Interlude

目の前で凛がフリーズしている。

ここまでは計画通りだ。

後はセイバーをどうするかだが・・・。

まあ、この分だと気がつかないだろう。

私は、セイバーが、イリヤに気をとられている隙に、離れに向かう。

そこには、彼女が監禁されているはずだ。

彼女はこの戦いの鍵。

何があっても救い出さなければ・・・・

Interlude out

 

 

 

私は、私はオタクじゃない!

漫画を読んでるのだって、ゲームを読んでるのだって、さらに言うと、どうじ・・・を書いてるのだって、知識を深め、真理に近づくためよ!

断じて、美少年サイコーとか、美少女モエーとかが理由じゃないのよ!

ないったらないの!

そう私は、心の中で自分に言い聞かせていた。

しかし・・・。

あ〜、そういえば、種デス終わったらBLOOD+が始まるのよね〜。

どんなのなんだろ。要チェックね。

早くも欲求に負け始める私。

「負けないで私!このままでは、取り返しのつかないところまで落ちちゃうわよ!」

と理性が叫ぶ。

しかし、

「はっ!まだ戻れる気でいるの?おめでたい奴ね」

本能が批判する。

「なにが言いたいの?」

理性が食いつく。

だめ!そこで食いついちゃ本能の思う壺よ!

私は理性に忠告するも、時すでに遅しというか、ぶっちゃけ、言葉が通じるはずもなく・・・。

だって、自分の理性だし。

「オタクの道ってのはね。昇るんじゃない。堕ちるって言うのよ」

本能が、これで分かるでしょとばかりに言う。

「それがどうしたって言うのよ」

理性は分かっていない様子。

よくやった理性!

意味を汲み取れない。その読解力がとってもステキ。

これで理性が負けることは・・・。

「分からないのなら教えてあげる。昇ってのは、引き返すことができるのよ。でもね。堕ちるって言うのは引き返せないの。いったん堕ちたら、終わりの無い暗闇へ堕ち続けるしかないのよ!」

本能よ。なぜあなたはそんなに狡猾なの?

理性の清さを見習いなさい!

というか理性反論しなさい。

「そ、そうだったの・・・。じゃ、じゃあ私はいったい何をしたら・・・」

もうあきらめるのかよ!

お願い!あきらめないで、あなたならやれる!

「人は、それぞれ役目を持って生まれる」

突然、演説を始める本能。

本能のくせに演説なんて、さすが私の本能!

って、褒めてる場合じゃない!

「人類は、その遺伝子によって役割を決めるべきなのだ」

あなたは人類じゃないでしょ!

私の本能でしょ!?

精神状態を分かりやすくするために、

擬似的人格を与えられたに過ぎないんでしょ!?

「よって私はここで、あなたにデスティニープランをお勧めする!」

するなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!

「そのプラン受けさせてもらいます」

理性も受けるなぁぁぁ!

というか私の理性のくせにしおらし過ぎじゃぁぁぁ!!!!

「ではまず、あなたの特性を調べるためこの牛乳を鼻から吸って・・・」

関係ないでしょぉぉぉぉ!!!!

そして、理性もそれに従わない!(脳内動画をリアルライブ中継中)

という感じに着々と、本能が理性を侵食して・・・。

もうだめだ。

そう、私(プライド)が感じたとき、

「ランランル〜。ランランルー。ハイみんなも一緒にランランルー」

そんな声が聞こえ、私は現実に引き戻された。

よくやった声の主!

 

 

 

 

 

「は!?」

私は今まで何をやっていたんだろう?

たしか、衛宮邸に入って、居間に入ったあと、誰かに何かを見せられて・・・。

だめだ!思い出せない・・・。

まっ、いっか。

思い出せないということは、たいしたこと無いってことだし。

それよりも今、大事なことは・・・。

「セイバー。何があったの?イリヤがすごく怯えてるけど」

体を小刻みに震わせ、セイバーに支えられるように立っているイリヤ。

「リン。戻ってきたのですね」

「え?ええ・・・」

何か言葉に違和感を感じるんだけど・・・。

「それが・・・。この世界のシロウが戻ってくるそうなんです」

「ふぅ〜ん。士郎がねぇ・・・って!だめじゃない!見つかる前に士郎を連れて出ないと!」

「私もそう思いますが・・・・。もう手遅れのようです」

ガラー。ピシャ!

