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1960年9月
(最終更新2014.01.17)

9.1(木)

ブゾーニ:歌劇《アルレッキーノ》全曲

ヘルガ・ピラルチェク(S)ハインツ・ブランケンブルク(Br)、ほか
ジョン・プリッチャード指揮ロイヤルpo
キングズ劇場、エディンバラ(エディンバラ国際祝祭)
[THE OPERA SOCIETY;OSCD225]

  グラインドボーン祝祭歌劇による客演。エディンバラ国際祝祭で《ファルスタッフ》と《清教徒》と、《アルレッキーノ》《スザンナの秘密》と《人間の声》の1幕物3本の3演目を上演した。《アルレッキーノ》は1954年のグラインドボーン版の再演だが、他の2本はエディンバラのための新制作。



9.1(木)(?)

リート・リサイタル(17曲)

ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス(S)
ジェラルド・ムーア(p)
アッシャー・ホール、エディンバラ(エディンバラ国際祝祭)
LP〈UORC;339〉

  この晩のリサイタルと称するLPが出ている。しかし、このとき実際に演奏されたはずの曲目とは異なっている。LPの内容は57年8月25日のエディンバラでのリサイタル[BBC;BBCL4101-2]と酷似しており、おそらくはその誤用だろう。(参照8.27)



9.1(木)

ジャズ『GEORGE RUSSELL:THINGS NEW:UNISSUED CONCERTS 1960&1964』(4曲)

ジョージ・ラッセル・セクステット
バークシャー・ミュージック・バーン、マサチューセッツ
[RARE LIVE RECORDINGS;RLR88630

  9.20の商業録音に先立つライヴ録音。2007年に初CD化。メンバーは同一だが、曲目で重なるのは〈DANCE CLASS〉の1曲のみ。



9.2(金)
 -30(金)



ワーグナー:楽劇《トリスタンとイゾルデ》全曲
『THE BIRTH OF OPERA:TRISTAN UND ISOLDE』

ビルギット・ニルソン(S)レジーナ・レズニク(Ms)フリッツ・ウール(T)アルノルド・ヴァン・ミル(Bs)、ほか
ゲオルク・ショルティ指揮ウィーンpo、ウィーン楽友協会cho
ゾフィエンザール、ウィーン(セッション商業録音、ステレオ)
[DECCA;470814-2](楽劇) [DECCA;470975-2](特典盤)

  セッションの模様を紹介する『歌劇の誕生』はオリジナルLP全曲盤の第10面に所収された。プロデューサーのジョン・カルショーが語りを担当している。
  カルショーが《ジークフリート》の外題役に起用しようとして果たせなかった、エルンスト・コツープがメロート役を歌っている。



9.前半

R・シュトラウス:交響詩《死と変容》

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーンpo
ゾフィエンザール、ウィーン(セッション商業録音、ステレオ)
[DECCA;448 042-2]

  同時にブラームスの交響曲第3番の一部が録音され、そちらは翌1961年秋に完成された。カルショーによると録音した曲はハイドンやベートーヴェンなど他にもあったようで、セッションは《トリスタン》録音と同時に数日間行なわれた。その間スタッフはカラヤンが午前中にオーケストラ曲を録音したあと、椅子やマイクをオペラ用に並べかえて《トリスタン》を午後に行ない、また配置を戻すという作業をくり返していた。こんな無駄な手間をしたのはカラヤンをなだめるためである。自分が演出もしてウィーン国立歌劇場で指揮している演目(ちょうど11日にも取りあげている)を、他人が録音することをカラヤンが喜んでいなかったからである。9日朝にビョルリンク死去の一報が入ったとき、カルショーはカラヤンとベートーヴェンの交響曲を録音しているところだったという。



9.2(金)

演説『ハバナ宣言(第1次)』

フィデル・カストロ
ホセ・マルティ広場、ハバナ
書籍〈ISBN4-86182-023-5〉(作品社)

  単行本『ゲバラ 青春と革命』付録のCDに所収。キューバ首相カストロ(1926生)による約10分間の演説の録音で、ラテンアメリカにおける「アメリカ帝国主義」への闘争を呼びかけ、アメリカとの対決姿勢をいよいよ鮮明にした。20万人の聴衆を前にしての演説という。冒頭にキューバの革命歌《7月26日行進曲》が挿入される。なお第2次宣言は1962年に行なわれている。



9.2(金)


ジャズ『BENNY GOODMAN/HOLLYWOOD,AT CIRO’S,1960』(9曲)

ベニー・グッドマン&ヒズ・オーケストラ
サイロズ、ハリウッド
[JAZZ PORTRAITS;CD14562]

  ナイトクラブでのライヴ録音。



不詳

ジャズ『BENNY GOODMAN SWINGS AGAIN』(9曲)

ベニー・グッドマン&ヒズ・オーケストラ
サイロズ、ハリウッド&ハラーズ、ターホー等、西海岸のナイトクラブ(ライヴ商業録音、ステレオ)
[COLUMBIA;COL 47625 2]

  録音時期不詳だが、9.2のCDと同一曲目(曲順は異同あり)、同一メンバーによる商業録音盤。西海岸でのいくつかの録音を編集したものらしい。なおライナーノーツには「Early in 1960」に全米横断ツアーを行なったとある。JAZZ PORTRAITS盤の「9.2」が「2.9」の表記ミスである可能性も考えられる。



9.3(土)







カントリー・ラジオ番組『グランド・オール・オプリ/プリンス・アルバート・ショー』より《アイム・ゲッティン・ベター》《アイ・ノウ・ワン》&《ゼア・ヒー・ゴーズ》

ジム・リーヴズ、パッツィ・クライン(Vo)、ほか
ライマン公会堂、ナッシュビル
[COUNTRY MUSIC FOUNDATION;CMF-008D]
[MCA RECORDS;MCAD-42142]

  リーヴズの2曲は『JIM REEVES LIVE AT THE OPRY』所収。クラインの1曲は『PATSY CLINE LIVE AT THE OPRY』所収。(1.9&4.2参照)

9.3(土)
 &4(日)

シューベルト:ミサ曲第6番

ピラール・ローレンガー(S)ベティ・アレン(Ms)フリッツ・ヴンダーリヒ、マンフレート・シュミット(T)ヨーゼフ・グラインドル(Bs)
エーリヒ・ラインスドルフ指揮ベルリンpo、聖ヘトヴィヒ教会cho
イエス・キリスト教会、西ベルリン郊外ダーレム(セッション商業録音、ステレオ)
[TESTAMENT;SBT-1111](CAPITOL原盤)

  EMI系の録音でイエス・キリスト教会を使うのは珍しい。続いてラインスドルフは中旬にロンドンに移り、シュトラウスやプロコフィエフのピアノ協奏曲第3番などをフィルハーモニア管弦楽団と録音する。



9.4(日)



チャイコフスキー: 交響曲第5番
間宮芳生: えんぶり
ハイドン: チェロ協奏曲第2番
チャイコフスキー: ピアノ協奏曲第1番

堤剛(vc)松浦豊明(p)
岩城宏之、外山雄三指揮NHKso
モスクワ音楽院大ホール
  ダウンロード音源〈http://www.e-onkyo.com/music/album/nynn000813/〉、〈http://www.e-onkyo.com/music/album/nynn000823/〉

  N響の世界楽旅の音源。8月29日から11月4日まで68日間の世界演奏旅行を行ない、インドからヨーロッパをへてアメリカまで13か国24都市で公演を行なった。これは9月1日のニューデリーに続く2回目の公演。当初モスクワでは3日を初日に2回演奏会を行なう予定だったが、楽器を積んだインド航空の旅客機の出発が2日遅れたため3日は中止(松浦豊明のピアノ・リサイタルに差し替え)、4日当日に到着したものの、1時間15分遅れの夜9時15分開演という騒動になった。
 そのため、3日と4日の曲目を混ぜ、指揮者も独奏も2人登場する大音楽会となった。チャイコフスキー:交響曲第5番(岩城)、間宮芳生:えんぶり(外山)、ハイドン:チェロ協奏曲(堤剛&岩城)、チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番(松浦豊明&外山)、アンコールに外山:ラプソディー。



9.4(日)





落語『大山詣り』

五代目 古今亭志ん生
ニッポン放送「芸能ガーデン」
[キング;KICH 3145]

9.5(月)

モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番

マルタ・アルゲリッチ(p)
ペーター・マーク指揮ケルン放送so
西部ドイツ放送局ザール1、ケルン(?)
CD-R〈VIBRATO;VHL428〉(2010)

  1.30のモーツァルトのピアノ・ソナタ第8番と同じCD-R。



9.5(月)

ソロ・コンサート(4曲)

ローレル・ハーリー(S)
指揮者不詳のオーケストラ
セントラルパーク・モール、ニューヨーク
〈未レコード化〉

  ハーリー(1927生)によるセントラルパークでのコンサート。曲目はモーツァルトの《アレルヤ》、《カプレーティとモンテッキ》《リゴレット》《死の都》。



9.5(月)

落語『相馬義門雪の情話』

二代目 三遊亭圓歌
NHK
[テイチク;TFC-1261]

  15枚組『ラジオ名人寄席』所収。
  この日、池田隼人首相が自民党の新政策「所得倍増計画」を発表した。



9.5(月)

落語『粗忽の釘』

六代目 春風亭柳橋
NHK
[テイチク;TFC-1261]
[ユニバーサル・ミュージック;POCN-1020]

  15枚組『ラジオ名人寄席』所収。ユニバーサル盤も同一音源と思われる。
  9.8のヤマハホール(東京落語会)での同じ噺の録音も、東宝の14枚組『ザ・ベリー・ベスト・オブ落語』に入っている。



9.5(月)
 -7(水)





シューベルト:交響曲第4番《悲劇的》

オイゲン・ヨッフム指揮アムステルダム・コンセルトヘボウo
コンセルトヘボウ、アムステルダム(セッション商業録音、ステレオ)
[ユニバーサル;UCCP-3291](PHILIPS原盤)

9.

