[膠原病など難病に関すること]

[筋萎縮性側索硬化症(ALS)の症状が進行しつつあり心配]
[サルコイドーシスといわれたが治療方法は?]
[膠原病で痛みがあり、心配]

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[筋萎縮性側索硬化症(ALS)の症状が進行しつつあり心配]

(相談)1999.3.10
はじめまして。大学の先輩である○○さんに久しぶりにお会いし、メールのやりとりをしたときに、先生のお名前がでたので、失礼だとは思いましたが、メールを送ります。私の父は、昭和15年生まれで、昨年の秋に重い物が急に持てなくなったということで、病院に入院しました。当初は首のあたりの神経が圧迫されているのだろうと、そのための治療をしていました。(実際、1ヶ月後くらいには、そのおかげで少しは入院したときよりも調子はよくなり、それまで腰を曲げるようにすることも多かったのですが、それはだいぶ良くなりました。)ですから、母共々、いつかは元気になって戻ってくるだろうし、別に今のままの状態でも、日常生活には支障はないんだからと、それほど心配していませんでした。実際、私は「進行性の病気でなかったら別にかまわないから」と周囲に話してました。その後、大学病院での検査を勧められたりということがあったからでしょうか。母が、「家庭の医学」を買ってきて父の病状などをあてはめていくうちに、ある病気にたどりつきました。それは私たちが予想していた最悪のパターンで、その夜は、その病気について書いてあるHPを一晩中読んでいました。それでも、私たちの考えすぎであって欲しいと願っていたのですが、数日後に、母が病院で聞いてきた言葉は「筋萎縮性側索硬化症」という予想通りの言葉でした。

その後、父は退院し、自宅に居ます。病院にいたときは、自分の病気についてあまり認識していなかったことや設備が充実していたこともあり、毎日リハビリに励んでいました。現在も、天気さえよければ、散歩にでていますし、万歩計をつけては、田畑の世話をしています。ただ、すでに、左手に茶碗を持ってご飯を食べることは困難で、着替えをするにも自分でするには、かなりの時間を要します。財布からお金を出すのにも、四苦八苦しているようです。以前は全くなかった気管に食べ物がはいって、せき込むことが多くなってきますし、庭木の手入れなどを熱心にやった後などはすごく疲れているみたいです。最近は、1週間に1回くらいのペースで近所の人と一緒に、車で、温泉(ヘルスセンター)に行っています。以前は違うところによく行っていたので、どうして、そこにばかり行くようになったか聞くと、「着替えをするのが大変だから、そこだと、食事の時以外は裸のままで居られるし、遠くだと、万が一、事故したらと心配だから近くていい。それに、おじさんが一緒だから、安心して居られる。」といっていました。

本人がどれくらい病気について認識しているのかわかりませんが、日に日に、弱ってきているのは、目に見えてわかります。将来についても、経済的に、介護に、農家なので田畑の世話など、心配の種は数々ありますが、特に心配しているのが、父がもっと病状が進んで、本当に自分の体が思い通りにならなくなったとき、ヤケをおこして自殺とか、良くないことを考えないかということです。こんなことが頭の隅にあるせいか、散歩にでたまま、食事時に帰らないだけでひどく心配してしまいます。つい先日、「なんぼでも腕がすいすい上がるいうて、やりょうったら、夢じゃった」と苦笑いしながら言っていました。会社生活に、未練はないと思いますが、定年を迎えたら、農業を頑張ることや、庭の手入れをするのを楽しみにしていただけに、農業をするなとも言えず、かといって重たい物が持てるわけもなく、機械を動かしていて事故を起こすのも心配です。

以上が、現在の状態です。「どうすればなおりますか?」と聞ける病気ではないので、そんな質問はしませんが、患者が少ないこともあり、お医者さんも詳しくはわかってないんじゃないかと思える節もあり、身近にグチをいったり相談できる人が居ないので、初めての方にも関わらず、このようなメールをしてしまいました。 失礼します。

(答え)1999.3.11
メイルありがとうございました。○○さんには大変お世話になっています。残念ながらご指摘の通り大変困難な病気です。確実に治す方法が無いということ、進行性であるということ、特に食べることと呼吸運動が難しくなってくること、意識ははっきりしていることなど、本人と家族にとっては癌以上に困難な病気です。普通、発病してから5年の余命と言われていますが、ビッグバンで有名な英国のホーキング博士のように長生きして、りっぱな仕事をしている人も稀にはいるようです。

三つのことが大切だと思います。まず、病院での治療です。大学病院が必ずしも良いとは言えませんが、稀な病気ですので専門医も少ないと思います。信頼できる医師をみつけて最後まで共に闘う(歩む)ことです。治療方法も色々あると思います。

次に、本人の気持の持ち方です。人生最大の危機に直面したわけですから、大変な苦悩だと思います。しかし、すでにご本人は「今を精一杯生きる」という生き方をしておられるようですので、あまり心配は無いと思います。自分の意志とは関係なく、身体が動かなくなってきますので、残された時間をどのように使うかということを考えておく必要はあります。

もう一つは家族の対応です。そばにいて支えてあげることしかできませんが、それが本人にとっては一番の支えとなるでしょう。ドイツには「共に喜べば倍の喜び、共に苦しめば半分の苦しみ」という諺があります。いろいろ心配なことがあると思いますが、できればなるべく本人の話しを聴いてあげて、本人の希望を尊重しながら問題解決の方法を話し合うことです。医療費については、国の指定した難病ですのでいりません。動けなくなったらどうするかとか、喋れなくなったり、自分で食べられなくなったり、呼吸ができなくなったときの対応などの選択を迫られますので、心の準備をしておかなければいけません。生と死について考える機会を与えられたと思って考えてみてください。「人生の危機への挑戦」と前向きに考えれば道は開けると思います。ではまたいつでもメイルをください。

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[サルコイドーシスといわれたが治療方法は?]

