「ん~んんん。んん~んんんん」
ん~んん、唸るイリヤ。
な~んか、白髪の少女が縄で縛られてるってのを見てると、ゾクゾクするわね。
こ、このまま、お持ち帰りしたい・・・。
「凛・・・」
「リン、あなた・・・・」
アーチャーとセイバーが私を汚れたものを見る目で見つめている。
「そ、そんな、汚れたものを見る目で私を見るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ」
わ、私は汚れてなんかいないわ。ただちょっと女の子が好きなごく普通の女の子なんだから!!!
「じ~・・・・」
イリヤからも視線を感じる。
小娘の分際で!生意気なんだよ!視線で攻撃などぉ!(西川声で)
と思ったけど、何故だろう?
彼女の視線からは、少女特有の視線特有の快感が感じられない。
むしろ自分より年上!?って思うような感じがしてならない・・・。
まぁいいか。見た目は若いんだし。
ということでこのままお持ち帰りする。
「ちょっと待てぇい!!!!」
アーチャーが私を引き止める。
何よ?私の邪魔をする気?
「何故に普通にそのままつれて帰ろうとしてるんだ君は!!!」
「かわいいから」
「ぶぁかか!!君はぁぁぁぁぁ!」
馬鹿とは何よ馬鹿とは。
普通ならここでぶん殴ってるでしょうけど、私は心が広いの。
だから我慢するわ。
「今君は、普通ならここでぶん殴ってるけど、私は心が広い。
だから我慢するとか思ってただろ!正直に、イリヤで両手がふさがっていて殴れなかったと認めろ!」
なによ。心の中で思うくらい良いでしょ。むしろ、心の中までのぞき見るあんたのほうがおかしいと思うわよ。
「キ・ミ・が!顔に出しすぎなんだ!」
「いつ私が顔に出したって言うのよ!」
「い・ま・だ」
アーチャーは、聞き分けの無い子に諭すように言ってきた。
「と言うかな。涎たらしながら、ニヤけて、血管浮き上がらせている今の君が私には恐ろしくて、たまらないんだが・・・」
「どこの変質者よ!私がそんなことやってるわけ・・・」
そう言い終わるか終わらないかの時に、私の目の前に鏡が現れた。
そこには、締まりのない顔で涎をたらし、こめかみをぴくぴく痙攣させた顔が、映っていた。
それは紛れもなく、私の顔だった。
「・・・・・・・・」
さすがに、さすがの私でも、事実を認めざる終えなかった・・・・。
Interlude
リンが目の前で、落ち込んでる。
まあ、あんな自分の姿を見たのだから、仕方がないといえば、仕方がないのですが・・・。
っと、そんなことよりもイリヤを開放してあげないと。
このまま、リンに任せておくと、いつまで経っても、話が先に進みません。
たったったった
私は放心しているリンに近づき。
パシ
イリヤを掠め取った。
ビリビリビリ
「ぷふぁ~」
「イリヤ大丈夫ですか?」
私は、イリヤの口をふさいでいたものを外し、体を縛っているロープを外しながら言った。
「大丈夫なわけないでしょ!!!!!口をふさがれてロープでぐるぐる巻きにされて、さらにたんすの引き出しにつめられるなんて!!!」
いきなり激昂した。
「そ、それもそうですね・・・」
あれで大丈夫と言ってたらイリヤの頭がおかしくなった証拠ですね。
「まあ、それは置いておいて」
置いていいのでしょうか?
