聖杯戦争が、終わり3ヶ月経った。
勝者は衛宮士郎。今大会のセイバーのマスター。
最後の戦い、私は見る事はできなかったけど。
かなりの激戦だったようだが、士郎は多くを語らない。
セイバーと決別したと言う事。
ただそれだけを私たちに告げた。
後悔はない?
と一度尋ねた事がある。
その問に対しかれは、
「俺とセイバーが考え抜いた末に出した結論だ。だから、後悔はない」
と言った。
その時、私は彼が強がりで言っていた事に気がついていたが、あえて口には出さなかった。
それが彼らに対する礼儀だと思ったからだ。
しかし、そんな事風に考えず、指摘していればこんな事にはならなかったのかもしれない・・・。
そう、人間は生きがいをなくしては生きられないものなのだから・・・・。
5月20日
相変わらず士郎は元気がない。自分では隠しているつもりなんだろうが、傍から見れば一目瞭然だ。
気持ちは分からないでもないけど、一生あのままで過ごすつもりなんだろうか?
5月25日
士郎が突然元気になった。なんでも生徒会長から何かを借りたらしい。
あのめがねから借りたもので、元気になるっていうのは気にいらないけど、男同士にしかわからない事もあるだろう。
一応は感謝しておく。本人には言うつもりはないけど。
6月3日
突然桜が、泣きながら私に助けを求めてきた。
えらく追い込まれている様子で、言っていることがよく分からなかった。
なんでも、士郎に関して自分にはどうしようもない問題が起きたらしい。
桜の混乱振りに私もあたふたしてしまって。そうこうしているうちに、チャイムが鳴ってしまった。
だから、桜には、明日、もう一度来るように言った。
さて、明日は、少しは姉らしい対応が出来るだろうか?少し心配だ。
6月4日
約束どおり再び私の元へ相談に来た桜の話を聞いた。
なんでも、あの士郎が突然PCを購入し、自分の部屋に引きこもっているらしい。
あの士郎が、PCなんて物を持つなんてありえない。現総理大臣がアメリカにけんかを売るくらいありえない。
だから私は、桜に明日、衛宮邸に行くと伝えた。
士郎のご飯が食べたくなっていたこともある。
しかし、それ以上に桜は私の妹だ。
姉である私が、困っている妹を見捨てておくのも夢見が悪いってものだ。
6月5日
自分の目を疑った。自分が知らないうちにあそこまで士郎が変わっているなんて。
私が最後に見た士郎は覇気がなく、このままでは自殺するのではないだろうか?と思えるほどだった。
しかし、今日見た士郎は、ありとあらゆる意味で、違っていた。
体中から凄まじいほどの生気がほとばしり、表情も生き生きとしてた。
それはとてもいい事だった。
でも・・・・。
両手に持ってる、とらの○なって書いてる袋は何!?
いやそれ以上に制服の下から見えるそのアニメ絵が乗っているシャツはいったいなんなのよぉぉぉ!!!?
「ん?ああ。この袋は今日発売のエ○ゲーが入ってるんだ。あとこのシャツは一成に貰ったんだ。なんでも真の親友になった証とかなんとか」
あのメガネェェェェ!!!!士郎に渡したものってこれかぁぁぁ!!
将来私の物になる(予定)の士郎を汚しやがってぇ!!!
こう言うものに免疫がない士郎が、はまるのは必然じゃ無いのよぉぉ!
あのめがねコロス!
そう私は誓った。
6月6日
メガネをぼこった。楽しかった。
6月7日
今日、担任から呼び出された。なんでも、メガネをぼこったことがばれたらしい。
さすがにシャイニングウイザードから、百烈ビンタをかまして、ししをかむほのおで浮いた所を、禁千弐百拾壱式・八稚女から追加で裏参百拾六式・豺華
をかまし、とどめに真昇龍拳を当てたのは、やはりまずかっただろうか?
たかが全治7ヶ月の重症。殺してないのだからそこまで問題にしなくてもいいのに。
とりあえず、めがねに襲われて、仕方なく反撃した事にした。
先生は、
「あぁ、じゃあ問題ないか」
と妙に物分りが良かった。
7月3日
桜から相談を受けて1ヶ月が経った。
あれからいろいろ試したけど士郎はどんどんオタクの道へのめり込んでいった。
桜は既に士郎を戻すことを諦め士郎に合わせる事にしたようだ。
部活が終わって帰るとすぐに家で、士郎が好きそうなアニメを見て勉強しているらしい。
でもね、桜。オタクはなろうとしてなるものじゃ無いのよ。いつの間になっているからオタクなの。
私が言うのだから間違いないわ。と桜に言ってやりたいが、プライドが邪魔して言えないでいる。
7月10日
ついに来るべき日がやってきてしまった。
士郎の投影・・・宝具すら作り出してしまうと言う反則とすら言える魔術が、
士郎が1度見た、2Dまたは3Dキャラをフィギュアとして生成できる。
と言う魔術に変貌してしまった。
そんな魔術しか持たないで、正義の味方として生きる道はどうするのだろう?
というか正義の味方として生きる道を捨てたとしか思えない。
7月20日
その日もいつものように眠い目をこすりながら、眠気覚ましの牛乳を一気のみ。
さて学校へ出かけようとしたその時、あいつが現れた。
そうあいつだ。懐かしい白い髪に浅黒い肌。もう二度と会えないと思っていた赤の騎士。
なんで限界しているの!?という疑問よりも再び会えた感動が先行してしまい。
思考が停止してしまっていた。
ちょっと涙腺が緩んでしまい涙が出そうになった。
でも泣かない。こいつの前で泣いてたまるもんですか。
そんな私の気持ちを知ってかしらずか彼が開口一番に発した言葉は、
「凛、助けてくれ!私が、私が!私が変質してしまうぅぅぅぅ!!!!!」
だった・・・・。