R・シュトラウス:歌劇《ばらの騎士》ワルツ第1&2番

オイゲン・ヨッフム指揮アムステルダム・コンセルトヘボウo
コンセルトヘボウ、アムステルダム(セッション商業録音、ステレオ)
[ユニバーサル;UCCP-3292](PHILIPS原盤)

  日付不明だが、上記の録音と同時期と推定される。



9.5(月)
 -8(木)

サリヴァン:喜歌劇《アイオランス》全曲

イヴォンヌ・ニューマン(S)ジリアン・ナイト(Ms)アラン・スタイラー(T)ジョン・リード(Bs)、ほか
イシドア・ゴドフリー指揮ロンドン新so、ドイリー・カート歌劇cho
ワトフォード・タウン・ホール、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[DECCA;473 641-2]

  ギルバート&サリヴァンによるオペレッタを、その本家ドイリー・カート歌劇団のメンバーで録音したもの。続けて9日から《ゴンドラ漕ぎ》が録音される。



9.5(月)
 -8(木)

ジャズ『HUM!』(全8曲)

ダニエル・ユメール(ds)、ルネ・ユルトルジェ(p)、ピエール・ミシュロ(bs)
クリュブ・サン・ジェルマン、パリ(ライヴ商業録音、ステレオ)
[SKETCH;SKE333006.08](VEGA原盤)

  HUMは3人の姓の頭文字。フランスを代表するピアノ・トリオのライヴ盤。CDは1979年と99年の録音と組み合わされた3枚組。



9.5(月)
 -12(月)

ベッリーニ:歌劇《ノルマ》全曲

マリア・カラス(S)クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)フランコ・コレッリ(T)ニコラ・ザッカリア(Bs)、ほか
トゥリオ・セラフィン指揮ミラノ・スカラ座o、同cho
スカラ座、ミラノ(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;TOCE-59413-15]

  アテネでの《ノルマ》を終えたカラスとセラフィンによるミラノでの商業録音。カラスがスカラ座のオーケストラと行なった最後のセッション録音となる。セラフィンにとっては《カヴァレリア・ルスティカーナ》と《オテロ》に続いて、この年3本めのオペラの全曲録音となる。3つともレーベルが違うあたりがセラフィンらしい。



9.5(月)
 -16(金)

ショパン:練習曲集op.10 & 25

マウリツィオ・ポリーニ(p)
アビー・ロード・スタジオ、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[TESTAMENT;SBT 1473](2011)

  日付は5-7,9,11-16日。4月の協奏曲に続く、EMIでのポリーニ(1942生)の録音第2弾。しかしポリーニは発売を拒否し、世に出たのは51年後の1961年。この後ポリーニは1年半にわたって沈黙し、その後も演奏会をわずかしか行わなかったという。ロンドンでの演奏会デビューは1963年、録音も1968年のパリ録音まで中断される(1967年9月にロンドンでセッションが組まれたが中止となった)。



9.6(火)

ラジオDJ番組『BILL WRIGHT RADIO SHOW』

ビル・ライト(DJ)
WIBGラジオ、フィラデルフィア
CD-R〈ROCK IT RADIO;RIR#233〉

  ラジオ放送のエアチェック。当時アメリカ各地のラジオ局が競って放送していた「トップ40」の歌を紹介するDJ番組の一つで、フィラデルフィアで朝8時から9時まで放送されたもの。



9.6(火)
 -9(金)





モーツァルト:交響曲第29番

オトマール・スイトナー指揮ドレスデン国立歌劇場o
ルカ教会、ドレスデン(セッション商業録音、ステレオ)
[BERLIN CLASSICS;0094732BC]



9.7(水)

カセッラ:狂詩曲《イタリア》

アレクサンドル・ガウク指揮モスクワ放送so
モスクワ(?)(セッション放送録音?)
[BRILLIANT;8866]

  10枚組「ALEXANDER GAUK EDITION」所収。



9.7(水)

モーツァルト:セレナード第6番《セレナータ・ノットゥルナ》

カール・リステンパルト指揮ザールラント放送室内o
ザールルイ(?)
[SAALÄNDISCHER RUNDFUNK;MAS372]

  3枚組『60 JAHRE RUNDFUNK-SINFONIEORCHESTER SAARBRÜCKEN』という放送局制作の記念盤に所収。



9.7(水)

《君が代》(第17回五輪ローマ大会男子体操表彰式より)

演奏者不詳
カラカラ浴場特設競技場、ローマ
LP〈NHKサービスセンター;NEL1401~5〉

  5枚組LP『オリンピック栄光の記録』所収。男子体操団体の表彰式の模様。来賓の東龍太郎東京都知事が竹下主将にメダルをかける場面と、国旗掲揚の音楽が収録されている。メダルに紐をつけて、表彰台上の選手の首にかける儀式は、このローマ大会から開始された。
  前年1959年の都知事選挙で東が自民党の都知事候補となったのは、この人がIOC委員だったから、つまり五輪招致のための人選だったという。なおこの選挙の社会党側の立候補者をモデルに三島が書いた小説『宴のあと』は、その真偽をめぐって「プライバシーの侵害」を争点とした裁判に発展して有名になった。



9.7(水)





落語『死神』

五代目 古今亭今輔
文化放送、東京
[ビクター;VZCG-293]

9.8(木)

ベッリーニ:歌劇《清教徒》全曲

ジョーン・サザランド(S)ニコラ・フィラクリディ(T)エルネスト・ブラン(Br)ほか
ヴィットリオ・グイ指揮ロイヤルpo、グラインドボーン祝祭cho
キングズ劇場、エディンバラ(エディンバラ国際祝祭)
[MYTO;2 CD 00263](2011)

  《清教徒》はグラインドボーンでの6月5日と18日の上演もライヴ録音されている。(参照6.18)



9.8(木)

プッチーニ;歌劇《トゥーランドット》全曲(ドイツ語訳詞)

ヴァルブルガ・ヴェグナー、リゼロッテ・ハンメス(S)ヘルベルト・シャハトシュナイダー(T)ヴィルヘルム・シルプ(Bs)、ほか
ミリティアデス・カリディス(指揮)ケルン・ギュルツェニヒo、ケルン歌劇場cho
ケルン歌劇場、ケルン
CD-R〈HOUSE OF OPERA;CD9432〉

  ケルン歌劇場での公演のライヴ。



9.8(木)

映画『アラモ』主題歌《遙かなるアラモ(THE GREEN LEAVES OF SUMMER)》

ブラザーズ・フォア(Vo)
CBS30丁目スタジオ(?)、ニューヨーク
[SONY;SRCS7073]

  オリジナルはブラザーズ・フォアによるシングル盤で、映画『アラモ』サウンドトラック盤に所収されているが、映画内では使われていない。当時は主題歌を別に録音することが多かったのである。
  曲は同映画の音楽を担当したティオムキンが、故郷ウクライナの民謡《夏の緑の葉》を編曲したもの。ティオムキンは当初別の主題歌を作っていたが(おそらくマーティ・ロビンズが歌う《アラモのバラード》のこと)、ジョン・ウェインがもう一つ気に入らず、窮余の策としてテキサスとは無縁のウクライナ民謡を編曲した。映画のサウンドトラックは2日後の10日から15日にかけてハリウッドで録音される。



9.8(木)
 -11(日)

『THE FABULOUS VICTORIA DE LOS ANGELES』(20曲)

ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス(S)
ジェラルド・ムーア(p)グラシアーノ・タラゴー(g)
EMIスタジオ、バルセロナ(セッション商業録音、ステレオ)
[TESTAMENT;SBT1246](EMI原盤)

  ムーアのピアノ伴奏による歌曲リサイタル。最後の《アディオス、グラナダ》はロス・アンヘレス自身のギター伴奏によるもので、彼女のアンコール・ナンバーとして有名だった曲。
  続けて12日から室内合奏団とのスペイン歌曲が録音される。



9.9(金)

黛敏郎:曼荼羅交響曲

岩城宏之指揮NHKso
サラ・スコラスティカ、アスコーナ(アスコーナ音楽週間)
[キング;KICC 3067]

  N響の世界楽旅からのレコード化。他の曲目はグリーグのピアノ協奏曲(松浦豊明独奏)、チャイコフスキーの交響曲第6番《悲愴》。
  N響は8月29日から11月4日まで68日間の世界演奏旅行を行ない、インドからヨーロッパをへてアメリカまで13か国24都市で公演を行なった。これはニューデリー、モスクワ、チューリヒ、ルツェルンに続く5回目の公演。岩城(1932生)はその3分の2の公演を指揮した。NHKは各地の放送局からN響の中継録音を借り、日本で放送した。
  2006年にCD化された。



9.9(金)







ブリテン:パーセルの主題による変奏曲
ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番
チャイコフスキー:交響的幻想曲《フランチェスカ・ダ・リミニ》
プロコフィエフ:《ロミオとジュリエット》第1組曲より〈ティボルトの死〉


ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(vc)
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮レニングラードpo
アッシャー・ホール、エディンバラ(エディンバラ国際祝祭)
[BBC;BBCL4184-2](ブリテン、プロコフィエフ)
[BBC;BBCL4143-2](協奏曲、再発売) [BBC;BBCL4024-2]
[BBC;BBCL4163-2](チャイコフスキー)

  ムラヴィンスキー(1903-88)とロジェストヴェンスキー(1931生)に率いられたレニングラードpoは9月から11月初旬まで、英仏蘭白伊瑞墺の西欧7か国を歴訪する楽旅を行なっている。ソ連の交響楽団による初の訪英で人気を集めた。指揮者は当初ムラヴィンスキーのほかにザンデルリンクが予定されていたが、若手有望株のロジェストヴェンスキーに交代した。最初の訪問地エディンバラでの、6日のムラヴィンスキー指揮の演奏会がツアー初日となった。
  [BBC;BBCL4024-2]の表記には1961年とあるが誤り。[BBC;BBCL4143-2]は新リマスタリングにより2004年発売。
  当日の他の曲目は、ミャスコフスキーの交響曲第21番。〈ティボルトの死〉はアンコール。エディンバラ公演を終えたあとロンドンでDGの商業録音を行なうことになる。
  9月21日のロンドンでのロジェストヴェンスキー指揮の演奏会(この日の曲目からミャスコフスキーの作品のみをラフマニノフの交響曲第3番に換える)のさい、臨席したショスタコーヴィチとブリテンが初めて対面した。



9.9(金)
 -12(月)

サリヴァン:喜歌劇《ゴンドラ漕ぎ》全曲、喜歌劇《コックス&ボックス》全曲

イヴォンヌ・ニューマン(S)ジリアン・ナイト(Ms)アラン・スタイラー(T)ジョン・リード(Bs)、ほか
イシドア・ゴドフリー指揮ロンドン新so、ドイリー・カート歌劇cho
ウォルサムストウ・タウン・ホール、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[DECCA;473 632-2、473 656-2(分売)]

