'98日本ダービー観戦記 

1998.6.7

 先週は東京競馬場にオークスを見にいった。天皇賞・秋、安田記念、JC、フェブラリーS、NHKマイルCはすでに生観戦したことがあるので、あとダービーを見れば府中のG1全制覇である。そこで(かどうかはよくわからないが)、ダービーを府中で生観戦することにした。ダービーと有馬記念は国民的行事のようなものなので独特の雰囲気があり、それだけに観戦するにも苦労がする。広く収容人員の多い府中では唯一前売り入場券がなければ入場できない。

 無事前売り券を入手した私だが、前売りではあるが指定券ではないので席を確保する必要がある。そこで前の日から競馬場前に泊まりがけで確保することになる。泊まり込みで競馬に行くのはこれが初めてだ(朝一ならあるが)。9時頃競馬場正門前にいくともうすでに先客が結構いく。私と同行した友人1名は新聞紙を床に敷いてガムテープで固定した。正門のほうも入り口が京王線の駅から直通の駅からの入り口(2階)と1階の入り口があるが駅直通の方は人が多いだろうから(この状況は府中本町のほうも同様だと思う)1階に陣取った。正門に陣取ったのはいい席が近いからである(本町だと1コーナーのほうからの入場になるし)。

 ダービーの前夜は寒い夜だった。だから用意していったセーターを着てシュラフ(寝袋)にくるまって寝た。そして朝7時半が開門時間である。

 そして開門。チケットをもぎってもらい入場すると同時に走り出した。入場するみんなが走り出すのだ。そして、2階席の椅子席をどうにか4席確保できた(えらい苦労したが、200mのハロン棒よりちょっとだけゴールよりのところを確保)。そして後から来た友人2人と合流。

 昼休みになると見慣れぬ光景が目に飛び込んできた。なんと障害コース(の一部)が観客に解放されたのだ。内馬場にいた観客が我先にと障害コースになだれ込み、見やすい場所を確保しようとする。私はその様子を早送りのVTR映像を見るように2階スタンドから眺めていた。障害コース、つまりダートコースのすぐ近くに観客を入れたため、午後はダートのレースは行われずレースはすべて芝コースで行われた。

 そしてこの日の第9レース東京優駿である。手拍子をする馬鹿が多いせいでファンファーレすら聞こえない。スタンド前発走の時ぐらい手拍子をやめろっつうの。馬が入れ込むじゃないか。彼らはそんなにレースの邪魔をしてまで騒ぎたいのだろうか。フラッシュ撮影をしている奴はさらに不愉快だ。

 今年のダービーは1番人気スペシャルウィーク(武豊)2番人気キングヘイロー(福永祐一)そして皐月賞馬セイウンスカイ(横山典弘)が3番人気で、この3頭の3強対決という前評判だった。私の買い目はSウィークとセイウンスカイの馬連1点(予想のページからここに飛んできた人はおわかりだろうが)。

レースのほうは2番人気キングヘイローがなんと鼻を切る。2番手はセイウンスカイ。ダービーは独特の雰囲気がありベテラン騎手でなければ難しいといわれる。いくら馬自体強いからといってキングヘイローの騎手福永祐一はダービー初騎乗で21歳であり、やりづらかったと思う。だから比較的楽に乗れる「逃げ」という戦法をとったのかもしれない。しかし、逃げたキングヘイローは最後にバテていった。

 最後の直線では一番人気スペシャルウィークが抜け出す。これは強い。楽に先頭を走り武豊は8大競走全制覇目前である。そして2番手にはセイウンスカイが粘っている。ゴール板の50m前では私の馬券は的中である。そのままそのままそのままそのままああああぁぁ。しかしゴールでは私の馬券は有価証券から紙屑と姿を変えた。スペシャルウィークは楽勝だったものの、なんと伏兵ボールドエンペラーが2着に突っ込んできたのだ。しかもダイワスペリアーまで突っ込んでくる。結果は以下の通り。

1着スペシャルウィーク
2着ボールドエンペラー
3着ダイワスペリアー 
4着セイウンスカイ
5着ミツルリュウホウ 


14着キングヘイロー

 2着3着が伏兵。1番人気が勝ったのに万馬券である。

 これで武豊は8大競走全制覇である。ユタカコールに交じって客席からは「おめでと〜う」という叫び声が発せられる。そして表彰式。なんとプレゼンターはキムタクである(ほんまに)。JRAがイメージキャラとしてキムタクというJRAのイメージとはどう考えても結びつかないキャラクターを使うこと自体不評であるが、ダービーのプレゼンターがキムタクとは拍子抜けである。大体キムタク本人も仏頂面をしていたように見えたし、あまり乗り気でなかったのだろう。

 初めてのダービー、しかも初めての泊まりがけで陣取った競馬であった。眠くてしょうがないこともあったが、ダービーはやはり雰囲気が違うので生で見たというのは貴重な経験だった。天皇賞やJC以上にレース前&レース後の興奮が凄いし、レース後の余韻もすばらしい。競馬というものを通して伝わってくる感動が違うのである。しかも、外で寝たり開門ダッシュで席取りと体力も必要なので、是非若いうちに見にいくことをお奨めする(笑)指定券を取る(抽選で当てる)というのが一番いいだろうが。


競馬のお時間へ