[肺癌2]

[両側の肺に癌があり、あと半年から1年と言われた]
[初期肺癌で手術をしたらリンパ節転移があり色々心配]
[肩の痛みで3カ月総合病院の整形外科にかかっていたが肺癌だった]

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[両側の肺に癌があり、あと半年から1年と言われた]

(相談)三原市1998.11.4.
数野先生、父(66歳)が肺癌だろうと言われておりまして、まだ病理検査待ちの状態ですが、少しでも情報をとインターネットを見ておりまして、数野先生のネットを見つけました。父は三原に住んでおりまして、こんなに近くの福山にすばらしい活動をなさっている方がいらっしゃることを知り、お便り差し上げます。(母も三原ですが、子供の私と妹は東京近郊に暮らしております。)数野先生もネットで本当にいろんな方からお便り受け取られるようで、大変お忙しいときに、まだはっきり結論がでていない状態でお便りして申し訳ありません。

父は数年前に腎臓ガンと診断され、手術を三原で受けました。病院は三原ですが、執刀医は愛媛大学よりいらっしゃいました。その後薬の治療を続けておりましたが、いたって元気でした。 もうガンの心配はなくなったかと期待しておりました。 ほんの2週間前も東京・信州に5日の旅に母とまいりました。 その旅行のあと、咳もひどいからと三原の医師会病院で検査を受けたのです。(父はずっと昔30年も前から咳きは常にしておりましたのでそんなに新しい症状というわけでもありません。たばこは前のガンと言われてやめましたが。) その検査(たぶんレントゲンかCT)によると両肺にガンがあるとのこと。 片方は8センチで片方には2センチで手術はできない。 もって1年、早くて半年だろうとのいわれ方を母はされたそうです。 まだ病理検査の結果が出ていないので何と言う肺癌かどのステージなのか等なんともいえないのですが、家族中大変ショックを受けております。 お医者さんに父には言うなといまのところ言われておりまして、母は父には言っておりません。 私ども姉妹も帰りたいのですが、この前会ったばかりでなぜと思われるからと、帰っておりません。しかし、まわりが少々ざわついておりますし、まえのガンのことは知っていますので、感づいているかもと母は言っております。

親戚のものが三原の町のお医者さんだけでは心配だともうしまして、縁のある川崎医大関係の副島先生にみてもらう約束を取り付けたそうです。 来週の月曜日11月9日に行くそうです。 前の川崎医大の副院長さんとのことです。もしご専門でないなら他のお医者さんをご紹介くださるのではないかとは思いますが、もしアドヴァイス等いただければ大変参考になります。突然のメイルで申し訳ありません。 いろんな方が「わらにもすがる思いでメイルを突然ですが、差し上げます」と書いておられましたが、私も同じ心境です。どうぞよろしくお願いいたします。

(答え)1998.11.5.
お答えします。あなたのメイルから、最も考えられる可能性は、腎臓癌の肺転移だろうと思います。腎臓癌には、飲み薬は効かず、インターフェロンが効く場合もありますが、可能であれば手術をします。しかし、癌の大きさからすれば、無理だろうと思います。癌の手術を受けられているのに、こんなに発見が遅れたのが不思議です。いずれにしても、癌細胞の種類によって、治療方法が違ってきます。いまの病院の先生の判断を待って、必要があるか、家族の人が希望されれば、しかるべきところへ紹介してくれると思います。残念ながら備後地区には、最終的な病院というものがないために、専門的な医療を受けることができません。必要な場合には、やはり岡山か広島まで行くことになります。肺癌の治療は、岡山大学が先進的です。ご存じのように第2外科は、生体肺移植というきわめて難しい手術もできるくらいの世界的に高度な技術がありますし、第1外科では、肺癌の遺伝子治療を計画しています。父上の場合は、第2内科(呼吸器疾患や癌の化学療法が専門)を受診されるのが良いかと思います。ではまたいつでもメイルをください。

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[初期肺癌で手術をしたらリンパ節転移があり色々心配]

