「とりあえず、次にいこう」

未だに怒りを感じてはいるが、このままでは埒が明かないと、アーチャーが話を進める。

ほかの者も賛成した。ちなみにバーサーカーは、未だに端で落ち込んでいる。

「じゃあ次はお前だ」

アーチャーは残り二人となったエミヤの片方を指差す。 

「何で俺が・・・ブツブツ」

指を指されたエミヤはブツブツ文句を言うだけで、話をすすめようとしなかった。

その態度が、ただでさえセイバーのせいで怒りを感じているアーチャーをイラつかせた。

しかし、アーチャーは、自分は大人だと言い聞かせ、

「まあそう言わずに、君だけエミヤと呼ぶのは不便だろ?」

「呼べばいいじゃないか。大体、俺の言ってることなんて誰も聞かないだろ・・・ブツブツ」

・・・・。

アーチャーの堪忍袋の緒が核融合を開始しました!

爆発まであと、

5、4、3、2、1・・・。

「さっきまでハイテンションだったやつが言うセリフかぁぁぁぁぁ!さっさと、お前のクラスと存在のあらましを言えぇぇぇい!!!!」

怒りのあまり、世界の法則やなんやらをぶち破って、エアを作り出すアーチャー。

「わ、わかった!言うから!言うから、それをこっちへ向けないでくれぇ!」

慌てて、アーチャーをとめるエミヤ。

「わかればいい」

その様子を見て、少しは気が晴れたのか。

アーチャーは落ち着いた様子で言い。

それと同時に、手に持っていたエアは消失した。

どうやら、アーチャーの怒りで維持されていたようだ。

「お、俺のクラスは、アサシン。人生のあらましは・・・キャスターとほとんど同じだ・・・」

「は?私とほとんど同じ?馬鹿も休み休み言え」

キャスターが小ばかにしたように言う。

「まあ待て。話を聞いてやろうじゃないか」

諭すように言うアーチャー。

「ち、さっさと続きを言えアサシン」

アーチャーに言われ、態度を少し改めるキャスター。

「わ、わかったよ。俺のところとキャスターの所に違いは、セイバーが現界したままだったってとこ・・」

「「「「なにぃ!!!!」」」」

アサシンが言い終わらないうちに叫ぶエミヤたち。

「やっぱり、俺の話なんて、まともに聞いてくれないんだ・・・」

落ち込むアサシン。

「そう落ち込むなって、あいつらにも、事情があるんだよきっと」

それを慰めるセイバー。

「あ、ありが・・・」

ドゴーン、

「どぶぅ!?」

セイバーにお礼を言おうとした、アサシンの顔に拳を叩き込むアーチャー。

「このやろう!凛だけじゃなくセイバーもだとぉぉ!!」

ドゲシッ!ドゲシッ!

「ハーレムか!?ハーレムなのか!?」

ドゲシッ!ドゲシッ!

「調子に乗りやがって!お前はエロゲーの主人公気取りか!?」

ドゲシッ!ドゲシッ!

「このクズが!!!」

ドゲシッ!ドゲシッ!

寄ってたかって、アサシンをケタグリ続けるエミヤたち。

「ごめんなさい、ごめんなさい」

頭を抱えて謝り続けるアサシン。

「謝ってすむ問題じゃないわ!ぼけぇい!!!!」

ドゲシッ!ドゲシッ!

「死んで詫びろ」

ドゲシッ!ドゲシッ!

「むしろお前という存在が許せん」

ドゲシッ!ドゲシッ!

「英霊の座から消え去れ!」

ドゲシッ!ドゲシッ!

謝罪が、彼らの暴力を加速させる。

まさに底なしの泥沼!

