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1960年7月
(最終更新2013.5.19)

7.1(金)

ブリテン:カンタータ・アカデミカ《バーゼルの調べ》

アグネス・ギーベル(S)エルザ・カヴェルティ(A)ピーター・ピアーズ(T)ハインツ・レーフス(Bs)
パウル・ザッヒャー指揮バーゼル室内o、同cho、シュタークシャー・プリバートcho(sterk'scher privatchor)
スイス見本市コングレスハレ、バーゼル(世界初演)
[ARS MUSICI;AM1155-2]

  3枚組『PAUL SACHER UND DIE NEUE MUSIK』に所収。世界初演のライヴ録音。バーゼル大学の創立500年記念祭のために作曲されたもので、ラテン語によるバーゼル大学の憲章などを歌詞とする。ザッヒャー(1906生)はバーゼルを拠点に、新作の委嘱と初演で知られた指揮者。翌年3月にジョージ・マルコム指揮でデッカがスタジオ録音している。



7.1(金)
 &2(土)

ビゼー:歌劇《カルメン》抜粋(ドイツ語訳詞版)

アントニア・ファーベルク(S)イラ・マラニウク(Ms)シャーンドル・コーニャ(T)エバーハルト・ヴェヒター(Br)
フランツ・マルスツァレク指揮ケルン放送so
ケルン(セッション商業録音、ステレオ)
[POLYDOR;476 7031]

  ドイツ・グラモフォンのポピュラー・レーベルであるポリドールに録音されたLP片面分の抜粋で、6&7日に録音される《ラ・ボエーム》抜粋と組み合わされた。
  マルスツァレク(1900-75)は1949年から65年までケルン放送管弦楽団の指揮者を務め、ポリドールなどに多数のオペレッタを録音し、「オペレッタのカラヤン」と綽名されたという。



7.1(金)
 &2(土)






ジャズ『HAPPY BIRTHDAY, LOUIS!』(20曲)
ジャズ『4 JAZZ LEGENDS / LIVE AT NEW PORT 1960』より8曲
ジャズ『Concert in the Rain』(10曲、マリガン)

ルイ・アームストロング&ヒズ・オールスターズ(20曲)
ディジー・ガレスピー・クインテット(3曲)、ジェリー・マリガン・コンサート・ジャズ・バンド(3曲)、オスカー・ピーターソン・トリオ(2曲)
フリーボディ公園、ニューポート(ニューポート・ジャズ祭、ライヴ商業録音、ステレオ)
[OMEGA;OCD3024、3025](1994、分売)
[Jazz Band;EBCD 2129-2](1997、マリガン)

  ニューポート・ジャズ祭のライヴ録音。この年は2年前のジャズ祭を撮影した映画『真夏の夜のジャズ』の封切に煽られたように、数万人の若者が例年以上の勢いでニューポートに押し寄せていた。そして週末の5月2日土曜日の午後に騒動が起きた。会場のフリーボディ公園にはすでに1万6千人の聴衆が詰めかけていたが、その外にはさらに1万人以上の若者があふれていた。かれらが中に入れろと騒ぎはじめたのがきっかけで、手のつけられない暴動状態に陥ったのである。鎮圧のために警官、消防隊、さらに州兵まで出動、180人が逮捕される騒ぎとなった。
  ジャズ祭は4日までの予定だったが、この騒ぎのために翌3日昼の公演での打切りが決定、翌61年のジャズ祭も中止されることになる。
  CDはその34年後に初めて発売されたもので、ルイ・アームストロング、ガレスピー、マリガンの演奏は1日夜の録音。オスカー・ピーターソン・トリオは2日夜の暴動さなかの録音である。



7.1(金)
 -7(木)

モーツァルト:ピアノ協奏曲第12番、ロンド イ長調K.386
ハイドン:ピアノ協奏曲

イングリット・ヘブラー(p)
シモン・ゴールドベルク指揮オランダ室内o
コンセルトヘボウ、アムステルダム(セッション商業録音、ステレオ)
[ユニバーサル;UCCP-9377](PHILIPS原盤)

  7月15日までのオランダ音楽祭の時期に録音されたもの。



7. ハイドン:アンダンテと変奏曲ヘ短調、ピアノ・ソナタ第52番
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第14番、幻想曲ハ短調

イングリッド・ヘブラー(p)
バッハザール(?)、アムステルダム(セッション商業録音、ステレオ)
[ユニバーサル;PHCP-20597~8](変奏曲のみ、PHILIPS原盤、1999)

  日付不詳だが、上記の協奏曲と近接した時期と思われる。
  CDは2枚組『20世紀の偉大なピアニストたち ヘブラー』所収。



7.2(土)
 -6(水)

コダーイ:管弦楽のための協奏曲、《夏の夕べ》

ゾルタン・コダーイ指揮ブダペストpo
クァリトン・スタジオ、ブダペスト(セッション商業録音、ステレオ)
[DEUTSCHE GRAMMOPHON;427 408-2]

  コダーイ(1882-1967)による自作自演の録音。フンガロトンの原盤。DGGが発売したフェレンチク指揮のリストの《ハンガリー戴冠ミサ》やファウスト交響曲なども同時期の録音ではないかと思われるが、詳細不明。
  2~4日に《夏の夕べ》、5&6日に協奏曲を録音。



7.2(土)
 -10(日)

ヴェルディ:歌劇《リゴレット》全曲

レナータ・スコット(S)フィオレンツァ・コッソット(Ms)アルフレード・クラウス(T)エットーレ・バスティアニーニ(Br)、ほか
ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ指揮フィレンツェ5月音楽祭o、同cho
ペルゴラ劇場、フィレンツェ(セッション商業録音、ステレオ)
[RICORDI;74321 68779 2]

  楽譜出版社リコルディのレコード制作部門による全曲盤。バスティアニーニ(1922生)以外はスコット(1933生)など、売出し中の俊英をそろえている。8日はセッションがなかった。



7.3(日)

ジャズ『KEN COLYER’S JAZZMEN-LIVE AT THE 51 CLUB-1960』(11曲)

ケン・コリアーズ・ジャズメン
51クラブ、ロンドン
[DINE-A-MYTE JAZZ;DJCD-003]

  イギリスのジャズ・トランペッター、ケン・コリアー(1928-88)率いるニューオリンズ・スタイルのセプテットのライヴ録音。51クラブはスタジオ51とも呼ばれ、コリアーの活動拠点だった。



7.3(日)




ブルース『マディ・ウォーターズ・アット・ニューポート1960』(9曲)

マディ・ウォーターズ・バンド
フリーボディ公園、ニューポート(ニューポート・ジャズ祭、ライヴ商業録音、ステレオ)
[MCAビクター;UICY-3200](チェス原盤)
DVD〈Pヴァイン・レコード;PVBP-962〉(TOPCAT原盤、4曲)

  マディ・ウォーターズ(1915生)は、ローリング・ストーンズやビートルズにも多大な影響を与えた黒人ブルース歌手。ミシシッピ出身だが、シカゴを拠点に活動した。ニューポート・ジャズ祭は狭義の「ジャズ」にとどまらず、広く黒人起源の音楽を紹介しようとしていた。
  3日昼のこの公演の直前に、音楽祭の打切りが決定された。司会の詩人ラングストン・ヒューズがその場で打切りを嘆く感傷的な歌詞を書きつけ、バンドのピアニストのオーティス・スパンがステージの最後に即興で歌った。「グッドバイ・ニューポート・ブルース」と題されたその曲も収録されている。
  DVDは『伝説のヴィンテージ・ライヴ1971』のボーナスとして収められたもの。「JAZZ USA」というテレビ番組の録画らしい。1曲目の〈Rolling Stone〉はCD未収録の曲。
  CDには同年6月、シカゴでのスタジオ・ライヴも4曲収められている。



7.3(日)
 -7(木)


レオンカヴァッロ:歌劇《道化師》全曲

ルシーン・アマーラ(S)フランコ・コレッリ(T)ティト・ゴッビ(Br)、ほか
ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮ミラノ・スカラ座o、同cho
スカラ座、ミラノ(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;CMS7 63967 2]]

  当時のオペラ録音のほとんどがそうであるように、同時期のスカラ座の実演とはまったく関係がない。マタチッチ(1899生)はウィーンでこの作品を指揮しており、アマーラ(1927生)はメトロポリタンでネッダ役を得意にしていたから、世界歌劇場選抜のような構成である。マタチッチとコレッリ(1920生)はウィーンの《アンドレア・シェニエ》で共演したばかりだった。ゴッビ(1915生)にとっては4月にロンドンの《マクベス》で咽喉を傷めて以来、2ヵ月半ぶりの現場復帰である。



7.4(月)

ジャズ『AFTER THE RIOT AT NEW PORT』(7曲)

ザ・ナッシュビル・オールスターズ
ニューポート(公開セッション商業録音、ステレオ)
[BEAR FAMILY;BCD15447](RCA原盤)

  タイトルの「ニューポート暴動の後で」のとおり、前日昼で中止になったため出番を失ったジャズ・コンボ(まだ17歳のヴィブラフォン奏者、ゲイリー・バートンが含まれている)が、撤収直前のRCAの録音機材(誰か別のミュージシャンを録音する予定だったという)を利用して、4日昼に即席のジャム・セッションを行なったもの。わずかな拍手がある。解説には後からのダビングとあるが、どうもそうは聴こえない。関係者のものではないか。



7.4(月)

シャンソン『越路吹雪リサイタル』(5曲)

越路吹雪(Vo)内藤法美(p)フォーコインズ(cho)芦原英了(MC)
朝日講堂、東京有楽町(ライヴ商業録音)
[東芝:TOCT9747~49]

