[肝臓癌2]

[肝臓癌で治療を繰り返しているがリザーバー治療に変えると言われた]
[C型肝炎から肝硬変、肝癌になり肝動脈塞栓療法を受けるが腹水がある]

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[肝臓癌で治療を繰り返しているがリザーバー治療に変えると言われた]

(相談)1999.6.19
はじめまして。先生のHPを拝見させていただき、相談者の疑問・不安に真摯にコメントされる姿に私(36歳・男)もすがりたく、メールを送りました。私の父(68歳)は二十数年前から肝炎を患い、肝硬変(レントゲン等でみるに肝臓の形はしっかりしていると思うのですが)、肝臓癌(4〜5年前から)へと進行してしまいました。本人も了解しています。肝臓癌になってからは入退院を繰り返しながら、TAEやエタノール注入療法、超音波で焼く方法?を行ってまいりました。前回は3つある腫瘍の1つにエタノール注入療法を2回行いましたが、いずれもうまくいかず(血管に流入してしまった)、超音波治療待ちの間退院している状態でした。ところが突然先生に呼ばれ、以下のことを告げられました。
(1)腫瘍は3つと思っていたが、MRIをとった結果、2ヶ月前には見られなかった小さな腫瘍が複数できていることがわかった。
(2)今までの治療方法ではいたちごっこなので、治療法をリザーバーに変えたい。
(3)但し効果はあまり期待できず、一般的に言って6ヶ月〜1年くらいの寿命と覚悟して欲しい。
(4)色々と治療が続いているので、本人のためにも1〜2ヶ月様子を見てみたい。
(5)リザーバーの副作用は、一般的な抗がん剤治療と比べて少ない。ほとんどでない人もいる。
(6)リザーバーに変えるとTAEができなくなる。
今までそんなことは一度も聞いておらず、定期的に検査もしていたので、まさに晴天の霹靂、信じられない心境です。そこで是非とも先生に教えていただきたいことがあり、以下にご質問申し上げます。お忙しいところ申し訳ございませんが、よろしくお願い致します。
Q1:上記状況は末期ガンというのでしょうか? ステージでいうとどの位になるのでしょうか?
Q2:私にとっては急変としか思えないのですが、このようなことは通例なのでしょうか?
Q3:治療法としてリザーバーが最適なのでしょうか? 素人の聞きかじりで申し訳ありませんが、「遺伝子治療」「免疫療法」「肝切除」「生体肝移植」等の治療法の名前を聞きますが、父の場合効果はないのでしょうか?また、TAE・エタノール注入を根気良くやるのは無理でしょうか?
Q4:治療は1〜2ヶ月後まで待てるものなのでしょうか? すぐはじめるべきでしょうか?
Q5:リザーバーの副作用は一般的にどのようなものなのですか?
Q6:今まで1つの病院しか受診していません。もう一度別な病院で診察を受けさせたいと思っていますが、無駄でしょうか?札幌におりますがこの病気に詳しい病院をご存知ありませんでしょうか?
Q7:以上、治療に際し最善の努力をしたいと考えておりますが、あまり効果がなく、本人を苦しめるだけならそれもどうかと思ってしまいます。治療を開始しても一生治る見込みがなく、また一生治療による具合の悪い状態が続くのであれば、そしてこの1〜2ヶ月治療を遅らすことの影響がないのなら、今は元気ですので家族で旅行等楽しみたいとも考えます。どうすれば良いかご指導願えませんでしょうか?質問ばかりで、また長々と大変申し訳ございません。誰に相談してよいか迷っているところに、先生のHPと出会いました。どうぞよろしくお願い致します。

