Homeへ

1960年6月
(最終更新2014.01.05)

6.1(水)





ラモー:六重奏用に編曲された6つのコンセール

ルイ・オーリアコンブ指揮トゥールーズ室内o
トゥールーズ(セッション商業録音、ステレオ)
[ACCORD;476 9003](CLUB FRANÇAIS DU DISQUE原盤)



6.1(水)
 -10(金)

シューベルト:ピアノ五重奏曲《ます》、弦楽四重奏曲第12番《四重奏断章》

ヤン・パネンカ(p)スメタナQ、フランティシェク・ポシュタ(b)
ドモヴィナ・スタジオ、プラハ(セッション商業録音、ステレオ)
[SUPRAPHON;SU3738-2 111]

  録音日は1-4、6-10。ベートーヴェンの大フーガも録音された。断章の録音日は9&10日とする説がある。



6.1(水)
 -19(日)

バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻

ヘルムート・ヴァルヒャ(cemb)
ティーンハウス、ハンブルク(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;7243 4 89161 2 9]

  第2巻とともに1961年1月とするCDもあるが、ここでは[東芝EMI;CE25-5768]所収の、第1番のためのデータに従った。



6.2(木)(?)


ヴェルディ:歌劇《ファルスタッフ》全曲

イルヴァ・リガブエ(S)オラリア・ドミンゲス(Ms)ゲライント・エヴァンズ(Br)ほか
ヴィットリオ・グイ指揮ロイヤルpo、グラインドボーン祝祭cho
グラインドボーン歌劇場(グラインドボーン祝祭歌劇)
[GLYNDEBOURNE;GFOCD 012-60](2011)

  音楽祭の記録用録音で、年月のみで日付の記載がないので、6月最初の公演と仮定しておく。この作品は6月に2、4、7、11、15、17、21、23日と8回上演されたので、他の日の録音の可能性も高い。なお4日はBBCの中継が入っているので、おそらくこの日ではない。
  イギリスのグラインドボーン祝祭歌劇は5月24日から8月16日まで開催され、グイ指揮の《清教徒》《ファルスタッフ》《チェネレントラ》、ルートヴィヒ指揮の《ばらの騎士》、プリッチャード指揮の《ドン・ジョヴァンニ》、ビーチャムが降板してデイヴィスが代役となった《魔笛》の6演目が、85日間に70回公演された(その後、8月下旬から9月上旬までエディンバラ国際祝祭に客演)。
  《ファルスタッフ》は5月27日から6月23日まで11回上演された。



6.2(木)





ベートーヴェン:弦楽三重奏曲第2、4、1番

レオニード・コーガン(vn)ルドルフ・バルシャイ(va)ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(vc)
芸術家の家(ルドルフィヌム)、プラハ(プラハの春音楽祭)
[SUPRAPHON;SU4052-2](2011)

6.2(木)

LP『日本女子大学合唱団第5回定期演奏会』(全14曲)

木下保指揮日本女子大学cho、千葉馨(hrn)ほか
共立講堂、東京神田
自主制作LP〈コロンビア;PLP-19〉

  日本女子大学合唱団は、当時日本屈指の女声合唱団だった。合唱指導者として名高い木下保(1903生)のもと、63年からは3年間連続で全日本合唱コンクール優勝をはたすことになる。この演奏会もブラームス作曲の〈2つのホルンとハープの伴奏による女声合唱のための4つの歌〉では、ホルンの千葉馨(1928生)などNHK交響楽団員3名が助演する豪華なもの。



6.2(木)









ベートーヴェン:《プロメテウスの創造物》序曲、交響曲第6番《田園》、同第7番

オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニアo
楽友協会大ホール(ウィーン祝祭週間)
[CETRA;CDE1038](序曲)
[CETRA;CDE1068](第6番)
[CETRA;CDE1008](第7番)




6.2(木)

落語『くやみ』

六代目 三遊亭圓生
NHK
[ソニー;FCCG4304]

  『圓生ライブ名演集』(15枚組)に所収。



6.2(木)
 &3(金)







ビゼー:劇音楽《アルルの女》第1&第2組曲
ヴェルディ:歌劇《ナブッコ》序曲、歌劇《ジョヴァンナ・ダルコ》序曲、歌劇《マクベス》バレエ音楽
リトルフ:《マキシミリエン・ロベスピエール》序曲
シューマン:《ユリウス・カエサル》序曲

ヘルマン・シェルヘン指揮北西ドイツpo
ヘアフォート、ノルトライン・ウエストファーレン州(セッション放送録音)
[TAHRA;TAH510-511](ビゼー)
[TAHRA;TAH185-189](ナブッコ)
LP〈PhG;1002〉(ジョヴァンナ・ダルコ)他は未発売

  西部ドイツ放送による録音。《ナブッコ》序曲は3日録音で、「ヘルマン・シェルヘンに捧ぐ」と題された5枚組に所収。(参照2.12&15)



6.3(金)



ショパン:ピアノ・ソナタ第2番
ラヴェル:夜のガスパール

アルトゥール・ベネデッティ・ミケランジェリ(p)
芸術家の家(?)、プラハ(プラハの春音楽祭)
[PRAGA;PR250042](ショパン)
[MULTISONIC;310193-2](ラヴェル)

  ラヴェルは5月20日とあるが、おそらくこの日の誤表記。
  このリサイタルは大木正興と門馬直美が聴いているが、ともに感心しなかったらしい。技巧と音色はすごいが、冷たく気取っていて独りよがりだということを異口同音に語っている。
  「すごい技巧と見事な音色をもった名手だが、音楽は冷たく気取がある。特にショパンはひややかなネオンに照明されたような感じを受ける音楽だった」(大木正興『レコード芸術』昭和35年8月号)



6.3(金)
 &8(水)

モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番、第23番

エリク・ハイドシェック(p)
アンドレ・ヴァンデルノート指揮パリ音楽院o
サル・ワグラム(?)、パリ(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;TOCE-16044](2012)

  宇野功芳の絶賛により、日本にハイドシェック(1936生)の名を知らしめたアルバム。第20番が3日、第23番が8日の録音となっている。



6.3(金)
 &4(土)





モーツァルト:モテット《エクスルターテ・ユビラーテ》、《ヴェスペレ》より〈ラウダーテ・ドミヌム〉

マリア・シュターダー(S)
フェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン放送so、RIAS室内cho
イエス・キリスト教会、西ベルリン(セッション商業録音、ステレオ)
[ユニバーサル;UCCG-3429](モーツァルト)

6.3(金)
 -9(木)







ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲
チェレプニン:ピアノとオーケストラのための10のバガテル

マルグリット・ヴェーバー(p)
フェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン放送so
イエス・キリスト教会、西ベルリン(セッション商業録音、ステレオ)
[ポリドール;POCG-6036](ラフマニノフ)
[DGG;463085-2](チェレプニン)

  前項のモーツァルトと並行して録音されたもの。



6.4(土)

ヴェルディ:歌劇《ファルスタッフ》全曲

イルヴァ・リガブエ(S)オラリア・ドミンゲス(Ms)ゲライント・エヴァンズ(Br)ほか
ヴィットリオ・グイ指揮ロイヤルpo、グラインドボーン祝祭cho
グラインドボーン歌劇場(グラインドボーン祝祭歌劇)
〈未レコード化〉

  BBCによる中継を音源とする録音。6月2日に挙げた音楽祭独自の記録用音源とは別のものである。



6.4(土)





ジャズ『LEE MORGAN/UNFORGETTABLE LEE!』より2曲

アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ
バードランド・クラブ、ニューヨーク
[FRESH SOUND RECORDS;FSR-CD357]


6.4(土)

カントリー・ラジオ番組『ルイジアナ・ヘイライド』より10曲(チャック・ベリー:《30日間》、ロビンズ:《ビッグ・アイアン》、ほか)

ジューン・カーター(Vo)
市立公会堂、シュリーヴポート
[SCENA RECORDS;270708-2]

  ジューン・カーター(1929-2003)は女性カントリー歌手。カーター・ファミリーの一族。ラジオの人気番組「ルイジアナ・ヘイライド」にデビューしたときのライヴ。



6.4(土)







ベートーヴェン:《コリオラン》序曲、交響曲第8番

オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニアo
楽友協会大ホール(ウィーン祝祭週間)
[CETRA;CDE1008](コリオラン)
[CETRA;CDE1033](第8番)

  当日はシェリングの独奏でベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲も演奏されたが、未レコード化。



6.4(土)
 -6(月)







ワーグナー:『前奏曲と序曲集』より3曲
バルトーク:弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽

アンタル・ドラティ指揮ロンドンso
ウェンブリー・タウン・ホール、ロンドン郊外(セッション商業録音、ステレオ)
[フォノグラム;PHCP-10228](ワーグナー)
[MERCURY;434 357-2](バルトーク)

  ワーグナーは4日、バルトークは5&6日。6&7日にリストの前奏曲、7-12日にレオノーレ序曲第3番も録音している。ドラティはこの後、18日までにチャイコフスキーの交響曲第4番や《悲愴》などを集中的にセッション録音している。
  実演では同時期にマーラーの《大地の歌》などを指揮していた。

6.5(日)

ドヴォルジャーク:チェロ協奏曲

ザラ・ネルソヴァ(vc)
ゲオルク・ルートヴィヒ・ヨッフム指揮ベルリン放送so
西ベルリン
LP〈LONGANESI PERIODICI;GCL31〉

  オイゲン・ヨッフムの7歳下の弟ゲオルク(1909生)は、54年から59年までこの楽団の首席指揮者だった。



6.5(日)

ベッリーニ:歌劇《清教徒》全曲

ジョーン・サザランド(S)ニコラ・フィラクリディ(T)エルネスト・ブラン(Br)ほか
ヴィットリオ・グイ指揮ロイヤルpo、グラインドボーン祝祭cho
グラインドボーン歌劇場(グラインドボーン祝祭歌劇)
[GLYNDEBOURNE;GFOCD 009-60](2010)

  グラインドボーン祝祭歌劇の保存用録音からCD化されたもの。
  グラインドボーン祝祭歌劇のこの年の目玉であるサザランド(1926生)主演の《清教徒》は、イギリスでは1887年以来73年ぶりの上演で、音楽祭開幕の5月24日から6月26日まで11回上演された。この晩は6回目にあたる。
  この後、18日の9回目の上演をBBCが中継し、さらに9月8日にはエディンバラ国際祝祭での上演も放送され、いずれも録音が現存している。



6.5(日)

ストラヴィンスキー:ミサ曲

イーゴリ・ストラヴィンスキー指揮コロンビアsoの木管と金管、グレッグ・スミス・シンガーズ
在郷軍人会館、ハリウッド(セッション商業録音、ステレオ)
[SONY BMG;88697103112]

  4日後に《記念碑》を録音。



6.5(日)

ツィンマーマン:ディアローク

アルフォンス&アロイス・コンタルスキー(p)
シクステン・エールリンク指揮ケルン放送so
西ドイツ放送局、ケルン
[BMG;74321 73509 2]

  2台ピアノとオーケストラによる協奏曲。CD解説には12月5日に世界初演、とあるが…。



6.前半(?)













