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1960年3月
(最終更新2014.01.05)

3.1(火)

ヒンデミット:演奏会音楽
ハリス:交響曲第3番
チャイコフスキー:交響曲第5番

レオン・バーギン指揮ボストンso
シンフォニー・ホール、ボストン(ステレオ録音)
〈未レコード化〉
  ボストン交響楽団の定期演奏会のラジオ生中継。金曜夜の中継が通例だが、これは火曜夜の演奏会。



3.1(火)

プッチーニ:歌劇《トゥーランドット》全曲

アン・ルント=クリスチャンセン、ジュディッタ・マッツォレーニ(S)フランコ・コレッリ(T)レナート・チェーザリ(Bs)ほか
アルフレード・シモネット指揮モンテカルロ歌劇場o、同cho
モンテカルロ歌劇場、モンテカルロ
CD-R〈PREMIERE OPERA;1149-2〉〈未レコード化〉

  コレッリ(1921生)は3月21日からニルソンと共演して、スカラ座で《トゥーランドット》(ヴォットー指揮)を歌っている。



3.1(火)

ヴィヴァルディ:オラトリオ《勝利したユディト》より、
               ホロフェルネスのアリア

ザラ・ドルハノワ(Ms)
ルドルフ・バルシャイ指揮モスクワ室内o
モスクワ音楽院大ホール、モスクワ
[MOSCOW STATE CONCERVATOIRE;SMC CD0079/80]

  2枚組『モスクワ音楽院大ホール100周年記念盤』所収。ドルハノワ(1918生)は当時のソ連を代表するコンサート歌手。



3.1(火)

TV番組「レッド・スケルトン・ショー」より

レッド・スケルトン、メー・ウエストほか(出演)
NBCテレビ、ニューヨーク
[SANDY HOOK RECORDS;CDSH2098]

  『MAE WEST ON THE AIR』所収。喜劇俳優レッド・スケルトンの30分ヴァラエティ番組に、往年のお色気女優メー・ウエスト(1892生)がゲスト出演した回の録音(約18分半)。




3.1(火)

ジャズ『マルディグラ1960』(18曲)

スウィート・エマ・バレットとそのベル・ボーイズ
ローラ・リー・ゲストハウス、ニューオリンズ
[504 RECORDS;504CD67]

  マルディグラとはフランス語で「太った火曜日」。復活祭の47日前の火曜日に行なわれる。カーニバル(謝肉祭)の最終日「懺悔の火曜日」のことで、翌日からの断食を前に大食しようというお祭り。ニューオリンズでは11日前の金曜日から12日間にわたって挙行され、その盛況は全米最大のカーニバルとも言われる。セプテットによるその当日のパーティでのライヴ録音で、マルディグラの公式歌「イフ・エヴァー・アイ・シーズ・トゥ・ラヴ」も演奏されている。
  504レコードはニューオリンズ・ジャズ専門の小レーベル。



3.1(火)
 -15(水)

ベートーヴェン:交響曲第3番《英雄》、第5番《運命》、第6番《田園》

フランツ・コンヴィチュニー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウスo
ライプツィヒ(セッション商業録音、ステレオ)
[EDEL CLASSICS;0002672CCC]

  交響曲全集の一環として録音された。第2番と第9番、序曲集などもこの年の録音の可能性がある。



3.2(水)

ジャズ『シェリー・マン&ヒズ・メン/イエスタデイズ』(2曲)

シェリー・マン&ヒズ・メン
チューリヒ(ライヴ商業録音)
[PABLO;PACD-5318-2]

  ノーマン・グランツ主催の「ジャズ・アット・ザ・フィルハーモニック」欧州楽旅から。2003年に初レコード化された。CDには2月22日チューリヒの3曲も含まれる。ツアーは2月13日から3月5日まで。



3.2(水)

落語『権兵衛狸』

九代目 鈴々舎馬風
文化放送
[ビクター;VZCG-298]

  日付は放送日。「良く来たなァ」で知られる馬風(1904生)の古典落語。古典よりも漫談を得意とした人だが、ここでも即興で「新安保条約の将来は?」という言葉をくわえている。1月19日にアメリカで調印された日米の新安保条約の批准をめぐって、衆議院の安保特別委員会での与野党の論戦が開始されていた頃である。



3.2(水)

落語『黄金餅』

五代目 古今亭志ん生
ニッポン放送
[ポニーキャニオン;FGS-001]




3.2(水)

落語『花見の仇討』

三代目 三遊亭金馬
東京
CT〈東宝ミュージック〉

  日付は収録日。カセット15本組『愛蔵版 三代目三遊亭金馬傑作選』所収。



3.2(水)
 &9(水)





ベートーヴェン:交響曲第6番《田園》

アンドレ・クリュイタンス指揮ベルリンpo
グリューネヴァルト教会、西ベルリン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;4 83412 2]

3.3(木)

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲

レオニード・コーガン(vn)
イーゴリ・マルケヴィッチ指揮ベルリン・ドイツ国立歌劇場o
ドイツ国立歌劇場(?)、東ベルリン
CD-R〈PASSION&CONCENTRATION;PACO1007〉

  マルケヴィッチ(1912生)はこの直後、ラムルー管弦楽団を率いて35日間のアメリカ楽旅を行っている。(参照2.15)



3.3(木)

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲

ベートーヴェン:ミサ・ソレムニス
独唱者不詳
ポール・パレー指揮デトロイトso、合唱団不詳
フォード公会堂、デトロイト
〈未レコード化〉



3.3(木)

ハイドン:ピアノ・ソナタ第49番
ショパン:バラード第1番、練習曲op.10より第1,3,4,10,12番
ラフマニノフ:前奏曲op.23より第1,2,8番、
             op.32より第1,2,6,7,9,10,12番
             op.23より第4,5,7番

スビャトスラフ・リヒテル(p)
フィルハーモニー・ホール、キエフ
[TNC RECORDINGS;CD-H463-64]

  リヒテル(1915生)は2月後半の東欧歴訪に続き、キエフで演奏した。



3.3(木)

ジャズ『THELONIOUS MONK IN PHILADELPHIA 1960 WITH STEVE LACY』より《EVIDENCE》《STRAIGHT,NO CHASER》《RHYTHM A NING》

セロニアス・モンク・カルテット、スティーヴ・レイシー(s-sax)
フィラデルフィア
[RARE LIVE RECORDINGS;RLR 88623]

  フィラデルフィアでのコンサート(歓声を聞くかぎり、クラブではなくホールか何かのようだ)をCBSがラジオ中継したもの。おしまいにルイ・アームストロングの番組終了の挨拶がかぶせられている。CDに収められているのは3曲のみで、他は1948-57年のさまざまライヴ10曲で埋められている。



3.4(金)

ベートーヴェン:バレエ音楽《プロメテウスの創造物》よりの組曲
マルティヌー:ピアノ協奏曲第5番《協奏的幻想曲》
オネゲル:交響曲第2番
ワーグナー:歌劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》第3幕よりの抜粋

マルグリット・ヴェーバー(p)
シャルル・ミュンシュ指揮ボストンso、コーラス・プロ・ムジカ
シンフォニー・ホール、ボストン(ステレオ録音)
〈未レコード化〉

  ボストン交響楽団の定期演奏会のラジオ生中継。ベートーヴェンは3日後に商業録音される。



3.4(金)









ショパン:ピアノ・ソナタ第2番、マズルカ第24、32、38番、
      前奏曲第2、8、24番、練習曲第22、23番、計9曲

マウリツィオ・ポリーニ(p)
ナショナル・フィルハーモニー・ホール、ワルシャワ(一部ステレオ録音)
[ARKADIA;CDHP506.1]
[LASERLIGHT;14 064](マズルカ第32番)
[MUZA;PNCD003](ソナタ、1992)

  第2次予選。第1次予選を通過した38人が参加した。ポリーニが第1次予選で弾いた練習曲第1、10番、夜想曲第13番、幻想ポロネーズもARKADIA盤に所収。ショパン・コンクール優勝者の録音を集めた「THE GOLEN TWELVE」第3巻のムザ盤と、ムザ原盤のコピーらしいASERLIGHT盤はステレオ録音である。(参照2.22)

3.5(土)







ショパン:バラード第1~4番、幻想ポロネーズ

スビャトスラフ・リヒテル(p)
フィルハーモニー・ホール、キエフ
[TNC RECORDINGS;CD-H463-64、465-66]

  リヒテルのキエフ・リサイタル。



3.5(土)

ヴェルディ:歌劇《椿姫》第三幕への前奏曲(ウォレンのための追悼演奏)
ワーグナー:歌劇《さまよえるオランダ人》全曲

レオニー・リザネク(S)カール・リープル(T)ジョージ・ロンドン(Bs-Br)ほか
トマス・シッパーズ指揮メトロポリタン歌劇場o、同cho
メトロポリタン歌劇場、ニューヨーク
[GOLDEN MELODRAM;GM1.0084](2010、オペラのみ)

  前夜の《運命の力》の第2幕でレナード・ウォレン(1911生)が舞台上で心筋梗塞に倒れ、そのまま急逝した(公演はそこで中止)。これは翌日のマチネーということで、開幕前に支配人のルドルフ・ビング(1902生)が追悼のスピーチをし、《椿姫》第3幕への前奏曲を演奏している(CDではカット)。ちなみに前夜の指揮者もシッパーズだった。

  リザネク(1926生)とロンドン(1919生)のコンビは前年夏のバイロイト祝祭で大成功、そのため10年間メトでは上演されていなかった作品が復活することになった。



3.5(土)
ジョルダーノ:歌劇《アンドレア・シェニエ》全曲

ジンカ・ミラノフ(S)カルロ・ベルゴンツィ(T)エットーレ・バスティアニーニ(Br)ほか
ファウスト・クレーヴァ指揮メトロポリタン歌劇場o、同cho
メトロポリタン歌劇場、ニューヨーク
〈未レコード化〉