  3枚組『越路吹雪メモリアル参 ようこそ劇場へ-ライヴの軌跡』所収。4日から6日まで当時の朝日新聞本社内の朝日講堂で行なわれた、越路吹雪(1924生)の第8回リサイタルのライヴ。日付不詳だが挨拶の言葉から判断すれば初日。17分を超す大作《花火と夏と》が歌われている。



7.4(月)
 -8(金)

『マルタ・アルゲリッチ/デビュー・リサイタル』(ショパン:スケルツォ第3番、ほか全7曲)

マルタ・アルゲリッチ(p)
ベートーヴェン・ザール、ハノーヴァー(セッション商業録音、ステレオ)
[DG;447 430-2]

  アルゲリッチ(1941生)のデビュー盤だが、これを最後に彼女は5年間活動を停止してしまう。57年のジュネーヴ・コンクール優勝(2位がポリーニだった)などですでに名を知られていたが、この時期は音楽活動に疑問を抱き、2月のショパン・コンクールにも参加しなかった(出ていれば優勝した可能性が高い)。これは引退前の区切りのつもりで録音したという。復帰は5年後の次回ショパン・コンクールでのことになる。



7.5(火)

ショパン:夜想曲第13番、舟歌

フリードリヒ・グルダ(p)
ブエノスアイレス
[DG;477 8724](2010)

  2枚組『FRIEDRICH GURDA | CHOPIN』所収。2010年に初めてCD化された。




7.5(火)

ウェーバー:祝典序曲
ベートーヴェン:交響曲第8番
パーセル:歌劇《ダイドーとエネアス》より、ダイドーの死
グルック:歌劇《オルフェオとオイリディーチェ》より、〈われオイリディーチェを失えり〉
ビゼー:歌劇《カルメン》より、カード占いの場面
ヴェルディ:歌劇《運命の力》より、〈むごき運命よ〉
ヴェルディ:歌劇《運命の力》より、〈炎はもえて〉
ドビュッシー:交響詩《海》

ジーン・マデイラ(Ms)
ピエール・モントゥー指揮ロスアンジェルスpo
ハリウッドボウル、ロスアンジェルス(ハリウッドボウル演奏会)
〈未レコード化〉

  ハリウッドボウルの夏季演奏会の開幕演奏会。ロスアンジェルスのKFEC放送局の中継。ステレオ実験放送で、KFECのAM局とFM局がそれぞれ片チャンネルを放送した。残念ながら現存する録音はモノラルのみ。
  ハリウッド・ボウルでの「星空の下」コンサートでは、この日から35回のクラシックの演奏会が行なわれた。モントゥーは7日にも登場し、フライシャー独奏の《皇帝》協奏曲、チャイコフスキーの交響曲第5番、《さまよえるオランダ人》序曲などを指揮した。その後はスタインバーグ、マルティノン、チャベスなどが指揮し、9月初めまで開催されている。



7.5(火)

シューマン:弦楽四重奏曲第2番

ケッケルトSQ
高等音楽院、ミュンヘン
[ORFEO C318931B]

  当時の南部ドイツの代表的な弦楽四重奏団であるケッケルトSQはプラハで1939年に結成。メンバー4人はプラハ・ドイツ・フィルとバンベルクsoを経て、バイエルン放送soの1949年の創設以来、その首席奏者を務めている。リーダーのルドルフ・ケッケルト(1913生)は、ブルックナーの弦楽四重奏曲の発見者である。



7.5(火)

ジャズLP『ファンキー・ジャム・セッション』より3曲

小野満トリオ
東京産経ホール(ライヴ商業録音、ステレオ)
[コロムビア;COCB-53913→5](2010)

  3枚組『昭和ジャズ大全 ~幻の名盤・秘蔵盤~』所収。「小野満と北村英治ジョイント・リサイタル」をライヴ録音したもの。メンバーは小野満(b)世良譲(p)白木秀雄(d)。構成は大橋巨泉が担当した。LPでは北村英治メインの1枚も同時に発売されている。



7.5(火)
 -8(金)





ドビュッシー;交響詩《海》

カレル・アンチェル指揮ブルノpo
ブルノ
[PRAGA;PR254008](1993)

  『Edition Live Karel Ancerl』vol.7所収。



7.6(水)

ポップス『PAUL ANKA/ANKA AT THE COPA』(12曲)

ポール・アンカ(Vo)
ポール・シェリーとコパ・オーケストラ
コパカバーナ、ニューヨーク(ライヴ商業録音、ステレオ)
LP〈ABC-PARAMOUNT;ABCS-353〉

  ポール・アンカ(1941.7.30-)の未CD化のライヴ盤。当時18歳のアンカはコパカバーナの史上最年少の出演者となった。この年のコパカバーナ・ライヴはボビー・ダーリン、コニー・フランシスなどもある。



7.6(水)

落語『船徳』

八代目 桂文楽
東京、TBSラジオ「日立演芸会」
[小学館;雑誌27181-7/7](2009)

  隔週刊CDつきマガジン『落語 昭和の名人 決定版』第13巻「八台目 桂文楽 弐」所収。日付は放送日。



7.6(木)
 &7(金)

プッチーニ:歌劇《ラ・ボエーム》抜粋(ドイツ語訳詞版)

アントニア・ファーベルク、リタ・シュトライヒ(S)シャーンドル・コーニャ(T)ベンノ・クッシェ、ローベルト・ティッツェ(Br)
フランツ・マルスツァレク指揮ケルン放送so
ケルン(セッション商業録音、ステレオ)
[POLYDOR;476 7031]

  LP片面分の抜粋で、1&2日に録音された《カルメン》抜粋と組み合わされたもの。



7.6(木)
 &7(金)

ブルース『コーヒー・ハウス・ブルース』(11曲)

ライトニン・ホプキンス、ブラウニー・マギー&サニー・テリー
ジ・アシュ・グローヴ、ハリウッド(ライヴ商業録音、ステレオ)
[P-VINE;PCD-5266](VJ原盤)

  アシュ・グローヴはロスのフォーク・シーンを代表するコーヒー・ハウス。ライトニン・ホプキンス(1912生)はヒューストンの黒人街で活躍していた弾き語りのミュージシャンで、前年の1959年から白人たちにも知られるようになった。4ヵ月後にセッション録音した“MOJO HAND”も名盤として名高い。



7.7(木)











バーンスタイン:「ミュージカル《オン・ザ・タウン》からの3つのダンス・エピソード」より〈タイムズ・スクエア〉
ロジャーズ:ミュージカル《オン・ユア・トウズ》より〈10番街の殺人〉


ルイス・レーン指揮クリーヴランド・ポップスo
クリーヴランド(セッション商業録音、ステレオ)
[SONY;MLK64058](EPIC原盤)
[SONY;SBK63034](EPIC原盤)

  オリジナルLPは〈EPIC;BC1107〉で、バーンスタイン、ロジャーズ、ロウのミュージカルからのオーケストラ曲を収めたもの。
  レーン(1923生)は1947年にクリーヴランド管弦楽団の見習指揮者となり、1956年から同楽団の副指揮者をつとめていた。1955年から同楽団を母体とするクリーヴランド・ポップスの指揮者となり、EPIC(コロンビアの大衆向けレーベル)に録音を行なっている。録音会場はセヴェランス・ホールと推定。

  同じ演奏者たちによる『SYMPHONIC MARCHES』〈EPIC;BC1121〉も、同時期の録音と思われる。リムスキー=コルサコフの《金鶏》の〈導入と婚礼の場〉と、ベルリオーズのラコッツィ行進曲がCD化されている。



7.7(木)

オッテ:タッソ概念

ハンス・オッテ指揮、ジャンヌ・エリカール(S)セヴェリーノ・ガッツェローニ(fl)アルフォンス・コンタルスキー(p)クリストフ・カスケル(perc)
コングレスザール・マティルデンヘーエ、ダルムシュタット(ダルムシュタット音楽祭)
[NEOS;11060](2010)

  6枚組『DARMSTADT AURAL DOCUMENTS /BOX 1 COMPOSERS-CONDUCTORS』所収。1946年にドイツのダルムシュタットで開始された現代音楽国際夏季課程のライヴ録音から、作曲家が自作を指揮した演奏を集めたボックス。
  ハンス・オッテ(1926-2007)のこの作品は、歌手がトルクァート・タッソの詩から自由に歌詞を選び、奏者は自分の知識を自由に活用して演奏し、指揮者の指示によって進行が決定される、というもの。世界初演のライヴ録音。



7.8(金)

マーラー:交響曲第10番第1楽章

ラファエル・クーベリック指揮アムステルダム・コンセルトヘボウo
コンセルヘボウ、アムステルダム(オランダ音楽祭)
LP〈RADIO NEDERLAND;DR109089〉

  オランダ放送が毎年制作する音楽祭の記念LPの1960年版に所収。オランダ音楽祭も生誕100年のマーラーを特集した。前日7日が誕生日である。日本でも、7日に記念演奏会が行なわれ、山田夏精(一雄)指揮の東京フィルが交響曲第4番などを演奏したが、宮沢縦一によると居眠りする客も多かったとか。



7.8(金)
 -12(火)

ヴェルディ:歌劇《仮面舞踏会》部分

シルヴィア・スタールマン(S)コーネル・マックニール(Br)、ほか
ゲオルク・ショルティ指揮ローマ聖チェチーリア音楽院o、同cho
聖チェチーリア音楽院講堂、ローマ(セッション商業録音、ステレオ)
[ポリグラム;POCL-4190/1](DECCA原盤)

  ジョン・カルショーがプロデューサーとなって開始された録音は22日までの予定だったが、12日に中止された。初共演のショルティ(1912生)とビョルリンク(1911生)との間に深刻な確執が生じたためである。シミオナート(1910生)やバイロイトで練習中のニルソン(1918生)が参加する前のことだった。リカルド役をベルゴンツィ(1924生)に代えて、録音は改めて翌年に完成される。



7.9(土)(?)