ラフマニノフ:ピアノ・ソナタ第2番
リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調
ショパン:幻想曲

ヴァン・クライバーン(p)
音楽院大ホール(?)、モスクワ(ライヴ商業録音、ステレオ)
[RCA;09026-63612-2](ラフマニノフのみ)
[MELODIYA;MEL CD 10 01627](リストのみ、モノラル、2009)
LP〈MELODIYA;06843-44〉
DVD〈VAI;4455、4456〉(ラフマニノフとリスト、2008,09)

  1958年にモスクワで開催されたチャイコフスキー・コンクールで優勝、一夜にしてアメリカのスターとなったクライバーン(1934生)は、ソ連の聴衆にも「鉄のカーテン」の外の明るく輝かしい世界を象徴する存在として、大変な人気があった。
  コンクール後初のこのツアーは国務省の派遣により、アイゼンハワー大統領のソ連訪問にあわせての親善公演となるものだった。しかしU2型機撃墜事件のために大統領の招待は取消されてしまい、クライバーンも冷淡な反応や非難を覚悟したが、予想外の熱狂的歓迎を受けたという。このリサイタルの録音日は月日不詳だが、3日にモスクワで協奏曲を弾いているので,その前後ではないかと思われる。ツアーは8月末までの長期にわたっている。
  アメリカではラフマニノフのソナタのみが発売されたが、ソ連ではリストのロ短調ソナタとショパンの幻想曲を含む2枚組LPで発売された。
  リストのソナタは5枚組『VAN CLIBURN IN MOSCOW』で初CD化。
  映像は『VAN CLIBURN IN MOSCOW』VOL.4と5に所収。

6.6(月)





オネゲル:ヴィオラ・ソナタ
ヒンデミット:ヴィオラ・ソナタ

フョードル・ドルジーニン(va)
マリア・ユーディナ(p)
モスクワ音楽院小ホール
[MOSCOW STATE CONCERVATOIRE;SMC CD 0035]



6.6(月)
 -17(金)

バッハ:ミサ曲ロ短調

サラメー・エンディック、アデーレ・アッディソン(S)フローレンス・コプルフ(Ms)マロリー・ウォーカー(T)エイラ・バーベリアン(Bs)
ロバート・ショー指揮ロバート・ショーo、同cho
マンハッタン・センター、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[RCA;09026-63529-2]

  ショー(1916生)は4月から5月にかけての6週間、アメリカ36都市で36回の演奏会をおこない、この作品だけを演奏してきた。これはほぼ同一のメンバーで録音したもの。翌年のグラミー賞のクラシック合唱曲部門を受賞している。



6.7(火)





ファリャ;7つのスペイン民謡

テレサ・ベルガンサ(Ms)ジェラルド・ムーア(p)
BBC放送局、ロンドン
DVD〈EMI;DVA4901259〉

  5月にコヴェント・ガーデン歌劇場へ《セビリャの理髪師》のロジーナ役でデビュー、人気歌手となったベルガンサ(1934生)のテレビ出演。(参照5.21)

6.前半(?)

『テレサ・ベルガンサ/古典オペラ・アリア集』(8曲)

テレサ・ベルガンサ(Ms)
アレクサンダー・ギブソン指揮コヴェント・ガーデン王室歌劇場o
ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[DECCA;421327-2]

  日付不詳。グルック、ペルゴレーシ、ヘンデル、ケルビーニ、パイジェッロのオペラのアリアが歌われている。コヴェント・ガーデンでの《理髪師》は5月31日までなので、録音セッションは上旬の早い時期と推定される。



6.7(火)







ベートーヴェン:交響曲第1、9番

ヴィルマ・リップ(S)ウルズラ・ベーゼ(Ms)フリッツ・ヴンダーリヒ(T)フランツ・クラス(Bs)
オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニアo、ウィーン楽友協会cho
楽友協会大ホール(ウィーン祝祭週間)
[CETRA;CDE1033](第1番)
[CETRA;CDE1051](第9番)

  クレンペラーのベートーヴェン・チクルス最終日。



6.7(火)
 &8(水)





チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番

バイロン・ジャニス(p)
ハーバート・メンゲス指揮ロンドンso
ウェンブリー・タウン・ホール、ロンドン郊外(セッション商業録音、ステレオ)
[MERCURY;432 011-2]


6.8(水)

義太夫『仮名手本忠臣蔵』より三段目、松の間の段

八世竹本綱大夫(浄瑠璃)十世竹澤彌七(三味線)
キングレコード・スタジオ、東京音羽(セッション商業録音)
[キング;KICW2505]

  綱太夫(1904生)と彌七(1910生)の名コンビによる忠臣蔵の通し録音から。ステレオ録音もありそうだが、世に出ているのはモノラルのみ。



6.8(水)
 &9(木)









ムソルグスキー:交響詩《はげ山の一夜》
ベートーヴェン:《ウェリントンの勝利》
スメタナ:交響詩《モルダウ》

アンタル・ドラティ指揮ロンドンso
ウェンブリー・タウン・ホール、ロンドン郊外(セッション商業録音、ステレオ)
[フォノグラム;PHCP-10232](ムソルグスキー)
[MERCURY;434 360-2](ベートーヴェン)
[MERCURY;289 462 953-2](スメタナ)

  《はげ山の一夜》は8日、《ウェリントンの勝利》と《モルダウ》は9日。
  《ウェリントンの勝利》には、8月20日にウエストポイントで砲撃音が録音されてダビングされた。1958年録音の大ヒット作《1812年》に倣ったもの。さらに11月22、23日にディームズ・テイラーによる解説が録音される。


6.8(水)
 -11(土)







ベートーヴェン:序曲集(4曲)
R・シュトラウス:交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》、《ドン・ファン》

オイゲン・ヨッフム指揮アムステルダム・コンセルトヘボウo
コンセルトヘボウ、アムステルダム(セッション商業録音、ステレオ)
[ユニバーサル;UCCP-3288、3292](PHILIPS原盤)

  ベートーヴェンは8-10日、R・シュトラウスは10&11日の録音。ヨッフム(1902生)はハイティンクとともに翌年秋からコンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者となる。


6.9(木)



ストラヴィンスキー:《ジュズアルド・ディ・ヴェノーサ400年祭のための記念碑》
シューベルト(ヴェーベルン編):ドイツ舞曲D820

イーゴリ・ストラヴィンスキー指揮コロンビアso
ロバート・クラフト指揮コロンビアso団員(シューベルト)
在郷軍人会館、ハリウッド(セッション商業録音、ステレオ)
[CBS;SX9K64136]
[SONY;82876-78746-2](シューベルト)

  ストラヴィンスキーと協力者クラフトによるセッション。《ジュズアルド・ディ・ヴェノーサ400年祭のための記念碑》はジュズアルドの3つのマドリガーレによるパラフレーズで、3か月後の9月にヴェネツィアのビエンナーレで初演される新作。
  クラフトはストラヴィンスキーの練習の下拵え役をしていた。



6.9(木)

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番《熱情》

スビャトスラフ・リヒテル(p)
音楽院大ホール、モスクワ(ライヴ商業録音)
[BMG;BVCX4052](メロディア原盤)

  6月2日、リヒテル(1915生)、マリア・ユージナ、アンドレイ・ヴォルコンスキーの3人は交代で詩人ボリス・パステルナークの葬儀のさいにショパンの葬送行進曲などを演奏した。パステルナークは57年出版の小説『ドクトル・ジバコ』でソ連政府の怒りを買い、ソビエト作家同盟から除名の上で翌年に受賞したノーベル文学賞も辞退させられ、失意と不遇のうちに5月30日に肺ガンのためモスクワ郊外ペレデルキノで没した。数千人が集まったその葬儀は、参列した多数のロシア知識人のやり場のない怒りにみちたという。
  パステルナークの愛人で、『ドクトル・ジバコ』のヒロイン、ラーラのモデルともいわれるオリガ・イヴィンスカヤ(1912生)とその娘は、8月16日に密輸の罪(無実)で逮捕され、シベリアのラーゲリに送られた。娘は62年、オリガは64年まで拘留された。生前のパステルナーク本人には手を出せなかった官僚たちの陰謀といわれる。



6.

ハイドン:ピアノ・ソナタ第20番

スビャトスラフ・リヒテル(p)
モスクワ
[BMG;BVCX4062](メロディア原盤)

  6月としかわからないが、《熱情》と前後する日時だろう。



6.

