夢を見た。
子供の頃、大災害のショックから立ち直れず、ご飯もロクに食べられない時期があった。
何日も食事をしないことすら、しょっちゅうだった日々。
しかし、そんなある日、俺は出会った。究極のメニューと言うものに。
それは今までの俺の常識を覆すものだった。
料理なんて、良い材料さえ使えば、どうにでもなる。
食べ物なんて腹に入れば全て同じだ。料理で救えるものなど何もない。
そんな風に考えていた俺が、一瞬にして虜にされた。
それほどのものだった。そして俺は誓った。
俺を立ち直らせたその料理を越えるものを作ると。
究極の料理人を目指すことを。
Interlude
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
体全体が揺れるのを感じ、目がさめた。
周りを見回し、目に映るのは、見覚えのないソファーに、見覚えのない凄く分厚い洋書の入った、本棚。
なんとなく、本棚にあった洋書を手にとり、ぱらぱらと、めくって見る。
すると、バサバサッと十数枚のA4サイズの紙が落ちてきた。
それらを、拾って中身を見てみると。
そこには、ツインテールの女の子と、金髪の女の子が・・・・自主規制。
一目で、俺はそれが何かと言う事を悟り、無言で懐にいれた。
それにしてもここは何処だろう?
昨日は確かセイバーと共に、ギルガメッシュと言峰を倒して、
聖杯を破壊してそれから・・・・
だめだ、思い出せない。二人でどこかに飛ばされたような気がするが、
それ以降がまったく記憶にない・・・・。
「ぅえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!?」
突如、扉の向こうから、何処かで聞いた事がある様な雄叫びが、聞こえてきた。
その声を聞いた瞬間、
頭の中が真っ白になり、体中の筋肉が萎縮してしまい動けなくなった。
逆らってはいけないと、遺伝子レベルで書き込まれているそんな気さえする。
いや実際に書き込まれているのだろう。
あんな雄叫びを、あげれる奴なんて、規格外の化け物に違いない。
俺は究極の選択を迫られた。
俺の目の前には、扉がある。
それを開ければ、この状況を理解できるだろう。
しかし、同時にそれは、あの雄叫びの主と鉢合わせする事を意味する。
扉の反対側には窓がある。そこから逃げることも不可能ではないだろう。
だが、あの怪物?を恐れて、このままここから逃げるというのは、とても情けないことだ。
それに、ここにはセイバーがいるはず。セイバーを見捨てて逃げるなんて・・・。
俺の心は、扉を開ける事を決意した。
そして、体は・・・・・正直者でした。
自分の意思とは反対に、俺の体は、扉とは反対の窓を開け、飛び出していた。
どんなに強い意思を持とうが、人間は、生存本能には逆らえないらしい。
ごめんセイバー。やっぱり俺、まだ死ねないんだ。
この、この懐にある物をじっくり読むまでは・・・・。
そして、俺は自分の家へ戻るべく、とにかく走り出した。
それが、絶望への扉を開く事になると走らずに・・・。
Interlude out
「・・・・・ぇぇぇ!!!!!」
ふぅ。よく叫んだ。こんなに叫んでも何処からも文句が出ない。
近所に人が住んでいなくて、本当に良かった。
「近所に家が在ったとしても、結界を張ってるのだから、音は漏れないと思うが・・・・」
例によってアーチャーの突込みが入る。
「そんな事気にするなんて心の贅肉よ」
あ、久々に言ったわね。この言葉。
やっぱりオリジナルの言葉はしっくりくるわ。
「オリジナルなのはいいが、心に贅肉をつけすぎて、胸に行かないのは・・・・」
「シャラップ!!!!」
くぃ、ドカーン!!!!
「ブゴォ!!?」
人が良い気分だったのをぶち壊してくれたお礼に、口の中に宝石をねじ込んで爆破してやった。
セイバーはと言うと、アーチャーの頭が爆破されるのを、呆れて見ていた。
それにしてもこいつらエミヤは、胸にこだわりすぎだ。
そんなに胸が小さいのはいけないのかって感じだ。
エミヤと言えば、向こうの部屋で寝ている士郎をそろそろ起こさないと。
このままじゃ全然話が進まないわ。
「セイバー。ちょっと士郎を起こしてきてくれない?」
「あ、はい。わかりました」
私が起こしに行ってあげても、よかったんだけど。
また士郎が下手な事口走って、昨日と同じ事になったら、目も当てられない。
それに、士郎もセイバーに起こしてもらった方がいいでしょ。
・・・・・・。待つこと数十秒。
だったったったったった。バタン!
「リン!士郎が、士郎がいません!!!!!」
衛宮士郎:行方不明。
なんで私の計画通りに事が進まないんだろう・・・・。
一回、世界を絞めてやろうかしら?