貧乏旅行講座〜宿代を浮かそう編〜








 住み慣れた街を離れてどこかに泊まりがけで旅に出たい。しかし、先立つものが・・・。そういう経験がある人も多いことだろう。私もその一人である。貧乏なくせに旅好きなのだ。

 旅行にいくにはカネがかかるが、できれば出費は必要最低限に抑えたいものである。そこで、合法的に安上がりな旅行をする手段について考察してみたいと思う。ちなみに私は海外旅行については詳しくないので、国内旅行の場合について書く。

 旅行でバカにならないのが宿泊費(ただし日帰りを除く)。豪華なホテルに泊まるカネあったら各地のおいしい食べ物を食べた方が良い。それ以前にホテルに泊まるカネすらない人もいるだろう。宿泊費を浮かすにはどうしたら良いだろうか?そこで安い「宿泊所」について考察してみる。

カプセルホテル
 何といっても安い宿の定番。畳約1個分の狭い部屋だがちゃんと布団の上で眠ることができる。もともとは終電を逃したビジネスマンの為に作られた施設なので、ビジネスでいくことが多い都市に多い。大都市には大抵あるが、大都市でも京都のような観光都市にはなかった(私が発見していないだけで実際はあるのかもしれないが)。場所にもよるが3,000円前後で宿泊できるところが嬉しい。

 各部屋にはTVがついていて快適である。また、サウナが併設されている場合が多いのでサウナでリフレッシュできる。サウナがない場合でも風呂ぐらいはある。

 なお、後で紹介するサウナの仮眠室やネットカフェ・マンが喫茶等は一度入店すると途中外出できないが、カプセルホテルの場合は普通のホテルと一緒で外出もできるところが便利。

 カプセルホテルは大抵男性しか泊まれないので女性の方にはあまりお薦めできないかな。東京には女性用カプセルもあったような気がするがそんなのはごくわずかである。

 目的地にどんなカプセルホテルがあるか、あるいはそもそもカプセルホテルがあるのかということは(私のページではないが)全国カプセルホテルガイドという便利なページがあるので、そこで探してみよう。

サウナ・健康ランドの仮眠室
 サウナや健康ランドは24時間営業している場合が多い。24時間営業のサウナではそこに1泊することができる。大抵深夜料金を取られるが、カプセルホテルよりも安い。

 その様なオールナイトのサウナには大抵仮眠室が設けられている。カプセルホテル並みに快適なところもあれば、そうでないところもあり当たり外れの大きいところが特徴である。また、漫画読み放題のところも結構ある。

 カプセルホテルだとチェックイン後に外出できるが、サウナの場合外出はできない。その日の予定を全部消化してからいかなければならないところが難点。

 なお、またまた私のページではないが旅行情報網「仮眠部」というページで全国の健康ランド・サウナ等の仮眠・宿泊の出来る銭湯(スパ)を案内しているので、そちらで探してみよう。

ネットカフェ・マンガ喫茶
 21世紀になってから増えてきた24時間営業のネットカフェやマンガ喫茶。夜は「ナイトパック」という特別料金があるところも多く、カプセルホテルと同程度かそれ以下の料金で泊まれることが多い。いや、建前上はインターネットをやったりマンガを読んだりドリンクを飲んだりしながら休息することだが。

 料金はカプセルホテルとそんなに変わらないが、狭いながらも布団の上で横になって寝ることができるカプセルホテルと異なり、リクライニングの椅子の上で寝ることとなる。しかも、カプセルホテルの場合サウナが併設されていることが多いが、ネットカフェの場合は良くてシャワー室(別料金)がある程度。また、大抵の場合カプセルホテルと違って途中外出できない。

 しかし、ネットカフェやマンが喫茶のいいところは、インターネットを使いやすい(自分のノートPCをネットに繋ぐこともできるし、お店で用意したPCでネットサーフィンもできる)ことや、マンガ読み放題、ドリンク飲み放題(店によっては軽食も付く)といったところだ。私の場合はネットカフェの方が好きだが、ここは各人の好みがわかれるところだろう。

 目的の場所にどんなネットカフェやマンガ喫茶があるか、そもそも存在するかは先ほど紹介した旅行情報網「仮眠部」というページに情報があるので、そこで探してみよう。

交通機関(電車、バス)
 夜行列車や長距離バスもお薦めの宿泊場所である。何せ寝ている間に別の場所に着いているのだから。昼間起きている時間帯に長距離移動するのは時間の無駄である。カネだけじゃなく時間も同時に節約できてしまうところが良い。私も東京から実家の弘前に帰る時は夜行バスを利用している。

 また、荒技(?)としてフリー切符や周遊切符の周遊区間内を走る夜行を利用して何泊もするということも可能である。私も北海道の8泊9日の旅行で北海道フリー切符を利用し、8泊のうち5泊を夜行列車の中で過ごした(北海道放浪記’99夏参照)。これができるところって北海道ぐらいかな?しかも、当時の北海道ではできたのだが、今では道内に完結した夜行列車も無くなっている。鉄道の速度が出るようになったという技術の進歩と高速バスが増えてきたので夜行列車に乗る人が減ったことにもよるのだろう。

 日本から夜行列車は少なくなっているが、臨時列車で普通運賃だけで乗車でき青春18きっぷも使える快速列車も存在する。ムーンライトながら (東京駅 - 大垣駅)、ムーンライトえちご (新宿駅 - 新潟駅)、ムーンライト信州 (新宿駅 - 白馬駅)だ。そのコースを通る人は使ってみるのも良いだろう。臨時列車だが青春18きっぷのシーズンはほぼ運行されている筈。