モーツァルト;歌劇《ドン・ジョヴァンニ》全曲

テレサ・シュティヒ=ランダル、シャケー・ヴァルテッニッシアン、マリエッラ・アダニ(S)ルイージ・アルヴァ(T)ガブリエル・バキエ、ロランド・パネライ(Br)、ほか
アルベルト・エレーデ指揮パリ音楽院o、同cho
大司教館、エクス=アン=プロヴァンス(エクス=アン=プロヴァンス音楽祭)
DVD-R〈HOUSE OF OPERA;DVDCC903〉

  テレビ中継(RTF?)の録画。7月9、17、21、27日と4回上演されたので、後の上演の可能性もある。エクサン・プロヴァンス音楽祭はこの日を開幕日として7月9日~31日に開催され、ギーレン指揮の《フィガロの結婚》、ボド指揮のグノーの《いやいやながら医者にされ》、デルヴォー指揮の《ディドーとエネアス》などが上演された。会場は大司教館の中庭である。
  この音楽祭はロスバウトが指揮してきたが、1959年に腎臓を手術して春まで長期療養した関係か、この年の音楽祭には出演しなかった。



7.9(土)

マーラー:交響曲第4番、リュッケルトの5つの歌

マリア・シュターダー(S)
エーリヒ・ラインスドルフ指揮アムステルダム・コンセルトヘボウo
コンセルヘボウ、アムステルダム(オランダ音楽祭)
LP〈RADIO NEDERLAND;DR109089〉(歌曲《私は快い香りを吸いこんだ》のみ、ほかは未レコード化)



7.9(土)

ワイル:喜歌劇《ハッピー・エンド》

ロッテ・レーニャ(vo)
ヴィルヘルム・ブリュックナー=リュックベルク指揮o、同cho
フリードリヒ・エーベルトハレ、ハンブルク(セッション商業録音、ステレオ)
[BEAR FAMILY;BCD16019KL](COLUMBIA原盤)



7.9(土)

多田武彦:合唱組曲《雪明りの路》(全6曲)
黒人霊歌4曲(プア・ウェイフェアリング・ストレンジャー、小さき神の子羊、一言も洩らさずに、ジェリー)

時枝康郎指揮関西学院グリークラブ
神奈川県立音楽堂、横浜
EP〈大塚録音社〉

  自主製作盤。EP2枚の存在を確認。関西学院グリーグラブは1899(明治32)年創立の日本最古のグリークラブ。多田武彦の《雪明りの路》(伊藤整作詩)はこのクラブが委嘱した作品で、1960年1月の第28回リサイタル(大阪毎日ホール)で初演されている。
  横浜国立大学グリークラブとの交歓演奏会を昭和30年代から神奈川県立音楽堂で行なっているので、このEPはおそらくその記録だろう。横浜国大グリークラブのEPも存在するのではないか。



7.9(土)

ジャズ『WILBUR DE PARIS ON THE RIVIERA』(8曲)

ウィルバー・デ・パリス(tb)ほか7人
アンティーブ(アンティーブ・ジャズ祭、ライヴ商業録音、ステレオ)
[COLLECTABLES;COL-CD-6602](ATLANTIC-BARCLAY原盤)

  アンティーブ・ジャズ祭のライヴ録音。アンティーブは南フランス、コート・ダジュールの保養地。この年を第1回として国際ジャズ祭が始まり、6日から14日まで行なわれた。ウィルバー・デ・パリス(1900-73)はトロンボーン奏者で、バンジョーを加えたニューオリンズ・スタイルのコンボを率いている。原題のリヴィエラは、狭義にはイタリア側の地中海沿岸を指すが、ここではフランス側のコート・ダジュールもそこに含めているらしい。
  録音はフランスのバークレーが行い、アメリカではアトランティックが発売した。



不詳

ゴスペル『SISTER ROSETTA THARPE-LIVE IN 1960』(12曲)

シスター・ロゼッタ・サープ(Vo & g)ほか
ヨーロッパ
[SOUTHLAND;SCD-1007]

  シスター・ロゼッタ・サープ(1915-73)はアメリカのゴスペル歌手だが、エレキ・ギターを手にブルースの感覚をとり入れた異色の存在として高い人気を得た。
  このCDは月日不詳、収録場所もヨーロッパとあるだけだが、サープはこの時期に渡仏してアンティーブ・ジャズ祭に出演しているので、このときの録音かあるいはその前後の他の場所での録音(ラジオ用?)と思われる。



7.上旬(?)

バート:ミュージカル《オリヴァー!》

ロン・ムーディ、ジョージア・ブラウン、ポール・ホワイトサン=ジョーンズ、キース・ハムシェア、ほか
マーカス・ドッズ指揮のオーケストラ
ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[DERAM;820590-2](DECCA原盤)

  ライオネル・バートの作曲作詞脚本による《オリヴァー!》は、ディケンズの『オリヴァー・ツイスト』を原作とするミュージカル。ロンドンのウエストエンド劇場街から生まれた大ヒット作で、1960年6月30日にザ・ニュー・シアターで開幕して以来、2618回のロングランを達成した。これは《ジーザス・クライスト・スーパースター》に破られるまで、ウエストエンドでの最高記録だった。1963年にはブロードウェイでも上演され、1968年には映画化された。
  録音日は不詳だが、8月にはLPが発売されているので、7月の早い時期の録音と推定される。



7.上旬(?)

落語『藁人形』

五代目 古今亭今輔
喜福寿寺、東京本郷東大赤門前
[ビクター;VZCG-293]

  放送は8月14日。7月中旬の朝日新聞のラジオ欄に紹介記事があるので、この時期の収録と推定。「おばあさん物」の新作落語で知られる今輔(1898生)の噺。文化放送「納涼怪談特集」第5夜。気分を高めるために寄席ではなく寺で収録された。CDには喜福寺とあるが、喜福寿寺のことだろう。



7.10(日)

バッハ:管弦楽組曲第3番、ブランデンブルク協奏曲第6、2番、カンタータ第4番《キリストは死の絆につかせたまえり》

ロジャー・ヴォアザン(tp)
シャルル・ミュンシュ指揮ボストンso、祝祭cho
ザ・シェド、タングルウッド(バークシャー音楽祭)
〈未レコード化〉

  前月19日にアジア・オセアニア楽旅から帰着したボストン交響楽団は、休む暇もなく7月8日にバークシャー音楽祭(現在のタングルウッド音楽祭)を開始している。ザ・シェド(納屋)は1994年にセイジ・オザワ・ホールが落成するまで、タングルウッドの主会場だった。5千人収容の巨大な扇型の建物で客席後方が開放してあり、好天なら約1万人が戸外の芝生で聴くことができる。この日も晴天だったらしく、小鳥の鳴き声が聞こえる。
  バークシャー音楽祭はバッハ・シリーズで幕が開く。これは3回目の最終日。7月のタングルウッドでのミュンシュの演奏会は他に22、24、29、30日のライヴ録音が残っている。曲目の多くはアジア楽旅やその前の定期と重なっている。



7.10(日)





レーヴェンショルド:バレエ《ラ・シルフィード》第2幕のパ・ド・ドゥ

フレミング・フリント、ヴァン・ローゼン
BBCスタジオ、ロンドン(BBCテレビ用録画)
DVD〈ICA CLASSICS;ICAD 5099〉(2013)

「Choreography by Bournonville」所収。



7.11(月)
 -13(水)



ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番《テンペスト》、《エロイカ》の主題による変奏曲とフーガ、6つの変奏曲

グレン・グールド(p)
コロンビア30丁目スタジオ、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[SONY;SM3K52642、SM2K52646]

  左肩痛に悩まされていたグールド(スタインウェイの技師が1959年末に肩を押したことが原因だと、かれ自身は信じていた)は、一時的に回復した3月と4月以外はこの年前半の活動を休止していたが、7月に入ってようやく録音を再開し、11日と12日に《テンペスト》を録音した。その後9月29日と30日、1967年1月と71年8月に追加セッションが行なわれ、73年になってようやく発売された。
  翌13日と14日に《エロイカ》の主題による変奏曲とフーガと、6つの変奏曲を録音するはずだったが、肩がまた悪化したために13日のみで中止され、8月29日に前者のみの録音セッションが行なわれている。後者は1967年5月に改めて録音された。この2つに32の変奏曲を併せて1枚のLPにする計画だったが、発売にこぎつけたのは結局70年代になってからである。
  『グレン・グールド書簡集』(宮沢淳一訳/みすず書房)の第34番、7月15日付の本人の書簡に様子が語られている。



7.12(火)

モーツァルト:ピアノ三重奏曲第5番
ラヴェル:ピアノ三重奏曲

ルイ・ケントナー(p)メニューイン(vn)カサド(vc)
アビー・ロード・スタジオ、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[東芝EMI;TOCE-6913、6815]



7.12(火)
 -15(金)

『SIR ADRIAN BOULT/CONCERT FAVORITES』
(エルガー:《威風堂々》第1番、メンデルスゾーン:《フィンガルの洞窟》序曲、ムソルグスキー:《はげ山の一夜》、サリヴァン:舞踏会序曲、リスト:前奏曲、チャイコフスキー:バレエ《くるみ割り人形》組曲)