  5日から録音された《アイオランス》に続くもの。LPは3枚組で第6面に《コックス&ボックス》が収められた。《コックス&ボックス》はCDでは《ルディゴア》と組み合わされている。
  会場が《アイオランス》のワトフォード・タウン・ホールからウォルサムストウに変わっているが、どちらかが記述ミスの可能性もある。



9.10(土)

オッフェンバック:喜歌劇《ファヴァール夫人》全曲

スザン・ラフェ、リナ・ダシャリ(S)ジョゼフ・ペイロン(T)カミーユ・モラーヌ(Br)ほか
マルセル・クリヴン指揮フランス放送リリックo、同cho
フランス国立放送、パリ
LP〈DISCOREALE;DR10010/11〉



9.10(土)

ラジオ実況「第17回五輪ローマ大会・マラソン・レースより」

ハインツ・フローリアン・エルテル(実況)
コンスタンティーノ凱旋門、ローマ
[DAS NEUE BERLIN;ISBN3-360-01005-1]

  CD『HEINZ FLORIAN OERTEL/REPORTAGEN』所収。午後5時半にカンピドリオの丘をスタートしたマラソンは2時間15分16秒後、松明に照らされるコンスタンティーノ凱旋門にゴールした、無名の「はだしの英雄」アベベ(1932-73)の世界新記録優勝で幕を閉じた。ここで聴けるのは、そのゴール前後の約1分間のラジオ中継。
  エルテル(1927- )はスター的人気を誇った西ドイツのスポーツ・アナウンサーで、CDには52年から91年までのさまざまな中継が収められている。ローマ五輪からは他に、4人組自転車競走と5000メートル競走の実況も聞ける。



9.10(土)
 -15(金)

ティオムキン:映画『アラモ』サウンドトラック

マーティ・ロビンズ(Vo)ジョン・ウェイン(語り)、ほか
ディミトリ・ティオムキン指揮の管弦楽団と合唱団
サミュエル・ゴールドウィン・スタジオ、ハリウッド&ナッシュビル(セッション商業録音、ステレオ)
[SONY;SRCS7073]

  ジョン・ウェインが製作・監督・主演の三役をかねた大作映画のサウンドトラック。1836年、メキシコの圧制者に反抗して全滅したアラモ砦の戦闘を描く。作曲者ティオムキン(1894生)自身が指揮するオーケストラと合唱は10、11、15日にハリウッドで録音された。
  前年公開の『リオ・ブラボー』で一躍有名になった《皆殺しの歌》が、メキシコ軍軍歌として効果的に使用されている。合唱を担当したのはロジェ・ワーグナー合唱団といわれる。デイヴィ・クロケットに扮するジョン・ウェインのセリフも含まれている。
  人気カントリー歌手ロビンズ(1925生)が歌う《アラモのバラード》だけは、13日にナッシュビルで録音されている。これはワールド・プレミア時には第1部と第2部の合間に挿入歌として演奏されたが、一般公開版やDVDではカットされている。この歌のメロディも映画各所で使用されているので、おそらくはこれが当初の主題歌だったのだろう。
  映画自体の撮影は、1959年9月2日から12月20日までテキサスのセットで行なわれていた。アメリカではこの録音から1か月後の1960年10月17日に封切られ(サウンドトラック盤も同日発売)、日本でも12月24日に公開された。現在発売されているDVDは165分だが、ワールド・プレミア時は192分(一説に3時間半)の長さで、そのヴァージョンもLDで発売されたことがある。
  アカデミー賞7部門にノミネートされながら録音賞しか受賞できなかったのは、稚拙な広報のためとも、ウェインのタカ派ぶりが敬遠されたためとも言われる。(参照9.8)



9.11(日)

ブラームス:ヴァイオリン協奏曲

ナタン・ミルシテイン(vn)
パウル・クレツキ指揮北ドイツ放送so
サル・ドゥ・パヴィヨン(?)、モントルー(モントルー九月祭)
[CLAVES;50-2708]

  ミルシテインは6月23&24日にロンドンで、同じ協奏曲をセッション商業録音している。



9.11(日)

丹波明:ピアノ・ソナタ

田中希代子、舘野泉(p)
NHK(セッション放送録音)
[キング;KICC653]

  NHKのラジオ番組「現代の音楽」のために録音された1959年作曲の作品で、同じ作者のフルート・ソナタも同時期に録音された。
  丹波明(1932生)は東京で池内友次郎に師事し、この録音の直前にパリ音楽院に留学、そのままパリで活動している作曲家。丹波が同い年の田中に演奏を依頼したものだが、留学のため録音に立ち会えなかった。数か月後にパリに送られてきたテープを聴いたところ、第3楽章の演奏のみ舘野泉(1936生)に交替しており、田中も舘野も各所で楽譜の指示を無視していたので驚いたという。
  舘野泉は1958年の音楽コンクールで3位に入賞後、この年にデビュー・リサイタルを開いた新人。



9.11(日)







マーラー:交響曲第1番《巨人》、大地の歌

ケルスティン・マイア(Ms)リチャード・ルイス(T)
ロリン・マゼール指揮ヴェネツィア・フェニーチェ劇場o
開票ホール、総督宮殿、ヴェネツィア(国際現代音楽祭)
[ARCHIPEL;ARPCD0516](巨人、2011)
[Istituto Discografic;IDIS6666](大地の歌、2013)

  9月11日から23日までヴェネツィアで行われる、第23回国際現代音楽祭の開幕コンサート。マーラー生誕百年記念演奏会。この2曲の組合せはきわめて珍しい。ホールの原語名はSala dello Scrutinio。



9.11(日)





ジャズ『LEE MORGAN/UNFORGETTABLE LEE!』より2曲

アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ
バードランド・クラブ、ニューヨーク
[FRESH SOUND RECORDS;FSR-CD357]



9.11(日)

ラジオ実況「第17回五輪ローマ大会閉会式より」

北出清五郎(実況)
スタディオ・オリンピコ、ローマ
LP〈NHKサービスセンター;NEL1401~5〉

  5枚組LP『オリンピック栄光の記録』に所収。過去最多の84カ国、5337人の選手が参加したオリンピックの最終日。電光掲示板には4か月前の5月に決まったばかりの次回開催地「TOKYO」の文字が浮かんでいる。
  次回東京オリンピックへの前哨戦ということで日本は168人の大選手団を組みながらも、期待の水泳陣などが総崩れしてメダルはわずか18個(金メダルは男子体操の4個のみ)に終わり、唯一気を吐いた男子体操以外は惨敗と批判され、4年後に向けて大いに不安を残す結果となった。
  国別の金メダル獲得数はソビエト、アメリカ、イタリア、ドイツ(五輪では東西統一チームとし、《歓喜の歌》を国歌の代わりとした)と続き、日本は第8位。10日のマラソンでエチオピアのアベベ(1932生)が裸足で世界新記録を樹てて優勝、「アフリカの年」の象徴的存在となった。またボクシングのライトヘビー級では18歳のカシアス・クレイ(後のモハメド・アリ)が優勝している。
  NHKがテレビよりもラジオ中継を重視した(といっても生中継はまだ不可能で、録音中心だった)最後の五輪で、閉会式では相撲の名実況者北出(1922生)がラジオを担当している。「ローマよさようなら、ローマよさようなら。世界の若者たちよ、さようなら。また4年後に、東京で会いましょう」の名調子が見事で、4年後への期待をいやがうえにも盛りあげて終わる。

  なおローマ五輪の運営費がトトカルチョ(サッカーくじ)で捻出されたのにならい、東京都もプロ野球などで同方法を採用する案がこの年の秋に発表されたが、国や世論の猛反対でつぶされた。この当時の五輪はまだ、企業の協賛を得て巨額の利益を挙げるようなものではなく、赤字当然の公共事業だった。



9.12(月)

シェーンベルク:ヴァイオリン協奏曲

ティボール・ヴァルガ(vn)
フェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン放送so
ベルリン高等音楽院コンツェルトザール、西ベルリン
CD-R〈TREASURE OF EARTH;TOE2070〉

  演奏会は11日と12日に行なわれ、他にモーツァルトの第40番とベートーヴェンの第7番の交響曲が演奏された。



9.12(月)

松下眞一:カンツォーナ・ダ・ソナーレ第1番(1960)

若杉弘(指揮)竹前聡子(ピアノ)山口浩一、佐藤英彦、熊谷弘(打楽器)
朝日講堂、東京(第1回東京現代音楽祭)
[NAXOS;NYNG-006](2011)

  『NHK「現代の音楽」アーカイブシリーズ/松下真一』所収。東京現代音楽祭は、NHKと朝日新聞の主催で始められたもので、9月12,13,15日の3日間、朝日講堂と日比谷公会堂で開催された。これは第1夜の世界初演のライヴで、秋山邦晴構成・解説の「テープ音楽」に続いて演奏された。その後はボー・ニルソンの《クヮンティンテーティン》(高橋悠治)、バルトークの弦楽四重奏曲第5番(プロムジカ弦楽四重奏団)と続いた。13日は朝日講堂で矢代秋雄、三善晃、林光、松平頼則、入野義朗の作品が、15日は日比谷公会堂で武満徹、間宮芳生、諸井誠、ストラヴィンスキーが演奏された。
  NHKのラジオ番組「現代の音楽」で放送されたもの。



9.12(月)
 -15(木)







ベートーヴェン:交響曲第6番《田園》、歌劇《フィデリオ》序曲、劇音楽《シュテファン王》序曲

ヴォルフガンク・サヴァリッシュ指揮アムステルダム・コンセルトヘボウo
コンセルトヘボウ、アムステルダム(セッション商業録音、ステレオ)
[デッカ;UCCD-4804、UCCD-4805](PHILIPS原盤、2013)
LP〈PHILIPS;A02026L〉



9.12(月)
 -17(土)

『ルネッサンス期のスペイン歌曲集』(18曲)

ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス(S)
グラシアーノ・タラゴー(g)
ホセ・マリア・ラマーニャ指揮バルセロナ・アルス・ムジケーEns.
EMIスタジオ、バルセロナ(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;7243 5 66937 2 2]

  4枚組『SONGS OF SPAIN』所収。9月8日から11日まで行なわれたムーアのピアノ伴奏による歌曲リサイタルの録音に続くもの。室内合奏団とのスペイン歌曲で、8月27日のエディンバラ国際祝祭のライヴに対応するセッション録音。



9.12(月)前後



シューマン:チェロ協奏曲
チャイコフスキー:幻想曲《フランチェスカ・ダ・リミニ》、ロココの主題による変奏曲
ハチャトリアン:バレエ《ガイーヌ》抜粋(8曲)

ムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(vc)
ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮レニングラードpo
ウェンブリー・タウン・ホール、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[DG;459022-2](協奏曲と変奏曲)
[ポリドール;POCG91032](幻想曲とバレエ、DG原盤)

  エディンバラ国際祝祭出演後、ロンドンでの演奏会が始まる前にレニングラードpoのセッション録音が行なわれた。ロストロポーヴィチ共演の2曲は12日の録音。ハチャトリアンとチャイコフスキーの《フランチェスカ・ダ・リミニ》の正確な日付は不明だが、11日と13日か。セッションはムラヴィンスキーの録音分(14&15日)と合わせて5日間だったという。



9.12(月)

モーツァルト:演奏会用アリア《あわれ、ここはいずこ》K.369、同《ああ、もし空に恵み深い星があるなら》K.538

テレサ・スティッヒ=ランダル(S)
ローベルト・デンツラー指揮スイス・ロマンドo
録音場所不明(ジュネーヴ?)
[LE CHAN DU MONDE;LDC278 887]

  スティッヒ=ランダル(1927生)の放送音源によるモーツァルトのアリア集に所収。



9.12(月)
 -16(金)

チャイコフスキー:イタリア奇想曲、歌劇《エウゲニー・オネ-ギン》より3曲、主題と変奏曲(組曲第3番第4楽章)

ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮ミラノ・スカラ座o
スカラ座、ミラノ(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;TOCE1576]

  《ノルマ》に続いての録音で、1950年代前半に始まったEMIによるスカラ座での録音は、このLPでいったん終わりを告げることになる。この時代にスカラ座のオーケストラがオペラ以外の録音を行なうのはきわめて珍しく、オペラやアリアなどの録音が流れたか、セッションが余ったかして、契約上の穴埋めに録音したのかも知れない。これを最後に、1960年代前半のスカラ座はDGでの録音に専念する。EMIが次にスカラ座で録音する機会は22年後の《エルナーニ》(ムーティ指揮)のことになる。

  カラヤン、カラス、クラウス、タッデイによる《椿姫》をスカラ座で録音する計画を、この年の2月にレッグが提案していた。ひょっとしたら《ノルマ》に続いて、あるいはその代わりに、ここで録音するつもりだったのかも知れない。



9.12(月)
 -16(金)



ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番
R・シュトラウス:交響詩《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》、歌劇《影のない女》より間奏曲集、歌劇《サロメ》より〈7つのヴェールの踊り〉

ジョン・ブラウニング(p)
エーリヒ・ラインスドルフ指揮フィルハーモニアo
キングズウェイ・ホール、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;7243 5 65923 2 2](協奏曲) 
[EMI;CDM7243 5 65613 2 8](《ティル》&《影のない女》)(すべてCAPITOL原盤)

  《ティル》が12日、ラヴェルは13日、プロコフィエフは13、15、16日の録音。R・シュトラウスは《影のない女》が14、15、16日、《サロメ》の〈7つのヴェールの踊り〉が15&16日(未CD化)。他に《ばらの騎士》組曲が17日に録音されたが未発売。アメリカの音楽家たちがロンドンを訪れての「ランナウェイ」録音。



9.12(月)
 -22(木)

モーツァルト:歌劇《フィガロの結婚》全曲

マリア・シュターダー、イルムガルト・ゼーフリート(S)ヘルタ・テッパー(Ms)レナート・カペッキ、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)、ほか
フェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン放送so、RIAS室内cho
イエス・キリスト教会、西ベルリン(セッション商業録音、ステレオ)

  先の演奏会と並行して行なわれたセッション録音。



9.13(火)



林光:混声合唱のための《原爆小景》1.水ヲ下サイ(1958)

田中信昭(指揮)東京混声合唱団
朝日講堂、東京(第1回東京現代音楽祭)
[NAXOS;NYNG-010](2012)

  『NHK「現代の音楽」アーカイブシリーズ/林光』所収。
  東京現代音楽祭については、9月12日の松下眞一作品の項目を参照のこと。これは第2夜のライヴから。《原爆小景》はその後1971年に2曲、2001年に1曲が加えられて43年後に完結するが、この時点では「水ヲ下サイ」のみだった。
  NHKのラジオ番組「現代の音楽」で10月2日に放送されている。



9.13(火)
 -23(金)




裏ジャケット





ヴェルディ:歌劇《ナブッコ》《アイーダ》抜粋(ドイツ語訳詞版)

ヒルデガルト・ヒッレブレヒト、ピラール・ローレンガール(S)ベティ・アッレン(Ms)ルドルフ・ショック(T)ゴットープ・フリック(Bs)
ホルスト・シュタイン指揮ベルリンso、ベルリン・ドイツ歌劇場cho
グリューネヴァルト教会、西ベルリン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;7243 5 74714 2 8]

  《ナブッコ》は〈行け、わが思いよ〉など合唱2曲。《アイーダ》は第1幕終景と第2幕第1場。前者が13&23日、後者が13&14日の録音。
  『GROSSE OPERNCHÖRE』というCD[EMI;CDZ25 2237 2]に含まれた、《フィデリオ》囚人の合唱と《ローエングリン》第3幕冒頭場面も同時期の録音の可能性があるが、詳細不明。



9.14(水)

フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
シューマン:幻想曲 ハ長調op.17

ブロニスラフ・ギンペル(vn)
ウワディスワフ・シュピルマン(p)
ポーランド放送局、ワルシャワ(セッション放送録音)
[POLSKIE RADIO;PRCD241-5]

  5枚組の『WLADYSLAW SZPILMAN PIANISTA /PORTRET MUZYCZNY』に所収。映画『戦場のピアニスト』で有名になったピアニスト、シュピルマン(1911-2000)の放送録音。ギンペル(1911-79)はウクライナ生まれ、アメリカに渡ったが戦後はシュピルマンとよく共演していた。



9.14(水)



ジャズ『ジャズ・コーナーで会いましょう』第1集&第2集(全10曲)

アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ
バードランド、ニューヨーク(ライヴ商業録音、ステレオ)
[東芝EMI;TOCJ-4054&55](分売、BLUE NOTE原盤)

  原題は『MEET YOU AT THE JAZZ CORNER OF THE WORLD』で、「THE JAZZ CORNER OF THE WORLD」とはニューヨークの代表的ジャズ・クラブの一つ、バードランドを指す。
  この年には日本にも「ファンキー・ブーム」が上陸、空前のモダン・ジャズ・ブームが起きている。それまでは一部の好事家によって聴かれていたジャズが、学生層を中心に広汎な人気を獲得するようになったのである。「ジャズの地位がこんなに上がった時代というのはないんじゃないかと思いますね。この1年くらいで」(『音楽の友』昭和35年12月号記事「1960年のポピュラー界を顧みて」より、福田一郎の言葉)。
  「ファンキー」とは黒人ジャズマンたちによる土俗的で力強いスタイルを指し、50年代半ばのアメリカで主流だった「クール」や「ウエストコースト」などと呼ばれる均整のとれた響きのジャズに代わって、58年頃から流行しはじめたもの。ブームの中心にいたのがブレイキー(1919生)率いるジャズ・メッセンジャーズで、2月に国内盤が発売された『サン・ジェルマンのジャズ・メッセンジャーズ』が記録的な大ヒットとなっている(一時期これが海賊盤らしいという話が出たが、まもなく解決した)。
  「モダン・ジャズ元年」といっていい流行の背景には、フランスのヌーベル・ヴァーグとその周辺の映画が音楽にジャズを多用したこともあった。当時フランス文化は、日本の若い知識人層にとって自由と解放への光源となっていたのである。『サン・ジェルマンのジャズ・メッセンジャーズ』がパリでのライヴ録音だったのは、フランスとジャズの連携を象徴している。ジャケットにも青白赤のフランス国旗色が配され、モノトーンや中間色の多い(このブルーノート盤もそうだ)ジャズLPの中で異彩を放っていた。
  なおブレイキーは4か月後の翌1961年正月に来日、実演でも大旋風をまきおこすことになる。



9.14(水)

三保敬太郎&前田憲男:映画『すべてが狂ってる』サウンドトラック

坂本九、ダニー飯田とパラダイスキング、ほか
日活撮影所、東京調布
[ディスクユニオン;SPFJ-9]

  「和製ジャズ・ビートニク映画音楽傑作選②」として2007年に初めてレコード化された。
  鈴木清順監督の劇映画。同年10月8日に封切られたもので、日付はミックスダウンが行なわれた日。フランスのヌーヴェルヴァーグの影響の元に無軌道な若者の暴走を描いた作品で、不良にふさわしい音楽としてモダン・ジャズが選ばれている。劇中音楽として、デビュー間もない坂本九がパラダイスキングの歌手としてロカビリーを歌う場面もある。主演は川地民夫と禰津良子で、吉永小百合も顔を出す。映画本編も2005年にDVD化されている。



9.14(水)
 -15(木)

チャイコフスキー:交響曲第4番

エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮レニングラードpo
ウェンブリー・タウン・ホール、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[ユニバーサル;UCCG-33122/4](DG原盤)

  10日にエディンバラで演奏した曲目。その演奏会で演奏したプロコフィエフの交響曲第6番もこのとき録音しようとしたらしいが、世に出ていない。第1楽章のコーダに丸1日を費やしたため、1曲しか録音できなかったという。
  ムラヴィンスキー(1903-88)はヴァイオリンを両翼配置にするのが通例で、ロンドンの演奏会でもその効果を賞賛されたが、この録音ではピアノ配置になっている。制作側の意向によるものという。
  11月上旬に第5番と《悲愴》がウィーンで録音される。



9.14(水)
 -20(火)





ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番《テンペスト》、第18番

クララ・ハスキル(p)
ヴヴェイ劇場、ヴヴェイ(セッション商業録音、ステレオ)
[PHILIPS;456 829-2]



9.15(木)







シューマン:交響曲第3番《ライン》
ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

ハンスハインツ・シュネーベルガー(vn)
カール・シューリヒト指揮南ドイツ放送so
リーダーハレ、シュトゥットガルト
[HANSSLER;CD93.292](シューマン、2012)
[HANSSLER;CD93.149](ブルッフ)

  ほかにシュテルツェルの合奏協奏曲が演奏された。
9.