  土曜日のメトは昼夜2回公演をおこなう。その夜公演の録音だが、ラジオ中継ではなくプロンプター・ボックスでの録音とされる。《シェニエ》の中継は26日におこなわれる。



3.5(土)

ヘンデル(ストコフスキー編):水上の音楽
モーツァルト:交響曲第40番
ショスタコーヴィチ:交響曲第1番
アミロフ:アゼルバイジャン民謡による組曲

レオポルド・ストコフスキー指揮ニューヨークpo
カーネギー・ホール、ニューヨーク
〈未レコード化〉

  2月にフィラデルフィアoを19年ぶりに指揮したストコフスキー(1882生)は、続いてニューヨークpoの定期に10年ぶりに登場した。ソ連の作品が多いあたりは、当時の米ソ平和共存ムードの高まりの反映かもしれない。(参照2.25)



3.5(土)

ショパン:マズルカ第22,24,32番

イリーナ・ザリツカヤ(p)
ナショナル・フィルハーモニー・ホール、ワルシャワ
[MUZA;PNCD007]

  第2次予選の録音。ソ連のザリツカヤ(1940生)は第2位となり、マズルカ賞とショパン協会賞(通称ポロネーズ賞)もあわせて受賞した。しかしその後の演奏歴は目立たない。1970年代にはイスラエルに亡命したという。(参照3.4)



3.5(土)
 &7(月)

チレンシェク:交響曲第5番

ホルスト・シュタイン指揮ベルリン放送so
東ベルリン(セッション放送録音)
[HASTEDT;HT5310]

  シュタイン(1928生)は西ドイツを活動の本拠としているが、56年から61年には東ベルリンのベルリン・ドイツ国立歌劇場の楽長をしていた。同時期に《カルメン》や《トスカ》などのドイツ語版全曲商業録音をのこしている。



3.5(土)
 -7(月)

ブラームス:ピアノ四重奏曲第2番

フェスティヴァルQ
RCAスタジオA、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[RCA;BVCC-37326~27]

  フェスティヴァル四重奏団は、シモン・ゴールトベルク(1908生)がアスペン音楽祭の盟友プリムローズ、グラウダン、バビンと結成したピアノ四重奏団。フォーレのピアノ四重奏曲第2番もこの年に録音しているが、未CD化。



3.5(土)
 -10(木)

R・シュトラウス:楽劇《サロメ》より、7つのヴェールの踊り、
          交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》、
          同《ドン・ファン》

オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニアo
アビー・ロード・スタジオNo.1、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;5 66823 2]

  5日に《サロメ》、8と9日に《ティル》、9と10日に《ドン・ファン》が録音された。



3.6(日)

ヴェルディ:歌劇《トロヴァトーレ》全曲

イェルディス・シンベルイ(S)ケルスティン・マイア(Ms)ユッシ・ビョルリンク(T)フーゴ・ハスロ(Br)ほか
ヘルベルト・サンドベルイ指揮ストックホルム王室歌劇場o、同cho
王室歌劇場、ストックホルム
[BLUUBELL;ABCD045]

  デビュー以来30年間歌ってきた母国の歌劇場への、ビョルリンク(1911生)の最後の出演となったもの。心臓の具合が悪かったビョルリンクは〈恐ろしき炎を見れば〉を1音下げている。9日後のロンドンのコヴェント・ガーデンでの《ボエーム》公演では開演直前に心臓発作に襲われたが、開演を1時間遅らせて何とか歌いとおした。ウォレンの急死を知っていたビョルリンクは、妻に「今度は僕の番だ」といったという。



3.6(日)





リスト:死の舞踏

ジョルジィ・シフラ(p)
ウンベルト・カッティーニ指揮ヴェネツィア・フェニーチェ劇場o
ヴェネツィア(?)
[IDIS;6616](2011)
3.7(月)







ベートーヴェン:バレエ音楽《プロメテウスの創造物》より3曲
シューベルト:交響曲第2番
メンデルスゾーン:八重奏曲より第3楽章スケルツォ

シャルル・ミュンシュ指揮ボストンso
シンフォニー・ホール、ボストン(セッション商業録音、ステレオ)
[BMGファンハウス;BVCC37460、38429](RCA原盤)

  ベートーヴェンは3日前の4日のライヴ録音もある。メンデルスゾーンはLPでは《スコットランド》交響曲と組み合わされた。



3.7(月)


ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番

レオン・フライシャー(p)
アンドレ・クリュイタンス指揮ケルン放送so
ケルン放送局ザール1、ケルン
[ICA;ICAC5121](2014)

  クリュイタンスは前後の2日と9日にベルリンで《田園》を録音している。



3.7(月)


テレビ番組『RHYTHM』

レナード・バーンスタイン指揮ニューヨークpo
CBSテレビ、ニューヨーク
DVD〈ドリームライフ;DLVC-6008〉(2010)

  5枚組『レナード・バーンスタイン ニューヨーク・フィルハーモニック HISTORIC TELEVISION SPECIALS』に所収。フォード自動車提供のスペシャル番組『LEONARD BERNSTEIN & THE NEW YORK PHILHARMONIC』のうち、1960年制作では1月31日放映の『THE CREATIVE PERFORMER』に続くもの。

  日付は収録日で、3月13日に放映された。バーンスタインがリズムの発展史を解説しながら実例(フランク、コープランドなど)を指揮していくスタイル。海外ロケも多いこの番組のなかでは『オムニバス』などに近い構成。



3.7(月)


「エルヴィス・プレスリー/除隊直後のグレースランドでの記者会見」

エルヴィス・プレスリー、ほか
グレースランド、メンフィス
DVD〈BMGジャパン;BVBM31097〉

  プレスリー(1935-77)の歌唱シーンを集めたDVD『Elvis The King Of Rock And Roll』のボーナス・トラック。58年から2年間、兵役で西ドイツに駐屯していたプレスリーが除隊2日後にメンフィスの豪壮な邸宅で開いた記者会見の映像。



3.7(月)
 or 8(火)







プッチーニ:歌劇《トスカ》全曲

マクダ・オリヴェーロ(S)アルヴィニオ・ミシアーノ(T)ジュリオ・フィオラヴァンティ(Br)ほか
フルヴィーノ・ヴェルニッツィ指揮トリノRAIo、同cho
トリノ放送局(ステレオ録音)
[WALHALL;WLCD 0300](2010)
DVD〈HARDY CLASICCS;HCD4011〉

  商業録音に恵まれない「海賊盤の女王」オリヴェーロ(1910生)による聴衆抜きのテレビ用録画。CDはステレオ録音だが、DVDの方はモノラル。日付は録音日あるいは録画日で、放送は1週間後の3月15日。2010年発売のWALHALL盤CDは3月7日と表示しており、あるいはこれが録音日で、8日が録画日か。
  DVDには同時期のものと思しき4分強のインタビュー(聞き手はフランチェスコ・カネッサ)がついている。オリヴェーロはその後も長い芸歴を誇る女傑で、75年65歳でメトにデビューして話題となる。そのときも《トスカ》だった。

3.7(月)
 -12(土)

ジャズLP『ジャズ・フェスティヴァル第1集』(10曲)より2曲

南里文雄とホット・ペッパーズ
不二家ミュージック・サロン、東京有楽町
[ビクター;VICJ-60722~30](2曲)
LP〈ビクター;LV-137〉

  9枚組『ジャズ・イン・ジャパン 1947~1963』所収。LP収録5グループのうち、CDには戦前からの経歴を誇るディキシーランド・ジャズの大御所、南里(1910生)の演奏のみが収められている。南里は8年前から失明していた。
  それまでの日本ではディキシーやスイングにお客が集まり、モダン・ジャズは人気がなかった。しかしこの頃から急激に、ファンキーと呼ばれる黒人モダン・ジャズのブームが起きつつある。なお、南里には3月16日と18日にも不二家に出演した記録がある。



3.8(火)







ベートーヴェン:バレエ音楽《プロメテウスの創造物》よりの組曲
ワーグナー:歌劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》第3幕よりの抜粋


シャルル・ミュンシュ指揮ボストンso
サンダース劇場、ハーヴァード大学、ケンブリッジ
DVD〈ICA Classics;ICAD5015,5016〉(2011)

  ケンブリッジはボストンに隣接し、ハーヴァード大学やMITのある学園都市。ボストンsoは毎月1回火曜日にここで演奏会を行なう。テレビ放映された。4日前のボストンでの演奏会と重なるので、この2曲以外もおそらく同一のプロだろう。

3.8(火)

モーツァルト:交響曲第41番《ジュピター》
ウェーバー:《オベロン》序曲

オイゲン・ヨッフム指揮東京so
日比谷公会堂、東京
[東芝;TOCE-8862]

  ヨッフム(1902生)はアメリカ演奏旅行から帰国する途中に初来日、13日間滞在して東京交響楽団を2回(もう1回は15日で、オール・ベートーヴェン)指揮した。ドイツの一流指揮者の来演は珍しいことだったので、かなりの好評を得た。東京交響楽団を後援していたラジオ東京(KTR、後のTBS)による録音。
  当日の曲目は《ジュピター》のほか、エックのフランス組曲とブラームスの交響曲第1番。ウェーバーは27日録音とCDにあるが16日に帰国しているから、この日のアンコールなのではないか。
  サントリーホールも東京文化会館もなかった当時、日比谷公会堂は東京の代表的な演奏会場だった。



3.8(火)

テレビ番組『THE SWINGIN’SINGIN’YEARS』

ウッディ・ハーマン、ジョー・スタッフォード、スタン・ケントン、ダイナ・ワシントン、ルイ・ジョーダン(出演)ロナルド・レーガン(司会)
NBCテレビ、ニューヨーク
VHS〈VINTAGE JAZZ CLASSICS;VJC-2003〉