エードリアン・ボールト指揮ロンドン新so
ウォルサムストウ・タウン・ホール、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[CHESKY;CD53](READER’S DIGEST原盤)

  『リーダーズ・ダイジェスト』の依頼により、RCA経由でデッカのスタッフが録音したシリーズの1枚。21日と22日にも《白鳥の湖》組曲を録音。《くるみ割り人形》組曲はあるいはそのときの録音かも知れない。



7.13(水)



ジャズ『MINGUS AT ANTIBES』(6曲)

チャールズ・ミンガス・クインテット、バド・パウエル(p)
アンティーブ(アンティーブ・ジャズ祭、ライヴ商業録音、ステレオ)
[ATLANTIC JAZZ;7 90532-2](BARCLAY原盤)
DVD〈IMPRO-JAZZ;IJ520〉(《四月の思い出》のみ)

  アンティーブ・ジャズ祭のライヴ録音。エリック・ドルフィーやブッカー・アーヴィンを含むクインテットの演奏で、《4月の思い出》ではバド・パウエルが加わる。政治的主張の過激さでも名高いミンガスは、2週間前のニューポート・ジャズ祭のとき、会場のすぐ脇のリゾート・ホテル「クリフ・ウォーク」で、肥大化したジャズ祭に対抗する「ライヴァル・コンサート」を行っていた。

  《4月の思い出》のみはDVD『ERIC DOLPHY / STOCKHOLM1964・ANTIEBES1960』で映像を観ることができる。



7.13(水)
 -16(土)









ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番《皇帝》、ロンド・ア・カプリッチョ《失くした小銭への怒り》、ピアノ・ソナタ第21番《ワルトシュタイン》6つの変奏曲ヘ長調、32の変奏曲ハ短調、6つのエコセーズ

エリー・ナイ(p)
ウィレム・ファン・ホーフストラーテン指揮ニュルンベルクso
コロッセウム・ムジークシュトゥディオス、ニュルンベルク(セッション商業録音、ステレオ)
[COLOSSEUM;COL9019.2、9021.2、9022.2(分売)]

  ドイツの一部に熱狂的支持者を持っていたナイ(1882-1968)のベートーヴェン録音。協奏曲は13&14日、ロンドが15&16日、残りの曲が16日に録音された。他に《パイジェッロの主題による6つの変奏曲》も15&16日に録音されているが未CD化。
  オランダ出身のホーフストラーテン(1884-1965)は、1911~27年にナイと結婚していた指揮者である。

7.13(水)
 &14(木)





シュレーダー;喜歌劇《楽園の新婚初夜》抜粋

サリ・バラバス、ウルズラ・ジルマッハー、ルート・フィッシャー(S)カール・テルカル(T)
カール・ミヒャルスキ指揮バイエルン放送o、ベルント・ハンゼンcho
ショルンシュトラーセ、ミュンヘン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;8 26393 2]

  CD化されたのは『OPERTTENMELODIEN』所収の約13分。



7.13(水)
 &14(木)

ジャズ『八木正生 セロニアス・モンクを弾く』(8曲)

渡辺貞夫(as)仲野彰(tp)八木正生(p)原田政長(b)田畑貞一(ds)
文京公会堂、東京(セッション商業録音、ステレオ)
[THINK! RECORDS;THCD-042](キング原盤)

  ジャズ・ピアニスト、後年は映画音楽でも活躍した八木正生(1932-91)によるモンク作品集。同年代のメンバーとのクインテット。オリジナルLPの番号はSKC1で、『勧進帳』や第9に続くキング最初期のステレオ録音。翌日に田中希代子のドビュッシー作品集が同会場で録音されている。



7.中旬(?)

マスカーニ:歌劇《カヴァレリア・ルスティカーナ》全曲

ジュリエッタ・シミオナート(Ms)マリオ・デル・モナコ(T)コーネル・マックニール(Br)、ほか
トゥリオ・セラフィン指揮ローマ聖チェチーリア音楽院o、同cho
聖チェチーリア音楽院講堂、ローマ(セッション商業録音、ステレオ)
[ポリドール;POCL-3806/7](DECCA原盤)

  7月とあるのみで日付は不詳。出演者の前後の日程から考えると中旬(13~17日)の録音になる。デル・モナコが5日までパリ・オペラ座に出演しているので、それ以前はあり得ない。8日には《仮面舞踏会》のセッションが開始されるから、それが中止される12日までは無理である。シミオナートがローマ入りしたのもそれ以降だった。だが指揮者のセラフィンが18日からRCAの《オテロ》に取りかかるから、空いているのは13日から17日の5日間だけになるのである。
  これでは《仮面舞踏会》の予定と完全に重なってしまうのだが、並行して録音する計画だったのか、それとも穴埋めに録音したのか。デル・モナコ(1915生)がビョルリンクの代役として《仮面舞踏会》録音に参加する案も立てられたというから、そのデル・モナコを使って、演目と指揮者を変えて急遽録音した、とも考えることは可能だ。しかし《仮面舞踏会》のプロデューサーのカルショーは、中止後ただちにスタッフとともにイスキア島で臨時休暇をとったと自伝に書いている。だとすれば本作品のスタッフは別の録音チームだったのだろうか。疑問点は多いが、後述のシミオナートやデル・モナコのアリアや民謡集も7月ローマ録音とあるので、中旬から下旬にかけてかれらがローマで録音したことだけは確かであろう。(参照7.8-12)
  なお表記CDには併録の《道化師》も1960年7月録音とあるが、1959年の誤り。



7.中旬(?)

ベッリーニ:歌劇《ノルマ》より〈清らかな女神〉

ジュリエッタ・シミオナート(Ms)
アルベルト・パオレッティ指揮ローマ聖チェチーリア音楽院o、同cho
聖チェチーリア音楽院講堂、ローマ(セッション商業録音、ステレオ)
[LONDON;POCL-9748/50]

  日付不詳。3枚組『ジュリエッタ・シミオナート全集』所収。シミオナート(50歳)がソプラノ用のアリアを録音した珍しい例で、上記の《カヴァレリア・ルスティカーナ》全曲盤4面目の余白に収録された。この全曲盤には他に歌手不明の《エルナーニ》《トロヴァトーレ》《ジュリエッタとロメオ》が含まれている。
  カラヤンの《こうもり》ガラ録音のためのシミオナート&バスティアニーニの録音も、おそらくはこの時期のローマ録音だろう。



7.中旬
 -下旬(?)

ナポリ民謡集(6曲)

マリオ・デル・モナコ(T)
エルネスト・ニチェッリ指揮スタジオ・オーケストラ
聖チェチーリア音楽院講堂、ローマ(セッション商業録音、ステレオ)
[DECCA;475 7269]

  5枚組『MARIO DEL MONACO/DECCA RECITALS 1952-1969』所収。日付不詳。オリジナルは10インチ盤らしい(OS25220)。



7.13(水)
 &15(金)


ロッシーニ:歌劇《セミラーミデ》より〈麗しい光が〉
ヴェルディ:歌劇《シチリア島の夕べの祈り》より〈アリーゴよ、ああ心に語れ〉

マリア・カラス(S)
アントニオ・トニーニ指揮フィルハーモニアo
ワトフォード・タウン・ホール、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI:7243 5 66468 2 7]

  37年後の1997年に発売されたアルバム『THE EMI RARITIES』で初公刊。アルミーダのアリアも存在するらしい。トニーニはスカラ座の声楽コーチとして名高い人物。ときにスカラ座で指揮もしていた。カラス(1923生)の高音が不安定で、お蔵入りしたのも当然と思われる。カラスにとって前年11月21日のダラスでの《メデア》公演以来、8ヶ月ぶりの音楽活動。歌手として有名になって以来、これだけ長く姿を隠した期間はなかった。ニコラス・ゲージによると、カラスは愛人オナシスとの子を前年8月に宿したために身を隠したらしい。3月30日ミラノで産まれた男児は不幸にもすぐに死亡し、事実は長く秘されることになった。出産時の帝王切開による肉体の変化が、その後のカラスの歌唱に影響した可能性はないだろうか。
  1週間後の7月21日にベルギーのオーステンデでの演奏会が予告されたが、結局キャンセルされており、8月アテネでの《ノルマ》が復帰公演となる。



7.14(木)

ジャズ『UNKNOWN SESSION』(12曲)

デューク・エリントン(p)ほかのセプテット
ラジオ・レコーダーズ、ハリウッド(セッション商業録音、ステレオ)
[COLUMBIA;COL472084 2]

  デューク・エリントン楽団の主要メンバー7人によるセッションだが、1979年になって初めて日の目を見たもの。



7.15(金)(59.7.6収録)







グノー;歌劇《ファウスト》全曲

ユージン・フェルナンディ(T)レナータ・スコット(S)ニコラ・ロッシ=レメニ(Bs)、ほか
アルマンド・ラ・ローザ・パロディ/トリノRAIo、同cho
トリノ
[MYTO:2CD 00246](2010)
LP〈MOVIMENTO MUSICA 03.003〉

  日付は放送日で、収録は1959年7月6日とされる(トーシ著のスコットの伝記付録の出演記録による)。半年程度の間ならともかく、1年も空くのは不自然で、1960年同日収録の記述ミスではないかとも思えるが、詳細は不明。

7.15(金)









演説「民主党大統領候補者指名受諾演説」

ジョン・F・ケネディ
スポーツ・アリーナ、ロスアンジェルス
[SPEECHWORKS;JRCD7047、7057(分売)]
VHSビデオ〈THE HISORY CHANNEL;AAE-42941〉