シューベルト:交響曲第8番《ザ・グレート》

カール・シューリヒト指揮南ドイツ放送so
シュトゥットガルト(セッション商業録音、ステレオ)
[コロムビア;COCO-6587](1990、CONCERT HALL原盤)
[SCRIBENDUM;SC011](CONCERT HALL原盤)

  10枚組『CARL SHURICHT:THE CONCERT HALL RECORDINGS』所収。日付は不詳。上記ライヴと同時期と推定。



9.16(金)

ブラームス:歌曲リサイタル(12曲)

ジャネット・ベイカー(Ms)
アーネスト・ラッシュ(p)
BBCスタジオ、ロンドン
[BBC;BBCL 4200-2]

  スタジオでの公開録音らしい。



9.16(金)
 -20(火)





『ドイツ序曲名作集』(ウェーバー:歌劇《魔弾の射手》序曲ほか計5曲)

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリンpo
グリューネヴァルト教会、西ベルリン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;TOCE-55449]

9.17(土)

ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第7番

ベートーヴェンSQ
モスクワ音楽院小ホール
[MELDAC;MECC-26019]

  3月に完成され、5月15日にレニングラードで同じ団体により世界初演されていた。前後の状況から見て、おそらくは作曲家臨席の演奏会。20日にショスタコーヴィチはロンドンへ向かう。2日前のモスクワ作曲家同盟組織会議で、ショスタコーヴィチは満場一致で共産党員候補になっている(1年後正式に入党)。入党は当局から要求されたもので、夏には自殺を考えたという説もあるほどに苦悩していた。



9.17(土)

ノーノ:《絶ち切られた歌》

イルゼ・ホルヴェーク(S)エヴァ・ボーネマン(A)フリードリヒ・レンツ(T)
ブルーノ・マデルナ指揮ケルン放送so、同cho
開票ホール、総督宮殿、ヴェネツィア(ヴェネツィア国際現代音楽祭)
[STRADIVARIUS;STR10008]

  当日の他の曲目はハルトマンの交響曲第7番、フォルトナーの《アウロディア》、ダッラピッコラの《ディアロギ》。
  ケルン放送の委嘱で1956年にシェルヘン指揮により初演された作品。この音楽祭では9月27日にストラヴィンスキーが《ジェズアルドの記念碑》を初演する。



9.18(日)
ヘンデル:歌劇《ジュリアス・シーザー》より、アリア〈汝の優しい瞳を〉

レオンティン・プライス(S)
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリンpo
LP〈LEGENDARY;LR139〉
ベルリン高等音楽院コンツェルトザール、西ベルリン(ベルリン祝祭週間)

  ベルリン祝祭週間の開幕演奏会。他の曲目はヴェーベルンの6つの小品、《アイーダ》より〈わが祖国〉、ブラームスの交響曲第1番。西ベルリンの催しであるベルリン祝祭週間はこの日から10月4日まで行なわれた。



9.18(日)
モーツァルト:交響曲第35番《ハフナー》
R・シュトラウス:交響詩《ドン・ファン》
ストラヴィンスキー:《火の鳥》組曲
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番《皇帝》

アルトゥール・ルービンシュタイン(p)
ヨーゼフ・クリップス指揮フランス国立放送o
サル・ドゥ・パヴィヨン、モントルー(モントルー九月祭)
〈未レコード化〉



9.18(日)

ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番
バルトーク:ヴァイオリン・ソナタ第2番

クリスチャン・フェラス(vn)
ピエール・バルビゼ(p)
ロワイヨモン修道院、シャンティイ
[INA;IMV052]

  パリ北方のロワイヨモン修道院は13世紀の創建。8月にもキュエノーが歌っており、日曜日にリサイタルが行なわれていたらしい。
  フェラスは翌日からパリでモーツァルトの協奏曲を商業録音する。


9.中旬(?)

ヴォルフ:歌曲集《ミケランジェロの3つの詩》より《私の魂は待望の神の光を感ずる》

イヴァン・レブロフ(Br)
エリク・ヴェルバ(p)
ミュンヘン(第9回ミュンヘン国際音楽コンクール)
[50 JAHRE INTERNATIONALER MUSIKWETTBEWERB DER ARD MUENCHEN]

  ミュンヘン国際音楽コンクール50周年記念本の付録CDに所収。コンクールの正式名称はARD国際音楽コンクール。ARDとは西ドイツの9つの放送局で構成する西ドイツ全放送網のことである。
  第9回の1960年は6日から20日まで行なわれ、レブロフ(1931生)が声楽部門1位となった。日本人ではフルート部門第2位に加藤恕彦(1936生)、ピアノ部門第4位に高野曜子(1931生)が入賞している。



9.19(月)


オギンスキ:ポーランド共和国国歌「ドンブロフスキのマズルカ」
林広守:君が代
黛敏郎:曼荼羅交響曲
矢代秋雄:チェロ協奏曲
ボレスワフ・シャベルスキ:3つのソネット
間宮芳生:えんぶり
外山雄三:五木の子守唄
外山雄三:管弦楽のための狂詩曲(ラプソディー)
黛敏郎:越後獅子

堤剛(vc)
岩城宏之指揮NHKso
ワルシャワ・フィルハーモニー(「ワルシャワの秋」音楽祭)
ダウンロード音源〈http://www.e-onkyo.com/music/album/nynn00313/〉

  N響の世界楽旅の音源。現代音楽祭「ワルシャワの秋」にあわせて、この楽旅のために用意した邦人作品3曲(+アンコール2曲)がシャベルスキの作品とともに演奏されている。黛敏郎の《越後獅子》は外山のラプソディーと同様にこのときのアンコール用につくられた曲だが、6日前の13日のウィーンでの演奏会で初披露したところ、どこをやっているのかわからなくなって頭から繰り返しになるミスがあり、このワルシャワでの2回目の演奏を最後に演奏されず、帰国後に黛から苦情が出たという。



9.19(月)
 -21(水)

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第4番、同第5番《トルコ風》

クリスチャン・フェラス(vn)
アンドレ・ヴァンデルノート指揮パリ音楽院o
サル・ワグラム、パリ(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;TOCE11340]

  前日のロワイヨモン修道院でのリサイタルに続く録音。



9.下旬

ルトスワフスキ:カジミエラ・イワコヴィチ(カジミエリ・イワコヴィチュフニ)の詩による5つの歌

クリスティナ・ショステク=ラトコーヴァ(Ms)
ヤン・クレンツ指揮カトヴィーツェ・ポーランド国立放送so
ワルシャワ(「ワルシャワの秋」音楽祭)
[Poliskie Radio;PRCD071](2006)

  5枚組『Krystyna Szostek-Radkowa; Recordings for Polish Radio 1960-1992』所収。ショステク=ラトコーヴァ(1933年生)はポーランドのメゾソプラノで、この1960年に生地カトヴィーツェの歌劇場でアズチェーナを歌ってデビュー、1962年からはワルシャワ大劇場の専属として活躍した。
  「ワルシャワの秋」は1956年に始まった現代音楽の音楽祭。毎年9月下旬に10日間弱開催される。



不詳
(9月下旬?)

フォーク《ランブラー、ギャンブラー》

ボブ・ディラン
ディンキータウンのディランの下宿、ミネアポリス(15th Ave SE)
[ソニー;MHCP794~5]

  『ノー・ディレクション・ホーム:ザ・サウンドトラック』(ザ・ブートレッグ・シリーズ第7集)所収。ボブ・ディランがニューヨークに出てデビューする以前、ミネソタ大学を中退してディンキータウン(大学周辺の学生街)のコーヒーハウスで歌っていた時期に、クリーヴ・パタースンによって録音されたもの。パタースンは15歳のフォーク好きの少年で、8月に購入したリール録音機を用いて、まだ無名のディランの歌を12曲録音した。録音はディランのアパートで、かれの友人たちが何人か同席して行なわれた。しかしパタースンは数回聴いただけでその存在を忘れ、しまったままにしていたという。録音時期は不明だが、『ボブ・ディラン大百科』(菅野ヘッケル訳/CBS・ソニー出版)を書いたクリントイ・ヘイリンは9月下旬と推定している。
 このディラン最初期の録音の1つは、劣悪なコピーが海賊盤で出回っていたが、2005年にパタースンがオリジナルをミネソタ歴史センターの図書館に寄贈し、一般に公開された。なおディランの現存する最初の録音は、1960年5月の27曲といわれている。
  ディランは翌1961年1月にミネアポリスを引き払ってニューヨークに向かい、2月から本格的な活動を開始することになる。米コロンビアにデビュー・アルバムを録音するのは、1961年11月下旬のことである。



9.20(火)

タネーエフ:ヴァイオリンと管弦楽のための協奏的組曲 Op.28
シマノフスキ:ヴァイオリン協奏曲第1番 Op.35

ダヴィート・オイストラフ(vn)
クルト・ザンデルリンク指揮モスクワ放送so
モスクワ
[BRILLIANT CLASSICS;92609]

  10枚組『DAVID OISTRAKH VIOLIN CONCERTOS』所収。ザンデルリンク(1912生)はちょうどこの時期から母国のベルリン交響楽団の芸術監督・首席指揮者に就任している。



9.20(火)

プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第6、8番

スビャトスラフ・リヒテル(p)
モスクワ音楽院大ホール
[MOSCOW STATE CONCERVATOIRE;SMC CD 0054-55](2012)

  亡命を危惧されて西欧への登場が許されなかったリヒテル(1915生)は、ついに10月にアメリカ公演を行なうことになった。このモスクワ公演はその壮行会的なもので連続5回の独奏会が行なわれ、モスクワ始まって以来というほどの熱狂をまきおこしたという。10月6日にアメリカに向けて船で出発する。



9.20(火)

ベートーヴェン;交響曲第7番

ヘルベルト・ケーゲル指揮ライプツィヒ放送so
ライプツィヒ(?)
[ドリームライフ;DLCA-7025]

  「伝統的なドイツの指揮者たち8 ヘルベルト・ケーゲル」所収。



9.20(火)

ジャズ『GEORGE RUSSELL:SEXTET AT THE FIVE SPOT』(全6曲)

ジョージ・ラッセル・セクステット
ファイヴ・スポット、ニューヨーク(ライヴ商業録音、ステレオ)
[VERVE;088 112 287-2](Decca原盤)

  ジャズの理論家として有名なジョージ・ラッセル(1923生)の六重奏団のライヴ。モード奏法のもとになったリディアン・クロマティック・コンセプトの考案者として知られる。



9.20(火)
 &21(水)







アリアと二重唱(7曲)


マルガレータ・ハリン(S)ニコライ・ゲッダ(T)
ニルス・グレヴィリウス指揮スウェーデン放送o
ストックホルム(セッション放送録音)
[BLUEBELL;ABCD056、060(分売)]

