[胆管癌]

[肝外胆管癌の疑いで膵頭十二指腸切除術を受けたが早期の乳頭部癌で予後が良いと言われた]
[黄疸の無い肝内胆管癌にステントの挿入とエタノール注入療法をすすめられたが?]
[肝右葉から肝門部にかけての胆管細胞癌に対する治療法は?]
[黄疸で発見された肝内胆管癌にステントをいれたが末期と言われた?]

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[肝外胆管癌の疑いで膵頭十二指腸切除術を受けたが早期の乳頭部癌で予後が良いと言われた]

(相談)千葉県2000.3.30
数野先生はじめまして。私は千葉県在住の○○(31歳、男)と申します。母が入院してから先生のサイトにアクセスさせていただいております。はじめてのメールなのにご相談など大変あつかましく心苦しいのですが、先生のご意見を賜りたくメールいたしました。どうかよろしくお願い申し上げます。私の母(今年の3月で68歳)に今年に入ったくらいから黄疸とかゆみの症状があらわれました。かかりつけの先生の紹介で都内の大学病院へ検査に行き、即入院となりました(2月中旬)。様々な検査の結果、肝外胆管ガンが強く疑われる(細胞診でもはっきりしませんでした)ことから、本人同意のもとで手術(PD)を行ないました(3月中旬)。先日切除部の病理検査の結果が出て担当の先生から簡単な説明がありました。それによりますとVater乳頭部ガン(1.5cm)でリンパ節への転移はなし。先生の所見は「早期で予後も良いと思う」との事でした。少ない可能性の中でも良性狭窄であって欲しいと願ってましたので、とても落胆しました。家族は私と嫁いだ姉だけで、親戚などには病状についてまだ何も話しておりません。それで次の事につきまして数野先生のご意見をお聞かせ願えませんでしょうか。

・本人への告知につきまして、姉と相談して今後の治療のためにも告知することにしました。現在術後2週を過ぎたところですが、一体いつすれば良いのかとても悩んでいます。担当の先生は常に告知に前向きですぐにした方が良いというお考えのようです。私は母の精神的負担を考えて、食事がとれて体力が回復してからと思うのですが、病理検査の結果をあまり長く伝えないと不信感を持つとも思いますし...数野先生はどうお考えでしょうか。

・予後につきまして、担当の先生は「良いと思う」と仰ってくださったのですが肝外胆管ガンとしてみると統計ではとても予後が悪く、心配でたまりません。数野先生のご所見と今後注意すべき点などありましたらご教授ください。お忙しいところ本当に申し訳ございません。どうかよろしくお願い申し上げます。

(答え)2000.3.30
お答えします。大変ご心配のことと思います。

・本人への告知について:自分のことは自分で決める権利があります。人生最大の危機かも知れません。本人の心の持ち方と生活習慣の改善が大切です。家族の人は、いつもそばにいて支えてあげてください。告知しないということは一人で苦しみなさいということです。ドイツの諺を紹介しておきます。「分かち合う喜びは二倍の喜び、分かち合う苦しみは半分の苦しみ」

・予後について:確かに全体で見ると胆管癌は治りにくい癌の一つですが、その中では、十二指腸乳頭部に発生した早期の癌は治る可能性が高いと思います。元気で退院する日が本当の意味での癌治療のスタートラインだと思ってください。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)2000.3.31
数野先生、乳頭部ガンの母の事でメールいたしました千葉県の○○です。この度は当方の勝手なご相談に早速のご返信本当にありがとうございました。本人には知る権利があるのですから、告知の時期などを周囲が決めるのは身勝手ですね。恥ずかしながら今気が付きました。明日病院へ行きますので担当の先生に本人への病理検査の説明をお願いしようと思います。ありがとうございました。治癒することを願って本人と一緒に頑張ろうと思います。自分なりに勉強してみたのですが今は免疫療法、特に丸山ワクチンを考えています。数野先生は丸山ワクチンやクレスチンなどについてどの様にお考えでしょうか?

