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1960年10月
(最終更新2013.12.29)

10.1(土)

ペンデレツキ:アナクラシス

ハンス・ロスバウト指揮南西ドイツ放送so
南西ドイツ放送局音楽スタジオ、バーデン=バーデン(セッション放送録音)
[RCA 74321 73510 2]

  シリーズ『MUSIK IN DEUTSCHLAND 1950-2000』の『MUSIKTAGE DONAUESCHINGEN』所収。10月16日のドナウエッシッゲン音楽日々での初演に先だって録音されたもの。
  続いて3、5、8日にピエール・ストルとヒルマー・シャツとの共同指揮で松平頼則の《3群のオーケストラのための舞踏組曲》、4日にカスティリオーニの《TROPI PER COMPLESSO DA CAMERA》とシェーンバッハの《14の楽器のための室内楽1960》、5-8日にメシアンの《クロノクロミー》、7日にニルソンの《室内アンサンブルのための情景Ⅰ》を録音し、すべて15日と16日にドナウエッシンゲンで演奏(ニルソン以外は世界初演)した。演奏会前にリハーサルをかねて放送局でセッション録音する方法を採用していたらしい。このうちメシアンも同CDに所収されている。
  日付はJOAN EVANSの『HANS ROSBAUD』(GREENWOOD)による。ロスバウトは1959年7月に腎臓を手術、1960年4月まで休養していた。
  ドナウエッシンゲンの客席には小澤征爾もいた。



10.1(土)

C・ヴォルフ:ピアニストたちのためのデュオⅠ、同第2版

デヴィッド・テュードア、ジョン・ケージ(p)
西部ドイツ放送局ザール2、ケルン
[HAT HUT RECORDS;ARTCD6181]



10.1(土)







マーラー:歌曲集《亡き子をしのぶ歌》、交響曲第3番

ソーニャ・チェルヴェナー(A)
ヘルマン・シェルヘン指揮ライプツィヒ放送so、同女声cho、同 少年cho
コングレスハレ、ライプツィヒ
[TAHRA;TAH-110/111](歌曲集) [TAHRA;TAH-101](交響曲)

  マーラー生誕100周年記念演奏会。交響曲は[TAH497-498]で再発された。
10.1(土)

ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第2番

レフ・オボーリン(p)ダヴィート・オイストラフ(vn)スビャトスラフ・クヌシェヴィツキー(vc)
モスクワ音楽院小ホール
[MOSCOW STATE CONCERVATOIRE;SMC CD 0035]

  9.27と同じCD。



不詳

シューベルト:ピアノ三重奏曲第1番

レフ・オボーリン(p)ダヴィート・オイストラフ(vn)スビャトスラフ・クヌシェヴィツキー(vc)
モスクワ音楽院小ホール、モスクワ
[MELDAC;MECC-26023]

  月日不詳だが、あるいはこの日の演奏ではないか。上記のショスタコーヴィチの2番と同じ録音がやはりメルダックから[MELDAC;MECC-26018]として発売されており、シューベルトもショスタコーヴィチもともに「1960年モスクワ」とだけ表記されているので、同日の録音を2枚のCDに分けて収録した可能性があるからである。



10.1(土)

ヴェルディ:歌劇《アイーダ》第3幕、第4幕第1場

ビルギット・ニルソン(S)クリスタ・ルートヴィヒ(Ms)ルイージ・オットリーニ(T)ハンス・ホッター(Br)ワルター・クレッペル(Bs)
ロヴロ・フォン・マタチッチ指揮ウィーン国立歌劇場o、同cho
国立歌劇場、ウィーン
〈未レコード化〉

  全曲上演だが、録音は上記の部分のみが確認されている。ラダメス役のオットリーニ(1925生)以外は、ヴェルディよりワーグナーを歌いそうな歌手陣である。イタリア化が進められるウィーン国立歌劇場とはいえ、長いシーズンの日々の公演中には種々の事情で、こんな豪華だが意外な配役も実現した。ただし歌詞はドイツ語ではなくイタリア語による。上演で使われたロットの演出はもともと1955年秋の国立歌劇場再建のときにドイツ語訳詞で初演されたもの(クーベリック指揮)だが、カラヤン時代の1957年5月からイタリア語上演に変えられている。



10.1(土)







ベートーヴェン:交響曲第2番、第4番

ピエール・モントゥー指揮北ドイツ放送so
ムジークハレ、ハンブルク(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;7243 5 75474 2 0](第2番のみ)
[SCRIBENDUM;SC013](CONCERT HALL原盤)

  コンサートホールの通信販売用LPのための録音。



10.1(土)

ジャズ『STAN GETZ/BORN TO BE BLUE』より3曲

スタン・ゲッツ・カルテット
フレズレグスベル(FREDERIKSBERG)、デンマーク
[BANDSTAND:BDCD1533]

  フレズレグスベルはコペンハーゲン郊外の町。ゲッツ(1927生)は1958年春からヨーロッパに移住、コペンハーゲンに居をかまえていた。5.1のストックホルム、10.31のワルシャワ録音も同CD所収。



10.1(土)

ジャズ『ジェリー・マリガン&ザ・コンサート・ジャズ・バンド・オン・ツアー・ウィズ・ズート・シムズ』より3曲

ジェリー・マリガン&ザ・コンサート・ジャズ・バンド、ズート・シムズ(tb)
サンタモニカ市民公会堂、カリフォルニア(ライヴ商業録音、ステレオ)
[フィフティファイヴ・レコード;FNCJ-5605](VERVE原盤)

  このバンドが行なったアメリカ~ヨーロッパ・ツアーでのライヴ録音からLP1枚に抜粋したもので、他に11月4日の西ベルリン(1曲)、14日ミラノ(3曲)も含む。ただしステレオ録音はサンタモニカの3曲のみという中途半端な編集の盤。



10.1(土)

大相撲「栃錦引退相撲」

横綱栃錦、北出清五郎(実況)
国技館、東京蔵前
DVD〈NHKソフトウェア;NSDS-6908〉

  DVD『大相撲大全集~昭和の名力士~』第弐巻に所収。第44代横綱栃錦(1925生)最後の土俵入と断髪式の場面。
  土俵入では第45代横綱若乃花が太刀持、第46代横綱朝潮が露払という、前代未聞の豪華な顔ぶれとなった。断髪式では時津風理事長(元横綱双葉山)、全力士を代表して若乃花が鋏を入れている。



10.1(土)





宝塚歌劇団グランド・ショウ《華麗なる千拍子》より、主題歌〈幸福を売る人〉

寿美花代、槇克巳、那智わたる、如月美和子、内重のぼる(Vo)
コロムビア・オーケストラ
東京(セッション商業録音、ステレオ)
[コロムビア;COCA-11212~14]

  3枚組『宝塚歌劇~戦後編~』に所収。高木史郎作・演出のレビュウ《華麗なる千拍子》は、90年間におよぶ宝塚歌劇団の歴史の中でも特筆されるべき大ヒット作。60年8月に宝塚大劇場で星組が初演、続いて10月1日から25日まで東京宝塚劇場に舞台を移し、第15回芸術祭の大衆文化化部門芸術祭賞を受賞した。この録音は東京公演初日にスタジオ録音されたもの。翌61年にも1月から4月まで星組と雪組が大劇場と東京で連続公演を行ない、さらに12月に大阪梅田でも上演と、異例の再演を重ねた大人気作だった。
  のちに1961年1月の大劇場公演がライヴ収録され、25センチLP〈コロムビア;ALS-101〉で発売されている。



10.1(土)





落語『唐茄子屋政談』

五代目 古今亭志ん生
収録場所不明(NHK録音)
[キング;KICH 3142]
  日付は放送日。あるいは8.25の東京落語会での録音か。

10.2(日)

マスカーニ:歌劇《ロドレッタ》全曲

アウレリアーナ・ベルトラミ(S)ルチアーノ・サルダーリ(T)フェルナンド・リドンニ(Br)、ほか
グラツィアーノ・ムッチ指揮リヴォルノ・グラン・ガルディア劇場o、同cho
グラン・ガルディア劇場、リヴォルノ
[FONÈ;88F16-36]

  録音日を2.19とする説(premiere operaのCD-R)あり。



10.2(日)

マーラー:交響曲第9番

ディミトリ・ミトロプーロス指揮ウィーンpo
楽友協会大ホール、ウィーン
[ANDANTE;4997-5000]

  3枚組『ウィーン・フィル 1957-1963』に所収。ウィーンpoの定期演奏会のライヴ録音。この日は他に国立歌劇場で昼夜にマタチッチ(1899生)指揮の《カルメン》とベーム(1894生)指揮の《ドン・ジョヴァンニ》が上演されていた。当時のウィーンで、カラヤン以外で最も重要視されていた3人の指揮者が揃いぶみしたわけである。
  なおミトロプーロス(1896-1960)はこの後7、12、15日に《運命の力》を国立歌劇場で上演、不吉なジンクスをもつこのオペラをもって、本人も知らぬうちにウィーンと永別することになる。



10.2(日)

ミュージカル《イルマ・ラ・ドゥース(優しいイルマ)》

エリザベス・シール、キース・ミッチェル、クライヴ・レヴィル(Vo)、ほか
スタンリー・レボウスキー指揮o
CBS30丁目スタジオ、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[SONY;SK48018]

  1956年11月にコレット・ルナール主演によりパリで初演されたミュージカルを英語訳したもので、ブロードウェイのプリマス劇場で1960年9月29日に開幕して524回公演を重ね、フランス人作曲家によるブロードウェイ初のヒット作となった。1958年7月からロンドンのウェストエンドのリリック劇場で上演されたプロダクションをそのまま移したもので、ピーター・ブルックの演出と主役3人はロンドンと同じ。
  オリジナルはマルグリット・モノー作曲、アレクサンドル・ブレフォール作詩による。
  なお1963年にシャーリー・マクレーン主演で映画化されたが、モノーの音楽は一切使用されなかった。



10.3(月)



チャイコフスキー:瞑想曲
ショスタコーヴィチ:ヴァイオリン協奏曲第1番

レオニード・コーガン(vn)
キリル・コンドラシン(指揮)モスクワpo
モスクワ音楽院大ホール、モスクワ
[BRILLANT CLASSICS;BRL93030](チャイコフスキー)
[MOSCOW STATE CONSERVATOIRE;SMC CD 0039](ショスタコーヴィチ、2009)

  BRILLANT盤にはソビエト国立交響楽団とあるが、ここではモスクワ音楽院盤に従ってモスクワ・フィルとする。コーガン(1924生)のショスタコーヴィチは、4月29日のスヴェトラーノフ指揮ソビエト国立交響楽団との同じモスクワでのライヴもCD化されている。



10.3(月)

演説「辞任を拒否するハマーショルド」

ダグ・ハマーショルド
国際連合本会議場、ニューヨーク
[COLUMBIA;C2K 65907]

  『I CAN HEAR IT NOW/THE SIXTIES』所収。9月20日にニューヨークで開幕した第15回国連総会は、創立以来最大の規模で行なわれた。アフリカ諸国など14か国の新規加盟による量的拡大だけでなく、アメリカの仇敵となりつつあるキューバのカストロ議長(1926生)など、多数の国家元首クラスがソ連首相フルシチョフ(1894生)の呼びかけで直接参加したために質的にも拡大したのである。
  自身も初めて顔を出したフルシチョフの狙いは、加盟国の増加によって西側陣営の数的優位が相対的に低くなった総会で自らの存在を誇示して、第3世界のアジア・アフリカ諸国を自陣営に誘おうというものだった。
  フルシチョフは10月13日まで25日間もニューヨークに滞在、大統領選挙戦の模様を直に眺めつつ、カストロと初会見して固く抱擁するなど、マンハッタンを舞台にアメリカ人をいらつかせた。国連総会の演説でも軍縮や全植民地の即時独立など、毎日のようにさまざまな提案をした。そして3日朝にも急に発言を求め、独立後の政情不安が続く旧ベルギー領コンゴ問題への国連事務総長ハマーショルド(1905生)の態度が西側寄りだと非難、ハマーショルドの解任と、事務総長を東西両陣営と中立の3頭体制にすることを提案した。
  CDにはその日の午後、いかなる大国の圧力にも屈することなく、全加盟国の支持があるかぎりこの地位に留まるとハマーショルドが回答して、満場の喝采を浴びる場面が収録されている。ハマーショルドは翌年、コンゴ動乱調停のためにカタンガへ向かう途中、飛行機事故で落命することになる。



10.3(月)(?)