  ゲッダ(1925生)とハリン(1931生)のアリア集に分割してCD化されている。《アイーダ》のように、ゲッダが歌劇場では歌わない演目もある。

9.20(火)
 &23(金)




オリジナル



『EILEEN FARRELL:VERDI ARIAS』(ヴェルディ:歌劇《アイーダ》ほか計7曲)

アイリーン・ファレル(S)
マックス・ルドルフ指揮コロンビアso
マンハッタン・センター、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[SONY CLASSICAL;MHK 62358](COLUMBIA原盤)

  CDは『EILEEN FARRELL SINGS VERDI』所収。ファレルはドラマティック・ソプラノだけでなくポップス歌手としても成功した、アメリカにしばしば見られるタイプの歌手。5年ほど前から有名になっていたが、メトロポリタン歌劇場にはこれまで縁がなく、この年の12月に《アルチェステ》のヒロインでようやくデビューすることになっている。
9.21(水)

ミヨー:ルネ王の暖炉

フィラデルフィア木管五重奏団
30丁目スタジオ(?)、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[BOSTON RECORDS;BR1061CD](COLUMBLA原盤)

  翌22日にパーシケッティの作品も録音したらしいが、未CD化。



9.21(水)
 -23(金)

バルトーク:管弦楽のための協奏曲、舞踏組曲

ベルナルト・ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウo
コンセルトヘボウ、アムステルダム(セッション商業録音、ステレオ)
[PHILIPS;462 080-2]

  ハイティンク(1929生)最初期の録音。5月のグリュミオーとの協奏曲に続くものだが、ハイティンクはあるインタビューでこの管弦楽のための協奏曲が最初の録音と話しており、謎が残る。舞踏組曲は、この録音の前後に行なわれたシーズン開幕の演奏会でも演奏したという。



9.21(水)
 -24(土)











シベリウス:交響曲第5番
『オペラ・バレエ曲集』(ヴェルディ:歌劇《アイーダ》ほか計6曲)
『プロムナード・コンサート』(ワルトトイフェル:ワルツ《スケートをする人々》ほか計9曲)

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮フィルハーモニアo
キングズウェイ・ホール、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;7243 5 66599 2 6](交響曲)
[EMI;7243 4 76900 2 0](プロムナード・コンサート)
[EMI;TOCE-11022、23](バレエ曲集、分売)

  16日から20日までベルリンで演奏会と録音を行なったカラヤンは、その直後の21日にロンドンでスタジオ入りした。フィルハーモニアoとの最後の録音セッション。



9.22(木)
 -23(金)

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番《クロイツェル》

ヤッシャ・ハイフェッツ(vn)ブルックス・スミス(p)
RCAスタジオ、ハリウッド(セッション商業録音、ステレオ)
[RCA;BVCC-37055]

  このクロイツェル・ソナタは、当初ハイフェッツとホロヴィッツの顔合わせで計画された。しかし1953年を最後に演奏会から身を引き、ニューヨークの自宅マンションに隠棲中のホロヴィッツと、西海岸に拠点を置くハイフェッツとの間で録音場所の調整がつかず、夢の共演は実現しなかった。



9.22(木)
 -23(金)

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第27番

ハンス・リヒター=ハーザー(p)
アビー・ロード・スタジオ、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;50999 648309 2 6](2010)

  リヒター=ハーザーによる6枚組のベートーヴェン協奏曲&ソナタ集所収。この年は7月15日から23日にかけて、ソナタや協奏曲などを録音していた。



9.23(金)

テレビ番組『IN BERLIN』(ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第1番)

レナード・バーンスタイン(p)&指揮ニューヨークpo
ベルリン自由放送大放送ホール、西ベルリン
DVD〈ドリームライフ;DLVC-6008〉(2010)

  5枚組『レナード・バーンスタイン ニューヨーク・フィルハーモニック HISTORIC TELEVISION SPECIALS』に所収。フォード自動車提供のスペシャル番組『LEONARD BERNSTEIN & THE NEW YORK PHILHARMONIC』のうち、1960年制作では1月の『THE CREATIVE PERFORMER』、3月の『RYTHM』に続くもので、西ベルリンでのロケ。

  日付は収録日で、放映は11月24日。バーンスタインとニューヨーク・フィルは重圧下の西ベルリン支援のために、フォード自動車の資金提供によりベルリン祝祭週間に参加、9月22日と23日の2日間だけ演奏会を行なってアメリカにとんぼ返りした。会場はすべてベルリン自由放送の大放送ホールで、22日は自作の《キャンディード》序曲、ハリスの交響曲第3番、チャイコフスキーの交響曲第5番を演奏し、翌日は昼にこのテレビ番組のためのベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番のゲネプロと収録、さらに夜にロッシーニの《セミラーミデ》序曲、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番、バルトークの管弦楽のための協奏曲という演奏会を行なった。12時間のうちに3回、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番を弾き振りしたことになる。



9.23(金)

シューベルト:交響曲第7番《未完成》

エルネスト・アンセルメ指揮スイス・ロマンドo
ヴィクトリア・ホール、ジュネーヴ
LP〈LP30-628〉

  『アンセルメに捧ぐ』と題された、スイス・ロマンドoの定期会員のためのものと思しき自主制作盤に所収。



9.23(金)

モーツァルト:交響曲第33番
ショスタコーヴィチ:交響曲第8番

エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮レニングラードpo
ロイヤル・フェスティヴァル・ホール、ロンドン(ステレオ録音)
[BBC;BBCL4002-2]

  レニングラードpoのロンドンの演奏会は20、21、23日と行なわれた。ショスタコーヴィチの交響曲は実演ではイギリス初演となるもので、モスクワから駆けつけた作曲者も終演後に舞台に登場、喝采を受けた。



9.23(金)

モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番

ロベール・カサドシュ(p)
ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮フランス国立放送so
サル・ドゥ・パヴィヨン、モントルー(モントルー九月祭)
[MUSIC & ARTS;CD-1179]

  『ROBERT CASADESUS PLAYS FOUR MOZART CONCERTOS』所収。



9.23(金)

シューマン:ノヴェレッテ第1、2、8番

スビャトスラフ・リヒテル(p)
モスクワ音楽院大ホール
[BMGビクター;BVCX4054](MELODIA原盤)

  アメリカ公演に向けた5回の壮行独奏会のひとつ。10月6日にアメリカに向けて船で出発する。
  22日のリサイタルの録音の可能性もある。



9.23(金)(?)

プッチーニ:歌劇《西部の娘》全曲

ドロシー・カーステン(S)シャーンドル・コーニャ(T)ティト・ゴッビ(Br)、ほか
フランチェスコ・モリナーリ=プラデッリ指揮サンフランシスコ歌劇場o、同cho
戦争記念歌劇場、サンフランシスコ
CD-R〈PREMIERE OPERA;2030-2〉

  サンフランシスコ歌劇場のシーズンは9月16日から10月27日まで。14演目29公演。その後11月にサンディエゴとロスアンジェルスにツアーを行う。
  この演目は10月1日にも公演されてあり、その日の録音の可能性もある。コーニャの合衆国デビューとなった公演。



9.23(金)

ストラヴィンスキー:バレエ音楽《春の祭典》抜粋リハーサル

イーゴリ・マルケヴィッチ指揮日本po
日比谷公会堂(?)、東京(ステレオ録音)
[カペレ;32GD174948]

  このときの《春の祭典》の演奏で、初来日のマルケヴィッチ(1912生)は大評判になった。CDの表記は1963年9月23日だが、この年に来日はないので1960年の演奏会当日のリハーサルと推定される。文化放送による試験録音なのか、珍しくステレオで録音されている。なお、最初の練習は原宿の東郷会館で行なわれたとライナー・ノート(宇野功芳)にある。23、24、26、27日と本番。



9.23(金)



ヴェルディ:歌劇《運命の力》全曲

アントニエッタ・ステッラ(S)ジュリエッタ・シミオナート(Ms)ジュゼッペ・ディ・ステーファノ(T)エットーレ・バスティアニーニ(Br)、ほか
ディミトリ・ミトロプーロス指揮ウィーン国立歌劇場o、同cho
国立歌劇場、ウィーン
[ORFEO;C681 062I] 
[MYTO;2MCD002.228]

  新制作。ミトロプーロス(1896生)はウィーン国立歌劇場においてカラヤン、ベームに次いで重要視される指揮者となっていた。
  6月26日の《アンドレア・シェニエ》同様に、主要な役をイタリア人が占めている。カラヤン時代の1957年以降のウィーンでは、イタリア・オペラの原語上演とイタリア人歌手招聘が急速に進められていた。ただしこの演出では序曲を第1場の後に回す、ヴェルフェル発案による1920年代のドレスデン、ウィーンでの上演以来の伝統が踏襲されており、その点ではドイツ風である。



9.24(土)







ハイドン:ピアノ・ソナタ第50番
ショパン:スケルツォ第4番、バラード第3番
ドビュッシー:映像第1集、《喜びの島》《葉末を渡る風の音》

スビャトスラフ・リヒテル(p)
モスクワ音楽院大ホール
[MELODIA;BVCX4061](ハイドンのみ)
CD-R〈RUSSIAN MASTERS RM14〉(ショパン&ドビュッシー)

  リヒテル壮行演奏会の一つ。曲目はアメリカでも演奏されるもの。(参照9.23)



9.24(土)

R・シュトラウス:歌劇《影のない女》全曲

レオニー・リザネク(S)アイリーン・デーリス(Ms)パウル・シェフラー(Br)、ほか
レオポルト・ルートヴィヒ指揮サンフランシスコ歌劇場o、同cho
戦争記念歌劇場、サンフランシスコ
〈未レコード化〉



9.24(土)



ジャズ『THE UNHEARD RECORDINGS:LIVE AT MONTEREY 1960 PART ONE & TWO』(全11+10曲)

デューク・エリントンo、キャノンボール・アダレイ・クインテット、ランバート、ヘンドリックス&ロス、ジミー・ラッシング
ザ・モンタレイ・フェアグラウンズ・アリーナ、カリフォルニア州モンタレイ(モンタレイ・ジャズ祭)
[STATUS;DSTS1008、1009](分売)

  モンタレイ・ジャズ祭(1958年開始)でのライヴ録音。
  1枚目ではプロデューサーのジミー・ライオンズのMCの後にランバート、ヘンドリックス&ロスが歌い、続いてデューク・エリントン楽団が登場して木曜組曲の初演など10曲を演奏する。
  2枚目ではキャノンボール・アダレイ・クインテットが5曲演奏した後、デューク・エリントン楽団が5曲演奏する。そのうち4曲はジミー・ラッシングの歌の伴奏。