アサシンが、足掻けば足掻くほど、他のエミヤの攻撃力は増大していく。

「た、たすけて・・・」

助けを求めるアサシン。

「ごめん無理」

あっさり笑顔で、返事を返すセイバー。

「そ、そん・・・」

加速される攻撃に、ついに言葉すら巻き込まれ、辺りに、アサシンが蹴られる音のみが響くという状態になった。

一時間後、

「今回はこれぐらいで許してやろう」

「今ある生に感謝するんだな」

「次やったときは、命はないと思え」

「むしろ消す。英霊の座から消す!」

口々に言うエミヤ。

「わ、わかり・・・まし・・た・・・」

息も切れ切れに言うアサシン。

「災難だったな。アサシン」

セイバーのんきに言った。

「・・・・・・・」

アサシンは、他人事だと思ってという目で、セイバーを見るが何も言わない。

言ったら、またひどい目に合いそうだったからだ。

「じゃあ最後の・・・」

「ちょっと待って、なんでアサシンが英霊になったか、聞いてないぞ?」

アーチャーの言葉を遮り、キャスターが言った。

一応、自分と一番近い存在のアサシンの英霊になった理由に興味があるのだろう。

「たいした理由ではないだろうが・・・。まあ一応聞いておこう。言え」

聞く気なさげに言うアーチャー。

「拒否権は・・・?」

一応聞いてみるアサシン。

「ない!」

あっさり却下するアーチャー。

「・・・わかった言うよ・・」

一度大きく深呼吸をし、自分を落ち着かせ、

「凛に売られた!」

言い放つ。

「「「「はぁ?」」」」

呆れる四人。

「あいつならやりそうだよなぁ」

のんきに言うセイバー。

「いくらなんでもそんなことありえんだろ?」

否定するアーチャー。

「あいつはそこまで外道ではないぞ」

自分が、一番彼女のことを理解してるとばかりに言うキャスター。

自分も売られたのと変わりがないことに、まったく気づいていない。

「で、売られたって、実際にどんな願いをかなえたんだ?遠坂は」

セイバーが尋ねる。

「・・・・。自分のバストを5センチ増やせって・・・」

・・・・・・・

彼らの間を微妙な空気が流れる。

「・・・・・え〜と、マジですか?」

このままでは埒が明かないと再度セイバーが尋ねた。

「・・・・・・」

無言で頷くアサシン。

「あ〜なんというかすまなかったな。我々はお前を勘違いしていたようだ」

アーチャーが言う。

他のエミヤも首を縦に振り同意する。

「だから言いたくなかったんだよ・・・ブツブツ」

またいじけモードに入るアサシン。

「げ、元気を出せ。ほら、アサシンって、なぜか、かっこよく聞こえるだろ?」

慰めようとするキャスター。

「・・・・なぜ俺がアサシンになったかわかるか?」

「さ、さぁ?」

慰めたら、質問が返えってきた。

「リンがさ。宝石欲しさに、どんどん、どんどん、吸血種狩りや封印指定の魔術師を殺って来いって言ってきてさ」

アサシンは、ぽつぽつとしゃべりだし、

「無理だぁぁぁ!って言っても、セイバーを現界させてあげてるでしょ!等価交換よ!

とか言って、無理やり行かせるし・・・グス」

少し涙目になり、

「正面切って戦ってたら、命がいくらあっても足りないからさ。気配を消して、油断したところを狙うって繰り返しさ。そうしてたら、いつの間にか、気配遮断能力が付いてるし・・・ズズズー」

鼻をすするアサシン。

不幸すぎだアサシン!幸運ランクEを下回ってるんじゃないのか?

そう、彼らは思った。

「一度、真祖の姫を殺れって、いわれたときもあってさ。真祖だぞ真祖!しかも姫!ありえないだろ!?絶対無理だ!って言ったのに、無理やり行かさせられてさ・・・・」

ついに泣き出した。

「で、仕方がないから、行ってみたら。ターゲットの周りも化け物ぞろいで、恐ろしい家政婦はいるわ。カレー好きっぽい執行者わ。体温吸うやつはいるわ。極めつけは、めがねの男、こいつはなんでもずばずば切り裂くし・・・」

「よ、よく生きてたな・・・」

「いつものことだよ・・・。でさ、逃げ帰ったら、あの方はおかんむりでさ。その時、罰として世界と契約させられるし・・・。いやだって言っても、いつもの等価交換よ!の一言で取り合ってくれないし・・・。どこが等価交換なんだよ・・・」