漫才『社長哲学』

松鶴家光晴・浮世亭夢若
千日劇場(?)、大阪(ABCラジオ音源)
[日本コロムビア;COCJ-33134]

  『松鶴家光晴・浮世亭夢若 ベスト漫才集』所収。日付は放送日か。CDにはデータ不詳とあるが、草柳俊一氏のサイト『道楽三昧』内の「落語鑑定団」内のページに、上記の日付と会場のデータが掲載されていた(現在は削除されている)。
  松鶴家光晴(1904-67)・浮世亭夢若(1915-60)は戦前から関西で活躍した漫才コンビで、中田ダイマル・ラケットに次ぐ吉本興業の看板的存在だった。しかし夢若が10月4日深夜に紀州白浜の旅館で多量の睡眠薬を飲んで自殺(事故死とする説もある)したため、コンビは消滅する。亡くなる1日前の収録あるいは放送ということになる。
  足立克己の『上方漫才史』(東方出版)によると、夢若が副業に始めようとした養犬場の工事中に作業員1人が死亡し、慰謝料100万円が必要になった。金に窮した夢若は仕事に穴をあけて白浜に潜伏、その間に吉本興業が立替えるよう先輩芸人が話をつけたのに、旅館に電話がなかったため連絡がとれず、その夜に亡くなったという。足立によれば戦後の「芸人四大自殺」の一つ(他は日佐丸、中田治朗、華ぼたん)という。



10.3(月)
 &4(火)

ショパン:ピアノ協奏曲第2番
ファリャ:《スペインの夏の夜》

クララ・ハスキル(p)
イーゴリ・マルケヴィッチ指揮ラムルーo
化学館、パリ(セッション商業録音、ステレオ)
[PHILIPS;416 443-2]

  マルケヴィッチ(1912生)は先月27日まで東京で演奏会をやっていた。離日後間もない録音ということになる。ほかにベートーヴェンの交響曲第1番も同じ10月に録音されている。
  ハスキル(1905生)は2週間前にテンペストなど、生涯でいちばんさかんに録音していた。



10.

ベートーヴェン:交響曲第1番

イーゴリ・マルケヴィッチ指揮ラムルーo
化学館、パリ(セッション商業録音、ステレオ)
[ユニバーサル;UCCP-3395](PHILIPS原盤)

  CDには10月録音とあるだけで日付不明だが、上記ハスキル盤と前後して録音されたものではないか。CDは1959年12月録音のハイドンの交響曲第103番と第104番と組み合わされている。



10.3(月)
 ~5(水)





ベートーヴェン:交響曲第7番

フェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリンpo
イエス・キリスト教会、西ベルリン郊外ダーレム(セッション商業録音、ステレオ)
[ポリグラム;POCG6033](DG原盤)
10.3(月)
 &5(水)

ツェラー:喜歌劇《小鳥売り》全曲

アントニア・ファールベルク(S)ウルズラ・ヘルキング(Ms)フリッツ・ヴンダーリヒ(T)クルト・グロスクルト(Bs)ほか
ハインツ・エアハルト指揮西ドイツ放送o、同cho
西部ドイツ放送局ザール1、ケルン
〈未レコード化〉
[LASERLIGHT CLASSICS;36009](ヴンダーリヒの3曲、全曲は未レコード化)

  12月26日と表記するデータもあるが、それは放送日か。テレビ用の音声収録。



10.3(月)
 &5(水)

サリヴァン(マッケラス編):バレエ《パイナップル・ポール》

チャールズ・マッケラス指揮ロイヤルpo
アビー・ロード・スタジオNo.1、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;7243 5 66538 2 5]

  マッケラスがサリヴァンのオペレッタから編曲したバレエの自作自演。



10.4(火)







マーラー:第10番第1楽章、交響曲第6番《悲劇的》

ヘルマン・シェルヘン指揮ライプツィヒ放送so、
コングレスハレ、ライプツィヒ
[TAHRA;TAH-101](第10番)
[TAHRA;TAH-110/111](第6番)

  ライプツィヒ放送によるマーラー生誕100周年記念演奏会の2晩め。第6番はシェルヘン(1891生)による大幅なカットがある。



10.4(火)

プッチーニ:歌劇《トゥーランドット》全曲

マリア・ルイザ・ナーケ、マファルダ・ミケルッツィ(S)フランコ・コレッリ(T)アントニオ・カッシネッリ(Bs)、ほか
マリオ・パレンティ指揮リヴォルノ・グラン・ガルディア劇場o、同cho
グラン・ガルディア劇場、リヴォルノ
CD-R〈PREMIERE OPERA;1347-2〉

  地方歌劇場の二線級歌手陣に混じって、コレッリが参加しているのが目を引く。



10.4(火)

グノー;歌劇《フィレモンとボーシス》全曲(イタリア語訳詞版)

レナータ・スコット(S)アルヴィニオ・ミシアーノ(T)ロランド・パネライ(Br)、ほか
ニノ・サンツォーニョ指揮ミラノRAIo、同cho
ミラノ
[MYTO:2CD 00254](2010)

  既発のFOYERのLPやCD、トーシ著のスコットの伝記付録の出演記録では1961年5月7日とされていたが、2010年発売のMYTO盤はこの日付。この日に収録し、翌年5月に放送したということか。



10.4(火)

ベルク:歌劇《ヴォツェック》全曲(英語版)

マリリン・ホーン(Ms)リチャード・ルイス(T)ジェライント・エヴァンズ(Br)ほか
レオポルト・ルートヴィヒ指揮サンフランシスコ歌劇場o、同cho
戦争記念歌劇場、サンフランシスコ
〈未レコード化、House of Opera ALD2133〉

  アメリカ西海岸初演。好評で6、26日と3回公演された。エヴァンズは初役だった。32時間半のオーケストラ練習を積んだという。



10.4(火)
 ~6(木)

マスネー:タイスの瞑想曲、リスト:《愛の夢》第3番、ドビュッシー:《月の光》、
クライスラー:《オールド・リフレイン》

ヴァージル・フォックス(org)
リヴァーサイド教会、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;CDM56542624](CAPITOL原盤)

  『THE ART OF VIRGIL FOX』所収。アメリカのオルガニストとして人気の高かったフォックス(1912-80)の演奏。オリジナルLPは[SP8557]。ドビュッシーが4日、マスネーとリストが5日、クライスラーが6日に録音された。録音セッションは教会が閉まった後、夜7時頃から始まるのが常だったという。



10.5(水)
   前後








真鍋理一郎:映画『日本の夜と霧』の音楽

吉沢博指揮のオーケストラ(?)、ほか
松竹大船撮影所サウンド・ステージ、大船(映画用サウンド・トラック)
DVD〈松竹;DA-0927〉

  松竹ヌーベルバーグの旗手、映画監督大島渚(1932生)の問題作。6月封切の監督第2作『青春残酷物語』、8月の『太陽の墓場』に続く第4作で、この年の大島は2か月に1本のハイペースで監督していた。
  『日本の夜と霧』は4か月前の6月15日の安保闘争に触発されて「昭和になってからの共産主義運動、社会主義運動のトータルな総括のつもり」(『大島渚1960』青土社刊)で制作された。しかし10月9日の封切から4日目の浅沼社会党委員長刺殺事件の12日を最後に上映中止となり、63年まで再上映されなかった。松竹は営業不振を理由としたが、映画内の日本共産党批判が問題視されての政治的打切りという説も根強い。
  しかし同時に、観客の多数を占める層にとって理解できない映画だったことも事実だろう。映画内で続けられる議論は、大学生とその卒業者にしか関係のない内容だったが、当時の大学・短大等への進学率は12.3パーセントに過ぎないのである(現在は50パーセントを超える)。映画の観客動員の低さは、何よりもその事実の反映だろう。少数者のための映画が一般向けに全国公開されたことに無理があったのである。空前絶後の国民的昂奮の中で「革命前夜」のような幻想と誤解――国民との連帯感という――が大学生やOBの裡に生まれた「60年安保の時代」ならではの作品ともいえる。大学生が増えていったその後の10年間(ほぼ倍増した)にこの映画がファンを増やし、カルト的な人気を博したことは、「大学の大衆化」を象徴する。
  大島がそれまで隠してきた書生気質をこの映画でむき出しにしたことで、松竹ヌーベルバーグは1年弱の短い活動期を終えた。大島は翌年松竹を退社する。なおタイトルは、この年に文藝春秋に連載されて話題を呼んだ松本清張の『日本の黒い霧』のもじり。

  指揮者名は『大島渚1960』(青土社)の記述からの推定。当時の日本映画はぎりぎりの日程で制作されており(この年に松竹1社が封切した映画は78本に及ぶ)、最後の作業のダビング(台詞、音楽、効果音等)は封切の3、4日ほど前の2日間に行なわれたという。撮影は9月10日過ぎからの17日間。
  なおこの作品からの組曲を外山雄三指揮大阪フィルが1961年に演奏したライヴ録音が残っており、『真鍋理一郎の世界』[ポリスター;PSCR5887]でCD化されている。音源は労音主催の演奏会のものだそうで、日本共産党批判映画の音楽を外山が労音で演奏していることには考えさせられる。



10.5(水)
 -7(金)

ハイドン:チェロ協奏曲第2番
ボッケリーニ:チェロ協奏曲

モーリス・ジャンドロン(vc)
パブロ・カザルス指揮ラムルーo
パリ(セッション商業録音、ステレオ)
[フィリップス;PHCP9189-90]

  ジャンドロン(1920生)はカザルス(1886生)の弟子。コレドールが書いた『カザルスとの対話』はこの録音の少し前に行なわれた。



10.5(水)
 -8(土)

メシアン:クロノクロミーより3曲

ハンス・ロスバウト指揮南西ドイツ放送so
南西ドイツ放送局音楽スタジオ、バーデン=バーデン(セッション放送録音)
[RCA 74321 73510 2]

  シリーズ『MUSIK IN DEUTSCHLAND 1950-2000』の『MUSIKTAGE DONAUESCHINGEN』所収。10月16日のドナウエッシッゲン音楽日々での初演に先だって録音されたもの。CDには7つの部分のうち3つが抜粋されている。
  1日のペンデレツキの録音を参照のこと。



10.5(水)
 -12(水)、
 12.26(月)





ビゼー:歌劇《真珠採り》全曲

ジャニーヌ・ミショー(S)ジーン・マデイラ(Ms)ニコライ・ゲッダ(T)エルネスト・ブラン(Br)、ほか
ピエール・デルヴォー指揮オペラ・コミーク国立歌劇場o、同cho
サル・ワグラム、パリ(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;7243 5 66020 2 1]

10.5(水)
 -13(木)











大リーグ『1960 WORLD SERIES』

ピッバーグ・パイレーツとニューヨーク・ヤンキースの選手たち
フォーブス・フィールド&ヤンキー・スタジアム
DVD〈RARE SPORTSFILMS,INC.;番号なし〉
VHS〈MAJOR LEAGUE BASEBALL;440 057 263-3〉

  シリーズ7試合の模様を43分にまとめたコカコーラ提供の映画で、カラーで撮影されている。大リーグ機構は1943年からワールド・シリーズの映画撮影を開始し、1959年には早くもカラー収録を始めたという。DVDは修復によってとても鮮明なカラー。13日の第7戦のテレビ・ラジオ中継完全版もDVD化されている。
  3勝3敗で迎えた最終戦はパイレーツが4対0と先行すると、ヤンキースがヨギ・ベラの3点本塁打などで7対4と逆転。しかしパイレーツも8回裏に一挙5点をあげて再逆転、9対7とした。だがヤンキースは土壇場9回表に主砲ミッキー・マントルの適時打と、かれの懸命の帰塁で併殺くずれを誘い、同点の9対9とする。常勝球団ヤンキースの底力にのまれかけたパイレーツだったが、9回裏の先頭打者ビル・マゼロースキがサヨナラ本塁打を左中間に放ち、10対9で35年ぶりのチャンピオンとなった。この凄絶な攻防から最終戦は「史上最大の第7戦」と呼ばれる。1903年以来100年間の歴史において、サヨナラ本塁打で終わったワールド・シリーズはこの年ただ一度しかない。
  マントルはピッツバーグからニューヨークへ帰る機中で、ずっと悔し涙を流していたという逸話がある。12年間にヤンキースを10回リーグ優勝させた名将ケーシー・ステンゲル(1890生)はこの敗戦で解雇された。
 また1960年は大リーグ創設以来60年間続いた16球団制最後の年(翌年18球団となり、順次増加していく)なので、『最後の純正なシーズン』なる題名の本(KERRY KEENE『1960:THE LAST PURE SEASON』)も書かれている。球団増加のために翌年から154試合から162試合に増えることが、翌年のロジャー・マリスの本塁打新記録(61本)に長く影を落とすことになる。

  なおDVDには『1960 PIRATES SEASON HIGHLIGHTS』(30分、カラー)もついている。



10.6(木)

チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》
ワーグナー:歌劇《ニュルンベルクのマイスタージンガー》前奏曲
フランク:交響詩《プシュケとエロス》
シャブリエ:狂詩曲《スペイン》

ポール・パレー指揮デトロイトso
フォード公会堂、デトロイト
〈未レコード化〉

デトロイトsoのシーズン開幕演奏会。開幕日は伝統的にソリストを呼ばず、オーケストラだけで演奏するという。中継をしたのはWWWJ放送局。フォード公会堂は2900人収容の大型ホールである。



10.6(木)
 &7(金)

ベートーヴェン;《レオノーレ》序曲第3番
R・シュトラウス;《ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら》
サン=サーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番ロ短調 op.61
ストラヴィンスキー:バレエ音楽《ペトルーシュカ》(1911年版)

ミシェル・シュヴァルベ(vn)
ピエール・モントゥー指揮ベルリンpo
ベルリン高等音楽院コンツェルトザール、西ベルリン
[TESTAMENT;SBT21476](2013)

  6、7、8と3日間行なわれた定期演奏会のラジオ中継で、以前発売されたCD-Rは7日だけを挙げていたが、TESTAMENT盤は6日と7日の両日の録音としている。



10.6(木)
 &7(金)

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番、前奏曲第5、6番

モーラ・リンパニー(p)
マルコム・サージェント指揮ロイヤルpo
アビー・ロード・スタジオ、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;TOCE7686]

