[肺 癌1]

[肺の非小細胞癌を放射線療法とステロイド剤で治療中]
[肺癌検診で発見され、ベッドがあきしだい入院手術と言われたが?]
[胸に水が貯まっていて肺癌と言われたが?]

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[肺の非小細胞癌を放射線療法とステロイド剤で治療中]

(相談)兵庫県1998.8.28
つい先程、このホームページを初めて読みそのアドバイスに感心し、あわてて、私も相談させていただこうとメールを打つことにしました。

まず、患者は私本人ですが、相談内容から先に書かせていただきます。この春の肺および縦隔への放射線照射のあと、7月半ばころより微熱や咳がひどくなり、「放射性肺炎」と診断され、7月21日より「リンデロン錠/0.5gm」を2錠ずつ、1日2回の処方をうけました。その後、症状が改善したのにともない、8月4日から同じリンデロン錠を1錠ずつ、1日2回の処方になり、そして、8月18日にはもう飲まなくてよい、と言われ、その指示に従いました。一方、首あたりのリンパ節の腫れがひどく、8月7日より右首あたりへの放射線照射を始めています。

相談は2つあるのですが:
1. 7月21日の血液検査結果でCEA腫瘍マーカーが1??(3桁の数字で、右2つの数字を覚えてないのです。)だったのが、8月18日の血液検査でのCEAの値が3??(同じく3桁の数字で、右2つの数字を覚えていません)に上がっていました。ちょうどリンデロン錠を服用していたときと同じなので、ひょっとして、ステロイド剤というのは、体の中の免疫力を弱めるか何か、そういう働きをするものなんでしょうか。

2. またリンデロンに関する質問ですが、8月18日にやめてからまた体の症状がかんばしくなく、咳がひどくなり熱も出だしました。8月25日に主治医にそのことを伝え、またリンデロンと腫瘍マーカーの関係など、そのときは何も考えられず、私から、リンデロンを再び飲んでいいものかどうかたずねました。そうすると、1錠くらいなら、飲んだりやめたり、私の判断でしていい、という答えでした。実際には、25日に処方されたリンデロンはまだ1錠も飲んでないのですが、昨日も37.7度の熱が出、咳もひどくなり、全体の症状としては、7月よりひどくなっているように思います。姉が薬剤師なので、そのことを言いましたら、普通ステロイド剤は止める時が難しく、私のように2錠からいきなり1錠になり、そしていきなりストップという止め方は聞いたことがなく、今の症状はひょっとするとリバウンドがでてるかも知れない、と言うのです。ただ、私の主治医が癌の専門医ですし、どうしたものかと思っています。以上の質問なんですが、今までの私の症状と経過を書きます。

患者:女/41歳
今年3月いっぱいいろんな検査を受け、3月中旬に診断されました。
肺癌/非小細胞癌/ステージ:3期b/縦隔、リンパ節に転移
何も治療しないと半年、化学治療、放射線治療をすると1年〜2年の生存。
抗癌剤投与は断わり、放射線治療のみお願いしました。
3/16より、1回2グレイで計30回60グレイの照射が始まりました。照射部は右肺と縦隔を中心に右首付け根にリンパの腫れがあったのでその部分も含め、広範囲の照射だったと思います。肺の原発巣は放射線照射が終わってから縮小が始まり、最初レントゲン上で直径約90mmのボール状だったのが現在では、長径35mmのラグビーボール状になりました。(8月には縮小が止まったように見えます。また、放射線の影響で繊維が残っているようです。)その一方で首のリンパの腫れがぼこぼこでてきて、今では顔の付け根の首にも数個大きいものができてます。主治医の指示により、8/7より、1回250Cグレイで計20回40グレイの4メガボルトX線が始まってます。

民間療法も数種類の健康食品と丸山・蓮見の両ワクチンを打ってます。長いメールになってしまいましたが、もしホームページ上にこの内容が載るのなら、短く都合のいいように編集してくださって結構です。お読みいただきありがとうございました。またアドバイスをお願いいたします。

(答え)1998.8.29
お答えします。まず、「ステロイド剤は、体の免疫力を弱める働きをするものなのか」という質問ですが、その通りです。ステロイド剤は、炎症反応を抑える作用が強く、熱とか痛みを取る作用があります。つまり身体の色々な反応を抑える働きです。原因が分からない病気の治療や普通の治療(原因に対する治療)で治まらない症状の治療に使います。対症療法といいます。多くの場合は、とりあえず対症療法で熱や痛みなどの症状を取れば、あとは自己治癒力(自然治癒力)で自分の身体が病気を治すわけです。よく、どこへ行っても治らなかった病気が注射一本で治ったとか、ある種の薬を飲んで治ったとか言う話の大部分は、ステロイド剤による奇跡です。東南アジアで売っている薬や怪しげな漢方薬の中には、ステロイド剤が入っていることが多いようです。

次に、ステロイド剤の飲み方ですが、姉上のおっしゃるように普通ステロイド剤は止める時が難しく、リバウンドが問題となります。しかし、リンデロンは一日1錠位であれば、特に問題はなく、癌治療ではよく使われるものです。

色々と困難な症状が出ると思いますが、幸い主治医が癌専門医ということですので、よく相談して、治療を受けてください。ではまたメイル下さい。

(相談)1998.8.29
大変参考になるお返事をいただき、ありがとうございます。大変感激いたしております。もっとも、数野先生のホームページの「癌の相談」コーナーの一部を読ませていただいたとき、大変わかりやすい先生のお返事に、私も相談させていただこうとすぐにお便りさせていただきました。そして、数野先生のお返事に「またメールください」と書いてあったことをいいことに、こうやって、あつかましく又相談のメールを書かせていただいております。自分の病気がいわゆる「不治の病」の範疇にはいるだけに、手を差し伸べられると、つい頼ってしまいます。今回も長いメールになりそうなのですが、お許しください。

数野先生のメールを今日受け取り、早速さきほどより、1錠服用いたしました。数野先生のメールで「主治医が癌専門医ならよく相談して治療を受けてください」と書いてあったのですが、正直に申し上げまして、主治医の指示を信頼していいものか、この3月の検査が終わって、その治療法を主治医から聞いてからずっと、不信感をもっています。主治医のみならず、病院の姿勢に対しても不信感を持たざるを得ないことを経験しました。ただ、主治医のみたてはいつも早く、結果がでる前に予測される事は当たっていることが多かったようです。その、主治医のみたてには信頼をおいているのですが、その治療法にいつも不信感を抱いてしまうのです。で、今回も、リンデロン錠の処方に少なからず疑問を持ってしまいました。(最初の指示がでてから、2週間、全く服用をしなかったのです。そして、2週間後に主治医にそのことをいいましたら、今までになく、ひどく怒られました。)

