[乳 癌]

「乳腺葉状腫」闘病記:乳ガンとまぎらわしい乳腺の病気についての家族のホームページ
[乳癌で温存手術の結果、静脈侵襲があり放射線療法と化学療法をすすめられた]
[温存手術後8年目に再発した乳癌で再手術を受けたが骨転移した]
[皮膚癌化した乳癌で手術を受けたが再発を繰り返し、骨肝転移がある]
[手術不能の炎症性乳癌で胸水と腕のリンパ浮腫がある]
[乳癌手術後20年目の骨転移に対する治療方法は?]

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[乳癌で温存手術の結果、静脈侵襲があり放射線療法と化学療法をすすめられた]

(相談)神奈川県1999.8.24
はじめまして。親しい友人(56歳)の乳ガンの件でご相談したくメール致します。
{経過}
99年5月下旬、乳頭よりの分泌物があってステージ2(2.1cm)のしこりが見つかり、乳ガンと告知されました。同年6月11日地元のガンセンターに入院、6月17日手術(温存)(リンパ節3本切除)6月28日退院、7月2日退院後、外来の初めての説明にて「リンパ節の転移は無かった」が、「手術痕周辺細胞をとった後の検査によると、静脈浸腫といって血管壁にガン細胞がへばりついていた。非常に珍しいケースである」ため、「退院後2〜3週間してから放射線治療をするつもりであったが、来週早々にでも始め、その後すぐ抗ガン剤治療をする」と言われる。7月7日放射線治療開始。まだ術後の傷の痛みが癒えず手が上がらない状態で開始したため、非常に辛く、1〜2週間位からは放射線をあてた部分が鉄板のように固くなり、傷口の痛みではなく放射線治療によると思われる痛みが徐々に増してくる。痛み止めの薬を処方されるが効かず、塗り薬をもらい塗布(塗る度にさわるだけで飛び上がるような痛みと不快感をこらえながら使用するが、確認するとステロイド剤とのこと。副作用の不安感からなるべく1日1回の使用にとどめようと頑張るが、後半は1日2回の時もあった)。8月12日週5日、計25回の放射線治療終了。8月18日終了後痛みはますますひどくなり、身の置き所のない痛みのため、なんらかの痛み緩和治療を期待して、放射線科医の診察をあおぐが、即ステロイド剤の使用を中止するよう指示がある。
以上、あまりに放射線の副作用が激しいので、友人は「自分は抗ガン剤に耐えられないのではないか」と、9月早々にでも開始される予定の抗ガン剤治療に対する恐怖感で落ち込んでおり、何とか抗ガン剤にかわる代替医療があればそちらを受けたいと望んでおります。また、これはまだ友人には伝えていないのですが、昨日生命保険会社の電話によるガン相談に問い合わせましたところ、「放射線治療後ならともかく治療中に塗り薬(ステロイド剤)は使用しないというのは鉄則で、それは大きな間違いでしたね。やけど状態になっていると思われます」とのこと。そこで以下のことをお尋ね致します。
1,静脈浸腫(静脈にガン細胞がへばりついている)というのはどういうことを意味するのですか。再発、転移の確立が非常に高いのですか。もしそうだとしたら何%ぐらいですか。
2,薬剤に対して過敏体質の友人にとって、抗ガン剤による効果と正常細胞の破壊ということを考えると、抗ガン剤治療は本当に有効なのですか。(本によると乳ガンのステージ1の10年生存率を90%、ステージ2は80%とすると、抗ガン剤治療をした場合の成績は、1期で91%、2期で82%位であるとのことですが本当でしょうか)
3,放射線治療によって痛みが生じる人は500人に1人の割合で、治療後であればともかく治療中に皮膚が鉄板のように固くなる場合は、そのままずっと直らないというのは本当でしょうか。
4,また放射線治療中の塗り薬(ステロイド剤)の使用は本当に間違っていたのでしょうか。
5,もし仮に抗ガン剤を受けた方が明らかに効果あると分かった場合でも、現在は医師の方からは、手術治療に対する納得するような説明が全くないため、恐怖感、不安感ばかりつのる状態に陥っています。もし抗ガン剤を受けるとしたら、心身共に(主に精神的な)ケアをしてくれる医師(病院)のもとで受けたいと望んでいるのですが、どこを訪ねたらよいのか分からずにおります。ホスピスケアの経験のある先生に心当たりがございましたら、是非お教えいただきたくお願い申し上げます。
6,また同時に一方で、遠いのですが本、新聞、テレビ等で報道されておりますホリスティック医学を実践されている帯津先生のところを訪ねて見てはという思いも抱いておりますが、何分にも予約が10月か11月のこととなり、それまで抗ガン剤治療を遅らせても良いものかどうか迷っております。現在抗ガン剤を受けるか否か、又それに伴い病院を代わるべきか否かの決断に対する知識、情報が入手できずにおります。これらを含めましてアドバイス、ご指示を頂けましたらと願っております。長くなりましたがよろしくお願い申しあげます。