(答え)1999.6.19
お答えします。大変ご心配のここと思います。
Q1:上記状況は末期ガンというのでしょうか?ステージでいうとどの位になるのでしょうか?
残念ながら残された時間は担当医の話しの通りだと思います。肝臓癌の場合には、ステージ分類がありません。
Q2:私にとっては急変としか思えないのですが、このようなことは通例なのでしょうか?
ごく普通の経過だと思います。典型的と言っても良いでしょう。
Q3:治療法としてリザーバーが最適なのでしょうか?
残念ながら、すでに治療方法がリザーバーによる方法しか無いということだと思います。
Q4:治療は1〜2ヶ月後まで待てるものなのでしょうか? すぐはじめるべきでしょうか?
分かりませんが、あまり差がないかも知れません。
Q5:リザーバーの副作用は一般的にどのようなものなのですか?
副作用は少ないと思いますが、身体に異物を入れるわけですから、そのためのトラブルがあるかもしれません。
Q6:今まで1つの病院しか受診していません。もう一度別な病院で診察を受けさせたいと思っていますが、無駄でしょうか? 札幌におりますがこの病気に詳しい病院をご存知ありませんでしょうか?
インターネットでの知識では、国立札幌病院が一応「北海道地方がんセンター」という名称になっていますが、内容は分かりません。病院での治療は、すでに限界に来ていると思います。
Q7:以上、治療に際し最善の努力をしたいと考えておりますが、あまり効果がなく、本人を苦しめるだけならそれもどうかと思ってしまいます。
残された時間の使い方は、本人と家族で考えて決めてください。末期的な癌で、こうしたほうが良いとか、こうしなければいけないなどどと言うことはできません。最後の2ー3ケ月までは普通に生活できますので、本人の意志を尊重してあげるのが良いと思います。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)1999.6.21
早速返事を頂きまして大変ありがとうございました。非常に悲しいことですが、現実を真摯に受け止めざるを得ないのでしょうか。ただ、まだあきらめきれないのが正直な心境です。恐れ入りますが、肝臓ガンに対しての以下の治療法の効果、問題点等を再度教えてください。
・遺伝子治療  ・免疫療法  ・生体肝移植  ・肝切除
また、今父に告知をすべきか、精神的に強くない母に言うべきか、私の妻にどう話すべきかを非常になやんでいます。先生のHPを拝見していると本人へ告知した方が良いとのことですが・・・。その方がやはり本人にとって良いのでしょうか?ともかく今は自分が精神的に立ち直り、しっかりすることだと思っています。申し訳ありませんが、また色々相談にのって下さい。お願い致します。

(答え)1999.6.22
お答えします。残念ながら病院での治療で今の状態を良くする方法はありません。参考までに質問にお答えします。すでに肝切除は不可能です。肝臓癌に対する遺伝子治療はまだ行われていません。肝臓移植(生体肝移植も)は肝臓癌の治療方法としては行いません。免疫療法も一般的な治療としては行われていません。

つまり病院での治療は限界に来ています。何か活路を見いだすとすれば、病院以外での治療方法と言うことになります。告知については、もしあなた自身だったらどうして欲しいか、どうしたいかを考えてみてください。これからの治療をどうするのか、残された時間をどのように使うのか、一体誰が、誰のために決めるのでしょうか。告知は、ただ病名や病状だけを告げることではありません。最後まで、希望を持って生きれるように、みんなで支えてあげるという約束をすることです。苦しみを共に分かち合い、支えてあげるということです。告知しないということは、そのようなことができない、しないということです。本人にとっては大変お気の毒だと思います。

闘うのか、諦めるのかは本人次第ですが、一つのホームページを紹介しますので、是非見てください。川竹文夫さんの「ガンの患者学研究所」です。どんな癌でも自分で治すことができるというページです。ではまたいつでもメイルをください。

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[C型肝炎から肝硬変、肝癌になり肝動脈塞栓療法を受けるが腹水がある]

(相談)1999.5.31
はじめまして。検索をしていて先生のホームページにたどり着きました。いろいろに戦っている人がたくさんおられて涙があふれてしまいました。67歳になる父についての相談なのですが、C型肝炎から肝硬変、そしてどうやらガンができている様です。おまけに糖尿病、膠原病(サルコイドーシス)まで患っており1人で我が家の病気を背負ってくれています。糖尿病は血糖降下剤により安定しており、サルコイドーシスも2ヶ月に1度の通院で治まっています。(C型肝炎はサルコイドーシスで入院中、輸血した時に感染したらしく、どちらも20年前位になった。)しかし昨年の11月ごろから、腹水がたまり始めていたようで、今年の4月に入院して抜きました。腹水のためか、脱腸でおへそが飛び出ていますが手術はできないみたいです。その間、インフルエンザにかかり、いつもにも増して薬を飲んでいたのが悪かったのか、しんどい状態が続きました。一度退院したのですが5月にまた腹水を抜くために入院しました。どちらとも3000cc位たまっていたみたいです。2度目に抜いた腹水には蛋白が出ていたようですががん性のものは見られないとのことでした。現在も少しずつたまっている様です。CTと超音波で1.5cmの影があり腫瘍マーカーは600、ICGは29%、血小板は10万だそうです。

