俺はおもむろにカレンの皿を持ち上げると、

「バルス!」

金ぴかの顔面に投げつけた。

「ぎゃぁぁぁぁあああああ、目がぁあああ、めがぁあああ、あああぁぁぁ・・・」

効果は抜群だ

強力な刺激により、ギルガメッシュは目が見えなくなった。

ギルガメッシュは力尽きた。

ギルガメッシュは、昔のゲームでよくあった。あの点滅を繰り返し、消えていった。

「あ、死んだ」

「あ、死んだじゃねぇえええええ!!!」

ばこんっ!

すかさずランサーの突込みが入る。

「いくら嫌いだからって今のはひどすぎるだろ!!!」

「さすが、俺もあれはひどすぎだと思った・・・。

だけど、俺も、なんであんなことをしたのか分からないんだ。

頭の中で投げろ投げろと囁かれた気がして、気がついたら、投げていたんだ」

「そんな女児誘拐犯みたいなこと言ってんじゃねぇぇぇ!!!!!」

まったく反論できませんでした・・・。

とその時。

ガタガタガタガタッ

「なんだ、なんだ、なんだ!?」

突如、家中が激しい振動に襲われた。

規模で言うと震度7くらい。

今、うわさの耐震精度の悪い住宅だったら、潰れているだろう。

良かった丈夫な家で。

「だ、大丈夫か、カレン!?」

未だに揺れが止まらない中、俺はカレンのほうに視線を移した。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

あれ?俺の目がおかしくなったのかな?

カレンの周りだけ、全然揺れてないような・・・。

それに、なんか、どこかのラスボスが纏っている邪悪なオーラが、カレンを取り巻いてるし・・・。

俺、光のオーブなんて持ってないぞ!?

「か、カレン?」

話しかけただけで爆発しそうな勢いなんだけど、このまま放置するほうがもっとヤバイ気がする。

「な、なあ、落ち着いて話し合いをしよう。ギルガメッシュにはかわいそうなことをしたと思うけど、まさか、あれで死ぬとは普通、思わないだろ?」

うわ〜。なんか火曜サスペンスとかの犯人が言いそうなセリフはいてるなぁ俺。

こんなので許してくれる人なんて居ないだろうなぁ・・・。

「別に私は金色のことで怒ってはいません」

初めから金ぴかのことで怒ってたわけではないようでした。

まったく問題にされてないとは、哀れだなギルガメッシュ。

まあ、そのおかげで俺は助かったんだけど。

「そうか。俺には、他に何が原因か分からないけど。その話は後でしよう。

とりあえずは、地震が収まり次第、ギルガメッシュにぶっ掛けたゴミを・・・」

ぴくっ

「ゴミ?」

「え?いや、だから、このギルガメッシュにぶっ掛けた・・・」

「ゴミと言うのは、マーボーの・・・、マーボーのことかぁぁぁぁぁぁ!!!!」

プッツン ぞわ

怒りの咆哮と共に、黄金色に輝く戦士が誕生しました。

「うぉぉぉぉぉなんだ!この凄まじい気の奔流は!!!!!」

凄まじい暴風によって目も開けられない。

「マーボー神が!マーボー神がご降臨なされたぁぁぁぁぁ」

耳へ入ってくる間抜けな声。

「ランサー・・・ついに壊れたか?って、アーチャー!?何でここに!?」

声のほうに振り返ってびっくり。

そこにはさっきまで居なかったはずのアーチャーの姿があった。

「ふ、愚問だな。今のこの状況には解説者が必要。ならば、名解説者たるこの私が呼ばれるのは道理!」

・・・馬鹿だなこいつ。

「アーチャーてめぇ、でしゃばってくんじゃねぇ!」

今まで沈黙を守っていたように見せかけて。

実は、初めの地震で体勢を崩したところを、突風に乗った食器に次々と襲われ、そのまま家の外まで追いやられて、今やっと戻ってこれたランサーが叫んだ。

「まだまだだな。所詮、貴様ではその程度の解説しか出来ないか」

「人の心の中を読むな!文句が、あるならお前が解説してみろよ」

「ふ、良かろう。軟弱な知性しか持たぬお前に代わって状況説明をしてやろう。

最弱サーヴァントのランサーは、マーボー神の気の勢いに負け、吹き飛ばされてしまっていました。どうだ。私に掛かればこんなものだ」

「くっ!」

認めざる負えない。

今の俺じゃこいつには敵わない。

「二人で勝手に、人をダシにして、盛り上がってんじゃねぇえええ!と言うか、お前ら二人とも50100歩じゃボケぇい!」

「まあまあ落ち着け。興奮してもいいことはないぞ」

「怒らせてるのはお前らだろうがぁぁぁぁぁぁ」

はぁはぁと、肩で息をつくランサー。

うんうん。良い漫才コンビになれるぞお前ら。

「って、こんなことやってる場合じゃねぇ!カレンのやつはどうすんだよ!」

「ああ、忘れてた」

「忘れてたじゃねぇぇぇぇぇっぇ!!!!お前が原因であんなになったんだろ!!

