[胃癌4]

[胃癌があるが肺の機能が悪く手術が出来ないと言われた、何か方法は?]
[胃癌の手術を受け5年生存率は50%と言われたが不安]

[スキルス胃癌の末期と診断されたが手術や漢方薬は?]
[スキルス胃癌4期で手術して6年経過したが腸閉塞になり腹水が溜まる]
[高齢で胃癌と直腸転移に胃切除と人工肛門手術を受けたが経過が悪い]
[吐血して検査したところ悪性の胃潰瘍で早期の手術が必要と言われた]

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[胃癌があるが肺の機能が悪く手術が出来ないと言われた、何か方法は?]

(相談)神奈川県1999.10.8
数野先生、こんにちは。○○と申します。先生には初めてメールいたします。突然のご無礼を御許しください。私の父についてご相談したいことがあります。父は年齢は74才、神奈川県の川崎市に母と二人でくらしております。私は仕事の都合で群馬県倉渕村に在住しています。父は今年2月の健康診断の時点ではほぼ健康ということになっていて、周囲はなにも心配していませんでしたが、6月半ばごろに、胸水が溜まっている事が発覚したため、近所の某組合が経営する病院の内科に入院しました。入院した翌日に幸か不幸か下血をおこし、ここで胃ガンが発見されました。それは幽門部付近にできていてボールマー3型というタイプだそうで進行ガンでありステージは2あるいは3とのことでした。胸水の方はというと排菌がないそうなので、確実ではないのですが、結核性胸膜炎であろうという事で、ドレンをいれる事により胸水をある程度とることができ、これについては現在は投薬のみの治療をおこなっています。さらに長年に及ぶ喫煙で肺気腫を起こしており、肺気腫だけでも余命数年という状態にある、という診断でした。ここで胃や肺のレントゲンを含む2月の健診でなぜなにも発見されなかったのか、疑問ではありますが、それはとりあえずおいておきます。

ガンについては進行ガンではあるものの、現在でもCT等による所見では諸臓器に転移はみられず、リンパ節のはれ等も確認されておりません。ガンの部位も幸い幽門部付近であり全摘は必要ないようなので、それだけならば、致命傷になるとは限らず、手術をしても、胃機能がある程度保全され、全快の希望もおおいに持てる状況だと思います。しかし、肺活量が健康な人の1/3と肺機能がかなり落ちている状況では、全身麻酔をともなう手術の術後を乗り切ることは不可能であり、手術はできない、との最終的な診断となりました。いってみれば病院に"匙をなげられた"という状況でしょうか。治療方針は一旦退院し、胃部の狭窄がおきた時点で再入院し、栄養点滴と苦痛緩和の治療を行なうというものでした。私を含め、家族の者はその診断であきらめる事が出来なかったため、多くの方の力添えを得られたこともあって、市内の大学病院の外科であらためて受診し、9月はじめにそこに再入院することとなりました。ここでは、以前の病院でのカルテ等を移すことができ、また、あらためてCTや胃部内視鏡の検査を受け、鉄剤投与(貧血のようです)や前の病院では考えられなかった肺機能のリハビリテーションも実施されました。結果肺機能は少々ですが向上しました。例えば入院時は肺活量:1,240、一秒量750という(悲しい)数値が、現時点でそれぞれ少なくとも10%程度は向上しているようです。見た目でも以前の病院に入院中はやつれ果てていたのが、転院して鉄剤投与やリハビリ等を受けることによって、気力や積極性、食欲も出てきて、非常に元気になってきています。(ちなみに進行ガンであることの告知は、転院時になされました)

しかし、それでも麻酔科の医師の診断では、胃の切除術はやはり Challenging Caseであり、人工呼吸器の力を借りるという前提で、術後(1weekから 2week)をのりきれる確率はフィフティーフィフティーというイメージのようです。担当医師の方針としては、本人の意思を確認した上で、手術を行なうとの事で、実施は今月の 20日と一応スケジューリングされました。しかし、実行するか否かは、あくまで本人の意思なので、じっくり考えてください、との説明です。以前の病院での診断にくらべれば、比べ物なく希望が持てる状況に変化したことは間違いないですが、それでも胃の切除術を受けるかどうか決めることは本人や家族にとってはかなり難しい判断だと感じています。本当に切除術しか生きる道はないのか?知人からはAHCCやアガリクスを勧められていますし、先生のWebでは佐藤療法という治療法も紹介されています。そうした療法も含め、代替療法の道をもっとさぐるべきなのか?そのために時間を使ってもいいのか?あるいは、進行ガンの治療では切除術は避けて通れないことで迷っているヒマはないのか?私自身は、(ガンの進行具合とからめて考える必要があるでしょうが)少なくとも、最初に手術の日程を決めるのではなく肺結核の治療や肺機能のリハビリによる効果が充分にあがってから(できればChallenging Caseというレベルを脱した後に)手術を実行する、という形に持っていくことが最良なのではないかという気がしていますが、いかがなものなのでしょうか。切除術を適切な時期に行ない、代替療法は効果のありそうなものを補助的に用いる、という考え方です。ただし、担当医師のニュアンスではリハビリによって充分手術に耐えられるまで肺機能が回復する、というのは難しいようです。私の父親の場合は、数野先生のWebで相談されている皆様の中ではラッキーなケースだと思います。しかし、自分や自分の肉親の生死の問題に直面してどう対処するか、というのはそれでも難しい、と感じています。確実な方法論はここにも無いわけですから。先生のご意見をいただきたく不躾なメールをいたしました。お時間が許されましたら御返信をお願いいたします。

(答え)1999.10.8
お答えします。大変ご心配のことと思います。
「切除術を適切な時期に行ない、代替療法は効果のありそうなものを補助的に用いる、という考え方です。」
それが最も常識的な考え方だと思います。

「結核性胸膜炎、長年に及ぶ喫煙で肺気腫、全身麻酔をともなう手術の術後を乗り切ることは不可能であり、手術はできない、胃部の狭窄がおきた時点で再入院し、栄養点滴と苦痛緩和の治療を行なう」
手術が出来ないということになれば、担当医が言うようなことになり、病院以外での治療をすることになります。代替療法です。ここで問題は二つあると思います。

まず、癌自体の問題です。幽門部付近にできていてボールマー3型の進行癌で、出血を起こしたということですので、今後も出血を起こしたり、狭窄を起こして食べられなくなることが考えられます。できれば癌の部分だけでも取ってもらうことができないかということです。リンパ節を広範囲に郭清したりするような「根治術」はせず、胃潰瘍の手術程度の軽い手術です。