(答え)1999.8.27
お答えします。大変ご心配のことと思います。
1,静脈浸腫(静脈にガン細胞がへばりついている)というのはどういうことを意味するのですか。再発、転移の確立が非常に高いのですか。もしそうだとしたら何%ぐらいですか。
癌が大きくなる時、周囲を圧迫するように癌だけ大きくなるのではなくて、周囲の組織に染み込むように拡がります。その場合、周囲のリンパ管の中に入り込んだり、静脈の中に入り込んだりすることがあります。そうすると再発・転移の可能性が出てきます。あなたの場合、担当医はかなり早期の癌なので、温存療法だけですまそうと思った(病院によって違いますが、温存療法は放射線療法と組み合わせて行うところが多い)ようですが、静脈侵襲があったので、放射線療法と化学療法を追加することになったようです。確率がどの程度高くなるかはわかりません。

2,薬剤に対して過敏体質の友人にとって、抗ガン剤による効果と正常細胞の破壊ということを考えると、抗ガン剤治療は本当に有効なのですか。
抗癌剤の有効性についての証明はされていないと思います。

3,放射線治療によって痛みが生じる人は500人に1人の割合で、治療後であればともかく治療中に皮膚が鉄板のように固くなる場合は、そのままずっと直らないというのは本当でしょうか。
放射線のかけかたにもよると思います。最近はほとんどお目にかからなくなりました。

4,また放射線治療中の塗り薬(ステロイド剤)の使用は本当に間違っていたのでしょうか。
そんなに大きな間違いではないように思いますが、わかりません。

5,もし仮に抗ガン剤を受けた方が明らかに効果あると分かった場合でも、現在は医師の方からは、手術治療に対する納得するような説明が全くないため、恐怖感、不安感ばかりつのる状態に陥っています。
乳癌の治療では、なんといっても癌研究会附属病院(癌研)だと思います。ホスピスケアの経験のある先生としては、横浜甦生病院の小澤先生がいらっしゃいます。

6,自分で治そうと思うのなら帯津先生のところが良いでしょうが、とりあえずは化学療法を終えておくということになると思います。一度、癌研で診てもらって、相談してみてはいかがでしょうか。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)1999.8.27
昨夜遅くの送信メールにかかわりませず、お忙しい間をぬって今早朝には御返事を下さいまして、本当にありがとうございます。早速、友人に伝えることができました。本日(8月27日)は放射線治療終了後、手術担当医(主治医)との初の診察日で、今後の治療方針についての話があったそうです。それによりますと、抗ガン剤の組み合わせはTMFだそうです。副作用の強さは仮に大中小の3段階でわけるとしたら、中程度のものになるとのこと。回数は4週間に2回(2週続けて金曜日に受けその後2週休む)で、計12本、6ヶ月かかるそうです。抗ガン剤についてはその副作用のことを考えると、主治医の先生に言ったものかどうか悩みに悩んだ末、でも命に関わることでもあり、今日勇気を奮ってセカンドオピニオンとして他病院を受診したい旨、伝えましたところデータのコピーを下さることになり、ほっとしたそうです。そこで帯津病院の先生(帯津良一先生自身の予約は先になってしまい、今回は別の先生だそうです)の予約が9月9日(木)にとれ、とりあえず抗ガン剤治療は9月中旬まで待っていただけることになったそうです。又お尋ねしたいのですが
1,TMFという薬のの正式名とその副作用についてお教え下さい。
2,横浜こう生病院の小澤先生のところもお尋ねしたいので何科なのかをお教え下さい。
両病院でお話を伺った上で、今まで通りガンセンターで治療を受けるか、あるいは転院するかを決めたいそうです。どうしたら友人がプラス思考で立ち向かうことができるか、情報の伝達役に徹することで少しでもそのサポートができればと願っております。今後もよろしくお願い申しあげます。