どたどたどたどた

足音が近づいてくる

「ひぃぃぃぃぃ」

怯えるイリヤ。

イリヤ、あなたに何があったの!?

と、そうこうしているうちに、

「ただいま〜。僕のお嫁さんたち〜。そしてイリヤたんおとなしくしてたか〜い」

この世界の衛宮士郎が現れた。

「って!遠坂がいる!?それにセイバーも!?」

「お久しぶりです。シロウ」

唖然としながらもこちらのセイバーのふりをするセイバー。

ナイス!

「あ、え、せ、セイバー。いつこっちに?」

しどろもどろする士郎。

「昨晩こちらに戻り、リンの自宅に泊まらせていただいていました」

「そ、そうなんだ」

「それにしても、この部屋はいったいなんですか?」

「え!?あ、こ、これは・・・」

冷たい声でセイバーに言われ、慌てる士郎。

あなた。私が依然、同じようなことを、言ったときはまったく動揺しなかったでしょ?

どういうことよ!

「いえない理由でもあるのですか?あなたには失望しました」

「いや!これには深いわけが・・・。だから、だから見捨てないで!」

目の前で繰り広げられる光景は、まさに、妻に浮気が見つかって修羅場を迎えた家庭!

「わかりました。ならば、ここの部屋にあるものを全て処分してください。話はそれからです」

「な、なら私がもらってあげるわよ」

「リン?」

にっこり笑いながら言うセイバー。

こわ!

「そ、それはできない・・・」

動揺しながらも意固地に断る士郎。

当たり前だ。私だってここにあるもの全部捨てる自信ないんだから。

まあ、それでも士郎が説得されるのは時間の問題ね。

よかったよかった。

ってあれ?何か大事なことを忘れてるような・・・。

「なぜですか?それとも、私よりもここにある物たちのほうが大事であると?」

「まさしく!その通りだよセイバー」

「「「アーチャー!?」」」

さっきから見ないと思ったら・・・。

「あんたなにやってたのよ!!」

「リン!気をつけてください!このアーチャーは我々の知っているアーチャーではありません!」

え!?どういうこと?

「よく気がついたな。さすが、セイバーだ。そう、私は、この衛宮士郎を立派な○○にするために未来からやってきたエミヤだ!」

自己紹介をするアーチャー改めエミヤ。

「答えよ士郎!流派!!エミヤ流は!!」

何かを叫びだすエミヤ。

は!?とした顔になる士郎。

それにしても、どこかで聞いたことあるような・・・・。

「オタクの風よ!」

「全身!! 痙攣!!狂喜乱舞!!」

こ、これはぁぁぁっぁ!!!!