そして、その手術ができるかどうかということです。確かにハイリスクでチャレンジング・ケースではありますが、それは全身麻酔を前提にしているからで、ほかの麻酔方法が無いでしょうか。全身麻酔が発達していなかった頃には、最初は局所麻酔で手術していましたし、その後も腰椎麻酔や硬膜外麻酔などで手術していた時代もあります。もちろん手術が上手な外科医でなければ出来ません。担当医とよく相談して、納得のいく方法を選んで下さい。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)1999.10.8
数野先生、こんにちは。非常に迅速な御返信、感謝にたえません。ありがとうございます。じわじわとした出血は、日常起こしているようです。鉄剤投与はそれを補う意味があるようです。局所麻酔によるリスク回避の方法があるとは考えませんでした。ガンの当面一番問題となる場所を取り除きつつ、合併症発症→最悪の事態というシナリオを避けるためには、有効な手段なわけですね。しかし、これは、根治術はしなくても、なんらかの代替療法により、ガンを克服できうる、というお考えからでしょうか。あるいは、肺の状態から推測される余命から考えると、局所麻酔手術に留めることによるガンの残存・再発リスクはあまり問題にはならない、という観点からなのでしょうか。先生のご提案は上記どちらの考え方により近いでしょうか。かさねがさねお手数をおかけして恐縮でありますが、お伺いさせてもらいました。よろしくお願いいたします。

(答え)1999.10.9
お答えします。癌は手術(手術に限らず、化学療法、放射線療法などの病院での治療)だけで治るものではありません。根治手術で治ったとされる人も、結局は自分の治癒力で治しているわけです。癌は自分で治す病気で、病院での治療は、治りやすくするための助けです。余計なリスクをおかさず、なるべく体力を温存して、早く食べられるようになり、早く退院すべきだと思います。手術の目的は、出血と狭窄を防ぐことです。手術だけで治そうとすれば、大きな手術となり、おそらく良い結果にはならないことが予想されます。いずれにしても退院の日がスタートラインです。少しでも良い状態でスタートラインに付けるように考えて、納得のいく方法を選んで下さい。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1999.10.9
数野先生こんにちは。ご回答、ありがとうございます。よく理解できました。本日から3日間実家で相談する予定ですので本人ともよく話してきます。(本人は昨日から11日まで外泊許可をもらい家に帰っています)お忙しいであろう所、何度もありがとうございました。

(相談)1999.10.28
数野先生、こんにちは。今月初旬に、川崎市に在住する父の胃ガンの治療法についてご相談いたしました○○でございます。その節はたいへんありがとうございました。その際、治療の第一歩として、局所麻酔による手術をご提案いただき、父が病院ともその線で相談したようです。数野先生とのメールのやり取りのプリントも、父に送付の上、主治医の先生に見ていただく事もできたようです。ただ、当方普段群馬県にいるために、相談内容について充分な状況把握ができず、明日川崎の病院に出向き、父および担当医と直接話をしてこようと思っています。と申しますのは、もとより近日中に病院に出向いて局所麻酔の手術について話をするべく、日程調整を実家に頼んでおきましたが、その実家の母より昨日"手術はしない事に決めた、29日(金)にその旨病院に話をする"と唐突に電話があり、事はなにやら性急な結論へと向かっているような状況があるからです。(もっとも私としても、充分な検討の上、本人の意思を尊重し手術はしないという選択肢もありうるとも思っていますが・・・)

主治医の先生からは、"局所麻酔でも人工呼吸器を付けねばならなくなる事態はありうる""局所麻酔ではじめても全身麻酔に移行することもある"という話があったようですが、"だから"やはり全身麻酔で行くのか、それとも方針変更して局所麻酔の手術とするのかという肝心の点が、実家経由で間接的に聞く限りでは不明な状況でもあります。聞こえてくる話の中では、主治医の先生は、局所麻酔による手術にどうも消極的なようなイメージがあります。そこで明日病院に行くにあたって、数野先生にもう一点お伺いしておきたくメールしました。次の点です。手術が上手な外科医でなければ・・・という点ですが、全身麻酔に比べ局所麻酔術では具体的にどういう点が難しい点なのでしょうか。この点を、主治医の先生の話をお伺いするにあたって、できれば事前に把握しておきたく思っています。もし、事実局所麻酔に消極的ならば、それによって、なぜ消極的なのかという判断の一助にしたいと考えるからです。場合によっては新たな病院等を探すことも必要になるかもしれない、とも思います。本来ならば、主治医の先生とじっくり話をした上で、必要に応じてセカンドオピニオンを求めたり、資料収集をしたり、という手順を踏むべきだと思っているのですが、明日あるいは極端な結論が出てしまうかもしれない状況の中で(病院サイドも手術を受けるかどうか、という結論をもう出す時期だと考えているようです)、少し性急になっていることを御許しください。お時間が許されれば御返信をお願いいたします。乱文、失礼いたしました。

(答え)1999.10.29
お答えします。選択肢は沢山あります。もちろん手術をしないという選択肢もあります。

>手術が上手な外科医でなければ・・・という点ですが、全身麻酔に比べ局所麻酔術では具体的にどういう点が難しい点なのでしょうか。

まず局所麻酔は外科医自身がしなければいけませんので、必要な部分に必要な量の局所麻酔剤をうまく注射しなければいけません。局所麻酔で手術をしていた時代の医師には、その技術が備わっていました。次に局所麻酔では、筋肉の緊張を取ることができませんので、狭い視野で手術をすることになります。つまり手術がやりにくいわけです。全身麻酔の時には、筋弛緩剤という薬を使って、筋肉の緊張をすべて取った状態で手術が出来ますので、切開した腹壁を大きく開いて手術をすることができます。さらに、局所麻酔では医師の技術にもよりますが、痛みを完全に取ることが出来ませんので、本人はかなり痛みを我慢する必要があります。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1999.10.29
数野先生、ご返答確かにいただきました。これから、父の病院に向かいます。毎回の迅速なご返答、深く感謝いたします。