主治医は、「はっきりガンとは言えないけれどおそらくガンでしょう。今ならまだ肝動脈塞栓療法ができるので..。」とのことでした。いきなり本人に告知するお医者さんが多い中、幸いにもとてもよく患者や家族のことを考えてくださる先生なのでおまかせするしかないと思っています。が術後に肝不全になる可能性があるとのこと、今、食欲も出てきて割と元気な姿を見ると少しためらいがあります。本を見ると普通は4〜5日で退院出来るとあり副作用など考えると本当にしてもいいのかなという気になります。やはり術後はかなり辛いのでしょうか?父の場合1〜2週間が危険だと言われました。実は私は1人っ子でありながら結婚して遠く(山口〜岐阜)に住んでおり、全く母ひとりに任せきりの親不孝者です。何も出来ないことにいらいらする毎日です。この前から1ヶ月に1度は帰っていたのですがあまり頻繁に帰ると父が勘づくとのことで困ってしまいます。やはり告知は今すぐすべきでしょうか?父は目が不自由なので余計に感が鋭く、また告知した時に乗り切れることができるのか不安です。もう痛い目にあうのは懲り懲りだと言いながらも治療を受けてくれるみたいです。(今までにいろいろ痛い手術をしている。特に目の手術)頭の中がパニックになっていてうまい具合に説明出来ませんし、何を一番聞きたいのかもわからない状態なのですが何かよいアドバイスがありましたら教えてください。今週の金曜日に塞栓療法を受けるので私も山口に帰ろうと思っています。どうぞよろしくお願いします。
PS:養子免疫療法というのは父は受けられるのでしょうか?

(答え)1999.6.1
お答えします。大変ご心配のことと思います。父上はC型肝炎から肝硬変、肝臓癌となり、腹水(癌性ではない)が溜まっていて、他に糖尿病、膠原病(サルコイドーシス)があり目が不自由とのことですね。

腹水の原因は肝硬変だと思いますが、普通腹水が溜まるような状態は肝硬変の末期的状態です。肝臓癌は初期(小さい)のようですので、もう少し様子を見てもよいと思いますが、肝動脈塞栓術を行う場合には必要最小限の範囲にしないと、肝不全になる可能性が高いと思います。最近は初期(3cm以下)の肝臓癌には、アルコールを注入したり、マイクロ波で焼いたりする方法が取られますが、父上の場合にはどの方法でも危険性が高く、肝硬変と腹水に対する治療が必要のようです。食道静脈瘤はありませんか。養子免疫療法は一般的な治療方法ではないので、どこででも受けられるというものではありません。担当医に相談してみてください。ではまたいつでもメイルください。

(返礼)1999.6.8
早速、お返事を頂きましてありがとうございました。連絡が遅くなりましたが報告させてください。6月4日に肝動脈塞栓療法をしてもらいました。最初にちゃんと説明してから受けさせたかったのですが「とっても数値がいいから(これは本当)今なら肝臓の造影ができるので悪いところがないか、ちゃんと見てもらっておこうよ」とまでしか言えずにその日をむかえてしまいました。知人に同じ事をした人がいて、本人は何をするのかというのは大体わかっていたようです。サルコイドーシスと糖尿病のため、血管が弱っていたようで造影剤を入れるまでは少し熱いと感じるぐらいだったのに薬を入れたとたんお腹や胸がとても痛くなり先生にやめてくださいとまで言ったようです。一過性のショック状態(血圧が下がった)になり死んでしまうと思ったみたいです。治療の前に少し熱くなるだけと聞いていたのにと怒ってましたが、先生もそこまで痛くなるとはわからなかったようです。結局、左葉に1cm〜2cmのものが2つ見つかり(右葉はさわっていない)薬を使われたようです。2日目に38度まで発熱してから少し食欲も落ちましたが、今の所、血液検査の数値もよく肝不全にはなっていないようです。