  日付は放送日。フォード自動車提供による1時間のヴァラエティ番組『FORD STARTIME』の枠で放映されたもの。同番組は1959年10月6日から1960年5月31日まで、午後9時30分から32回にわたり放送された。内容はポップス、コメディなどで出演者も毎回交代する。豪華なスターたちの出演で、シーズンに1500万ドルもの巨額の予算が組まれていたという。
  この日はスウィング・ミュージックの歴史をふり返る内容で、司会は後年の大統領。ロスアンジェルスのアンバサダー・ホテルにあるクラブ「ココナッツ・グローヴ」やシカゴの「アラゴン・ボールルーム」、ニューヨークのハーレムのアポロ劇場、ハリウッド・ボウル、レコード会社のスタジオ、そしてラジオの公開録音など、ジャズの「名所」での演奏が次々と紹介されていくが、ラジオのスタジオ以外はすべてテレビ用の模造のようだ。

5.24の『SING ALONG WITH MITCH』もVHSで入手可能。



3.8(火)
 -10(木)





リムスキー=コルサコフ:交響組曲《シェエラザード》

イズラエル・ベイカー(vn)
エーリヒ・ラインスドルフ指揮コンサート・アーツso
サムエル・ゴールドウィン・スタジオのステージ7、ハリウッド(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;7243 5 67314 2 4]

3.9(水)

ピッツェッティ:歌劇《大聖堂の殺人》全曲

クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)ゲアハルト・シュトルツェ(T)パウル・シェフラー(Br)ハンス・ホッター(Bs)ほか
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン国立歌劇場o、同cho
国立歌劇場、ウィーン
[ポリドール;POCG-10096/7]

  カラヤン(1908生)が珍しくも現代オペラを上演した例。2年前の58年3月にミラノ・スカラ座で初演(ガヴァッツェーニ指揮)された作品のドイツ語訳詞版。マルガレーテ・ヴァルマンの演出はおそらくスカラ座からの借り物。5月29日までに5回上演されただけでレパートリーから外された。作曲者以外の関係者にとっては「骨折り損」というところだったろう。



3.前半(?)

プッチーニ:歌劇《蝶々夫人》全曲

ドロシー・カーステン(S)ダニエル・バリオーニ(T)ほか
レナート・チェッリーニ指揮ニューオリンズ歌劇場o、同cho
市立公会堂、ニューオリンズ(ステレオ録音)
[VAI;VAIA1054-2]

  正確な日付は不明。



3.10(木)
 &14(月)





ベートーヴェン:交響曲第7番、劇音楽《エグモント》序曲

アンドレ・クリュイタンス指揮ベルリンpo
グリューネヴァルト教会、西ベルリン
[EMI;4 83412 2]

  2日と9日に《田園》を録音していた。

3.10(木)

シューベルト:劇音楽《ロザムンデ》序曲、間奏曲第3番、バレエ音楽第2番
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲ト短調
ワーグナー:楽劇《ワルキューレ》より、ヴォータンの告別と魔の炎の音楽
ハチャトゥリャン:ヴァイオリン協奏曲

ミッシャ・エルマン(vn)
ポール・パレー指揮デトロイトso
フォード公会堂、デトロイト
〈未レコード化〉



3.10(木)

サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ、ハバネラ
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
ショーソン:詩曲

リカルド・オドノポゾフ(vn)
ジャンフランコ・リヴォリ指揮ジュネーヴ放送o
ジュネーヴ(セッション商業録音、ステレオ)
[DORON;DRC4004]

  原盤はおそらく、フランスの通信販売レコード・クラブのもの。



3.10(木)

ストラヴィンスキー:バレエ音楽《ミューズの神を率いるアポロ》

ジャック・ダンボワーズ、ジリャーナ、フランシア・ラッセル、ディアナ・アダムズ(踊り)
ロバート・アーヴィング指揮カナダ放送o
カナダ放送協会、モントリオール(セッション放送録画)
DVD〈VAI:DVD4377〉

  DVD『JACQUES D’AMBOISE』に所収。振付はジョージ・バランシンで、彼の代表作として有名なもの。バランシン率いるニューヨーク・シティ・バレエのスターと指揮者がカナダ放送でテレビ収録したもの。



3.10(木)

ジャズ『スケッチ・オブ・スペイン』より5曲

マイルス・デイヴィス(tp)
ギル・エヴァンス指揮
コロンビア30丁目スタジオ、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[ソニー;SRCS9705]

  本アルバムの有名なアランフェス協奏曲第2楽章のジャズ版は、1959年11月20日の録音。この日はオリジナルB面の4曲(ファリャの《鬼火》以外はギルの自作)が録音された。CDには未発表作品が1曲追加されている。
  当時はガンサー・シュラーやジョン・ルイスの「第3の潮流」など、ジャズとクラシックの知的な融合が試みられていたが、充分な成果があったとは言いがたい。その中で客側がそうした運動の代表作、成功作と見なしたのが、この『スケッチ・オブ・スペイン』のアランフェス協奏曲だった。マイルス自身はシュラーたちと無関係だったことを考えると、皮肉な結果とも言える。



3.11(金)

談話「ローザ・ポンセル《運命の力》を語る」

ローザ・ポンセル、ほか
ラジオ局(?)、ボルティモア
[EKLIPSE;EKR51]

  『ROSA PONSELLE IN CONCERT 1936-1952』所収。往年の名歌手ポンセル(1897生)が《運命の力》について語った約14分のインタビュー。このオペラで1918年にメトロポリタン歌劇場でデビューしたときの思い出や、ピアノ伴奏に合わせて筋書を説明したりしている。1937年の引退後、亡くなるまで住んだボルティモアでの録音。聞き手とピアニストは不明。



3.11(金)

ベートーヴェン:《レオノーレ》序曲第3番
ショパン:ピアノ協奏曲第1番
メンデルスゾーン:華麗なカプリッチョ
ルーセル:《バッカスとアリアーヌ》第2組曲

ゲイリー・グラフマン(p)
シャルル・ミュンシュ指揮ボストンso
シンフォニー・ホール、ボストン(ステレオ録音)
〈未レコード化〉

  当時のボストンsoの定期は金曜午後、土曜夜を中心に、火曜と木曜(公開総練習、実質的には演奏会)などに行なっている。1シーズンは22週間前後。ミュンシュ(1891生)とボストンsoは、1ヶ月半後に日本を含む東南アジア演奏旅行を予定している。
  ショパンとメンデルスゾーンは3日後に商業録音される。



3.11(金)





リムスキー=コルサコフ:《雪娘》組曲

エフゲニー・スヴェトラーノフ指揮ボリショイ劇場o
モスクワ(?)
[BRILLIANT CLASSICS;BRL9001]
  10枚組『EVGENY SVETRANOV EDITION』所収。
3.11(金)





シューベルト:交響曲第5番

カール・シューリヒト指揮南ドイツ放送so
シュトゥットガルト
[EN LARMES ELM01-26]

3.11(金)







《サラトガ》
OBC盤
ミュージカル・メドレー『PICNIC IN THE PARK』(6曲)

キャロル・ローレンス、ハワード・キール(Vo)
ドナルド・ヴォーリーズ指揮ベル・テレフォンo
NBC放送局、ニューヨーク(セッション放送録画、カラー)
DVD〈VAI:DVD4347〉

  DVD『CAROL LAWRENCE/BELL TELEPHONE HOUR 1960-1967』所収。NBCテレビの番組「ベル・テレフォン・アワー」で放送されたもの。ロジャースやコール・ポーターなど、ブロードウェイの名曲を寸劇風のメドレーで歌っている。
  イリノイ生れのキャロル・ローレンス(1932生)とハワード・キール(1912-2004)は、当時のミュージカル界のスターたち。ローレンスは1957年の《ウエスト・サイド物語》のマリア役の初演者として名高い。その後はそれほどのヒット・ミュージカルに恵まれなかったが、テレビ番組やコマーシャルで息の長い活躍を続けた。一方キールは《アニーよ銃をとれ》など、1950年代前半のMGMミュージカル映画の主演者として知られる。
  この二人は、1959年12月7日からブロードウェイのウィンター・ガーデン劇場で上演されたミュージカル《サラトガ》で共演していた。この作品は不評のため、わずか80公演で60年2月半ばに打ち切られているが、もし続演されていれば、この番組でもその抜粋を歌っていたかも知れない。OBC(オリジナル・ブロードウェイ・キャスト)盤は12月13日に録音されている[RCA:09026 63690-2]。
  この後ローレンスは、4月27日からの《ウエスト・サイド物語》の再演(12月まで)に参加した。



3.11(金)
 -14(月)


『白鳥~チェロ名曲集』(ポッパー:セレナード、ヘンデル:〈オンブラ・マイ・フ〉、他全14曲)

モーリス・ジャンドロン(vc)
ジャン・フランセ(p)
オランダ(セッション商業録音、ステレオ)
[ユニバーサル;UCCP-3452](PHILIPS原盤)

  ジャンドロン(1920生)によるチェロ名曲集。



3.11(金)
 ~19(土)









モーツァルト:交響曲第39番
シューベルト:交響曲第7番《未完成》
シューマン:交響曲第4番

ジョージ・セル指揮クリーヴランドo
セヴェランス・ホール、クリーヴランド(セッション商業録音、ステレオ)
[SONY;88697689722](モーツァルト、2010)
[SONY;SRCR9852](シューベルト)
[SONY;SRCR2547](シューマン)(すべてエピック原盤)

  11日にモーツァルト、12日にシューマンと《未完成》。《未完成》は19日にも録音。エピックはCBSの別レーベル。

3.12(土)

ヴェルディ:《運命の力》全曲

レナータ・テバルディ(S)リチャード・タッカー(T)マリオ・セレーニ、サルヴァトーレ・バッカローニ(Br)ジェローム・ハインズ(Bs)
トマス・シッパーズ指揮メトロポリタン歌劇場o、同cho
メトロポリタン歌劇場、ニューヨーク
[WALHALL;WLCD 0301](2010)

  4日の公演中にウォレンが急死して以来、初めての上演。存命ならセレーニではなくウォレンが歌ったにちがいない。
  《運命の力》は両大戦間にはイタリアよりもドイツ語圏で人気が高かった。戦後のメトがこの作品を得意としたのは、亡命ユダヤ人の多い状況の反映である。ドイツ語圏の上演方式に従い、第1幕を序幕とし、そのあとに序曲を演奏している(参照3.5)