(相談)1999.11.1
数野先生、こんにちは。先日ご意見を伺いました群馬県の○○です。去る10月29日、父の入院先の病院に出向き、家族と担当医、両者と話し合う機会を持ちました。担当医と面談した際には、まず、
1.以前の説明によりこちらが認識していた、"全身麻酔をともなう手術の術後 (1weekから 2week)をのりきれる確率はフィフティーフィフティーというイメージ"は誤解であり、すべて問題なく退院までいける確率は7、8割はあるということ。
2.残り2、3割は合併症(肺炎等)を起こす確率があり、その場合になくなってしまう場合がフィフティーフィフティー、というのが説明した趣旨だった。
3.通常の場合(肺機能が健全な人?)でも問題なく退院まで行く確率は8割と説明しているので、7,8割というのは、それよりも少し難しい、というニュアンスである。
4.リハビリにより、肺活量は1,460、一秒量910まで回復しており、体力もあがり血色も良くなっている。動きを見ていても以前より動作がきびきびしてきているという点も見逃せない。しかし、肺活量等の数値はここのところ頭打ちにはなってきているので、これ以上全身状態が好転するのは考えづらい。猛暑の季節も過ぎ、今が手術のしどきだと考える。という話がまずありました。その上でこちらサイドから局所麻酔についての担当医の方の考え方をお伺いしました。その答えは以下のように要約できると思います。

1.腰椎麻酔と硬膜外麻酔を併用する局所麻酔は、下腹部にはよく効くが上部消化器には効きづらい。したがって、胃に極めて近い肺にも(なんらかの方法で)麻酔を"かぶせる"必要が出てきて、そうなると全身麻酔で肺にかけるリスクとそんなに変わらなくなる。
2.胃の病巣中心部のみの切除術と、当初計画していた1次リンパ節までの切除術では技術的な違いはほとんどない。病巣中心部のみ切除できるならば、1次リンパ節も同時に切除できる。(今のところの検査結果ではリンパ節には転移が見られていない)
3.一方で、局所麻酔術の技術的困難性を考えると、全体のリスクから考えて全身麻酔で手術をするのが妥当と考える。病院側では、手術日を11月10日に設定していて、受けるか否かを休み明けの4日の朝迄に意思表示をして欲しい、という事で面談を終えました。父は全身麻酔での手術を受ける方向で、考えているようです。

1.で本当に肺にも麻酔を"かぶせる"必要があるのかどうか、私にはわかりません。しかし、6月の入院以来、ガンという病気にしては長い時間をかけて、治療法をめぐってすったもんだしてきたという状況の中で、"スタートライン"である退院までの成功率が7、 8割とあらば、この辺が落とし所なのかな、と感じています。当初の絶望(成功率ゼロ)や "5分5分"に比べれば夢みたいな話ですから。

(答え)1999.11.2
メイルありがとうございました。ずいぶん明るい見通しになりましたね。担当医は、ご本人や家族の意志を試したのかもしれません。いずれにしても医師と医療スタッフを信頼して、お願いするしかないようです。あとは本人の生命力と気持ちにかかってきます。考えてみれば、人生はすべて "5分5分"です。明日のことはわかりません。今日を、今を大切に生きることが大切だと思います。みんなで支えてあげてください。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1999.11.2
数野先生、こんにちは。
> 考えてみれば、人生はすべて "5分5分"です。明日のことはわかりません。今日を、今を大切に生きることが大切だと思います。
自分たちも含めて、大事にしなけりゃいかんことですね。暖かいメールをありがとうございました。

(相談)1999.11.29
数野先生、お世話になります。先日、胃癌を患った父の件で麻酔方法など、アドバイスを頂きました○○です。その節はたいへんありがとうござました。父は11月10日の手術を無事に終わらせる事ができました。気管に挿管する全身麻酔でしたが、静脈や腰椎からも麻酔をかける方法だったようで、担当医の方々の努力の結果、術後の経過は当初の心配がうそのように順調で、合併症を引き起こすことなく 27日にはやくも退院することができた次第です。10日当日に術後の結果報告、26日に病理検査の結果をふまえて、主治医と面談することができました。その概略は以下のとおりです。

1.手術は胃の後半部半分弱を切除し、1群のリンパ節を郭清した。郭清した1群 のリンパ節のうち6番4dに転移がみられたが、目で見える範囲の病変部はす べて取り除くことができた。輸血の必要は無かった。

2.幽門部付近の中分化型腺癌で大きさは3.0cm×2.5cm。深達度は筋層まで。 癌のステージ分類としては"2"("中分化型"というのは初めて聞いたような気がします、聞き間違いでしょうか?)

3.術後の肺機能の測定数値では、わずかだが術前よりむしろ良くなっている部分がある。術後の発熱も不思議なほど少なかった。

4.現在及び退院後はまず消化剤・整腸剤と結核性胸膜炎の治療薬の投与を行なう。

5.現在までの所、抗癌剤の投与は行なっていない。退院2week後に外来で診察し、そのときから5FU系の抗癌剤"UFTEG"と免疫賦活剤"クレスチン"の投与をはじめる予定。

結論的にいうと、胃の主だった機能を温存した上に体力の回復を見て退院できたわけで、その意味からまさにベストの状態でスタートラインにつけたということになります。数野先生にご相談して手術を受ける決心がつき、よい結果を得ることが出来ましたこと、感謝にたえません。しかし、これからもまた問題です。郭清を1群にとどめたのは、肺への負担を考慮しての事のようですが、再発・転移の可能性は2群、3群も郭清する手術よりそれなりに多い、ということだと思います。その対策としての"UFTEG"(聞き書きです、後にいわゆるUFTの事だと理解しました)の投与をする予定だとの事であり、その説明の際は納得しました。しかし、その後に抗癌剤について書かれた書籍 (平岩正樹:医者に聞けない抗癌剤の話:海竜社,1999、タイトルが少しギモンですが・・)を読みましたら、巻頭、巻末に「 "UFT"という薬は充分な有効性が確認されていない」という記述を見つけました。先生のサイトでも、次のように書いておられます。

> UFTカプセルという抗悪性腫瘍剤(抗癌剤)です。抗癌剤は、副作用などで身
>体が受け付けないような場合には、もちろん飲めませんが、何の副作用もなく、
>飲める人もいます。残っている癌細胞が増えないようにと考えてのことでしょ
>うが、その人が抗癌剤を飲んだほうが飲まなかった場合よりも良いかどうかと
>いうことは分かりません。主治医との信頼関係の問題です。今の時点では、主
>治医とよく相談して、主治医が飲まなければいけないと言い、副作用がなけれ
>ば、続けてみるのも一つの選択肢です。毒でも効くと信じて飲めば薬になりま
>す。