なんにせよ、私の病気ではもう積極的治療はあまりないようなので、一方で、ホスピス病院を探し始めました。自宅から車で40分ぐらいのところにある病院を見つけて、相談しに行ったところ、いつからでも来てくださいと言われました。(在宅療養できる間は外来で診察を受け、その後、状態が悪化すれば入院するという話でした。)それで、どうすべきか迷っています。そのホスピスに相談に行ったのは6月だったのですが、看護婦さんの話を聞いてると、どうやって苦しまずに死んでいけるか、家族の人はいつでも会いにこれます、といった話ばかりだったので、不治の病と自分では分かってはいても、まだ、奇蹟を信じたい私としてはすぐにそこにお世話になるのを躊躇してしまったのです。その病院の緩和ケア病棟はすばらしいものだったし、その看護婦さんも親身になってお話しされたのですが、、、又、先程も書きましたように、主治医は癌専門医でそのみたてに関しては、やはり、一番信頼しています。かといって、その主治医がいる病院に入院することは、絶対に嫌ですし、今もこうやって主治医の指示を信頼できなくて、悪い患者になってしまっています。はて、いつからホスピスにお世話になっていいものやら、、、アドバイスお願いします。

そして、まだあるのですが(スミマセン。)、数野先生のホームページの「癌の相談」で、先生のお返事で、「いろんな種類の健康食品を飲むのは逆効果になる」と書かれていたのですが、どういうことでしょうか。実を申しますと、かなりの種類の健康食品を飲んでます。ワクチンも2種類やってます。3月〜4月、5月ごろに種類が増えていき、今に至っています。今のところ、原発巣の縮小とCEAの腫瘍マーカーの数値が3月1073だったものが7月には1??(3桁の数字で後2桁が不明、8月には3??になってしまいましたが)になり、放射線だけがその効果を発揮しているのか、どの健康食品が効いているのか、又、ワクチンのせいなのか、、、全くわからず、健康食品の品目数を減らすにしても、どれを減らしていいのかわからないのです。もっとも、主治医が言うには、化学療法をやっていれば、腫瘍マーカーの値はもっとはやくに下がっていたはず、とのことですが。

そして、もうひとつ。同じく「癌の相談」に載っていた内容に関してですが、80歳くらいの男性患者さんで、声がでなくなって食べ物をとると咳込む、という方の相談がありました。私も、6月始めに、突然、声が全くでなくなり、2週間位それが続き、どういうわけかその後、少しずつ声が出るようになり、今では以前ほどの美声ではないですが、普通にしゃべれるようになりました。ところが、最近、その「癌の相談」にあった男性患者さんと同じように、食事をすると咳込みやすくなっているようなのです。体を横にしていると咳込む、というのは以前からなのですが、でもそれも夜中に咳込む回数は増えています。そして、微熱が頻繁にでます。体重は3月以降、変わっていません。ほとんど、家で静かにしていますが、たまに買い物にいったり、病院まで1時間ぐらいかかるのですが、自分で運転したりしています。7月の検査で胸水がたまっていることがわかり、またそのとき、X線での縦隔の陰が大きくなっていました(それでリンデロンを処方されました)。「放射性肺炎」と診断されたのですが。

私の症状の説明が長くなってしまいましたが、質問は、「その男性患者さんの症状と私の症状が似ているようです。そして、『声がでず、食べるとむせるというのは、反回神経という神経が麻痺しているためのように思います。』というお答えだったのですが、私の主治医も6月のそのとき、数野先生と同じ説明をされました。ということは私もその男性と同じ末期に入っているのか(3期bも4期も同じようなことなのかもしれませんが。)、、、」という、、、明瞭な質問ができなくてすみません。

つたない、長い文で、数野先生の貴重なお時間をとってしまうことになり、申し訳ございません。先生の「お答え」を是非いただきたいですのが、急ぎませんので、なんとかお時間のあるときにお願いいたします。ありがとうございました。

(答え)1998.8.29
お答えします。実は今、ホスピス建設予定地を見に行ってきたところです。といっても、私にはお金もチームもボランティアもありませんので、ゼロからの出発です。その土台となるのが「びんご・生と死を考える会」です。活動をしながら、協力者やスタッフを探しています。先の見通しはありませんし、私の命もいつまでか誰にも分かりませんが、私は楽観主義者なので、密かに「何とかなるさ」と考えています。私の心の持ち方は、まず「今日を、今を生きる」という「目標(目的)」です。倉敷・柴田病院の伊丹先生の「生きがい療法五つの指針」の二番目にあります。今日できることは、今日しておくということで、メイルもすぐに書きます。次に、少し先の目標を持ちます。具体的には、2ー3カ月先の予定をたてます。それから、先は長期的な目標です。これは実現可能かどうか分からないことが多く、「夢」です。本当は、人は誰も明日の命が分からないのです。自然の法則からすれば、人間が生きているということ、生命が存在するということは奇跡なのです。大変参考になりますので「生きがい療法五つの指針」を紹介しておきます。

 1)自分が自分の主治医のつもりでガンと闘っていく。
 2)今日一日の生きる目標に打ち込んで生きる。
 3)人のためになることを実践する。
 4)死の不安・恐怖と共存する訓練に取り組む。
 5)死を自然界の事実として理解し、もしもの場合の建設的準備をしておく。

さて、「いろんな種類の健康食品を飲むのは逆効果になる」というのは、帯津先生も言っておられますが、それは結局「迷い」であるということだろうと思います。治ると信じ、奇蹟を信じるのなら、これと決めた治療方法に打ち込むことで効果が期待されるということだと思います。そのほうが、強い自己治癒力が発揮できるような気がします。5年余り前にNHKテレビで「人はなぜ治るのか」という3回シリーズの番組があり、その中で、医者に見放された癌を自分で治した人たちの話が紹介されました。歩いて治した人、神を信じて治した人、玄米食で治した人など、みんな違う方法で治していました。こうすれば、必ず治るというような、簡単な方法はありません。奇跡を起こすのですから。しかし、沢山ある治療方法のどれも、きっと治った人が一人はいるはずです。「逆効果になる」というのは少し言い過ぎかも知れませんが、奇跡の可能性というのは一つ飲んでも十種類飲んでも変わらない位の少なさだということです。今のところ、効果を発揮しているようですので、無理に減らす必要はないと思います。

それから、末期に入っているかどうかということは、分かりません。二つの治療方法を紹介しておきます。一つは、今あなたがしているような治療を理論的・計画的に行って効果を上げている先生です。杏林大学教授・八木田旭邦先生です。二見書房の「免疫療法の最前線・ガン細胞が消えた」という本に紹介されています。もう一つは、広島原爆放射線医学研究所・外科の峠 哲哉教授の「活性化自己リンパ球移入療法です。高度先進医療の一つとして保険診療が認められています。どちらも通院でできると思います。検討してみてください。ではまた。