(答え)2000.3.31
お答えします。ご本人が知りたいことは、うそをつかずに教えてあげたほうが良いと思いますが、本当のことを告げるときには、決して希望を失わないような話し方で、家族も同席して話してもらってください。また、知りたくないことは、知らないでいる権利もあります。治療については、どれをしたらよいと医師としておすすめできるようなものはありません。どれもしてみなければ結果はわかりません。参考にしていただきたい文章がありますので紹介しておきます。

「治癒の条件」
治癒というものが、元来、客観性、再現性のないものであれば、統計なんてなんの役にも立ちません。ひとつひとつの症例を克明に記録し、その記録をじっくり読んで、治癒の条件を読み取っていくことです。どういう治療をしたかが関心の的になりがちですが、そうではなくて、その人が病気の中で、どういう生き方をしたかに焦点をあててみてください。治療法そのものよりも、その人が各種治療法にどうかかわっていったのかーというなかに、治癒のヒントがあるように思えるからです。(帯津良一、「私たちがガンを治した体験談集」より)

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[黄疸の無い肝内胆管癌にステントの挿入とエタノール注入療法をすすめられたが?]

(相談)川崎市2000.2.16
前略、年末に義兄の胆管細胞癌についておたずねした者ですが、そのころの病院と義兄との状況がハッキリ把握出来なくて、質問自体が、あやふやでご迷惑をおかけしました。 申し訳ありませんでした。その後、数野先生のHPや色々なHPを参考に少しでも希望が持てるものかと情報を収集しています。ただ、素人の悲しさで専門用語など正確に理解できません。その中で先生のHPでは実際の患者の家族からの声や、先生のわかり易い回答で大変参考になり、勇気付けられます。さて、義兄の病状ですが、本日(2月16日)エコーの診察を受け、担当医より「肝内胆管ガン(胆管細胞癌?)が入院当初4.7cm→前回の検査5cm→今回のエコーからの診断では5.2cmと次第に大きくなっている。」「総胆管部の癌は5cmでこのままでは黄疸になるのでステントを早期に入れたほうがいい。」「エタノール注入療法を試したい。」とのお話がありました。以前は抗癌剤を使用していましたが、余りに副作用が辛いので現在は、モルヒネ40mgのみ服用し、自宅で療養しています。その他に、アガリクスと核酸を飲用しています。体調はすこぶる良く、一日2時間程度会社に出勤し仕事をしています。質問ですが、

(1)以前2回ステントの挿入を失敗しており激痛を経験しているため、本人はステントの挿入を好みません。ステント挿入は黄疸の出る前にどうしてもしなければならない療法なのでしょうか?

(2)エコーのみでの診断で、胆管癌の大きさの判定は可能なのでしょうか?担当医に腫瘍マーカの値を教えてくださいと尋ねたところ、自分は画像で判断するので腫瘍マーカは必要ないとの返事でした。

(3)エタノール注入療法は肝臓ガンのみで使用されている療法と聞きました。胆管にそのような療法が可能なのでしょうか?もし、可能であるならその危険度はどの程度なんでしょうか?

大変ご多忙とは思いますが、宜しくお願い致します。

(答え)2000.2.18
お答えします。大変ご心配のことと思います。私も思っても見なかった治療法ですので、専門家に確かめました。

(1)普通は黄疸が出てから行う処置です。おそらくすぐに処置する自信が無いので、前以て入れようとするのではないでしょか。

(2)エコーだけでなく、CTやMRIや腫瘍マーカーなどで総合的に判断すると思います。

(3)おっしゃる通りで、効果は無いとのことです。

いずれにしても経験の豊富な専門医による治療を必要とすると思います。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)2000.2.19
数野先生へ。お返事、本当に、本当にありがとうございました。私ども夫婦は以前から、担当医と義兄や義姉とのやりとりを聞いて、担当医に少なからず疑問を感じていました。最近は担当医の不用意な一言(余命2ヶ月とか、癌が1週間で5mm大きくなったなど)に過敏に反応する義兄を観てられなくなって、転院を勧めていましたが、義兄夫婦は素人の私どもの意見を聞こうとはしませんでした。今回頂いた先生のメールをFaxで義兄に送り、義兄も納得し、転院する決意を致しました。義兄は、北海道に住んでいます。 まだ元気なうちに転院し、専門医に診ていただきたいと思っています。

>いずれにしても経験の豊富な専門医による治療を必要とすると思います。

そこでご相談なんですが、経験の豊富な専門医と言っても私どもにはなかなか判断が出来ません。大変厚かましいお願いとは思いますが、私どもは川崎に住んでおりますので、出来れば東京か神奈川県内の推薦できる病院・専門医をお教えいただけないでしょうか? 本当は、患者の立場に立って親身に考えて頂ける数野先生にお願いしたいのですが、あいにく関東以西には頼れる親戚や知り合いも無く、義兄の闘病生活には酷と考えました。本人も私どもも胆管細胞癌が癌の中でもかなり深刻な病であることを認識しています。「たとえ1分でも長く生きていて欲しい」と考える家族のためにも可能な限り手を尽くしたいと思っていますし、少しでも長く生きていれば、新たな療法が見出されると信じています。勝手なお願いばかりで申し訳ありません。 宜しくお願いいたします。