どうも、5FU系の抗癌剤については経口のモノはあまり服用しても意味の無いようなイメージを受けます。考えてみれば、そのときの担当医の口ぶりも、あるいは"飲まなくてもよい"ぐらいの話し方だったので、ますます"飲む意味"が疑問になってくるわけです。つまりやはり"きやすめ"かと。もちろん、精神的な効果を期待するのもひとつの方法でしょうが、リンパ節転移のある進行癌で、 1群迄しか郭清していないことを考えると、これでいいのだろうか、という気がしてきます。つまり、再発・転移の可能性からいって、もっと有効性が確認されている抗癌剤の投与が必要なのではないか、と面談が終わった後になって思いはじめています。ちなみに前述の書籍では有効性について信頼度の高い抗癌剤が多数紹介されています。抗癌剤は早期の投与ほど(癌が小さいほど)効くという話もありました。また副作用に対処する薬剤も色々あるようですね。あるいは現在確認されている父の状態では、抗癌剤の副作用を考えると、"UFT"より "強いもの"は必要ない、ということになるのかもしれません。(担当医の説明ではステージ2での 5年生存率は8割ぐらい、という話でした)しかし、場合によっては、あらためて時間を取って担当の先生にこの辺の疑問をストレートに聞くべきだろうと考えています。数野先生はどうお考えになるでしょうか。もう少し、担当の先生と話を密にとれれば良いのですが、当方、病院や両親のもとから100KM以上はなれて生活しているものですから、なかなか思うようになりません。いきおい、メールでご相談できる数野先生に色々お尋ねすることになってしまいます。はなはだ恐縮なのですが、お時間のあいた折にでもよろしくお願いいたします。

(答え)1999.11.30
お答えします。まず無事退院されたとのこと、おめでとうございます。

>郭清を1群にとどめたのは、肺への負担を考慮しての事のようですが、再発・
>転移の可能性は2群、3群も郭清する手術よりそれなりに多い、ということだと
>思います。

父上の場合は、充分な手術が出来ているように思われます。

>あるいは現在確認されている父の状態では、抗癌剤の副作用を考えると、"UFT"
>より "強いもの"は必要ない、ということになるのかもしれません。(担当医の
>説明ではステージ2での 5年生存率は8割ぐらい、という話でした)
>しかし、場合によっては、あらためて時間を取って担当の先生にこの辺の疑問
>をストレートに聞くべきだろうと考えています。数野先生はどうお考えになる
>でしょうか。

これからは自分で治す努力が大切です。心の持ち方と生活習慣の改善など、治ると信じて、一日一日を大切に生きていくことが、一番の治療だと思います。抗癌剤は必ず副作用があります。効果だけしかない抗癌剤はありません。プラスとマイナスのバランスがとれるかどうかです。「角を矯めて牛を殺す」ということにならないように、担当医と良く話をして、本人の希望で決めることだと思います。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1999.12.1
数野先生、こんにちは。いつもながら、早速の御返信に感謝いたします。

> 父上の場合は、充分な手術が出来ているように思われます。
> これからは自分で治す努力が大切です。心の持ち方と生活習慣の改善など、
> 治ると信じて、一日一日を大切に生きていくことが、一番の治療だと思います。
> 抗癌剤は必ず副作用があります。効果だけしかない抗癌剤はありません。

貴重なアドバイス、ありがとうございます。父とよく話をして、与えられた幸運な状況を生かしていくように対処したいと考えています。いよいよ本格的に冬にむかってきました。先生もくれぐれもご自愛ください。

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[胃癌の手術を受け5年生存率は50%と言われたが不安]

(相談)1999.8.19
はじめまして。私は30歳の女性です。昨年7月、胃がんの告知を受け1週間後に5分の4ほど切除する手術を受けました。「リンパ節は第2群まで、周辺の血管も取ります」と説明されました。病理の結果、リンパ節1つだけ転移があり、胃は奨膜まで進んでいたそうです。周辺の臓器には幸いなことに転移はありませんでした。その後の治療は術後すぐに抗がん剤(薬剤名はわかりません)を2本、点滴に入れていました。現在、フルツロンカプセル(200mg)を服用しています。担当の先生は、5年生存率を「5分5分」といいます。信頼はしているのですが不安で、退院後書店で色々調べたのですが、その本によって20%だったり40%だったり・・・。先生曰く「本人にとっては0か100だから」。わかってはいるのですが、悲観的に考えているのではなく前向きに生きるために知っておきたい、覚悟しておきたいからなのです。現在の医学ではどのようになっているのか、教えてください。よろしくお願いします。

(答え)1999.8.20
お答えします。「現在の医学」では、5年生存率は40%ということになっています。しかし、「現在の医学」だから40%なのであって、もっともっと治るものです。あなたはベストの状態でスタートラインに着けたわけですから、治ると信じて、治すことだけを考えて努力することです。癌も自分で治す病気です。抗癌剤を飲むべきかどうかも含めて、自分で考え、自分で治してください。これからです。川竹文夫さんのホームページ「ガンの患者学研究所」を是非読んでみてください。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)1999.8.20
お忙しい中、早速のお返事ありがとうございました。アドレスが違うのですが、3aの5年生存率を質問した者です。昨晩、質問のメールを送ってから夫のアドレスで送ったことに気づき今朝、早々に自分のフォルダに移し変えました。夫は、私が自分の病気について調べることを快く思っていないので・・・。先生のアドバイスにありました川竹文夫さんのホームページ「ガンの患者学研究所」にアクセスしてみました。先生も書いておられましたが「抗がん剤を使う使わないの判断を含め・・・」。それについて、私は「使わなければ確実に再発の確率が高くなる」と勝手に思い込んでいました。1日に4C飲んでいたのですが副作用がひどく、血液の状態が悪くなりすぎたため4月と5月に薬を休んでいました。現在3Cに減らし再開しています。休んでいる間、とても体調が良かったので病気後休んでいたスポーツ(水泳とテニス)をまたはじめることも出来ました。現在は、また貧血がひどいため少し回数を減らしていますが・・・。これらのことを考えると、抗がん剤の効果を期待して飲み続けることに疑問を感じ始めています。ただ、薬を止める事に不安を感じるのも事実ですが・・・。あとお伺いしたいのは、前述したとおり私は週3回水泳をして、週1回テニスをしています。ハードな運動をした際に出る「活性酸素」に発ガンの要素があると聞いたことがあります。この程度の運動なら問題はないと思うのですが、また、貧血の場合激しい運動を控えなければいけないとも、どのようなものでしょうか?お答え、よろしくお願いします。