(返礼)1998.9.2
2通目の相談にお答えいただきありがとうございました。数野先生の「心の持ち方」のお話しを聞いて、今の自分を振り返ってしまいました。病気になるまでは、ただ忙しく働いていただけですし、また病気後も「治したい」という気持ちと裏腹に「これも運命」と居直っていた部分もあったと思います。

数野先生の健康食品のお話しも、十分にわかりました。以前、何かの記事で、化学療法を受ける患者の治癒率を調べるのに、あるグループの患者はあまりその治療の仕方について理解していない人達ばかりで、もう一方の患者グループはその治療法についての説明をしっかり把握している人達。その両者のグループの回復率は後者の方がよかったという話です。結局、数野先生がおっしゃってるように、なんでもいいから何かを信じなさい、ということは、自己治癒率を高めるということですね。

数野先生から紹介のあった、八木田先生の「免疫療法の最前線・ガン細胞が消えた」の本ですが、実は数ヵ月前に購入し読んでました。ちょうど八木田先生の治療に使われる、「サメ軟骨」と「AHCC」は私も服用しています。また、「ビタミン剤」は「クロレラミン」を服用してたので、それで代用しているんじゃないかな、と思っています。ただ、「サメ軟骨」に関しては、八木田先生の本には腸までとどく良質のものを使っていると書かれていたので、どうかなと思っていたのですが、薬剤師の姉が「一番信頼できるメーカーのものだ、ひょっとすると、八木田先生が使われているのと同じものかもしれない」と言ってます。いろいろある健康食品の中で、これは、と思うものを飲んでおり、その一部が、八木田先生の本に書かれているものと同じだったので、そのうち、一度、診てもらいに行こうと、連絡先などは調べてありました。それで、本当に行くべきかどうか、しばらくほおっておいたのですが、こうやって、数野先生からの紹介もあったので、行くことにきめました。

ちなみに、八木田先生はその後、杏林大学をおやめになり、東京・三鷹のオリエント・ミタカ・クリニックにいらっしゃるそうです。また火・水・金の週に3日、近畿大学付属病院に来ていらっしゃるそうです。早速、予約をとりました。ただ、ちょっと気になったのは、血液検査に保険がきかないので、6.7万円必要だと言われたのですが、(免疫力を調べる検査だそうです。)高額だったので、驚いたのですが、そんなものでしょうか。また、本の中で使用される薬として紹介されていたものの中に、「クレスチン」という抗癌剤が含まれていたので、これも気になったのですが、診てもらいに行ったときに尋ねてみます。

また、峠哲哉教授の紹介もしていただきましたが、近いうちに連絡をとりたいと思っています。この「活性化自己リンパ球移入療法」というのは、LAKや遺伝子操作をして、、、云々といった種類のものでしょうか。これは、また、他人のリンパ球を使って、、、云々(すみません、よくわかってないのです)との違いはなんでしょうか。もし、素人でもわかるような本をご存じでしたら、教えていただけないでしょうか。

数野先生の「ホスピス建設」は、きっと、達成なさると思います。数野先生のような方なら、数多くの方が協力を申し出られると思います。私も、何かお手伝いできることがあれば、お知らせください。また、ご報告(相談も?)させていただきます。ありがとうございました。

(答え)1998.9.3
メイルありがとうございました。ほとんどの日本人は、多神教でアニミズム的な宗教観を持っていて、キリスト教などの一神教の人たちと比べると、宗教にたよる心は少なく、自分でも「無宗教」と思っている人が多いようです。このような宗教観の日本人にとって、癌のような人生の大きな試練に遭遇した場合、神にたよったりあきらめたりする代わりに、「居直って」無意識のうちに病気と闘う姿勢になり、自然治癒力を発揮する人が多いような気がします。自分で治すという信念と自然治癒力に基づいた治療こそ、人間主義の日本人にとって、病気を克服するための最も適した方法ではないかと思います。

健康食品に対する考え方も、八木田先生についても、良くご存じなので驚きました。きっと私より詳しいのではないかと思います。血液検査に6-7万円必要とのこと、少し高いようですが、検査の種類が多いのでしょう。「クレスチン」は分類では抗癌剤に含まれていますが、唯一認められている免疫治療剤で、成分はサルノコシカケから取ったものだったと思います。

峠哲哉教授の「活性化自己リンパ球移入療法」は、LAKや亡くなられた京都大学の内田先生のリンパ球療法に近いものだと思いますが、本があるかどうかは知りません。遺伝子操作はしないようです。他人のリンパ球を用いる方法は、材料の採取にも問題があり、基本的には輸血と同じですから副作用も考えられます。特にリンパ球はGVHDという重篤な免疫反応(拒絶反応)を起こすことが知られており、最近は輸血用の他人の血液はこの反応を防ぐために、使用する前に放射線をかけることになっていて、手術用の血液も自己の血液を用いることが多くなっています。

私の親しい先生と、この秋、丹波に旅行しようかという計画をしていたところです。近くにいらっしゃるので驚きました。またいつでもメイル下さい。

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[肺癌検診で発見され、ベッドがあきしだい入院手術と言われたが?]

(相談)横浜1998.8.25
突然のメールをお許し下さい。母(67歳)の病気のことでご相談させて下さい。6月に区の肺ガン検診(レントゲン撮影)を受けたところ、「肺に小さく丸い陰がある」ということで、横浜市民病院のガンセンターにまわされ、再び7月から8月にかけてレントゲン、CT、気管支鏡の検査を受けました。その結果、病名は教えていただけてはいないのですが、ベッドがあきしだい入院・手術と言われました。ちなみに、昨年の同じ頃に受けた検診の結果は異常なしでした。昨日(24日)には脳・内蔵、31日には骨シンチの検査が予定されていましたが、病院からベッドがあいたという連絡があり、昨日入院しました。母にはまるで自覚症状がありません。ただ、気管支鏡の検査を受けてから、咳が出るようになり、最近せき込むことも多くなっています。一体何の病気だろうと思い、本を読んだり、インターネットで調べたりしてみました。私が推測するに、肺ガンではないかと思うのです。私にとっての救いは、「早期発見」することができたのではないか、ということです。それならば、手術でとってしまえば何とかなる。それに、もう歳も歳なので、進行が遅い。もちろん、脳や内蔵や骨の検査結果がまだわからない段階ですから、ほかに転移しているかもしれないので、私の希望的推測ですが。自覚症状がないので、「このままもう少し放っておいてはだめなのか?」と、本人が先生に尋ねたところ、「かまわないけれど、早く死んじゃいますよ」と言われたそうです。ということは、今なんとかすれば、大丈夫なのでしょうか?今、このメールを書いていて気付きました。「ベッドがあきしだい」というのは、患者に「緊急事態」を悟られないための医者の方便なのでしょうか?いろいろ考えると、不安でなりません。母は体も小さく、体力もそれほどあるほうではありません。咳は、肺の病気と何か関係があるのでしょうか? 今後、母の治療はどのように進められていくのでしょうか?まるで具体的なことがわからない状態での質問で申し訳ないのですが、今の私は「ワラにもすがりたい」心境なのです。何か一言でもいただければ、大変ありがたいです。お忙しいところ、本当に申し訳ございません。