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第3、7番

スビャトスラフ・リヒテル(p)
フィルハーモニー大ホール、レニングラード
[ICON;ICN-9402-2]

  日付不詳。



不詳

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第8番

ダヴィート・オイストラフ(vn)レフ・オボーリン(p)
フィルハーモニー小ホール、レニングラード
[ICON;ICN-9403-2]

  年のみで月日は不詳。しかし初夏の時期にオイストラフ(52歳)はレニングラードでベートーヴェン・リサイタルを開いているので、おそらくはその録音。この場合、6月半ば以降にパリとリスボンで録音を残しているために、上旬の演奏会と考えられる。



6.9(木)
 &14(火)

オッフェンバック;喜歌劇《地獄のオルフェ》抜粋(英語版)

ジューン・ブロンヒル(S)スザンヌ・スティール(Ms)ケヴィン・ミラー(T)、ほか
アレクサンダー・フェイリス指揮サドラーズ・ウェルズo、同cho
アビー・ロード・スタジオNo.1、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;5 75999 2]

  ロンドンのサドラーズ・ウェルズ歌劇団(現在のイングランド・ナショナル・オペラ)は1950年代末に《こうもり》《メリー・ウィドウ》《微笑みの国》などのオペレッタを上演して好評を博した。これは一連のオッフェンバック作品の第1作。
  公演は5月2日のリーズの大劇場からトライアウト(試演)が始まり、5月17日から4週間、ロンドンのサドラーズ・ウェルズ劇場で上演された。ミュージカルのようにトライアウトを行なっているのが面白い。これは並行してスタジオ録音されたもの。



6.10(金)

ストラヴィンスキー:歌劇《マヴラ》

ジャンナ・ガッリ(S)フェドーラ・バルビエリ(Ms)ジャンパオロ・コッラーディ(T)
マリオ・ロッシ指揮ミラノRAIo
ミラノ
CD-R〈PREMIERE OPERA;CD2479-1〉

  ロッシは同日にストラスヴールで演奏しているので、日付は放送日だろう。イタリア語訳詞による。



6.10(金)

フィリッポ:二つのオーケストラのための作品

ヘルマン・シェルヘン指揮フランス国立放送o
パリ(?)
[SOLSTICE;SOCD120]

  CDには8.2とあるが、この日付が正しいらしい。CDは放送日か。クセナキスの《ピトプラクタ》も録音した。



6. 10(金)

ヴェルディ:レクイエム

マルチェッラ・ポッベ(S)ルチア・ダニエリ(Ms)ジャンニ・ライモンディ(T)フェルッチョ・マッツォーリ(Bs)
マリオ・ロッシ指揮トリノRAIo、同cho
ノートルダム聖堂、ストラスブール(ストラスブール音楽祭)
[BONGIOVANNI;GB1187-2](インジェミスコのみ)

  ジャンニ・ライモンディのアリア集に〈インジェミスコ〉のみが所収されている。ストラスブール音楽祭は1932年開始のフランス最古の音楽祭。5日後のシュヴァルツコップのリサイタルもCD化されている。



6. 10(金)

チャイコフスキー:アンダンテ・カンタービレ
ドルドラ:思い出
ドリゴ:セレナード
ヘンデル:ラルゴ


巌本真理(vn)
鷲目五郎(p、エレクトーン)
キングレコード音羽スタジオ、東京(ステレオ、セッション商業録音)
[キング;KICC788/9](2009)

  2枚組『巌本真理の芸術』所収。教材用の録音で、一般には発売されなかったが、2009年にCD化された。



不詳

『巌本真理 ヴァイオリン小品集』(18曲)

巌本真理(vn)
坪田昭三(p、エレクトーン)
東京(セッション商業録音)
[山野楽器;YMCD-1083](東芝原盤、1999)

  月日不詳。上記とは別に東芝音工が録音したもので、こちらはモノラル。



6.10(金)

マーラー:交響曲第2番《復活》

テレサ・スティッヒ=ランダル(S)ウルズラ・ベーゼ(A)
ヨーゼフ・クリップス指揮ウィーンso、ウィーン楽友協会cho
楽友協会大ホール(ウィーン祝祭週間)
〈未レコード化〉

  ロンドンのベートーヴェン・チクルスを終えたクリップス(1902生)が故郷ウィーンに登場。



6.11(土)

ブリテン:歌劇《夏の夜の夢》全曲

アルフレッド・デラー(C-T)ジェニファー・ヴィヴィアン(S)ピーター・ピアーズ(T)フォーブズ・ロビンソン(Bs)レオニード・マシーン2世(語り)ほか
ベンジャミン・ブリテン指揮イギリス・オペラ・グループo
ジュビリー・ホール、オールドバラ(オールドバラ音楽祭)
〈未レコード化〉

  オールドバラ音楽祭における世界初演の模様をBBCが中継したもの。11、15、22、24日と4回公演された。続いてオランダ音楽祭でも上演されている。



6.11(土)

ロッシーニ:歌劇《アルジェのイタリア女》抜粋

フェドーラ・バルビエリ(Ms)ニコラ・モンティ(T)パオロ・ワシントン(Bs)ほか
フランコ・カプアーナ指揮フィレンツェ5月音楽祭o、同cho
ペルゴラ劇場(?)(フィレンツェ5月音楽祭)
[GALA;GL100.711](独唱3曲)
LP〈LONGANESI PERIODICI;GML53〉(全曲は未レコード化)

  CDはザンドナーイの歌劇《エケブの騎士》全曲盤の付録。



6.11(土)
   (?)

ブルックナー:交響曲第0番

フェルディナント・ライトナー指揮バイエルン放送so
ヘルクレスザール、ミュンヘン(ステレオ録音)
[ORFEO;C269921B]

  当時の放送録音としては珍しくステレオ録音であり、定期演奏会の記録にも該当しないことから、70年録音の誤りではないかと推測する人もいる。しかし70年にも該当記録はなく、謎が残ることからここにあげておく。



6.11(土)

ルコック:喜歌劇《小既婚者》抜粋

ユゲット・ブーランジョ(S)ルイ・アメル(T)ルシアン・ロヴァノ(Br)ほか
ロジェ・エリ指揮フランス放送リリックo、同cho
フランス国立放送、パリ(セッション放送録音)
[MUSIDISC;201962]

  ルコックの喜歌劇《心と手》全曲盤の付録。



6.12(日)

バッハ:ヴァイオリン協奏曲第1番、ブランデンブルク協奏曲第6番、オーボエとヴァイオリンのための協奏曲、カンタータ第21番《わが心に憂い多かりき》よりシンフォニア

シモン・ゴールドベルク(vn&指揮)オランダ室内o
ジャニー・ファン・ウェリング(cemb)ハーコン・ストチジン(ob)
フラムリンガム教会、オールドバラ(オールドバラ音楽祭)
[MUSIC&ARTS;CD-1223](2009)

  8枚組『SZYMON GOLDBERG CENTENARY EDITION/Vol.1:NON-COMMERCIAL RECORDINGS』所収。ゴールドベルク(1909-93)とオランダ室内管弦楽団がオールドバラ音楽祭に客演したさいのライヴ。BBC放送が録音した音源。



6.12(日)

チャイコフスキー:交響曲第4番

アンタル・ドラティ指揮ロンドンso
ウェンブリー・タウン・ホール、ロンドン郊外(セッション商業録音、ステレオ)
[MERCURY;434 373-2]

  同日にベートーヴェンの《プロメテウスの創造物》序曲も録音された。



6.12(日)

ヴェルディ:レクイエム

ガリーナ・ヴィシネフスカヤ(S)イリーナ・アルヒーポワ(Ms)ウラディーミル・イワノフスキー(T)イワン・ペトロフ(Bs)
アレクサンデル・メリク=パシャエフ指揮レニングラードpo、グリンカ・アカデミーcho
フィルハーモニー大ホール、レニングラード
[MELODIA;MEL CD10 00433]



6.12(日)

ストロース:ミュージカル《バイ・バイ・バーディ》より〈日曜夜への賛歌〉

ディック・ヴァン・ダイクほか、ブロードウェイ・キャスト
CBSテレビ、ニューヨーク(エド・サリヴァン・ショー)
[TVT RECORDS;TVT9436-2]

  『THE SULLIVAN YEARS』シリーズの2枚組『THE BEST OF BROADWAY』所収。4月14日の初日(OBC盤は4月24日録音)以来ヒットを続けていたミュージカルの一座がテレビ番組『エド・サリヴァン・ショー』に登場したときの音声部分。
  このミュージカルには当時のアメリカの風俗が取り入れられており、「エド・サリヴァン・ショー」も日曜夜の人気番組として取り上げられている。その歌を本家のテレビ番組で歌うという趣向。
  この晩は12周年記念番組(前身も含む)で、他にルイ・プリマ&キーリィ・スミス、コニー・フランシス、ビクター・ボージ(コミック・ピアニスト)などが出演した。



6.12(日)
 -19(日)

ブラームス:ハンガリー舞曲集(8曲)
ドヴォルジャーク:スラヴ舞曲集(5曲)

フリッツ・ライナー指揮ウィーンpo
ゾフィエンザール、ウィーン(セッション商業録音、ステレオ)
[DECCA;448 568-2]

  次項のカラヤンの《こうもり》とライナー自身のレクイエムとの合間を縫って録音されたもの。デッカがRCAからライナーを借りて自社制作した盤。12、13、16、19日にセッションが行なわれた。



6.12(日)
 -20(月)

J・シュトラウス:喜歌劇《こうもり》全曲(ガラ公演)

ヒルデ・ギューデン(S)ヴァルデマール・クメント(T)エバーハルト・ヴェヒター(Br)ほか
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーンpo、ウィーン国立歌劇場cho
ゾフィエンザール、ウィーン(セッション商業録音、ステレオ)
[ポリグラム;POCL2278-9](DECCA原盤)

  興味深いのは、半年後の国立歌劇場での大晦日の新制作初演と、この録音との関係である。67年にカラヤンが創始するザルツブルク復活祭では、演目の《ワルキューレ》を半年前にセッション録音しておき、上演と同時に記念盤として発売する商略をカラヤンは採用する。しかしこの60年の2種の《こうもり》は、そのような複合商法によるものではなかった。むしろデッカは実演と商業録音とには一線を画す方針をとっていた。配役も異なるし、第2幕にテバルディ以下11人のゲストによる歌唱を挿入して「《こうもり》のガラ公演」とタイトルに謳い、実演ではありえない夢の競演を売り物にしたのは、まさにレコードならではの魅力を付加するためだろう。
  なお国内盤などでは「ガラ公演付き」としてゲストの歌唱部分を「ガラ公演」と見なしているが、外盤の表記を字義通りに取れば、レコード全体が特別の「ガラ公演」という意味になる。
  ゲストの歌唱は、このセッションとは別に各地で録音されており、カラヤン指揮ではない。ゲスト部分の録音月と場所は以下のように推定される。

6月ウィーン テバルディ、ニルソン、ビョルリンク、プライス、ヴェリッチュ
6月ロンドン ベルガンサ、サザランド、コレナ
7月ローマ デル・モナコ、シミオナート&バスティアニーニ

  この録音の直前の5月31日から6月12日にかけ、カラヤンは《ニーベルンクの指環》の全曲チクルスを上演している。国立歌劇場では戦後最初のチクルスだった。またセッション中の18日と19日には《大地の歌》を楽友協会で演奏した。
「この曲を指揮するにはカラヤンは幸福な、そしてあまりに慾の強い人間でありすぎる」(大木、『レコード芸術』35-8、ヨーロッパ楽信)
  この期間の国立歌劇場の演目 《神々の黄昏》(12、14日)、《アイーダ》(13日)、《アラベラ》(15、17日)、《仮面舞踏会》(16日)、《カルメン》(18日)、《トスカ》(20日) 指揮はカラヤン、マタチッチ、モリナーリ=プラデッリなど。