(答え)1999.8.21
お答えします。抗癌剤は使い方によっては、大変有力な武器となることもありますが、漫然と使用すればかえって害があります。特に内服の抗癌剤は効果があれば副作用がでますし、副作用が無いようなら効果は無いということになります。多くの場合は、医師の気休めとして処方されることが多いと思います。抗癌剤の服用だけでも、かなりの頻度で発癌するといわれています。あなたの身体の反応が正しい判断を示してくれると思います。「活性酸素」は身体の中では常に発生し、処理されていますので神経質になることはありません。貧血があれば激しい運動はできないと思いますし、健康維持のためなら体力にあった適度な運動が良いと思います。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1999.8.21
お忙しい中、いつもすぐお返事をくださりありがとうございます。内服の抗癌剤の事、活性酸素のこと、貧血のこと、本来なら主治医の先生に質問しなくてはいけないことなのに・・・。「特別怖くて聞きにくい」という先生ではないのですが、お医者さんの前になると萎縮するのはなぜでしょうか?それはさておき、数野先生のご説明、大変良くわかりました。学生時代から「大会に向け!!」というようなハードな運動をしてきたため、ついつい自分の体に負担をかけるほど運動してしまい、夫などによく注意されています。ストレスについても「私は気にならない、気にしない」と言いながら実際は溜め込んでいたようです。今まで「私は強い人間!!」と、自分の身体に無理させすぎたような気がします。あるガン患者の方が「自分の身体の声を聞こう」とあったのを、ようやくわかるような気がします。これから、まだまだ長い道があるのだから、無理をせず、自分の身体と付き合っていきます。ありがとうございました。

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[スキルス胃癌の末期と診断されたが手術や漢方薬は?]

(相談)1999.5.21
ホームページを拝見させていただき、初めてメールさせていただきます。実は先日父親(55才)が、スキルス胃ガンの末期と診断されました。見た目はまったくの健康体でしたので、本当にショックでした。顔色も良く、まったく病人には見えません。ですが、手術をしてみないことにはわからないのですが、最悪の場合は手術中に万が一の場合があるといわれ、ガンが他に転移などして、手遅れの場合はあと半年の命と宣告されました。私も、本を買ったり、インターネットで調べたりして、スキルスがどれくらい恐いかある程度の事は理解したつもりです。それも末期ということなので、他の臓器への転移はまぬがれないのかなと思ったのですが、CTや大腸への内視鏡など色々検査したんですが、今の所転移は見られないとのことでした。手術は24日の月曜日です。切ってみないことには、わからないと思うのですが、スキルスの末期と診断されても、他の臓器に転移してないことはあるのですか?あと、せめて試せるものはなんでも試してあげたいと思っているんですが、インターネットで見つけたんですが、中国の杭ガン漢方「天仙液・天仙丸」というのはどういうものなのですか?はじめてのメールで、色々書いてしまってすいません。しかも、文章もよみにくいと思います。上手くかけなくてすいません。お忙しいとは思いますが、お返事頂けたらうれしいです・・・宜しくおねがいいたします。

(答え)1999.5.22
お答えします。大変ご心配のことと思いますが、まず手術を受けて元気で退院することを目標にして、頑張ってもらってください。治るかどうかはそれからです。たとえ手遅れの癌でも治ることがありますし、逆に早期癌でも治らない場合もあります。癌とは、そのような病気です。最終的には、自分で治す病気です。「最悪の場合は手術中に万が一の場合がある」ということは、まずありません。そのようなことが無いように手術します。「スキルス、それも末期」ということは、あなたのメイルの内容からは考えられません。治ると信じて、治療を受けることです。癌を治そうとする気持ちが一番大切です。諦めたら終わりです。

「試せるものはなんでも試す」ことは結構ですが、本人が納得して、本人がこれと決めたものが良いでしょう。科学的(医学的)に見れば、この手のものは、どれもあまり差がないと思います。続けなければ意味がありませんので、手に入りやすく、あまり高価なものでないものが良いと思います。高価なものや何でも治るというようなものは、避けたほうが良いと思います。「天仙液・天仙丸」というものについては、知りません。この手のものには、ステロイド・ホルモンという物質が加えてあることが多く、一時的に効果が出たように感じます。退院の日がスタートライインと思ってください。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1999.5.23
お返事ありがとうございました。手術の成功を信じ、前向きな気もちでがんばっていきたいと思います。こういう時こそ、家族で団結していきたいです。また、手術が終わってからメールさせて頂くかもしれませんが、よろしくお願いします。ちなみに、今日は父親と母親との3人でゴルフにいってきました。どうしても、手術をする前に行きたいと父親が言っていたので・・・ですが、さすがにつらかったみたいです。胃も痛いとしきりに言ってました。入院してやせてしまったので、体力もなくなったので、フ〜フ〜言ってましたが、それでも、ラウンドを回ってしまった父親には驚かされました。病気は気もちで治るかも!と思わされました。お返事本当にありがとうございました。

(相談)1999.5.25
先日メールした○○です。昨日父親の手術が終わりました・・・ガンはとても進行していて、とることが出来ませんでした。スキルスの胃もそのまま残しました。おうかくまくや、大腸の入り口の所、すい臓まで転移がみられました。あと、余命3ヶ月と宣告されました。本人は、まだそのことをしりません。でも、術後回復したら伝える予定です。手術をして、治ると思っている父親にとってはとてもつらい結果だと思います・・・・杭ガン剤投与は受ける予定です。でも、まだ望みは捨てたくありません。もし、杭ガン剤がきいて進行が遅くなった場合はまだまだ元気でいられるんですか?フクマクエンにもなると言われました。フクマクエンとはとても辛いと聞きました。どんなものなのですか?お忙しいとは思いますが、お返事いただけたら・・・と思います。よろしくお願いいたします・・・

(答え)1999.5.26
お答えします。大変お気の毒ですが、治る可能性は奇跡に等しいくらいになりました。今後、どのような治療を選択するかということになります。残された時間の使い方と、奇跡を信じてどの治療方法に賭けるかという選択をできれば本人がすべきだと思います。病院での治療は抗癌剤しかないと思いますが、その場合、経過によっては退院できない可能性もあります。いままで、その病院で、父上と同じような状態の患者さんに対して行われた治療とその結果を聴いて、参考にすべきだと思います。抗癌剤治療の効果が分かると思います。

これからの予想は難しいことですが、まず食べられるようになるかどうかというが問題です。食べられないと回復が遅れます。癌性腹膜炎の状態になると、腹水が溜まって、痛みが出て、食べられなくなったり、便やガスや尿が出なくなったり、黄疸が出たりします。胸に水が溜まることもあります。これからは、出てきた症状に対して、治療方法があれば治療を受け、痛みや苦痛を取ってあげることが大切になります。ではまたいつでもメイルをください。

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[スキルス胃癌4期で手術して6年経過したが腸閉塞になり腹水が溜まる]