(相談)1998.10.22
こんばんは。母が肺ガンで入院しています。父は母の事について私にはあまり話してくれません。でも、真実が知りたくて先生に相談します。

昨年9月健康診断を受けたが異常なし、昨年12月健康診断を受けたが異常なし、今年8月健康診断でレントゲンで異常あり、国立病院に入院して検査を数週間にわたり検査を受ける。昨年の健康診断のレントゲンが欲しいと言われて開業医と、総合病院にレントゲンを取りに行く(昨年9月の時にすでに肺には陰があった)。結果は肺ガン。しかし、転移の可能性は少ないと言われる。10月12日約6時間の手術は無事成功。先生からの術後のコメント(専門用語ばかりでよくわからなかった)。場所は11というとこらしい。最初は初期ガンという話だったが、切ってみたら進行ガンでstage2。肺の切除を行ったが、ただ腫れているという可能性もあるがリンパに転移している。術後の状態を見て、これからの治療を考えるという事でした。

私はそれまでガンという事は知らなかったので、その場で倒れそうになり、先生の言葉もよく理解できませんでした。頭が白くなりつつも、今覚えていることは上記のことです。現在は管や酸素がはずれ一般病棟にいます。食事は半分くらい食べています。今、気になっているのが傷口が膿んでいるという事です。父が親戚に電話しているのをこっそり聞いていたらMRSA?(よく聞こえなかったんですがアルファベット4文字だった気がします)に感染しているんじゃないか。という事でした。どうやら抗生剤が効かないらしいのです。それ以上の事はわかりません。上記の事で母の今の状況と、治癒の可能性と、リンパに転移していた時の治療と延命できるのか?というか、どのくらい生きていられるのか?私は25歳で今は会社を辞めて母の看病と、家の事で忙しい毎日を送っています。一人っ子で、未婚です。これから先が不安でしかたありません。泣いてばかりの日が続き精神的にも辛いのです。それもあってか私自身、首のあたりのリンパ腺が腫れているというかコリコリができてしまいました。どういう病気なんでしょうか?コリコリは一カ所しかありません。病院に行ったら、どうやら専門の先生ではないらしく血液と尿の検査だけで一週間後に結果が出てから来てくれということで、薬ももらえず来週の水曜日まではこの状態です。このままひどくなったりするのでしょうか?今私にできる事は何でしょうか?母の肺ガン、私のリンパ腺、この2つについて教えていただけますか?お忙しいのに長文になってしまってすいません。よろしくお願いいたします。

(答え)1998.10.22
お答えします。肺癌は治りにくい癌の一つです。国立がんセンター東病院のデータでは、非小細胞癌の切除可能例での臨床病期別の5年生存率は1期:55%,2期:35%,3A期:20%,3B期:10%,4期:10%です。ただし、本人にとっては、0%か100%かという数字しかありません。リンパ節に転移していたとしても、特にこれをしないといけないというような治療方法は、ありません。状況によって違いますが、化学療法を試みることもあります。手術で取り除いたリンパ節にだけ転移している場合には、治る可能性がありますが、残っているリンパ節にも転移があれば、治りません。現在のところ、それを確実に調べる方法はありませんので、手術で取り除いたリンパ節に転移があれば、他にも転移の可能性があると考えたほうがよいでしょう。もちろん詳しいことは、主治医に聴いてみてください。

あなたの首にできたリンパ節の腫れは、たぶん心配のないものでしょう。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)1998.10.23
お忙しい中、こんなにも早くのお返事ありがとうございました。具体的に率直にお答えいただいたので、ショックではありましたが可能性的にありならばそれを信じてがんばって行こうと思います。もう一つお聞きしたいことがあります。父のことなんですが現在60歳です。風邪をひいているわけではないのに、通常に生活していて咳をしょっちゅうするんです。健康診断をうけても特に問題はないそうですが、あまりにも咳をするので、とても心配です。本人もなんだかわからず、時に気にとめてもいない様子ですが、母が入院、父まで倒れられたら私はどうしていいのかわかりません。咳は何年か前から続いていて最近、ひどいように思えます。慢性気管支炎じゃないか?と本人は言いますが、それはどのような病気なのか、私にはよくわかりません。そして、それが本当にその病気なのかも確信できません。父のこの症状からいうと、何の病気なんでしょうか?よろしくお願いいたします。