9.26(月)





モーツァルト:歌劇《フィガロの結婚》より〈男たちよ目を開けろ〉

フェルナンド・コレーナ(Bs)
レオポルド・カゼッラ指揮スイス・イタリア語放送o
スイス・イタリア語放送局講堂、ルガーノ
[ERMITAGE;ERM201-2]



9.26(月)

チャイコフスキー:交響曲第5番

岩城宏之指揮NHKso
ドイツ博物館コングレスザール、ミュンヘン
LP〈ビクター;JV-2001〉(SJV-1502で再発)

  N響の世界楽旅からのレコード化。NHKは各地の放送局からN響の中継録音を借り、日本で放送した。これはその1つのバイエルン放送による録音を、日本ビクターが借りてLP化したもの。24日には西ベルリンで演奏会をしていた。



9.26(月)











テレビ&ラジオ番組「大統領候補テレビ討論 第1回」より

ジョン・F・ケネディ&リチャード・ニクソン、ハワード・K・スミス(MC)
WBBM放送局、シカゴ
[SOUNDS OF THE WORLD;SOW90122]
DVD〈Speechworks〉(2011)
VHSビデオ〈ABC VIDEO;MP1724〉
LP〈THE SPOKEN WORD;BOX K(SW-9407-10)〉(全番組)

  CDの題名は『DOCUMENTARY:JOHN F.KENNEDY 35TH PRESIDENT OF THE U.S.A.』。音源はCBS系列でシカゴ時間の夜8時30分からテレビとラジオで生放送されたもの。この選挙では史上初めて民主、共和両党の大統領候補の直接対決によるテレビ討論が全米に生中継され、10月21日まで計4回のテレビ討論が行なわれた。この年、アメリカ全世帯のうち88パーセントがテレビを所有している(10年前はわずか11パーセント。ちなみに60年の日本は45パーセント)が、この放送は圧倒的な視聴率を獲得、8500万人が見たといわれる。放送前には未熟未経験な若造という印象がつきまとっていたケネディにとって、若さを逆に魅力として支持者を増やす絶好の契機となった。この第1回が選挙戦でのケネディ勝利の決定的なターニング・ポイントだったといわれる。CDには、危機感をあおりつつ「アメリカが再び行動を起こすときが来た」などと語るケネディの言葉が1分ほど収録されている。
  VHSビデオは4回の討論のうち、両候補が同じスタジオに顔を揃えた第1、2、4回の討論を60分に編集したもの。重要度の大きかった第1回は30分間の全容が収録されている。
  1968年発売のLPは、4回の討論すべてを完全収録したもの。



9.26(月)
 &27(火)

ガーシュウィン:名曲集(12曲)

フレデリック・フェネル指揮のオーケストラ
ファイン・レコーディングのボールルーム・スタジオA、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[マーキュリー;PHCP-10336]

  吹奏楽だけでなく弦楽も含むオーケストラによる録音。編曲はレイバーン・ライトによる。



9.26(月)
 -28(水)

グラズノフ:バレエ《四季》

ロバート・アーヴィング指揮コンサート・アーツo
マンハッタン・センター・ボールルーム、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;7243 5 65911 2 7](CAPITOL原盤)

  ロンドンのロイヤル・バレエやニューヨーク・シティ・バレエの指揮者として活躍したアーヴィング(1913-92)による録音。



9.27(火)

アリア・リサイタル(7曲)

フレデリック・ジェーゲル(T)
フェリックス・ウォルフェス(?)(p)
WGBH放送局、ボストン
LP〈GAO;EJS533〉

  メトロポリタン歌劇場でかつて活躍したジェーゲル(1897生)のテレビ・ラジオ・リサイタル。ペリの《オイリディーチェ》など。この頃はボストンのニューイングランド音楽院の声楽教師をしていた。



9.27(火)

A・スカルラッティ:歌劇《グリゼルダ》全曲

ミレッラ・フレーニ、エウジェーニア・ラッティ(S)エルンスト・ヘフリガー(T)ハインツ・レーフス(Br)、ほか
ブルーノ・マデルナ指揮北ドイツ放送ハノーファーo、ハノーファー・ゾリステンフェライン
ハノーファー(セッション放送録音)
[ARKADIA;3CDMAD015]

  10日前にヴェネツィアで20世紀作品を指揮したマデルナ(1920生)が、ここでは18世紀初頭のオペラを蘇演している。フレーニ(1935生)とヘフリガー(1919生)の顔合わせが珍しい。



9.27(火)





ショーソン:ヴァイオリンとピアノ、弦楽四重奏のための協奏曲 ニ長調 作品21

ダヴィート・オイストラフ(vn)レフ・オボーリン(p)ボロディンSQ
モスクワ音楽院小ホール
[MOSCOW STATE CONCERVATOIRE;SMC CD 0035]

9.27(火)

ロッシーニ:歌劇《新聞》全曲

アンジェリカ・トゥッカーリ(S)アゴスティーノ・ラッツァーリ(T)イタロ・ターヨ(Br)、ほか
フランコ・カラッチョーロ指揮ナポリRAIスカルラッティo、ナポリ・サン・カルロ劇場合唱団員
ナポリ
[MEMORIES;HR4458/59]

  序曲が次作《チェネレントラ》に転用された作品。前々項の《グリゼルダ》と合わせ、忘れられた作品の復活は放送局の役割の1つとはいえ、同じ日に2つ並ぶのも面白い。



9.27(火)(?)

ヴェルディ:歌劇《シモン・ボッカネグラ》全曲

ルシーン・アマーラ(S)ジュゼッペ・ザンピエリ(T)ティト・ゴッビ、ゲライント・エヴァンズ(Br)ジョルジョ・トッツィ(Bs)、ほか
レオポルト・ルートヴィヒ指揮サンフランシスコ歌劇場o、同cho
戦争記念歌劇場、サンフランシスコ
CD-R〈PREMIERE OPERA;2032-2〉

  10月6日にも公演があり、その日の録音の可能性もある。



9.27(火)

i
ジャズ『マンチェスター・コンサート』(9曲)

マイルス・デイヴィス・クインテット
フリー・トレード・ホール、マンチェスター
[LONEHILLJAZZ;LHJ10212]
[MAGNETIC RECORDS;MRCD102/103]

  春に続くこの年2回目のマイルスのヨーロッパ・ツアー。コルトレーンが抜け、代りにソニー・スティットが入った。



9.27(火)

ジャズ『ジョニー・グリフィン スタジオ・ジャズ・パーティー』(5曲)

ジョニー・グリフィン(ts)デイヴ・バーンズ(tp)ノーマン・シモンズ(p)ハブス・ゴンザレス(MC)、ほか
プラザ・サウンド・スタジオ、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[ユニバーサル;UCCO-9382](RIVERSIDE原盤、2008)

  タイトル通り、少数のゲストを入れ、パーティー会場にみたてて録音したグリフィン(1928生)を中心とするスタジオ・ライヴ。



9.27(火)
 -29(木)



フンパーディンク:歌劇《ヘンゼルとグレーテル》序曲と夢のパントマイム
ウェーバー:歌劇《オイリアンテ》序曲
グルック:歌劇《オーリードのイフィゲーニエ》序曲
モーツァルト:歌劇《後宮よりの逃走》序曲
ケルビーニ:歌劇《アナクレオン》序曲

オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニアo
キングズウェイ・ホール、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[東芝EMI;TOCE-13073](フンパーディンク、ウェーバー、グルック)
[TESTAMENT;SBT2131](ケルビーニ、EMI原盤)

  27-29日にフンパーディンク、28日にウェーバーとケルビーニ、29日にグルックとモーツァルトが録音された。1999年に初発売されたケルビーニ作品には、収録前の模様が30秒ついている。



9.27(火)
 -29(木)

ハイドン:弦楽四重奏曲第76番《五度》、第74番《騎士》

レーヴェングート四重奏団
エグロスハイム、ルートヴィヒスブルク(セッション商業録音、ステレオ)
[コロムビア:COCQ-84529](EURODISC原盤)

  レーヴェングート(レーヴァンギュット)四重奏団は1929年結成のフランスの団体。オイロディスク録音。ルートヴィヒスブルクでは5月から10月まで音楽祭が行なわれる。



9.28(水)







ロッシーニ;歌劇《セミラーミデ》序曲
ドビュッシー;牧神の午後への前奏曲、夜想曲より《雲》《祭り》
ハリス;交響曲第3番
バーンスタイン;《キャンディード》序曲

レナード・バーンスタイン指揮ニューヨークpo
マンハッタン・センター、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[SONY;SRCR9448](ロッシーニ)
[SONY;SM2K47546](ドビュッシー)
[SONY;SMK60594](ハリス)
[SONY;SRCR8987](バーンスタイン)

  バーンスタインとニューヨークpoは、8月10日から9月18日までホノルルを含む全米22都市を巡って31回の演奏会を行ない、ついで西ベルリンに飛んで22日と23日に公演、とんぼ返りで25日にワシントンDCで凱旋演奏会を開いた。そして、休む間もなくニューヨークでの60‐61年のシーズンに突入、まず27日にカーネギー・ホールで年金基金演奏会(このホール救援の立役者となったスターンが登場してベートーヴェンの協奏曲を演奏、万雷の拍手を浴びた)を行なった。
  翌日がこの録音セッションで、すべてツアーでくり返し演奏した曲である。29日からは週末にかけての最初の定期演奏会シリーズを開始した。しかし3日目の10月1日、疲労の極に達したバースタインは気管支炎で演奏会の後半(シューマンの交響曲第4番)を副指揮者のグレゴリー・ミラーにゆだねて帰宅、翌日曜日の演奏会は副指揮者3人が分担して代役をつとめた。
  客演に予定されたベーム、ライナー、マルケヴィッチ、ミトロプーロスが次々とキャンセルして代役探しに追われることになるシーズンを象徴する、波瀾の幕開けとなった。



9.28(水)

TVスペシャル『アステア・タイム』抜粋(10曲)

フレッド・アステア、バリー・チェイス、ジョー・ウィリアムス(vo)
カウント・ベイシー・オーケストラ
デイヴィッド・ローズ指揮のオーケストラ
NBC放送局、ニューヨーク
LP〈CHRYSLER CORPORATION;M8OP-1003&4〉