ピアニストと指揮者は、7月25日のプロムスでBBC交響楽団と同じ協奏曲を演奏していた。



10.7(金)

ジャズ『CAL TJADER/CONCERTS IN THE SUN』より6曲

カル・ジェイダー(vib)、ロニー・ヒューイット(p)ビクター・ヴェネガス(b)ウィリー・ボボ(ds)モンゴ・サンタマリア(conga)
ワイキキ・シェル、ハワイ
[FANTASY;FCD-9688-2]

  ラテン・ジャズを始めたヴィブラフォン奏者ジェイダー(1925生)のグループによるライヴで、2002年に初レコード化された。CDには5月27日のサンタモニカのライヴも収録されている。



10.7(金)









談話『大統領候補テレビ討論 第2回』

ジョン・F・ケネディ&リチャード・ニクソン、フランク・マギー(MC)
NBC系列局、ワシントンDC
DVD〈Speechworks〉(2011)
LP〈THE SPOKEN WORD;BOX K(SW-9407-10)〉
VHSビデオ〈ABC VIDEO;MP1724〉

  9.26に続く第2回討論。VHSビデオは4回の討論のうち、両候補が同じスタジオに顔を揃えた第1、2、4回の討論を60分に編集したもの。第2回からは台湾問題についての約10分間の抜粋が収録されている。



10.8(土)

ストラヴィンスキー:バレエ《カルタ遊び》
ベートーヴェン:交響曲第7番

シャルル・ミュンシュ指揮ボストンso
シンフォニー・ホール、ボストン
[MEMORIES;MR2238/2239](2013、ベートーヴェンのみ。他は未レコード化)

  シーズン最初の定期演奏会。ほかにプーランクのオルガン、ティンパニと弦楽のための協奏曲。



10.8(土)

ベートーヴェン:交響曲第5番《運命》

フランツ・コンヴィチュニー指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウスo
国立歌劇場、ライプツィヒ
[WEITBLICK;SSS0015-2]

  再建されたライプツィヒ国立歌劇場の開場記念演奏会の録音。ゲヴァントハウスoはこの歌劇場のオーケストラでもある。当日はオイストラフとのブラームスの協奏曲も演奏された。オペラ公演は翌日の《マイスタージンガー》(ザイデルマン指揮)で開幕した。



10.8(土)

ポンキエッリ:歌劇《ラ・ジョコンダ》全曲

ジンカ・ミラノフ(S)アイリーン・クラマリッチ(Ms)ジュゼッペ・ジスモンド(T)チェーザレ・バルデッリ(Br)ほか
レナート・チェッリーニ指揮ニューオリンズ歌劇o、同cho
市立公会堂、ニューオリンズ(ステレオ録音)
[VAI;VAIA1255-3]

  10月6日とあわせて2公演行なわれた。



10.8(土)

ロッセリーニ:歌劇《戦争》全曲

マクダ・オリヴェーロ、ニコレッタ・パンニ(S)ジャチント・プランデッリ(T)レナート・チェーザリ(Br)ほか
マッシモ・フレッチア指揮ローマRAIso
ローマ
[EKRIPSE;EKR P-7]

  レンツォ・ロッセリーニ(1908-82)は映画監督ロベルト・ロッセリーニの弟で、兄の作品の音楽も多数担当した。4つのオペラのうち一幕物の《戦争》は1956年にナポリで初演された作品で、オリヴェーロ(1910生)は主役マルタの創唱者である。



10.8(土)

落語『今戸の狐』

五代目 古今亭志ん生
東京(ニッポン放送、「落語独演会」)
[ポニーキャニオン;PCCG-00701]

  日付は放送日。『五代目古今亭志ん生 名演大全集』第9巻所収。



10.8(土)
 &9(日)





バッハ:《コーヒー・カンタータ》《農民カンタータ》

リーザ・オットー(S)ヨーゼフ・トラクセル(T)ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)
カール・フォルスター指揮ベルリンpo、聖ヘトヴィヒ教会cho
グリューネヴァルト教会、西ベルリン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;TOCE-3161]



10.9(日)

プーランク:オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲

ベルイ・ザムコヒアン(org)エヴァレット・ファース(tim)
シャルル・ミュンシュ指揮ボストンso
シンフォニー・ホール、ボストン(セッション商業録音、ステレオ)
[RCA;BVCC38466]

  直前の定期(7、8日)で演奏した曲をセッション商業録音したもの。



10.9(日)

ショスタコーヴィチ:弦楽四重奏曲第8番

ベートーヴェンSQ
モスクワ音楽院小ホール
[MELDAC;MECC-26019]

  この年の7月14日に完成、1週間前の10月2日にレニングラードで世界初演された。作品の献辞は「ファシズムと戦争の犠牲者を偲んで」とあり、ドレスデン空襲の惨禍の跡を見たことがきっかけになったと当時作曲家は語っている。しかし周囲には、自分自身に捧げる自伝的作品だともらしていた。自身の名前に基づく主題、旧作の引用などがある。共産党入党をめぐる内心の葛藤のなかで生まれた。



10.9(日)

ドニゼッティ:歌劇《ランメルムーアのルチア》より二重唱〈ここで妻として永遠の誓いを〉

マディ・メスプレ(S)アラン・ヴァンゾ(T)
ピエール・デルヴォー指揮フランスRTFリリックo
パリ
LP〈EMI PATHE MARCONI;EX2704893〉

  メスプレ(1931生)の1958年から74年にかけての放送録音をあつめた3枚組LP『MADY MESPLÉ/un portrait』所収。メスプレは3か月前にパリ・オペラ座でルチアを歌って好評を得ていた。



10.9(日)

ショパン:ピアノ・ソナタ第2番、ワルツ第3番
コープランド:ピアノ・ソナタ
ファリャ:バレエ《三角帽子》より〈粉屋の踊り〉
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第5番K.283
シューベルト:即興曲D899-2
メンデルスゾーン:無言歌第25番
ショパン:練習曲第15&5番
シューマン:アラベスク
リスト:ペトラルカのソネット第104番、忘れられたワルツ第1番

バイロン・ジャニス(p)
フィルハーモニー大ホール、レニングラード
LP〈MELODIA;M10 47031 005、M10 47033 002〉(分売)

  ホロヴィッツの弟子として知られるジャニス(1928生)の初の訪ソ公演のライヴ録音。



不詳

ミュージカル《マイ・フェア・レディ》(オランダ語版)

マルフレツ・ド・フルート、ヴィム・ソンネフェルツ、ヨーハン・カーツ(Vo)、ほか
ドルフ・ファン・デル・リンデン指揮のオーケストラ
オランダ(セッション商業録音、ステレオ)
[MERCURY;518 358-2]

  ジュリー・アンドリュース主演で大ヒット中のブロードウェイ・ミュージカルのオランダ上演版の録音。1960年制作とあるだけで月日不明だが、1960年10月1日にロッテルダムのルクソル劇場でオランダ初演されたとあるので、おそらくその時期の録音であろう。



10.10(月)

プッチーニ:歌劇《蝶々夫人》より、4つの断片

レオンティン・プライス(S)
ソール・カースタン指揮のオーケストラ
ハリウッド・ボウル、ロスアンジェルス
[LEGATO;LCD2341]

  『LEONTYNE PRICE / EARLY PERFORMANCES』所収。全曲演奏からの抜粋らしい。この時期にハリウッド・ボウルで公演があるのかどうか疑わしいが、CD記載に従う。カースタン(1901-70)はフィラデルフィアoのトランペット奏者出身で、デンヴァーsoの指揮者をしていた。この年に引退している。



10.10(月)









シューマン:交響曲第2番、第4番
ウェーバー:歌劇《オベロン》序曲

レナード・バーンスタイン指揮ニューヨークpo
マンハッタン・センター、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[SONY;SMK47611](第2番) [SONY;SMK47612](第4番) [SONY;SMK47601](序曲)

  バーンスタインはニューヨークpoの秋の定期演奏会のシリーズ・テーマを「シューマンとロマン派音楽」として、生誕150年のシューマンの作品を中心に取り上げた。第4番は9月29日からの、また第2番と《オベロン》序曲は直前の10月6日からの定期演奏会で演奏された。

10.10(月)





ジャズ『3つの組曲』より、木曜組曲

デューク・エリントンo
ラジオ・レコーダーズ、ハリウッド(セッション商業録音、ステレオ)
[COLUMBIA;CK46825]

  1日で録音。


10.10(月)
 ~18(火)

R・シュトラウス:歌劇《エレクトラ》全曲

インゲ・ボルク、マリアンネ・シェッヒ(S)ジーン・マデイラ(Ms)フリッツ・ウール(T)ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)ほか
カール・ベーム指揮ドレスデン国立歌劇場o、同cho
ルカ教会、ドレスデン(セッション商業録音、ステレオ)
[DEUTSCHE GRAMMOPHON;445 329-2]

  西独のドイツ・グラモフォンと東独のドイツ・シャルプラッテン(エテルナ)の共同制作。指揮者と歌手は西側、オーケストラと合唱団が東側。ベーム(1894生)が1930年代に音楽総監督を務めたドレスデン国立歌劇場は、R・シュトラウスのオペラの多くを初演した伝統を持つ。この歴史的経緯を踏まえて、1950年代末からベームとドレスデンによるシュトラウスのオペラや管弦楽曲がいくつか共同制作で録音されていた。



10.11(火)

ヴェルディ:歌劇《ドン・カルロ》(ドイツ語版)

ルドミラ・ドヴォルジャーコヴァ(S)ヘドヴィヒ・ミュラー=ビュトウ(Ms)マルティン・リツマン(T)ルドルフ・イェドリチカ(Br)テオ・アダム(Bs)ほか
フランツ・コンヴィチュニー指揮ベルリン国立歌劇場o、同cho
ベルリン国立歌劇場、東ベルリン
[WALHALL;WLCD0371](2012)




10.11(火)

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番《テンペスト》

グレン・グールド(p)
CBCスタジオ、カナダ(テレビ用録画)
LD〈ソニー;SRLM990-5〉

  日付は放送日。グールド(1932生)による映像で、この年の録画とされるものはほかにベートーヴェンのチェロ・ソナタ第3番(vcはレナード・ローズ)があり、翌61年2月6日に放送されている。



10.11(火)

オネゲル:歌劇《アンティゴネ》

ジヌヴィエーヴ・セレ(S)ジャニーヌ・コラール(Ms)ジャン・ジロードー(T)ミシェル・ルー(Br)ほか
モーリス・ル・ルー指揮フランス国立放送o、同cho
パリ
[BOURG;BGC17]

  《アンティゴネ》はソフォクレスの原作によりコクトーが作詞したオペラで、1927年に初演されている。レコードでもこの録音しか出たことのないマイナー作品。



10.11(火)

ジャズ『PETE JOLLY LIVE IN LA』より3曲

ピート・ジョリー(p)チャック・バーゴーファー(bs)おそらくニック・マーティニス(ds)
シェリーズ・バー、ロスアンジェルス(ステレオ録音)
[V.S.O.P.;#91CD]

  写真家のジョージ・ジャーマンが私的にステレオ録音したテープからCD化されたもの。アルバムには1960年から65年までのライヴ10曲が収められている。



10.11(火)

落語『泣き塩』

五代目 古今亭志ん生
NHK(セッション放送録音、ラジオ番組「志ん生五夜」)
[ユニバーサル;POCN-1094]

  日付は放送日。『NHK落語名人選』第54巻所収。聴衆なしのスタジオ収録。5夜連続のラジオ番組「志ん生五夜」第2夜。21時25分からNHK第1で放送された。前日の第1夜は『巌流島』(未レコード化)。



10.11(火)




トリエステで9月27日から開催されていた、RAI主催のラジオ・テレビ番組の国際コンクール「イタリア賞」第12回において、ラジオ音楽部門で参加したNHK制作の音楽詩劇《オンディーヌ》が、グランプリを受賞した。三善晃作曲によるこの作品は、1959年11月28日夜にNHKラジオ第2で放送初演され、同年の芸術祭賞を得ていた。
  同じ録音が[東芝EMI;TOCE-9435]でCD化されている。







10.11(火)
 -14(金)







ウェーバー:コンツェルトシュトゥック
ストラヴィンスキー:ピアノとオーケストラのためのムーヴメンツ

マルグリット・ヴェーバー(p)
フェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン放送so
イエス・キリスト教会、西ベルリン郊外ダーレム(セッション商業録音、ステレオ)
[DG;463085-2](ウェーバー)
[DG;445405-2](ストラヴィンスキー、1994)

11と12にウェーバー。14にストラヴィンスキー。ムーヴメンツはこのヴェーバーが作曲家に委嘱した作品。(2.12-17参照)

10.11(火)
 -15(土)





ニュース映像「日本シリーズ大洋初優勝」

後楽園球場、東京(日本映画新社撮影)
DVD付書籍〈講談社;ISBN4-06-274730-8〉

  『昭和ニッポン 第10巻 昭和35年・1960』所収。映画館で劇映画の合間に上映されるニュース映画の制作会社、日本映画新社による映像。



10.12(水)

シュトックハウゼン:ツィクルス

クリストフ・カスケル(perc)
西部ドイツ放送局、ケルン(放送録音)
[STOCKHAUSEN;COMPACT DISK6]

  前年にダルムシュタットで初演された作品。



10.12(水)

