'98 東京障害特別 観戦記

98年2月14日

 欅と並んで府中名物である襷。泣いても笑っても今日で見納めである。馬券売場を作るために今回をもって襷コースは廃止。内馬場にこれ以上売場を作る必要性があるとは思えず、襷コース廃止には納得がいかない。レース自体廃止のようではないようなので、秋からは置き障害等の他の手段で障害特別が行われるのだろうが、この特別はコース自体の持つ特異性(右回りが左に変わるなど)も魅力の一つであるので競馬、特に障害競走の持つ多様性を奪うものなのではないだろうか。

 愚痴は他のページにも書いたのでこれぐらいにして、レースの様子を書こう。我々は最後の襷コースを内馬場から見ていた。朝は大して人がいなかったのだが障害特別の前になると内馬場にも大勢の人が集まって来た。そして、我々は襷コースの3段飛びの障害の丁度真ん中の障害の前に陣取る。ノーザンレインボーがかなり人気を集めていたが私の馬券からは外し、10歳馬ケイティタイガーが本命である(詳しくは予想のページ参照)。本馬場入場が始まると例によって襷コースを横切る歩行者通路が通行止めとなる。

 そしてスタートである。内馬場の障害の前にいたため詳しい展開はわからないので、目の前で起きたことを中心に書こう。各馬3コーナーから襷コースに入ってくる。そして襷にはいって一つ目の障害を飛越。2番目の障害の前で見ていると障害物の向こうから馬が姿を現し飛び出してくるようだ。そして2つ目の障害。ボコッ。馬が障害にぶつかる音だ。そして目の前で2頭落馬。障害につまづいたためらしい。一番人気ノーザンレインボーに私も馬券を買っていたテンジンショウグンである。

 目の前を馬が走り出すと、障害の前からスタンド側のほうに場所&視線を移動。無論ゴール前を見るためである。私の目の前で落馬した2頭以外は最後の障害まで無事に飛越を終える。そして我が本命ケイティタイガーが抜け出す。昨秋の京都・中山両大障害では9歳という年齢から軽視してしまい切っていたら連対した馬が、10歳の今年もまだまだやってくれる。2桁年齢馬の重賞制覇は私の記憶だと'94関屋記念(だったかな?)のハシノケンシロウ以来の快挙である(と書いたら実は私の記憶違いだったらしい:一体いつ以来だろう)。しかし、2着に来たのはメジロシンドウ。ノーマークだった。昨年のクラシックで復活をアピールしたメジロ軍団が「障害はメジロ」と言われた過去の栄光が再び振りかざしたように2着を確保。そして3着がチアズロッキー。私の予想は見事に1着3着(笑)結果は以下の通り。

着順 馬番 記号 馬名 負担
重量
騎手 タイム 着差 馬体重 調教師
1 4 4 ケイティタイガー  10 61.5kg 嘉堂信雄 3:39.7   476Kg 吉岡八郎
2 2 2 メジロシンドウ   7 55.0kg 鈴木寿 3:39.7 ハナ 480Kg 尾形充弘
3 5 5 チアズロッキー   7 58.0kg 三浦堅治 3:39.9 1 1/4馬身 456Kg 鈴木勝美
4 6 7 (抽) ニケスピリット   5 56.0kg 山本康志 3:40.0 3/4馬身 454Kg 浅見秀一
5 8 12 (市) フジヤマリジェント 6 57.0kg 林満明 3:41.0 6馬身 464Kg 坪憲章
6 5 6 メジロバルカン   6 56.0kg 瀬古正明 3:43.8 大差 482Kg 浅見秀一
7 1 1 (地) ホクトタイクーン  8 57.0kg 田中剛 3:45.2 9馬身 488Kg 高市圭二
8 3 3 チトセゼット    せん 8 55.0kg 田口大二郎 3:45.3 3/4馬身 448Kg 森安弘昭
9 7 10 ポートフリー    6 56.0kg 出津孝一 3:46.1 5馬身 486Kg 岩元市三
10 6 8 (父) シャンパンファイト 8 58.0kg 栗原洋一 3:46.2 1/2馬身 512Kg 川村禎彦
中止 7 9 テンジンショウグン 9 57.0kg 浜野谷憲尚   490Kg 矢野照正
中止 8 11 ノーザンレインボー 9 60.0kg 大江原隆   468Kg 鈴木康弘

 これで襷コースは見納めであると思うと非常に感慨深い。目の前で障害を見た迫力も手伝ってか見事なレースであった。しかし、襷はこれで廃止である。馬券を外したことよりも、襷がなくなるということのほうが悔しいし寂しい。襷に替わる重賞用障害はまだ具体的にどのようなものかは分からないが、これに勝るぐらいの素晴らしいものであって欲しい。府中は、東京競馬場は日本一の競馬場なのだから。


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