(答え)1998.10.23
お答えします。父上の場合も、呼吸器の専門の医師に診てもらうか、肺癌の検診を受けてみることです。もしタバコを吸うようでしたら、すぐに止めることです。症状からは、やはり慢性気管支炎が考えられます。慢性気管支炎は、悪性の病気ではありませんが、治りにくい病気です。その場合にも呼吸器の専門の医師の治療を受けます。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1998.10.24
早速、父の件のお返事ありがとうございました。本人は自覚しているようですが、「薬を飲んでもそのときだけ効いて、すぐに悪くなるし、慢性化しているから治らない」と、病院に行ってくれません。最近は季節がら急に寒くなったりしているためか前よりもひどくなっているような気がします。なんとかして、病院に行かせようと思っていますので、相談にのっていただいて本当にありがとうございました。胸のつかえがとれたような気がします。お忙しい中本当にありがとうございました。

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[肩の痛みで3カ月総合病院の整形外科にかかっていたが肺癌だった]

(相談)東京1998.10.16
Yahooの検索で見させていただいております。姉(37歳)が今年6月頃より、肩凝りがひどいと言い出し、千葉の○○病院という総合病院の整形外科に診療にいったところ、問診のみで抗生物質による痛み止めをもらいましたが、3ヶ月ほど投与を続けても良くならず、針治療なども施しましたが痛みは増して、9月の終わり頃に市立病院に再度今度は内科で検査を受けました。内視鏡、血液検査、X線で肺上部、ほとんど肩のあたりに影が見られ、しかし、その時点では異常は認められず内視鏡による一部細胞を他に委託し検査した結果、悪性の腫瘍(肺ガン)という診察が昨日下されました。その精神的疲労もあったのか、日頃も訴えていたのですが呼吸が困難になり、その日に緊急入院になりました。翌日より再度検査、転移がないか確認するとの事でしたが、両親は松戸市立病院で治療を続ける意図でいるようです。私が疑問に思うのは最初にいった病院でなぜ3ヶ月もの間、同じ治療、しかも抗生物質を投与しつづけたのか。なぜ、その病院では癌とまで言わずとも、他の診断ができなかったのかという事です。両親はここまで痛い思いをして検査をしたのだからと申しますが、病院によって結果は違ってくるのではないでしょうか。検査結果は来週火曜日との事です。義兄にも転院の意志は多少あるようです。紹介状が無ければ無理なのでしょうか。カルテを提出してもらっても、検査はやり直しなのでしょうか。来週の検査結果の際に、私にできる事はいかなる事でしょうか。主治医の方とは初めてお会いします。愚弄質問をしても良いものでしょうか。全く無知なものです。良きアドバイスがいただければ幸いです。

(答え)1998.10.16
お答えします。残念ながら、姉上の肺癌は、パンコースト腫瘍(パンコースト症候群)として有名なものだと思います。「患者の命は医者次第」という言葉がありますが、最初にかかった医者によって運命が変わることはよくあります。○○病院の整形外科の先生の頭の中には、この病気についての知識が無かったのでしょう。最初に総合病院の整形外科にかかったのが、間違いのもとだったと思います。総合病院の医師は一応専門医ですので、そこに来る患者さんについては、自分の専門の病気の人としか考えません。まず「かかりつけの医師」にかかって、そこで手に負えない場合には、どの専門医にかかればよいかということを判断してもらいます。最近の医師は、卒業するとすぐ専門医への道を歩む人が多いので、いわゆる「専門バカ」が多いのです。大学の先生でも同じです。

参考までに「医者の善し悪しを見分ける四つの目」について。四つの目とは、学力、技術力、智力、博愛的親切心について評価する目です。

医師の能力は、知識と経験と技術と洞察力、それに熱意と心によって決まります。今は医者を選ぶ時代です。といっても判断のもとになる情報が少ないので、なかなか困難ですが。

