ルナのひみつ


「あるひ、いつもみたいにがっこうへ いくと、そらから ねこの ぬいぐるみが おちて きたの。
ぬいぐるみが ふってくるなんて、どう なってるの? なんだか ふしぎね。」

(from 講談社のテレビ絵本 美少女戦士セーラームーン1 「わたしがせんし?」)


てな感じで始まりました、実写版セーラームーン。
現世(=実写版の世界)では何の因果かぬいぐるみにされている黒猫ルナ。
そりゃ本物の猫だったらちょっと怖いでしょとか本物の猫を染色して三日月貼っつけたら動物愛護団体から訴えられるでしょとか、かといって全編3DCGでやったらデジタル処理班が泣くとか、そういう大人の事情のもとに生み出されたのが、ぬいぐるみバージョンなのです。
(でも初登場時のアルテミスは、妙にツルツルしててA○BOっぽかったなぁ。いっそAI○Oに着ぐるみを着せて・・・)


さて独自の調査(=額の三日月の反応)によって月野うさぎが戦士であることを見抜いたルナは、さっそく彼女をスカウトすべく立ち上がったのだった!
しかしなんといってもぬいぐるみの身。正面からアタックしたらAIB○・・・いやあんまり何度も他社の商品名を口にするのは悪いので、プ○モプエルの新種と勘違いされたんじゃ、いつまで経ってもこの物語は始まらない。
「最初の出会いというものは、やっぱりインパクトが大事よね」
どこからそんな考えを仕入れたんだルナ。

うさぎは毎朝8時25分ごろ(遅刻ギリギリ)に十番中学に向かう陸橋の上を通ることが独自の調査(これは単なる地道な定点調査)で判明している。
しかし他の生徒に見つかったのでは、当初の目的は果せない。ではどうするか。

結論:奇襲すべし。

近くにある街路樹のてっぺんまで登り、空へ向かってハイジャンプ!(この驚異的なジャンプ力こそ、ルナのひみつ:その1)
そしてそこから九天直下うさぎの頭にダイレクトアタック。緻密な軌道計算による、完璧な作戦である。

さぁ、向こうからうさぎが走ってきた。
「今だわ!」
レッツハイジャンプ!ぴょーん。

「うさぎちゃーん!」
「あ、なるちゃーん。おはよー!」
後方から来たなるちゃんに気づき、うさぎはぴたっと立ち止まって振り向いた。
当然目測が狂い、うさぎを超えて一回地面でポヨンと跳ねたあと、ルナは陸橋の下の道路に落下・・・。

ぽでっ

そこはクロネコヤ○トのトラックの上。
「うーん、失敗しちゃったわね。
仕方ないわね、また明日にしてちょっと休もっと」
ルナが寝ている間に(ぬいぐるみでも寝るのだ!ルナのひみつ:その2)、ゆるゆると動き出したトラック。
荷台の横に「東京←→北海道 超速宅急便」と書かれていたことには、当然気づいていない。

「あ〜・・・ひどい目にあった」
ちなみに帰りは千歳空港から飛行機に乗りました。翼の上でもよかったんだけど、寒そうだからという理由で貨物室に不法侵入。実はそこも冷蔵庫なみに冷えていることをルナは知らなかった。
でもぬいぐるみなので、風邪は引かない(ルナのひみつ:その3)
しかし本物の猫だったらうまいホッケのひとつでも食べられたろうに、かわいそうなルナ。


その後も何度か失敗を繰り返した○日目、ルナはついにうさぎの捕捉に成功した!
「な、なにこれ、とれないよぉ〜」
ド○えもんなみのペタンハンド(ルナのひみつ:その4)を駆使して、うさぎの頭に引っ付くルナ。
ここで会ったが百年目、もう北海道に行ったり子供に尻尾つかんで振り回されたりカラスに自慢のボディを突付かれるのはまっぴらだ。


・・・こうして、うさぎとの邂逅を果したルナ。
この後戦士としての自覚ナッシングのうさぎに振り回されるわゾイサイトに縛られるわと、さらに散々な目に遭う運命にあることは、まだルナは知らなかった。


それにしても、何でタキシード仮面はルナがしゃべってるのを見てもなんとも思わないんですかね?(ルナのひみつ:その5?)

(終)
'04.09.26 by かとりーぬ

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