(答え)2000.2.19
お答えします。

〒213-8587 川崎市高津区梶谷1-3-1 虎ノ門病院 消化器科 池田健次 先生
TEL 044-877-5111

肝臓癌のプロですので、対応してくれると思います。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)2000.2.19
数野先生へ、お忙しい中、早速のお返事ありがとうございました。自分たちで可能な限り調べもしましたが、素人の悲しさを痛感いたしておりました。色々と世間を騒がせるような事も多く、先生のアドバイスに心より感謝いたしております。来週にも虎ノ門病院へ相談に行きたいと思います。取り敢えずは、御礼まで。

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[肝右葉から肝門部にかけての胆管細胞癌に対する治療法は?]

(相談)神奈川県1999.5.27
はじめまして○○と申します。74才の母が胆管細胞癌と言われました。現在入院中です。どんな病気でしょうか?また、手術しか治療方法はないのでしょうか?よろしくお願い申し上げます。

(答え)1999.5.28
お答えします。胆管細胞癌は、胆管にできる癌です。胆管は肝臓の中にある部分と、肝臓の外にあって肝臓から十二指腸に胆汁を流す部分とがあります。大変治りにくい癌の一つで、手術できることは少なく、手術して癌を切除できるということは、治る可能性があるということで幸運だと思います。

(相談)1999.5.28
胆管細胞癌についてお尋ねした○○です。早速のご返答ありがとうございます。厳しい病気だということを認識いたしました。昨夕、外科の先生から「右葉の抹消から肝門部にかけての大きい1個の癌だと思います」と言われました。手術の可否については27日のカンファレンスで決定するということでした。手術ができない場合はどのような治療方法があるのでしょうか?内科の先生からは3〜4cm位の腫瘍と言われたのですが、どの位の期間でその位の大きさになったのでしょうか?家族の本音といたしましては、手術はさけたいと思っています(年齢が74才で体ももともと丈夫な方ではなく杖をついて身の回りのことができる程度なものですから、それに手術後も予後不良とのことですし)。体力を温存しながら自家で闘病生活ができればと思っています(長女の私が同居しています)。お忙しいところ申し訳ありませんがよろしくお願い致します。

(答え)1999.5.29
お答えします。おそらく手術は不可能だと思います。癌を完全に切除するためには、拡大右葉切除という大きな手術となりますが、それでも完全には取りきれないかもしれません。また、たとえ手術をしても、おそらく早期に再発することが予想されます。手術ができない場合は、一般的には放射線療法を行いますが、黄疸などの症状がなければ、何もしないということも一つの方法です。もし黄疸が出れば、黄疸に対する治療を受けることになると思います。黄疸に対する治療方法は肝臓に溜まった胆汁を対外に導く(外瘻化PTCD)するか、内視鏡的に(又はPTCDで)細くなった胆管に管を入れて胆汁の流れる道を確保する(内瘻化、又はステント挿入)ことになると思います。直径1cmの癌ができるまでに10年から20年かかるという説がありますが、実際にいつできたかということは分かりません。毎日、身体の中では3000個の癌細胞ができては壊されているそうです。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1999.5.29
お忙しいところお答えいただきまして感謝しております。本当にありがとうございました。先生からどういうお話があるかわかりませんが、私たち家族も未熟ながら知識も得ましたし、本人とともによく考えて対処したいと思っております。74才という年齢ではありますが、自分の親となるとまだまだ生きてほしいと思ったりしてしまいます。子供の時は貧しく、少女時代は戦争を経験し、妹が大学を出るまで頑張って働いた母に少しでも長く生きて楽しんでもらいたいと思っていたのですが、その願いもかないそうにありません。母らしくと苦痛なく穏やかに余生が送れたらと今はそう思っております。お会いしたこともない先生に愚痴をお聞かせして申し訳ありません。ありがとうございました。

P.S.私はインターネットを始めてからまだ2ヶ月しかたちません。もし、失礼なことがありましたらお許しください(○○市にも生と死を考える会があります)