(相談)1999.5.15
初めまして。私、○○と申します。今回、父の癌についての相談のためメールお送りました。父は93年の6月に胃癌と診断されました。悪性といわれるスキルスで、4期に入ったところでした。その時は即入院し、胃の全部と脾臓、すい臓やリンパを摘出するという大手術をしました。担当の先生から5年生存率は30%と言われ、一度は父の死を覚悟したのですが、奇跡的に回復し昨年無事5年が経過しました。家族全員が喜んでもう大丈夫と思ったのですが、昨年末から「お腹が痛い」と言い出し、2月に一度病院に行った時に腸閉塞になりかかっているといわれました。その時は薬をもらってきただけでした。しかし、3月にはあまりにも痛く、またお腹がパンパンに張ってしまったので病院に行ったところ入院することになりましたが、その原因が腸結核かポリープか癌の再発のどれかとのことではっきりしませんでした。とりあえず、鼻からチューブを入れて内容物を出したら楽になってガスも出るようになったので、1週間で退院することができました。しかし、家に帰ってからも調子は悪く、お腹が張るのが続き、薬を飲んでも全然便が出なくなり、とうとう5月7日に再入院しました。その間、食事をすると苦しいといってほとんど食事ができず、最後の頃には食事をすると吐いてしまうようになりました。現在、入院中で検査ばかり行っていますが、相変わらず原因が特定されません。体重も随分減ってしまいました。先生は父に向かって「なかなか原因がつかめない」とおっしゃっているそうです。先日、エコーの検査を行ったところ、お腹に水が溜まっていたのでそれを取り出し、検査したところ膀胱が悪いらしいとも言われたそうです。一方、母が先生に再発の可能性を伺ったところ、「多分、再発でしょう。」とも言われたそうです。先生はどのように思われますか?ちなみに癌マーカーの値は低いそうです。お時間のあるときにお返事をいただけますと幸いです。よろしくお願い申し上げます。

(答え)1999.5.16
お答えします。残念ながら一番考えられることは、癌性腹膜炎だと思います。その原因としては、やはり前回手術した胃癌の再発の可能性が高いと思います。一般的に、癌で手術して5年たてば治ったということにしますが、まれに5年以上たって再発する人がいます。乳癌では10年以上たっても再発・転移する人がいます。もちろん、ほかのところにできた癌が原因の可能性もあります。また腫瘍マーカーの値が低いともことですが、このことについても、癌にもかかわらず腫瘍マーカーの値が上がっていない場合と、癌でない場合とありますので、担当の医師に良く聴いて、必要な治療を受けることになります。人間の身体は不思議なことが多く、まだまだ分からないことが沢山あります。良い意味でも悪い意味でも、先のことは分かりません。元気な人でも明日のことは分かりません。人間として生きているということが、すでに奇跡なのです。病気の人も、元気な人も今生きているということにおいては、同じなのです。今を大切に生き、生と死について考えてみてください。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1999.5.16
お忙しい中、早速お返事を下さいましてどうもありがとうございます。率直に申しまして、覚悟していましたので先生のお返事を不思議なくらい冷静に読ませていただいております。しかし、確実な診断がついたときにはやはり動揺してしまうことと思います。父のほうは相変わらず検査の日々が続いております。先日、内視鏡の検査を行おうとしたところ、直腸にもファイバーが入らなくなってしまい、後日再検査となってしまったそうです。このような状況からみて、余命はどのくらいと考えられるのでしょうか?すでに処置もできないくらいになっている可能性もあるのでしょうか?そうでないことを祈りつつも、やはり色々と考えてしまいます。とにかく本人はもちろん、母もかなりショックを受けています。しかし一番辛いのは父であるのだから、家族みんなで力を合わせて父のことを励ましていこうと話しております。先生の「元気な人でも明日のことは分かりません。人間として生きているということが、すでに奇跡なのです。病気の人も、元気な人も今生きているということにおいては、同じなのです。今を大切に生き、生と死について考えてみてください。」というお言葉が胸に響きます。これからも色々と相談させてください。よろしくお願い申し上げます。

(返信)1999.5.17
お答えします。手術後の患者さんの大腸の内視鏡検査は大変困難です。癒着のためにファイバーが入らない場合が多いと思います。診断がはっきりしませんので、余命については分かりません。もし癌性腹膜炎で、すでに処置もできないくらいになっていて、治療の効果がなければ、お盆を越すことが難しいかもしれません。

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[高齢で胃癌と直腸転移に胃切除と人工肛門手術を受けたが経過が悪い]

(相談)埼玉県1999.4.24
初めてお便りさせていただきます。77歳の父が、胃癌で胃を2/3切除、併せて直腸に転移した胃癌を摘出し人工肛門にする手術後13日目で胃のチューブを外したところ、翌々日に嘔吐物が肺に入り嘔吐性肺炎、心臓停止5分後蘇生致しました。蘇生後の先生からの説明では、縫合不全はないのですが、感染症のため傷口からの出血もありますとのことでした。蘇生翌日のCTにうつらなかったところが翌々日うつっていたこと、内臓の状態や自発呼吸もすこしずつ上向いているそうです。このような状態なのですが意識回復の可能性は何%位あるものでしょうか。たとえ意識が回復しても脳の障害や感染症など、どうなるのか大変心配です。お忙しいところたいへん恐縮ですがご意見をいただけたらとおもいます。どうぞよろしくお願いいたします。(もし相談室に掲載する場合は,仮名でお願いいたします。)よろしくお願いいたします。

(答え)1999.4.24
お答えします。「胃癌で胃を2/3切除」というのは、よくあることですが、「併せて直腸に転移した胃癌を摘出し人工肛門にする手術」というのは初めて聞きました。ご本人も納得の上での手術だったのでしょうか。77歳のご老人に、ずいぶん大きな手術をしたものですね。しかも「手術後13日目で胃のチューブを外した」とのこと、これも普通の経過では考えられないことです。消化管(胃と腸)に通過障害(食べたものが、下へ下へと順調に送られない状態)があったと思います。胃と腸の吻合部(縫い合わせた部分)が狭かったのか、手術で麻痺した腸の運動が十分回復していなかったか、腸のどこかに癒着が起きたかだと思います。その結果が「翌々日に嘔吐」ということになったようです。「嘔吐物が肺に入り嘔吐性肺炎」、この肺炎(消化液の誤嚥による肺炎)だけでも命取りになることがあります。「心臓停止5分後蘇生」とのことですが、おそらく脳の虚血時間(脳に必要な血液が流れていなかった時間)は、もっと長かったと思われますので、脳の回復は困難ではないかと思います。