「「「見ろ!我々は2Dに萌えているぅぅぅぅ!!!」」」

き、決まった。

「・・・・リン。あなたがそういう人というのはもう分かりました。だから、これ以上、醜態を私の前で晒さないよう、目の前から消えてください」

セイバーは、こいつはもうだめだという目で見てきた。

「いや、これは・・・ノリ、そうノリなのよ!だから、だから見捨てないでぇぇぇ」

さっき誰かが言ったようなセリフを吐く私。

「ふぅ。まあいいでしょう。あなたは戦力になりますし。今回までは見逃してあげましょう」

ありがとうセイバー。あなたなら優しい王様になれるわ。

「次は無いですけどね」

きっちりと釘をさす。

抜かりは無いのね・・・。

「それで、シロウは、私よりもこの周りにあるものを選ぶということですね?」

セイバーは、これが最後通告とばかりに士郎に告げる。

その言葉に対し、

「ああ、これは俺が選んだ道なんだ。もう引き返すことはできない」

苦虫を噛み潰した様な表情で、士郎は答えた。

「そうですか。それならば仕方がありません」

セイバーは、チャッと不可視の剣を構えた。

「せ、セイバー、何も戦うことはないんじゃ・・・」

「何を甘いことを。半年のうちに、あなたも随分丸くなられたのですね」

答えるセイバーの目の輝きがおかしい。

「お、怒ってるの?」

「怒ってなどいません。ただ、あの姿で、あの声で、私よりもあのような物を選ぶと言ったものに対し、鉄槌を下すだけです」

それを、怒ってると言うのよセイバー・・・・。

「そうか。ならば私が相手をしよう」

アーチャー両手に白い布と黒い布を持ち構える。

俗に言う体操着である。

「ちょ、ちょっと待ってくれ!俺はセイバーと戦いたくなんか無い」

士郎が、アーチャーを止めようとする。

「くどいぞ。お前は、こうなることも考慮したうえで、彼女と敵対する道を選んだ。それが分からぬお前ではないだろ」

こ、こいつ、地味に正論っぽいこというわね。

こんな理由じゃなかったら、もっといいセリフだったはずなのにね・・・。

「わかった・・・。俺も決心がついた」

「ふ、そうか。ならばお前は、イリヤと戦れ。セイバーの相手は私がしよう」

英霊は英霊同士。人間は人間同士戦うってことね。

「って、ちょっと待って!?私は!?私の相手はいないの!?」

「君の相手はこいつがする」

アーチャーは、そういうと、手をかざし、何か呪文のようなものを唱え、一瞬なんともいえない力が膨れ上がり、気がつくとそこには猫が一匹存在していた。

「こいつの名はネコアルク。真祖の姫君と同等かそれ以上の力を持つと言われている」

ちょっと待てぃ!

真祖の姫と同等かそれ以上!?それの相手をしろと?ありえないでしょ!

というかこいつなんて化け物を呼び出してるのよ!

「頼みましたよ。リン」

「分かってるだろうけど、この戦い負けられないわよリン」

「ちょ、ちょっと待って!」

どう考えても戦う相手がおかしい。

敵の強さとこっちの強さを見比べたら、ネコアルクと戦うのはセイバーじゃないの!?ねぇ!

「では行きます」

「シロウ覚悟してね」

気合十分とばかりに飛び出す二人。

イリヤの場合は気合じゃないのかもしれないけど・・・。

「にゃんにゃんにゃー」

ビィィィィィィー。

二人が飛び出していくのを呆然と見ていた私に、ネコアルクのほうからビームが、飛んできた。

私はそれに間一髪で気づき、紙一重でかわせた。

「あ、あぶな〜。人がよそ見してるところを狙うなんて卑怯よ!」

「にゃぁ?」

何言ってるのか分からないとばかりに首をかしげるネコアルク。

ふん。私は、人間の美少女にしか興味は無いの。

そんなことされてもまったく萌えないわ。

「一発で終わらせるわ」

そういうと私はメドローアの体勢に入った。

「にゃにゃー!」

ネコアルクは私が何かしようとしているのを見ると、短い手足で攻撃を仕掛けてきた。

「く!」

私はメドローアの体制を崩し、攻撃をガードしようとする。

しかし、

「え!?」

ドゴォォォォン!!!!

「きゃぁぁぁぁっぁああああ」

短い手足からは、想像もできないほどの力に私は耐えられず吹き飛ばされてしまった。

「ち、くっ!抜かったわ。あんな見た目だけど力は真祖と同等なのよね」

それにしてもどうしたものだろう。

真祖と同じ力を持つということは、耐久力・再生能力ともに桁外れに違いない。

その問題両方を突破できるのは、メドローア級以上の魔術。

しかし、あれ以上の呪文を唱えるにはそれ相応のリスクと発動までの時間がかかる。

あのネコアルクが、呪文を完成させる時間を与えてくれるとも思えないし。

このままではジリ貧決定だろう。

とまあ、冷静に分析してはいるが、さっきから攻撃の荒らし。

ぶっちゃけ、落ち着いて分析しながら攻撃を避けている、私の身体能力は、どうなってるんだろ?

と思ってたらだんだん息切れしてきた。

ど、どうしよう!本当にこのままじゃ殺られる。

と、突然、ネコアルクの攻撃が停止する。

いったいどうしたの?

と気を抜いた瞬間。

地面から無数のネコアルク?がチェーンのように重なり合い。

私に絡み付いてきた・・・・。

 

後書き

今回の話は嵐の前というような話でした(少し戦闘も入りましたが・・・)。

次回からは戦闘メインの話になり、一気に終盤戦に突入する予定です。

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