6.12(日)
 -26(日)



ヴェルディ:レクイエム(部分)

レオンティン・プライス(S)ロザリンド・エリアス(Ms)ユッシ・ビョルリンク(T)ジョルジョ・トッツィ(Bs)
フリッツ・ライナー指揮ウィーンpo、ウィーン楽友協会cho
ゾフィエンザール、ウィーン(セッション商業録音、ステレオ)
[DECCA;467 119-2](レクイエム)

  独唱者がメトロポリタン歌劇場の歌手たちなのは、デッカと提携していたRCAの依頼による制作だからだろう。12、13、16、19、26日にセッションが行なわれ、5月28、30、31日のセッション(おそらく合唱部分のみ)での録音と合わせて完成された。前項の《こうもり》もレクイエムも声楽つきの大編成だから、日程調整は大変だったにちがいない。
  プライスは9日にジュリーニ指揮のフィルハーモニア管弦楽団のウィーンでの演奏会でもこの曲を歌い、予行演習をしている。



6.13(月)

シュミット:ミュージカル《ファンタスティックス》(16曲)

ジェリー・オーバック、ケネス・ネルソン、リタ・ガードナー、ウィリアム・ラーセン、ヒューイ・トマス、ほか
ジュリアン・ステイン、ロバート・マックナミー(p)ベヴァリー・マン(harp)ボビー・ローゼンガーデン(perc)フランク・マルティネス(bs & vc)
ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[DECCA BROADWAY;314 543 665-2](MGM原盤)

  トム・ジョーンズ作詞、ハーヴェイ・シュミット作曲による、史上最も有名なオフ・ブロードウェイ・ミュージカルの初演キャスト盤。5月3日にオフ・ブロードウェイのサリヴァン・ストリート・プレイハウス(約150席)で開幕し、2002年1月13日の終了まで実に42年間、オフ・ブロードウェイで17162回の上演を重ね、史上最長ロングラン記録をうちたてた。
  初演時の新聞評は無関心で、1週間で打ち切ることさえプロデューサーのロア・ノトーは検討したが、口コミで評判が広まって超ロングランとなった。ヒット曲〈思い出してごらん(Try to Remember)〉を歌ったオーバック(1935-2004)はこの作品を足がかりにブロードウェイのスターとなった
  録音がOBC盤と較べると遅く、初日から1か月以上過ぎてから行われたのは、オフ・ブロードウェイ作品が録音されることは少なく、話題作でもなかったので、劇場側からレコード会社に働きかけたためらしい。



6.13(月)
 ~17(金)





LP558
バイク・レース『ISLE OF MAN TT 1960 (マン島TTレース1960)』

MV、ホンダなどバイクの走行音、グレアム・ウォーカー(語り)
マウンテンコース、マン島
[DUKE;DMCD9944](2008、STANLEY SCHOLFIELD SOUND STORIES原盤)

  イギリスのマン島で毎年6月に行なわれるバイク・レースの実況録音。TTレースとはトゥーリスト・トロフィー・レースの略。13日から17日までに125、250、350、500、サイドカーの各レースがあり、13日に125ccと250ccが行なわれた。この頃、日本の二輪車製造量は仏伊に次いで世界第3位となっていた。前年125ccに初参加したホンダはこの年から250ccにも挑戦、スズキも125ccに出走している。
  当時はイタリアのMVアグスタが最強で、ソロの全クラスで1位を独占しているが、ホンダも250ccクラスで4位から6位に入賞して健闘した。そして翌61年には軽量級レースからMVアグスタが撤退したためもあって、ホンダが両クラスで1位から5位までを完全に独占する圧倒的な強さを発揮、「世界のホンダ」の実力を初めて示すことになる。
  ただし、軽量級に的を絞った「作戦勝ち」であることも注意する必要がある。小型で精巧というのが、当時の日本の工業の形態だった。当時の最重量級500cc(シニア)でMVアグスタに勝つのは、5年後の66年のことである。
  CDは2枚に、13日の軽量級の125ccと250ccとサイドカー、15日の350cc(ジュニア)、17日の500cc(シニア)の模様を収めている。
  500ccをMVアグスタで勝利したジョン・サーティーズ(1934生)は、平均時速で初めて100マイルを突破、時速102.44マイルの平均速度記録を樹てた。この年のグランプリのチャンピオンともなっている。またこの年からF1のドライバーも兼任してレースに参加、2週間前のモナコ・グランプリ(5.29)でデビューしたばかりだった。4年後にはフェラーリでチャンピオンを獲得、続いてホンダのF1に搭乗して、67年にイタリアGPで優勝している。

  原盤はSTANLEY SCHOLFIELD SOUND STORIESのLPで、1958年から68年までのレースが計18枚のシリーズで発売されている。



6.13(月)
 &14(火)







エネスコ:ルーマニア狂詩曲第1番
リスト:ハンガリー狂詩曲第2番&第3番、前奏曲
シベリウス:《悲しきワルツ》

アンタル・ドラティ指揮ロンドンso
ウェンブリー・タウン・ホール、ロンドン郊外(セッション商業録音、ステレオ)
[ユニバーサル;PHCP-20389](MERCURY原盤)
[MERCURY;289 462 953-2](前奏曲、悲しきワルツ)

  リストの第3番と前奏曲、《悲しきワルツ》が13日、残りは14日。14日にはルーマニア狂詩曲第2番も録音された。

6.13(月)
 &14(火)


ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第8番《悲愴》より、演奏と解説

アルフレッド・コルトー(p&語り)
エコール・ノルマル・ド・ミュジック、パリ
[EMI;7049072](2012)

  没後50周年記念の40枚組『Alfred Cortot Anniversary Edition』所収。コルトーは1958年から60年にかけて、ベートーヴェンのピアノ・ソナタの演奏と解説を、エコール・ノルマルで録音した。演奏を途中で止めては解説するというマスタークラス的なスタイルによるもので、全32曲が存在するとする説もあるが、このセットには6曲のみが収められている。《悲愴》に関しては1958年1月11日、1959年5月3日、そして1960年6月13日と14日が録音日として記載されている。どの部分かは不明だが、現時点ではコルトーの生涯最後の録音ということになる。



6.13(月)
 -15(水)

リスト:ピアノ協奏曲第1&2番

サンソン・フランソワ(P)
コンスタンティン・シルヴェストリ指揮フィルハーモニアo
キングズウェイ・ホール、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[東芝EMI;TOCE-3305]

  13&14日に第1番、15日に第2番を録音した。
  6月から7月にかけ、パリとロンドンでLP2枚分のショパン独奏曲集も録音する。



6.14(火)
 &17(金)

ストラヴィンスキー:夜鴬の歌

コンスタンティン・シルヴェストリ指揮フィルハーモニアo
キングズウェイ・ホール、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[DISKY COMMUNICATIONS;BX707512]

  上記のフランソワとのセッションと並行して録音されたもの。



6.14(火)

ショスタコーヴィチ:前奏曲第15番、《人形の踊り》より第5、3番

マリヤ・グリンベルグ(p)
モスクワ(?)(セッション商業録音)
[VISTA VERA;VVCD-00119](MELODIYA原盤)

  グリンベルグ(1908- )による演奏。



6.14(火)

スメタナ:交響詩《モルダウ》 リハーサルと本番

フェレンツ・フリッチャイ指揮南ドイツ放送so
南ドイツ放送局、シュトゥットガルト
LP〈DG19471〉
DVD〈GENEON;GNBC-4044〉

  リハーサルと本番をあわせて1時間弱を収めたテレビ番組。タクトを持たないフリッチャイ(1914生)の指揮ぶりが観られる。2度の手術後のフリッチャイの健康は衰えており、収録当日も体調はよくなかったらしいが、ときにジョークも交えた熱心な指導を行なっている。放送は半年後の12月16日。
  DGは音声のみをLP化している。



6.14(火)

ワーグナー:歌劇《リエンチ》短縮版全曲

アンヌ・ルント・クリスティアンセン(S)クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)セット・スヴァンホルム(T)ワルター・ベリー、パウル・シェフラー(Bs)ほか
ヨーゼフ・クリップス指揮ウィーンso、ウィーン楽友協会cho、ウィーン少年cho
楽友協会大ホール(ウィーン祝祭週間)
[GOLDEN MELODRAM;GM1.0039]

  オリジナルの半分程の短縮版による演奏会形式。



6.14(火)
 -17(金)

バッハ:ブランデンブルク協奏曲(全曲)

ラインホルト・バルヒェット(Vn)ほか
フリードリヒ・ティーレガント指揮南西ドイツ室内o
フェストハレ、ロッフェナウ(セッション商業録音、ステレオ)
[コロムビア;COCQ-84522-3](2008、EURODISC原盤)

  南西ドイツ室内管弦楽団はティーレガント(1920生)が1945年に結成した団体。バルヒェット(1920-62)は55年から同楽団のコンサートマスター。



6.14(火)
 -19(日)

バッハ:管弦楽組曲(2曲?)

カール・リヒター指揮ミュンヘン・バッハo
ヘルクレスザール、ミュンヘン(セッション商業録音、ステレオ)
[ポリドール;POCA-3034/5](ARCHIV原盤)

  翌61年6月のセッションと合わせて全4曲が完成されている。ここでどの曲が録音されたかは不明。



6.

グルック:聖霊の踊り
ハイドン:フルート協奏曲
モーツァルト:フルートとハープのための協奏曲

オーレル・ニコレ(fl)ローゼ・シュタイン(harp)
カール・リヒター指揮ミュンヘン・バッハo
ミュンヘン(セッション商業録音、ステレオ)
[ワーナー;WPCS-22034/5](TELEFUNKEN原盤)

  日付不詳だが、ここに挙げておく。ニコレは管弦楽組曲第2番の録音にも参加している。



6.

バッハ:パルティータ(全曲)

カール・リヒター(cemb)
ミュンヘン(セッション商業録音、ステレオ)
[ワーナー;WPCS-22014/5](TELEFUNKEN原盤)

  CDには6月とのみ記載されているが、LP時代には3月も録音セッションがあったとするデータがあった。曲数を考えるとその方が自然か。



6.中旬
 (?)