(答え)1998.8.26
お答えします。大変ご心配のことと思います。まず、病気のことについては、本人や家族が医師に聴けばちゃんと説明してくれると思います。病名も知らずに、入院・手術などということはありえません。しかし、常識的に言えば、現在の医学で手術しなければいけないような病気は、癌または癌の可能性が高い場合以外にはまずありません。医師の方は、「ベッドがあきしだい入院・手術」という「説明?」で、本人も家族も分かったものとしているのかも知れません。分からないことがあれば、分かるまで聴くことです。手術はやり直しができません。ちゃんと説明を受けて、納得してから、手術を受けるべきです。

さて肺癌は、癌の中では治りにくい癌です。「早期発見」して、手術でとってしまえば何とかなる可能性が高いわけですが、その場合でも100%大丈夫とは言えないのが癌です。肺癌は脳や骨に転移しやすく、癌細胞の種類によって、治療の仕方や治りやすさがちがいます。いずれにしても病院での治療は、手術、化学療法(抗癌剤治療)、放射線療法のいずれか、またはこれらを組み合わせた治療になります。母上の場合、病気が何で、どういう治療方法を主治医が考えているのか、治療した場合と治療しなかった場合のこと、他の治療方法があるかなどを、納得がいくまでよく聴いてから、決めることです。自分の命ですから、自分で決めるのが一番良いと思います。家族の人はできるだけの援助をしてあげることです。まず病院での治療が成功して、元気に退院できる日が、治すためのスタートラインです。「今なんとかすれば、大丈夫」かどうかは、誰にも分かりません。1年から5年位たたないと分かりません。咳は、肺の病気とは直接関係がないと思います。あわてないことです。一刻を争うような病気ではありません。ではまたメイル下さい。

(返礼)1998.8.26
お忙しい中をさっそくお返事くださり、誠にありがとうございました。今朝、母から自宅に電話がありました。「微熱があり咳が出て困るが、あとは別に痛いところなどもなく、元気だし、退屈で困る」ということなので、ほっとしています。昨日は、私自身がかなり動揺していたこともあり、とりとめのないメールをお送りしてしまいました。申し訳ございません。先生のHPを印刷して読み返したり、その中に書かれていた帯津先生の本を購入して読んだりしているうちに、だいぶ落ち着いてきました。とりあえず、今できることをして、何とか病気に負けないように頑張っていこうという気になりました。「善は急げ」というわけではありませんが、さっそく「プロポリス」を買ってきました。薬局の方に「プロポリスは天然の抗生物質と言われている。咳がとまらないようなら、これをあげましょう」と言われ、プロポリスのどあめもいただきました。これで、少し咳が楽になればいいのですが。母は昨日、血液検査を行い、今日はレントゲン撮影を行うそうです。すべての検査が終わったら、先生のおっしゃるように、主治医の先生から病状を詳しく説明してもらおうと思います。問題は、母です。娘の私が言うのも変ですが、気弱というか、頼りないというか・・・・。どうやって、病気に立ち向かっていこうという気力を起こさせるかが、課題です。帯津先生の本に書かれてあった「自己治癒力」についての話は、まさにその通りだと思いますので。病状がはっきりしたり、何か変わったことが起きましたら、また、メールでご相談させていただきたいと思います。本当にありがとうございました。

(答え)1998.8.26
メイルありがとうございました。「プロポリス」できっと楽になられるでしょう。私の経験からも女性は強い生命力を持っていると思います。「案ずるよりも生むが易すし」というように、きっと現実を受けとめることはできます。しかし、人の性格というものは変わりませんので、病気に立ち向かうか、病気と仲良くするか、母上らしい生き方をされると思います。感謝の気持で病気を治した人もいます。周囲の人はそれを支えてあげてください。そばにいて、話を聴いてあげることから始めてください。「共に歩む」ことです。あまり何かをしてあげなくてはと、あせらないことです。またいつでも、メイルを下さい。

(相談)1998.9.3
先日メールを送らせていただきました○○です。この間は、暖かいお言葉をくださり、本当にありがとうございました。昨日、母の病気の検査結果を父と一緒に主治医から聞いてまいりました。やはり、肺ガンでした。「大細胞癌」だそうです。肝臓に数カ所小さい陰が見られ、転移だろうということでした。従って、第4期ということになります。ゆえに、手術はせず、来週から抗ガン剤による治療を開始することになりました。2クール行う予定です。余命は、これまでの統計からいえば「10カ月」とのことでした。母には、「10カ月」ということは伏せて、肺ガンであること、薬で治療することを伝えました。本人は今のところ元気だし、薄々感じていたようなので、はたから見た感じでは、それほどショックではなかったようです。私が今一番不安なのは、薬の副作用です。髪が抜け、吐き気がする・・・・と主治医から説明を受けました。母は67歳です。体力もあるほうではありません。主治医は検査の結果、抗ガン剤を使っても大丈夫な体の状態にあるとおっしゃっていましたが、やはり不安です。すがる思いで、プロポリスを飲ませ続けています。主治医の先生は、物事をはっきりおっしゃってくださる方でした。私の質問にもちゃんと答えてくださいました。

まず、民間療法や巷の健康食品にすぐに飛びつくなということ。「免疫療法」については否定的でした。場所が横浜ですので、これまでにもサトウクリニックに移っていかれた患者さんがいたそうです。その場合は、カルテや検査結果等すべて回してあげるが、自分の手は離れたことになるので、要は「あとは知りません」という状態になるということでした。「プロポリス」を飲ませていることについては、「良いと思って飲んでいるのなら、全く構わない」とのことでした。母の入院している部屋の階にいる患者さんは7〜8割が肺ガン患者さんなのだそうです。主治医の先生は、ずっとそこで同じ様な状況の患者さんを見て来られたわけですし、すべてお任せするしかないと思いました。今の予定では、抗ガン剤治療に大体2カ月ほどかかり、その後退院になるということです。でも、今は元気でも結局はだんだん弱っていくんですよね。まだ諦めるつもりはありませんが、やっぱり不安ですし、とにかく苦しまないでいてくれることを、今は祈るのみです。すみません。また、とりとめのないメールになってしまいました。お忙しいところ、お目を通していただき、ありがとうございました。