(答え)1999.8.28
お答えします。
>1,TMFという薬のの正式名とその副作用についてお教え下さい。
略称ですので、正確かどうかはわかりませんが、タキソール、マイトマイシンC、5-FUでしょうか。一般的にはCMFが多いようです。Cはエンドキサン(シクロホスファミド)です。
>2,横浜こう生病院の小澤先生のところもお尋ねしたいので何科なのかをお教え下さい。
ホームページをご覧下さい。http://www.bekkoame.or.jp/~ta5111oz/index.html
ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1999.8.28
お返事ありがとうございます。抗ガン剤の組み合わせは、友人とは電話のやりとりであったため、TMFと聞き間違えてしまいました。CMFだったそうです。大変失礼しました。CMFが乳ガンの標準治療に対し、Tのタキソールについては「強力な化学療法のため副作用に苦しむ」という記述をどこかで読んでいたのでびっくりしましたが、CMFとのことでホッとしております。横浜こう生病院の小澤竹俊先生は、ホームページによりますと横浜こう生病院ホスピス病棟長とありましたので、ガンセンターの先生にその旨の紹介状を書いていただくことにするそうです。本当に有り難うございました。

(相談)1999.9.10
8月末にはお返事有り難うございました。その後の経過をご報告致しますと共に、又ご相談申し上げたい件があってお便りさせていただきます。その後ガンセンターの担当医から、CMF法による抗ガン剤の効果は、現状の再発率50%に対して、抗ガン剤治療をすればそれが15%抑えられて再発率が35%になるとの説明を受けました。しかし友人は前にもご相談申し上げましたように、痛みに対しては特異体質(?)と思われるほど痛みの感度が鋭く、以前から様々の更年期障害(足と肩と腰の痛み、発汗、動悸等、徒歩では遠くまで行けないぐらいの症状)と思われる症状と、薬剤に対する過敏体質と不安神経症(?)ぽい症状に苦しんでおりましたところに、更に追い打ちをかけるように乳ガンの告知を受けるに至ったわけです。それ故、何とか抗ガン剤を受けずに、それに代わる治療法がないものかと呻吟しておりました。横浜こう生病院の小澤先生宛お手紙をお出ししましたがお返事を頂くことができず、その間大船中央病院と昨9日には帯津病院へ伺ったのですが、抗ガン剤は受けた方がよいとのご意見で、期待はことごとく裏目に出てしまったとのことです。何軒かの先生より、抗ガン剤を受けるべきというご意見は頂いたものの、やはり友人にとりましては抗ガン剤の副作用に対する恐怖は通常では計り知れない尺度・深さ(生まれてからこの方、普通の人にとっては大丈夫なものでも、様々な薬剤の副作用に苦しんできた体験から来ているもの)であり、抗ガン剤を受けるかあるいは50%の再発率を覚悟で受けないかを決めるかは、副作用死(?)の不安まで喚起するものであるようです。そしてつい最近、平岩正樹先生のご本で「医者に聞けない抗ガン剤」を読んで、「抗ガン剤はその使い方によって副作用が抑えられる」という1行に望みを託し、10月23日に予約を取ったのだそうです。けれどもそれは友人にとりまして、抗ガン剤に対する恐怖を必死に押し殺して決めた究極の選択でした。そこでお尋ねしたのですが
1,抗ガン剤治療は手術日より早ければ早い方がよいとガンセンターに言われ、また特に帯津病院の先生には「手遅れです」とまで言われたのですが、10月23日は手術日より4ヶ月以上もたつので、それまで受けなくても大丈夫なのでしょうか?
2,抗ガン剤を受けないと決めた場合、とにかくその副作用から逃れるものとして、まだホルモン療法の方が良いのではと友人は考えているのですが、子宮にガンができやすい以外に吐き気とか痛みとかその他副作用はあるのでしょうか?(ホルモン感受体検査はプラスだそうです)
3、また抗ガン剤を拒否したときに代わるものとしての副作用が一番少ない免疫療法を選ぶとしましたら何が良いのでしょうか?
4,またどうしても抗ガン剤を受けなくては行けないのだと自分で判断を下したとき、一番副作用に配慮して下さる病院(先生)はどこが良いのでしょうか?
5,神奈川県内でペインクリニックと心身医学(ガン術後の心の持ち方等のカウンセリング)の治療を受けたいと希望しましたときには、どこへ伺えばご相談できるでしょうか?
長くなりましたがよろしくお願い申しあげます。