どうにかしろ!」

「どうにかしろって言ったって・・・」

止めようとしたら返り討ちにあって、頭を中心に、ぶんぶん振り回されて、吹き飛ばされそうだし。

「と言うことで、ランサーお前が止めてくれ。ぶっちゃけ、あれはもう人間に止められるものじゃない」

「さっき本気で挑んで返り討ちにあっただよ!」

「お前が勝てないのに、俺が勝てるわけないだろ!!!!」

「生贄になれって言ってんだよ!」

「生贄なんていやだ!!!」

「お前が原因だろ!それくらい我慢しろ!」

「馬鹿かお前は!俺が死んじゃうじゃないか!」

「金ぴかを殺した奴が、言えたことかよ!」

「それとこれとは話は別だ!」

「別も何もあるか!全部繋がってんだよ!お前がマーボー作らなけりゃ良かったんじゃねぇか!」

「知ったような口をきくな!俺も被害者なんだよ!」

「加害者のくせにいまさら被害者づらすんじゃねぇ!!!」

永遠と続く俺とランサーの言い合い。

どちらかが引くという選択肢はない。

この言い争いに負けるというのは死ぬのと限りなく等しい。

そうまさにこの言い争いは、死合なのだ!

「白熱しているところ悪いんだが、このままでは、マーボー神に世界は滅ぼされるぞ?」

「「は?」」

世界を滅ぼす?

「お前らが言い争いをしてるうちに奴は外へ飛び出して行ったぞ」

アーチャーの言うとおり、もうカレンの影も形もなくなっていた。

「「なんで止めなかったんだよ!!!!」」

「私は解説者であって、出演者ではないのでね。止める気などもうとうない」

「この役立たずが!!!!!」

「褒め言葉としてとっておこう」

こいつにかまってても暖簾の腕押しだな。

「坊主。とりあえず休戦だ。俺は先にカレンを追う」

「ああ、俺もすぐあとを追う。二人なら止められるかもしれないしな」

「期待して待ってるぜ」

そういい残し、ランサーは家から飛び出していった。

「無駄だと思うのだがな」

「やってみなきゃわからないだろ」

「ふ、せいぜい理想におぼれて溺死しないことだな」

 

 

 

家から飛び出し倒れは愕然とした。

いつも見慣れていたはずの風景は、溢れかえるマーボーにより変わり果て。

草木も含めたそこに存在する全ての生命はマーボーと化し。

人々はマーボーで出来たゲル人間と変わり果てていた。

「こ、こんな・・・」

アーチャーの言っていたことは正しかった。

こんな状況。

俺たち・・・いや、どんな奴が居ても覆せないだろう。

俺は、ただただ呆然と立ち尽くしていた。

「ぎゃぁぁぁっぁあっぁああああ・・・・」

どこからか悲鳴が聞こえる。

それは、よく聞きなれた声だった。

「ああ、あいつもやられちまったんだな」

しかし、今となってはもうどうでもいいことだった。

だって、すでに足元にマーボーが・・・・。

 

END

 

 

 

 

出張!タイガー道場

「悲しいお知らせがあります。世界はマーボーにより侵食されてしまいました」

「悲しいって言うか恐ろしい話っすね」

「まさか、あの何気ない行動がこんな結末に繋がるなんて誰が予想できようか」

「予想できる出来ない以前に、投げつけるって選択肢を選択すること事態が予想がいっす」

「そこに選択肢があれば、選ぶってのが人ってもんよ」

「だからって、投げつけるを選択しなくてもいいじゃないっすか」

「この行動は絶対にありえない、しかし、体の奥から湧き出てくる逆らいようのない思い。人それを好奇心と呼ぶ」

「好奇心は身を滅ぼすって事っすか!?」

「この場合は、身じゃなくて世界を滅ぼしちゃったんだけどね」

「はた迷惑っすね〜」

「まあいいじゃない。私たちには関係ないことだし」

「そうっすね。所詮は他人事っすからね〜」

「そうそう、って!なんか壁から浸みこんできてるんだけど!?」

「ぎゃぁぁぁ。辛いっす!空気が辛いっすぅぅぅ!!!」

「って、もうそこまで迫ってきてる!!!?」

「ひ、一人だけ逃げるなんてずるいっすよぉぉぉぉぉぉぁぁああああああ」

ぐちゅん

「ひぃ。弟子一号が、飲み込まれてマーボー人間にぃぃぃぃ!!!?」

「ああぁあぁぁぁあぁああ」

「なんで、こっちに来るのよ!?ひぃぃぃぃ!来ないで!触らないでぇぇぇぇぇぁぁぁぁあああああ」

ぐちゅん

 