永遠と続く、アサシンの過去話・・・。

「ああ、そういえば、蒼崎青子って人のところにもいかさ・・・」

「もういい!わかったから!」

これ以上アサシンの話聞くのは、耐えられないとばかりにアーチャーがとめる。

「次に進めていいな!」

同意するエミヤたち。

「じゃあ進めるぞ!よし次!ランサー言え」

アーチャーが促す。

「む?残ったのは私だけのはずだが・・・」

残ったエミヤが言った。

「残ったクラスはランサーだけだ。だからランサーはお前で決まりだろ?」

そんなこともわからないのかとばかりにアーチャーは言った。

「いや。私はランサーではない。私のクラスはフールだ」

最後のエミヤ改めフールは言った。

「フール・・・?イレギュラークラスか!」

「ああ、そうなるな」

アーチャーの言葉にフールは肯定する。

「しかし、フール・・・愚か者か。アヴェンジャー並みによくわからんな」

ライダーが言う。

「よくわからんとは心外だな。お前はこの中で一番私に近い存在だというのに」

「なに?」

「私は桜を救わず、イリヤを救うことを選んだ者だ」

それを聞いたライダーは、フールにつかみかかる。

「お前!桜を見捨てて殺したのか!」

素に戻り、感情のままに、ぶつかるライダー。

「そうだ」

「てめぇ!!!」

「それの何が悪い。お前だってイリヤを見捨てたんだろ?」

フールはライダーを振り払い言い放つ。

「そ、それは・・・・」

その言葉はライダーの傷をえぐる言葉。

いくら桜を救うためだとは言え、エミヤという存在が、他のものが犠牲になったことに対し、傷つかないはずがない。

「やはり心が弱いな。その程度の言葉ですぐ言葉が出なくなる」

「俺は!俺はぁぁ!!」

再度掴みかかろうとするライダー。

それを迎え撃とうとするフール・・・。

「まじめな話の最中すまないんだけど。フールって既婚者だよな?」

突如、セイバーが、二人の間に入り、質問を投げかけた。

「こんなときに何を!」

ライダーが噛み付く。

しかし、フールはライダーの言葉を無視して、

「ああ、そうだ」

答える。

「もしかして、お前の相手ってイリヤ?」

セイバーは恐る恐る聞いた。

「もしかしないでもそうだろう?」

・・・・・・・・。

ザ・ワールド。時よ止まれ!とばかりに、周りの時が止まった・・・。

「なんだ?何かおかしいことでもあったのか?」

フールは、みんなの雰囲気に気づいてない様子。

「お、お前。ロリコンだったのか・・・」

ライダーは信じられないとばかりに後ずさる。

「ふん。そうだが、それで?それがどうした?」

やれやれと馬鹿に答えるフール。

「よ、寄るな!ロリコンやろう!お前が俺の別の可能性なんて信じられるか!」

「そうだ犯罪者!お前が我々の別の可能性なんてみとめん」

「この外道が!だからお前はフールなんだよ!」

「ぐぉぉぉぉぉん!ぐぉぉぉぉぉ!」

口々にフールに罵声を飛ばすエミヤたち。

バーサーカーもいつの間にか復活している。

「はっ!それがどうした。そんな言葉すでに聞き飽きたわ!」

強い!このエミヤの精神はどのエミヤよりも強く硬い!

「あ〜まあ、人それぞれということでいいんじゃないか?」

ただ一人、否定も肯定もしないセイバー。

ちなみに、アサシンはまだ輪の外でブツブツ言っているので数に入れない。

「二つお前たちに教えてやろう」

フールはそう切り出し、

「一つ目。我々エミヤは、半分は正義の味方でできているが、もう半分はロリコンでできているのだよ!

わかってるのだろ?貴様らも!!」

言い放つフール。

「ぐぅぅぅ!!!」

それを否定できないエミヤたち。

彼らは多かれ少なかれ、そういう素質を持っていることにうすうす気が付いていたからだ。

そして、それゆえに、彼らはフールを否定した!

「言葉も出ないか。ふ、まあいい。それでは二つ目だ。お前たちは知らないだろうが、イリヤは私より年上だ。

よって年齢的にはロリコン呼ばわりされるいわれはない!」

「「「なにぃぃぃぃぃ!?」」」

「ぐぉぉぉぉぉ!?」

声を合わせて叫ぶエミヤたち。

「そ、それは本当なのか?」

セイバーすら狼狽している。

「ああ、事実だ」

彼らの衝撃はでかかった。

今まで妹だと思っていた人物が、実は自分より年上だったとは・・・。

「ふははははははは!打ちしがれるが良い!」

夜の闇の中、フールの笑い声だけがこだました・・・・。

 

 

 

30分後・・・

何とか立ち直ったエミヤたちは対峙していた。

「い、いろいろあって当初の目的を忘れかけていたが、我々は殺し合いをするためにここに呼ばれたのだ」

アーチャーが言い、

「ああ、そうだ」

キャスターが同意する。

他のエミヤたちもそれに同意した。

「別にそんなことしなくてもいいと思うんだけどなぁ俺は」

・・・・セイバーだけは同意してなかった。

「お前の意見は聞いてない!」

「うわ。ひでぇ」

あっさり却下するアーチャー。

「でだ。決戦の場はここだとして、戦闘開始の合図だが、私がコインを投げる。それが地面に着いたら戦闘開始だ」

その意見に全員が賛成し、

「では、投げるぞ」

そういって、アーチャーはコインを投げた・・・。

 

 

 

ぽこ

・・・・・・・。

地面が土と草で覆われているのが災いして、コインの音は響かず、情けない音だけが聞こえた。

しかし、気にしない!

