わたしこと、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは、冬木における聖杯戦争で勝ち残るため、アインツベルンが用意した最強のマスターだ。
衛宮切嗣の裏切りにより、聖杯を手に入れられなかったアインツベルンは、次の大戦で、かならず勝利を得るために、最強のマスターと最強のサーヴァントを用意することを誓った。
そして現在、最強のマスターは用意された。
あとは最強のサーヴァントを呼び出すだけだ。
そして儀式は始まった。
媒介は、衛宮切嗣の所持していた模擬刀。
当初は、ヘラクレスを呼び出す予定であったが、衛宮切嗣の屋敷の蔵から見つかったという模擬刀に、凄まじい力を感じたという事から、急遽、媒体を変更することになった。
はたしてこの選択が、吉と出るか凶と出るかは、神のみぞ知るというところだ。
そして今、召喚の儀式が終了し、私のサーヴァントが召喚された・・・。
プロローグ1 師匠と私
召喚されたサーヴァントを見て、その場に立ち会っていたもの全員が絶句した。
そこに立っていたのは、どこからどう見てもただの一般人だった。
「あれ〜、ここどこ?って!外人さんいっぱい!?」
アインツベルンはまたやってしまったのであった。
そして、老人達は、さすがに2度も同じ失敗をしたショックのため。
全員ボケるか寝たきりになり、事実上、アインツベルンは崩壊した。
数十分後
「ふぅ〜ん。で、私はイリヤちゃんを守りながら敵を倒せばいいのね」
「う、うん・・・」
なぜかこのサーヴァントは、(聖杯戦争のことは)まったく知らないのに私のことを知っていた。
「それにしてもイリヤちゃん元気がないわねぇ〜。いつも通り。
“そうよタイガ、私のために死ぬ気で働きなさい”とか
“そうっすよ師匠!自分のために死んでも働いてもらうっす”とか言わないの?」
「言わないの?って言われても・・・」
なぜだろう?今まで言ったこともないセリフなのに、自分なら言いそうだなぁとなぜか思ってしまった。
って、このままサーヴァントのペースに巻き込まれちゃだめじゃない。
マスターがペースを握らないと。
「そんなことよりも、あなたのクラスと真名を教えてくれない?」
「3年B組み、タイガー先生よ!」
サムズアップしながら答えるサーヴァント。
「違うでしょ!!!!それは、○○先生!」
ズ・ドォォォォン
私は、どこからか巨大なナタを取り出し、切りかかりながら突っ込んでいた。
「ひぃぃぃぃぃ。ちょっとボケただけで、この突っ込み。イリヤちゃん怖い子」
顔の画風が変わりながら震えるサーヴァント。
ふふん。
私の恐ろしさを思い知ったようね。
これで主導権は、私が握ったわ。
「これでわかったでしょ?力の違いが。これからは私の指示に・・・」
「うん。これは教育し直さないとね」
「そう教育・・・って、え!?」
え?何この視線?
というか教育されるのって私?
「ふふふふふふふ。大丈夫痛くしないから。そうね。まずはその服装からね」
親父くさい動きで迫ってくるサーヴァント。
貞操の危機である。
しかし、こう言う時に限って、周りを見回しても助けになる者は誰も居ず。
自己防衛するしかなく、
「こ、来ないでぇぇぇぇぇええええ!!」
ド・フゥゥゥゥン
超度級の魔力の塊をサーヴァントにぶちかました。
「・・・・やっちゃった?」
混乱していたとはいえ、あんな貧弱そうなサーヴァントに、あんなものぶちかましたら死んじゃったかも・・・。
いや、でも一応は英霊だし、かすり傷程度で、収まってるかもしれない。
「ブルマ・・・そう、ブルマを用意しないとね・・・」
「ひぃぃぃぃぃぃぃぃ」
ぶっちゃけ無傷でした。
対魔力EX
効果があるかないかは、タイガの気分しだい。
「さ〜イリヤちゃん。否、弟子一号。私と共にめくるめく、かん・・・師弟愛の世界へ」
「いやぁぁぁぁ。弟子一号って呼び方もいやだけど、微妙に言い間違えて、言いそうになった言葉がもっといやぁぁぁぁ」
「あははははは。良いではないか良いではないか」
こうして、私の地獄の3ヶ月が始まったのであった。
拝啓
お母様。私はある意味最強のサーヴァントを引いたようです。
しかし、同時に貞操および精神の危機です。
どうしたら良いのでしょうか?
敬具
3ヵ月後
「冬木町よ!私は帰って来たぁああああああああ!!!!」
師匠が叫ぶ。
この3ヶ月で私は、すっかり俗世にまみれた師弟関係を結ぶようになっていた。
「ここに、ここにシロウがいるっすね」
私は、師匠の言葉を無視して自分の言いたい事を喋った。
「そうよイリヤちゃん。私たちは正規ヒロインになるべくここに戻ってきたの」
私に完璧に無視されたことにもめげずに、返答する師匠。
さすがは、タイガ。やるわね。
要所要所で、言葉遣いを切り替えるそれが私たちの関係。
「さて、私はシロウにあってくるから、タイガはここでお留守番しておいてね」
「うんわかった。私はお留・・・って!なんで!?私もシロウに会いたい」
駄々をこねるタイガ。
「お城で、セラがケーキを用意してるって言ってたよ」
「イリヤちゃん。暗くなる前に帰ってくるのよ」
さすがタイガ。
食べ物のことになるとすごい変わり身だ。
「それじゃあ行ってくるね」
「いってらっしゃ〜い」
手を振りながら私を見送るタイガ。
「あ、ついでに江戸前のドラ焼きも買ってきておいてねぇぇぇ」
そんな言葉も後ろから聞こえてきたが、私は聞こえない振りをして。
目的地の方向へ進んでいった。
「アンマン・肉まん・ピザまんもお願いねぇぇええええええ」
聞こえない聞こえない・・・。
後書き
プロローグ1終了。
次は、プロローグ2で、凛と・・・・の話になる予定です。