おそらく姉上の肺癌は、「偏平上皮癌」で肋骨が3本位侵されていると思います。治療はなかなか困難ですが、手術、放射線療法、抗癌剤?などを組み合わせて治療します。できれば肺癌の専門病院が良いでしょう。主治医によく聴いてみてください。その病院で治療ができなければ、当然紹介してくれるはずですが、最初のことがありますので、自分でも調べてみることです。もし検査をやり直すとしても、専門の病院であれば、そんなに苦痛はないはずです。検査や治療に苦痛を伴うのは、技術がヘタだからです。「患者の命は医者次第」です。医師から話しを聴くときには、まず検査の結果と現在の状態を聴いて何が問題かということを知ります。それに対する治療の方法(いくつかあります)と予想される結果を聴きます。治療を受けなかった場合のことも話しがあると思います。「医者の善し悪しを見分ける四つの目」で考えて、医師の説明で納得がいけば、すすめられた治療を受けてもよいし、納得がいかなければ、断ることです。わからないことは遠慮せずに、その時によく聴いてみることです。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)1998.10.17
早速のご回答ありがとうございます。とりあえずは検査の結果を待って一応転院の方向で考えたいかと思います。松戸市立病院には呼吸器科が無いようで、先日、義兄が電話で主治医の先生とお話したところ先生の方でも、治療によっては別の病院もと、お話してくださったようです。ただ漠然と転院と申しましても、東京の病院だと癌研か東京医大かという位で思いあぐねておりますが、もしくは病棟の設備の良さから聖路加病院とも考えております。肺癌の専門医で先生のご存知なところがありましたら、差し支えなければお教えいただければ幸いです。全くの暗中模索の状態で、書籍とWEBと人からの経験談と、躍起になっている状態です。先生のご回答、心強い支えになります。自分でも時間を割いて沢山勉強してまいります。また検査の結果が出ましたらメールさせていただきたいかと思います。どうぞ何卒よろしくお願い致します。

(答え)1998.10.18
お答えします。柏の国立がんセンター東病院が近いのではないでしょうか。東京の病院だと国立がんセンターか東京医大でしょうか。主治医の先生と良く相談して決めることです。治療が終了したときのことや治療ができなかったときのこと、末期になったときのことも考えておく必要があります。病院を選ぶ基準は色々ありますので、「病棟の設備の良さ」で選ぶのも一つの方法でしょう。いずれにしても、自分で決めたことに後悔しないことです。自分の命ですから、残された時間をどう生きるかということを良く考えて、自分で決めることです。進行肺癌だと思いますので、治すことは困難です。生と死を考える機会を与えられたと思って、良く考えることです。やり直しはできません。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)1998.10.18
お忙しい中ご返事ありがとうございます。今日家族でも話してやはり場所的に柏の国立癌センターはどうかと話しておりました。主治医の先生にも良くお話を聞いてみたいと思います。それ以外に自然治癒力という言葉を耳にいたしました。抗がん剤などの化学療法とは別にできるもの?たまたま私がはじめに目にしたのはキトサンでした。いくつかの本とWEBの情報を探しているうちに、その他にも沢山の健康食品のような類のものを見かけました。主治医の先生にもお話を聞いてみようかと思っております。初めに気にかかったキトサンを姉にも話してみようかと思います。また、進行性の肺癌とのお話でしたが、こうして検査結果を待っている時間、そしてその後の入院までの時間すら大変な時間のロスなのでしょうか。日一日を争うのではないかとも思えてきました。またメールさせていただきます。迅速なアドバイスありがとうございます。

(答え)1998.10.18
メイルありがとうございました。癌でも風邪でも、病気を治す力は「自然治癒力」です。ただ癌の場合は、自然治癒力では治らなかった癌が、目に見える病気として出てきているわけで、自然治癒力で治せる状態にするために治療をします。手術、化学療法、放射線療法は、一時的に自然治癒力を弱めますが、癌の量を物理的にゼロに近付けて、自然治癒力で治せる範囲にしようとする治療です。癌細胞の種類によりますが、一般的には手術が一番確実な治療方法です。手術が成功して、元気に退院できる日が、本当の癌治療(自然治癒力による)のスタートラインです。自然治癒力を強力に発揮するためのきっかけが、健康食品のような類のものか、民間療法か、免疫療法か、信心か、食事療法か、呼吸法か、何かは、一人一人違うようです。これをすれば誰でも自然治癒力が強くなるというものはありません。ただ、身体に良くないことは避けるべきですが、「毒でも薬と思って飲めば効く」場合もあります。自分で選び、自分で決めた方法であれば、どんな方法でもある程度の効果があると思います。