手はず通り、私は、干将・莫耶を投影して、セイバーに切りかかる。

セイバーも同じく干将・莫耶を投影し、迎え撃つ。

ガキン!

かかった!

私の攻撃を向かいうちセイバーの意識が私に向いているところを、他の五人がいっせいに切りかかり、それで終わり・・・のはずだった。

しかし、

「なにぃぃぃぃ!?」

セイバーは、私の攻撃を簡単に受け流し、干将・莫耶を投げた。

私がそれを避けた時、

セイバーはすでに、背後から切りかかるアサシンを跳ね除け、キャスターが投影した全ての剣を切り飛ばしバックステップ。

セイバーの元いた空間に切りかかっていたバーサーカーを横から蹴り飛ばして、フールにぶつけ、戻ってくる2本の剣を取らずに、

しゃがんで避け、背後から攻撃を仕掛けようとしていたライダーに当てた。

「ごふっ!」

ライダーに刺さった2本の剣はそれぞれ、急所を的確についていた。

薄れ逝くライダー。

「ごめんな。負けてあげたかったんだけど、一番初めに負けたなんて言ったら、また辛い修練が待ってるから・・・」

消え行くライダーに、謝罪の言葉を投げ打つセイバー。

このエミヤは恐ろしいまでに強い!

セイバーの名は伊達ではないようだ。

「それじゃあ、他のみんなにも悪いけど、すぐに終わらせてもらう」

そう言いながら、双剣を構える。

負けることを微塵も感じていない言葉に、私は、普通なら、笑い飛ばしてやっているところだが、

先ほどの戦闘からして、あながち間違えではない。

6人でかかってもあれなのだ。

5人で戦ってかなうはずがない。

セイバーが、一歩踏み出すごとに我々に戦慄が走る。

次の瞬間にはやられているかもしれないのだ。

それほどの強敵。

戦慄が走らないはずもない。

「それじゃあ行くぞ!」

そう言うと同時にセイバーは、私の近くに飛び込んできていた。

やはり私か!

そう思いながら、私は双剣を構え迎え撃つ。

セイバーが剣を振り下ろし、

二人の剣が交わろうとした、その瞬間・・・・。

ピリリリリリリ。ピリリリリリリ。

どこからか、電子音が流れてくる。

私はあっけにとられ、周りを見回す。

「あ、俺だ。ちょっと待っててくれ」

お前かぁぁぁぁ!戦闘中はちゃんと電源落としとけよ!というか、英霊が携帯電話持ってるのかよ!

心の中で素に戻り突っ込んでしまう。

「ああ、アルトリア?なにどうした?」

しかも相手はセイバーかよ!

「なに?ご飯?冷蔵庫にエビフライとか茶碗蒸しとか入れておいたと思うけど・・。えぇぇ!?もう食べた!?

うそ!?あの量だぞ!?え!?おなかが空いてたまらないから早く帰って来い!?わ、わかった。

すぐに帰るからおとなしく待っててくれ。頼むから家の中ぐちゃぐちゃにしておかないでくれよ!!?」

ぷつ

「「「「「・・・・・・・」」」」」

「あ〜。用事ができたから、俺帰るわ」

そう言ってセイバーは消えた。

・・・・・・・なんでさ!

「・・・・どうする?」

キャスターが尋ねてくる。

「どうするもなにも・・・・」

もう戦う気も何も失せてしまい。どうでもよくなってしまった。

「今日はここまでにして、また後日戦うってことでいいか?」

フールが言い。

「そうだな。そうしよう」

私もそれに賛成し、マスターの元に戻ろうとして、気がついた。

「レイラインが繋がってない!!!!?」

どういうことだ!?いつの間にレイラインが切れていたのだ!?

記憶を掘り返すもいつ切れたのかまったく見当がつかない。

いや、そもそもレイラインが、繋がっていた記憶すらない・・・・。

というか私にマスターなどいたのか!?