(答え)1999.9.11
お答えします。(半角文字は使わないでください)
>1,抗ガン剤治療は手術日より早ければ早い方がよいとガンセンターに言われ、また特に帯津病院の先生には「手遅れです」とまで言われのですが、10月23日は手術日より4ヶ月以上もたつので、それまで受けなくても大丈夫なのでしょうか?
化学療法(抗癌剤治療)受けるか、受けないかは本人の自由であり、いずれにしてもその結果は予想できません。
>2,抗ガン剤を受けないと決めた場合、とにかくその副作用から逃れるものとして、まだホルモン療法の方が良いのではと友人は考えているのですが、子宮にガンができやすい以外に吐き気とか痛みとかその他副作用はあるのでしょうか?(ホルモン感受体検査はプラスだそうです)
ホルモン感受体検査がプラスの場合は、タモキシフェンという薬をのみます。この場合、再発防止の効果は証明されています。これはホルモン剤ではありません。副作用もほとんど無いと思います。少なくともこの薬はのむべきだと思います。
>3、また抗ガン剤を拒否したときに代わるものとしての副作用が一番少ない免疫療法を選ぶとしましたら何が良いのでしょうか?
BRP療法(佐藤療法)、ハスミワクチン、丸山ワクチンなどでしょうか。
>4,またどうしても抗ガン剤を受けなくては行けないのだと自分で判断を下したとき、一番副作用に配慮して下さる病院(先生)はどこが良いのでしょうか?
やはり平岩先生でしょうか。ただし専門は消化器外科のようです。
>5,神奈川県内でペインクリニックと心身医学(ガン術後の心の持ち方等のカウンセリング)の治療を受けたいと希望しましたときには、どこへ伺えばご相談できるでしょうか?
知識がないのでわかりません。

癌も自分で治す病気です。あなたの場合は早い時期に見つかって手術を受けることができたのですから、まずその幸運に感謝して、治ると信じることです。癌の治療で「絶対」というものはありません。いくら充分な治療を受けても再発する人もいます。それは、その人の治癒力によって決まると思います。自分で選んで、治ると信じて、自分で治すあらゆる努力をすることだと思います。治療してもらったから大丈夫などということは言えません。まず心の持ち方の問題のように思いますので、是非、川竹さんのホームページを見てください。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1999.9.11
早速にお返事有り難うございます。川竹さんのホームページを開きプリントアウトして手渡そうと思っております。動けない友人に代わって情報の伝達役に徹して参りましたが、今友人に一番必要なのはご指摘頂きましたとおり、心の持ち方であることを痛感しております。手術より3ヶ月余、どちらかと申しますと不安感、恐怖感を増幅しがちな友人の心の持ち方に対して、どうサポートしてあげたら良いのか、思案にくれております。ご面倒とは存じますが、今後ともよきアドバイスとご指導をよろしくお願い申しあげます。また、お便りさせて頂きたく思っております。有り難うございました。

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[温存手術後8年目に再発した乳癌で再手術を受けたが骨転移した]