  CD『JFK/THE KENNEDY TAPESⅡ』と『THE JFK WIT』所収。11日から始まった民主党全国大会で、ケネディ(1917-63)は5人の立候補者の中から、代議員1522票のうち806票を得て大統領候補に選出された。これは大会最終日の指名受諾演説。1年間の選挙運動に没頭してきたケネディはやせ細り、声も甲高い。一方7月27日シカゴでの共和党全国大会ではニクソン(1913生)が大統領候補となり、両者の本格的な選挙戦が開始されることになる。
  VHSビデオは『GREAT CONVENTIONS 1960 with SANDER VANCOUR』所収。この党大会を中心に、予備選挙から大統領選挙までのケネディの選挙戦を50分間にまとめたドキュメンタリー映像。



7.15(金)
 -19(火)

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第29番《ハンマークラヴィーア》

ハンス・リヒター=ハーザー(p)
アビー・ロード・スタジオNo.1、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;50999 648309 2 6](2010)

  リヒター=ハーザーによる6枚組のベートーヴェン協奏曲&ソナタ集所収。1959年から64年にかけてのソナタ13曲と協奏曲3曲などが収められており、全集録音が計画されていたのではないかと思われるが、実現しなかった。
  引き続いて20日から23日にかけて、協奏曲などを録音。



7.15(金)
 &28(木)

ドビュッシー:《子供の領分》、ベルガマスク組曲

田中希代子(p)
文京公会堂(セッション商業録音、ステレオ)
[キング;KICC655]

  10月に10インチ(25cm)盤で発売された。ピアノ独奏では日本初のステレオ商業録音だという。CDには1961年7&8月録音とあるが、当時の『レコード芸術』誌に表記の日付が記載されているので、誤表記であろう。LPも1960年12月に発売されている[SKF-1002]。翌年1月15日には前奏曲集第1巻も録音した。
  田中(1932-1996)は55年のショパン・コンクールで、日本人として初めて本選に進み10位となった。1950年以来パリを拠点としていたが、この年は一時帰国していた。この年は東芝にも名曲集をモノラル録音し、また当時の『レコード芸術』の座談会などにくり返し登場している。



7.16(土)(?)

グノー;歌劇《いやいやながら医者にされ》全曲

ドニーズ・ベノワ(S)ルイージ・アルヴァ(T)マルセロ・コルティス(Br)、ほか
セルジュ・ボド指揮パリ音楽院o、同cho
大司教館、エクス=アン=プロヴァンス(エクス=アン=プロヴァンス音楽祭)
DVD-R〈HOUSE OF OPERA;DVDCC903〉

  テレビ中継(RTF?)の録画。7月16、24、29日と3回上演されたので、後の上演の可能性もある。公演はプーランクの《人間の声》(プレートル指揮)との2本立てだった。



7.16(土)

ハイドン:ピアノ・ソナタ第20番第1、2楽章
シューマン:ノヴェレッテ
プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第6番、《束の間の幻影》より10曲、田園風ソナティナ、《思考》より第3曲

スビャトスラフ・リヒテル(p)
フィルハーモニー・ホール、キエフ
[TNC RECORDINGS;CD-H465-66]

  リヒテル(1915生)のキエフ・リサイタル。ハイドンのソナタの第3楽章は録音が失われた。



7.16(土)

自動車レース『F1イギリス・グランプリ決勝』より

ジョン・テート(撮影)
シルバーストーン
DVD〈QUANTUM LEAP GROUP;QLDVD6276〉

  DVD『F1 LEGENDS OF THE 1960`S』に所収。アマチュア映画製作者のジョン・テートがカラー撮影したフィルムによるもの。グランプリ第7戦。ジャック・ブラバム(この年のチャンビオンとなる)が優勝した。第2戦のモナコ以来の出場となったジョン・サーティーズが初めて完走したばかりか、見事2位に入った。レース前のオールド・カーによるエキシビションの模様も写っている。



7.18(月)

ブラームス:ピアノ・ソナタ第1番

コンラート・ハンゼン(p)
ベルリンRIAS放送局、西ベルリン
[MUSICAPHON;M56845]

  ハンゼン(1906生)の放送録音を集めて2001年に制作された2枚組『HAMBURGER KÖPFE CONRAND HANSEN』所収。



7.18(月)
 -8.8(月)

ヴェルディ:歌劇《オテロ》全曲

レオニー・リザネク(S)ジョン・ヴィッカーズ(T)ティト・ゴッビ(Br)、ほか
トゥリオ・セラフィン指揮ローマ歌劇場o、同cho
オペラ座、ローマ(セッション商業録音、ステレオ)
[RCA;09026-63180-2]

  メトで人気の2人、ヴィッカーズ(1926生)とリザネク(1926生)の顔合わせ。ヴィッカーズはオテロをこの録音で初めて歌った。
  6月16日-25日録音の《椿姫》と同じく、「ランナウェイ方式」による録音。アメリカの音楽家組合(ユニオン)は組合員の演奏機会を減らすこの方式を嫌い、参加する指揮者に制限を加えた。そのため当初予定されていた指揮者ライナー(1888生)がセラフィン(1878生)に代えられている。ゴッビもおそらくは3月に急逝したウォレンの代役だろう。



7.

『ALEXANDER GIBSON/A CONCERT TOUR』
(グリーグ:劇音楽《ペール・ギュント》第1組曲、他全10曲)

アレクサンダー・ギブソン指揮ロンドン祝祭o、ロンドン新so
ウォルサムストウ・タウン・ホール、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[CHESKY;CD62B](READER’S DIGEST原盤)

  日付の表記がないが、日程から見て次項の録音の直前か、同日に行われたものと推定される。



7.19(火)
 -21(水)







チャイコフスキー:イタリア奇想曲、序曲《1812年》
スメタナ:交響詩《モルダウ》

アレクサンダー・ギブソン指揮ロンドン新so
ウォルサムストウ・タウン・ホール、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[CHESKY;CG9012](イタリア奇想曲)
[CHESKY;CD65](READER’S DIGEST原盤)

  リーダーズ・ダイジェスト社の委託を受けたRCAが提携先のデッカに依頼して制作したもの。ギブソン(1926-95)はスコティッシュ・ナショナルo首席指揮者とウェールズ国民歌劇の音楽監督。前後にボールトが録音。



7.20(水)





パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第5番

フランコ・グッリ(vn)
マリオ・ロッシ指揮ローマRAIso
ローマRAI公会堂、ローマ(ステレオ録音)
[ARKADIA;CDMP404.1]



7.20(水)







  この日、労音ミュージカル《見上げてごらん夜の星を》が大阪フェスティバルホールで初日を迎え、31日まで上演された。作・構成が永六輔、作曲いずみたくによる。出演は伊藤素道とリリオ・リズム・エアーズなど。
  当時の大阪労音はクラシック3万5千、ポピュラー6万5千、計10万人の会員を誇る大組織で、大阪国際フェスティバルの期間以外のフェスティバルホールの収入は、労音主催の演奏会によって支えられていたといわれる。敏腕プロデューサー浅野翼(1929生)――山崎豊子の小説『仮面集団』主人公のモデルとされる――のもと創作活動にも意欲的で、それが1959年に始まった労音ミュージカルのシリーズだった。
  なかでもこの作品は特に好評で翌年夏には東京で上演され、さらに3年後の1963年には、主演を伊藤素道から坂本九に変えて大阪と東京で再演された。同年には松竹で映画化もされて、労音ミュージカルの代表作となった。
  定時制高校に通う地方出身の勤労学生と普通制の女子高生が、机を昼夜で共有したことから始まる恋物語というテーマは、地方の中卒者の多くが「集団就職」で大都市に来て働き、その一部が定時制高校に通っているという当時の時代状況に適い、いかにも労音的であると同時に、一般にも受け入れやすいものだったのだろう。
  1964年に坂本九と九重裕三子、ダニー飯田とパラダイス・キング、越路吹雪などの出演で商業録音されたレコードがあり、CD化もされた。[東芝EMI;TOCT-6621]



7.20(水)
 -23(土)







ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番、第5番《皇帝》、2つのロンドop.51

ハンス・リヒター=ハーザー(p)
イシュトヴァン・ケルテス指揮フィルハーモニアo
アビー・ロード・スタジオNo.1、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[TESTAMENT;SBT1299](協奏曲、EMI原盤)
[EMI;50999 648309 2 6](ロンド、2010)

  20日から22日に《皇帝》、22日と23日に第4番とロンド2曲を録音。リヒター=ハーザー(1912生)とケルテス(1929生)という、当時売り出し中の二人による録音。リヒター=ハーザーは直前の15-19に《ハンマークラヴィーア》を録音している。
7.21(木)

メサジェ:歌劇《弁護人》全曲

ナディーヌ・ソートロー(S)カミーユ・モラーヌ、ルイ・ノゲラ(Br)ほか
トニー・オーバン指揮フランス放送リリックo、同cho
フランス国営放送、パリ
[MUSIDISC;202572]

  主演のソートロー(1923生)とモラーヌ(1911生)は、4月29日にモントゥー指揮ロンドン交響楽団の定期で《ペレアスとメリザンド》全曲を歌っている。



7.21(木)
 &22(金)





チャイコフスキー:バレエ《白鳥の湖》組曲

エードリアン・ボールト指揮ロンドン新so
ウェンブリー・タウン・ホール(?)、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[CHESKY;CD94](READER’S DIGEST原盤)



7.21(木)
 -23(土)(?)