「キャスター!お前のほうは、レイラインは繋がっ・・・って!?消えかけてる!?」

「ま、魔力供給が・・・・」

どうやらキャスターもレイラインが繋がっていないようだ。

「こんなことにも気がつかなかったとは・・・」

先ほどの戦いで、大量に剣を投影したキャスター。

単独行動のスキルがある私でも辛かったのだ。

キャスターであるエミヤが耐えられるわけでもなく。

「くそぉ・・・」

無念の言葉を残し、消えていった。

周りを見回すと、単独行動のスキルを持たない、他のエミヤも消えていっていた。

どうやら全員のレイラインが切断されているようだ。

というよりもはじめから繋がっていなかったというべきか?

「くそ!」

私は走り出した。

死ぬことは恐れていない。

しかし、このまま何もわからずに消えるのは、許容できない。

私は、自分の助けになってくれるだろう少女の元に急いだ。

 

 

5分後

私は少女の家の前に立っていた。

家にはまだ明かりが点いていた。

「よかった。まだおきているようだ」

そうとなればと、私は、呼び鈴も鳴らさずに扉を開けた。

鍵はかかっていたが、私にかかればピッキングなど造作もない。

入ってすぐに、私は人影を確認し、それに話しかけた。

「突然で混乱すると思うが頼みが・・・」

「きゃあああああああああああああああああ!!」

ドゴーン

人影は私に何か丸い黒いものをぶつけ悲鳴を上げた。

こんな悲鳴を凛が上げれるはずがない!と思いながら、影の正体を見て、私はおどろいた。

悲鳴を上げた。人物は桜だった。

どたどたどた

「どうしたの桜!?」

「ね、姉さん。変な人が・・・」

私を指差し桜が凛に訴える。

なんで桜が凛と一緒に暮らしているのか?という疑問が頭を掠めた。

しかし、それよりもこの状況を乗り切るほうが先決だ。

「落ち着け桜。それに凛、私は怪しいやつではない」

そういって、弁解を試みる。

「ひぃ!姉さん。この人、私の名前を・・・」

「そうね。それに私の名前も知ってるみたいだし」

そう言って宝石を取り出す。

「や、やめろ凛!その早とちりするくせを直せ、そして、話を聞け!」

その言葉を聴き、凛はさらに目を細め。

「人の妹に手を出しておいて次は私に説教?その上、私の魔術を知ってるなんて生かしておけないわね」

恐ろしい微笑をこっちへ向け、呪文を唱え始めた。

「ま、待て!待ってくれぇ!」

私は必死にそれから逃げようとするが、もともと限界ぎりぎりだった上に、さっきの一撃。

喋ることもやっとの私が、逃げられるはずもなく。

「姉さん!やっちゃってください」

「了〜解〜」

そういうと私に、宝石を投げつけ、宝石の魔力を開放した。

「ばいば〜い。ヘ・ン・タ・イ・さん」

魔力の渦に巻き込まれ、意識が薄らいでいく中。

最後に浮かんだ言葉は、

赤いあくま

だった・・・・。

 

 

終わり

 

 

 

 

 

 

 

 

 