腹水がまた、たまりはじめて排便がうまくいかないみたいですが。本人を交えてCTや造影の写真を見せてもらい、先生が「明らかにガンとは言えないが新生血管ができているのでこれは放っておいてはよくないので治療薬を入れました。」とうまく説明してくださいました。本人もどうやら納得したようで(初期のガンであるとわかっている)、先生に感謝しています。(担当医は糖尿病専門なのですが)ガンという言葉を出さずに納得させてくださり、本当にありがたいです。そんなの告知になってないと思われるかもしれませんが本人にとっても家族にとっても、うちにとっては、1番よい形でした。まだ触ると肝臓のあたりが痛いと言ってますが、何よりも少しでも笑ってくれるのがうれしいです。笑える事って大事ですね。これからいろいろ困難なことが待っているのでしょうが、病気は治らなくても楽しいことがひとつでも多くできるようにと願うばかりです。先生のホームページにも助けられます。メールを頂けたことはとても支えになりました。この間は精神的にとても辛かったのです。ありがとうございました。またご相談させてください。お願いします。

(返信)1999.6.9
メイルありがとうございました。TAEがうまくいったようで、よかったですね。告知は、ただ病名を告げることではありません。本人が納得できて、希望を失わないように、残された時間を前向きに生きてもらうことが大切です。ユーモアと笑いが、生きる力になります。「納得、安心、満足」できる医師・病院に巡り合えたことは、幸運だったと思います。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)1999.6.13
こんばんは、数野先生。先日、父のTAEのことでメールさせて頂いた者です。一週間経って、熱も下がったようなのですが、やはりまだ元気はでてきていません。いくら平気そうに見えてもショックはあったのだと思います。それに最近の暑さで眠れないと言います。病室内の温度管理はむずかしいのですね。7月にならないとエアコンはないそうです。今日は、また教えて頂きたいのですが、腹水がたまるようになってから、しゃっくりとげっぷをあわせたようなもの(しゃっくりのように連続はしない)が1日に何度も出るようでお医者様からは吐き気止めのお薬をもらって飲んでいますが治まりません。先生に聞いても原因は教えてもらえない(わからない?)みたいでとても気にしています。そして、足の指のしびれは(サルコイドーシス・糖尿病のため?前から)もう一生とれないものでしょうか?何かご存知でしたら教えて頂けませんか?こんな事までお聞きするのはどうかと思いましたが、失礼でしたらごめんなさい。もしだめでしたらお返事のメールはいりませんので。申し訳ありません。

(答え)1999.6.14
お答えします。「7月にならないとエアコンはない」というような病院がまだあるのですね!皆で病院に頼んでみてはどうでしょうか。病気の人ばかりいる病院は、元気な人が寝泊まりするホテルよりも快適さが求められます。「腹水がたまるようになってから、しゃっくりとげっぷをあわせたようなもの(しゃっくりのように連続はしない)が1日に何度も出る」やはり「しゃっくり」だと思います。原因は分かりませんが、腹水や身体の状態(衰弱)などが影響します。止らなくて本人がつらいようでしたら、注射をしてもらうと止ることがあります。また昔から「柿のへたを煎じたもの」が効くと言われていて、漢方薬局などにあるようです。一度試してみてはいかがでしょうか。「足の指のしびれ」は糖尿病のためだと思います。糖尿病は「血管が詰まる」「傷が治りにくく化膿しやすい」「神経がしびれる」病気です。一応「糖尿病性神経障害」に対する薬はありますが、だれでも飲んで良いものではありません。担当医に相談してみてください。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1999.6.15
早速、お返事を頂きましてありがとうございました。今日、父のいる病院へ電話をしてお願い(文句を言う)しようと思っていましたが父はやめてくれと言うのでとどまりました。昔の人なのでそんな申し訳ない事はお願いできない、我慢するしかないと遠慮してます。そこへ担当のお医者様が来られて「夜は家へ帰ってもいいです。ただ血液の値の何か(?)が1.5から3.0になっているので昼間だけは様子を見させてください。」との事。とりあえず夜は快適になりそうです。先生のメールはいつも心強くさせてくださいます。母もくれぐれもよろしく伝えてと、とても感謝しています。また助けてください。お願いします。

(経過)1999.6.22
数野先生、こんばんは。先日メールでいろいろご相談した者です。TAEを終えて、父が退院できました。腫瘍マーカーの値も600から215に下がり総ピリルビン値も最高で1.4、アンモニアも上昇せず、CTを見てもうまくいったとのことでした。とりあえず肝不全の心配はなくなったみたいで一安心です。利尿剤を飲むので糖尿病が少し悪くなったみたいですが。手放しでは喜べませんが声に元気が出てきてうれしいです。何でもないことがこんなにも幸せなのかとつくづく思いました。とりあえずご報告まで。

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