ドヴォルジャーク:チェロ協奏曲

パブロ・カザルス(vc)
アレクサンダー・シュナイダー指揮カザルス祭o
プエルトリコ大学講堂、サンファン(プエルトリコ・カザルス祭、ライヴ商業録音、ステレオ)
[グリーンドア;GDCL-0086](2013)
LP〈EVEREST;SDBR3083〉

  日付不詳。第5回プエルトリコ・カザルス祭は、6月3日から22日まで行なわれた。ステレオ録音によるカザルスの貴重な協奏曲独奏だが、録音を行なったエヴェレスト・レーベルが無断でLPを発売してしまい、カザルス側の抗議を受けて廃盤となった。以後公式には発売されていない。



6.15(水)

レーガー:喜劇序曲、ロマンティック組曲、セレナード ト長調、ベートーヴェンの主題による変奏曲とフーガ、モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ

マルガレーテ・ベンス(A)
ヘルマン・シェルヘン指揮北西ドイツpo
ヘアフォート、ノルトライン・ウエストファーレン州(ブレーメン放送局によるセッション放送録音)
[CPO;999143-2]

  2枚組のレーガー作品集[CPO;999143-2]所収。4.21の「希望に寄せて」も(参照4.21)



6.15(水)

歌曲リサイタル(19曲)

エリーザベト・シュヴァルツコップ(S)
ジャクリーヌ・ロバン(p)
パレ・ド・フェテ、ストラスブール(ストラスブール音楽祭)
[LE CHANT DU MONDE;LDC278899]

  シューベルト8曲、ヴォルフ6曲、R・シュトラウス5曲(アンコール2曲含む)という、シュヴァルツコップ(1915生)の典型的な曲目構成。



6.15(水)

歌曲リサイタル(21曲)

リジャイナ・レズニック(Ms)エリック・ヴェルバ(p)
コンツェルトハウス・モーツァルトザール(ウィーン祝祭週間)
〈未レコード化〉

  アメリカのメゾ歌手レズニック(1922生)のウィーンでのリサイタル。マルティーニ、ラモー、サッキーニ、トランク、R・シュトラウス、作曲者不詳(シントラー編)、ビゼーの歌曲17曲とアンコール4曲が録音されている。

  祝祭週間の催しとして、コンツェルトハウスではゼーフリート、ケート、ディースカウ、ヴェヒターがヴォルフ(生誕100年)やシューマンの歌曲などを歌い、カサドシュがショパンとシューマン(ともに生誕150年)の独奏曲を弾き、ほかにデムスのバッハ・リサイタルなどが行なわれた。



6.15(水)
 &21(火)

ヴェレス:歌劇《バッカスの信女》全曲

クリステル・ゴルツ(S)フリッツ・ウール(T)パウル・シェフラー(Bs-Br)クルト・ベーメ(Bs)、ほか
ミルティアディス・カリディス(指揮)ウィーン放送o&cho
ウィーン(放送録音)
[Myto;2CD00331](2013)



6.15(水)

ジャズ《ゲット・ハッピー》《ジョンズ・アビー》

ザ・スリー・ボシズ(バド・パウエルほか)
ブルーノート・カフェ、パリ
[XANADU;XCD1222]

  『BUD IN PARIS』所収。



6.15(水)

落語『品川心中』

五代目 古今亭志ん生
ニッポン放送
[ポニーキャニオン;PCCG-00713]

  『五代目 古今亭志ん生 名演大全集21』所収。夜8時開始のラジオ番組「水曜日の演芸大会」からで、『品川心中』は8時30分から放送。

  偶然ながらこの日は「60年安保」のクライマックスとなった日である。午後2時頃から国会正門前に集結した東大、明大、早大の学生を中心とする全学連主流派の学生数千人は、右翼の襲撃に刺激されたこともあって、5時半頃から国会構内への進入を開始。まず明大の屈強な学生たちが門をこじ開けたあと、東大を先頭に千人ほどが構内に入った。これに対して7時過ぎに警視庁最強を謳う第4機動隊(鬼の4機)が排除行動を開始し、衝突の混乱の中で女子学生1人が南通用門付近で死亡した(胸部圧迫による窒息死)。
  この『品川心中』放送の頃には、再度構内へ進入した学生たちが雨中で集会を開いている。「黙祷しよう。警官も心ある者は鉄かぶとをとれ!」という北小路敏(北大生。当日のデモ指導者)の有名な呼びかけがあったのはこの時である。10時に機動隊が2度目の排除行動開始。その後も午前2時半まで断続的な衝突があり、検挙者150人以上、負傷者550人以上、警察側のトラック18台が炎上する大騒動となった。翌16日夕方、アイゼンハワー大統領訪日の延期要請が閣議で決定される。



6.15(水)
 &16(木)

プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

ヨゼフ・シゲティ(vn)
ハーバート・メンゲス指揮ロンドンso
ウェンブリー・タウン・ホール、ロンドン近郊(セッション商業録音、ステレオ)
[ポリグラム;PHCP-20290](PHILIPS-MERCURY原盤)

  15日にはドラティ指揮の《ガイーヌ》抜粋も録音されている。



6.15(水)
 &16(木)

ポップス『DARIN AT THE COPA』(14曲)

ボビー・ダーリン(Vo)
リチャード・バーク指揮のオーケストラ
コパカバーナ、ニューヨーク(ライヴ商業録音、ステレオ)
[ATLANTIC;82629-2](ATCO原盤)

  ボビー・ダーリン(1936-73)は前年のシングル《マック・ザ・ナイフ》の全米No.1ヒットでスターとなったポップス・シンガー。ニューヨークのナイトクラブ、コパカバーナでのライヴ。この年はダーリンに続いて7月にポール・アンカ、12月にコニー・フランシスと、コパカバーナでのライヴ録音が各社で制作されている。



6.15(水)
 -18(土)







ハチャトゥリャン:バレエ音楽《ガイーヌ》より8曲
チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》

アンタル・ドラティ指揮ロンドンso
ウェンブリー・タウン・ホール、ロンドン郊外(セッション商業録音、ステレオ)
[ユニバーサル;UCCP-9460](MERCURY原盤、ハチャトゥリャン)
[MERCURY;434 373-2](チャイコフスキー)

  ハチャトゥリャンが15日と17日、チャイコフスキーが17日(第2&4楽章)と18日(第1&3楽章)の録音。ハチャトゥリャンのCDには会場がワトフォード・タウン・ホールとあるが誤記。



6.16(木)

ベルリオーズ:幻想交響曲
デッロ・ジョイオ:3つの交響的舞曲
ルーセル:組曲《バッカスとアリアーヌ》
メンデルスゾーン:劇音楽《真夏の夜の夢》よりスケルツォ
ワーグナー:歌劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》前奏曲(短縮版)

シャルル・ミュンシュ指揮ボストンso
ウェリントン(ニュージーランド)
〈未レコード化〉

  ボストン交響楽団のニュージーランド公演。アンコールの《マイスタージンガー》は2分半の短縮版。2日後にオークランドでツアー最終公演がある。



6.16(木)
 -25(土)

ヴェルディ:歌劇《椿姫》全曲

アンナ・モッフォ(S)リチャード・タッカー(T)ロバート・メリル(Br)ほか
フェルナンド・プレヴィターリ指揮ローマ・オペラ座o、同cho
ローマ・オペラ座、ローマ(セッション商業録音、ステレオ)
[RCA;09026-68885-2]

  メトロポリタン歌劇場のスター歌手たちを、シーズン・オフの夏にローマへ送りこんで録音する「ランナウェイ」方式による全曲盤。ユニオンの制約や人件費の高騰で、RCAはこうした手法をとっていた。
  アンナ・モッフォ(1932-2006)はシーズン初頭の1959年11月にこのオペラでメトにデビューしたばかり。主役3人による実演も、5月17日のセントルイス客演で行われていた。
  本来の指揮者にはラインスドルフが予定されていたが、海外制作を嫌うユニオンの反対で不可能となり、アメリカのユニオンに属さないプレヴィターリへ交代した。



6.16(木)
 -25(土)

フォーレ:歌曲集《やさしき歌》op.61、《ある日の詩》op21、3つの歌op.23より《ゆりかご》《秘めごと》

ジェラール・スゼー(Br)ダルトン・ボールドウィン(p)
ヴヴェイ劇場、ヴヴェイ(セッション商業録音、ステレオ)
[PHILIPS;420 775-2](1988)

  CDにはモノラルとあるがステレオ。
  日付はレコード・イヤーブック’89(「レコード芸術」1989年1月号附録)による。



6.16(木)
 -7.1(土)

シューマン:歌曲集《詩人の恋》、6つの詩とレクイエム、《献呈》《東方のばらより》《二人の擲弾兵》

ジェラール・スゼー(Br)ダルトン・ボールドウィン(p)
ヴヴェイ劇場、ヴヴェイ(セッション商業録音、ステレオ)
[ユニバーサル;UCCP-9380](PHILIPS原盤)

  シューマンのあと、6.26から7.1にかけての録音かも知れない。



6.17(金)

ベートーヴェン:交響曲第3番《英雄》
ピストン:交響曲第6番
ラヴェル:バレエ《ダフニスとクロエ》第2組曲

シャルル・ミュンシュ指揮ボストンso
オークランド(ニュージーランド)
〈未レコード化〉

  4月末からのボストンsoによるアジア・オセアニア楽旅の最終日。5月の日本公演の後、マニラとオーストリア各市で演奏し、このニュージーランド公演が最後となった。19日にボストンに帰着することになる。



6.17(金)





ドニゼッティ:歌劇《ラ・ファヴォリータ》全曲

フィオレンツァ・コッソット(Ms)ルイージ・オットリーニ(T)ピエロ・グエルフィ(Bs)ほか
ニーノ・サンツォーニョ指揮トリノRAIso、同cho
トリノ
[MYTO;2 CD 00257](2010)

6.17(金)
 -19(日)

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲

ダヴィート・オイストラフ(vn)
オットー・クレンペラー指揮フランス国立放送o
サル・ワグラム、パリ(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;CDM7 64632 2]

  オイストラフとクレンペラーがパリを訪れての録音。クレンペラーとフランス国立放送のコンビは珍しい。フィルハーモニアoを使わなかったのは、23&24日にミルシテインとの録音があったせいなのだろうか。



6.17(金)
 -22(水)

ロッシーニ:歌劇《セビリャの理髪師》全曲

ジャンナ・ダンジェロ(S)ニコラ・モンティ(T)レナート・カペッキ(Br)、ほか
ブルーノ・バルトレッティ指揮バイエルン放送so、イタリア国民歌劇cho
ヘルクレスザール、ミュンヘン(セッション商業録音、ステレオ)
[ポリドール;POCG-30107/8](DG原盤)