3.12(土)

ブラームス:交響曲第2番
バルトーク:管弦楽組曲《中国の不思議な役人》
コダーイ:《飛べよ孔雀》による変奏曲

フリッツ・ライナー指揮ニューヨークpo
カーネギー・ホール、ニューヨーク
[NEW YORK PHILHARMONIC;NYP9701](ブラームス)
[AS DISC;AS526](バルトーク&コダーイ)

  シカゴsoの音楽監督ライナー(72歳)が客演。専属のレコード会社が違うので商業録音のない顔合わせ。(参照3.5)



3.12(土)

チャイコフスキー:交響曲第5番

ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮チェコpo
ルドルフィヌム、プラハ(セッション商業録音、ステレオ)
[コロムビア;COCQ83809](スプラフォン原盤)

  上記CDには月のみで日付の記載がない。日付はCDショップ「湧々堂」のサイト(http://www.wakuwakudo.net/index.html)記載の情報に拠った。3月10日にウィーン国立歌劇場で《後宮からの逃走》を指揮しているので、その2日後の録音ということになる。



3.12(土)

ショパン:ピアノ協奏曲第1番

マウリツィオ・ポリーニ(p)
イエジ・カトレヴィチ指揮ワルシャワ・ナショナルpo
ナショナル・フィルハーモニー・ホール、ワルシャワ
[DG;1DCB-1002](ムザ原盤)

  コンクール本選。本選では12人が協奏曲を演奏する。ステレオ録音が存在するはずだがCDはモノラル。(参照3.4)



3.12(土)

ジャズ『SHELLY MANNE 6 HIS MEN / WEST COAST JAZZ IN ENGLAND』(6曲)

シェリー・マン&ヒズ・メン
フリー・トレード・ホール、マンチェスター
[SOLAR;4569886](2011)

  ノーマン・グランツ主催の「ジャズ・アット・ザ・フィルハーモニック」欧州楽旅から。ボーナスとして3月2日コペンハーゲンの2曲(PABLO盤と同曲)。



3.12(土)

ジャズ『THE 1960 BIRDLAND SESSIONS』より3曲

ビル・エヴァンズ・トリオ
バードランド・クラブ、ニューヨーク
[COOL N`BLUE RECORDS;C&B-CD106]

  夭折の名ベーシスト、スコット・ラファロが在籍した当時の伝説的なビル・エヴァンズ・トリオによるライヴ。CDは3.19、4.30、5.7の毎週土曜日の録音を含めて全12曲。



3.12(土)

ジャズ《コンファメーション》

ザ・スリー・ボッシズ(バド・パウエルほか)
ブルーノート・カフェ、パリ
[XANADU;XCD1222]

  『BUD IN PARIS』所収。バド・パウエル(1924生)は前年の1959年春からパリに居を移し、最後の数年を過ごしていた。



3.12(土)







落語『厩火事』

八代目 桂文楽
TBSラジオ「日立演芸会」
[小学館;雑誌23333-12/18]

  隔週刊誌『サライ』2008年12月18日号の附録CD「昭和の名人の十八番で聴く 夫婦噺・親子噺」所収。日付は放送日。文楽(1892-1971)の数少ない1960年録音。

3.12(土)
 -15(火)

ドビアーシュ:交響曲第2番

カレル・アンチェル指揮チェコpo
芸術家の家ドヴォルジャーク・ホール、プラハ(セッション商業録音、ステレオ)
[SUPRAPHON;SU3700-2]

  ヴァーツラフ・ドビアーシュ(1909-1978)のシンフォニーは、1957年2月にアンチェル&チェコ・フィルによって初演された作品。



3.13(日)





ハイドン:交響曲第102番
モーツァルト:交響曲第38番

トマス・ビーチャム指揮シカゴso
シカゴ
VHSビデオ〈KULTUR;2238〉(カラー)

3.13(日)



グールド:弦楽四重奏曲

シンフォニア弦楽四重奏団
セヴェランス・ホール、クリーヴランド(セッション商業録音、ステレオ)
[ソニー;XBDC91008]or[ソニー;SRCR1853]

  ピアノの鬼才グールド(1932生)の出版された唯一の作品。シンフォニア弦楽四重奏団はクリーヴランド管弦楽団のメンバーで、前年にこの作品のアメリカ初演をおこなっていた。
  グールドはこの時期、左肩痛を理由に演奏会を3ヶ月にわたってキャンセルしていたから、この録音はその埋め合わせなのかも知れない。肩通の原因はスタインウェイの調律師が肩を押したためだとグールドは主張し、12月に賠償金30万ドルの訴訟をスタインウェイ社相手に起こすことになる。同社は翌年示談に応じたが、グールドの思い込みだと考える関係者は少なくない。かれが実演から引退するのは64年のことである。



3.14(月)







メンデルスゾーン:華麗なカプリッチョ
ショパン:ピアノ協奏曲第1番

ゲイリー・グラフマン(p)
シャルル・ミュンシュ指揮ボストンso
シンフォニー・ホール、ボストン(セッション商業録音、ステレオ)
[BMGファンハウス;BVCC38449](メンデルスゾーン、RCA原盤)
[NEWTON CLASSICS;8802083](ショパン、RCA原盤、2011)

  11日のライヴ録音も残っている。

3.14(月)

ベートーヴェン:コリオラン序曲、ピアノ協奏曲第5番《皇帝》、交響曲第8番

パウル・バドゥラ=スコダ(p)
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮北ドイツ放送so
ムジークハレ、ハンブルク
[TAHRA132-135]

  (参照2.15-17)



3.14(月)









LP『オペラ管弦楽曲集』(9曲)より7曲

トマス・シッパーズ指揮コロンビアso
マンハッタン・センター、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[ソニー;SRCR1543](4曲)
[SONY;MHK62837](2曲)
[CBS;MDK44998](1曲)
LP〈COLUMBIA;MS6164〉

  [ソニー;SRCR1543]の残り6曲の序曲は12月録音とあるが、翌61年4月3日録音の誤りらしい。


3.14(月)
 &15(火)





89010



ショパン:ポロネーズ2曲、マズルカ4曲、ほか全10曲

マウリツィオ・ポリーニ、ミシェル・ブロック(p)
ムザ・スタジオ、ワルシャワ(セッション商業録音、ステレオ)
[FORLANE;UCD 13519](ポリーニのみ、1986) 
[MUZA;PNCD003](ポロネーズ第5番のみ、1992)
LP〈HELIODOR;89010〉or〈DG;136218〉(MUZA原盤)

  ムザ原盤。第1位のポリーニとルービンシュタイン特別賞のブロック(1937生)による記念録音。ライヴではなくセッションで前者が4曲、後者が6曲。日付はポリーニの録音日。メキシコ在住のブロックは聴衆の大きな支持を受けながらも入賞となる6位までに入れず、第10位に終わった。この順位を不服としたルービンシュタインが個人で特別賞を授与、自腹で第1位賞金の半額(850米ドル)をあたえた。(参照3.12)



3.(?)

ショパン:幻想ポロネーズ、マズルカ第22番、スケルツォ第4番、練習曲第4番、夜想曲第12番、マズルカ第36、49番、前奏曲6曲

イリーナ・ザリツカヤ、タニア・アショト=ハルトゥニャン(p)
ムザ・スタジオ、ワルシャワ(セッション商業録音、ステレオ)
LP〈DG;136219〉(MUZA原盤)

  ショパン・コンクール入賞者による記念盤の2枚目で、第2位のザリツカヤと第3位のイラン人アショト=ハルトゥニャン(1937生)による演奏。



3.中旬(?)

ショパン:24の前奏曲

マウリツィオ・ポリーニ(p)
ワルシャワ(?)
LP〈MUZA;SX1896〉

  これはライヴ録音。月日など詳細は不明だが、優勝記念リサイタルの一つと考えられる。



3.15(火)

ベルリオーズ:歌劇《ベンヴェヌート・チェッリーニ》序曲

デジレ=エミール・アンゲルブレシュト指揮フランス国立放送o
シャンゼリゼ劇場、パリ
LP〈CDC-INA;001〉



3.15(火)

レッサー:ミュージカル《グリーン・ウィロー》

アンソニー・パーキンス、エレン・マッカウン(vo)
アッバ・ボギン指揮のオーケストラ
ウェブスター・ホール、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[DRG;19006]

  ビートルズ以前の時代、ミュージカルのLPは高い人気を誇り、ヒット・チャートの上位をにぎわすこともしばしばだった。そのため、かなりの作品がブロードウェイでの初演後すぐに録音された。繊細な青年役を得意とするアンソニー・パーキンス(1932生)が出演した唯一のミュージカルとなるこの作品も、8日に開幕したばかりである。成功とはいえなかったようで、わずか95公演に終わった。なおパーキンスは、この年に公開されて大ヒットしたヒッチコックの映画《サイコ》の主役を演じて話題になる。
  ブロードウェイでは月曜休演、水曜と土曜が昼夜2回で日曜が昼のみで、週に計8回公演という方式が一般的である。そのためレコード録音は公演の合間を縫う形となり、休演日前後の日曜夜や火曜昼に行なわれることが多い。月曜日に行なった盤もある。



3.16(水)

コヴァーチ:ヴァイオリン・ソナタ

ガブリエッラ・レンギェル(vn)
アッティ・レンギェル(p)
スイス・ロマンド語放送局、ジュネーヴ(セッション放送録音?)
[LE JOUEUR;LJD001]

  ブダペスト出身で西側に活動したデュオ・レンギェル(レンギェル兄妹)による二重奏。母国ハンガリーの4人の作曲家のソナタを集めた放送録音集。



3.16(水)



グルック:歌劇《オルフェとオイリディーチェ》抜粋

リタ・ゴール(Ms)
シャルル・ブルック指揮フランス国立放送リリックo
サル・エラール、パリ
[LE CHANT DU MONDE;LDC 278 813]〈全曲は未レコード化〉