ジャズ『CHET BAKER - LIVE IN PARIS 1960-63 - LIVE IN NICE1975』より2曲

チェット・ベーカー(tp)
バーデン・バーデン放送オーケストラ
パリ(?)
[ESOLDUN-INA;FCD123]

  日付はフランス国営放送の放送日。南西ドイツ放送のジャズ・オーケストラとの共演。



10.12(水)





ニュース映像「浅沼委員長刺殺」

日比谷公会堂、東京(日本映画新社撮影)
DVD付書籍〈講談社;ISBN4-06-274730-8〉

  『昭和ニッポン 第10巻 昭和35年・1960』所収。映画館で劇映画の合間に上映されるニュース映画の制作会社、日本映画新社による映像。



10.12(水)









ラジオ中継「浅沼委員長刺殺」

日比谷公会堂、東京(NHKによる実況)
ソノシート〈ソノシート・コーポレーション;ソノブックス臨時増刊『沼さんは生きている』〉

  追悼のために11月5日に急遽発行された2枚組ソノシート『沼さんは生きている』に収録。NHKの収録である。客席からの野次で演説が中断、司会者が静粛を求め、演説を再開した直後に刺される場面も入っている。
  当日の午後14時5分からNHK第1放送で『三党首立会演説会』として生中継されていた。

  100円で発売されたこのソノシート裏面には中島健蔵の次の言葉がある。
  「この声を聞け。テロに断ち切られても、なおひびきつづける浅沼委員長の声を聞け。日本の明るい未来のために叫びつづけた政治家の最後の声である。この声を断ち切った兇刃の背後にひそむものは何か。それをあばけ、断ち切られたこの声の後に、日本の民衆の怒りの声が盛り上がる。一九六〇年十月十二日、この日の怒りと悲しみが忘れられようか」

 なおこの事件に関しては、沢木耕太郎の『テロルの決算』(文春文庫)に詳しい。

10.12(水)

落語『紀州』

五代目 古今亭志ん生
NHK(セッション放送録音、ラジオ番組「志ん生五夜」)
[ユニバーサル;POCN-1094]

  日付は放送日。『NHK落語名人選』第54巻所収。「志ん生五夜」第3夜。



10.12(水)
 or 11.3(木)

ビゼー:歌劇《真珠採り》全曲(イタリア語訳詞版)

ピナ・マルガリーニ(S)アルフレード・クラウス(T)ジュゼッペ・タデイ(Br)ほか
アルマンド・ラ・ローザ・パロディ指揮ミラノRAIo、同cho
ミラノ(ステレオ)
[WALHALL;WLCD0299](2010)

  イタリア語による放送用録音。2010年発売のWALHALL盤は既発盤と異なるステレオ録音で、日付も11月3日ではなく10月12日となっている。10月に収録、11月に放送、ということかも知れない。



10.13(木)

ドニゼッティ:歌劇《ピグマリオーネ》全曲

オリアンナ・サントゥニオーヌ(S)ドーロ・アントニオーリ(T)
アルマンド・ガット指揮ベルガモ・ドニゼッティ劇場o、同cho
ドニゼッティ劇場、ベルガモ
[MYTO;1 CD 00241](2010)

  ドニゼッティ19歳のときの処女作だが、習作的性格が強く、まったく上演された記録がない。この公演は1816年の作曲以来、144年目の世界初演とされる。



10.13(木)

メンデルスゾーン:交響曲第4番《イタリア》
バッハ:ブランデンブルク協奏曲第5番
ハンソン:セルゲイ・クーセヴィツキー追悼のための悲歌
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番

グレン・グールド(p)ミッシャ・ミシャコフ(vn)アルバート・ティプトン(fl)
ポール・パレー指揮デトロイトso
フォード公会堂、デトロイト
[WEST HILL RADIO ARCHIVES;WHRA-6038](バッハ&ベートーヴェンのみ、2011)

  6枚組『GLENN GOULD IN CONCERT, 1951-1960』所収。ブランデンブルク協奏曲ではオーケストラの首席フルート奏者とコンサートマスターのミシャコフ(1896生)も独奏している。ミシャコフは37年から52年までトスカニーニのNBCsoのコンサートマスターを務めたことで名高い。



10.13(木)

テレビ番組「大統領候補テレビ討論 第3回」

ジョン・F・ケネディ&リチャード・ニクソン、ビル・シデール(MC)
ABC系列局、ニューヨーク&ハリウッド
LP〈THE SPOKEN WORD;BOX K(SW-9407-10)〉

  東部時間の午後7時半に始まった第3回の討論は直接に対面せず、ケネディがニューヨーク、ニクソンがハリウッドから画面を通して話す形になった。
  この日、フルシチョフが25日間の滞在を終えてアメリカを去っている。



10.13(木)

テレビ・ラジオ中継「1960年ワールド・シリーズ第7戦」

ピッバーグ・パイレーツとニューヨーク・ヤンキースの選手たち
ボブ・プリンス、ジム・ウッズ(実況)、ほか
フォーブス・フィールド、ピッバーグ
DVD〈A&E;AAAE240690〉(2010)
  大リーグ機構(MLB)の公式DVD『BASEBALL’S GREATEST GAMES』シリーズのひとつ。「史上最大の第7戦」の完全実況テレビ中継(モノクロ)に加え、同日のラジオ中継(映像にシンクロして再生できる)、10月5日からの7試合のハイライトのカラー映画の公式版、選手インタビューなど、もりだくさんの2枚組。

  3勝3敗で迎えた最終戦はパイレーツが4対0と先行すると、ヤンキースがヨギ・ベラの3点本塁打などで7対4と逆転。しかしパイレーツも8回裏に一挙5点をあげて再逆転、9対7とした。だがヤンキースは土壇場9回表に主砲ミッキー・マントルの適時打と、かれの懸命の帰塁で併殺くずれを誘い、同点の9対9とする。常勝球団ヤンキースの底力にのまれかけたパイレーツだったが、9回裏の先頭打者ビル・マゼロースキがサヨナラ本塁打を左中間に放ち、10対9で35年ぶりのチャンピオンとなった。この凄絶な攻防から最終戦は「史上最大の第7戦」と呼ばれる。1903年以来100年間の歴史において、サヨナラ本塁打で終わったワールド・シリーズはこの年ただ一度しかない。

当日のスコア
1 2 3 4 5 6 7 8 9   R
0 0 0 0 1 4 0 2 2   9  New York Yankees
2 2 0 0 0 0 0 5 1  10 Pittsburgh Pirates




10.13(木)

ジャズ『イン・ストックホルム1960・コンプリート』より16曲

マイルス・デイヴィス・クインテット
[DRAGON;DRCD228]
コンサート・ホール、ストックホルム

  当CDには3月22日のストックホルム公演も収められている。



10.13(木)

落語『権兵衛狸』

五代目 古今亭志ん生
NHK(セッション放送録音、ラジオ番組「志ん生五夜」)
[ユニバーサル;POCN-1094]

  日付は放送日。『NHK落語名人選』第54巻所収。「志ん生五夜」第4夜。



10.13(木)(?)

J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番より「G線上のアリア」
ドヴォルジャーク:ユモレスク
クライスラー:愛の悲しみ

江藤俊哉(vn)
江藤玲子(p)
東京(セッション商業録音)
フォノシート〈筑摩書房;世界音楽全集第1巻 CMW-011、013〉

  筑摩書房の『世界音楽全集』は1巻が17センチ33回転のフォノシート4枚からなるクラシックの名曲集。
  出版社は日本ではレコード販売に参入が許されないが、フォノシート(朝日ソノラマの商品名ソノシートの方が名高い)はその廉価な代用品となるものだった。『世界音楽全集』は1巻380円、レコード録音の機会の少ない日本の演奏家を起用したシリーズで、監修者に大田黒元雄、野村光一、堀内敬三、村田武雄という当時の音楽評論界の重鎮を起用している。
  11月25日に発売された第1巻を皮切りに毎月1巻、当初は25巻の予定だったがやがて全40巻、別巻5巻に拡大、1963年末までに順次発売されていった。小品中心だが別巻には《運命》《未完成》やメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲の全曲も収録された。筑摩書房は途中から並行して『ベートーヴェン選集』15巻も発行しており、フォノシートによるクラシックがよほどの好評だったことをうかがわせる。
  ヴァイオリンの江藤俊哉、厳本真理、辻久子、岩淵龍太郎、諏訪根自子、海野良夫、ピアノの安川加寿子、田村宏、井口基成、野辺地勝久、チェロの井上頼豊、フルートの吉田雅夫、木琴の平岡養一、歌手の藤原義江、砂原美智子、中山悌一、畑中良輔、吉沢淑子、大谷冽子、五十嵐喜芳、指揮の山田夏精(和夫)、上田仁、大町陽一郎、渡辺暁雄、近衛秀麿、浜田徳昭など、スター総ざらえのような演奏家の顔ぶれはまことに壮観で、日本クラシック史の貴重な記録となっている。
  その全容は吉原潤氏のホームページにあるリストを参照のこと。

  このシリーズの短所は録音データが記載されていないことだが、第1巻の江藤俊哉の録音に関しては、月報に「渡米の二日前の夜吹込み、一日前の深更日比谷公会堂での演奏を終えてスタジオにかけつけ、録音を聞いてOKをだし翌日の夕方には家族と機上」とある。アメリカで活躍中の江藤はこの年5月に帰国して10月に再渡米しているが、10月14日の日本フィル定期(渡邉暁雄指揮、浅沼事件からわずか2日後の同じ舞台)でシベリウスのヴァイオリン協奏曲を演奏していることから、録音日は13日と推定した。
  第1巻のもう一人の演奏者である厳本真理、第2巻の大谷冽子と五十嵐喜芳の歌、第3巻の安川加寿子と江藤玲子のピアノ、第4巻の山田夏精指揮の各巻も、1960年内の録音と考えられる。



10.13(木)
&11.2(水)





パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第1番、第2番

ユーディ・メニューイン(vn)
アルベルト・エレーデ指揮ロイヤルpo
キングズウェイ・ホール、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;CDC7 47088 2]



10.14(金)

ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲

ダヴィート・オイストラフ(vn)
フランツ・コンヴィチュニー指揮ベルリン・ドイツ国立歌劇場o
国立歌劇場、東ベルリン(ベルリン祝祭日々)
[WEITBLICK;SSS0018-2]

  ベルリン祝祭日々は東ドイツ側の芸術祭で1950年に創設された。これに対抗して翌51年に開始されたのが西ベルリンの祝祭週間である。



10.14(金)

ヴェルディ:歌劇《ドン・カルロ》全曲

マーゲリータ・ロバーティ(S)ジュリエッタ・シミオナート(Ms)リチャード・タッカー(T)ティト・ゴッビ(Br)ボリス・クリストフ(Bs)ほか
アントニーノ・ヴォットー指揮シカゴ・リリック歌劇場o、同cho
リリック歌劇場、シカゴ
[LIVING STAGE;LS1089]

  シカゴ・リリック歌劇場のシーズン開幕公演。ヴォットーの北アメリカ・デビュー。シカゴ歌劇場のシーズンは10月14日から12月3日までと短い。7週間で10演目29公演が行なわれる。



10.14(金)





モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番

ヴォルフガンク・シュナイダーハン(vn)
カール・シューリヒト指揮ヘッセン放送so
フランクフルト
[キング;KICC2392]



10.14(金)

シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番、歌曲《連祷》(リスト編)
リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調
シューベルト(リスト編曲):歌曲5曲(《水車小屋の男と小川》《すみか》《魔王》《春への憧れ》《影法師》)

ウラジミール・ソフロニツキー(p)
モスクワ音楽院小ホール
[DENON;COCO80383~84]



10.14(金)

ジャズ『BEN WEBSTER AT THE RENAISSANCE』(8曲)

ベン・ウェブスター(t-sax)ジミー・ロウルズ(p)ジム・ホール(g)レッド・ミッチェル(bs)フランク・バトラー(ds)
ザ・ルネッサンス、ハリウッド(ライヴ商業録音、ステレオ)
[CONTEMPORARY;OJCCD-390-2]

  LPではモノラルのみで4曲が発売されていたが、1985年のCD化にさいしてステレオ・テープによる計8曲が発見された。



10.14(金)

ジャズ『BUD IN PARIS』より4曲

ザ・スリー・ボシズ(バド・パウエルほか)
シャンゼリゼ劇場、パリ(ライヴ商業録音、ステレオ)
[XANADU;XCD1222]

  曲目は《ジョンズ・アビー》《バターカップ》《スウィート・アンド・ラヴリー》《クロッシング・ザ・チャンネル》。



10.14(金)

軽音楽『Roger Bourdin - Entre Deux Arts』より2曲

ロジェ・ブルダン(Fl、指揮)と彼のオーケストラ及びリズム楽団
パリ
[Ossia;OSSIA1010](2012)

  曲目はブルダン/B. Astor:ボレロ・ブルーとバッハ/ブルダン:Sweet en Si(管弦楽組曲第2番の編曲)。
  ロジェ・ブルダン(1923-1976)はモイーズの弟子で、ラムルー管弦楽団で活躍したのち、クラシックと軽音楽の双方で活躍した。



10.14(金)

ジャズ『BEV KELLY IN PERSON』(11曲)

ベヴ・ケリー(vo)
ポニー・ポインデクスター(a-sax)フリップ・ヌーンズ(p)ジョニー・アレン(bs)トニー・ジョンソン(ds)
カフェ・ギャラリー、サンフランシスコ(ライヴ商業録音、ステレオ)
[RIVERSIDE;OJCCD-1019-2]

  午後10時から午前2時までに歌われた15曲から11曲を選んだもの。



10.14(金)

落語『六尺棒』

五代目 古今亭志ん生
NHK(セッション放送録音、ラジオ番組「志ん生五夜」)
[ユニバーサル;POCN-1094]

  日付は放送日。『NHK落語名人選』第54巻所収。「志ん生五夜」第5夜。



10.15(土)

ハイドン:交響曲第98番
ピストン:3つのニューイングランドのスケッチ
ブラームス:ヴァイオリン協奏曲

ジェーコブ・クラチマルニック(vn)
シャルル・ミュンシュ指揮ボストンso
シンフォニー・ホール、ボストン
〈未レコード化〉

  クラチマルニック(1922生)は46年から51年までクリーヴランドoの副コンサートマスター、51年から58年までフィラデルフィアo、58年から60年までコンセルトヘボウoのコンサートマスターを歴任した人物。61年にニューヨークpoと来日しているともいう。独奏者としての活動ののち、64年から70年はサンフランシスコsoのコンマスとなった。



10.15(土)(?)

