[家族の接し方]

[主人にどんな風に接すればいいのか 判らない]

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[進行肺癌の主人にどんな風に接すればいいのか判らない]

(相談)2000.7.1
突然、申し訳有りません。主人のことでご相談いたします。先日、肺ガンの腺ガン、ガン性胸水有り。3期b。48才。処置としては、胸水を抜いた後、胸膜癒着術、その後抗ガン剤使用の予定です。アレルギー鼻炎の症状が毎年有り、今年は結構長いと話していたのですが、5月頃から咳が有りまして、本人も毎年の咽頭炎だと耳鼻科の薬は飲んでいました。6/9に近くの病院で診察、レントゲンがおかしいと 県病院に紹介されました。検査後、26日に告知。28日にガンセンターに紹介して頂き、上記の予定に成りました。今は、入院待ちの状態です。両親も本人もガンセンターでの入院、抗ガン剤治療に納得しております。現在の主人の状態で、抗ガン剤がどれほどの力が有るのか、色々本などで読むと不安です。それよりも、主人本人が精気が無いのです。ガンだと言われて、元気をだせと言うのも無理かとは思いますが、戦う姿勢が無いのです。今も病院に居ます。先生は自宅で良いと言ってくれたのですが、本人が安心するからと希望しました。私は、いつもと変わらずに居たいと思いまして、“病は気から”とか言って笑っております。主人にすれば、そんな私の近くに居たくないのかもしれません。私は、人間いつか死ぬのだからそれまで楽しく生きれば良いと思っております。でもそれは、死を身近に考えたことがない人間の傲りでしょうか?私のそういう考えが態度に出てしまい、主人をよけい辛くしているのでしょうか?私は、今主人にどんな風に接すればいいのか 判らないのです。抗ガン剤を使用する場合、もし合う薬が直ぐに判ったとして、あとどれくらいの時間が有るのでしょうか?

先生に誰も聞けなかったのです。グチばかりのとりとめのない文に成ってしまいましたが、お教え願えれば幸いです。

(答え)2000.7.2
お答えします。大変ご心配のことと思います。

>私は、人間いつか死ぬのだからそれまで楽しく生きれば良いと思っております。
>でもそれは、死を身近に考えたことがない人間の傲りでしょうか?
>私のそういう考えが態度に出てしまい、主人をよけい辛くしているのでしょうか?
>私は、今主人にどんな風に接すればいいのか 判らないのです。

人の人生観は、その人の死生観、家族観、宗教観によって決まります。人は生きて来たように死んでいくと言われます。まだまだ、癌=死と思っている人が多く、常に死の恐怖と隣り合わせの状態だと思います。癌と知って前向きの生き方が出きるようになるまでには、色々な段階を経なければいけないようですので、時間がかかりますし、結局そのような生き方が出来ない人も多いと思います。まず、ご本人が中心だということを忘れず、ご本人の気持ちや話しを聴いてあげることです。そしてなるべく希望がもてるような話しをしてあげることです。

癌と知ったときの心理は、次のような段階を経ることが多いと思います。今、ご主人がどの段階かということを考えてあげてください。

初期反応期(1週間以内):否認、信じられない、頭の中が真白、他人ごとのよう、絶望感

苦悩・不安の時期(1ー2週間):苦悩、不安、抑鬱、不眠、食欲低下、集中力低下の症状が何度も起きる、同じことを繰り返し尋ねる

適応の時期(2週間以後1か月ー時には3か月):現実の問題に直面し、新しい事態に順応するようになる。またそう努める。

>抗ガン剤を使用する場合、もし合う薬が直ぐに判ったとして、あとどれくらいの時間>が有るのでしょうか?