(返信)1999.5.31
メイルありがとうございました。無理な治療はせずに、なるべく普通の生活ができるようにしてもらうことが大切だと思います。参考になる本がありますので、読んでみてください。

佐藤武男著「闘う癌、闘ってはいけない癌」(徳間書店、1500円)

「○○・生と死を考える会」は熱心に活動されている会ですので、是非一度参加してみてください。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1999.6.1
拝啓 ○○でございます。こちらこそメールをありがとうございました。ご紹介いただきました本を早速本屋さんに頼みました。5月29、30日に母が外泊してきまして、話し合っている途中でやっぱり本当のことを言わなくては、母も決断できないと思いまして告知しました。胆管細胞癌という病名で手術しても予後が悪く再発の可能性も大きいということを..。その上で母も私ども家族も、手術は受けず内科的治療をお願いすることにしました。30日帰院時、看護婦さんに先生に伝えていただくよう頼み帰りました。31日先生より連絡が入り病院へ来るようにとのこと、10時に参りました。先生よりそれでいいのかとの確認があり「はい」と答えました。先生より放射線療法も抗癌剤もやりません(効果無し)、対症療法をしていきましょうといわれ、明日退院と言われました。そう言われて今私は丸山ワクチンを考えています。今日はこれから母を迎えに行きます。取り急ぎお知らせまで    かしこ

(相談)1999.6.9
拝啓 以前、胆管細胞癌のことでお尋ねした○○でございます。母はその後6月1日に退院しまして、現在自宅療養中です。昨日、日本医大に丸山ワクチンを取りに行き、午後に母を連れて近医に行き第一回目のワクチンを受けました。市立病院からホームドクター(これからのことを考え往診と訪問看護をしてくださる所を捜しました)に変わりました。具合が悪くなったら市立病院に入院し、それ以外は医院にかかって丸山ワクチンを受けていくことに方向が決まりました。母にとっては幸運だったと思います。丸山ワクチンは承諾してくださる所でないと受けれないのですが、○○市にはなく私が無理をいってお願いしてやっていただけることになりました。他に方法もないのですから、これにかけてみようと思っております。それにしても、昨日、日本医大へ参りましたら遠方から(鹿児島県、北海道、京都、大阪等)みえられているのに、びっくりいたしました。多くの方が苦しまれているのですね。余談になりました、すみません。

ところで、先生にお尋ねしたいことがあります。ワクチンの効果をみていくには何をチェックしたら良いのでしょうか?私共も知っていたいと思いますので。母はコレステロールが高いだけで、肝肥大もなく自覚症状も今の所ありません。レントゲンでは肝臓は写らないということですし..。入院中、腫瘍マーカーはCA19-9を先生は調べていらしたらしいですが。よろしくお願い致します。     かしこ

P.S. 6月26日○○・生と死を考える会「緩和医療の魅力」に申し込みました。

(答え)1999.6.10
お答えします。次回の丸山ワクチンの申込をするときに、「SSM臨床成績経過書」という書類を提出(郵送)しますが、その書類に治療期間中の経過(治療、症状、臨床検査、効果判定)を記入するようになっています。注射してくれている医師が記入して渡してくれますので、それをコピーしてとっておけば経過が分かります。腫瘍マーカー(CA19-9)も参考になるようでしたら、調べてもらうと良いでしょう。○○・生と死を考える会の「緩和医療の魅力」、聞かれましたら内容を教えてください。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)1999.12.4
拝啓 数野先生、ご無沙汰いたしております。以前に母の胆管細胞癌のことをお尋ねした○○と申します。母は痛みがひどくなり、現在ペインコントロールの為に入院しております。ペイン外来ではペンタゾシンを一日3回服用し、間はインダシンズポを挿入しておりました。しかし、痛みが強くなって効かなくなり入院となったわけです。睡眠、安静時は疼痛は少ないのですが、体動時(寝返り、起きる等)は鋭い痛みがはしり、とてもつらそうでした。現在アンペック25Jを6・14・22時に挿入し、間はボルタレンズポを使っています。バルンカテーテル以外は何もしておりません。今まで服用していたお薬は全部中止になりました。臍部の右側の痛みと腰痛があるのですが、寝返りはあまり痛くなく出きるようになりました。それでも、ベットで寝たまま食事や排泄をしているような状態です。せめて人の手を借りてでも良いですから、座位になれればと思っているのですが..。先日は骨シンチを受けまして、腰痛は圧迫骨折の為、腹痛は疾患から来るものと本人は言われました。先生は私どもにはこれから話しますと言われたそうです。もし、コルセットが必要だとしても腹痛がある為できないのではないでしょうか?受診病院は現在入院中の市立病院の内科、痲酔科(入院ベットをもっていません)そして、近医(丸山ワクチンの3箇所です。退院後はペイン外来と近医にかかっていたのですが、痛みがひどかったので、痲酔科の先生が入院を勧めて下さいました。でも、痲酔科は入院ベッドを持っていないため、以前かかっていた内科の先生からの入院となり、そのまま内科の先生の受け持ちになったわけです。ちょっと複雑です。