 

 

 

 

 

 

アーチャー道場

「よっしゃぁああ、ストライク!って!ここどこ!!?」

「その反応ナイスだ。凛」

「あ、アーチャー!?ちょっと、あんた何してんのよ」

「何といわれれば、不甲斐ない二人に代わり解説をしようとしていると言うところか」

「はぁ?何言ってるのかさっぱり分からないけど、とりあえず私を呼び出したのはあんたでしょ。今、調度いいところなんだから、さっさと、私をもとの場所に戻しなさい!」

「ふ、それはできぬ相談だ」

「なんでよ!!!!」

「一人で解説なんて寂しいからだ!!」

「それくらい、我慢しなさい!!!!!」

「無理だ。だから、最後まで付き合え」

「嫌よ!」

ちゃっ

「ここでは魔力がまったく使えんぞ」

「げ!本当だ。ガンドもでないし!」

「そういうことだ。まあ、諦めて最後まで私に付き合うのだな」

「あんたの言いなりになるのは癪だけど、仕方ないわ。チャッチャと終わらせなさい」

「うむ。ここで、解説するのはマーボー神についてだ」

「マーボー神?なんかあいつを、思い出させるいやな名前ね」

「うむ。まあ、まったく関係ないわけではないのだが、それはまた別の話としてだな。マーボー神と言うのは中国の神だ」

「へぇ〜。そんなのが居るなんて初耳だわ」

「うむ。私も今日はじめて知った」

「え?」

「いやなんでもない。でだ。このマーボー神と言うのは、マーボーをこよなく愛するものが、マーボーを傷つけられ、激しい怒りを感じたときに始めて降臨する」

「神の召喚にしては条件が簡単すぎない!?」

「馬鹿を言え!マーボー神を光臨させられるほどの人材が現れること自体が奇跡なんだぞ!?」

「ご、ごめんなさい」

「うむ。分かればいい」

「って、何で私謝ってるんだろ?」

「でだ。マーボー神に憑依されたものは、黄金色に輝く戦士となる。それはもう、恐ろしい強さでな。その強さはマーボー拳100倍に匹敵すると言われている」

「すごいんだかすごくないんだかわからないけど。どこかで聞いたことのあるような状態ね」

「気にしたら負けだ!でだ。一時の間、憑依されたものはその場に停滞し、ただただ中に浮いている」

「じゃあ、その間に倒しちゃえばいいじゃないの」

「さっき言っただろう。恐ろしい強さを誇ると。たとえ吸血鬼の姫でも返り討ちにあうぞ」

「そいつはやば過ぎるわね・・・」

「しょぼそうに思えても神だからな。でだ。一定時間経過後。突如、動き出し、世界をマーボーで侵食し始める」

「ちょっとまって。普通、怒らせた本人を殺すかなにかしたら帰るんじゃないの?」

「怒りはきっかけに過ぎないからな。マーボー神にしてみれば、そんなちっぽけな存在、捨て置いても問題はないということだろう」

「ふぅ〜ん。で、対処法は?」

「対処法はひとつだけだ。停滞しているうちに、凄まじくうまいマーボーを食べさせること」

「停滞してるうちに?動き出してからはダメなの?」

「動き出したらもう、どうにもならん。諦めるんだな」

「マーボー好きの前でマーボーを侮辱しないほうがいいわね」

「そういうことだ」

「で、話はもう終わり?」

「ん?ああ、最後まで付き合ってくれて感謝する」

「いいわよ。私も結構楽しめたし」

「そういってもらえると助かる」

「それじゃあ、早くもとの場所に戻しなさい」

「うむ。・・・・・・む、すまん、戻し方知らないんだった」

「は?知らない?忘れたんじゃなくて?」

「うむ。呼べるのは呼べるが戻せないことをすっかり失念していた」

「じゃ、じゃあ私は・・・?」

「永遠とここをさまようことになるな」

「このど畜生ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」

 

 

後書き

もうはっちゃけてます。

この選択肢自体、選択しつけるならこう言うのも要るだろうとか言う、

よくわからない思考によって付け加えられたものなので、話の中身も乗りだけで作られてます。