  アステア(1899生)をメインにすえた1時間の生中継特別テレビ番組から。この番組はエミー賞3部門(主演賞、ヴァラエティあるいは音楽番組部門最優秀上演賞、ヴァラエティ部門最優秀番組構成賞)を与えられた。LPは自動車会社のクライスラーが販促用などに製作したものらしく、非売品。



9.29(木)

ストラヴィンスキー:歌劇《エディプス王》全曲

ヘルタ・テッパー(Ms)エルンスト・ヘフリガー(T)エルンスト・ドイチュ(語り)、ほか
フェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン放送so、北ドイツ放送cho、ベルリンRIAS室内cho
自由ベルリン放送局大ホール、西ベルリン(ベルリン祝祭週間)
[DG;POCG-3333]

  この日の演奏会ではほかに詩篇交響曲と、ピアノと管弦楽のためのムーヴメンツが演奏された。ムーヴメンツは10.14にセッション録音される。



9.29(木)

モンテヴェルディ:歌劇《オルフェオ》全曲
ダラピッコラ:歌劇《囚われ人》全曲

ジュディス・ラスキン(S)ジェラール・スゼー(Br)、ほか(オルフェオ)
アン・マックナイト(S)リチャード・キャッシリー(T)ノーマン・トレイグル(Bs)(囚われ人)
レオポルド・ストコフスキー指揮ニューヨーク・シティ・オペラo、同cho
シティ・センター、ニューヨーク
[PONTO;PO-1046](2006、オルフェオ)
LP〈Private Edition Recording;MR2009〉(囚われ人)
CD-R〈HOUSE OF OPERA;CD5299〉(囚われ人)

  ストコフスキー(1882生)によるオペラ2本立て。かれは1年前にもニューヨーク・シティ・オペラで《カルミナ・ブラーナ》と《エディプス王》の2本立てを指揮していた。このときはかれがピットに入るのはフィラデルフィア以来四半世紀ぶりなので、大きな話題となった。その好評を受けての再登場。《オルフェオ》はヴェンツィンガーによる校訂譜を使用したという。

  《オルフェオ》は2006年に初レコード化。《囚われ人》はプライヴェートLPのみ。



9.29(木)



ブラームス:ハイドン変奏曲
シューベルト:交響曲第8番《グレイト》

カール・ベーム指揮バイエルン放送so
ヘルクレスザール、ミュンヘン
[GOLDEN MELODRAM GM4.0050](ブラームス)
CD-R〈EN LARMES ELM02-349/50〉

  演奏会は2日間あったので、30日の可能性もある。ブラームスのCDには6月19日と誤表記されている。ほかにヒンデミットの木管楽器とハープとオーケストラのための協奏曲も演奏された。
  バイエルン放送交響楽団は次期主席指揮者クーベリックの着任が61年秋になるため、このシーズンは客演指揮者制となっている。ベームは23日にベルリンでベルリンpoとも《グレイト》を取りあげ、見事な演奏で客席にいた大木正興と小沢征爾を感激させていた。



9.29(木)

実況「国連総会で靴を脱いで机を叩くフルシチョフ」

ニキータ・フルシチョフ、ハロルド・マクミラン
国際連合本会議場、ニューヨーク
[COLUMBIA;C2K 65907]

  60年代のCBS放送のニュース録音を編集した『I CAN HEAR IT NOW/THE SIXTIES』に所収。
  第15回国連総会は9月20日に開幕していた。14か国の新規加盟承認で構成国96か国となったが、その約半数がアジア・アフリカ(AA)諸国である。フルシチョフ、ネルー、カストロ、チトーなど各国首脳が続々と自ら演壇に立った。フルシチョフの呼びかけによって国家元首6人、首相15人といわれる豪華な参加者が揃い、1945年の創設以来、最大の顔ぶれとなった。23日の演説でフルシチョフは軍縮と植民地即時独立を提案している。
  この日はイギリス首相マクミラン(1894生)が国連本会議で演説中、その内容に不満をもったフルシチョフ(1894生)が脱いだ靴で机を叩いて騒ぐという、およそ国家元首らしからぬ野蛮な行為に出た。議事進行係が木槌をくり返し叩いて注意してもフルシチョフが止めないため、マクミランが「(木槌の意味を)通訳しましょうか」と混ぜっかえして会場を笑わせている。以後アメリカでは、フルシチョフといえば「机を靴で叩く無粋者」という印象がついて回ることになった。
  しかしその一方でフルシチョフはカストロのホテルを訪れて初会談して、両国の関係を強化し、2年後の「キューバ危機」への伏線をここでひくことになる。



9.29(木)
 &30(金)





クジェネーク:クエスティーノ・テンポリス(時への疑問)

エルンスト・クジェネーク指揮北ドイツ放送so
NDR(北ドイツ放送局)スタジオ、ハンブルク(セッション放送録音、ステレオ)
[EMI;NDR10082]

初演と並行して行なわれたセッション録音らしい。

9.29(木)
 &30(金)

ブラームス:間奏曲集(10曲のうち5曲)

グレン・グールド(p)
コロンビア30丁目スタジオ、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[SONY;SRCR1935]

  9月29日と30日に5曲、11月21日と23日に5曲が録音された。9月29日と30日にはベートーヴェンの《テンペスト》の一部も録音された(参照7.11&12)



9.30(金)

パイジェッロ:歌劇《ソクラテス気取り》全曲

リディア・マリンピエトリ(S)ヨランダ・ガルディーノ(Ms)ルイージ・アルヴァ(T)イタロ・ターヨ(Br)、ほか
フランコ・カラッチョーロ指揮ナポリRAIスカルラッティo、同cho
ナポリ
[CANTUS;CACD5.01462F](2011)

  3日前のロッシーニの《新聞》に続いて、ナポリで1775年に初演された喜劇オペラを演奏。


9.30(金)

シューマン(リスト編曲):歌曲集《ミルテの花》より〈献呈〉(ピアノ独奏)
ブラームス:ピアノ協奏曲第2番第2楽章

ヴァン・クライバーン(p)
ドナルド・ヴォーリーズ指揮ベル・テレフォンo
NBC放送局、ニューヨーク(セッション放送録画、カラー)
DVD〈VAI:DVD4216〉

  DVD『GREAT PIANISTS ON THE BELL TELEPHONE HOUR(1959-1967)』所収。NBCテレビの番組「ベル・テレフォン・アワー」で放送されたもの。



9.30(金)

ヴェルディ:歌劇《アイーダ》全曲

ガブリエッラ・トゥッチ(S)アドリアーナ・ラッツァリーニ(Ms)ガストーネ・リマリッリ(T)ジャン・ジャコモ・グェルフィ(Br)、ほか
アルトゥーロ・バジーレ指揮ローマRAIso、同cho
ローマ
[WALHALL;WLCD 0302](2010)

  放送用の録音で、10月15日に放送された。



9.30(金)

ヴェルディ:歌劇《アイーダ》全曲

レオニー・リザネク(S)アイリーン・デーリス(Ms)ジョン・ヴィッカーズ(T)ジョルジョ・トッツィ(Bs)、ほか
フランチェスコ・モリナーリ=プラデッリ指揮サンフランシスコ歌劇場o、同cho
戦争記念歌劇場、サンフランシスコ
[GOLDEN MELODRAM;GM 5.0067]

  7月にセラフィン指揮の《オテロ》全曲を録音した主役コンビによる《アイーダ》。



9.30(金)
 &31(土)

ドヴォルジャーク:ヴァイオリン協奏曲イ短調op.53、(ロマンス ヘ短調op.11)

ヨゼフ・スーク(vn)
カレル・アンチェル指揮チェコpo
芸術家の家(ルドルフィヌム)、プラハ(セッション商業録音、ステレオ)
[SUPRAPHON;SU3668-2 011]

  ロマンスも同時期の録音と推定される。CDには8月とあるが、ここでは(http://patachonf.free.fr/)の記載に従う。



9.30(金)
 -10.11(火)

バッハ:ブランデンブルク協奏曲

ジョージ・マルコム(cem)
オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニアo
アビー・ロード・スタジオNo.1、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[東芝EMI;TOCE-13569~70]

  30日と10月1、11日に第2番、1、7、8日に第5番、3、4日に第1番、4、5日に第3番、6、7日に第4番、8、9日に第6番が録音された。実演では12月4日の演奏会で全6曲が演奏されている。



9.

メンデルスゾーン;ヴァイオリン協奏曲

ブロニスワフ・ギンペル(vn)
ヨハネス・シューラー指揮バンベルクso
クルトゥアラウム、バンベルク(セッション商業録音、ステレオ)
[DENNON;COCQ-84276](EURODISC原盤)

  同一のメンバーによるチャイコフスキーの協奏曲もあり、それも同時期の録音かも知れない。



9.

バッハ:ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第2番、第3番

ズザーネ・ラウテンバッハー(vn)
マルティン・ガリング(cemb)
シュトゥットガルト(セッション商業録音、ステレオ)
[コロムビア:COCQ-84528](EURODISC原盤)

  ラウテンバッハー(1932年生)とガリング(1935年生)は西ドイツの音楽家。



9.





ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第10番

セルジオ・フィオレンティーノ(p)
ハンブルク(セッション商業録音)
[CONCERT ARTIST/FIDELIO RECORDINGS;CACD9211-2]



9.

ショパン:ピアノ小曲集(舟歌、幻想曲など7曲)

ヴラド・ペルルミュテル(p)
ジュネーヴ、スイス(セッション商業録音)
[コロムビア;COCO6607、8(分売)](CONCERT HALL原盤)

  ペルルミュテルのこの年のコンサート・ホール録音にはショパンの24の前奏曲や《皇帝》協奏曲(フェヒティンク指揮ウィーン祝祭管弦楽団[SCRIBENDUM;SC015])もあるが、いずれも月日不詳。



9.

ドヴォルジャーク:交響曲第9番《新世界より》

ヨーゼフ・クリップス指揮チューリヒ・トーンハレo
トーンハレ、チューリヒ(セッション商業録音、ステレオ)
LP〈CONCERT HALL〉(未CD化)



9.&12.

ハイドン:ピアノ・ソナタ第12、19、46、30、36、37番

ハンス・レイグラーフ(p)
ストラ・ホール、ストックホルム(セッション放送録音)
[DB PRODUCTIONS;DBCD121-122](2008)

  レイグラーフ(1920生)はドイツ人とオーストリア人を両親に、ストックホルムに生れたピアニスト。1972年から2007年までザルツブルクのモーツァルテウム音楽院の教授を務めたことで知られる。この盤は母国での1960年と2007年の録音を組み合わせた2枚組のハイドンのソナタ集。