そこで、質問ですが、先生達の関係はどういう関係になるのでしょうか?どなたが、主になるのでしょうか?これからのこともありますし、知っておきたいのですが、先生からはそういうお話はないものですから..。私としましては、最悪寝たままの状態でも本人が帰りたいと言えば、家に連れてきたいと思っています。そうすると、近医の先生の往診をお願いすることになるのですが、そこは往診をやってくださる医院です。とても、良い先生なのですが、正直言いますと、ちょっと頼りない先生なのです。例えば、アンペック座薬が麻薬だということをご存じなかったりするのです。麻薬の取り扱いもやっておられず、私がお願いしてから申請したようです。母の治療は痛みの緩和が主ですので、ちょっと心配な感じなのです。でも、丸山ワクチンはその病院でやっていただいているのです。私は○○市に住んでおりますが、○○市に往診専門(在宅ホスピス)の「○○クリニック」という医院があり、○○先生というとても熱心な先生がおられます。以前○○病院ホスピス病棟に勤務されていた先生です。精神科も経験していらっしゃいます。○○先生からは2〜3ヶ月に一回は連携病院に受診してほしいと言われました。退院すれば、受診は無理でしょうから、往診となりますが、その時のことを考えておかねばならないと思いまして、悩んでおります。とりとめなく、だらだらと書いてしまいました。どうかお許し下さい。先生のご意見をお聞かせ願えたらと思っております。
P.S. 痲酔科の先生からは腹腔神経そうブロックは無理と言われました。

(答え)1999.12.5
お答えします。まず今してあげなければいけないことは、痛みを取ることです。癌末期の痛みはモルヒネなどの麻薬や鎮痛補助剤という薬を麻薬と一緒に使うことで、ほとんど取れます。そのような治療はホスピス専門医が一番上手ですが、少し勉強すれば誰でも出来ることです。痛みが取れた状態で、どこで、どのように過ごし、最期をどこで迎えるかということになります。そうすれば、おのずと誰に世話にならなければいけないかということがわかると思います。もちろん本人の希望が大切ですし、家族や医療関係者でどのように支えてあげられるかということにもよります。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1999.12.7
拝啓 お忙しい中早速のお答えありがとうございました。よくよく頭の中を整理すればおのずとわかることでも、こういう時期は本当に頭の中が混乱してしまい、まとまりがつかず困ってしまいます。すみませんでした。今日は3時から病院の訪問看護をしていらっしゃる保健婦さんに会う予定です。いろしろ相談してみようと思っています。これは余談ですが、こういう時だからこそよけいにと思って今日検診を受けてきました。乳ガン検診で引っかかってしまいました。エコー検査の結果左があやしいということで、県立癌センターに紹介状を書いて下さいました。本当にショックです。何もない時なら良いのですが、母のことがあるときなのにとこれからのことが心配ですがこれも仕方のないことですね。お目にかかったこともない先生に家族のだれにもまだ話していないことを今こうやってお話ししているのがちょっと不思議な感じです。愚痴をお聞かせしてしまい申し訳ありません。また メールさせていただくことがあるかと思いますがよろしくお願い致します。

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[黄疸で発見された肝内胆管癌にステントをいれたが末期と言われた?]