「縫合不全はない」というのは、胃と腸の吻合部のことだと思います(消化管の通過障害の原因は縫合不全ではないという意味だろうと思います)が、「感染症のため傷口からの出血もあります」とは、どこの傷口のことでしょうか。「蘇生翌日のCTにうつらなかったところが翌々日うつっていた」とのことですので、お腹の中の話しのようですね。主治医は、その傷口からの出血のために、何が起きていると言おうとしているのでしょうか。高齢であり、肺炎を起こしていて、「感染症と傷口からの出血」があり、「内臓の状態」も良くなく、「自発呼吸」も十分でなく、「意識」も無いということからすれば、お気の毒ですが回復の可能性は少ないと思いますが、主治医の先生はどのように話していますか。

(相談)1999.4.27
ご返信ありがとうございます。繰り返し読ませていただきました。今現在、主治医の先生からは高齢なので意識の回復が遅れるだろう、高熱が続くと危ないかもしれないとの説明がうけています。父の病状と主治医の先生に説明されたことを日を追って記してみます。
3月1日、めまいにより地方の病院に検査依頼、病院の坂を上っているうち、具合が悪くなり、そのまま入院、検査。検査の結果胃癌と大腸への腹膜転移、すぐにも手術を、場合によっては、人工肛門の必要ありといわれる。
3月15日、本人の希望により、転院。転院先の病院で検査、告知。肝臓と肺への転移はなく、胃の出口と直腸に癌があり、原発性か、転移かわからないので、その調査のためと今後の治療の方向性を決めるため、試験開腹を行い、そのとき、状況によっては胃のバイパス手術を同時に行うかもしれない、又は根治手術の方向か、きめますとのこと。(根治手術の場合高齢なので体力面からみて2度に分けた方がいいだろうとのこと)
3月29日、試験開腹の結果、手術が可能とのこと。後日手術の説明あり。胃癌は胃壁を破っていること、胃癌と大腸癌か、直腸の部分は胃癌の転移なのかまだはっきりしないが、胃と直腸の癌は顔つきがよく似ているので転移の可能性もあるとのこと、腹腔内は目に見えるものはないとのこと、胃癌は2/3切除(40歳代なら全摘だが年齢を考慮して、ただし場合によっては全摘の場合もあるとのこと)、リンパ節は1群まで疑われるので2群まできれいにするとのこと、直腸のほうは、肛門部を残す形で人工肛門にすること、両方の手術を弱めて1度の手術にすること、(2度に分けても両方が同等の時間がかかるし2度目は癒着がひどいので、との説明でした)血液濃度が標準の4割程度であること、咳がでやすい体質であること、輸血が必要であること、合併症で亡くなる可能性は5人に1人位とのこと、等の説明をうけました。
4月5日、手術。直腸の癌は胃癌の転移であること、細胞レベルまでいっているだろうとの説明を受ける。回復室へ。翌日より歩行開始(午前中1回、午後1回)。
4月8日、熱38度8分。
4月12日、お腹の表面部分の縫い目が膿んでいたので、縫いなおす。お腹の中のほうは大丈夫とのこと。気管切開。
4月15日、胃と腸の検査。検査結果が良ければ胃のチューブがとれるとのことだったが、胃液が多いため、もう少しこのままでとのこと。手術の傷の痛みより導尿管が耐え難く、導尿管がとれるのを強く希望していたため本人がっかりする。手術後から痛み止めのせいか、多少おかしな言動が目立ったが,この頃落ち着いてくる。熱は高いときで38度ぐらいまで上がるときもあったが、先生のほうからはその原因がわからないとの話を聞く。
4月18日、だいぶ日もたったのでもういいでしょうとのことで、胃のチューブを外す。
4月19日、3回嘔吐。3〜4日前より肺が痛み、この日呼吸が苦しいとの本人の訴えあり。
4月20日、午後12時30分頃、看護婦さんが喉の痰を取ろうとしていたところへ見舞客。遠来の見舞いのようなのでと、看護婦さんがそのまま退室。午後1時頃具合が悪くなり、先生が処置に入る。午後4時位まで処置が続く。脳のCT検査。その後の先生よりの説明で、心臓停止5分後、電気ショックにより、蘇生したとのこと。縫合不全はなく、誤嚥性肺炎と感染症があり出血があること、脳障害の心配があること等の説明がありました。(後に看護婦さんに、この日の処置中の心拍数の記録は最低40で、心臓停止時は0なので心臓停止ではないと聞きましたがそういう場合でも電気ショックをするものでしょうか?)
4月21日、午後気管切開。
4月22日、熱、朝37度2分、夜38度3分位。脳のCTの結果がよく1週間くらいで意識が戻るのではないか、との先生よりのお話。
4月23日、熱、朝39度、夜38度位。個室に移動。
4月24日、熱、朝40度、夜38度位。口から泡状のものを絶えず出している状態で看護婦さんが1人つききりで診てくれる。先生より危ないかもしれないとのお話。脳のCTの結果が悪く高齢なので意識回復が遅れるかもしれないとのこと。
4月25日、熱、朝38度、夜37度8分位。抗生物質が効き熱が下がったがまた上がる可能性はあるとのこと。酸素吸入器1分間に14回。(血液中の酸素濃度の値が良かったので15から14にし、自発呼吸を促しているとのこと)肘、膝の関節を動かすようにとの指示がある。現在、お腹部分の縫い目が10cmぐらい開いたままです。

不明瞭な部分もあるかもしれませんが、以上が今までの経過です。だいぶ長くなってしまい、お手間をおかけいたしますが、意識回復や脳障害についてのご意見をいただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

(答え)1999.4.28
お答えします。4月24日の時点で「危ないかもしれない」「高齢なので意識の回復が遅れるだろう」と言われたようですが、「危ないかもしれない」というのが主治医の本音ではないでしょうか。今までの経過を大変興味深く読ませていただきました。あなたのメイルから分かる範囲で感想を述べさせてもらいます。