タイガー道場 43回目

「師匠!師匠!師匠〜!!!!」

「連発しなくても聞こえてるって。でいったい何?」

「今回の話なんかおかしかったっす!」

「え!?なに!?これもう始まってるの!?」

「気づくのおそっ!すでに43回目始まってるっすよ!何やってんすか」

「いや、だって士郎まだ家にいたし・・・」

「そうなんっすよ!今回のこの話。シロウがまったく出てこないんっすよ!」

「え!?じゃ、じゃあ私たちは誰にヒントを出したらいいの?というかヒント出す意味あるの??」

「さぁ〜?」

「さぁ〜?って!?」

「まあまあいいじゃないっすか。こうやって出番ができたわけだし」

「それもそっか!」

「それでこそ師匠っす!」

「そんなに褒められると照れるわねぇ〜」

ボソ

「半分は馬鹿にしたんだけどね」

「え!?なに?」

「なんでもないっす!それよりも本編見てないならあらすじを教えるっすね」

「え?あ、うん。お願い」

「今回の話は、聖杯戦争で召喚された英霊全てが、エミヤだったんす」

「え〜と、エミヤって、士郎の未来の姿ってやつ?」

「そうっす。グゥレイト!のあの人に似ている人っす。髪は白いけど・・・」

「色黒で白い髪?」

「そうっす」

「え〜と、つまり、未来の士郎は黒い核鉄を体内に埋め込まれてヴェクター化したのね」

「それは違う話っす!たぶん、それはないっす!」

「えぇ〜?そうなの〜?面白くないなぁ」

「面白くなくてもいいんすよ!まったく・・・話が進まないっすよ」

「ごめんごめん。どんどん進めちゃっていいよ〜」

「調子いいっすね・・・。まあとにかく、今回は、エミヤ同士で殺し合いする予定だったっす」

「予定?」

「それが戦う前の自己紹介で時間を食いすぎて、戦闘時間がほとんどなかったっす!」

「まるで種デスのようね〜」

「し、師匠!それは黒歴史っす!触れてはいけないものなんっす!」

「ご、ごめんなさい」

「わかればいいんっす、わかれば」

「それで?戦闘が短かったってどんな決着なの?」

「それがですね〜。まるで種デスの最終回のような無理やりな感じでした」

「私にはだめって言っておいて、自分で言ってるじゃん!!!!」

バコンっ!!!!!

「す、すみません師匠・・・」

「うむ。わかればよい。それで、どんなだったの?詳しく言いなさい」

「完璧に言っちゃうと長いんで、要点だけ言うと、セイバーのエミヤを全員で倒そうとするんすけど、返り討ちにあってライダーが死亡」

「うんうん。で?」

「それで、そのあとアーチャーとセイバーが対峙するんっすけど、剣同士がぶつかろうとした瞬間、セイバーに電話がかかってきて」

「英霊って携帯電話持ってるの!?私だって持ってないのに!?」

「普通は持ってないと思うんっすけどね。まあ逆に携帯電話を持ってる人が、誰もいないって事の方が、今の時代おかしいんっすけどね」

「つ、突っ込んじゃいけない所よそこは・・・」

「わ、わかったっす・・・。でですね。その電話によってセイバー帰らなくちゃならなくなって、帰っちゃったっす」

「え!?聖杯戦争ってそんなに簡単に放棄できるものなの!?」

「普通は無理っすね・・・。普通はマスターとの契約で勝手に帰られないようになってるっす」

「じゃあなんでセイバーは帰れたの?」

「それがっすね。なぜか、今回マスターが一人も出てこないんっすよ」

「出てこないって一人もいないって事?」

「そうっす!マスターというものが存在してなかったんすよ!」

「それじゃあ、その魔力ってものが切れて、その人たち、こっちにいられなくなっちゃうんじゃないの?」

「まさにその通りっす!みんな消えていっちゃったっす」

「なんだかいやな終わりかたねぇ〜」

「それがまだ終わりじゃないんっすよ」

「え?まだ終わってないの?」

「実はアーチャーが一人だけ残ってて、遠坂邸に助けを求めに行ったっす」

「あ〜。なんか展開読めてきた〜。勝手に家に入って、そこにいた遠坂さんに話しかけて反射的に殺されたって落ちでしょ〜」

「おしいっす!はじめに話しかけたのは、サクラで、フライパンによる一撃を食らって、瀕死の所を先輩にぶっ殺されたっす」

「へぇ〜桜ちゃんか〜・・・って!なんで桜ちゃんが遠坂さんと一緒に暮らしてるのよ!」

「わからないっす!」

「わかってよ!」

「仕方ないんっすよ。この世界よくわからない事だらけだし・・・」

「そうなの・・・。でもいつかこの世界のなぞを解く話も出るわよね?」

「たぶんそれはないっす!なぞはなぞのまま終わるのが美徳っす!」

「私は知りたいの!どうにかしなさい弟子一号!」

「無理っす!作者が、気が向かない限りでないままっす!」

「作者って何よ!」

「わからないっす!自然と口に出てたっす!」

「・・・・まあ、とにかく」

「とにかく?」

「落ちは!?」

「ないっす!」

 

 

 

 

 

 

あとがき

書いているうちにどんどんどんどん泥沼化して行っておちがつけられず、気がつけば過去最長に・・・。

内容の解説っぽいのしようと思ったらタイガー道場でほとんどやってるし・・・。

がんばれ自分!

ということで、感想などもらえればうれしいです。

追記

上のURLemiya2というところに_2と付け足して飛んでもらうと、途中から話がこちらと分岐している裏に飛びます。

どちらの方がよいかは微妙ですが・・・よかったら読んでみてください。