本の物価(特に土地代)の高さが原因だ。同じ強さでもカネを出す馬主としては安い馬が欲しいだろう。だから下手に解放すると内国産が売れなくなるという大問題になりかねない。これについては内国産奨励金を上げるなどの措置で馬主の購買意欲をそそり、生産者にも納得してもらうそうだ。日本の生産者の保護も力をいれて取り組むべきことだろう。

 やはり生産が行われているからこそ、競馬は面白い。私は基本的に○外は好きではないが、そういう人間にとっても内国産馬が外国産馬に勝つということは痛快なことであるし、強い○外にG1で勝ったということがその馬の評価アップにつながるので、今回の頭数限定での解放は頭ごなしに反対はしない。でも、完全解放は絶対にやめて欲しいが。

 ちなみに、○外の解放については上記のような考えを持っているのだが、□外についてはこれ以上の解放はやめるべきだと思う。□外についてはここに書くと長くなるので次回に書くこととする。あと、内国産種牡馬は好きだが、かといって輸入種牡馬には別に反対をする気はない。「血の飽和」が起きるからだ。これについては98年馬事文化大賞(だったっけ?)を受賞した「競馬の血統学(吉沢譲治著/NHK出版)」という本でも読んでくれればわかると思う。


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