癌の進行は、そんなに急速ではありませんので、あわてることはありません。月単位くらいで考えていればよいと思います。病気の人だけでなく、明日何が起きるかは誰にもわかりません。私たちに残された時間は「人生のロスタイム」と考えたほうが良いかも知れません。「ロスタイム」をどう生きるかということが大切なのではないでしょうか。生と死を考える機会を与えられたと思って考えてみてください。こんどはあなたの番かも知れません。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)1998.10.20
早速のご回答ありがとうございます。本日姉の検査結果を聞いてまいりました。ステージは3おそらくBと見ていいだろうとの事でした。今のところ脳や骨には転移は認められず、肩、胸の痛みは胸膜に若干の転移があるかもしれないとの事。いかがなのでしょう。対処の方法は右肺を除去する、もしくは開いた状況によって3分の1程下の部分は残すかもしれない。その後は抗がん剤、放射線の治療。治療方法は追って相談してとの事でした。当初、国立癌センターへの転院を考えておりましたが、松戸市立病院に呼吸器科が無いとの事で、治療方針などは福祉医療センター東松戸病院に紹介状を出しますので話してみてくださいとのことでした。先方の外科の先生とは連絡を取っているとの事で、その方が検査も少なくて済むようですが、今までよく聞いていた名前でない病院となると一抹の不安を感じます。かといって今お世話になっている病院のお話です、癌センターにも紹介状は書いていただけるとの事でしたが、検査等はもしかすると初めからやり直しになるかもしれないとも言われました。明日、紹介状とレントゲン写真など資料を持って一応話を聞きに行くようです。その様子でまた検討しようかと思います。

(答え)1998.10.21
メイルありがとうございました。医師の方から紹介する病院は、同じ大学の関係の病院の場合が多く、医師自身の個人的なつながりの病院と考えた方がよいでしょう。医師の世界は、学閥という意識が強く、仲間意識の強い集団です。よい場合もありますが、かばいあう体質の原因となります。「セカンド・オピニオン」といいますが、手術を受ける場合などは、まったく違うもう一人別の専門家に診てもらって、意見を聴くのが良い方法です。手術はやり直しが効きませんし、その後の経過は最初の手術でほとんど決まってしまいます。ついでに付け加えれば、多くの患者さんの手術をしている病院ほど、手術とそれに伴う色々な治療は上手です。手術は技術ですので、物を作ったりするのと同じです。確かに、小さなパン屋さんでも、上手に美味しいパンを作る店もありますので、すべてにはあてはまりませんが(当院の前にはそのようなパン屋さんがあります)、手術の場合は、手術をする医師の腕は勿論のこと、看護婦さんや技師の人など、病院全体のレベルの問題です。繰り返しますが、手術はやり直しが効きません。

さて、肺癌は最も治りにくい癌の一つです。ステージ3Bということは、かなりの進行癌ということですので、治る可能性は少ないと考えなければいけません。胸膜に癌が及んでいたり、転移があったりすれば、さらに厳しい状況となります。しかし「右肺を除去する」ような手術はしません。右肺の1/3もしくは2/3を取るか、何も取らない(取れない)かです。経験の少ない病院では、「開いた状況によって決める」ということが多くなります。癌細胞の種類と癌の進行の程度によって、治療方法はある程度決まってきます。どれにするかわからないというようなことは無いはずです。

病院を選ぶときの考え方は色々ありますが、近くの病院がよいという考え方と、遠くても優れた病院がよいという考え方がありますので、近くに優れた病院があればそれがベストです。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)1998.10.31
東松戸病院に入院することになりましたが、痛みが続くためにボルタレンを飲んでいます。薬を飲んでも痛みが取れるのは2時間か3時間くらいです。手術をすれば痛みが取れるでしょうか?