ジャズ『BIRMINGHAM JAZZ FESTIVAL,THE EARLY YEARS,1960,VOLUME1-3』

サンディ・モス(t-sax)ジュニア・マンス(p)J・C・ハード(ds)トゥーツ・シールマンス(g)ジョー・ケネディ(vn)レム・ウィンチェスター(vib)、ほか
シェーン公園(?)、バーミンガム、ミシガン州デトロイト近郊(ステレオ録音)
[RED ANCHOR PRODUCTIONS;CAP920,921,922(分売)]

  デトロイトのベッドタウン、バーミンガムで初めて開催されたジャズ祭の記録。2002年に初発売された。月日の表示はないが、現在のジャズ祭は毎年7月20日前後の木曜から土曜に開催されているので、それと同じとするとこの3日間に比定できる。
  イギリスのバーミンガム市でも国際ジャズ祭が同時期に開催されているが、こちらはアメリカの小さな町の記録。
7.22(金)

漫才『お祭りとお酒』

秋山右楽・夏川左楽
大阪(NHK大阪)
[日本コロムビア;COCF-13121~28]

  8枚組「上方漫才黄金時代」所収。



7.22(金)

ベートーヴェン:交響曲第3番《英雄》
フォーレ:レクイエム

サラメー・エンディック(S)ドナルド・グラム(Bs)
シャルル・ミュンシュ指揮ボストンso、祝祭cho
ザ・シェド、タングルウッド(バークシャー音楽祭)
〈未レコード化〉



7.22(金)

ジャズ『ライヴ・イン・サンフランシスコ 1960』(16曲)

デューク・エリントンo
メイザー空軍基地、サクラメント(ステレオ録音)
[SONY;SRCS5932]

  即物的な邦題より、原題の「HOT SUMMER DANCE」の方が風情がある。空軍基地の「ダンス・デイト」での演奏で、ホッジス(as)やナンス(tp)などの名手を揃えて代表曲を並べたお得なライヴ。91年に初発売された。



7.22(金)

朗読『ヌマさん童話』

浅沼稲次郎(朗読)
衆議院議員会館、東京永田町
ソノシート〈朝日ソノラマ第12号〉

  社会党委員長浅沼稲次郎の朗読による童話(構成・松田多加志、音楽・湯山昭)。ラジオ番組用に録音されたもので、毎朝1年間放送される予定だったがスポンサーがつかず、お蔵入りしていた。10月に浅沼が右翼少年に刺殺されたためにようやく放送の機会を得たという。「音の出る雑誌」として有名な月刊ソノシート誌『朝日ソノラマ』第12号(11月発売)のソノシートに所収された。冒頭あたりのノイズは、議員会館周辺を回る右翼の街宣車の声だという。

  フランスで開発されたソノシート(フォノシート)は当時まだ高価だったレコードよりも安く、また書店での販売が可能なため、日本でも前年あたりから高い人気を得ていた。1959年12月に創刊された『朝日ソノラマ』は各種音楽、朗読、実況やニュースなどを毎月6枚のソノシートに収めている。360円という価格は貨幣価値が現代の10倍から15倍であることを考えると結構な値段だが、それでも2000円以上するLP盤に較べれば、はるかに安かった。



7.23(土)

ヴェルディ:歌劇《アイーダ》より第3幕の二重唱

ルイザ・マラリャーノ(S)ジャンジャコモ・グエルフィ(Br)
ジャナンドレア・ガヴァッツェーニ指揮ヴェローナ・アレーナo
アレーナ・ディ・ヴェローナ
[THE GOLDEN AGE OF OPERA;GAO204]

  日付不詳。公演2日目の23日と推定したが、30日かも知れない。本来のアイーダ役はステッラ(1929生)で、初日の21日は第3幕の途中で一度引っ込むほどの不調だったという。マラリャーノは代役。他の歌手はシミオナート、ベルゴンツィ(1924生)など。
  アレーナは2万5千人収容のローマ時代の円形闘技場で、7月半ばから8月半ばまで野外オペラが公演される。



7.上旬
 -下旬(?)

「1960年バイロイト音楽祭リハーサル」

エリザベート・グリュンマー、アニア・シリヤ、ドロテア・ジーベルト(S)ヘロルド・クラウス、ヴォルフガンク・ヴィントガッセン(T)カール・シュミット・ワルター、テオ・アダム(Bs)、ほか
ルドルフ・ケンペ、ハンス・クナッパーツブッシュ、ヴォルフガング・サヴァリッシュ、ロリン・マゼール指揮バイロイト祝祭o、ヴィルヘルム・ピッツ指揮バイロイト祝祭cho
祝祭劇場、バイロイト(バイロイト音楽祭)
DVD〈ドリームライフ;DLVC-1014〉

  DVD『未来の芸術バイロイト祝祭劇100年』所収。開幕前のさまざまなリハーサルの模様をテレビ収録したもの。サヴァリッシュの《さまよえるオランダ人》、マゼールの《ローエングリン》、ケンペの《ニーベルンクの指環》、クナッパーツブッシュの《ニュルンベルクのマイスタージンガー》と《パルジファル》と、この年の演目が断片的にすべて紹介されている。



7.23(土)







ワーグナー:歌劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》全曲

エリザベート・グリュンマー(S)ヴォルフガンク・ヴィントガッセン(T)ヨーゼフ・グラインドル(Bs)、ほか
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮バイロイト祝祭o、同cho
祝祭劇場、バイロイト(バイロイト音楽祭)
[MELODRAM;MEL46103]or[GOLDEN MELODRAM;GM1.0029]

  1960年バイロイト音楽祭の開幕公演。ヴィーラント・ワーグナー演出の《マイスタージンガー》は56年の初制作以来、ザックス役の歌手と指揮者が毎年のように変わっている。この年はクナッパーツブッシュ(1888生)以下、重量級の出演者をそろえて堂々たる威容で圧倒した。


7.23(土)

ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調

松浦豊明(p)
ペドロ・デ・フレイタス=ブランコ指揮モンテカルロ国立歌劇場o
大公宮殿中庭、モナコ(モナコ国際音楽祭)
[office Matsuura:TMCDG-002]

  「松浦豊明の世界 第2集 1958-60/モスクワ・パリ」所収。松浦豊明(1929生)は1959年6月のロン・ティボー国際音楽コンクールでグランプリを獲得、日本人として史上初の国際音楽コンクール優勝者となった。
  1960年当時は西ベルリンのベルリン国立音楽大学で研鑽中である。7月にモナコ、ドーヴィル、ビリアッツなどフランス南部の地中海沿岸の避暑地を演奏旅行したが、これはそのときのライヴ録音。当日の客席にはマリア・カラスとオナシスもいたという。9月からはNHK交響楽団のヨーロッパ演奏旅行に帯同する。



7.23(土)

ケルビーニ:歌劇《アナクレオン》序曲
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番《皇帝》
レスピーギ:交響詩《ローマの泉》
R・シュトラウス:交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》

クラウディオ・アラウ(p)
ピエール・モントゥー指揮ボストンso
ザ・シェド、タングルウッド(バークシャー音楽祭)
[WEST HILL RADIO ARCHIVES;WHRA-6047](《皇帝》のみ2012、他は未レコード化)

  タングルウッドでのライヴ。モントゥー(1875生)はボストンsoの名誉指揮者的な存在だった。



7.24(日)

モーツァルト:歌劇《ドン・ジョヴァンニ》全曲

ジョーン・サザランド、イルヴァ・リガブーエ、ミレッラ・フレーニ(S)リチャード・ルイス(T)エルネスト・ブラン、セスト・ブルスカンティーニ(Br)、ほか
ジョン・プリッチャード指揮ロイヤルpo、グラインドボーン祝祭cho
グラインドボーン歌劇場(グラインドボーン祝祭歌劇)
[GOLDEN MELODRAM;GM 5.0077](2011)



7.24(日)

デッロ・ジョイオ:3つの交響的舞曲
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲(終結部欠落)
ベートーヴェン:交響曲第5番《運命》

ハイメ・ラレード(vn)
シャルル・ミュンシュ指揮ボストンso
ザ・シェド、タングルウッド(バークシャー音楽祭)
〈未レコード化〉



7.25(月)
 -28(木)





ショパン:バラード第4番、練習曲第10番、ほか全12曲

サンソン・フランソワ(p)
アビー・ロード・スタジオ、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;7243 5 68713 2 8]]

  6&7月のパリ録音に続く、フランソワのこの年2枚目のショパン・リサイタル盤。



7.26(火)

ワーグナー:楽劇《ラインの黄金》全曲

ヘルタ・テッパー(Ms)ゲルハルト・シュトルツェ(T)ヘルマン・ウーデ(Bs-Br)、ほか
ルドルフ・ケンペ指揮バイロイト祝祭o、同cho
祝祭劇場、バイロイト(バイロイト音楽祭)
[GOLDEN MELODRAM;GM1.0027]

  この年のバイロイト最大の話題は、ヴォルフガンク・ワーグナー演出による《ニーベルンクの指環》新制作初演である。51年から8年間続けられた兄ヴィーラントの演出に代わるもので、歌手も指揮者も一新した。ロンドンのコヴェント・ガーデンでの《指環》で評判になったケンペの指揮と、各地の歌劇場を席巻するニルソンのブリュンヒルデ役が「売り」だった。



7.26(火)

R・シュトラウス:歌劇《ばらの騎士》全曲

リーザ・デラ・カーザ、セーナ・ユリナッツ、ヒルデ・ギューデン(S)オットー・エーデルマン(Bs)ほか
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーンpo、ウィーン国立歌劇場cho
新祝祭劇場、ザルツブルク(ザルツブルク音楽祭)
[ユニバーサル;POCG-10188/90](DG原盤)

  1960年ザルツブルク音楽祭の開幕公演であり、同時に新祝祭劇場(現在の祝祭大劇場)のこけら落としとなった上演のライヴ録音。
  シュヴァルツコップが元帥夫人を歌った8月6日の録音も存在するらしい。