モーツァルト:歌劇《コジ・ファン・トゥッテ》全曲

エリーザベト・シュヴァルツコップ、メアリー・コスタ(S)カスリン・ヒルゲンバーグ(Ms)リチャード・ルイス(T)フランコ・グァレッラ(Br)パウル・シェフラー(Bs)
クルト・ハーバート・アドラー指揮サンフランシスコ歌劇場o、同cho戦争記念歌劇場、サンフランシスコ
CD-R〈PREMIERE OPERA;2029-2〉

  18日にも公演があり、その日の録音の可能性もある。シュヴァルツコップは9月末から12月初めまでアメリカに滞在し、サンフランシスコ、シカゴ、サンディエゴ、ロスアンジェルス、ダラス、ニューヨークで公演した。



10.15(土)









プロ野球「昭和35年日本シリーズ 大洋ホエールズ対大毎オリオンズ第4戦」より

後楽園球場、東京
DVD〈東芝EMI;TOBF-5512〉

  『NHK映像歌年鑑 そう言えばあの時このうた 1960-1961』所収。NHKのニュース映像に当時の流行歌をかぶせた5分番組を集めたもので、1960年は4本で構成。日本シリーズ第4戦をダイジェストした番組には橋幸夫の《潮来笠》が使用され、近藤の決勝タイムリーと試合終了と胴上げ、それに試合後のセレモニーの場面が収録されている。
  1960年の日本シリーズは11日から15日まで戦われ、「魔術師」三原脩の率いる大洋ホエールズが4勝0敗で大毎オリオンズを下して日本一となった。万年最下位からの驚異的な快進撃だった。
  3万2千の観衆を集めた後楽園球場での第4戦は、5回表の近藤昭仁の適時打で1点を取った大洋が、5回裏途中から登板した4連投のエース秋山登の力投で1-0のまま逃げきり、日本一を決めた。午後1時から始まり試合時間は2時間44分。4試合全てが1点差という接戦だった。シリーズMVPは近藤昭仁。
  なおこの年の三原大洋の戦いぶりについては、富永俊治『三原脩の昭和三十五年』(洋泉社)に詳しい。

10.中旬(?)

ブロードウェイ・コメディ『AN EVENING WITH MIKE NICHOLS AND ELAINE MAY』抜粋

マイク・ニコルズ、エレイン・メイ
ゴールデン劇場、ニューヨーク(ライヴ商業録音、ステレオ)
[MERCURY;314 558 456-2]

  ブロードウェイの劇場で10月8日から上演されたコメディのライヴ録音。日付不詳(初日とする説もある)だが、ブロードウェイの通例から見て初日の1週間ほど後だろう。ブロードウェイのライヴというのは珍しい。しかしスタンダップ・コメディでは観客の笑い声も重要な役割を担うためかライヴ録音が多いので、これはそちらの例と考えるべきだろう。
  ニコルズ(1931生)とメイ(1932生)はテレビでも活躍した男女のコンビ。ビルボードのLPチャートで最高10位のヒットになった。60年前後のアメリカではLPの販売数上位をブロードウェイ・ミュージカルや映画のサウンド・トラック、スタンダップ・コメディなどが占めており、若年層向けのロックンロール、ロックはシングル(EP)盤に集中していた。ロックがLPでも上位を独占するのは68年以降のことである。



10.16(日)

ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第7番

ダヴィート・オイストラフ(vn)レフ・オボーリン(p)
国立歌劇場、東ベルリン(ベルリン祝祭日々)
[ARCHIPEL;ARPCD 0537](2011)

  2日前のベートーヴェンの協奏曲に続く、ベルリン祝祭日々でのオイストラフのリサイタル。



10.16(日)

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第13番
シューマン:幻想曲

クラウディオ・アラウ(p)
BBCスタジオ、ロンドン(セッション放送録音)
[BBC MUSIC;BBCL4162-2]

  アラウはこの後10月20日にロイヤル・フェスティヴァル・ホールでショパン・リサイタルを行ない、大木正興が聴いている。



10.16(日)

ジャズ『THE CANNONBALL ADDERLEY QUINTET AT THE LIGHTHOUSE』(7曲)

キャノンボール・アダレイ(a-sax)ナット・アダレイ(cornet)ヴィクター・フェルドマン(p)サム・ジョーンズ(bs)ルイス・ヘイズ(ds)
ザ・ライトハウス、カリフォルニア州ハーモサ・ビーチ(ライヴ商業録音、ステレオ)
[CAPITOL;7243 5 31572 2 7](リヴァーサイド原盤)

  高い人気を誇るキャノンボール・アダレイ・クインテットの西海岸でのライヴ。リヴァーサイド・レーベルでのサード・アルバム。キャピトルからCD化されたさいに7曲めが追加された。



10.17(月)

ブラームス:ピアノ協奏曲第2番

スビャトスラフ・リヒテル(p)
エーリヒ・ラインスドルフ指揮シカゴso
オーケストラ・ホール、シカゴ(セッション商業録音、ステレオ)
[RCA;BVCC-8829~30]

  3日(6日とする説もある)にモスクワを出発、飛行機嫌いのため鉄路でパリを経由、ル・アーブルから客船クイーン・メアリー号で渡米したリヒテル(1915生)は、15日シカゴの特別演奏会でブラームスの協奏曲を演奏し、アメリカ・デビューを飾った。
  指揮はシカゴsoの音楽監督ライナー(1888生)が予定されていたが、10日前の7日に冠状動脈瘤により緊急入院、翌年3月末まで休養を余儀なくされたため、ラインスドルフ(1912生)が代役となった。13日と14日のシーズン開幕の定期演奏会では楽団の准指揮者ウォルター・ヘンドル(1917生)が代役を務めたのに、この特別演奏会にだけラインスドルフが呼ばれたのは、2日後のレコード録音を考慮してRCA側が希望したものらしい。しかしラインスドルフのせっかちな指揮をリヒテルは気にいらず、このブラームス録音を「わたしの作ったレコードのなかで最も出来の悪いもの」としている。
  2か月後の12月21日に発売され、ビルボード誌の第5位にランク、トップ40に20週間チャート・インする大ヒットとなった。



10.17(月)







シューマン:交響曲第3番《ライン》
W・シューマン;交響曲第3番

レナード・バーンスタイン指揮ニューヨークpo
マンハッタン・センター、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[SONY;SMK47612](ライン) [SONY;SMK63163](W・シューマン)

  1960年はロベルト・シューマンの生誕150周年、ウィリアム・シューマンの生誕50周年にあたる。2曲とも13日から16日にかけての定期演奏会で演奏された。



10.17(月)
 -19(水)







バルトーク:ピアノ協奏曲第1番、ピアノと管弦楽のためのラプソディ

ゲザ・アンダ(p)
フェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン放送so
イエス・キリスト教会、西ベルリン(セッション商業録音、ステレオ)
[DEUTSCHE GRAMMOPHON;447 399-2](協奏曲) [DEUTSCHE GRAMMOPHON;POCG-3080](ラプソディ)



10.17(月)
 -21(金)

ワーグナー:歌劇《タンホイザー》全曲

エリーザベト・グリュンマー、マリアンネ・シェッヒ(S)ハンス・ホップ、フリッツ・ヴンダーリヒ(T)ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)ゴットロープ・フリック(Bs)ほか
フランツ・コンヴィチュニー指揮ベルリン・ドイツ国立歌劇場o、同cho
グリューネヴァルト教会、西ベルリン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;TOCE-9452~54]

  西ドイツのエレクトローラと東ドイツのエテルナ、二つのレコード会社の共同制作による全曲盤。



10.17(月)
 -12.2(金)

スメタナ:歌劇《悪魔の壁》全曲

ミラダ・シュブルトヴァー(S)イヴォ・ジーテク(T)ヴァーツラフ・ベトナーシュ(Br)、ほか
デニェク・ハラバラ指揮プラハ国立歌劇場o、同cho
ドモヴィナ・スタジオ、プラハ(セッション商業録音、ステレオ)
[SUPRAPHON;11 2201-2 612]

  スメタナ晩年のオペラの唯一の録音。



10.17(月)

談話「浅沼享子夫人のあいさつ」

浅沼享子
神田共立講堂、東京(浅沼婦人をげきれいし右翼テロに抗議する悲しみといきどおりの婦人集会)
ソノシート〈ソノシート・コーポレーション;ソノブックス臨時増刊『沼さんは生きている』〉

  2枚組ソノシート『沼さんは生きている』所収(参考10.12)。
  浅沼稲次郎未亡人の享子(1904-81)は11月20日に行なわれる衆議院総選挙の東京1区に亡夫に代わって出馬して当選、1963年まで1期だけ議員をつとめた。



10.18(火)

ハイドン:交響曲第98番
ピストン:3つのニューイングランドのスケッチ

シャルル・ミュンシュ指揮ボストンso
サンダース劇場、ケンブリッジ
DVD〈ICA Classics;ICAD5028〉(2011、ハイドンのみ。ピストンは未レコード化)

  ケンブリッジはボストンに隣接し、ハーヴァード大学やMITのある学園都市。ボストンsoは毎月1回ここで演奏会を行なう。テレビ放映された。



10.18(火)





歌曲リサイタル(フォーレ、ドビュッシー、デュパルク、R・シュトラウスの10曲)

ジェラール・スゼー(Br)ダルトン・ボールドウィン(p)
カナダ放送協会、モントリオール(スタジオ録画)
DVD〈VAI:DVD4360〉

  DVD『THE ART OF GÉRARD SOUZAY・VOL.2』所収。スゼーは9月末からニューヨーク・シティ・オペラの《オルフェオ》公演に出演していた。



10.18(火)





ピック=マンジャガッリ:オラフの踊り(二月の月より)
アルベニス:スペイン組曲第1番《カディス》

アルド・チッコリーニ(p)
フランス国営放送(RTF)、パリ(スタジオ録画)
DVD〈EMI:DVB3101939〉

  チッコリーニ(1925生)によるテレビ録画。日付は収録日。



10.18(火)

モーツァルト:歌劇《フィガロの結婚》より〈愛の神みそなわせ〉

リーザ・デラ・カーザ(S)
フランコ・マンニーノ指揮ローマRAIso
ローマ
[DATUM;DAT12321]



10.18(火)

インド民族音楽『G.N.BALASUBRAMANIAM』(4曲)

G・N・バラスブラマニアム(Vo)B・S・バラスブラマニアム(補助Vo)マイソール・ショウディア(vn)パザーニ・M・スブラマニア・ピッライ(ムリダンガム)ウマヤルプラム・N・コタンダラマ・イヤー(ガタム)
全インド放送
[ALL INDIA RADIO;IP-5001]

  南インドの古典音楽カルナーティックの巨匠、G・N・バラスブラマニアム(名はグル・ニーラとも)(1910-65)による歌。シタールに代表される北インドの音楽などとは別系統のもの。ヴァイオリンも加えられる。



10.18(火)
 -20(木)

『グラツィエラ・シュッティ/オペラ・アリア集』(モーツァルト、ロッシーニなど全8曲)

グラツィエラ・シュッティ(S)
アルジェオ・クワドリ指揮ウィーンpo
ゾフィエンザール、ウィーン(セッション商業録音、ステレオ)
[BELART;461 5892](DECCA原盤)

  CDはゼアーニのアリア集と組みあわされて1枚になっている。オリジナルLPは《連隊の娘》を加えて全9曲だった。シュッティはウィーン国立歌劇場のスーブレット役で活躍していた。お得意のデスピーナやスザンナをここで録音している。また、《カプレーティとモンテッキ》の意外なほどの名唱は、その才能が喜劇ばかりでないことを証明しているが、残念なことに当時の国立歌劇場ではまったく上演されていない作品だった。



10.19(水)

歌曲リサイタル(シューベルト4、プーランク3、リムスキー=コルサコフ5、計12曲)

ニコライ・ゲッダ(T)
ヴェルナー・ジンガー(p)
ブルッフザール城、ブルッフザール(ブルッフザール城演奏会)
[HANSSLER;CD 94.212](2012)

  ゲッダの歌曲の夕べ。ブルッフザールはハイデルベルク近くの町。



10.19(水)

モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番《トルコ風》
プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

ナタン・ミルシテイン(vn)
エルネスト・アンセルメ指揮SRO
ジュネーヴ(?)
[MUSIC&ARTS;CD-972]

  ミルシテインのライヴ録音を集めた4枚組『CONCERT PERFORMANCES & BROADCASTS, 1942-1969』に所収。
  シーズン第2回の定期演奏会のライヴらしいが、ロマンド管弦楽団のサイトの記録によれば、当日の曲目はハイドンの交響曲第10番、アルベニスの《イベリア》(4月に商業録音した曲)、ミルシテインとのモーツァルトのアダージョK.261、プロコフィエフの協奏曲第1番、モーツァルトのロンドK.373で、《トルコ風》は演奏されなかったことになっている。



10.19(水)

ショパン:ピアノ協奏曲第1番第3楽章

中村紘子(p)
ヴィルヘルム・シュヒター指揮NHKso
ウォルサムストウ・タウンホール、ロンドン(BBCテレビ)
映像〈未レコード化〉

  世界楽旅中のN響がロンドンを訪れたさい、BBCテレビの放送用にショパンの協奏曲と外山祐三の《ラプソディ》を録画した番組から。16歳の中村紘子(1944生)が振袖で弾いている。シュヒター(1951生)は前年からN響の常任指揮者をつとめているのに、世界楽旅ではイギリスとアメリカで4晩しか指揮させてもらえなかった。他の国ではもっと大物かあるいは日本人指揮者を、と要求されたためである。
  撮影は聴衆抜きで行ない、午後4時から6時間をかけたという。



10.19(水)

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第3、9、12、23番《熱情》
アンコール3曲(シューマン:《飛翔》、シューベルト:即興曲第4番、ショパン:練習曲第1番)

スビャトスラフ・リヒテル(p)
カーネギー・ホール、ニューヨーク(ライヴ商業録音)
[DOREMI;DHR-7864-9]
LP〈COLUMBIA;M2L272〉(アンコール除く)

  リヒテルのニューヨーク・デビュー・リサイタル。リヒテルは30日までに5回連続のリサイタルをカーネギー・ホールで行ない、鳴り物入りでニューヨークにデビューした。公演の興行権を握るソル・ヒューロックはRCAと関係が強く、17日などのセッション録音はRCAが行なっていたのだが、ここでは奇妙なことにコロンビアが録音している。
  コロンビアは録音権をもつソ連のメロディアと直接交渉して、秘密裏にカーネギー・ホールでのライヴ録音の権利を獲得、ライバルの鼻をあかそうとしたのである。コロンビアの調査では録音についての権利はヒューロックが占有しているものではなく、あくまでソ連のメロディアが持っていた。そこでコロンビアはメロデイアと直接交渉、カーネギー・ホール・リサイタルの録音権を高額で獲得したのである。
  だが、そのさいにメロディアがつけた条件は奇妙なものだった。コロンビアがリヒテルと直接連絡をとるのは禁止、録音マイクもホール備えつけの記録用マイクのみを使い、専用の録音機材は使用禁止というのである。このことから容易に想像できるように、メロディアの担当者はリヒテルに知らせず、勝手に録音を許可していたのだった。
  その結果、録音はモノラルというだけでなく音質的にも不満足なものとなった。その不備を知りつつコロンビアは発売に踏みきったが、のちにリヒテルに存在を知られて抗議を受け、市場からひきあげた。その後1970年にリヒテルが初来日したさいにこの録音を日本のソニーがLP発売(2枚は初登場)しているので、この貧弱な音質の盤などでリヒテルともめたくないコロンビアが、自主的に廃盤にしたのかもしれない。
  リヒテルはこれらの録音、なかでも《熱情》の存在を激しく嫌い、この曲を以後30年以上(92年まで、とも)演奏しない原因になったともいわれる。

  米コロンビアのLPは19日から28日までの4回のリサイタルを日付順に4巻7枚(28日のみ1枚で、他は2枚組)で発売したが、アンコールの大半は除かれていた。70年のソニー盤は30日とアンコール集の2枚を追加、計9枚が出た。その後市場から消えていたが、2006年になってドレミが復活させCD化した。



10.19(水)

フランク:ピアノ五重奏曲

クリフォード・カーゾン(p)ウィーン・フィルハーモニー弦楽四重奏団
ゾフィエンザール、ウィーン(セッション商業録音、ステレオ)
[LONDON;POCL-4251]

  ウィーン・フィルハーモニー弦楽四重奏団はかつてのバリリQが、第1ヴァイオリンが腕を故障したワルター・バリリからウィリー・ボスコフスキーに交代して結成された団体。このころから活動を開始したらしい。ウィーン・フィルの各パートのトップが集まっており、第2ヴァイオリンがオットー・シュトラッサー、ヴィオラがルドルフ・シュトレンク、チェロがエマヌエル・ブラベッツというメンバー。



10.19(水)
    前後

モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第2番


フリードリヒ・グルダ(p)
パウル・アンゲラー指揮クラシック・グルダo
ウィーン(セッション商業録音、ステレオ)
[AMADEO;PHCP-20327]

  10月とあるだけで日付不詳だが、19日にコンツェルトハウスで演奏者も曲目も同じ演奏会が開かれているので、その前後の録音と思われる。オーケストラがわざわざ「クラシック」と名乗っているのは、グルダがジャズも演奏していたためだろう。



10.20(木)

リヒト:喜歌劇《憧れの歌》より〈ヤーノシュの歌〉

ヘルベルト・エルンスト・グロー(T)
ハンス・ヘンドリク・ヴェーディンク指揮ライプツィヒ大放送o
ライプツィヒ(セッション放送録音)
[JUBE;JUBE0101]



10.20(木)

マーラー:交響曲第7番《夜の歌》

ジョン・バルビローリ指揮ハレo&BBCノーザンo
フリー・トレード・ホール、マンチェスター
[BBC BBCL4034-2]

  2楽団の合同演奏による。バルビローリ(1899生)は同時代のイギリスの指揮者中で、もっともマーラーに愛着を抱いた一人だった。同日にニールセンの交響曲第5番も演奏された。



10.20(木)







ジャズ『ミンガス・プレゼンツ・ミンガス』(4曲+付録1曲)

チャールズ・ミンガス・カルテット
ノラ・ペントハウス・スタジオ、ニューヨーク(セッション商業録音、モノラル&ステレオ)
[キング;KICJ8371] [テイチク;TECW-20549](CANDID原盤)

  エリック・ドルフィーが参加している。1957年のリトルロック事件で人種差別をした州知事を攻撃する《フォーバス知事の寓話》を収録。
  ステレオとモノラル両方式で録音されたが、2001年に出たキング盤は音質重視でモノラル録音を採用している。



10.下旬(?)
   &11.

ジャズ『BEAN STALKIN’』(6曲)

コールマン・ホーキンズ&フレンズ、ノーマン・グランツ(MC)
チューリヒ&パリ(ライヴ商業録音)
[PABLO;PACD-2310-933-2]

  コールマン・ホーキンズ(t-sax)を中心とするコンボの、「ジャズ・アット・ザ・フィルハーモニック」(JATP)コンサートでのライヴ。10月のチューリヒで5曲、11月のパリで1曲が録音されている。パリ録音にはベニー・カーター(a-sax)やラロ・シフリン(p)も参加。このJATPツアーに一緒に参加したと思われるキャノンボール・アダレイ・クインテットが10月16日にカリフォルニアでのライヴ録音を残しているので、このライヴはそれ以降のものと推定する。
  なおJATPのコンサート全体のライヴ盤は、11月21日ストックホルムでの録音が『IN EOROPE』としてLP4枚でVERVEから発売されたことがあるが、未CD化。



10.21(金)



ララ:〈グラナダ〉

ルドルフ・ショック(T)
ベルナー・アイスブレンナー指揮FFBオーケストラ、ギュンター・アルントcho
ツェーレンドルフ、ベルリン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;CDZ25 2216 2]

  『RUDOLF SCHOCK/ OPERETTE UND LIED』所収。3枚組の『IN MIR KLINGT EIN LIED』[EMI;7243 5 68446 2 9]では9月録音となっているが、日付まで出ている上記データを優先しておく。
  なおこの3枚組には、9月から12月にかけてのアリアや歌曲が他に7曲含まれている。オーケストラは同一だが指揮者はアイスブレンナー以外にヴェルナー・シュミット=ベルケ、ヘルベルト・ヤルツィク、クルト・ゲーベルの名がある。



10.21(金)(?)

ワーグナー:楽劇《ワルキューレ》第1、2幕抜粋

グレ・ブラウエンスティン、マルタ・メードル(S)ハンス・バイラー(T)ハンス・ホッター(Bs-Br)
フェルディナント・ライトナー指揮ブエノスアイレス・コロン劇場o、同cho
コロン劇場、ブエノスアイレス
[LIVING STAGE;LS4035170]

  月日不詳だが、21、23、25、27、30と上演されたので、初日の日付をあげておく。



10.21(金)





シューマン:交響曲第3番《ライン》

ジョージ・セル指揮クリーヴランドo
セヴェランス・ホール、クリーヴランド(セッション商業録音、ステレオ)
[SONY;SRCR2546](エピック原盤)

10.21(金)











テレビ番組「大統領候補テレビ討論 第4回」より

ジョン・F・ケネディ&リチャード・ニクソン、クインシー・ハウ(MC)
ABC放送局、ニューヨーク
[SPEECHWORKS;JRCD7035]
DVD〈Speechworks〉(2011)
LP〈THE SPOKEN WORD;BOX K(SW-9407-10)〉
VHSビデオ〈ABC VIDEO;MP1724〉

  CDの題名は『THE NIXON TAPES』。音源は東部夏時間の夜10時からABC系列で全米にテレビ放送されたもの。投票前の最後のテレビ討論ということで視聴率は高かったが、内容そのものは前3回の反復で新味がなかったという。CDに含まれるのは約5分間で、危機感と行動とを若々しい声で訴えるケネディ(1917生)、現状容認とその継承とを渋い声で話すニクソン(1913生)、と明快な構図になっている。
  VHSビデオには第4回のうち20分弱の抜粋が収録されている。


10.21(金)
 -11.2(水)







アルビノーニ:アダージョ
バッハ:オーボエとヴァイオリンのための協奏曲

レオ・ドリーフュス(ob)ロベルト・ミケルッチ(vn)
イ・ムジチ合奏団、マリア・テレサ・ガラッティ(org)
ラ・ショードフォン(セッション商業録音、ステレオ)
[フィリップス;PHCP-6003]
[PHILIPS;426 075-2](バッハ、1989)

  同時期、5日までにアルビノーニ作品集〈A02079L〉のほか、モーツァルト、ハイドン、ジョルダーニ〈A02076L〉、バッハの協奏曲〈A02077L〉が録音された。
  バッハのLPはオーボエとヴァイオリンのための協奏曲のほか、フルート、ヴァイオリンとチェンバロのための協奏曲、ヘンデルの合奏協奏曲op.6-4。



10.21(金)
  -26(水)

ジャズ『マイ・フェイヴァリット・シングス』(4曲)

ジョン・コルトレーン・カルテット
アトランティック・スタジオ、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[RHINO;R2 75204](ATLANTIC原盤)

  21,24,26日に録音。上記CDにはシングル盤ヴァージョンも付属。マイルスのクインテットを抜けたコルトレーンは、アトランティックと契約して、自身のカルテットで録音活動を開始した。このセッションは多数の曲を一度に録音するマラソン・セッションで、ほかに『コルトレーン・サウンド』『ジョン・コルトレーン・プレイズ・ザ・ブルース』が、このときの録音から制作されている。



10.22(土)

アリア・コンサート(5曲)

マリオ・デル・モナコ(T)
カルメン・カンポーリ指揮ミュンヘン放送o
ミュンヘン体育館(?)
ビデオ〈未レコード化〉



10.22(土)
 &28(金)





ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番《熱情》、アンダンテ・ファヴォリ、ほか全14曲

ヴラディミール・ソフロニツキー(p)
モスクワ音楽院小ホール
[LIVING STAGE;LS4035182](ベートーヴェン2曲のみ、5.13と同じCD)
LP〈MELODIYA;15025〉(アンダンテ・ファヴォリ、ショパン 夜想曲15-2、練習曲10-3,4、バラード第3番、リスト メフィスト・ワルツ第2番、ラフマニノフ 前奏曲32-5,12)



10.22(土)
 &23(日)





モーツァルト:交響曲第35番《ハフナー》

オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニアo
アビー・ロード・スタジオNo.1、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;CMS7 63272 2]

10.22(土)
 &24(月)







マクダウェル:ピアノ協奏曲第2番
プロコフィエフ:ピアノ協奏曲第3番

ヴァン・クライバーン(p)
ウォルター・ヘンドル指揮シカゴso
オーケストラ・ホール、シカゴ(セッション商業録音、ステレオ)
[RCA;09026-68480-2](マクダウェル) [BMGファンハウス;BVCC-37448](シューマン)

  1889年初演のマクダウェルの協奏曲はクライバーンの十八番の一つ。6月にソ連を訪問したときにも演奏した。指揮のヘンドル(1917生)は療養中のライナーの代役だろう。
  CDでは2曲とも他の作品の埋め草に使われているのがさびしい。

10.23(日)