  フランス語版による全曲上演から、オルフェ役のゴールの歌唱部分とバレエを抜粋した、約62分の抜粋盤。他の出演歌手はソートロー、セリグ。



3.16(水)
 -17(木)

ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ

ナタン・ミルシテイン(vn)
ルドルフ・フィルクスニー(p)
キャピトル46丁目スタジオ、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;5 66872 2](キャピトル原盤)

  ドビュッシーは99年にCDで初公刊された。



3.17(木)

プーランク:六重奏曲

フランシス・プーランク(p)フィラデルフィア木管五重奏団員
30丁目スタジオ(?)、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[BOSTON RECORDS;BR1061CD](コロンビア原盤)

  フィラデルフィア木管五重奏団はフィラデルフィアoのトップ奏者たちによる。



3.18(金)

ヘンデル(ハーティ編):《水上の音楽》
デッロ・ジョイオ:3つの交響的舞曲
ベルリオーズ:幻想交響曲

シャルル・ミュンシュ指揮ボストンso
シンフォニー・ホール、ボストン(ステレオ録音)
〈未レコード化〉



3.18(金)

ヴェルディ:歌劇《オテロ》全曲(ドイツ語版)

クレール・ワトソン(S)フリッツ・ウール(T)ヨーゼフ・メッテルニヒ(Br)ほか
フェレンツ・フリッチャイ指揮バイエルン国立歌劇場o、同cho
プリンツレゲンテン劇場、ミュンヘン
〈未レコード化〉



3.18(金)

シューマン:交響曲第2番
ブルックナー:交響曲第4番《ロマンティック》

セルジュ・チェリビダッケ指揮ローマRAIso
ローマRAI公会堂、ローマ(ステレオ録音)
[ARKADIA;CDMP413.1](シューマン)
[CONCERTO;CD CON37](ブルックナー)

  ミラノに続いてローマに登場。このプログラムでは長すぎる観もあり、ブルックナーは別の日の録音かも知れない。(参照2.22)



3.18(金)
 &19(土)





ドヴォルジャーク:交響曲第7番

 ジョージ・セル指揮クリーヴランドo
セヴェランス・ホール、クリーヴランド(セッション商業録音、ステレオ)
[SONY;MH2K 63151](エピック原盤)

  19日には《未完成》も録音。(参照3.11)

3.19(土)

プッチーニ:歌劇《トスカ》全曲

ジンカ・ミラノフ(S)エウジェニオ・フェルナンディ(T)ウォルター・キャッセル(Br)ほか
ディミトリ・ミトロプーロス指揮メトロポリタン歌劇場o、同cho
メトロポリタン歌劇場、ニューヨーク
CD-R〈BENSAR;OL31960〉

  《トスカ》はミトロプーロス(1896生)得意の演目のひとつ。キャッセル(1916生)はおそらくウォレンの代役。



3.19(土)

バルトーク:ピアノ協奏曲第1番
ムソルグスキー(ラヴェル編曲):《展覧会の絵》

ルドルフ・ゼルキン(p)
フリッツ・ライナー指揮ニューヨークpo
カーネギー・ホール、ニューヨーク
[AS DISC;AS526](バルトークのみ、ムソルグスキーは未レコード化)

  当日の曲目は他にストラヴィンスキーのディヴェルティメント。ゼルキン(1903生)は秋に初来日を控えている。(参照3.12)



3.19(土)







ラヴェル:ボレロ
ラフマニノフ:交響的舞曲

ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィアo
ブロードウッド・ホテル、フィラデルフィア(セッション商業録音、ステレオ)
[SONY;SBK48163]
[SONY;SBK48279]

  5.1までにヴィヴァルディの《四季》も録音。

3.19(土)

カントリー・ラジオ番組『グランド・オール・オプリ/プリンス・アルバート・ショー』より
       《イン・ナ・マンション・スタンズ・マイ・ラヴ》

ジム・リーヴズ(Vo)、ほか
ライマン公会堂、ナッシュビル
[COUNTRY MUSIC FOUNDATION;CMF-008D]

  『JIM REEVES LIVE AT THE OPRY』所収。(1.9参照)



3.19(土)

ジャズ『THE 1960 BIRDLAND SESSIONS』より2曲

ビル・エヴァンズ・トリオ
バードランド・クラブ、ニューヨーク
[COOL N`BLUE RECORDS;C&B-CD106]

  CDは3.12、4.30、5.7の録音も含めて全12曲。



3.19(土)
 &20(日)

『ウィーン・アカデミー合唱団東京コンサート』(32曲)

トーマス・クリスチャン・ダヴィッド指揮ウィーン・アカデミー合唱団
文京公会堂&産経ホール、東京(ライヴ商業録音、ステレオ)
[日本ウエストミンスター;JXCC-1053](2009)
LP〈日本ウエストミンスター;SWP-101〉(ウィーン合唱団 東京で歌う)

  2009年発売のCDは、LPの『ウィーン合唱団 東京で歌う』(10曲、1960年5月発売)と『ウィーン・アカデミー合唱団東京コンサート』(ヴォアドール VOS-3004、1960年10月発売)の2枚から32曲をまとめたもの。ただし前者はモノラル盤(MLP-1501)を使用し、後者からは3曲を割愛している。
  19日の文京と20日の産経での録音が収められている。アカデミーとは指揮者ダヴィド(35歳)が教授をつとめるウィーン音楽院のことで、そのOBによる24人の選抜編成。《流浪の民》や《そうらん節》など。2月23日に誕生したばかりの浩宮殿下に捧げる新作〈皇孫に捧げる子守唄〉も含まれている。
  12月31日にウィーンを出発、アメリカで25公演、日本(2月19日から)で14公演したのち東南アジア、インド、中近東を回って5月末にウィーンに帰るという6か月間の大旅行だった。

  日本公演は「呼び屋」神彰(じんあきら)率いるアートフレンドによる。



3.20(日)

ベルリオーズ:レクイエム
フォス:《死の寓話》

ルドルフ・ペトラーク(T)フェリシア・モンテアレグレ(語り)
ヨーゼフ・クリップス指揮バッファローpo
クラインハンス音楽堂、バッファロー
〈未レコード化〉

  クリップスは1953年からバッファロー・フィルの音楽監督。モンテアレグレはバーンスタイン夫人。



3.20(日)

メンデルスゾーン:《フィンガルの洞窟》序曲
ディーリアス:フロリダ組曲より《川の上で》
サン=サーンス:交響詩《オンファールの糸車》
ヘンデル(ビーチャム編):組曲《ラヴ・イン・バス》

トマス・ビーチャム指揮シカゴso
シカゴ
VHSビデオ〈KULTUR;2239〉(カラー)

ビーチャム(1879生)は前年12月から4月にかけてアメリカ楽旅をおこなった。ニューヨークでの《トロイ人》は風邪でキャンセルされた(参照1.12)が、シアトル、ヴァンクーバー、そしてシカゴの演奏会は録音や録画が残っている。3月13日と20日のシカゴの演奏会はカラーでビデオ収録された。後半3曲は、帰英後5月7日のロイヤルpoとの生涯最後の演奏会でも演奏された。(参照3.13)



3.20(日)

モーツァルト:歌劇《ドン・ジョヴァンニ》全曲(ドイツ語訳詞版)

エリーザベト・グリュンマー、ヒルデガルト・ヒッレブレヒト、エディト・マティス(S)フリッツ・ヴンダーリヒ(T)ヘルマン・プライ、ゲオルク・シュテルン、ハンス=ゲオルク・クノープリヒ(Br)フランツ・クラス(Bs)
ヴォルフガンク・サヴァリッシュ指揮ケルン・ギュルツェニヒo、ケルン歌劇場cho
ケルン歌劇場、ケルン
[DG;00289 476 3676 2](2010)

  ケルン歌劇場でオスカー・フリッツ・シュー演出による新制作上演のライヴ。ケルン歌劇場のアーカイフの保存音源から2010年に初めてCD化された。
  2月初めのエレクトローラによるツァノテッリ指揮の抜粋盤と共通するキャストが多い。プライはこのとき実演では初めてドン・ジョヴァンニを歌った。22歳のマティス(1938生)は初日の10日前にオーディションを受けての抜擢だった。



3.20(日)





オリジナル


プログラム



ラテン音楽『プラード・イン・ジャパン』(12曲)

ペレス・プラード楽団
浅草国際劇場、東京(ライヴ商業録音、ステレオ)
[BMGジャパン;BVCM-8701~10]

  10枚組「ザ・マンボ・キング」のボーナス盤。「マンボの王様」プラード(1916生?)の2回目の来日公演(3月12日~21日)を収めたステレオ盤。プラードのファンという清宮貴子内親王(1939生、昭和天皇の五女)のための《プリンセス・スガ》という曲も入っている。おスタちゃんの愛称で国民から親しまれた清宮は、10日前に結婚して臣籍降嫁したばかり。
  当時の日本の聴衆はとても飽きやすく、誰の公演であれ初来日は殺到するが二回目は無関心、という例が多かった。その中では健闘した公演という。



3.20(日)









大相撲「春場所千秋楽結びの一番 若乃花対栃錦」

横綱若乃花と栃錦、北出清五郎(実況)
大阪府立体育会館
DVD〈パイオニアLDC;PIBW-1046〉
〈NHKソフトウェア;NSDS-6908、6909〉(分売)

  DVD『大相撲 20世紀の名勝負(上)』と『大相撲大全集~昭和の名力士~』第弐巻と第参巻に所収。若乃花(1928生)と栃錦(1925生)による大相撲史上初の、千秋楽横綱全勝対決。
 「栃と呼ばれ、若と呼ばれ、ともに一時代を画しました両横綱の決戦であります。ともに14戦全勝であります。力の若乃花か、技の栃錦か」(北出)
  大相撲のすえ、若乃花が寄切で勝利した。これが相撲の「栃若時代」最後の一番となる。『大相撲大全集』には、ここまでの14日間の二人の取組と、直前2月18~29日の栃錦のパリ旅行(エール・フランスによる招待)の模様も収録されている。この旅行のため栃錦は稽古不足、若乃花も蓄膿症で先場所を休場した病み上がりのため、両者の出来が心配されたが、蓋を開けてみたら全勝決戦となった。34度目の対決。栃18勝1不戦勝、若16勝1不戦敗。



3.21(月)

ベルリオーズ:歌劇《ベアトリスとベネディクト》全曲

アイリーン・ジョーダン(S)ミシェル・セネシャル(T)ジャン・ルーブス(Bs)ほか
トーマス・シャーマン指揮リトル・オーケストラ・ソサエティ
カーネギー・ホール、ニューヨーク
〈未レコード化〉

  この楽団と創設者シャーマン(1917生)は、ちょうど一年前に来日公演を行なっている。日本では一般的な曲目ばかりで本領を発揮できなかったが、本拠地ニューヨークでは歌劇の上演など、意欲的な演目で知られていた。手元のテープには4.17(日)とある。放送日か?