7.26(火)

ビデオ・クリップ『Gould rehearses for the Stratford Festival』

グレン・グールド(p)オスカー・シュムスキー(vn)、ルー・アップルバウム
祝祭劇場(?)、ストラトフォード、カナダ(ストラトフォード祭)
サイト〈http://archives.cbc.ca/IDCC-1-68-320-1735/arts_entertainment/glenn_gould/〉

  カナダのオンタリオ州のストラトフォードで開かれるフェスティヴァルは、シェークスピアの生地とされるイギリスの同名の町で行なわれる演劇祭になぞらえて、春から秋にかけてシェークスピアの戯曲などを上演する。1960年前後には音楽部門もあり、グールドはシュムスキー、ローズとともに1960年の「アーティスト・イン・レジデンス」を務めていた。
  映像はカナダ放送のアーカイヴズのサイトで観ることができる。グールドがチャイコフスキーの《ロメオとジュリエット》をピアノで弾いていると音楽監督のルー・アップルバウムが現れて会話となり、やがてシュムスキーが登場してベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ第7番の終楽章をリハーサルする、という約4分間のもの。この曲は8月7日に演奏される。



7.27(水)

ヘンデル:ヴァイオリン・ソナタ第4番

シモン・ゴールドベルク(vn)ブルックス・スミス(p)
アスペン音楽学校、コロラド(アスペン音楽祭)
[シモン・ゴールドベルク メモリアルファンドCD制作プロジェクト実行委員会;SZY-G002~5]

  日本で制作された4枚組『シモン・ゴールドベルク 第2集』所収。アスペン音楽祭のライヴ録音。ロッキー山脈の山あいの町アスペンでの音楽祭は、6月末から8月末まで2か月間開催される。ゴールドベルク(1909生)は教授陣の一員。



7.27(水)

ワーグナー:楽劇《ワルキューレ》全曲

オーセ・ノルモ・レーヴベリ、アストリッド・ヴァルナイ(S)ヴォルフガンク・ヴィントガッセン(T)ジェローム・ハインズ(Bs-Br)ゴットロープ・フリック(Bs)、ほか
ルドルフ・ケンペ指揮バイロイト祝祭o、同cho
祝祭劇場、バイロイト(バイロイト音楽祭)
[GOLDEN MELODRAM;GM1.0027]

  それまでヴォータン役を独占したホッターに代えて、若きアメリカ人ハインズを起用。ヴィントガッセンもジークフリートからジークムントに回った。



7.27(水)





モーツァルト:歌劇《コジ・ファン・トゥッテ》全曲

エリーザベト・シュヴァルツコップ、グラツィエラ・シュッティ(S)クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)ヴァルデマール・クメント(T)ヘルマン・プライ(Br)ほか
カール・ベーム指揮ウィーンpo、ウィーン国立歌劇場cho
州立劇場、ザルツブルク(ザルツブルク音楽祭)
LP〈MELODRAM;MEL708〉

  本来の会場は旧祝祭劇場だったが、《ドン・ジョヴァンニ》がカラヤンの要請で新祝祭劇場から旧祝祭劇場へと上演場所を変更したあおりを受けて、より小さな州立劇場に回された。翌年は旧祝祭劇場に戻されている。

  フィオルディリージのアリアのみ、シュヴァルツコップのアリア集[MELODRAM;MEL16501]でCD化。



7.27(水)

ブラームス:ワルツ イ長調
サラサーテ:サパテアード

アルフレッド・カンポーリ(vn)
和田則彦(p)
共立講堂、東京神田
ソノシート〈朝日ソノラマ 第10号〉

  『朝日ソノラマ』第10号所収。音源は文化放送制作のラジオ番組「東急ゴールデンコンサート」から。カンポーリ(1906生)の初来日時の記録。曲目はヘンデルのソナタ第1番、ベートーヴェンの《春》ソナタなど。宮沢縦一によると、ホールは「冷房完備」とあったがうだるような暑さだったという(ディスク 1960年9月号)。
  冗談音楽の制作者としても知られる和田則彦(1932生)とは気が合ったのか、1966年の再来日時にはキングレコードでリサイタル盤を一緒に録音している。



7.27(水)

落語『牡丹燈籠 お札はがし』

五代目 古今亭志ん生
東京(ニッポン放送「演芸くらぶ」)
[ポニーキャニオン;POCG-00702]

  日付は放送日。夏ということで怪談物をやっている。



7.27(水)
 &28(木)

佐藤勝:映画『悪い奴ほどよく眠る』サウンドトラック

佐藤勝指揮のオーケストラ
東宝撮影所録音センター、東京世田谷(ステレオ)
[東宝ミュージック;AK-0005]

  『黒澤明映画音楽完全盤』シリーズの一枚。黒澤明が監督・製作を兼ねた、三船敏郎主演の社会派映画の傑作。同年9月15日に封切られた。佐藤勝は指揮も自分で行うのが常だった。



7.27(水)
 -8.1(月)

キューバ音楽『ルンバ・トロピカル』(26曲)

アルマンド・オレフィチェ&ハバナ・キューバン・ボーイズ、ほか
ハバナ(セッション商業録音)
[テイクオフ;TKF-3301](PANART原盤)

  オレフィチェ(1911生)は1930年代にパリやロンドンで大人気を得たレクォーナ・キューバン・ボーイズの実質的リーダーとして活躍した。ハバナ・キューバン・ボーイズは1946年にかれが結成したもの。CDは革命後のキューバでオレフィチェが録音したLP4枚から選曲したもの。



7.27(水)
 -8.2(火)

『SEA SHANTIES』(16曲)

ロバート・ショー指揮ロバート・ショーchoの男たち
マンハッタン・センター、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[RCA;09026-63528-2]

  シャンティとは船乗りたちのはやし歌のこと。そのシャンティを15曲、無伴奏の男声で録音したアルバム。



7.28(木)

ワーグナー:楽劇《ジークフリート》全曲

ビルギット・ニルソン(S)ハンス・ホップ、ヘロルド・クラウス(T)ヘルマン・ウーデ(Bs-Br)オタカル・クラウス(Bs)、ほか
ルドルフ・ケンペ指揮バイロイト祝祭o、同cho
祝祭劇場、バイロイト(バイロイト音楽祭)
[GOLDEN MELODRAM;GM1.0027]



7.28(月)

ポンキエッリ:歌劇《ラ・ジョコンダ》全曲

ルシル・ウドヴィク(S)ミニョン・ダン(Ms)フラヴィアーノ・ラボー(T)アルド・プロッティ(Br)ノーマン・スコット(Bs)、ほか
カルロ・フェリーチェ・チラーリオ指揮ブエノスアイレス・コロン劇場o&cho
コロン劇場、ブエノスアイレス
[BONGIOVANNI;HOC 056/57](2011 )

  南半球のアルゼンチンでは季節が逆で、気候的には北半球の2月の真冬になり、音楽シーズンも逆にこの時期が最盛期となる。1960年のシーズンは6月10日に《仮面舞踏会》で開幕し、11月20日の《人間の声》まで、12の演目を56回上演した。《ジョコンダ》は4つめの演目で、初日の7月28日の録音。続いて7.31、8.2、8.4、8.6と上演された。



7.28(木)

ヴォルフ:ゲーテ歌曲集(19曲)、メーリケ歌曲集(3曲)

ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)
ジェラルド・ムーア(p)
モーツァルテウム、ザルツブルク(ザルツブルク音楽祭)
[ORFEO;C339050T]

  ディースカウとムーアによるライヴ録音10枚組『SALZBURGER LIEDERABENDE 1956-1965』所収。ザルツブルク音楽祭の「歌曲の夕べ」(全5回)の第1夜。本プロ18曲とアンコールの1曲目はゲーテ、他はメーリケによる。



7.28(木)

独唱リサイタル(セーデルマン:歌曲《魔法の湖》など5曲)

ユッシ・ビョルリンク(T)ベルティル・ボークステット(p)
グレーナ・ルント遊園地、ストックホルム
[BLUEBELL;ABCD042]

  『GRÖNA LUND RECORDINGS Vol.1』所収。《仮面舞踏会》録音中止後、ビョルリンクは15日にスウェーデンに帰った。遊園地の野外音楽堂でのリサイタル。CD化された5曲以外にもう1曲録音されている。



7.28(木)
 -8.1(月)

『宝石の歌~コロラトゥーラ・アリア集』(グノー:歌劇《ファウスト》より〈宝石の歌〉など8曲)

アンナ・モッフォ(S)
トゥリオ・セラフィン指揮ローマ歌劇場o
ローマ歌劇場、ローマ(セッション商業録音、ステレオ)
[BMGジャパン;BVCC-37453]

  期間中7月31日だけはセッションなし。《オテロ》全曲録音の合間にセッションが行われたことになる。



7.29(金)

テイラー:歌劇《ピーター・イベットソン》全曲

リチア・アルバネーゼ(S)チャールズ・K・L・デイヴィス(T)ペーター・ヴァン・ギンケル(Br)ほか
ウィルフレッド・ペレティエ指揮シンフォニー・オブ・ジ・エア
ベア・マウンテン、ニューヨーク州(エンパイア・ステート音楽祭)
〈未レコード化〉

  アメリカのエンパイア・ステート音楽祭でのライヴ録音。この音楽祭は1955年創設。シンフォニー・オブ・ジ・エアを専属オーストラとした。巨大なテントを会場にしてキャッツキル山脈の保養地で開催されたが、資金難で1961年が最後となる。1960年は7月7日から8月6日まで、オペラ5演目11晩と演奏会2回が行なわれた。他のオペラは《セビリアの理髪師》《蝶々夫人》《カーチャ・カバノヴァー》《大聖堂の殺人》。《ピーター・イベットソン》の公演は7日から10日までの予定だったが、舞台装置と照明が風雨で損害を受けたために延期されたもの。