(答え)1998.9.3
メイルありがとうございました。「大細胞癌」とのこと、大変残念な結果です。すでに転移があり、第4期で、余命が「10カ月」とのことでしたでしたね。手のほどこしようが無いということです。それなのに、副作用ばかりの化学療法(抗癌剤治療)をして、はたして「余命10カ月」が、長くなるのか、短くなるのか、変わらないのかということが問題です。大細胞癌に化学療法をして効果があったという話はほとんど聞きません。肺癌を小細胞癌と非小細胞癌に分類するのが一般的です。それは、小細胞癌には化学療法が効果を発揮し、非小細胞癌には化学療法の効果が期待できないためです。大細胞癌は非小細胞癌の中の一つです。もし少しでも効果があるとすれば、むしろ放射線療法の方かと思います。しかし、いずれにしても、「余命10カ月」は変わらないでしょう。色々治療を試みたその結果が「余命10カ月」ということではないでしょうか。もし治療の効果があるのなら、当然統計的な余命ももっと長いはずです。治療を受ける前に、がんセンターか東京医大で診てもらって、意見を聴いてはどうでしょうか。セカンド・オピニオンといって先進国ではそれが常識です。私だったら、退院して、自分の好きなことをして、残された時間を大切に使いたいと思います。残念ながら、今後、病院で治療を受けるとすれば、緩和ケアとターミナルケアということになるかと思います。病院の医師は、現代西洋医学の立場ですので、当然、民間療法や巷の健康食品や認知されていない「免疫療法」については否定的です。これらは、あくまでも病院以外での、自分でする治療です。患者さんに対して「あとは知りません」というのは、医師の取るべき態度ではありません。本人の選択に任せるのが一番良いと思います。いずれにしても、奇跡を祈る以外にないと思います。

私たちは「すべてお任せ」の医療を変えて、患者さんと家族中心の医療にするために皆で努力しています。この点では、日本は20-30年遅れています。私たちの活動も10年単位で考えています。これから10年くらいがんばれば、少しは一般の人の考え方も変わってくると思います。それからやっと、患者さんにとって医療が良くなる段階に入ります。諦めずに、本人のことを考えて上げてください。もし自分だったらどうするか。それを主治医に聴くのも一つの方法です。もし自分の家族だったらという質問は、あまり意味がありません。日本の医療は、まだまだ医師のため、病院のための医療です。私たちの責任だと思います。またいつでもメイル下さい。

(返礼)1998.9.4
数野先生さっそくの返信、ありがとうございました。やはり「10カ月」は「10カ月」なのですね。でも、早速本人や父とも相談して、「国立ガンセンター」に一度診察を受けに行ってみることにしました。主治医にもその旨伝えたところ、紹介状を書いて下さるということでした。「結果は同じだと思う」とのことでしたが。たとえ同じでも、できる範囲のことはやってみたいと思います。セカンド・オピニオン・・おっしゃる通り、当然のことと思います。ただ、その際にどの病院に行ったらいいのか素人にはわからず、選びようにも選ぶことができません。私の場合は、先生が「がんセンターか東京医大」とおっしゃってくださいましたので、「国立がんセンター」を選んだわけですが。それに、母は今のところ元気ですので、自宅から少々離れている病院でも行くことができます。今のうちに、という気持ちもありました。正直言って、「国立ガンセンター」について、不安がないわけではありません。でも、後で「あのときに国立に行っておけばよかった」という後悔だけはしたくありません。母も、私が色々と動いていることを前向きにとらえてくれているようで、「元気が出る」と申しておりました。とにかく、来週早々に国立ガンセンターを訪ねてみます。いろいろとありがとうございました。

(答え)1998.9.4
メイルありがとうございました。選択肢は色々あります。納得のいく方法を選んであげてください。そして少しずつ心の準備もしておきましょう。治すことができなければ、苦痛だけは十分取ってあげるようにしてあげてください。そうすれば、残された時間の大部分を普通に近い状態で過ごすことができます。では「国立ガンセンター」に行って見てください。またメイルください。

(相談)1998.12.16
数野先生、大変ごぶさたしております。夏頃いろいろとご相談させていただきました○○でございます。その節はご丁寧なお返事を何度もいただき、誠にありがとうございました。また、ご報告をせぬままになってしまい、申し訳ございませんでした。さて、あれから母は「国立がんセンター」に行きましたが、やはり結果は同じで、「抗がん剤治療」との診断でした。横浜市民病院の呼吸器科は国立にも劣らない設備が整い、母の主治医はもともと国立がんセンターにいらした先生だからという勧めもあり、結局、市民病院に戻りました。9、10、11月と月1回、定期的に外来で検査を受けていますが、腫瘍に変化は見られないということで、現在のところ治療は何もしていません。9月中旬から、本で知った「水溶性キトサン」を飲んでいます。がんが治るかどうかは半信半疑ですが、キトサンを飲むと「食欲が出る」というところに惹かれました。

体力を失わないためにも、「食べる」ことはとても重要な気がしたからです。また、最近では「サメ軟骨」も飲んでいます。そのせいかどうか、母は食欲も落ちず、ごくごく普通の生活を送っています。咳もほとんど出なくなりました。もともと息苦しさは感じていなかったのですが、今も息苦しいということは全くありません。ただ、左側の肩こりや背中が重くなる感じ(腫瘍は左にあります)というのが、頻繁にあるようです。それも、私がしばらくマッサージをすると、すっきり楽になるようです。
今回教えていただきたいことは3つあります。
@前述の肩こり等の原因は、やはり「腫瘍」なのでしょうか? 揉んだり、マッサージしたりしてもいいのでしょうか?
Aかぜをひかないよう十分注意していますが、もしかぜをひいてしまって熱が出たら、市販の解熱剤(バファリンなど)を飲んでもいいのでしょうか? もちろんすぐ病院に行くつもりですが。 どのようなものであれ、市販の薬は飲まないほうがいいですか?
BAとも関係していますが、外は寒いので家から出るのは近所への買い物ぐらいという状態です。足腰が弱ってくるのではないかと心配です。少しは歩いたりしたほうがいいのでしょうか?取るに足りない質問だとは思いますが、母にはできるだけ快適な毎日を送ってもらいたいと思っています。お答えいただければ幸いです。
先日、マンションを買うことになり、来年2月下旬ごろ引っ越しする予定です。母にはそれがだいぶ励みになっているようで、とても楽しみにしています。このまま元気に(病人に元気というのも変ですが)引っ越しを迎えられるよう、そして1日でも長く新しい家で過ごすことができるよう、これ以上腫瘍が大きくならないことを祈る毎日です。お忙しいところ申し訳ございませんが、何卒よろしくお願い申しあげます。

