’11 中山グランドジャンプ観戦記

2011年7月2日

このレースの予想

 今年は3/11に発生した東日本大震災の影響で春の中山開催が中止になってしまった。4月に予定されていた中山グランドジャンプも行なわれておらず代替開催は未定との発表だった。中山グランドジャンプがどうなるかがかなり心配だったが、時期はずれたものの無事中山競馬場で開催されるので安心した。福島競馬場が甚大な被害を受けて開催できないので、夏の福島の代替開催が中山で行なわれ、その中で中山グランドジャンプが行なわれることとなったのだ。
 もちろん春のあの時期に実施するのがベストではあるが、かと言って東京や阪神等で代替になったり中止になったりというのも困る。中山グランドジャンプ(&中山大障害)は単に「J・GI」として実施されればいいのではなく、中山競馬場の襷コースを使ってやってこそ意味があるのだ。日本一のレベルの高い障害コースで行なわれるからこそ日本一の障害レースであり得るというわけだ。

 今年のグランドジャンプは内馬場の大生垣の前で観戦した。内馬場の大障害前では日本一難易度の高い名物障害を馬達が飛び越えていく姿を間近で観ることができて迫力があるのだが、反面ターフビジョンを観れないのでレース途中の様子がわからない。そこで、iPadとワンセグチューナーを持って行ってテレビ東京の競馬中継を見ながら観戦である。昨年暮れの大障害の時からこの方法で観ているのだが、大障害の時は千葉テレビだった。今回はメイン競走として行なわれるので、地上波のテレビ中継はテレビ東京である。

 さて、年に二度しか使われないJ・GI用ファンファーレが鳴り響きスタートである。
 まず、スタートしてテイエムトッパズレがハナに行く。他に行きそうな馬もいないしこの馬がハナを切ると予想していたのだが、最初のコーナーを曲がるとメジロラフィキがコーナーワークで先頭に立ち、そのまま差を開いてレースを引っ張っていく。テイエムトッパズレは3〜4番手あたりに付ける。

 半周ほどして襷コース入り口の谷に入り馬群が吸い込まれるようにして私の視界から消え、そして再び姿を現す。ポツンと1頭だけ白い帽子のメジロラフィキが見えた。かなり差を付けて逃げているらしい。その後後続の馬も谷を登ってきて最初の大障害である大竹柵を超えていく。私は大生垣側で見ていたのだが、馬達が竹柵を跳び越えると「ボコッ」という音がはっきりと聞こえてくる。全馬無事に飛越。全馬の飛越が終わると拍手が沸き起こる。

 そして逆回りに半周してきて大生垣。メジロラフィキが依然として逃げているが2馬身ぐらい後ろに我が本命のゴーカイ産駒オープンガーデンが付けている。目の前で各馬が大生垣を飛越。こちらも全馬無事飛越を終えた。そして、再び拍手が沸き起こる。大生垣前で見ていた人たちは急いでモニターの方まで向かったが、私はiPadで中継を見ながらゆっくりとモニターの方まで移動。いや、モニターに向かう前に向正面でのレースぶりを生で観戦した。バランスを崩した馬はいるが、ここまで落馬した馬は居ないようだ。

 向正面での攻防が終わるとモニターの前に移動。メジロラフィキがしぶとく逃げているが、そこにメルシーエイタイムが迫っていってるようだ。しかし、芝コースへの置障害である最終障害でアクシデントが。メジロラフィキが落馬をした様だ。変わってメルシーエイタイムが先頭に立つと、マイネルネオスが並びかけてくる。ゴール前はその2頭のマッチレース。ゴール前でマイネルネオスが差し切ってGI初制覇。メルシーエイタイムは昨年の不調は脱したもののまたもや惜敗。