質問の意味がよくわかりませんが、余命がどれくらいかということでしょうか。もし、そうだとすれば、わからないとしか答えられません。人のは癌で死ぬのではなくて、寿命で死ぬのです。人の寿命は、神でないとわからないと思います。まず、治ると信じて治療を受けることです。

生きがい療法の五つの指針が大変参考になると思いますので、紹介しておきます。

 1.自分が自分の主治医のつもりでガンと闘っていく
 2.今日一日の生きる目標に打ち込んで生きる
 3.人のためになることを実践する
 4.死の不安・恐怖と共存する訓練に取り組む
 5.死を自然界の事実として理解し、もしもの場合の建設的準備をしておく

ではまたいつでもメイルをください

(相談)2000.7.3
早速御返事を頂きまして、有り難うございます。先生の御助言心に沁み入りました。

私一人が、焦りすぎていたのだと 思い至りました。本とかネットとかでにわか仕込みの知識を得て、早くどうにかしなければという思いと、もうどうにも出来ないかも知れないという不安と、いらだちが主人の話を良く聞くと言う当たり前のことを見えなくさせていたように思います。抗ガン剤に対する不信感は今も拭えません。先生のホームページでの相談の中にも主人の状態と似た方の場合も抗ガン剤の使用には期待できないとの記載も有りましたし、外の資料にも、ガン性胸水を持つ場合は 少しの延命しか抗ガン剤では得られないと有りました。主人や両親は抗ガン剤を使用すれば、良くなると思っていると思います。私は、無意味に副作用に苦しみ、体力を消耗するよりは、先生の言われる民間療法の方が良いのではないかと思いつつ、本人がガンセンターでの治療に希望を感じているような様子ですので、水を差すよう

なことも言えない状態です。少しだけ、前向きな様子が見えてきかかっているかな?という時期なので、先生の言われたように本人の話を聞き、希望を持たし、自然治癒力が出せるように待たなけばいけないと思っております。先生のホームページの体験談とか、本とか読んで、少しでもやってみようかと思いつつ有るみたいです。遺伝子治療とか免疫療法は主人の様な場合は、無理なのでしょうか?思いが取り留めが無くて、申し訳ないのですが 主人のような場合は、病院で受けるのはどのような治療がベストなのでしょうか?病院に入院したままで民間療法などを組み合わせることが出来るのでしょうか?本人の希望は勿論ですが、一応知っておきたいと思います。名前も申し上げないまま、勝手な事ばかり申しまして、すみませんでした。○○と申します。又、宜敷御指導下さい。

(答え)2000.7.4
お答えします。

>遺伝子治療とか免疫療法は主人の様な場合は、無理なのでしょうか?
>思いが取り留めが無くて、申し訳ないのですが 主人のような場合は、病院で受ける
>のはどのような治療がベストなのでしょうか?病院に入院したままで民間療法などを
>組み合わせることが出来るのでしょうか?

病院での治療は、手術と化学療法と放射線療法に限られています。遺伝子治療も、まだ試験的に一部の施設で行われている段階ですし、ご主人のような場合には受けられないと思います。免疫療法も、病院で行われるものは無いと思います。基本的には、化学療法と免疫療法は、全く逆の作用をしますので、どちらかを選択することになります。化学療法の効果は、一時的な場合が多いと思いますので、期間を限って受けてみて、副作用が強いとか、効果が無いようであれば、早目に中止して病院以外の治療で、自分で治す努力をするか、諦めるかということになると思います。徹底的に闘うのであれば、川竹さんのホームページを見てください。奇跡は奇跡的には起きないという言葉もありますが、やはり、その人の生き方の問題ですので、こうしなければいけないというようなきまりはありません。埼玉県の川越市の帯津三敬病院の帯津良一先生の言葉が参考になりますので、紹介しておきましょう。

[講演要旨]ホリスティックながん治療をはじめてから16年が経とうとしています。これまでに一体どのくらいの患者さんと出会ってきたでしょうか。さまざまな患者さんとの出会いを重ね、今思うのは「明日のことはわからない」ということです。突然よくなることもあれば、その反対もあります。予測のつかない展開が起こるのです。しかも、きわめて個性的なものです。がん治療には王道もなければマニュアルも存在しません。「がんほどミステリアスなものはないということですよ。だから(治療として)なにをやってもいいんです」これはロイヤル・ロンドン・ホメオパシック・ホスピタルのがん治療責任者ともいうべきアン・クローバー医師の言葉です。まさに至言です。科学的に検証された方法はそれとして、同じように未だ科学的に証明されていない方法も、どちらもしっかりわきまえていけばいいはずです。長い間、現場で苦労を重ねていれば「これはよく効きます!」とか「こんなものが効くはずありません!」…と断定的なものの見方はできなくなるでしょう。本当にがんほどミステリアスなものはないのですから。

ではまたいつでもメイルをください。

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