(答え)1998.12.16
こんにちは。メイルありがとうございました。さて、「国立がんセンター」でも、やはり結果は同じで、「抗がん剤治療」とのこと。また、横浜市民病院の呼吸器科は国立にも劣らない設備が整い、母の主治医はもともと国立がんセンターにいらした先生とのこと。納得.安心して、満足できる治療が受けられることでしょう。母上は食欲も落ちず、咳もほとんど出なくなり、息苦しさもないとのこと、奇跡をお祈りします。

@前述の肩こり等の原因は、やはり「腫瘍」なのでしょうか? 揉んだり、マッサージしたりしてもいいのでしょうか?
肩凝りは、圧倒的に女性に多い症状で、おそらく腫瘍とは関係がないと思いますので、大丈夫でしょう。もし、肩(鎖骨の上の方や首)にリンパ節転移があるような場合は、その部分にはさわらないほうが良いでしょう。
Aかぜをひかないよう十分注意していますが、もしかぜをひいてしまって熱が出たら市販の解熱剤(バファリンなど)を飲んでもいいのでしょうか?
解熱剤はアレルギーさえなければ、大丈夫ですが、市販の総合感冒薬は飲まないほうがいいでしょう。かぜから肺炎を起こす危険性がありますので、なるべく早目に病院へ行ってください。
BAとも関係していますが、外は寒いので家から出るのは近所への買い物ぐらいという状態です。足腰が弱ってくるのではないかと心配です。少しは歩いたりしたほうがいいのでしょうか?
無理でなければ普通に生活されることが、精神的にも、身体的にも良いと思います。人混みの中に出かけるときには、かぜの予防のためにマスクをして、帰宅したらうがいをしましょう。

引っ越しが励みになって楽しみにしておられるとのこと。目標を持つということは生きがいになり、大変良いことです。また、次の目標を作りましょう。1日でも長く新しい家で過ごすことができるよう、これ以上腫瘍が大きくならないことを私もお祈り申し上げます。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)1999.1.26
数野先生、ごあいさつが遅れてしまいましたが、本年もどうぞよろしくお願い申しあげます。さて、先日、母は1月の定期検診に行ってまいりました。レントゲンの結果、肺の腫瘍にはほとんど変化が見られないとのことでした。ですが、今年に入ってから母は「左のあばら骨のあたりが痛い」と言うようになり、左手が上がらなくなってしまったりすることが頻繁に起こるようになりました。その話を主治医にしたところ、「骨だろう」ということになり、今日、骨シンチの検査を受けています。8月に検査した時には、骨には異常はなかったのですが。今は、病院で出していただいた「ロキソニン」という痛み止めがよく効いていて、ほとんど痛みはないようです。従って、普通に日常生活を送っています。食欲も全く落ちず、よく食べます。ただ、薬を飲むとすぐ眠くなると言っています。まあ、一時的なもののようですが。検査の結果は、来月の12日に主治医から説明がある予定です。以前、主治医から「骨に来たら、放射線」というような話がありました。やはり、放射線治療になるのでしょうか? 放射線による副作用はあるのでしょうか? 検査の結果次第で一概には言えないとは思いますが、入院はどの程度必要なのでしょうか? これでもう退院できないなどということはありませんよね。私はまだまだあきらめるつもりはありません。今は、先生のホームページや書籍で目にした、「八木田先生のクリニック」を訪れてみようと、来月13日に予約を入れました。血液検査を行い、症状に合った健康食品を処方してくださるそうです。健康保険が全くきかないため、少々(と言うか、かなり)高額になるようですが。それでもやはり大変混んでいるようです。あと、丸山ワクチンと佐藤療法にも関心がありますが、いかがなものなのでしょうか? 佐藤クリニックは横浜にあって行きやすいので訪ねてみようかとも思いますが、以前、主治医から否定されてしまったもので、躊躇しています。とにかく今は、できることは何でも試してみたいと思っています。何がきっかけで症状が好転するかはわからないわけですから。また、検査結果が出ましたら、ご相談させていただきます。いつもいつもあたたかいお返事をいただき、本当にありがとうございます。

(答え)1999.1.27
お答えします。「肺の腫瘍にはほとんど変化が見られない」「普通に日常生活を送っていて、食欲も全く落ちず、よく食べられる」ということですので、骨シンチの検査の結果を待ちましょう。「ロキソニン」がよく効いていて、ほとんど痛みがないようですので、痛みの程度としては軽いと言えます。もし骨転移であれば、やはり、放射線治療になると思います。放射線による副作用は、放射線をあてる量によりますので、部分的に行われる治療であればあまりひどい副作用はないと思います。部分的に行われる放射線療法であれば、通院でできると思います。八木田先生の治療、丸山ワクチン、佐藤療法など、病院以外での治療には沢山ありますが、進行癌や末期癌には効果がないことが多く、あまり期待しないほうが良いでしょう。もし効果的な治療方法があれば、今のように皆が苦労することはありません。世界中どこへ行っても、進行癌や末期癌に対する決めてはありません。どれか一つを選んで、それに賭けて奇跡を期待することです。本人にとっては大きな期待となり、とりあえず精神的な効果が期待できます。本人に負担がかからないような、また経済的にも無理のない程度の治療を選んであげてください。あなたが言われるように、「何がきっかけで症状が好転するかはわからない」のですが、その可能性は奇跡に近いものです。ではまたいつでもメイルをください。

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[胸に水が貯まっていて肺癌と言われたが?]

(相談)埼玉県1998.6.18
私は22歳の会社員です。実は父(55歳)の肺ガンについてお伺いしたくメールを打ちました。先月末に呼吸が苦しいと病院へ行き癌の疑いがあると言われ現在、埼玉県立小原循環器病センターと言う所を紹介されました昨日、とりあえずの検査がおわり結果を聞いてきました。初めて撮ったレントゲンを見て先生は最初から“肺ガンは100%”と言われ詳しく調べる為と色々な検査をしました。検査結果は骨・血液・脳に関しては転移は認められないとの事でした。しかし CTから副腎と言う所に転移しており5cmくらいと言われました。まず 副腎と言うものが 我々家族はあまり耳にした事が無くただ 治療が大変難しい所だと言う事しか言われなかったので“副腎”と言うものに関して教えて下さい。また肺ガンであるが 組織的には証明されていない ともおっしゃられどういう事かと尋ねると父は胸水が貯まっておりそれを採取し調べたが胸水からは癌細胞は出てこなかった・・そうです。素人考えですが なぜ癌細胞は出てこないのに“肺ガン100% 4期”で“転移”もしていると言いきれるのですか?たまたま 胸水には細胞がないだけで他にはあると言う事なのでしょうか?そして 胸水についてですが もう一度検査しようとの事で 昨日も採取しました一度目に採取した 胸水は“ピンク色”だったのですが昨日は“リンパ液のような黄色”でした。あまり関係はないとは思いますが 癌に効果のあると言われる健康食品を服用していますがピングが黄色になった事は 何かあったのでしょうか??ピンク→血が混ざっていると良くないと聞いていたので黄色だったと言う事で 母が少し明るくなったのですが、単純に喜んでいいものかを悩みまして・・・。以上の事、先生のご意見をお願い致しまます。

