[遺伝子治療]

[子宮癌と大腸癌の手術後に末期状態の直腸癌が発見されたが遺伝子治療は?]

→ガンに関する一般的な相談 →見出しページへ


[子宮癌と大腸癌の手術後に末期状態の直腸癌が発見されたが遺伝子治療は?]

(相談)静岡2000.3.1
はじめまして。先生のホームページを読ませていただいて、ぜひ、ご相談にのっていただきたいと思いメールしました。私は静岡に住む27歳の女性です。実は54歳になる母親の病気についてですが、現在、盲腸のあたりと直腸(肛門から20センチあたりに)に癌があり、手術もできない末期癌の状態である為、先週医者から余命半年〜1年の宣告を受けました。盲腸あたりの癌は、去年の9月に腸閉塞をおこし手術を行いましたが、背中に広範囲にくっついている状態の為切除できず、腸閉塞だけを治した手術でした(別にパイプを通しました)。その後、抗がん剤の治療をしながら、民間療法として栄養療法など始めました。どちらが効いたのかは分かりませんが、12月の時には、腫瘍も小さくなり腫瘍マーカーの数値もよくなってきたと言われた為、とりあえず安心していました。ところが、今年に入り2月頃から貧血がひどくなり入院して検査したところ、直腸に癌ができていることが分かりました。今そこから1週間に500ccぐらい出血をしている為、定期的に輸血をしなければならない状態です。かろうじて今便が通っている状況で、もしふさがってしまった場合、人口肛門にするかなどはその時考えましょうと医者から言われました。

そもそも母親が癌に侵されたのは4年前で、その時は子宮と腸の一部とかなり大きな手術を行いました。その時調べた腹水から癌細胞が見つかった為、一年持つか分からないと宣告されました。当時、父親が生きていた為私は知りませんでした(ちなみに父親は2年前に胃がんで死去しました)。それから一年間抗がん剤治療を定期的に行いましたが、再発が見られなかった為抗がん剤治療はやめましたが、1年半前に腫瘍マーカーの数値が上がってきたので再発とみなし、また抗がん剤治療を始め、今に至ります。現在は抗がん剤治療も効かなくなってしまった為やめています。話が前後してしまった上に長くなって申し訳ありません。母親は自分の病気について癌ということは分かっていますが、今回の状況については話していません。しかし、私が思うになんとなく分かっているような気がします。食も細くなり、体力的にはかなりしんどくなってきているようですが、落ち込んだりせずに明るく生活しているのがなにより救いです。そこで先生にご相談したいのですが、もう本当に医療的には為す術はないのでしょうか?

先日、TVで遺伝子治療について放映されていたのを見て、早速インターネットで調べました。適応判定の基準にはかなり該当していると思ったのですが、やはり素人なので母

親にも治療を受ける権利があるのがどうかよく分かりませんでした。そこで先生のご意見を教えてください。少しでも打診してみる価値があるのであれば、担当の先生と遺伝子治療を行っている岡山大学病院に連絡をとってみたいと思うのですが・・・。そして、なによりも母親に病状を話し説得したいと考えています。突然のメールで本当に申し訳ありません。なんでも構いませんので、なにかよい情報がありましたら教えてください。よろしくお願いします。

(答え)2000.3.2
お答えします。大変ご心配のことと思います。私は岡山大学の卒業生ですが、岡山大学で行われている遺伝子治療の対象は肺癌に限られています(最近、前立腺癌も承認されたと思います)。現在行われている遺伝子治療は局所療法と考えておいたほうが良いと思います。起死回生の効果は期待できません。出血に対して輸血を繰り返したり、抗癌剤を使っていると、身体の免疫力は低下していますので、まず出血をとめることが大切だと思います。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)2000.3.3
早速のご返答ありがとうございました。やはり遺伝子治療は肺癌に限られていたんですね。ところで出血を止めたほうがよいということでしたが、何か方法があるのでしょうか?担当のお医者さんの話だと、出血を止めることに関しては何もおっしゃっていませんでした。ずっと通院を続けていたにも関わらず、今回新しくできた癌が今になって見つかったことに対して、やむを得ないことだったのか、疑問を感じます。出血がどんな状況で起こるのかもよく分かりませんが、もっと早い段階で見つかっていれば、対処方法があったのではないかと思ってしまいます。直接担当のお医者さんに、聞けばよいのですが家族の立場である以上、なかなか本音をぶつけることはできませんし、すぐに会うことができないのが現状です。そんな状況の中で、先生のメール相談は大変ありがたく思っております。そんな訳で、度々質問をして申し訳ありませんが、出血に関して、またご返答いただきたいと思います。

(答え)2000.3.4
お答えします。確かに癌の治療を受けている患者さんの経過としては、大変疑問が残ります。今回の大腸の癌がもとの癌と関係がないのか、なぜ早く発見できなかったのか、適切な治療をしてきたのかなど、不思議です。消化管の癌は、放置すれば出血するようになるか、狭窄して通過障害を起こすことは常識です。やはり最も確実な方法は手術ですが、最近は他にも色々な方法があります。たとえば血管内治療で出血をとめることもできます。担当医によく聴いてみてください。ではまたいつでもメイルをください。

→ガンに関する一般的な相談 →見出しページへ