「セイバー。あなたまで、戻って来てるなんてね。シロウの話しからして、もう召喚されることも無いと、思ってたんだけどね」
「戻ってきたと言うか、呼び出されたと言うか・・・」
「どういうこと?」
こちらの状況報告をするため、
私は、イリヤに今までのあらましを話した。
「ふぅん。じゃあセイバーは平行世界の住人ってことなのね」
「そういうことになりますね」
イリヤは、魔術師の顔になり、思案し・・・。
「うん。大体の事情はわかったわ。とりあえず、今一番重要なことは・・・」
「重要な事とは?」
イリヤが、まじめな顔をしてると言うことはそれ相応のことなのだろう。
私は固唾を飲んで次の言葉を待つ。
「シロウを探すことよ!」
「そんなことは、わかってます!」
何を言うのかと期待した私が、馬鹿でした・・・。
「何を言ってるの!探すのは、ただのシロウじゃないのよ!まともなシロウなのよ!」
すごく笑顔で力説するイリヤ。
まともと言う文字が、相当、強調されたような気がします。
私はこちらのシロウを知りませんが、相当にひどいんでしょうね・・・。
「私のシロウがまともで本当によかった・・・」
「何を言ってるの?あなたのシロウじゃないわよ!」
え?
「こちらのシロウを探すと、言っているのですか?」
「あなたと一緒に来たシロウに決まってるじゃない」
それでは何の問題も無いはずでは?
「あなた、シロウとは別れて自分の世界に帰る予定なんでしょ?」
「はぁ。まあその予定ですが」
私は元の時代に戻り自分の生涯を全うしなければならない。
それがあの剣を抜いた者の責任であるからだ。
「じゃあ、あのシロウはもらうわ」
「何を言ってるのですか!!?」
確かに私は元の時代に戻るつもりですが、シロウをほかの女性に譲る気は無い。
たとえそれがイリヤでもだ。と言うかイリヤに譲るのは、すさまじく間違えている気がする。
「当たり前じゃない。こっちの世界のシロウは、もうすでにおかしなことになってるけど。あなたの世界から来たシロウは、話を聞く限り、まともだったころのシロウ。だからこっちのシロウと、取り替えるって言ってるのよ」
「何を馬鹿なことを!あのシロウは、私の、私の・・・」
口に出すのは恥ずかしいので出せない。
「恋人だとでも言うの?」
あっさり言われた。
「責任を放棄してあっさり帰るような人は、シロウの恋人とは認めないわよ?」
「責任を放棄などしていません!」
そう、私は、責任を放棄しないために元の次代に帰るのだ。
そうでなければ、誰がシロウと別れると言うのだ。
「あなたの言ってる。責任と私の言ってる責任は違うわ」
「何が違うと言うのですか!」
私には、国を捨てないと言う責任以外に、責任を負うようなことをした覚えは無い。
「自分の世界に戻る責任以外は、何も無いって顔ね」
「当たり前です。それ以上に、私が突き通さなければならないことなど何も無い」
私は力強く言った。
「シロウを骨抜きにしたくせによく言う」
「ほ、骨抜き!?」
え~と、骨抜きとはつまり、私がシロウを誘惑したと?
「なに?気がついてなかったの?シロウを、あなたなしでは生きられない様にしておいて」
「な、な、何を馬鹿な。私がいなくとも大丈夫だと言いました。だから、断じてそのようなことには、なっていません」
「じゃあ、この世界のシロウは何?」
「そ、それは・・・」
リンの話では、この世界と私の世界の流れは、ほぼ同じらしい。
ならば、私の世界のシロウも、私が去った後、彼らが、言っているようになるのだろうか?
「私には、私の世界のシロウが、この世界と同じようになるとは思えません」
「なに?まだそんなことを言ってるの?」
イリヤは初めてあったときの、あの雰囲気を回りにまとい、私をにらめつけてきた。
たしかに、イリヤの言うことは正しい。
だがしかし、私には全うしなければならない責任がある。
だから私もイリヤを睨み返した。
私にも譲れないものがあるのだ。
十数分後・・・、
「ランランル~。ランランルー。ハイみんなも一緒にランランルー」
突如外から呪文のような声が聞こえ、睨み合いは中断された。
私はそれと同じ声を聞いたことがあった。
しかし、その声の持ち主が、絶対に、このような背筋が寒くなるような呪文を唱えるわけが無い!
そう、私は思い込もうとしたが・・・。
「し、シロウが、シロウが帰ってきたわ・・・」
イリヤの言葉により、あえなく撃沈した。
私は、元の世界に帰っていいのだろうか?今の声を聞いて、私の決意は揺らぎ、折れてしまったような気がした・・・。
Interlude out