(相談)1999.5.4
前略、ガンの治療法について質問したくお手紙を書かせていただきました。母が8年前くらいに乳がんにかかり、腫瘍の摘出手術をうけましたが、約1年前に再発し、今度は乳房全体の摘出手術を受けました。その時、リンパ腺を調べた結果、少量ではありますがガンの転移が見つけられたということで、放射線治療及び、抗がん剤の投与する治療を受けることになっていました。しかし、母の心理状態と体調が思わしくなく、十分に治療が受けられないままになっていました。すると、今年1月、肋骨の2本と、恥骨にガンが転移していることが見つかりました。病院の先生がおっしゃるには、ガンの転移が肋骨の2本だけだと、摘出する事もできるが、恥骨にまで転移しているとなるとどうしようもないということです。また、放射線療法も内臓を傷つける恐れがあるということで、できないそうです。そういうわけで、今は、化学治療だけを行っており、次にどこに転移するか、状況を見ているという段階にあります。父がガンの本に書いてあったといっていたのですが、ガンが骨に転移してしまうと、手の打ちようが無いということですが、やはりそうなのでしょうか。また、NHKの番組で紹介されていたのですが、p53遺伝子の治療は、母の症状に対して、効果がないのでしょうか。また、ガンに関するホームページでは、日本国内では岡山の病院で1件だけしか治療例がなく、それも様子を見ている段階ということですが、母の状態で、この治療法を受けることができるのでしょうか。もし、国内では無理というのならば、アメリカの病院でこの治療法を受けることは可能なのでしょうか。また、もしこの治療法を受けるとなると、金銭的にどのくらいの負担が強いられるのでしょうか。勉強不足のかんもありますが、お返事お待ちしております。 5月3日○○

(答え)1999.5.4
お答えします。残念ながら、著しい進行癌や再発・転移した癌に対する決め手はありません。治そうとする努力も大切ですが、残された時間をどのように使い、どのような最期を迎えるかというかということも考えておかなければいけません。人は、みんな、いつか必ず死にます。人生最大の危機です。その危機と直面したわけですから、できれば前向きに、自分らしい生き方をしていただきたいと思います。癌に対する治療や痛みに対する治療を受けながらでも、できることは沢山あります。楽しい想い出も、つくってあげてください。人は何のために生きるのか、生と死について考える機会を与えられたと思って、考えてみてください。そして最期まで、みんなで支えてあげてください。笑顔とユーモアが大切です。

実験的な治療は色々と行われていますが、それぞれ「適応」があります。どの癌の、どのような状態の人に治療をするかということが、決められていますので、私の知る限りでは、転移した乳癌に対する遺伝子治療をしている施設は無いと思います。アメリカへ行けば、お金さえ出せば何でもしてくれる病院があるかも知れませんが、私には知識がありません。現在、岡山大学で行われているp53遺伝子の治療は、肺癌の人に対してです。ではまたいつでもメイルをください。

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[皮膚癌化した乳癌で手術を受けたが再発を繰り返し、骨肝転移がある]

(相談)1999.4.19
はじめまして。ネットでいろいろな情報を探しているときに先生のホームページを見つけました。母の癌について日々思いめぐらし、私自身なにも手に着かない状態です。これまでの経過と現在の状態をお伝えしますので、予測可能な範囲での今後をお教えくださいますよう、よろしくお願いします。母56歳は10年前に左乳房に癌が露出びらんした状態で全切除手術を受けました。その際リンパ節に転移はなく、<皮膚癌化した乳癌>との説明を受けました。その4年後、右乳房に再発し温存手術で1/3を切除しました。そのときには大きな血管のそばのリンパ節に転移があるとのことで、癌をすべて排除できなかったと説明されました。さらにその1年後、今度は温存した右乳房表面のケロイド手術痕が癌化しレーザーで切除。そしてまた2年後には右乳房上の米粒大の少しかゆみを伴う湿しんが悪性と診断され、数回の放射線治療を受けました。その際、胸全体が重度のやけどのような状態になり、丸3年以上たった現在も、数センチ残った傷跡がふさがらず、じくじくした状態が続いています。さらに、昨年4月に腫瘍マーカーの上昇と体調の変化があり、その後の検査で全身の骨転移とわずかながら肝転移の兆候もあると診断されました。その時点では腰やあばらなどの痛みが出ていましたが、食欲などは正常でした。その後、抗ガン剤での治療が始まり、10クール終了後の今年2月に再検査したところ骨転移の状態は変わらず、さらに肝転移の兆候も相変わらず見られるとのことでした。その時点で肝臓のMRI検査を受けることになったのですが、これが順番待ちで5月にならないと受けられませ主治医はその診断を待って今後の治療方針を決めるといっていますが、抗ガン剤の副作用もあるのか終了後ここ2ヶ月で食欲もかなり落ち、これまでの1/3程度しか食べられなくなっています。また、最近は右みぞおちの痛みも訴えるので主治医に伝えたところ、<胃にも悪いものができているかもしれないので胃カメラを>といわれ検査を受けました。その診断もまだついていません。長くなりましたが、これが母のこれまでと現在の状態です。