(相談)大阪1998.11.29
数野先生、はじめてお便りいたします。ガンでネットサーフィンして先生のHPにたどりつきました。お忙しいところ申し訳有りませんが、父のことでご相談させていただきます。父は今年七月に黄疸が出てかかりつけの医師より、国立大阪南病院を紹介され、検査入院しました。入院翌日に「これまでの検査では膵臓が腫れており、腫瘍マーカーの値も高いので膵臓ガンでしょう。手術ができるかどうかわかりませんが、化学療法もきかないのであと三カ月から半年と考えてください」といわれました。母と私はショックでその日は眠れませんでした。それからは減黄処置をし、より詳しい検査の結果、結局膵臓ではなく、肝内胆管ガンで、血管造影で血管への浸潤が広い範囲で認められたので、やはり手術はできないとのことでした。その後ステントをいれる処置だけをし、九月三日に退院しました。今は一ヶ月に一度、外来で血液検査だけをしています。本人には告知していません。現在の状況は、食事も退院前と変わらないくらい取っており、趣味の社交ダンスにも出かけ、わりと元気そうです。もちろん体力は以前のようには無いとは思いますが。体重は退院時とあまり変わりません。朝起きた時と食事の後に背中が少し痛いと言います。以上がこれまでの経緯ですが、そこで先生にお尋ねいたします。
1)退院時に主治医に、末期ですかと聞いたところ、「手術ができないということから考えると末期とも言える」と言われました。この時点での腫瘍の大きさは入院時と変わらず3cmくらいだったようです。やはり末期と考えたほうがいいのでしょうか。
2)ステントを入れて減黄しましたが、この後腫瘍が大きくなり、ステントが詰まることもあるのでしょうか。その場合もう一度いれることはできるのでしょうか。
3)最近咳がよく出て、卵白のような透明の痰も出るようです。肺に転移したのでは、と心配で外来の主治医に相談したところ、肝内胆管ガンの肺転移はあまり無い。血圧の薬の副作用ではないかということでした。肺への転移の可能性はないのでしょうか。また、もし他の臓器に転移があるとしたら、どこが考えられるのでしょうか。
4)これから末期になって出てくる症状として予測できるのは、どんな症状なのでしょうか。痛みにはモルヒネを使うと主治医には言われました。

以上、長くなって申し訳ありません。本人に告知していないのでなかなかうまく病気の進展が把握できません。「何の方法もない。あと三ヶ月から半年」と主治医に最初に言われた時に、本人には告知しないことを母と決めました。あまりにむごい告知だと思ったからです。でも、今はあれから四ヶ月が過ぎ、今のところ目立った病状はありません。告知する機会がこれからも無いか、少し考えているところです。相談に乗っていただける機会を設けてくださることに、本当に感謝いたします。

(答え)1998.11.29
お答えします。
1)「手術ができないということから考えると末期とも言える」ということですが、主治医はおそらく、「胆管癌は肝臓癌に比べても大変治りにくい癌のうえに、血管造影で癌が広い範囲に拡がっていて手術ができず、抗癌剤も効かない」ということから、末期的状態であると言いたかったのでしょう。本来、末期癌とは余命が3カ月から6カ月以内と予想される状態です。父上の場合は、ステントでうまく減黄ができていて、急変がなければ、まだ1年くらいは大丈夫かもしれません。
2)ステントが詰まることはあります。その場合もう一度いれることができるようなら、そのようにします。
3)癌ですので転移の可能性はあります。どこに転移するかはわかりません。しかし時間的に考えればおそらく転移する前に、肝臓の状態が悪化すると思います。
4)あらゆる苦痛が予想されます。

もし自分が父上のような状態だったらどうしてほしいか、どうしたいかということを考えてみてください。残された時間をどのように使うかということは、自分で決めたいとは思いませんか。遅くなればなるほど告知しにくくなります。そしてやがて必ず分かるときが来ます。告知は「あなたは治らない癌ですよ」と告げることではありません。本人が希望すれば、ある程度真実を話してあげたうえで、最期まで希望をもって自分らしく生きることができるように支えてあげることです。告知されれば、痛みやいろいろな苦痛にも耐えられる場合が多くなります。誰のために告知しないのかということを考えてみてください。自分たちは、あなたを支えてあげる努力をしたくない、かってに苦しみなさいということでしょうか。ドイツの諺に「分かち合う喜びは二倍の喜び、分かち合う苦しみは半分の苦しみ」という言葉があります。苦しみを共に分かち合ってあげてください。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1998.12.4
数野先生、早速のお返事ありがとうございました。お礼の返事が遅れましたことをお詫び致します。また、告知に対するアドバイスもありがとうございました。もう一度、どうすれば本人にとって一番良い事なのか、よく考えてみます。本当にありがとうございました。また、相談することがあると思います。これからもよろしくお願いいたします。

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