7.29(金)

ストラヴィンスキー:バレエ《カルタ遊び》
フレンニコフ:交響曲第1番
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第3番

バイロン・ジャニス(p)
シャルル・ミュンシュ指揮ボストンso
ザ・シェド、タングルウッド(バークシャー音楽祭)
〈未レコード化〉

  ロシア音楽をあつめた演奏会。



7.29(金)

フォーク『THE LIMELITERS/TONIGHT:IN PERSON』(10曲)

ザ・ライムライターズ
ジ・アシュ・グローヴ、ハリウッド
[RCA;2272-2-R]

  ライムライターズは男性3人組のフォーク・グループ。人気絶頂のキングストン・トリオに対抗してRCAが売り出した。ギター、バンジョー、ベースとアコースティック編成なのが時代の特徴。翌年の発売時にはビルボード誌で5位に入った週もあるほどのヒット盤である。ライナー・ノーツにはこの日の録音とあるが、パッケージには28、29、30日の3日間があげられている。



7.29(金)





ジャズ『STAN GETZ IN SWEDEN 1958-60』より3曲(チュニジアの夜、ほか)

スタン・ゲッツ・カルテット
[DRAGON;DRCD263]
スウェーデン放送局、ストックホルム

7.29(金)

落語『たちきり』

桂小文治
ヤマハホール、東京銀座(第13回東京落語会)
[クラウン;CRCY-10034]

  第13回「東京落語会」の録音。桂小文治(67歳)は上方出身。8月24日のNHKラジオ「納涼落語大会」で放送され、映像も8月28日にNHKテレビで放送されている。



7.29(金)

落語『夏の医者』

六代目 三遊亭圓生
東横ホール、東京渋谷(第26回東横落語会)
[ソニー;FCCG4303]

  渋谷で行われていた東横落語会でのライヴ録音。『圓生ライブ名演集』(15枚組)に所収。圓生(60歳)。



7.30(土)





ワーグナー:楽劇《神々の黄昏》全曲

ビルギット・ニルソン(S)ハンス・ホップ(T)ゴットロープ・フリック(Bs)、ほか
ルドルフ・ケンペ指揮バイロイト祝祭o、同cho
祝祭劇場、バイロイト(バイロイト音楽祭)
[GOLDEN MELODRAM;GM1.0027]



7.30(土)

ベルリオーズ:幻想交響曲
ブラックウッド:交響曲第6番
ラヴェル:バレエ《ダフニスとクロエ》第2組曲

シャルル・ミュンシュ指揮ボストンso、祝祭cho
ザ・シェド、タングルウッド(バークシャー音楽祭)
〈未レコード化〉



7.31(日)

ワーグナー:舞台聖祓祝典劇《パルジファル》全曲

レジーヌ・クレスパン(S)ハンス・バイラー(T)ヨーゼフ・グラインドル、トマス・スチュアート(Bs)、ほか
ハンス・クナッパーツブッシュ指揮バイロイト祝祭o、同cho
祝祭劇場、バイロイト(バイロイト音楽祭)
[GALA;GL100.655]

  フランス・オペラ界は戦後長く沈滞していたが、クレスパン(1927生)やリタ・ゴール、エルネスト・ブランらの国際的な活躍によってふたたび活性化した。そのクレスパンがクンドリー役を歌っている。



7.31(日)

モーツァルト:交響曲第35番《ハフナー》
ベートーヴェン:交響曲第9番《合唱》

エリナー・スティーバー(S)フレイダ・グレイ=マッセ(Ms)ジョン・マッカラム(T)デイヴィッド・ローラン(Bs)
ピエール・モントゥー指揮ボストンso、バークシャー音楽祭cho
ザ・シェド、タングルウッド(バークシャー音楽祭、ステレオ録音)
〈未レコード化〉

  指揮者講習に参加していた小澤征爾(1935生)も合唱団の一員にいたという。アメリカに渡ってきたばかりの小澤はクーセヴィツキー特別賞を受賞、以後のアメリカでの長い活動の基礎となった。



7.31(日)

ヴォルフ:スペイン歌曲集より(14曲)

イルムガルト・ゼーフリート(S)ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)
エリク・ヴェルバ、ジェラルド・ムーア(p)
モーツァルテウム、ザルツブルク(ザルツブルク音楽祭)
[ORFEO;C339050T]

  10枚組『SALZBURGER LIEDERABENDE 1956-1965』のボーナス盤。ヴォルフ生誕100年記念演奏会から。ゼーフリートの伴奏をヴェルバ、ディースカウをムーアが交代で担当している。ザルツブルク音楽祭の「歌曲の夕べ」(全5回)の第2夜。



7.31(日)

ジャズ『JOE GORDON & SCOTT LAFARO/WEST COAST DAYS』より3曲(アワ・デライト、ほか)

ジョー・ゴードン(tp)リッチー・カムカ(ts)ラス・フリーマン(p)モンティ・バドウィグ(bs)シェリー・マン(ds)
ザ・ライトハウス、ハーモサ・ビーチ、ロスアンジェルス近郊
[FRESH SOUND;FSCD-1030]

  ライトハウスはウエストコースト・ジャズのメッカとして知られた、浜辺のジャズクラブ。



7.









ベートーヴェン:交響曲第6番《田園》
シューベルト:交響曲第7番《未完成》
J・シュトラウス:小品集(9曲)

ヨーゼフ・カイルベルト指揮バンベルクso
バンベルク(セッション商業録音、ステレオ)
[ワーナー;WPCS-6056、6062](TELDEC原盤、分売)
[TELDEC;8.43273](J・シュトラウス)

  《コリオラン》と《エグモント》序曲も録音されたらしい。

7.(?)


プロコフィエフ:バレエ《石の花》第1幕

ユーリ・ソロヴィエフ、アラ・シゾーヴァ、アラ・オシペンコ、アナトーリ・グリディンほか、レニングラード・キーロフ・バレエ団
ニアジ指揮コヴェント・ガーデン歌劇場o
ロンドン(BBCテレビ用録画)
DVD〈ICA CLASSICS;ICAD5074〉(2012)

  「TRESURES OF THE RUSSIAN BALLET」所収。ライヴではなく、おそらくBBCのスタジオでの録画。振付はグリゴローヴィチ。
  ただし、キーロフ・バレエの訪英公演は翌年の6月、ヨーロッパ・ツアーの一環として行なわれたものなので、このDVDの表記は1961.7の誤り(なおイギリス公演の直前、団員のルドルフ・ヌレエフがパリで西側に亡命した)。
  キーロフ・バレエ団はこの1960年6月から7月にかけて、初めての日本公演を行なっているので、その点からも誤記と証明できる。これは3年前のボリショイ・バレエ初来日に続き、「赤い呼び屋」神彰率いるアートフレンドの招聘によるものだった。抜粋の名場面集を上演したボリショイとは異なり、全幕公演を行うのがウリで、《石の花》も十八番の一つとして《白鳥の湖》《ジゼル》《シルフィード》とともに取りあげられている。
  所属する500人の踊り手と200人の音楽家から選抜された120人の大挙来日で、6月4日から29日まで東京の宝塚劇場、7月2日から9日まで大阪フェスティバルホールで公演された。ただし東京公演は運悪く安保闘争の混乱と重なり、アメリカからの団体客のキャンセルなどがあって、動員が伸びずに赤字となったという。



7.





ワルトトイフェル:ワルツ集(4曲)

ヴィルヘルム・ロイプナー指揮ウィーンso
ウィーン(セッション商業録音、ステレオ)
[ユニバーサル;PHCP20426](PHILIPS原盤)



7.









バッハ&ヘンデル:宗教的アリア集(5+2曲)

アーフェ・ヘイニス(A)
ハンス・ギレスベルガー指揮ウィーンso
ウィーン(セッション商業録音、ステレオ)
[PHILIPS;464 631-2] (2001)

  オランダのアルト歌手ヘイニス(1924生)によるアリア集。ヘイニスの1960年の録音としては、このほかに6月のカンタータ第170番(ゴールドベルク指揮)のほか、月日不詳のイギリス民謡集(ピアノ伴奏、フェリックス・デ・ノーベル)がある。民謡集のうち5曲は[PHILIPS;462 084-2](1997)でCD化されている。



7.

ノイマイヤー:学生の歌(8曲)

フリッツ・ヴンダーリヒ(T)
カール・リステンパルト指揮ザールラント放送室内o
ザールラント放送局、ザールルイ
[EMI;7243 5 67452 2 3]

  17世紀の学生歌を、フリッツ・ノイマイヤー(1900-83)がテノールと弦楽オーケストラ用に編曲したもの。ザールラント放送によるラジオ用録音で、1974年にレコード化された。ザールルイはナチス時代にザールラウテルンと呼ばれた町。



7.or8.

ショパン:ピアノ・ソナタ第2番

マウリツィオ・ポリーニ(p)
ドゥブローブニーク(ドゥブローブニーク夏期音楽祭)
[SUITE;CDS1-6002]

  月日不詳。ドゥブローブニークは「アドリア海の真珠」と称えられるクロアチア南部の都市。夏期音楽祭はユーゴスラヴィア(当時)最大の音楽祭で、7月10日から8月24日まで開催された。
  ショパン・コンクールの優勝者ポリーニ(1942生)はここでもショパンを弾いて(弾かされて?)いる。