  イタリア人歌手と指揮者を起用して、ミュンヘンで録音したのが面白い。グラモフォンは2ヵ月後の8月末の《仮面舞踏会》全曲録音から、いよいよミラノ・スカラ座でのイタリア・オペラ制作を開始することになる。ドイツ・ローカルの傾向が強かった同社の、国際化戦略の開始である。



6.18(土)

ベッリーニ:歌劇《清教徒》全曲

ジョーン・サザランド(S)ニコラ・フィラクリディ(T)エルネスト・ブラン(Br)ほか
ヴィットリオ・グイ指揮ロイヤルpo、グラインドボーン祝祭cho
グラインドボーン歌劇場(グラインドボーン祝祭歌劇)
[GOLDEN MELODRAM;GM 5.0078](2011)

  グラインドボーン祝祭歌劇のこの年の目玉であるサザランド(1926生)主演の《清教徒》は、イギリスでは1887年以来73年ぶりの上演で、音楽祭開幕の5月24日から6月26日まで11回上演された。BBCが中継したこの晩は9回目にあたる。



6.18(土)









フェインベルグ:ピアノ協奏曲第2番ニ長調作品36より、第2&4楽章

サムイル・フェインベルグ(p)
ユーリ・シランティエフ指揮モスクワpo
モスクワ音楽院大ホール
[MOSCOW STATE CONCERVATOIRE;SMC CD 0026]

  モスクワ音楽院教授フェインベルグ(1890-1962)の70歳の誕生日を祝う演奏会のライヴ。全曲が演奏されたのかどうかは不明。

  他にフェインベルグの1960年の録音として、月日不明のベートーヴェンのソナタ第11番もCD化されている(Melodiya;MELCD1001005)。そのCDには1946年録音のこの協奏曲の全曲もアノーソフ指揮ソビエト国立soとの共演で所収されている。


6.18(土)







米プロゴルフ「USオープン アーノルド・パーマー18番ホール終了の場面」

実況者不詳
チェリーヒルズ・カントリークラブ、コロラド州デンバー
[MONSTERSOUNDS;MSE-1019]

  『A CHAMPION FOREVER:THE HISTORY OF THE U.S.OPEN』所収。
  プロゴルフの全米オープン最終日。この日、首位と7打差の15位タイでスタートしたアーノルド・パーマーが、7アンダーの65というスコアを叩き出して大逆転、優勝を飾った。全米オープン史上で最多打数差からの逆転記録という劇的な事件だが、この日が特に記憶されている理由は、それだけではない。
  パーマー(1929生)はこの年にマスターズと全米オープンを含めてツアー5回優勝と、実力と人気の頂点を迎えていた。そのかれと、1940年代から50年代にかけての王者ベン・ホーガン(1912-97)と、まだアマチュアの大学生だった「驚異の新人」ジャック・ニクラウス(1940生)の3人が、三つどもえで優勝を争ったのだ。過去、現在、未来のゴルフ界三代の王者が覇を競うという、まさに夢のような大会だったのである。
 CDにはパーマーが18番でパーをとる場面の実況が収録されている。厳密にはまだ優勝決定ではなかったが、それを確信した観衆の大歓声が入っている。

  この大会の模様を描くだけで1冊の本が書かれたことは、後世に残した興奮がいかに大きかったかの証明だろう。
 GRAUBERT著の『GOLF’S GREATEST CHAMPIONSHIP / THE 1960 U.S. OPEN』(ISBN:1-55611-489-3)がそれである。ほかにSAMPSON著の『THE ETERNAL SUMMER』(ISBN:0-375-75368-0)は、この年1年間の全米ツアーを通じての、パーマーたち三人の活躍を描いている。「永遠の夏」というタイトルが、1960年のツアーを指していることはいうまでもない。



6.18(土)

ドラティ:オーボエと弦楽四重奏のためのノクターンとカプリッチョ

ロジャー・ロード(ob)アレグリSQ
ウェンブリー・タウン・ホール、ロンドン郊外(セッション商業録音、ステレオ)
[ユニバーサル;UCCP-9460](MERCURY原盤、ハチャトゥリャン)
LP〈MERCURY;SR90248〉

  4月16&17日に録音されたドラティの交響曲と組み合わされてLPが発売されたが、未CD化。



6.18(土)
 -21(火)

ドヴォルジャーク:スラヴ舞曲(16曲)

カレル・アンチェル指揮ベルリン放送so
東ベルリン(?)(セッション放送録音)
[TAHRA;TAH117-119]

  3枚組『EDITION KAREL ANCERL』第1集所収。日付は18、20、21日。アンチェルは翌22日からプラハでカベラーチの作品を録音する。



6.18(土)
 -21(火)



『AN EVENING OF OPERA』(ビゼー:歌劇《カルメン》組曲、ほか全14曲)
『A PORTRAIT OF FRANCE』(サン=サーンス:交響詩《死の舞踏》、ほか全8曲)

ルネ・レイボヴィツ指揮パリ交響楽協会o
パリ(セッション商業録音、ステレオ)
[CHESKY;CD61、57](分売、READER’S DIGEST原盤)

  リーダーズ・ダイジェスト社の委託を受けたRCAが、提携先のデッカに依頼して制作したもの。レイボヴィツ(1913-75)はさまざまなレーベルにパリ、ロンドン、ウィーン等の覆面オーケストラとの録音を遺している。これらもその例で、ORCHESTR DE LA SOCIETE DES CONCERTS SYMPHONIQUE DE PARISと、パリ音楽院管弦楽団をもじったような名称である。
  『A PORTRAIT OF FRANCE』は月のみで日付表記がないが、同時期のものと推定される。なおこの盤には月日不明のロンドン祝祭管弦楽団との《牧神の午後への前奏曲》も収められている。



6.19(日)

ジャズ《シング・シング・シング》

ベニー・グッドマン・オール・スター・オーケストラ
CBSテレビ、ニューヨーク(エド・サリヴァン・ショー)
[TVT RECORDS;TVT9439-2]

  『THE SULLIVAN YEARS』シリーズの『BIG BAND ALL-STARS』所収。ベニー・グッドマンの十八番。



6.19(日)

ロッシーニ:歌劇《オテロ》全曲

ヴィルジニア・ゼアーニ(S)アゴスティーノ・ラッツァーリ(T)ジュゼッペ・バラッティ(Br)ほか
フェルディナンド・プレヴィターリ指揮ローマRAIso、同cho
ローマ
[GREAT OPERA PERFORMANCES;G.O.P.718]

  ロドリーゴ役のハンド(1926生)は現代オペラを得意とするアメリカ人歌手で、この年にはローマ聖チェチーリア管弦楽団を指揮して指揮者デビューも飾った。指揮者アッカーマン(1909~60)の従弟にあたる。



6.19(日)

マーラー:交響曲第8番《千人の交響曲》

ゲルダ・シェイラー(S)フリッツ・ヴンダーリヒ(T)ヘルマン・プライ(Br)ほか
ヨーゼフ・カイルベルト指揮ウィーンso、ウィーン・ジングアカデミーcho、ウィーン楽友協会cho、ウィーン少年cho
楽友協会大ホール(ウィーン祝祭週間)
CD-R〈KARNA MUSIK:KA-189M〉

  「正面の巨大なパイプ・オルガンがごうごうと鳴りひびき、足元からの振動が身体に伝わってくるすごみは何ともいえない。(中略)ここで聴くマーラー、ブルックナーは格別で長いという感じはまったくないから不思議である」大木正興(『レコード芸術』昭和35年9月号、131頁)



6.20(月)
 (?)

サン=サーンス;歌劇《サンソンとダリラ》全曲

ドニーズ・シャーリー(Ms)マリオ・デル・モナコ(T)ルネ・ビアンコ(Bs)ほか
ルイ・フーレスティエ指揮パリ・オペラ座o、同cho
〈未レコード化〉

  日付は推定。公演は17、20、29、7月2日に行なわれた。



6.21(火)

フランク:ピアノ五重奏曲

クリフォード・カーゾン(p)アマデウスSQ
教区教会(オールドバラ音楽祭)
[BBC;BBCL4061-2]

  第13回オールドバラ音楽祭から。作曲家ブリテン(1913生)の主催のこの音楽祭では、いくつかの教会も会場となる。この年は6月11日から26日まで開催され、オペラでは《夏の夜の夢》の世界初演と《ルクリーシャの陵辱》が上演された。
  4か月後の10月16日にカーゾンは、ウィーン・フィルハーモニー弦楽四重奏団との共演でこの曲をデッカにセッション商業録音している。



6.21(火)

ショパン:幻想曲、ピアノ・ソナタ第3番(部分)

クラウディオ・アラウ(p)
アビー・ロード・スタジオNo.3、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;7243 5 62885 2 2]

  ピアノ・ソナタは4.14、24、25にも録音されていた。



6.22(水)





ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第32番

クラウディオ・アラウ(p)
BBCテレビ・スタジオ、ロンドン
DVD〈ICA Classics;ICAD5073〉

6.22(水)

ヴィヴァルディ;グローリアRV589 抜粋

エリーザベト・シュヴァルツコップ(S)ウルズラ・ベーゼ(A)
カルロ・マリア・ジュリーニ指揮アムステルダム・コンセルトヘボウo、オムロープcho
コンセルトヘボウ、アムステルダム(オランダ音楽祭)
〈未レコード化〉

  オランダ音楽祭はアムステルダム、デン・ハーク、スヘーベニンゲンのオランダ3都市で、1960年は6月15日から7月15日まで開催される。



6.22(水)





マーラー:交響曲第9番

ヤッシャ・ホーレンシュタイン指揮ウィーンso
コンツェルトハウス大ホール(ウィーン祝祭週間)
CD-R〈World Music Express;WME-M CDR-1203/4〉

  ウィーン祝祭週間のマーラー・チクルスの一つ。
6.22(水)

落語『佃祭り』

五代目 古今亭志ん生
東京(ニッポン放送「演芸くらぶ」)
[ポニーキャニオン;POCG-00281]

  『古今亭志ん生名演集(四)』所収。日付は放送日。



6.22(水)
 -24(金)







カベラーチ:大管弦楽のためのパッサカリア《時の神秘》
モーツァルト:歌劇《魔笛》序曲
ロッシーニ:歌劇《ウィリアム・テル》序曲

カレル・アンチェル指揮チェコpo
芸術家の家ドヴォルジャーク・ホール、プラハ(セッション商業録音、ステレオ)
[SUPRAPHON;11 1930-2 911]
[SUPRAPHON;SU3689-2 011](序曲2曲)