お伺いしたいのは、
1.このまま現在の病院の治療方針に従ってよいのか
2.今後母はどのような状態を経るのか。時間はどれくらいあるのか、です。

はじめの手術後定期的に検査し続けていたにもかかわらず、2度目の手術以降の検査.治療はすべてこちらからの申告(しこりの発見や体長の変化、痛みなど)で行われており、10年間見てきた私も、ここにきて初めてすべてが後手後手に回っているような気持ちになっています。また、何らかの病変を疑って検査、治療、再検査の間、最低それぞれ1ヶ月以上間隔があくのも、患者数が多い大学病院で仕方がないとはいえ、もどかしい思いでいっぱいです。2.の質問についてはたくさんの癌関連の書籍を読み、誰も正確な事は言えないと理解しているつもりです。が、主治医からは現在の病状がどの程度深刻なものなのか、余命を考える必要があるのかといった説明は全くないのです(母は乳癌を患った事は知っていますが、転移の告知はしていません)。家族が呼ばれることもなく、私の方から電話でアポイントを入れ、説明を求めている状態です。でも、書籍を読めば読むほど母の状態は末期癌であるように思えます。それならばそれで、母にしておいてほしいことやしてあげたいことが山ほどあるのです。父は3年前に亡くなり、弟は母の病と死をおそれて家を出てしまい、介護し寄り添う家族は嫁いだ私しかおりません。私のそばに転居や転院を薦めようにも今後の見通しが立たないばかりに、もう1年も足踏み状態です。これ以上時間を無駄にしないためにも、最悪の経過を想定してできる限りのことをしたい、とそればかり考えています。2.の質問は、ありきたりでうろたえているようで恥ずかしいのですが、老後に夢を膨らませている母に必要であれば告知をして夢を軌道修正し、いい人生だったと思えるような最後を迎えてもらいたく、あえて伺わせてもらいます。一般的統計的なもので結構ですので、どうかよろしくお願いします。

(答え)1999.4.19
お答えします。残念ながら、あなたの思っているとおりだと思います。局所再発、全身の骨転移、肝転移などから考えれば、末期的状態と思われますが、進行は比較的ゆっくりのようですので、まだ1年くらいの時間はあるかも知れません。

1.このまま現在の病院の治療方針に従ってよいのか。
本人と家族が納得しているのなら、このままでよいでしょうし、納得できないのなら転院を考えるほうが良いでしょう。大学病院は研究のための施設ですので、きめ細かな対応を求めても難しいと思います。患者さんは「一つの症例」にすぎません。今後は緩和医療しかないかもしれませんので、そのような対応をしてくれる所が良いかも知れません。

2.今後母はどのような状態を経るのか。時間はどれくらいあるのか。
次第に、痛みを主体とした色々な症状が出てくると思います。それぞれの症状に対してその都度治療をしていくことになります。予想は困難ですが1年くらいでしょうか。

ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1999.4.21
まさか翌日にお返事をいただけるとは思っておりませんでした。本当にありがとうざいます。母のことで私が相談できる相手は現在主人しかおらず、その主人でさえ義理の母のことですから仕方がないとはいえ、反応も薄く、孤立無援の気持ちでおりました。が、私が出させていただいたメールと先生からの返信を合わせて読むことで、主人も少々啓発されたようです。悲しみは毎日襲いますが、まだ1年あると思えば何でもできそうな気がしています(もちろん正確な時間ではないことは十分承知しています)。母に母らしい最後を迎えてもらえるようがんばります。