 また、青森駅−札幌駅間で運行されている急行はまなすは18きっぷは使えないものの、北海道&東日本パス を使うことができる(ただし急行券は別途必要)。北海道から本州に向かう人やその逆の人で北東パスを使う人は利用してみるのも良いだろう。(2016年、北海道新幹線の開業に伴い廃止になりました。)

 夜行列車が少なくなってきた反面、安い夜行バスは一昔前と比べても格段に増えてきた。現在では車内泊というとバスが主流となっている。

 夜行バスのある高速バスには色々とあるが、複数の会社の路線を検索して予約できるシステムがあるので紹介しておこう。

高速バス比較サイト【バスブックマーク】

オールナイトの映画館
 映画館ではオールナイトといって夜通しで上映し続ける時がある。映画館の席では寝てはいけないという決まりはない。そこで映画館で夜を明かすという手もある。映画館が宿泊費2,000円程度の宿屋になるのである。

 この場合、うるさいアクション映画等よりは静かな映画の方がお薦めである。また、海外の映画の字幕スーパーの映画が特にお薦めである。外国語の字幕スーパーだと私のように外国語(ヒアリング)が得意ではない人間にとっては、目をつぶってさえいれば何を言ってるのかわからないので話の展開が気になることなく自動的に眠くなる便利なしろものである。日本語の映画だと見入っちゃってよく眠れない危険性があるし。外国語が堪能な人間にとってはどうかわからないが。

 また、早朝5時ぐらいに終わることが多いので、その時間になると寝ていても係員が起こしにきて追い出される。このような強力な目覚まし機能も兼ね備えているので、早朝から行動を開始したい時は特にお薦めである。

 ただし、昔と違ってオールナイトで客の入れ替えの無い映画館も少なくなってきたので探すのに苦労するかもしれない。

車の中
 車で旅行する時は、その車が宿代わりになる。足にもなるが宿にもなるのである。高速道路のサービスエリアや一般道でも駐車場等一晩中車を停めておける場所を見つけてそこに泊まっちゃおう。野宿と違って雨風はとりあえずしのげる。

 車の定員ぎりぎりで出かけた時はちょっときついかもしれないが、1人か2人の時は結構有効な手段である。

快適に車の中に泊まれるように車中泊専門店オンリースタイル で車中泊専用マットというものも売られているので、車に泊まる人は利用してみよう。

(無人)駅
 これは結構荒技に近いかな。シュラフ(寝袋)とかを持っていったほうが良い。私は学生時代ワンゲル部だったので、山に行く時になどに無人駅(または夜間になると無人になる駅)で寝たことが何度もあるが。あとそれから比較的大きな有人駅でも松本駅で寝たこともあり、松本は登山客でごったがえしていた。ただし’93年当時の話であり、改装してからは駅の中では寝られなくなったという話だ。

 松本駅では今でも駅構内からは追い出されるが、軒下では寝ることができるらしい。また、札幌駅でも軒下で寝たことがある。こういうのって「野宿」っていうのかもしれないけど。

 あと学生時代のワンゲルの話を書いて思い出したのだが、適当な空き地を見つけてテントを張るというのも宿泊手段として有効である。シュラフや毛布を持って旅をする人は多くても、テントを持って旅する人はそんなにはいないだろうけど。

 なお、大学時代の部活では「ステ寝」と読んでいたが、「駅寝」もしくは「STB」(ステーションビバークの略)と呼ばれるのが一般的である。

 これの難点は都会ではほぼ使えないということと、可能な駅を調べるのが難しいというところである。

究極の手段「野宿」
 野宿というのも宿泊費はかからない。当然といえば当然だが。冬の寒い日にやってしまうと凍死という恐れがあるので寒い時はお薦めできない。シュラフがあれば多少の寒さは凌げるが、厳寒期はやめたほうがいい。また、周囲の治安の悪いところもやめたほうが良い。

 前述の札幌駅や松本駅の軒下あたりは野宿できる場所として有名である。夏の松本は登山客で賑わっているので野宿しても違和感がないし、夏の北海道も登山ついでの旅行者や自転車やバイクであちこち回っている旅人が多いので結構駅の軒下等で野宿している人がいる。

 また、徹夜組の出る大きなイベントの会場というのも野宿に適した場所である。例えば競馬だとビッグレース前日の夜の競馬場の門の前とか。こういう場所は開門と同時にいい席を取ろうとして門の前で徹夜や野宿をしている人間が大勢いる。私なんてダービーの前の日に自宅から歩いてもいける東京競馬場の正門前で野宿していたし(まあ、これは「泊まる」ことが目的ではなく、いい場所を確保することが目的だったが)。

 このように野宿は人っけの無いところよりも多くの同士がいるところのほうがお薦めできる。上記の場所のようなところのほうが治安が良いものである。

それでもまともなホテルや旅館に泊まりたい
 そういう場合は普通に宿に直接予約するよりもホテル料金比較サイト【ホテルズコンバインド】 のようなサイトで探すと安い料金で泊まれることが多いので利用してみよう。上記に挙げた方法よりは高く付くことがほとんどだが、掘り出し物が見つかったりすることもあるのでぜひ探してみよう。

 安く泊まる手段をいろいろと書きましたが、他にもいい方法があったらメールでお知らせ下さい。


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