富士Ｓといえば昔は荒れるレースだったのだが、近年は割と平穏に収まっている。そして今年からＧIIに格上げである。このことから考えられるのは「今年は堅く収まるんじゃないの」ということだが、前売り時点で単勝１番人気のオッズが５倍を超えていて単勝１倍台の馬が何頭もいるような大混戦である。この拮抗したメンバーでは、そもそも「ガチガチに堅い馬券」というものが売られていない。ここは無理に人気馬を狙う必要はないだろう。最終的にどの馬が１、２番人気になるかも読めないし。

　というわけで、人気の盲点になっている馬を狙ってみよう。本命はルメール騎手が騎乗するワーケアとする。ルメール騎手は富士Ｓで2015年から５年連続富士Ｓで連対中である。2015年といえばルメールがＪＲＡ所属騎手となった年だ。つまり、ＪＲＡ移籍後は毎年騎乗して連を外していないということである。このレースとの相性が非常に良い騎手が、あまり人気のない馬に乗っているのは美味しい。馬自体は1800m以上のレースしか経験がなく、２歳時は朝日杯ＦＳではなくホープフルＳを使ってきたことからも陣営は長距離路線で行こうとしたのだろうが、距離の壁を感じたのだろうか、今回マイルに挑戦してきた。デビュー以来手綱を取ってきたこともあるが、富士Ｓ巧者のルメールが騎乗するのだから勝負になるだろう。初マイルというのが気になるが、未知の魅力というものがある。秘められたマイル適性がここで開花することに期待しよう。

　対抗は昨年の２着馬レイエンダとする。昨年２着の割には人気になっておらず、人気の盲点となっている。昨年はスミヨン騎手の好騎乗もあったのだろうから過大評価はできないものの、馬券的には美味しい。

　その他の馬にも手広く流そう。消去法で、久しぶりに中央の舞台に戻ってきたが年齢的に衰えを隠せないブラックバゴと、オープン入り後パッとせずＧIIでは厳しいと思われるモズダディーを除いた全ての馬を押さえておく。