(答え)1998.6.18
お答えします。「呼吸が苦しいと病院へ行った」ということは、大量の胸水が貯まっていたからと思われます。「埼玉県立小原循環器病センター」でも癌の治療をしているのでしょうか。「肺ガンは100%」というのは、「肺癌が最も考えられる」ということです。「骨・脳に関しては転移は認められない」との事ですが、肺癌は骨と脳に転移しやすいということです。血液に関しては、血液検査で腫瘍マーカーの値に異常が認められないということでしょう。

「副腎」は腎臓の上に帽子のようにのっかったギョウザのような形と大きさの臓器です。ですから左右に一個づつあります。色々なホルモンを出しています。場所は、背中の肋骨で隠れるあたりです。医学的には「後腹膜」という、前から見ればおなかの底のような位置にあります。

癌細胞は、血液の流れに入ってしまうと、身体のどこにでも転移する可能性があります。これを「血行性転移」といいます。これに対してリンパの流れに乗って転移するものを「リンパ行性転移」といい、リンパ節(リンパ腺)に転移します。また、肺癌のように胸にある臓器の場合には、癌細胞が直接肺の外に出て胸腔内に散らばることがあり、これを「胸膜播種(はしゅ)」といい血性胸水が貯まります。腹部の臓器の場合には、同じように癌細胞が直接腹腔内に散らばることがあり、これを「腹膜播種」といいます。

癌の血行性転移は一般的には、血流量の多い 肝臓、肺、脳、骨などに起きることが多いわけですが、身体中どこにでも起きる可能性があります。副腎にも稀ですが転移します。

「治療が大変難しい所」というのは、二つの意味に取れます。副腎に転移しているような進行肺癌(遠隔転移のある4期肺癌 )の治療が難しいということと、副腎にできた転移(転移性副腎癌)そのものに対する治療が難しいということです。

「肺癌であるが 組織的には証明されていない」ということですが、今迄の多くの医師の経験からこういう場合には進行肺癌が最も考えられるという意味です。 この先生は「100%」という言葉が好きなようですが、100% と言えることはありません。腫瘍のある副腎が左側で、胸水が貯まっているのも左側ならば、ひょっとすると、副腎の癌の影響で、胸膜炎を起こして胸水が貯まっているのかも知れません。もしかすると、副腎の腫瘍も癌ではないかも知れません。あなたがおっしゃるように証拠は無いわけですから。「胸膜播種(はしゅ)」で胸水が貯まっていれば、癌性胸膜炎といって、胸水には癌細胞があります。その場合、胸水はピンク色の血性胸水です。炎症性の病気と癌は大変紛らわしい場合があります。どうもよく分かりません。なぜ循環器病センターで治療を受けるのでしょうか?癌専門の病院があるはずですが。

(相談)1998.6.19
お忙しい中 昨日は『肺ガン』についての相談にアドバイス頂きましてありがとうございました。我々 家族一同 何から情報を集め どのように対処していったら良いのかに迷い HPで先生の活動を見ましたので 早速メールを打たせて頂きました。私は 埼玉県鴻巣市に住む 両親・兄・私の4人家族です。父方の祖父も昨年“肺ガン”亡くなっております父はお酒・たばこ共に大変好きで 病気が見つかるまでやめる事なく過ごしていました。そして 昨日、2度目の胸水の検査結果からも“癌細胞”は出てこず月曜日に入院をし 内視鏡で細胞を採取する事になりました。今後は、癌細胞の種類によって治療方法が異なるそうで何分 家族にとって無知の病気ですので今後また わからない事などがありましたらお話を聞いて頂ければ幸いと思います。

尚、病院についてですが 当初、埼玉県上尾市にある“ガンセンター”を紹介して頂いたのですが “ガン”と言う名前に負けてしまい本人の希望により違う病院を強く希望したため先生と相談し 呼吸器を専門にしている現在の病院を選択しました。主治医の先生は ガンも見れるようです(?)やはり ガンセンターのような所の方がいいのでしょうか?ただ 本人には“肺ガン”である事は 伝えてありますが4期の転移していると言う事は伝えてないので他の病院でまた 1から検査をするのも嫌だとなかなか 他の病院に出向く意志がないようです。我々ができる事はないのでしょうか?

(答え)1998.6.20
お答えします。胸水から癌細胞が出ないということは、癌性胸膜炎(胸膜播腫)ではないということです。内視鏡検査で細胞を採取するということですが、レントゲンやCT検査では癌が映っていないのでしょうか。映っていれば、その腫瘍から細胞を取って検査します。検査の方法は、内視鏡検査で直接腫瘍(癌)から細胞を取る方法(生検)と、内視鏡が腫瘍(癌)に届かない場合には気管支の中を生理的食塩水で洗って、洗った液の中の細胞を調べる方法とがあります。内視鏡検査でも分からない場合には、CT検査をしながら腫瘍(癌)に向かって針を刺して細胞を取ります。もし肺癌であれば、癌細胞の種類によっては化学療法(抗癌剤)がよく効く場合があります。

残念ながら病院の選択を誤られたようです。野菜を買うのに肉屋さんへ行ったようなものです。いまだにはっきりした診断がついていないようですし、すでに、検査のためにずいぶん手間取っているようです。専門病院で専門医に診てもらえば、それこそ100%簡単に診断がついたのかもしれません。もし、本当に進行肺癌であり、治療の効果が期待できないような種類の癌細胞の肺癌であれば、患者さんを苦しめるだけの治療は行わず、緩和医療(緩和ケア)といって、患者さんの苦痛を取ってあげて普通に生活できるような援助をしてあげます。進行肺癌の場合、治る可能性は無いといっていいくらいですので、なるべくつらい検査や治療は避けるべきだと思います。奇跡を祈ります。

(相談)1998.6.25
返信ありがとうございます。近況報告と共に また相談がありますのでメールを送らせて頂きました。私も中々検査内容を理解できておらずにご迷惑かけています。現在までの経過、主治医に言われた事を整理しますと
5/28 現在の病院に行き、胸水を抜く(ピンク色)(この時のレントゲンに、右肺に3cmくらいの影があり、母に癌である可能性が高いとつげられた)
6/3.4.15 骨シンチ・脳の検査・血液の検査等をする
6/17 脳・血液中・骨、この3ヶ所に関しては転移は認められなかったが、副腎に転移していて5cmくらいの腫瘍のようになっているとの事。しかし 胸水からは癌細胞がでず 2度目の採取をした(リンパ液のような色に変わっていた)
6/22 入院する。内視鏡により細胞を取り 非細胞癌(?)と分類されるものがでた。しかし胸水からは 癌細胞は出なかった。そして 新たなレントゲンから 左肺が“かんせつ性(?)肺炎?”があり治療方法が難しいと言われた。
6/24 退院する。

