どくん

何かが心の中から湧き出てくる。

      どくん           どくん                         どくん

 子供のころほしいものを目の前にしたあの感じ

どくん                      どくん

だめだ 感情が抑えられない

         どくん       どくん       どくん   どくん

どくん どくん どくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくん

どくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくんどくん・・・・・・・・・・。

「あぁぁぁぁぁぁぁ」

叫びそうになる。

しかしここで叫んではいけない。

あの女に見つかってしまう。

そう、気がつくと、俺はその女を追っていた。

頭の中で、この先起こることを思うだけで、体が震える。

そうして、その女をつけ回すこと数十分。

あるひとつのアパートへと辿り着いた。

女はそのアパートへ入っていく。

ここしかない。

そうあの女を○○○○できるのはここしかない。

そう思い僕は、

「ドラ、メイド服射出!早く!」

そう言った。

「お前は眠っておけ。ここでは不要だ」

ドンッ!

「うぐっ!?」

・・・・・・一瞬目の前が、暗くなったがすぐにクリアになる。

俺は、歩きながら、メガネを外した。

その瞬間、世界が死であふれる。

俺にはお似合いの世界だ。

次に俺は、ドラにあの得物を要求する。

「・・・・・ドラ、あれをよこせ」

遠野家のくそ親父が、所持していたはずのあの得物。

未だに俺の手に戻ってきていないあの得物。

「ほら」

ドラは俺に一本の・・・七夜と刻まれた木の板を投げよこす。

それを受け取ると同時に、俺は刃の部分を取り出した。

そう、これはナイフだ。

俺が快楽を得るための道具。

この感触が体によく馴染む。

ガチャ

扉が開く音が聞こえる。

どうやら。そこが、あの女の住処らしい。

女は部屋へ入り、扉を閉めようとした。

がし

「え!?」

次の瞬間、

俺は、自分が持っていた刃物で、女を切り刻む。

力は要らない。

ただ、もろくなっている部分に触れ、その部分を呼び出せばいい。

大きな17つの傷。

それを全て呼び出す。

しかし、それだけでは物足りない。

それ以上にこの女を、俺は切り刻みたい。

好都合なことに、それに見えた傷は、他にも、獣に傷つけられた様なものなど無数にあった。

どこかの誰かがやってくれるのだろう・・・いや、やってくれる予定だったのかもしれない。

まあ、そんなことはどうでもいい。

俺はこのナイフで、それを呼び出すだけでいい。

そうするだけで、こいつは、勝手に壊れていく。

この感覚は、腐った木や鉄を崩すあの感触に似ている。

自分が少し触っただけで、バラバラっと崩れていく・・・あのなんとも言い難い快感。

あれを数十倍にしたら、この快感と同じになるだろう。

そんなことを考えながら、全てとは言わないが、相当数の傷を呼び出し、バラバラにした。

その間1秒足らず、悲鳴を上げる暇すら与えなかった。

女だったそれは、すでに肉片。

面影も無い・・・・。

「くく、くくく、はははは、あはははははははは」

その光景を見、俺は大声で笑い出していた。

・・・・・・・・・。

気がつくと、足元は肉片と血でいっぱいになっていた。

これはいったいなんなんだ!?

周りを見ても誰もいない。

そして思い出されるはそれを切り刻む光景。

何で僕は、そんなことを!?

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

僕はそこから逃げだした。

一秒でも、あそこに留まりたくは無かった。

走った。走り続けた。

そうして、気がつくと、僕は元の公園へ戻っていた。

僕は、噴水に腰を掛け自分を落ち着かせるため、頭の中で電波ソングを何度もリピート再生した。

電波でこの悪夢を拭い去るんだ。

・・・・・・・・・・・。

日が暮れるころ。

やっと冷静になれた僕は、ふと自分の姿を見、返り血を一切浴びてないことに気がついた。

すでに死体ともいえないような惨殺死体・・・。

あれだけ切り刻めば、返り血を大量に浴びていてもおかしくない。

いや、むしろ浴びてなければおかしい。

そして、今の僕はまったく返り血を浴びてはいない。

・・・そうだ。あれは夢だったんだ。

僕が、女の人を殺すなんてありえない。

慣れない家、新しい環境。

僕は、参ってたんだ。

だからあんな悪夢を・・・。

いや、そもそもあの悪夢も、ドラが見せたものかもしれない。

さっきからドラの姿も見えないし。

ぽつぽつぽつぽつ

ザァァァー

雨が降り出した。

このままここにいても仕方が無い。

家に帰ろう。

そう思い家路に着いた。

心の中に小さな違和感を抱きながら・・・・。

 

 

後書き

今回は少し短めで、シリアス風の話になりました。

この話は、どのルートを辿っているというのは特に無いですが、登場していない人物が・・・。

最後に感想・要望がありましたら、BBSへお願いします。