(返信)1999.4.21
メイルありがとうございました。相談のメイルには、なるべく早くお答えするようにしています。母上の病気によって、生と死を考える機会を与えられたと思って頑張ってみてください。きっと人間的に大きな成長を得られることでしょう。人はみんないつか必ず死にます。次は、あなたのご主人か、もしかするとあなたかも知れません。ではまたいつでもメイルをください。

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[手術不能の炎症性乳癌で胸水と腕のリンパ浮腫がある]

(相談)1999.1.12
はじめまして。HPを見てメールしました。母が炎症性乳ガンに病んでいます。(手術は行ってません)最近、腕がむくみはじめ少しの運動で息苦しくなったり咳き込んだりしたため胸部レントゲンを撮ったところ、片肺(胸膜?)に水が溜まっていることが確認されました。
1)腕のむくみはリンパ液が流れにくくなっているものによるものなのでしょうか?
2)この水は何が原因で溜まってくるものなのでしょうか?
3)強制的に排出する必要があるのでしょうか?
4)現在は利尿剤による対処をしていますがこの方法で効果があるものなのでしょうか?

(答え)1999.1.12
お答えします。まず、母上の炎症性乳癌に対して手術は行っていないということですが、どのような治療を受けていますか?母上と母上の癌についての情報がないので分かりません。胸水が溜まったり、腕が腫れたりしているところをみると、すでに手の施しようがないということでしょうか?あなたのメイルから分かる範囲でお答えします。
1)腕のむくみはリンパ液が流れにくくなっているものによるものなのでしょうか?
その通りだと思います。
2)この水は何が原因で溜まってくるものなのでしょうか?
水ではなくて、リンパ液です。原因はあなたの1)の質問の通りです。
3)強制的に排出する必要があるのでしょうか?
そのようなことができれば楽になりますが、できないと思います。
4)現在は利尿剤による対処をしていますがこの方法で効果があるものなのでしょうか?
少しは効果があるかもしれませんが、原因が癌ですので、癌に対する治療をしないと良くならないと思います。

(相談)1999.1.12
数野先生、早速のお返事ありがとうございました。質問させていただくにあたり、まず病状を説明すべきでした。すみません。もう少し教えていただきたくメールさせていただきました。宜しくお願いします。
(母の状況)
H9年7月頃、胸部に発疹ができ皮膚科に行ったのが始まりでした。はじめ母はヘルペスと診断をうけていました。しかし、一向に良くならないので医者を変えたところ癌の疑いがあると言われ大学病院に行くことを勧められました。(H9.11)診断の結果、炎症性乳癌であることが判明し、病巣範囲が広すぎたため手術不可能であると宣告されました。当時は抗癌剤による治療をしていましたが、顕著な効果が見られなかったため、医者からアメリカの新しい治療法(抗癌剤+放射線)を試したいと言われました。そのような実験的治療には賛成できないと父が反対したため大学病院での治療を止めてしまいました。(H10.5末)その時点での病巣は左胸のみ。それからは免疫療法が中心となり今に至っています。H10.9月頃から右胸表面に転移が見られ、現在は左胸と左腋下部と右胸の一部に炎症が見られる。先のメールのとおり、最近では左胸に水が溜まってきています。そのため右胸に圧迫感があり、咳込みや息切れがひどくなっています。現在山梨県の某病院に入院しており、以下のような治療を行っています。ゲルソン食事療法、コーヒー浣腸、丸山ワクチン、蓮見ワクチン、ピシバ、温熱療法、ヒトリンパ球療法、他。その他にもキトサン、プロポリス、アガリスク茸、紫イペ茶、パパイヤ酵素、尿などの服用や琵琶灸なども行っています。
さらに質問させていただきます。
1)水が溜まったり、腕が腫れたりしているのは、すでに手の施しようがないということなのでしょうか?
2)リンパ液を強制的に排出する事ができないと書かれてましたが、なぜですか?(山梨の医者は抜くと言ってましたが・・・。)
3)リンパ液は放っておいても大丈夫なものなのでしょうか?障害が起こりますか?
4)現在の癌の症状では抗癌剤の効果は期待できるのでしょうか?
5)この癌(炎症性乳癌)は腫瘍マーカー値が増えるのでしょうか?(母は正常値です)
6)上記治療について何かアドバイスいただければ幸いです。