3.21(月)

ジャズ『JATPオランピア・コンサート』(8曲)

マイルス・デイヴィス・クインテット
オランピア劇場、パリ
[EUROPE1;710455]

  JATPとはジャズ・アット・ザ・フィルハーモニック、意訳すれば大ホールでのジャズ・コンサートのことである。ヴァーヴ・レコードの社長ノーマン・グランツが44年にロサンゼルスではじめたもの。白人優位の時代に黒人ジャズ奏者を前面に押し出してアメリカ各地の大ホールを巡業、大都市の酒場の音楽だったジャズを地方に広めた。だが、まだ人種差別が公然となされていたアメリカでは政治的にも経済的にも困難が多く、57年からはヨーロッパ巡業のみになった。ヨーロッパはアメリカの白人よりも素直に黒人ジャズの魅力を認めたし、黒人たちも差別のないヨーロッパを好んだのである。
  2月13日の項で紹介した『エラ・イン・ベルリン』もそのベルリン公演からのレコード化。なお翌日のストックホルム公演など、多数がCD化されている。



3.21(月)

リレー落語『おせつ徳三郎』(花見小僧&刀屋)

六代目 春風亭柳橋、五代目 古今亭志ん生
ヤマハ・ホール、東京銀座(第9回東京落語会)
[コロムビア;COCJ-32742]

  東京落語会はこのときからヤマハ・ホールに会場を移した。放送は10日後の31日。



3.22(火)

ビゼー:序曲《祖国》op.19

アレクサンドル・ガウク指揮モスクワ放送so
モスクワ(?)(セッション放送録音?)
[BRILLIANT;8866]

  10枚組「ALEXANDER GAUK EDITION」所収。



3.22(火)









ジャズ『JATPストックホルム・コンサート』(9曲)

マイルス・デイヴィス・クインテット、スタン・ゲッツ・カルテット、オスカー・ピーターソン・トリオ
コンサート・ホール、ストックホルム(一部ステレオ録音)
[DRAGON;DRCD228](6曲)
[TAX;CD3716-2](他3曲)
CD-R〈RX-15/16〉

  前日21日のパリ公演に続くもの。『イン・ストックホルム1960・コンプリート』[DRAGON;DRCD228]にはマイルス・デイヴィスの6曲、『JATP1960 ストックホルム』[TAX;CD3716-2]には他の3曲とMCなどが収められている。
  2枚組CD-R『MILES DAVIS & JOHN COLTRANE LIVE IN EUROPE 1960』〈RX-15/16〉には、デイヴィスの4曲(1曲不完全)がステレオ録音で収録されているが、[JAZZ LIPS;JL776]では同録音を4月3日ミュンヘンでの録音と推定している。

  スタン・ゲッツ・カルテットによる2曲は、『STAN GETZ IN SWEDEN 1958-60』[DRAGON;DRCD263]にも所収。

3.22(火)
 -7.21(木)







ムード音楽『ロマンティック』(10曲)&『夕暮れの音楽』(9曲)

カーメン・ドラゴン指揮キャピトルso
ハリウッド(?)(セッション商業録音、ステレオ)
[東芝EMI;TOCE-11424](CAPITOL原盤)

  ハリウッドのカーメン・ドラゴン(1914-84)の2枚のLPをCD1枚に収めたもの。クラシックやスタンダードをドラゴン自身の編曲で演奏している。キャピトル交響楽団の実体はグレンデール交響楽団といい、ハリウッドのフリー演奏者などで構成された腕利き集団だった。
  録音日は3.22&29、4.27、7.21。他に『ロマンティック』は1959.5.27、『夕暮れの音楽』は1961.3.17が録音日として挙げられている。
  『夕暮れの音楽』はドラゴン&キャピトル交響楽団のアルバム中ただ一つ『ビルボード』誌のトップ40に入ったヒット盤で、1962.4.28から3週間チャートインし、最高で36位を記録した。

3.23(水)



ベルリオーズ:歌劇《トロイ人》ディドンの死
ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》愛の死
マーラー:歌曲集《さすらう若人の歌》

リタ・ゴール(Ms)
ピエール=ミシェル・ル・コント指揮フランスRTFリリックo
パリ
[GALA GL100.573](ベルリオーズ、ワーグナー)
LP〈LE CHANT DU MONDE;LDX78.762/63〉(全曲)

  CDは《パドマーヴァティ》全曲盤の付録。
  当時、パリ・オペラ座の専属で国際的に活躍する歌手は数少ないが、ゴール(1926生)は貴重な例外。(参照3.16)



3.23(水)





落語『小間物屋小四郎』

五代目 古今亭志ん生
ニッポン放送
[ポニーキャニオン;PCCG-00291]

3.23(水)





落語『うどんや』

五代目 柳家小さん
東京放送「日立演芸会」
書籍〈小学館;ISBN:4-09-480122-7〉

  「五代目 柳家小さん落語全集」(20枚組)に所収。

3.下旬
 ~4.上旬

『パリの赤軍合唱団』(全13曲)

ボリス・アレクサンドロフ指揮赤軍cho
パレ・デ・スポール、パリ(ライヴ商業録音、ステレオ)
[LE CHANT DU MONDE;LDX274768]

  赤軍合唱団はソ連では「アレクサンドロフ歌と踊りのアンサンブル」と呼ばれる。指揮者アレクサンドロフ(1905生)の父が1928年に創設した。公演はフルシチョフ首相のパリ訪問と同時におこなわれ、6000人収容のスポーツ宮を連日満員にする人気を誇った。



3.24(木)

パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第1番
チャイコフスキー:交響曲第4番

リカルド・オドノポゾフ(vn)
フランツ・コンヴィチュニー指揮ベルリン・ドイツ国立歌劇場o
国立歌劇場、東ベルリン
[WEITBLICK;SSS0008-2]

  CDジャケットには1961年3月24日のライヴとあるが、コンヴィチュニーのディスコグラフィを掲載したサイト(http://www.geocities.com/Vienna/Studio/2891/konwitschny-dis.htm)では、DRA(ドイツ放送アーカイヴ)のデータにより、1年前の1960年の録音とされている。



3.24(木)

ワーグナー:歌劇《ローエングリン》第1幕への前奏曲

フリッツ・ライナー指揮シカゴso
シンフォニー・ホール、シカゴ
[CHICAGO SYMPHONY ORCHESTRA;CSO-CD96B-2]

  シカゴ交響楽団自主製作盤『THE REINER ERA Ⅱ』所収。



3.24(木)

フォーク『バド&トラヴィス/サンタモニカ・コンサート』(50曲)

バド・ダシール&トラヴィス・エドモンソン
サンタモニカ市民公会堂、カリフォルニア
[FOLK ERA;FE1468CD]

  バド&トラヴィスは、ギターと歌の二人組モダン・フォーク。



3.24(木)

ブラームス:6つのピアノ曲op.118
ショパン:ワルツ嬰ハ短調op.64-2、子守歌op.57、即興曲第1番op.29、即興曲第2番op.36、即興曲第3番op.51、幻想即興曲op.66
シューベルト:ヴァイオリンとピアノのための幻想曲D.934

ヴィルヘルム・ケンプ(p)
ヘディ・ギグラー(vn)(シューベルトD.934のみ)
西部ドイツ放送局、ケルン
[ORFEO;C 721 0721]



3.25(金)

サティ(ドビュッシー編曲):ジムノペディ第1、3番
ラヴェル:ラ・ヴァルス

フリッツ・ライナー指揮シカゴso
シンフォニー・ホール、シカゴ
[CHICAGO SYMPHONY ORCHESTRA;CSO90/12]

  12枚組のシカゴ交響楽団自主製作盤『THE FIRST 100 YEARS』所収。ニューヨーク客演をおえたライナーはただちに本拠地に登場。翌26日にはシューベルトの《未完成》交響曲をRCAに商業録音している



3.25(金)

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲

アルテュール・グリュミオー(vn)
カルロ・マリア・ジュリーニ指揮ヘッセン放送o
フランクフルト
[ANDROMEDA;ANDRCD9116](2013)

  4枚組「The Art of Arthur Grumiaux」所収。当日はマリピエロの交響曲第4番も演奏された。



3.25(金)

メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲

ミシェル・シュヴァルベ(vn)
サミュエル・ボ=ボヴィ指揮スイス・ロマンドo
ヴィクトリア・ホール(?)、ジュネーヴ
[BIDDULPH;LAB164]

  ポーランド生まれでフランスに移ったシュヴァルベ(1919生)は57年からベルリンpoのコンサートマスターを務めているが、同時に独奏者としても活動していた。スイス・ロマンド管弦楽団では44年から2年間コンサートマスターをした。



3.25(金)

ガーシュウィン:ラプソディ・イン・ブルー、ピアノ協奏曲

アンドレ・プレヴィン(p)
アンドレ・コステラネッツとそのオーケストラ
在郷軍人会館、ハリウッド(セッション商業録音、ステレオ)
[ソニー;SICC537]

  プレヴィンのクラシックにおける最初期の1枚。



3.25(金)







シェーンベルク:モノドラマ《期待》

ヘルガ・ピラルツィク(s)
ヘルマン・シェルヘン指揮北西ドイツpo
ヘアフォート、ノルトライン・ウエストファーレン州(セッション録音)
[WERGO;WER67702](2013)
LP〈WERGO;50001〉

  Refernceというレーベルから最初に発売され、WERGOは再発売。



3.25(金)(?)