3月1日、具合が悪く入院。検査の結果胃癌と大腸への腹膜転移、すぐにも手術を、場合によっては、人工肛門の必要ありといわれる。(医師が「すぐにも手術を」という時には、「医学的にみて手術は早い方が良い」という場合と「患者を逃がしたくない」という場合があります)
3月15日、本人の希望により、転院。胃の出口と直腸に癌があり、原発性か、転移かわからないので、試験開腹。根治手術の場合高齢なので体力面からみて2度に分けた方がいいだろう。(3月29日の試験開腹の結果でも、胃癌と大腸癌か、直腸の部分は胃癌の転移なのかはっきりしておらず、試験開腹の目的がはっきりしませんし、常識的には、こんなことはしません。その結果、今度は「両方の手術を弱めて1度の手術にする、2度に分けても両方が同等の時間がかかるし2度目は癒着がひどいので」とのこと、全く逆の説明です。「合併症で亡くなる可能性は5人に1人位」とのこと、そんなに危険な手術は、よほどの理由がなければしません。)
4月5日手術。直腸の癌は胃癌の転移である。(「細胞レベルまでいっているだろう」との説明ですが、聞き違いだと思います)回復室へ。(「翌日より歩行開始」ということですが、この病院では、これが普通なのでしょうか、このことだけ異常に先進的です)
4月15日胃と腸の検査。(胃のチューブは胃液減るか、腸の運動が回復すれば普通術後数日で抜きます。「だいぶ日もたったのでもういいでしょう」ということはありません。その結果4月19日に嘔吐したのだと思います)
4月20日、心臓停止5分後、蘇生したとのこと。縫合不全はなく、誤嚥性肺炎と感染症があり出血があること、脳障害の心配があること等の説明がありました。(電気ショックをするのは心室細動の時だけです。またこの時点で脳のCT検査をしても何も分からないと思います)
4月21日午後気管切開。(4月12日にも気管切開が行われていますが?)
4月23日個室に移動。(いよいよ重態とということでしょうか。「看護婦さんが1人つききりで診てくれる」ということからも、時間の問題という感じです)
4月25日酸素吸入器1分間に14回。(レスピレーター(人工呼吸器)で人工呼吸をしているのですね)

お気の毒ですが、回復は困難だと思います。もうそんなに時間は無いようにも思います。このメイルが間に合えばよいのですが。

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[吐血して検査したところ悪性の胃潰瘍で早期の手術が必要と言われた]

(相談)枚方市1999.4.14
はじめまして。大阪府枚方市在住の○○と申します。インターネットでここのコーナーを見つけました。約3年ほど前から精神的に滅入ったりすると、吐くことが多かったのですが、先週末に軽い胃炎程度のつもりで通院したところ、本日病院から手術を勧められて当惑しており、御相談メールを送らせて頂きました。お忙しい中で申し訳ありませんが、下記の件について御回答のほどよろしくお願いいたします。
4/3土曜日、朝:紅茶とミックスサンドを食す。約1時間後にファーストフード店でホットケーキを食し中に気分が悪くなり、吐いたところ真っ赤な液体と食べた物が入り混じったようなモノが出てきました。昼:ぜんざい、草加煎餅1枚、お茶漬け(柴漬け大さじ1弱)を食す。3時頃:シュークリーム1個、紅茶を食す。その2時間ほど後に再び気分が悪くなって、フラフラになりながらトイレへ駆け込んで吐いたところ、やはり出てきたモノが真っ赤でした。1回目に比べると大量でしたが、固形物は少なく赤い液体に黒い固形物が混じる程度でした。その1時間ほど後に吐いたときには、固形物はなく茶色いカスの様なモノが少量出てきました。それから2日後に出てきた便は炭のように真っ黒でした。その後、左の肩胛骨と背骨の間あたりにズキンと鈍い傷みがある事以外、吐いたりすることもなく食欲も排便も好調ですが、気になったため近くの胃腸科診療所で腹部エコーと腹部レントゲン、胃カメラ(同時に組織検査)血液検査をしたところ、ここの診療所では手に負えないということで、近くの大きな病院(大阪府枚方市 星ヶ丘厚生年金病院)を紹介されました。

診療所での検査結果は、血液検査の結果としては、下記の項目がやや異常値を示したほか、アミラーゼ:151やや高値、赤血球数:341やや低値、ヘモグロビン:10.2 やや低値、ヘマトクリット:30.4 やや低値、厚生年金病院では、早期ながらも胃壁に悪性の潰瘍が見つかったということで、早期の手術を勧められました。はっきりと癌と告知されたわけでないのですが、今なら手術によってほぼ完治可能ですが、このままほっておいても完治しないとのことです。胃の2/3〜4/5と周辺リンパ節の除去ということなのですが、個人的に開腹手術に対して抵抗があり今ひとつ踏み切れません。開腹せずに済む方法、または別な医療機関にも相談した方がよろしいのでしょうか?

(答え)1999.4.15
お答えします。「厚生年金病院では、早期ながらも胃壁に悪性の潰瘍が見つかったということで、早期の手術を勧められました。はっきりと癌と告知されたわけでないのですが、今なら手術によってほぼ完治可能ですが、このままほっておいても完治しないとのことです。胃の2/3〜4/5と周辺リンパ節の除去ということなのですが、個人的に開腹手術に対して抵抗があり今ひとつ踏み切れません。」

現在の病気の状況がはっきりしませんので、断定的なことは言えませんので、一般的なことを言います。もし早期の胃癌であれば、最近は開腹手術をしないでも内視鏡的に切除できる場合もあります。それなりの技術が必要ですので、どこの病院でもできるというわけにはいかないようです。枚方の近くでは、寝屋川市の松下記念病院か、枚方市民病院ではないかと思います。担当医によく相談してみてください。

(返礼)1999.4.17
先日お返事をいただきました、大阪府在住の○○と申します。早速のお返事まことにありがとうございました。
「 現在の病気の状況がはっきりしませんので、断定的なことは言えませんので、一般的なことを言います。もし早期の胃癌であれば、最近は開腹手術をしないでも内視鏡的に切除できる場合もあります。それなりの技術が必要ですので、どこの病院でもできるというわけにはいかないようです。枚方の近くでは、寝屋川市の松下記念病院か、枚方市民病院ではないかと思います。担当医によく相談してみてください。」
診療所から紹介状をいただくときに、診療所の医師から枚方市民病院か現在の厚生年金病院かを聞かれたの折りに、以前父がお世話になったといういきさつもあって年金病院にしたのですが、治療方針の他、公共機関での通院のことも考えると、枚方市民病院の方がバス1本で行けるメリットもあり、(自家用車だと年金病院の方が若干近いです)今後のこともありますので、よく考えて相談してみます。お忙しい中、まことにありがとうございました。

(返信)1999.4.17
メイルありがとうございました。厚生年金病院は、院長も整形外科の先生ですし、整形外科的な病気やリハビリテーションが専門の病院ではないでしょうか。枚方市民病院が良いと思います。その他にも、大阪府立成人病センターなどもあります。近畿地区にはがんセンターがないようで、成人病センターがその役目をはたしているようです。ではまたいつでもメイルをください。

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