(答え)1999.1.12
お答えします。
1)水が溜まったり、腕が腫れたりしているのは、すでに手の施しようがないということなのでしょうか?
そのように思います。
2)リンパ液を強制的に排出する事ができないと書かれてましたが、なぜですか?(山梨の医者は抜くと言ってましたが・・・。)
私はそのような方法を知りません。
3)リンパ液は放っておいても大丈夫なものなのでしょうか?障害が起こりますか?
大丈夫ですが、障害は起きます。
4)現在の癌の症状では抗癌剤の効果は期待できるのでしょうか?
すでに闘う時期は過ぎていると思いますが、普通はまず化学療法(抗癌剤治療)をします。最初の段階で化学療法などをして、手術ができる状態になれば手術をするのが、炎症性乳癌に対する一般的な治療方法です。しかし、いずれにしても炎症性乳癌は進行が早く、治らない場合が多いと思います。
5)この癌(炎症性乳癌)は腫瘍マーカー値が増えるのでしょうか?(母は正常値です)
どの癌でも腫瘍マーカー値が増える場合と増えない場合があります。ではまたいつでもメイルをください。

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[乳癌手術後20年目の骨転移に対する治療方法は?]

(相談)1998.8.25
はじめまして、転移性骨腫瘍について教えてください。母(62歳)が転移性骨腫瘍と診断されました。母は20年ほど前に乳癌の手術をしていますが、それからの転移のようです。転移場所は、骨盤の右足付け根部分です。レントゲンを見せてもらいましたが、転移個所の骨が黒くふくれあがっていました。放射線治療が有効とのことですが、どの程度有効なのでしょうか?完治する可能性はあるのでしょうか?父は、内臓系の癌でないのだから、今すぐ生死に関わるものじゃないと言っていますが、正しいのでしょうか?よろしくお願いいたします。

(答え)1998.8.26
お答えします。転移性骨腫瘍で、20年前の乳癌からの転移とは考えにくいと思いますが、なぜそのような診断になったのでしょうか。細胞を取った検査の結果での診断でしょうか。転移ではなくて、原発性の骨腫瘍のように思われますが。いずれにしても、腫瘍の細胞の種類によって治療方法が異なると思います。もし、診断が正しいとすれば、放射線治療がある程度有効と思われますが、完治は難しいでしょう。しかし「今すぐ生死に関わるものじゃない」と思います。あなたのメイルから分かる範囲でお答えしました。

(答え)1998.8.27
ご回答ありがとうございます。現在私は、横浜に住んでおり、母は郷里の病院に入院しています。そのため、私が直接医師から病名等の説明を受けたのではなく、父や妹から間接的に聞いた内容を元に質問いたしました。その為、やや情報が不正確であったかもしれません。ただ、以下のことは事実のようです。
 病名は骨腫瘍と言われた
 乳癌から転移したと説明された
 上記の説明は、細胞を取った検査の後に説明された
昨日、放射線治療のため、大学病院へ移されました。4週間の放射線治療の後に元の病院に戻るとのことです。放射線治療の効果は、どの程度あるのでしょうか?痛みを緩和したり、癌の進行を押さえるだけなのでしょうか?ご回答をお願いいたします。

(答え)1998.8.28
お答えします。あまり多くはありませんが、乳癌の場合は20年後に骨に転移することはあります。「細胞を取った検査の後に説明された」とのことですので、間違いないでしょう。治療方法としては、化学療法(抗癌剤治療)と放射線療法があります。癌細胞の種類によって違いますが、放射線治療の効果は、「痛みを緩和したり、癌の進行を押さえるだけ」と考えるべきでしょう。痛みに対する治療効果はかなり期待できます。20年かかって骨転移ができたわけですから進行は遅いと考えられますが、放射線をかけると他の部位への転移を促進したり進行が早くなったりすることもあり、痛みがない場合には少量の抗癌剤治療で経過を見ることもあります。病気の経過は一人一人で違いますので、治療の結果は時間がたってみないと分かりません。選択した治療方法がベストと信じて、前向きに闘病してもらってください。

(返礼)1998.8.31
転移性骨腫瘍についてのご解答、ありがとうございました。

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