  《魔笛》は(http://patachonf.free.fr/)の記載によると24日の録音。ロッシーニも同時期と思われる。



6.22(水)
 ~30(木)





R・シュトラウス:交響詩《ドン・ファン》、《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》、楽劇《サロメ》より〈7つのヴェールの踊り〉

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーンpo
ゾフィエンザール、ウィーン(セッション商業録音、ステレオ)
[DECCA;448 042-2]



6.22(水)
 ~7.23(土)

ショパン:ピアノ作品集(12曲)

サンソン・フランソワ(P)
サル・ワグラム、パリ(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;5 68712 2]

  《英雄》ポロネーズのほか、ノクターン第5番、即興曲第4番、練習曲4曲、バラード第1番、ワルツ3曲、スケルツォ第2番が収録されている。
  このあとロンドンでもLP1枚分を録音している。



6.23(木)





モーツァルト:2台のピアノのためのソナタ

クリフォード・カーゾン、ベンジャミン・ブリテン(p)
ジュビリー・ホール(オールドバラ音楽祭)
[BBC;BBCL4037-2]



6.23(木)
 &24(金)

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲

ナタン・ミルシテイン(vn)
アナトール・フィストラーリ指揮フィルハーモニアo
アビー・ロード・スタジオNo.1、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[東芝EMI;TOCE-7163]

  ミルシテインはこの後、26日にロイヤル・フェスティヴァル・ホールでギブソン指揮のフィルハーモニア管弦楽団と、メンデルスゾーン及びベートーヴェンの協奏曲を演奏し、満員の聴衆から大喝采を受けたという。



6.24(金)

落語『佃祭』

三代目 三遊亭金馬
ヤマハホール、東京銀座(第12回東京落語会)
CT〈東宝ミュージック〉

  カセット15本組『愛蔵版 三代目三遊亭金馬傑作選』所収。第12回「東京落語会」の録音。



6.24(金)
 -26(日)

フォーク『ニューポート・フォーク・フェスティヴァル1960』(全35曲)

ピート・シーガー、ジョン・リー・フッカー、フラット&スクラッグス、ほか
フリーボディ公園、ニューポート(ライヴ商業録音、ステレオ)
[キング;KICP2108/9](VANGUARD原盤)

  50年代末からのモダン・フォーク・ブームに乗り、ニューポート・フォーク祭はニューポート・ジャズ祭に並行して、1959年7月に初めて開催された。第2回の60年は前年の2日間から3日間に延長、人気フォーク歌手が顔をそろえて、若い聴衆の喝采に応えている。23人のソロ歌手と12のグループ(2人から125人の合唱団まで)が出演した。モダン・フォークの紹介に力を入れたヴァンガード・レーベルが公演を録音、LP2枚組に編集したもの。



6.24(金)
 -26(日)








フォーク『NEW PORT FOLK FESTIVAL 1960』(全14曲)

オスカー・ブランド、ウィル・ホルト、オラニム=ザバー・トループ、セオドア・バイケル
フリーボディ公園、ニューポート(ライヴ商業録音)
LP〈ELEKTRA;EKL-189〉

  同じフォーク祭から、エレクトラ・レーベルが自社の歌手たちの場面を集めたもの。ブランドは初日の先頭、バイケルは3日目の大トリだという。

  これら2レーベルとともに、フォークウェイズも59年とあわせた2枚組を制作しているが、どれが60年の録音かは不明〈FOLKWAYS;FA2431、32〉



6.26(日)



ジョルダーノ:《アンドレア・シェニエ》全曲

レナータ・テバルディ(S)フランコ・コレッリ(T)エットーレ・バスティアニーニ(Br)ほか
ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮ウィーン国立歌劇場o、同cho
国立歌劇場、ウィーン
[ORFEO;C682 0621]
[GOLDEN MELODRAM;GM5.0021]

  5月29日に開幕したウィーン祝祭週間の最終日、ハーガー演出による新制作初演。シーズンの終わりなので2回しか公演されなかったが、スカラ座が1月に上演したときと同じ豪華な主役トリオで、カラヤン自慢のウィーン=ミラノ提携公演(ただし演出と装置は別物)。マタチッチは59年にも《道化師》と《カヴァレリア・ルスティカーナ》の2本立ての新制作を指揮しており、イタリアとスラヴものでウィーンに足場を築いていた。
  なおこの日、同じ国立歌劇場で「マーラー記念演奏会」として、カラヤンがウィーン・フィルと大地の歌を演奏している。また前日の25日、カラヤンの初めての子供、イサベルが誕生している。
  この時期、ウィーンを訪れたソ連首相フルシチョフがテバルディを聴きたがったが、20日と23日の《トスカ》は日程が合わず、26日と29日の《アンドレア・シェニエ》は、内容が革命に批判的ということで拒否。非政治的な《魔笛》(30日、シーズン最終日)に落ちつく。



6.26(日)

落語「権兵衛狸」

三代目 三遊亭金馬
NHK
[日本コロンビア;COCF-13879]

  『三遊亭金馬傑作集9』所収。日付は放送日。金馬(66歳)の古典落語。



6.27(月)



モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番
シューベルト:交響曲第8番《ザ・グレート》

ロベール・カサドシュ(p)
ジョージ・セル指揮ケルン放送so
西部ドイツ放送局ザール1、ケルン
[MEDICI ARTS;MM010-2](モーツァルト)
CD-R〈COUPLET;CCD-3003〉(シューベルト)

  CD-Rには年月日の記載がない。Parnassus Classical Compact Discs and Recordsのサイト[http://www.parnassusrecords.com/index.htm]のカタログにあるデータによった。

  セルは9月8日のルツェルン音楽祭でのフィルハーモニア管弦楽団との演奏会でも、《ザ・グレート》を指揮している。



6.27(月)









ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
ルーセル:組曲

ダヴィート・オイストラフ(vn)
ペドロ・デ・フレイタス・ブランコ指揮リスボン国立so
レクリエーション・コロシアム、リスボン(グルベンキアン音楽祭)
[STRAUSS PORTUGALSOM;SP4078](ベートーヴェン)
[STRAUSS PORTUGALSOM;SP4084](チャイコフスキー)
[STRAUSS PORTUGALSOM;SP4079](ルーセル)

  オイストラフを独奏に迎えての演奏会。グルベンキアンは1955年に没したポルトガルの大実業家で、その遺産を元につくられたグルベンキアン財団はさまざまな文化事業を行なっている。60年の音楽祭は第4回にあたる。



6.27(月)

ホルツバウアー;歌劇《シュヴァルツブルクのギュンター》全曲

アンナ・モッフォ、オリエッタ・モスクッチ(S)ジャチント・プランデッリ(T)ルイージ・インファンティーノ(Bs)、ほか
オリヴェロ・デ・ファブリティース(指揮)ミラノRAIo、同cho
ミラノ
[MYTO;2CD00321](2012)
CD-R〈HOUSE OF OPERA;CD6787〉

  ホルツバウアー(1711-83)はマンハイムの宮廷楽長で、モーツァルトが高く評価したことで知られる。HOUSE OF OPERAのCD-Rには7.17(日)とあったので、それが放送日か。モッフォは25日までRCAの《椿姫》全曲録音に参加していた。



6.27(月)

ジャズ『THE QUINCY JONES BIG BAND』(14曲)

クインシー・ジョーンズ・ビッグ・バンド
テアトル・ド・ボリュー、ローザンヌ
[JAZZ BIRDIES OF PARADISE;J-BOP045]

  クインシー・ジョーンズ(1933生)のビッグ・バンドによるライヴ。2月14日のパリ、16日のエーテボリ公演に続く、ヨーロッパ巡演中の放送中継。
  スイス・ロマンド放送のアーカイヴズの音源による『SWISS RADIO DAYS』ジャズ・シリーズの第1巻。



6.27(月)

ジャズ『JOHN COLTRANE QUARTET / LIVE AT THE JAZZ/GALLERY 1960』(7曲)

ジョン・コルトレーン・カルテット
ジャズ・ギャラリー、ニューヨーク
[RLR RECORDS;RLR 88662](2011)

  日付はレーベル側の推定で、7月1日、あるいはそれ以外の可能性もある。いずれにせよ、6月から7月にかけて、グリニッチ・ヴィレッジのジャズ・クラブで行なわれたライヴ録音。聴衆の一人が私的に録音したもので、2011年に初めてCD化された。
  マイルスのクインテットを4月に抜けたコルトレーンは、自身のカルテットを結成、5月のジャズ・ギャラリー出演が最初の活動となった。スティーヴ・キューン(p)スティーヴ・デイヴィス(bs)ピート・ラ・ローカ(ds)というメンバーだったが、翌月の出演ではピアニストをマッコイ・タイナーに換え、CDはこの顔ぶれによるもの。まもなくドラムもエルヴィン・ジョーンズに交代し、有名なコルトレーン・カルテットの原型が誕生する。
  10月21日から行うマラソン・セッションと数曲が重なるが、30分を超す〈リベリア〉を筆頭に、ライヴの方が尺が長い。



6.27(月)
 &28(火)

軽音楽『MUSICAL MERRY-GO-ROUND』(10曲)

ロバート・アーヴィング&ダグラス・ギャムリー指揮シンフォニア・オブ・ロンドン
ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[VOCALION;CDLK4181]

  ロジャーズやイベール、ソーゲ、ストラヴィンスキーなどのサーカスや遊園地にちなむ音楽をあつめた小品集。
  アーヴィングは続けて29&30日にフィルハーモニア管弦楽団を指揮して、ドリーブのバレエ組曲を録音している。シンフォニア・オブ・ロンドンは30日に《学生王子》を録音する。



6.27(月)、
 28(火)、
 7.1(金)







『ヴンダーリヒ/オペラ・アリア集』(6曲)

フリッツ・ヴンダーリヒ(T)
ベリスラフ・クロプカール指揮ベルリンso
福音派教区集会所(エヴァンゲリッシェス・ゲマインデハウス)、西ベルリン、ツェーレンドルフ(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;CDC7 47685 2](椿姫、コジ、魔笛)
[EMI;CZS7 62993 2](後宮、リゴレット)

  《後宮》と《リゴレット》は7月1日、他は6月録音。



6.27(月)
 -29(水)

『LEONTYNE PRICE』(9曲)

レオンティン・プライス(S)
オリヴィエロ・ディ・ファブリティース指揮ローマ歌劇場o
ローマ歌劇場(セッション商業録音、ステレオ)
[RCA;09026-68883-2]