MYTO盤



プッチーニ;歌劇《蝶々夫人》抜粋

ゼーナ・ユリナッチ(S)エルマンノ・ロレンツィ(T)コスタス・パスカリス(Br)ほか
ベリスラフ・クロプカール/ウィーン国立歌劇場o、同cho
国立歌劇場、ウィーン
[GALA;GL100.529]

  これはこの日の公演ではない。1年後の同日が正しく、[MYTO 2MCD021.254]がその全曲。



3.26(土)

サントス:交響曲第1番

ペドロ・デ・フレイタス・ブランコ指揮リスボン国立so
ポルトガル国営放送スタジオA、リスボン
[PORUTUGALSOM;SP4112]

  ポルトガルを代表する指揮者ブランコ(1896生)は、34年からリスボン国立soの監督を務めている。



3.26(土)

ジョルダーノ:歌劇《アンドレア・シェニエ》全曲

レナータ・テバルディ(S)リチャード・タッカー(T)エットレ・バスティアニーニ(Br)
ファウスト・クレーヴァ指揮メトロポリタン歌劇場o、同cho
メトロポリタン歌劇場、ニューヨーク
[MYTO;2CD00252](2010)

  この頃のテバルディ(1922生)の本拠はスカラ座ではなくメトだった。なおこの日の夜公演の《椿姫》では、カプッチッリ(1929生)がウォレンの代役として、生涯ただ一度のメト出演をしている。(参照3.19)



3.26(土)

ブラームス:ピアノ協奏曲第1番

レナード・シュア(p)
レナード・バーンスタイン指揮ニューヨークpo
カーネギー・ホール、ニューヨーク
[Doremi Records;8017](2013)

  3枚組のLeonard Shure録音集に所収。
  24日から27日までの定期。この定期は「音楽における20世紀の課題」と題されたシリーズのひとつで、「様式の探求」と名づけられていた。曲目はペルゴレージの弦楽のためのコンツェルティーノ第3番、この曲とシベリウスの交響曲第7番、休憩後にブラームスのピアノ協奏曲第1番(独奏シュア)だった。なお中継のあるこの日のみ曲順が変り、ペルゴレージ、ブラームス~ストラヴィンスキー、シベリウスの順に演奏された。



3.26(土)

モーツァルト:大ミサ曲

アグネス・ギーベル(S)イヴリン・リアー(Ms)ペーテル・ムンテアーヌ(T)フレデリック・ガスリー(Bs)
セルジュ・チェリビダッケ指揮ローマRAIso、同cho
ローマRAI公会堂、ローマ(ステレオ録音)
[HUNT;CDLSMH34024]



3.26(土)



テレビ番組『フランク・シナトラ・ショウ/タイメックス・スペシャル』

エルヴィス・プレスリー、フランク・シナトラ、サミー・デイヴィスJr、ピーター・ローフォード、ナンシー・シナトラ(vo)
ネルソン・リドル指揮ネルソン・リドルo、ほか
フォンテーヌブロー・ホテル、マイアミ
[CAPITOL;72435-42771-2-2](一部)
DVD〈QUANTUM LEAP;QLDVD0372〉

  プレスリーは58年から2年間、兵役についていた。西ドイツへの駐屯を終えて帰国、除隊したのは3月5日のことだった。それから3週間後、かれはシナトラのテレビ番組に出演した。曲は復帰第1弾シングルの《本命はおまえだ/恋にいのちを》と、シナトラとの共唱で《ウィッチクラフト》と《ラヴ・ミー・テンダー》である。興奮した女性ファンの絶叫もすさまじく、5月12日に行なわれた放送は高視聴率を獲得した。しかし入隊前の「不良性の魅力」を失ったプレスリーは以後の8年間、映画活動に専念することになる。かれを旗頭とするロックンロールは「理由なき反抗」の音楽であることをやめ、害のないポップスに吸収されつつあった。プレスリーとシナトラの共演は、その象徴ともいえる。「エルヴィスは入隊した日に死んだ」とは、ジョン・レノンの有名な言葉である。



3.26(土)

レース実況『サウンド・オブ・シーブリング1960』(第12回シーブリング12時間耐久レースより)

ポルシェ、フェラーリなどスポーツカーの走行音
シーブリング国際レースウェイ、フロリダ(ライヴ商業録音、ステレオ)
LP〈RIVERSIDE;RLP1173〉

  スポーツカー(運転席に屋根がなく、タイヤはカバーされている)による12時間耐久レースの実況録音。この年は1位と2位がポルシェ718RS60(LPジャケットに写っている)、3位がフェラーリ250テスタロッサ59/60だった。日本ではジャズ・レーベルとして知られるリバーサイドはスポーツカーの走行音のレコードも制作しており、シーブリング(日本ではセブリングとも書かれる)の耐久レースは56年から毎年の実況盤を発売している。



3.26(土)





シューベルト:交響曲第7番《未完成》

フリッツ・ライナー指揮シカゴso
オーケストラ・ホール、シカゴ(セッション商業録音、ステレオ)
[RCA;R32C-1001]

3.26(土)
 -30(水)







ロッシーニ:オペラ序曲集(歌劇《どろぼうかささぎ》序曲ほか計6曲)
シベリウス:交響曲第2番

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮フィルハーモニアo
アビー・ロード・スタジオ&キングズウェイ・ホール、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;TOCE-11019](ロッシーニ)
[EMI;TOCE-9095](シベリウス)

  26、27、30日にアビー・ロード・スタジオでロッシーニを、28と29日にキングズウェイ・ホールでシベリウスとロッシーニの一部を録音している。セッション終了後の4月1日、カラヤン(1908生)はフィルハーモニア管弦楽団との最後の公開演奏を行なっている。曲目はバッハの管弦楽組曲第2番、R・シュトラウスの《死と変容》とシューマンの交響曲第4番で、直前のセッションとは一切重複しないのが面白い。

3.27(日)

ショパン:4つのバラード
シューマン:幻想曲、蝶々

ロベール・カサドシュ(p)
コンセルトヘボウ、アムステルダム
[SONY;SM2K62623]

  カサドシュ(1899生)は4年後の来日公演でもほぼ同様の曲目を演奏している。



3.下旬(?)

メトロポリタン歌劇場オーディション入賞者演奏会(4曲)

メリー・ジェニングス、ラヴェルン・モネット(S)メリー・マッケンジー(Ms)リチャード・タッカー(T)
ロバータ・ピータース(司会)ルドルフ・ビング(祝辞)
クルト・アドラー指揮ABCso
ABCテレビ、ニューヨーク
〈未レコード化〉

  月日不詳。1937年に開始されたメトロポリタン歌劇場の放送オーディションは、ウォレン、スティーバー、メリルなど、40年代以降メトのスター歌手の登竜門となっている。このテレビ演奏会に出演のタッカーとピータースもその優勝者である。優勝者は翌シーズンの公演で脇役を歌える特典があり、このシーズンは1959年の優勝者テレサ・ストラタスが、《カルメン》のフラスキータなどを歌っている。ここで《サンソンとダリラ》の〈あなたの声にわが心は開く〉を歌う1960年の優勝者マッケンジーは1961年2月から1年間出演するが、その後は無名に終わった。司会のピータースは、当時建設が進むリンカーン・センターの新歌劇場のことを紹介している。(決勝は3月24日から26日の間に行なわれた。)



3.27(日)



  東京の読売ホールで行われた「三人の会」で、黛敏郎の曼荼羅交響曲、團伊玖磨の小交響曲(交響曲第三番)、そして芥川也寸志の歌劇《暗い鏡》が、岩城宏之指揮NHK交響楽団などの演奏で初演された。
  芥川の最初で最後のオペラとなった《暗い鏡》は、7日前の20日にNHKラジオで放送初演されており、この日は舞台版初演となる。大江健三郎が台本を書いたことでも話題を呼んだ。
  タイトルは《繃帯》から《青年のオルフェ》、そして《暗い鏡》となったが、のちには《ヒロシマのオルフェ》ともう一度改題された。2001年大阪音楽大学でのライヴ盤がCD化されている。
[カメラータ;CMCD-28009]



3.28(月)







ストラヴィンスキー:バレエ組曲《プルチネッラ》
シベリウス:交響曲第7番(部分)

レナード・バーンスタイン指揮ニューヨークpo
マンハッタン・センター、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[ソニー;SRCR9543]
[SONY;SMK89576]

  24日から27日までの定期のあとに録音されたもの。シベリウスの交響曲第7番も録音され、一部が65年の録音と混合されて発売されている。(参照3.26)



3.28(月)

ジャズ『JOHN COLTRANE LIVE IN`60&`61&`65』より(5トラック)

ジョン・コルトレーン(t-sax)ウィントン・ケリー(p)ポール・チェンバーズ(bs)ジミー・コブ(ds)オスカー・ピーターソン(p)スタン・ゲッツ(t-sax)
アポロ劇場、西部ドイツ放送局、デュッセルドルフ
DVD〈JAZZ ICONS:2.119007〉

  ジョン・コルトレーンのヨーロッパでのテレビ映像を収録したDVDの一部(約34分)。ノーマン・グランツのJATPのツアー(Norman Granz`s JATP Presents Jazz Winners of 1960)の一環として、デュッセルドルフのテレビ・スタジオ(アポロ劇場)で収録された番組の3分の1にあたる。他はスタン・ゲッツ・カルテットとオスカー・ピーターソン・トリオが演奏した。本来ならマイルス・デイヴィス・クインテットとして出演しなければならなかったが、マイルスが出演を拒否したためにコルトレーン以下の4人だけが演奏し、後半の2曲でJATP名物のジャムを行ない、ゲッツとピーターソンが参加する形になった。曲間に拍手があるが、これは後でダビングされたものという。
  放映はジャム部分が1960年4月27日、他が1961年10月24日という。