説明されたたのは、
・左肺の肺炎は癌に進行するやもしれない
・胸水には患部に抗がん剤を入れるにも“癌細胞”がでてこない
・管を入れて水を抜けるほど水もたまってこない
・4期と言われる(遠隔転移があるから)これから先、進行もある
・全身の“抗がん剤”すると 肺炎のある所が心配
・肺炎の治療をすると癌になるやもしれないし、現在の癌が動き出すかもしれないし、今現在元気に動けるのも できなくなるかもしれない
とこのような感じだった様に思います。

そこで私達、家族が選んだのは 数野先生が提案した下さっている緩和ケアのようなものだと思います。痛くなったら痛みを取る。胸水に癌がでたら 直接抗がん剤を入れる。だから 元気なうちは家に戻り 外来で月2回くらいの定期的に状況を見ていく事にしました。

ここまでが昨日までの事です。また上手く伝えられているか解からないですが 、ここまでで疑問というか まだ諦めきれない事がでてきてしまいました・・。私達は今は “緩和ケア”を選びました。それは右肺に癌があり・転移もあり・肺炎(?)もあり全身の抗がん剤をすると全身の体力を消耗させてしまうと考えたからです。(本人は癌である事実のみを知っております。また治療を何もしない事に疑問を持ったようで、肺炎を起こしかけているから危険で治療ができないと付け加えて話しました。)私、個人では自然に行かせてやろうと思ったのですが 、肺ガンは 脳・骨・血液に癌が入りやすいとききました。既にある癌に対する治療はしなくとも転移だけを防ぐ治療の様なものはないのでしょうか?本人は、癌のある右肺、副腎は痛いとは言いません。むしろ反対の左肺がモヤモヤ チクチクすると言っています。この 肺炎は命取りになりゆるものだとも言われました。そんなに怖いものなのですか?我々家族はやはり 病院をまちがえたのでしょうか?自宅でできるような 何かはありませんか?

(答え)1998.6.26
お答えします。細胞の検査の結果は、「 非細胞癌」ということでしたが「非小細胞癌」ではないでしょうか。また、 左肺は「かんせつ性肺炎」ということですが「間質性肺炎」ではないでしょうか。「右肺に癌があり・転移もあり・肺炎もあり全身の抗がん剤をすると全身の体力を消耗させてしまう」「我々家族はやはり 病院をまちがえたのでしょうか?」その通りだと思います。しかし、「非小細胞癌」であれば、抗癌剤(化学療法)も効きませんので、どの病院でも結果は同じことかも知れません。

病院でできる癌の治療は「手術」「放射線療法」「化学療法」だけですが、自分でできる治療方法は数えきれないほどあります。癌との闘病法は、病院で受ける一般的な治療(通常療法としての手術、放射線療法、化学療法)と、一般的でない治療(代替療法としての民間療法、ある種の免疫療法、健康食品など)と、自分でする治療(食事療法、生きがい療法などによる心の持ち方、笑い、信仰、呼吸法、アロマテラピー、園芸療法、音楽療法など)の三つをうまく組み合わせて行い、自然治癒力を最大限に発揮することが基本です。癌の治療法に、こうすれば必ずこうなるという方程式のようなものはありませんので、ご本人とご家族のご希望をよく主治医に話して、ご本人の選択に任せるのがよいと思います。

「私たちがガンを治した体験談集」の中の帯津先生の言葉が大変参考になると思います。「ひとつひとつの症例をじっくり読んで、治癒の条件を読み取ってください。どういう治療をしたかが関心の的になりがちですが、そうではなくて、その人が、病気のなかで、どういう生き方をしたかに焦点をあてて読んでください。治療法そのものよりも、その人が各種療法にどうかかわっていったのかというなかに、治癒のヒントがあるように思えるからです。」どう生きるのか? 生と死を考える機会を与えられたと思って、自分でいろいろ勉強してみてください。自分らしい生き方ができれば、それで良いのではないでしょうか。では、健闘を祈ります。

(相談)1998.6.26
昨日はありがとうございました。主治医の先生にも 父の場合は“抗がん剤”は“挑戦”だと言われました。ほんの何%にかけて 明日から副作用に苦しむなら、今元気で動けるうちはせめて好きな事をと思い退院してきました。数野先生がおっしゃられている先生とは川越の帯津先生のことでしょうか?偶然にも親類のなかに そこで働く婦長と親しいものがおり紹介を受けている所です。とても近いので 一度、訪れてみようかと 昨日はなしていたとこです。

そして また質問があるのですが間質性肺炎は癌に変わるのですか?肺炎があるから 癌の治療は危なくて出来ないと言われました。癌があるから 肺炎の治療は出来ないと言われました。肺炎の治療だけでもなんとか方法はないのですか?(チクチク痛い時がある言うのです。癌のある右肺は痛くないのに・・。)また すがる思いで “キトサン”“アガリスク”“サメ軟骨”“プロポリス”などを服用しています。現在 3週間たった所です。昨日、会社から戻って気づいたようですが、くるぶしからした(足の甲)ひざから下辺りに 内出血のような赤くホコリくらいのちーさな “ポツポツ”がまだらに出ていました。上記の“健康食品”が関係無いとしたら転移している “副腎”が関係しているのでしょうか?ホルモンか何かですか?すぐに病院へ連れて行った方がよいでしょうか?これ以上 転移だけを防ぐ 治療法はないですか?

(答え)1998.6.26
お答えします。川越の帯津先生のところでは、あらゆる治療方法を取り入れて癌と闘っています。是非、行ってみてください。帯津先生はホリスティック医学による癌治療を行っておられます。きっと納得のいくお話しをしてくださるでしょう。

間質性肺炎が癌に変わることはありません。間質性肺炎は、薬剤やアレルギー反応によって引き起こされる肺炎で、細菌やビールスなどの感染による肺炎とは全く異なります。有名なものには、漢方薬の小柴胡湯やインターフェロンによる間質性肺炎があり、治療は大変困難で重症になれば死亡します。主治医の先生は、肺全体に癌細胞が拡がる「癌性リンパ管炎」を心配しているのではないでしょうか。レントゲン写真で見ると間質性肺炎によく似ています。

癌に効くという「健康食品」は沢山ありますが、何種類も飲むのはかえって逆効果でしょう。一種類にすべきです。これも帯津先生に相談してみてください。私は先日、愛媛県の松山市と福岡で帯津先生の講演を聴きましたが、大変良い先生です。

下腿から足にかけての赤いポツポツは 内出血でしょう。薬の副作用や貧血などによる出血傾向が考えられます。健康食品には関係無いでしょう。これも帯津先生に相談してみてください。

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