ヴェルディ:レクイエム

マリア・シュターダー(S)オラリア・ドミンゲス(Ms)ガボール・カレッリ(T)イヴァン・サルディ(Bs)
フェレンツ・フリッチャイ指揮ベルリン放送so、聖ヘトヴィヒ教会cho
自由ベルリン放送局大ホール、西ベルリン
[DG;POCG-3109]

  放送局音源のライヴ録音をフリッチャイ没後にDGがレコード化したもの。



10.23(日)

プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ第6、8番、田園風ソナチネ、ほか全8曲

スビャトスラフ・リヒテル(p)
カーネギー・ホール、ニューヨーク(ライヴ商業録音)
[DOREMI;DHR-7864-9]
LP〈COLUMBIA;M2L282〉

  リヒテルのカーネギー・ホール・デビュー連続リサイタルの第2夜。オール・プロコフィエフ。



10.24(日)

ヘンツェ:バレエ《ウンディーネ》より〈トリトンの遊戯、ディヴェルティスマン〉

アレクサンダー・カウル(p)
エルネスト・ブール指揮北ドイツso
北ドイツ放送局、ハンブルク(セッション放送録音)
[BMG;74321 73574 2]

  CDシリーズ『MUSIK IN DEUTSCHLAND 1950-2000』中の『TANZTHEATER 1948-1975』に所収。1958年初演の3幕のバレエ音楽《ウンディーネ》は、イギリスのロイヤル・バレエのために書かれたもの。



10.24(日)

モーツァルト:ピアノ協奏曲第24番
ラヴェル:スペイン狂詩曲

エズラ・ラクリン(p)
レオポルド・ストコフスキー指揮ヒューストンso
ヒューストン
[Guild;GHCD2405](2013 モーツァルトのみ、ラヴェルは未レコード化)



10.24(日)







メンデルスゾーン:交響曲第3番《スコットランド》
シェーンベルク:管弦楽のための変奏曲
ドビュッシー:3つの交響的絵画《海》

ディミトリ・ミトロプーロス指揮ケルン放送so
西部ドイツ放送局ザール1、ケルン
[MEDICI ARTS;MM010-2](メンデルスゾーン)
[ARKADIA;CDGI753.1](全曲)

  ザルツブルク音楽祭でベルリンpoを指揮した演奏会と同一の曲目(参照8.21)



10.24(日)

マーラー:歌曲集《さすらう若人の歌》

ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(Br)
パウル・クレツキ指揮NHKso
サル・プレイエル、パリ(国連記念日演奏会)
DVD〈EMI;DVB4904429〉

  N響世界楽旅の記録の一つ。国連記念日演奏会として全ヨーロッパにテレビ中継された番組だけに、日独米にスイスと出演者の国籍も多彩。ほかにベートーヴェンの交響曲第5番とショパンのピアノ協奏曲第1番などが演奏された。マーラーとショパンは当然ながら記念年がらみの選曲。
  協奏曲のソリストはポリーニ(1942生)の予定だったが、自分のオープンカーで移動中に腕を出していて冷やした、というプロにあるまじき理由でキャンセル。同じくショパン・コンクール優勝歴をもつ、ロシア出身でフランス育ちのアレクサンドル・ウニンスキ(1910生)に交代した。ポリーニの名前はこの頃を最後に国際舞台からいったん消え、レコードに復活するのは8年後のことになる。



10.24(日)











ベートーヴェン:《レオノーレ》序曲第3番、ピアノ協奏曲第1番
メンデルスゾーン:《ルイ・ブラス》序曲
シューマン:チェロ協奏曲

レナード・ローズ(Vc)
レナード・バーンスタイン(p)&指揮ニューヨークpo
マンハッタン・センター、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[SONY;SMK63153](レオノーレ) [SONY;SMK47519](ピアノ協奏曲) [SONY;SMK47591](メンデルスゾーン) [SONY;SMK47609](シューマン)

  ベートーヴェン2曲は8月からの全米およびベルリン楽旅と9月29日からの定期演奏会、シューマンとメンデルスゾーンは10月20日からの定期演奏会で演奏した曲目。後者2曲は「シューマンとロマン派音楽」のテーマに沿うもの。

10.25(火)(?)







「マリオ・デル・モナコ ガラ・コンサート」より(ザンドナーイ:歌劇《ジュリエッタとロメオ》より〈ジュリエッタ、私だよ〉、プッチーニ:歌劇《蝶々夫人》より〈愛の家よ、さようなら〉)

マリオ・デル・モナコ(T)
カルメン・カンポーリ指揮ベルリン放送so
ベルリン体育館、西ベルリン
[BONGIOVANNI;GB1113-2]
VHS〈BEL CANTO SOCIETY;BCS-0123〉(?)

  『POT-POURRI DI TENORI N.2』所収。CDには1961年ベルリンとあるが、この年デル・モナコはベルリンに行っていない。おそらくこの日のベルリンでのガラ・コンサートの可能性が高い。その模様はユーロヴィジョンで全欧にTV中継された。BEL CANTO SOCIETYのビデオに上記2曲が含まれており(1960年とだけあって場所は不明)、当時では珍しい女性指揮者カンポーリの姿が見られる。他に4曲が歌われた。
  デル・モナコは10月下旬から11月にかけ、西ドイツで楽旅を行なっている。

10.25(火)

マウエルスベルガー:ドレスデン・レクイエムより、ほか宗教的合唱曲計10曲

ルドルフ・マウエルスベルガー指揮ドレスデン十字架cho
南ドイツ放送(?)、ドレスデン(セッション放送録音)
[EBS;EBS6073]

  ライヴや放送録音を集めた2枚組『RUDOLF MAUERSBERGER UND DER DRESDNER KREUZKOR』所収。マウエルスベルガー(1899-1971)は1930年からなくなるまでドレスデン十字架教会のカントールをつとめた。旧東ドイツの団体だが、音源は西側の南ドイツ放送(1998年に南西ドイツ放送に統合)の提供によっている。曲はマウエルスベルガー自作3曲の他、16世紀のラッソ、20世紀のペッピングなど7人の作曲家による。



10.25(火)

ベッリーニ:歌劇《夢遊病の女》全曲

ジョーン・サザランド(S)アゴスティーノ・ラッツァーリ(T)ジョゼフ・ルーロー(Bs)ほか
トゥリオ・セラフィン指揮コヴェント・ガーデン歌劇場o、同cho
コヴェント・ガーデン劇場、ロンドン
[MYTO;2 CD 00261] (2011)

  サザランド(1926生)を一夜にしてスター歌手としたのは、1959年2月にコヴェント・ガーデンで上演された《ランメルムーアのルチア》の成功だった。そのときと同じセラフィンの指揮で、再びベルカント期の作品を取りあげたのがこの《夢遊病の女》である。初日は19日、エリザベス女王夫妻とネパール国王臨席のもとに行なわれた。9月16日から10月8日までに《ニーベルングの指環》を2チクルス上演(ケンペ指揮)したあとを受けてのシーズン初の新制作で、実質的な開幕公演だった。



10.25(火)

ハイドン:ピアノ・ソナタ第50番
シューマン:ノヴェレッテ第1、2、8番
ドビュッシー:ベルガマスク組曲、映像第1集、《喜びの島》
アンコール3曲

スビャトスラフ・リヒテル(p)
カーネギー・ホール、ニューヨーク(ライヴ商業録音)
[DOREMI;DHR-7864-9]
LP〈COLUMBIA;M2L274〉(アンコール除く)

  リヒテル第3夜。アンコールはドビュッシーの映像第2集より〈葉末を渡る鐘の音〉、前奏曲集第1巻より〈野を渡る風〉〈アナカプリの丘〉の3曲。



10.25(火)
 -12.3(土)





ベートーヴェン:交響曲第7番

セオットー・クレンペラー指揮フィルハーモニアo
キングズウェイ・ホール、ロンドン(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;CDM7 63354 2]

  10.25、11.19、12.3の3回のセッションで録音。



10.26(水)
 -28(金)

ヴィヴァルディ:グローリア

アンドレエ・エスポジト、ソランジュ・ミシェル(S)
ロジェ・ワグナー指揮パリ音楽院o、ロジェ・ワグナーcho
サン・ロシュ教会、パリ(セッション商業録音、ステレオ)
[EMI;7243 5 75344 2 0](CAPITOL原盤)

  ワグナー(1914生)はアメリカを拠点にした合唱指揮者として有名だが、フランス生まれである。フォスターや黒人霊歌で有名となる一方、専門は中世教会音楽の研究演奏だった。これはワグナーが母国に帰って録音したもの。合唱団がアメリカから連れて行ったものか、現地で編成したものなのかは不明。
  なお14、16、17日にフォーレのレクイエムも録音しているが未CD化。



10.26(水)
 -28(金)

モーツァルト:セレナード第7番《ハフナー》

ウィリー・ボスコフスキー(vn)
カール・ミュンヒンガー指揮ウィーンpo
ゾフィエンザール、ウィーン(セッション商業録音、ステレオ)
[LONDON;POCL-9718]

  ミュンヒンガーとウィーン・フィル、デッカが誇る両者の顔合せ。



10.27(木)

チャイコフスキー:交響的幻想曲《フランチェスカ・ダ・リミニ》

アルヴィート・ヤンソンス指揮東京so
日比谷公会堂、東京
[東芝EMI;TOCE-8863]

  第109回定期演奏会のライヴ録音。他にブラームスの交響曲第4番と《トリスタンとイゾルデ》前奏曲と愛の死。
  ヤンソンス(1914生)は58年4月にレニングラード・フィルと初来日、半年後の秋に再来日して東京交響楽団を指揮したときに大評判となり、「鉛を金に変えた」と山根銀二に絶賛された。東響はその直後に名誉指揮者の名を贈っている。この60年秋が2度目の共演。好評のため予定を延長して12月も定期演奏会を指揮することになり、22日から12月25日過ぎまで2か月も滞在した。
  この曲は11月6日午前10時15分から11時までのラジオ東京(KR、のちのTBS)の番組「コンサート・ホール」で、《トリスタンとイゾルデ》前奏曲と愛の死とともに放送された。東響は当時KRの専属オーケストラだった。



10.27(木)
 &31(月)

カーター:弦楽四重奏曲第2番

ジュリアードSQ
RCAスタジオB、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[TESTAMENT;SBT1374](RCA原盤)

  ジュリアード四重奏団はLP初期から米コロンビア(CBS)専属で録音しているが、1950年代末から60年代初頭にかけての数年間は、ライバルのRCAと契約していた。これはそのRCA録音の一つ。



10.28(金)

ブラームス:交響曲第4番

フランツ・コンヴィチュニー指揮ベルリン・ドイツ国立歌劇場o
国立歌劇場、東ベルリン
[WEITBLICK SSS0009-2]

  ベルリン祝祭日々での演奏か。



10.28(金)

シュトックハウゼン:カレ

マウリツィオ・カーゲル、カールハインツ・シュトックハウゼン、アンジェイ・マルコフスキ、ミハイル・ギーレン指揮北ドイツ放送so、同cho
[STOCKHAUSEN;COMPACT DISK5]
プランテン・ウン・ブローメン祝祭堂、ハンブルク(ゲネラル・プローべ録音、ステレオ)

  「カレ」とはフランス語で「四角」を意味する。世界初演当日の総練習を4チャンネルで録音、2チャンネルにトラックダウンしたもの。4つのオーケストラと合唱団が、聴衆を4方向から囲んで演奏する。北ドイツ放送の「ダス・ノイエ・ヴェルク」演奏会シリーズの委嘱作品。



10.28(金)

作曲者不詳(14世紀):トゥルネイのミサ曲
ドビュッシー:劇音楽《聖セバスチャンの殉教》

エヴァ・マリア・ローグナー(S)ジャンヌ・ドルベクス、マリアンナ・ラデフ(Ms)ジャン・デザイー(語り)
ピエール・ブーレーズ指揮バイエルン放送o、同cho、ミュンヘン少年cho
ヘルクレスザール、ミュンヘン
[COL LEGNO;WWE 2CD 20084-1&2]

  作曲家ルドルフ・ハルトマンが監修するバイエルン放送のムジカ・ヴィーヴァのシリーズ。



10.28(金)

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第7番
ラフマニノフ:前奏曲集より10曲
アンコール3曲

スビャトスラフ・リヒテル(p)
カーネギー・ホール、ニューヨーク(ライヴ商業録音)
[DOREMI;DHR-7864-9]
LP〈COLUMBIA;ML5725〉(アンコール除く)

  リヒテル第4夜。アンコールはラヴェルの《鏡》より〈悲しい鳥〉、ショパンのマズルカ第15番、練習曲第3番。
  この日はヒンデミット、シマノフスキー、ショスタコーヴィチの作品が予告されていたが大幅に変更された。



10.28(金)





ジャズ『LEE MORGAN/UNFORGETTABLE LEE!』より2曲

アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズ
バードランド・クラブ、ニューヨーク
[FRESH SOUND RECORDS;FSR-CD357]



10.28(金)

ヴォーカル『JUDY GARLAND À PARIS』(16曲)

ジュディ・ガーランド(vo)
ノリー・パラマー指揮コスモポリタンo
オランピア劇場、パリ
[EUROPE1;710459]