3.28(月)

落語『淀五郎』

六代目 三遊亭圓生
東横劇場、東京渋谷(第24回東横落語会)
[ソニー;FCCG4302]

  「圓生ライブ名演集」(15枚組)に所収。



3.28(月)
 -30(水)





チャイコフスキー:交響曲第5番

レオポルト・ルートヴィヒ指揮ハンブルク国立po
クルトゥアラウム、ハンブルク(セッション商業録音、ステレオ)
[コロムビア:COCQ-84442](EURODISC原盤)

  ハンブルク国立歌劇場の音楽監督ルートヴィヒ(1908-79)によるオイロディスク録音。

3.28(月)
 -4.4(月)





ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第14番

ジュリアードSQ
RCAスタジオB、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[TESTAMENT;SBT1373](RCA原盤)

  日付は28、4.1、4.4の3日間。

3.29(火)

ベートーヴェン:交響曲第6番《田園》、12のドイツ舞曲(ともに一部分)

ロリン・マゼール指揮ベルリンpo
イエス・キリスト教会、西ベルリン郊外ダーレム(セッション商業録音、ステレオ)
[DEUTSCHE GRAMMOPHON;00289 477 525-4]

  8枚組『LORIN MAAZEL/COMPLETE EARLY BERLIN PHILHARMONIC RECORDINGS 1957-1962』所収。《田園》では1959.11.27-28と12.2-3、ドイツ舞曲では1959.11.24と1960.4.6も録音日として表記されている。



3.29(火)





レズニチェク:4つの祈りと懺悔の歌

ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)ギュンター・ヴァイセンボルン(p)
ランクヴィッツ・スタジオ、西ベルリン(セッション商業録音、ステレオ)
[DEUTSCHE GRAMMOPHON;463 515-2]

3.29(火)





モーツァルト:オーボエ協奏曲、交響曲第34番

レオン・グーセンス(ob)
コリン・デイヴィス指揮シンフォニア・オブ・ロンドン
ウォルサムストウ・タウン・ホール、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;4 63989 2](2012、ワールド・レコード原盤)
  6枚組『SIR COLIN DAVIS - THE EARLY RECORDINGS』所収。
  ディヴェルティメントも同時期に録音された。



3.29(火)

ジャズ『カウント・ベイシー・オーケストラ』(9曲)

カウント・ベイシー・オーケストラ
パレ・ド・シャイヨー、パリ
[EUROPE1;710411/412]

  デューク・エリントン・オーケストラと並ぶビッグ・バンドのパリ公演。



3.30(水)

サルマノフ:交響曲第2番

エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮レニングラードpo
フィルハーモニー大ホール、レニングラード
[MELODIYA;BVCX4033-34]

  サルマノフ(1912生)はレニングラードを拠点にした作曲家。世界初演のライヴ録音。



3.30(水)







ジャズ《ソー・ホワット》《オール・オブ・ユー》

マイルス・デイヴィス・クインテット
コングレスハレ、フランクフルト
[JAZZ LIPS;JL776](2010)
CD-R〈RX-15/16〉

  『MILES DAVIS QUINTET WITH JOHN COLTRANE / THE 1960 GERMAN CONCERTS』及び2枚組CD-R『MILES DAVIS & JOHN COLTRANE LIVE IN EUROPE 1960』所収。

3.31(木)

ワーグナー:楽劇《ワルキューレ》第1幕全曲

ドロシー・ラルセン(S)ラウリッツ・メルヒオール(T)モーゲンス・ウェデル(Bs)
トーマス・イェンセン指揮デンマーク放送o
デンマーク放送コンサート・ホール、コペンハーゲン(ステレオ録音)
[DANACORD;DACOCD319-321]

   3枚組『MELCHIOR ANTHOLOGY VOL.5』所収。
  20世紀最高のヘルデン・テノールであるメルヒオール(1890生)は、50年を最後にオペラの舞台を去っていたが、70歳の誕生日(3.20)を記念して故国の舞台に立ち、その朗々たる黄金の声を再び地上に響かせた。縮めたり飛ばしたり、ミスはあちこちにあるけれど、とても70歳とは信じられぬ声である。きれいなステレオ録音(もちろん、メルヒオール唯一の)も嬉しい。ラジオ放送はモノーラルだったが、担当者が試験的にステレオで録音したものという。
  ラジオ放送を聴いた往年の名コンビ、フラグスタート(1895生)は次のような電報を打った。「親愛なるラウリッツ。今日のお礼を。そして昔日のお礼を。あなたは唯一無二の人」



3.


ベートーヴェン:レオノーレ序曲第3番、《コリオラン》序曲、《エグモント》序曲

イシュトヴァン・ケルテス指揮バンベルクso
クルトゥアラウム、バンベルク(セッション商業録音、ステレオ)
[コロムビア;COCQ-84384](EURODISC原盤)

  ケルテス(31歳)による初期商業録音。同CDに所収のベートーヴェン:交響曲第4番も、同時期の録音と思われる(LPでは《コリオラン》序曲と組み合わされていた)。デッカへの録音を開始するのは1961年からである。



3.


シャイバー(シェイベル):『若き日の芸術家の肖像』からの3つの断片

ピーター・ピアーズ(語り)
マティアス・シャイバー指揮メロス・アンサンブル、ドリアン・シンガーズ
キングズウェイ・ホール、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[DECCA;480 2152](2010)

  シャイバー(1905-60)はハンガリー出身のイギリスの作曲家。この年の9月24日に南アフリカで自動車事故のために急逝する。
  ジェームズ・ジョイスの同名の自伝的小説を歌詞としている。1.19&22録音のサールの交響曲第1番、シャイバーのエレジーと合せてLP化された。



3.







モーツァルト:ディヴェルティメント第10番&11番

コリン・デイヴィス指揮イギリス室内o
ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[ユニバーサル:UCCD-3481,3482(分売)](オワゾリール原盤)

  上記CDには「1963年」とあるが、月日表示もなく信憑性に疑問がある。ここでは1983年にキングが発売した国内盤LP〈キング:L16C1635〉にある「1960年3月」というデータに従う。
  オーストラリア・デッカが発売したCDにも「1961年制作、1960年録音」とある。
3.(?)

モーツァルト:2つのヴァイオリンと管弦楽のためのコンチェルトーネK.190

エマニュエル・ハーウィッツ&エリ・ゴーレン(vn)
コリン・デイヴィス指揮イギリス室内o
ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[DECCA:442 8239]

  オーストラリア・デッカのCD。「1960年録音」としか記載されていないが、上記のディヴェルティメントと同時期の録音なのではないか。ただしオワゾリール原盤とは書かれていない。



3.

グノー:歌劇《ファウスト》第3幕第14曲、マルグリートのアリア

ミラダ・シュブルトヴァー(s)
フランチシェク・ディク指揮プラハ放送so
チェコ放送局スタジオ、プラハ
[RADIOSERVIS;CR365-2]

  シュブルトヴァー(1924)のアリア集『MILADA SUBRTOVA OPERATIC RECITAL』所収。チェコ放送の音源による。



3.

プーランク;2台のピアノのための協奏曲

Julian Lerche、Ingeborg Herkomer(p)
カレル・アンチェル指揮チェコpo
プラハ
[PRAGA;PR254008](1993)

  『Edition Live Karel Ancerl』vol.7所収。



3.





ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第9番

セルジョ・フィオレンティーノ(p)
オリンピック・スタジオ、ロンドン(セッション商業録音)
[CONCERT ARTIST/FIDELIO RECORDINGS;CACD9211-2]

3.

ショパン:バラード第2番、スケルツォ第2番、ほか全5曲

ベンノ・モイセヴィッチ(p)
ニューヨーク
[ARBITER;120]

  日付は不詳。モイセヴィッチ(1890生)晩年の記録。



3.





クレストン:弦楽オーケストラのためのグレゴリオ聖歌

アーサー・リーフ指揮ニューヨーク室内管弦楽団
ニューヨーク(?)(セッション商業録音、ステレオ)
[VANGUARD CLASSICS;SVC-107HD]

3.

バッハ:ブランデンブルク協奏曲全6曲

ウィリー・ボスコフスキー(vn)ほか
ヘルマン・シェルヘン指揮ウィーン国立歌劇場管弦楽団員
コンツェルトハウス・モーツァルトザール(?)、ウィーン(セッション商業録音、ステレオ)
[ユニバーサル ビクター;MVCW-14027-8] (WESTMINSTER原盤)

  独奏者はウィーン交響楽団の団員など。



3.

マーラー:《嘆きの歌》

グンドゥラ・ヤノヴィッツ(S)ソーニャ・ドラクスラー(A)ユリウス・パツァーク(T)
クルト・リヒター指揮ウィーン放送大o、オーストリア放送cho
ウィーン
[ARCHIPEL;ARPCD0515](2011)

  第3稿による2部構成の演奏だろう。CDには録音年しか記載がないが、「レコード芸術」1960年5月号に3月の演奏とある。指揮者クルト・リヒターはこの時期ウィーンの放送局などで仕事をしていた人だが、詳細不明。デビュー間もないヤノヴィッツ(1937生)が参加している。



3-5.

ロック『THE BEATLES / WILDCAT!』(全25曲)

のちのビートルズのメンバー
ポール・マッカートニーの自宅、ほか
[MADMAN;13-14]

  春から初夏にかけ、数ヵ月後にビートルズ(THE BEATLES)と改名するバンド(THE SILVER BEETLESとか、THE BEATALSなどと名乗っていた)による、ポールの自宅などでのリハーサル録音。ドラム抜きの構成。これは海賊盤だが、うち3曲は『アンソロジー第1巻』に所収されて正規発売されている。録音日も場所もいくつかあるようで、一部は60年後半のハンブルク巡業(ここでビートルズは名実ともにプロのバンドとなった)の時期の録音ともされるが、詳細は不明。