(相談)1998.12.26
突然のメール失礼いたします。実は私の父がサルコイドージスである事がわかりました。現在は肩や腕に湿疹ができる程度なのですが、内臓などにも転移するような可能性もあるといわれました。最近では体調もあまりすぐれないようなのですが何か対処できるような事はないのでしょうか。抗生物質しかない難病のようで、食餌療法でもなんでもあれば試したいと思っています。ぜひみなさんのお力をお借りできないでしょうかお願いいたします。

(答え)1998.12.27
お答えします。まず、サルコイドージスは国の指定する難病(特定疾患治療研究事業の対象疾患)になっていますので、手続きをしてもらえば医療費(手続きをした病院だけ)は免除されます。難病ということは、残念ながら治りにくい、治らない病気と言うことになります。治療方法としては、副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)による治療しかないようです。すぐに命を取られるような病気ではありませんので、あわてずに経験の多い専門医(病気自体が少ない病気ですので経験の多い医師は少ないと思います)に診てもらって、根気よく治療を続けることです。病院での治療以外で、健康に良いと思われるものは試してみても良いと思いますが、必ず主治医に相談してからにしてください。信頼できる医師であれば、生活指導や健康法、民間療法などについても相談にのってくれるはずです。そのような医師を探してみてください。現在の担当医かもしれません。余談ですが、何でも治るとか、法外に高い治療費がかかるというものは注意したほうが良いでしょう。ではまたいつでもメイルをください。

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[膠原病で痛みがあり、心配]

(相談)1998.12.20
こんにちは。初めまして、ご相談したいことがあり、メールを書きました。私は27歳の女性です。我が家は、自慢してよいのかわからないくらい病気家族です。まず父が10年前ぐらいに胃ガンで手術をして未だに薬を服用していて骸骨の様に痩せています。母は、脳溢血で7年前に亡くなり私の実の兄は心臓が悪く穴が開いているとかで、実姉の子供もそうなんです。私は、5人兄弟で一番末っ子です。今お話しした兄は、一番上の兄です。2番目はなんともなく3番目の兄は、障害を持っています。4番目の姉はアトピーと肺が弱く喘息もちです。4番目の姉の子供も喘息持ちで大変そうです。そして私はもともとは、やはりはいが弱くてぜいぜいいっていたんですがスポーツをしてから良くなりました。が、大人になってから19歳か20歳ぐらいからでしょうか体調が良くなくて今はだいぶ良いのですが膠原病と診断され自宅療養で3か月くらい辛い日々が続きまして今は頭の痛みと時々起こる左下腹の痛み腰のお尻の割れ目より3センチくらい上の所の激しい痛み、手などのしびれですね。時々動機息切れもありますしなんといっても頭の割れるような痛みと金づちで殴られたような痛み火花が散るというのかよくぱっぱっぱっと出てくるんです。なにもしていないのに。こんなんで良いのでしょうか?ちゃんと結婚して子供も産むことが出来るのでしょうか?それと子供はちゃんと五体満足なんでしょうか?不安でたまらないですね。よろしければお

返事下さい。

(答え)1998.12.21
お答えします。家族の皆さんの病気は、どれもはっきりとした遺伝性のものではありません。たとえば癌の原因は遺伝子に異常が起きて癌細胞ができますが、その遺伝子の異常を起こす原因はタバコと食べ物と環境と言われています。しかし、これらの三つの原因があっても癌になる人とならない人がいます。やはり遺伝子に異常を起こしやすい体質というものがあるようです。ほかの病気も同じように考えてよいと思います。つまり、病気になりやす体質を持っていても、注意して努力すれば、自分で防げる場合が多いということです。

たとえば、生まれつきの心臓病(先天性心疾患)の人は、200人の赤ちゃんに一人位の割合で生まれます。ただ妊娠初期の母親が風疹にかかったりすると、先天性心疾患の子供が生まれる可能性が高くなります。それから、先天性心疾患の人同志が結婚するとやはり先天性の心疾患をもった子供ができる可能性が高くなります。もっとも最近は、ほとんどの先天性心疾患を手術で治すことができますので、兄上の場合は心臓に穴が開いていても、手術をしなくてもよい位の軽い病気ということでしょうか。3番目の兄上の障害についてはあなたのメイルからは分かりませんが、アトピーや喘息は、食べ物や環境の影響が大きい病気です。ということは、そのようなことに気を付けれて治療すれば良くなるはずです。

さて、膠原病は少しやっかいな病気です。まず、十分な知識と経験のある専門医に診てもらう必要があります。少ない病気ですので、そのような専門医も少なく、ほとんどの場合は大学病院ということになります。大学病院での検査や治療が一段落すれば、近くのかかりつけ医で引き続き治療できるように手配してもらいます。病気の症状の中でも最も多く、最も辛い症状は「痛み」です。痛みの治療は、元になっている病気(膠原病)の治療と痛みそのものに対する治療をしていくことになります。信頼できる医師と良く相談して治療を根気良く続けなければいけません。

最後に、「病は気から」というように、心のもちかたが病気に大きな影響を及ぼします。少しでも前向きの気持で生活することです。心の持ち方で、身体は変化します。イメージ療法で癌を治した人がいるくらいです。自分で治すという決心が必要です。風邪でも癌でも、結局は自分で治す病気です。人間の身体は、上手に援助すれば、病気を治すようにできています。その力の出し方が少しくるうと、膠原病になります。あなたの身体は病気の治しかたを少し間違えているわけです。あなたの病気は自分で、自分の心で治せると思います。それを援助してくれる人や医師を探すことも大切です。がんばってみてください。ではまたいつでもメイルをください。

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