 最終障害で落馬したメジロラフィキだが、その後VTRで見たところかなり派手な落馬をしていた。障害を飛んで着地する時に勢い余って頭から落馬。モニターで見ていた時はどんな状態の落馬なのかがはっきりわからなかったが、後で見たらかなり痛々しい落馬だった。障害に落馬は付き物とは言え、これを目の前で見た人はかなり衝撃だろう。JRAのホームページでの公式発表は「第3頚椎骨折 ※死亡」。予後不良ではない、「死亡」である。つまり安楽死させるまでもなく死亡したということだ。かなり痛々しい。かつては「障害と言えばメジロ」と言われていたが、先日メジロ商事&メジロ牧場は解散することとなり、今回のメジロラフィキは別の馬主の馬として走っていた。一時代の終わりなのだが、悲しい幕の閉じ方となってしまった。また、ほぼ同時刻に4コーナー辺りでスズカスペンサーも競走中止。予後不良となる重症だった。両馬のご冥福をお祈りします。

 悲しい出来事もあったが、初GI制覇となる柴田大知騎手のインタビューは感動ものだった。先日14年ぶりに重賞を制覇したが、ここでGIも勝ってGIジョッキーとなった。減量時代はそこそこ乗れていて重賞も勝ったのだが、一時期は勝つどころか乗鞍すらあまりない時期もあった。2004年に障害も乗るようになって、ここでついに悲願のGI制覇である。インタビューで「一時はジョッキーはどうかなと思ったのですが、辞めないでよかったです。」その言語の後に感極まって泣き出した。最後の直線は気迫の追いだった。まさに悲願のGI制覇だった。今年は平地でも最後まで諦めずに追って活躍しているし、今後も昨年までの低迷が嘘の様な活躍していく騎手だと思う。本当におめでとう!


2011年 7月 2日(土) 3回中山5日 天候 : 曇  馬場状態 : 良
【11R】 第13回中山グランドジャンプ
障害3歳以上・オープン・J・G1(定量) (国際) 芝 4260m 12頭立
馬名性齢騎手斤量タイム着差通過順上3F単勝体重増減調教師賞金
68 マイネルネオス牡8柴田大知63.54.51.606-04-04-04  24.4444-16(美)稲葉隆一7000
812メルシーエイタイム牡9横山義行63.54.51.81 1/403-03-02-02  59.7476 -8(栗)武宏平2800
811 タカラボス牡7大庭和弥63.54.53.7大差09-08-09-06  830.7428 0(美)高橋義博1800
79オープンガーデン牡7江田勇亮63.54.53.8 1/202-02-02-03  12.6488 +8(美)菊沢隆徳1100
33テイエムトッパズレ牡8佐久間寛63.54.55.1804-04-05-05  35.8446 -8(栗)鹿戸明700
67 エーシンダードマン牡7西谷誠63.54.55.3 3/408-09-07-07  47.4504 +2(栗)大久保龍 
22 エルジャンクションセ5林満明63.54.58.4大差07-07-07-08 1180.9456 0(栗)中竹和也 
56 ナドレ牝5穂苅寿彦61.55.03.4大差10-09-10-09 1053.9488+10(美)戸田博文 
710 エヒテンヴィーゼ牡8金子光希63.55.03.5クビ11-11-11-10 12217.3456 -4(美)石毛善彦 
1044 プラテアードセ7石神深一63.55.05.9大差12-12-12-11  953.1536 +4(美)藤沢和雄 
55 スズカスペンサー牡6北沢伸也63.5------04-04-05  613.1448 0(栗)橋田満 
11 メジロラフィキセ6五十嵐雄63.5------01-01-01-01  714.9484 -4(美)菅原泰夫 

LAP  (データ無し)
通過 マイル:106.3  上り 53.0-40.1  平均 1F:13.69 / 3F:41.07
単勝  8 \440
複勝  8 \200 / 12 \310 / 11 \610
枠連  6-8 \1200 (5)
馬連  08-12 \2070 (9)
ワイド 08-12 \820 (9)/ 08-11 \1680 (20)/ 11-12 \3200 (33)
馬単  08-12 \3640 (14)
3連複 08-11-12 \15850 (48/220)
3連単 08-12-11 \69140 (187/1320)



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