  27日に《アイーダ》3曲、28日に《つばめ》《トスカ》《トゥーランドット》、29日に《蝶々夫人》2曲と《トゥーランドット》の各アリアを録音。
  6月末から7月前半に、RCAはプライス、ロンドン、ビョルリンクで《外套》の録音を予定していた。しかしビョルリンクが5月になって多忙を理由にキャンセルしてきた。これはその埋め合わせに録音されたものかも知れない。



6.28(火)

ヤナーチェク:歌劇《イエヌーファ》全曲(オランダ訳詞版)

グレ・ブラウエンスティン(S)アニー・デロリエ(A)イヴォ・ジーデク(T)、ほか
ヤロスラフ・クロンプホルツ指揮、オランダ・オペラo&cho
デン・ハーク、オランダ(オランダ音楽祭)
LP〈RADIO NEDERLAND;DR109089〉(抜粋)
CD-R〈OPERADEPOT:OD10287-2〉(全曲)

  抜粋はオランダ放送が記念盤として制作した10インチ盤に所収。
  この年のオランダ音楽祭では、オランダ・オペラがバーディングスの《マルティン・コルダ》の世界初演の他、7月に《イエヌーファ》《ドン・パスクワーレ》の計3本を上演、他にバイエルン国立歌劇場のベーム指揮の《カプリッチョ》とフリッチャイ指揮の《ヴォツェック》、イギリス・オペラ・グループの《夏の夜の夢》が招かれた。《イエヌーファ》は6月28、30日、7月2、11日と4回上演された。



6.28(火)
 -6.30(木)





ジャズ『3つの組曲』より、《ペール・ギュント》組曲

デューク・エリントンo
ラジオ・レコーダーズ、ハリウッド(セッション商業録音、ステレオ)
[COLUMBIA;CK46825]

  3日間で録音。10月10日に木曜組曲を録音する。



6.29(水)

ショパン:ポロネーズ第15番《告別》

バルバラ・ヘッセ=ブコフスカ(p)
ポーランド放送局スタジオ、ワルシャワ
[POLSKIE RADIO;PR CD 1017]

  ヘッセ=ブコフスカ(1930年生)は1949年の第4回ショパン・コンクール第2位のポーランドのピアニスト。ディスクは彼女のポーランド放送でのポロネーズ録音をまとめたもの。他の10曲は1968年と70年の録音。



6.29(水)
 &30(木)





ドリーブ:バレエ《コッペリア》組曲、《シルヴィア》組曲

ユーディ・メニューイン(vn)
ロバート・アーヴィング指揮フィルハーモニアo、
アビー・ロード・スタジオNo.1、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[DISKY;DCL705772]

6.29(水)
 &30(木)

ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲ニ長調

アイザック・スターン(p)
イーゴリ・ストラヴィンスキー指揮コロンビアso
在郷軍人会館、ハリウッド(セッション商業録音、ステレオ)
[SONY BMG;88697103112]

  スターンは6月初めからソ連に演奏旅行していた。



6.29(水)
 -7.9(土)

エルケル:歌劇《フニャディ・ラースロー》全曲

ガブリエルラ・デリー、ジューリア・オロス(S)オルガ・シェーニ(Ms)ヨーゼフ・シマーンディ、ミクローシュ・サボー(T)
ヴィルモス・コモル指揮ブダペストpo、ハンガリー軍男声cho、ハンガリー放送cho
トロック広場の改革派教会、ブダペスト(セッション商業録音、ステレオ)
[HUNGAROTON;HRC1054](抜粋のみ)
LP〈QUALITON;SLPX 1040/41/42〉(全曲)

  CDは30分強の抜粋で、1956年録音の《バーンク・バーン》抜粋と組み合わされている。



6.30(木)





ロンバーグ:ミュージカル《学生王子》抜粋

マリオン・グリマルディ(S)ジョン・ウェークフィールド(T)ほか
ジョン・ホリングスワース指揮シンフォニア・オブ・ロンドン、リンデン・シンガーズ
キングズウェイ・ホール、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;3 35988 2]

6.30(木)

ジャズ『4 JAZZ LEGENDS / LIVE AT NEW PORT 1960』より2曲

キャノンボール・アダレイ・クインテット
フリーボディ公園、ニューポート(ライヴ商業録音、ステレオ)
[OMEGA;OCD3025]

  34年後に初めて正規発売された。



6.30(木)

ジャズ『ニーナ・シモン・アット・ニューポート』(全7曲)

ニーナ・シモン(vo&p)
アル・シャックマン(g)クリス・ホワイト(b)ボビー・ハミルトン(d)
フリーボディ公園、ニューポート(ライヴ商業録音、ステレオ)
[COLLECTABLES;COL-CD-6207](コルピックス原盤)

  ニーナ・シモン(1933生)は当時急速に台頭した黒人ジャズ歌手。ピアノの弾き語りを特徴とした。
  ニューポート・ジャズ祭初日のイブニング・コンサートのライヴ録音。54年開始のこのジャズ祭は、アメリカ最大の人気ジャズ祭となっている。



6.30(木)
 &7.1(金)



J・シュトラウス:《ヴェニスの一夜》抜粋

リザ・オットー(S)ルドルフ・ショック、フリッツ・ヴンダーリヒ(T)ゲオルク・ヴェルカー(Br)
フリート・ヴァルター指揮ベルリンso、ギュンター・アルントcho
福音派教区集会所(エヴァンゲリッシェス・ゲマインデハウス)、西ベルリン、ツェーレンドルフ(セッション商業録音、ステレオ)
[LASERLIGHT;CD16 045]

  ショックとヴンダーリヒ、ドイツ語圏のリリック・テノールの新旧二大スターが共演。



6.30(木)
 &7.1(金)







マーラー:歌曲集《さすらう若人の歌》
ベートーヴェン:《レオノーレ》序曲第2番

ミルドレッド・ミラー(Ms)
ブルーノ・ワルター指揮コロンビアso
在郷軍人会館、ハリウッド(セッション商業録音、ステレオ)
[ソニー;SRCR9971~2](マーラー) [ソニー;SRCR2314](ベートーヴェン)

  《レオノーレ》序曲第2番は7月1日のみに録音(映像も残っている)。ワルター(84歳)の1960年最後のセッション録音で、この年の音楽活動そのものも、この後は12月4日にロスアンジェルスpoの年金基金演奏会(ブラームス演目)を指揮しただけである。これはワルター最後の実演となることになる。(参照5.29)

6.(?)





モーツァルト:交響曲第31番《パリ》

カール・シューリヒト指揮ハーク・レジデンティo
デン・ハーク(?)(オランダ音楽祭)
[DISQUES REFRAIN;DR910001-2]

 1965年6月30日スヘーベニンゲンの演奏会ライヴの誤りらしい。
6.

バンキエーリ:カンタータ《花と春の活気》第一部

マリア・ルイザ・ジョルジェッティ(S)エリック・タピー(T)ほか
エトヴィン・レーラー指揮ソチエタ・カメリスティカ・ディ・ルガーノ
スイス・イタリア語放送局、ルガーノ(セッション放送録音?)
[NUOVA ERA;1081]



6.

バッハ:カンタータ《喜ばしい安息、好ましい魂の歓喜》BWV.170、宗教的歌曲4曲

アーフェ・ヘイニス(A)
シモン・ゴールドベルク指揮オランダ室内o(BWV.170)
シモン・C・ヤンセン(org)(歌曲)
オランダ(セッション商業録音、ステレオ)
[PHILIPS;468 310-2](PHILIPS原盤、2002)

  ゴールドベルクは翌月にもヘブラーとハイドンの協奏曲などを録音している。歌曲は時期不詳で、アムステルダムの待降節教会(ADVENTSKERK)のオルガンが伴奏に用いられている。
  このCDには、ヘイニスとアントン・ファン・デア・ホルスト指揮オランダ室内o、オランダ・バッハcho、アルベルト・デ・クレルク(org)による《神のみにぞわが心を捧げん》BWV.169も含まれ、それも1960年録音と表記されている。しかしこの曲は1959年7月1日オランダ音楽祭におけるゴーダ(ホウダ)の聖ヤン教会でのライヴで、オリジナルLPではクリスティアン・リッターのソロ・カンタータ《AMANTISSIME SPONSE JESU》と組み合わされて発売された。



6.







バッハ:ブランデンブルク協奏曲第2番&第4番

ハンス=マルティン・リンデ(リコーダー)、ほか
ルドルフ・バウムガルトナー指揮ルツェルン祝祭弦楽合奏団
ルカ教会ゲマインデザール(?)、ルツェルン(セッション商業録音、ステレオ)
[ユニバーサル;UCCA-3174、3175](ARCHIVE原盤、分売)

6.





『マルティノン/フランス音楽コンサート』(イベール:ディヴェルティスマン、サン=サーンス:交響詩《死の舞踏》《オンファールの糸車》、ビゼー:小組曲《子供の遊び》)

ジャン・マルティノン指揮パリ音楽院o
パリ(セッション商業録音、ステレオ)
[ポリドール;POCL-9716](DECCA原盤)

6.

ブラームス:交響曲第2番

ヨーゼフ・クリップス指揮チューリヒ・トーンハレo
トーンハレ、チューリヒ(セッション商業録音、ステレオ)
 [ADES;13.274-2]or[AGES RECORDS;AGES509-006-2](CONCERT HALL原盤)

  クリップスとトーンハレ管弦楽団は「音楽の傑作」協会レーベルのために6月から12月にかけて、ブラームスの他にドヴォルジャークの《新世界より》とチャイコフスキーの《悲愴》、モーツァルトの序曲集を録音する。
(10.6-12から移動)



6.~7.

ジャズ『JACK TEAGARDEN SEXTET / LIVE IN CHICAGO 1960 & 1961』より12曲

ジャック・ティーガーデン・セクステット
ロンドン・ハウス、シカゴ
[JAZZ BAND;EBCD2114-2]

  白人トロンボーン奏者ティーガーデン(1906-64)率いる六重奏団のライヴ。





ショパン:ピアノ作品集(9曲)

ウラディーミル・ソフロニツキー(P)
モスクワ音楽院大ホール、モスクワ(セッション録音)
[コロムビア;COCQ-83673→4]

  2枚組『伝説のシューマン・リサイタル』の余白に所収。ポロネーズ第1番、ワルツ3曲、マズルカ5曲が収録されている。ソフロニツキーの聴衆抜きのセッション録音は、この時期では珍しい。