  アメリカのミュージカル映画スターのガーランド(1922生)は、私生活の乱れと病気などのために浮沈の激しい芸能生活を送っていた。1959年末の肝臓病と肥満の治療後、1960年夏にヨーロッパに渡って8月末からロンドンでリサイタルを行ない、10月にはパリのパレ・ド・シャイヨーとオランピアで公演した。
  この成功により翌1961年春にアメリカでツアーが行なわれ、不滅の名盤として名高いカーネギー・ホールのライヴ盤が作られることになる。



10.28(金)
 &29(土)

R・シュトラウス:幻想的変奏曲《ドン・キホーテ》

ピエール・フルニエ(vc)アブラム・スカーニック(va)ラファェル・ドゥルイアン(vn)
ジョージ・セル指揮クリーヴランドo
セヴェランス・ホール、クリーヴランド(セッション商業録音、ステレオ)
[SONY;MHK63123]

フルニエとセルの共演による《ドン・キホーテ》。



10.28(金)
 &29(土)

民謡『全国民俗芸能大会』

「弥彦神社の舞楽」(新潟県)
「阪本踊」(奈良県)
「祭礼の唄と踊」(沖縄県)
「備中神殿神楽」(岡山県)
「伊勢大神楽」(三重県)
「壬生川の盆踊」(愛媛県)
「八重山の歌舞」(沖縄県)
日本青年館、東京(ライヴ商業録音、ステレオ)
LP2枚組〈ビクター?〉

  文化庁芸術祭主催公演「第十一回全国民俗芸能大会」のライヴ録音。10インチ盤2枚によるものだったらしい。ステレオ録音が行なわれたがLPはモノラルのみの発売だったという。



10.28(金)
 -30(日)

ショスタコーヴィチ:交響曲第1番
プロコフィエフ:交響曲第1番《古典交響曲》

ヴィトルド・ロヴィツキ指揮ウィーンso
ウィーン(セッション商業録音、ステレオ)
[TOWER RECORDS;PROC-1228](2012、PHILIPS原盤)

  ポーランドの指揮者ロヴィツキ(1914-89)がフィリップス・レーベルに録音したもの。当時ウィーン交響楽団はフィリップスと専属契約をしていた。
  ロヴィツキはこの時期の楽友協会やコンツェルトハウス主催のウィーン交響楽団の演奏会には名前がなく、純粋に商業録音のための共演だったらしい。
  しかし面白いことにウィーン交響楽団の方は、ショスタコーヴィチの曲を10月18~21日の楽友協会の演奏会でサージェントの指揮により演奏している(他の曲はヴォーン=ウィアムズのタリス幻想曲、ドルフマン独奏のモーツァルトの《ジュノーム》、ヘンデルの《水上の音楽》)。同じ曲を指揮者を代えて録音してしまうフィリップスの発想が愉快。
  翌月1日からロヴィツキはハーグで録音する。



10.29(土)

カタラーニ:歌劇《ワリー》全曲

レナータ・テバルディ(S)ジャチント・プランデッリ(T)シルヴィオ・マイオニカ(Bs)ほか
アルトゥーロ・バジーレ指揮ローマRAIso、同cho
ローマ(ライヴ放送録音、ステレオ)
[CETRA;CDC7]

  指揮のバジーレ(1914生)は当時テバルディ(1922生)との結婚を噂されていたが、実現しなかった。



10.30(日)

ブラームス:交響曲第3番
ストラヴィンスキー:バレエ《ペトルーシュカ》
ペイペル:交響曲第3番

ピエール・モントゥー指揮アムステルダム・コンセルトヘボウo
コンセルトヘボウ、アムステルダム
  [TAHRA;TAH175-178](ブラームス、ストラヴィンスキー) [Netherland Music;CVDC-9](ペイペル)

  10月をドイツ各地の客演で過ごしたモントゥーのアムステルダムでのライヴ。このあと11月はイギリスにわたっている。



10.30(日)

シューマン:幻想曲
ショパン:スケルツォ第4番
ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ、水の戯れ
スクリャービン:ピアノ・ソナタ第5番
ラフマニノフ:前奏曲作品32-12、同23-7

スビャトスラフ・リヒテル(p)
カーネギー・ホール、ニューヨーク(ライヴ商業録音)
[DOREMI;DHR-7864-9]
LP〈CBSソニー;15065,66〉(分売)

  リヒテル第5夜。当初予定のリストのロ短調ソナタに代えて、シューマンの幻想曲が演奏された。
  この日の録音はアメリカでは発売されず、1970年に日本のCBSソニーでのみ発売された。19日から28日までのアンコール10曲も日本でのみ1枚にまとめられ、うち9曲はこのソニー盤が唯一の発売となった。

  この日でカーネギー・ホールのシリーズを終えたリヒテルはその後北米各地を回り、帰国直前の12月23日と26日にニューヨークで追加リサイタルを行なうことになる。



10.30(日)

ドビュッシー:歌劇《ペレアスとメリザンド》全曲

エリザベート・ゼーダーシュトレーム、クリスティナ・エークィスト(S)ニコライ・ゲッダ(T)キム・ボルイ(Bs)ほか
ジャン・フルネ指揮ストックホルム放送o、同cho
ストックホルム
〈未レコード化〉



10.30(日)
 &31(月)

エネスコ:ルーマニア狂詩曲第1番
バルトーク(セーケイ編):ルーマニア民族舞曲
ドヴォルジャーク:スラヴ舞曲第2番

チャールズ・マッケラス指揮フィルハーモニアo
アセンブリー・ホール、ウォルサムストウ(セッション商業録音、ステレオ)
[TESTAMENT;SBT1325](EMI原盤)

  29日から31日にかけてセッションがあり、他にスラヴ舞曲3曲とスメタナの《売られた花嫁》よりの2曲がLP化されている。



10.31(月)

マーラー:交響曲第3番

ルクレティア・ウエスト(A)
ディミトリ・ミトロプーロス指揮ケルン放送so、西ドイツ放送女声cho、ケルン大聖堂少年cho
ケルン
[TAHRA;TAH209-210]

  ミトロプーロスの生涯最後の演奏会。すでにかなり体調が悪かったが、終演後に周囲の制止を聞きいれずにミラノへ移動、2日後の11月2日、スカラ座管弦楽団とのこの曲のリハーサル中に急死することになる。



10.31(月)









ベルリオーズ:歌劇《ベンヴェヌート・チェリーニ》序曲
シューマン:交響曲第1番《春》
チャイコフスキー:交響的幻想曲《フランチェスカ・ダ・リミニ》

レナード・バーンスタイン指揮ニューヨークpo
マンハッタン・センター、ニューヨーク(セッション商業録音、ステレオ)
[SONY;SMK47525](ベルリオーズ) [SONY;SMK47611](シューマン) [SONY;SMK47633](チャイコフスキー)

  3曲とも10月27日から30日までのの定期演奏会で演奏した曲目。ほかに演奏会ではサンソン・フランソワを独奏にプロコフィエフのピアノ協奏曲第5番が演奏されたが、専属レーベルが異なるためか商業録音はされなかった。

10.31(月)

ロルツィング:歌劇《密猟者》全曲

イルムガルト・ゼーフリート(S)ヒルデ・レッセル=マイダン(Ms)ヴァルデマール・クメント(T)ゲオルク・フェルカー(Br)、ほか
ハインツ・ワルベルク指揮ウィーン国立歌劇場o、同cho
国立歌劇場、ウィーン
[ORFEO;C786 102I](2010)

  新制作初日のライヴ。演出はブルク劇場前監督のアドルフ・ロット。
  現代では意外な事実だが、当時のドイツ語圏出身の指揮者で将来を最も嘱望されていたのは、サヴァリッシュとならんでこのワルベルク(1923生)だった。この年のウィーン芸術週間やザルツブルク音楽祭にも登場し、ウィーン国立歌劇場では楽長のひとりとして、この《密猟者》新制作初演など、1960年から翌年夏までのシーズンに25晩も登場する活躍だった。



10.31(月)

ジャズ『STAN GETZ/BORN TO BE BLUE』より5曲

スタン・ゲッツ・カルテット
ワルシャワ・フィルハーモニー(?)
[BANDSTAND;BDCD1533]

  ワルシャワのジャズ・ジャンボリー(国際ジャズ祭)での録音。



不詳

ジャズ『KRZYSZTOF KOMEDA/CRAZY GIRL』より〈THIS OR THIS〉

クシシュトフ・コメダ(p)アダム・スコルプカ(b)アンジェイ・ツィエリンスキ(ds)
ワルシャワ・フィルハーモニー(ライヴ商業録音、ステレオ)
[POWER BROS;PB00165](MUZA原盤?)

  クシシュトフ・コメダ(1931-69)はポーランドのジャズ・ピアニスト、作曲家。アンジェイ・ワイダの『水の中のナイフ』やロマン・ポランスキの『ローズマリーの赤ちゃん』などの映画音楽を担当したことで名高い。
  このアルバムはその表記に従えば、1960年(5曲)と61年(8曲)のワルシャワ・ジャズ・ジャンボリー(国際ジャズ祭)でのライヴ録音と64年録音が1曲の計14曲ということなのだが、実際に聴くと疑問が多い。
  60年のうちの4曲(4.MOJA BALLADA、5.GET OUT OF TOWN、7.ではなく12.STELLA BY STARLIGHT、8.FOURTH)と61年の4曲は聴衆抜きのセッション録音。これらはおそらくムザ原盤の10インチ盤『コメダ・ジャズ VOL.1』[ノーマ;JZ070608-24]に収録されたものと同じ音源で、そうだとすれば60年の4曲は6月23日の録音(61年は10月29日録音)。
  60年の残りの1曲、〈THIS OR THIS〉だけがライヴで、上記ゲッツなどと同じく10月末頃のジャズ・ジャンボリーの録音なのだろう。なおライヴもセッションも、60年がピアノ・トリオなのに対して61年はテナー・サックスかギターが加わるクァルテットを基本とし、ベースとドラムのメンバーも交代している。



10.





ビゼー:交響曲、小組曲《子供の遊び》、《美しきパースの娘》組曲

エルネスト・アンセルメ指揮スイス・ロマンドo
ヴィクトリア・ホール、ジュネーヴ(セッション商業録音、ステレオ)
[ユニバーサル;UCCD-3042](DECCA原盤)



10.


ラヴェル:《ダフニスとクロエ》第2組曲、ラ・ヴァルス

エルネスト・アンセルメ指揮スイス・ロマンドo
ヴィクトリア・ホール、ジュネーヴ(セッション商業録音、ステレオ)
[ユニバーサル;UCCD-4119/21](2009、DECCA原盤)

  3枚組『ラヴェル:管弦楽曲集』所収。翌月には《優雅で感傷的なワルツ》、組曲《クープランの墓》、《道化師の朝の歌》を録音する。




10.

バッハ:フルート、ヴァイオリンとチェロのための協奏曲BWV1044

オーレル・ニコレ(fl)レイフ・カークパトリック(cemb)
ルドルフ・バウムガルトナー(Vn)&指揮ルツェルン祝祭弦楽合奏団
ルカ教会ゲマインデザール(?)、ルツェルン(セッション商業録音、ステレオ)
[ユニバーサル;UCCA-3174](ARCHIVE原盤)



10.





モーツァルト:フルート協奏曲第1番&第2番、アンダンテK.315

オーレル・ニコレ(fl)
カール・リヒター指揮ミュンヘン・バッハo
ミュンヘン(セッション商業録音、ステレオ)
[ワーナー;WPCS-22034/5](TELEFUNKEN原盤)



10.

チャイコフスキー:交響曲第6番《悲愴》

ヨーゼフ・クリップス指揮チューリヒ・トーンハレo
トーンハレ、チューリヒ(セッション商業録音、ステレオ)
[FNAC](1995,CONCERT HALL原盤)



10.

ドビュッシー:《映像》第1集&第2集、《子供の領分》《喜びの島》

ヴェルナー・ハース(p)
収録場所不明(セッション商業録音、ステレオ)
[PHILIPS;438 718-2]

  ギーゼキングの弟子ハース(1931-76)が、1960年代前半にフィリップス・レーベルで完成したドビュッシーのピアノ独奏曲全集(連弾曲とあわせてCD2枚組2巻にまとめられた)から。
  『レコード・イヤーブック‘86』によると、そのうち上記の曲が1960年11月の録音である。約50分でLP1枚にちょうどよい長さとなる。



10.

ラテン『TITO RODRIGUEZ/LIVE AT THE PALLADIUM』(10曲)

ティト・ロドリゲス楽団
ザ・パレイディアム(ライヴ商業録音、ステレオ)
[WEST SIDE;WSCD4167](UNITED ARTISTS原盤)

  マチート、ティト・プエンテとならんでマンボ時代のニューヨークのラテン音楽界で活躍した、プエルトリコ出身の歌手&バンド・リーダー、ティト・ロドリゲス(1923-73)のライヴ盤。TICOレーベルからユナイテッド・アーティスツに移籍して早々のアルバム。ロドリゲスはこの盤ではほとんど歌っていない。
  パレイディアムという名前のコンサート会場はロンドンやハリウッドにも存在するが、これはニューヨークのそれ。グリニッチ・ヴィレッジの北、14丁目とブロードウェイの交点近くにあり、かつてはオペラ・ハウスであった。
  1854年に建てられて以後数十年間の名前はアカデミー・オブ・ミュージックといい、メトロポリタン歌劇場の出現以前にニューヨークを代表する歌劇団の本拠地だった。収容人員4600の巨大ホールで、1980年代以降は閉鎖されるまでディスコになっていた。