(答え)1998.10.31
お答えします。癌による痛みのうち、軽いものはボルタレンなどの鎮痛剤で治まるものもあります。それで治まらない痛みに対しては、やはり麻薬を使います。特に治まりにくい痛みは、癌によって骨や神経が侵されるときの痛みです。そのような場合には、鎮痛補助薬という特殊な薬を麻薬と一緒に使います。癌による痛みに対する治療の方法は、ほぼ確立されていて、ほとんどの痛みを十分取ることができます。姉上の場合、痛みの原因として最も考えられるのは、癌が直接骨や神経を侵すとき(この場合は転移とは言いません、浸潤と言います)の痛みだと思います。やはり最初のメイルでお伝えしたような状況が考えられます。治療によって原因を取り除くことができれば、痛みは止ります。幸運を祈ります。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)1998.11.3
先生いつも迅速なご回答ありがとうございます今日はご相談というよりは、ぼやきです。本日、転院先の病院に入院だったのですが、検査は休み明けになるので、お子さんもいるのなら今日は帰られますかと、姉は病院より戻ってまいりました。戻る前に担当の医師から簡単に説明があったらしく(本人しか聞いておりません、家族のものは不在でした)、以前は右肺を全て、もしくは3分の2を除去手術をする方法がもっとも効果的というような話だったのですが、一転して他の腎臓などの臓器の転移を検査した結果では、化学療法と放射線治療をまず施すとの話になっていたようです。結局先日の検査は、骨と肺全体の転移を見る検査だったようで、全く転移が無かったとは言い切れないようです。痛みも結局すべては取れずに、今までの薬の使用方法をいろいろ試し、どの投与の仕方が一番楽か5日間の投与の時間、量などを報告してくださいとのことでした。結局やはりステージ3とのことで、外科手術も無理かもしれない状況なのでしょうか。先日の検査結果で肺を取ると効いたときは正直ほっとしておりました。まだまだ勉強不足なのか、わからないことだらけです。今はモルヒネの治療の本を読んでおります。浸潤と転移、場所が違うということであって、結局は細胞は広がっているのでしょうか・・・。結局はだらだらとした質問になってしまいました。すみません。またメールさせていただきます・・・・

(答え)1998.11.3
メイルありがとうございました。残念ながらはりステージ3B以上のようですね。そうなると「右肺を全て、もしくは3分の2を除去手術をする方法がもっとも効果的」という治療は行わず、「化学療法と放射線治療」ということになります。こんどの病院は「今までの薬の使用方法をいろいろ試し、どの投与の仕方が一番楽か5日間の投与の時間、量などを報告してくださいとのこと」、患者さん本位の姿勢がうかがえます。これからは、治療の副作用と痛みとの闘いになります。身体の状態を主治医や看護婦さんに、うまく伝えて、できるだけ症状を取ってもらうようにしましょう。

癌が連続的に周囲に拡がっていく発育の仕方を「浸潤」といい、離れた場所で(非連続的に)発育する拡がり方を「転移」といいます。姉上の場合は、おそらく癌に接した肋骨と神経に浸潤していて、縱隔(胸の中央部で肺の付け根)のリンパ節や他の臓器やリンパ節にも転移しているのではないでしょうか。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)1998.11.8
先生いつもありがとうございます。本日、今後の治療方針が決まりました。抗がん剤による治療を1ヶ月X2回、2ヶ月間の入院を経て、また考慮しましょうとの事になりました。外科手術は胸水が溜まっているとの事で、取り敢えずはその胸水に癌細胞が入っているかの検査をして、それが認められ外科手術という事になるとリスクが大きすぎる(大量の出血と癌細胞の取り残し)というお話で、姉も抗がん剤治療との決心がついたようです。胸水を抜いたというお話よく効くのですが、全部抜くのは容易ではないのでしょうか?約1L程との事のようでしたが(私は留守番で担当の先生のお話を直接聞きに行けませんでした)。胸水にかなりの痛みの原因があるとの事でした。そして疼痛治療ですが、現在MSコンチンを1日3回30mgずつ錠剤で服用しております。それでも痛みはまだ残っているようで、ただ何かの書籍で1日90mgと見たような気がするのですが、これ以外の疼痛治療も可能なのでしょうか。夜になるとかなり痛くなるというのは精神的なものもあるのでしょうか。最後に抗がん剤治療ですが、2ヶ月間の後さほど効果が見られない場合はまた2ヶ月、もう2ヶ月、もしくは効果が見られた場合は3ヶ月に1回の治療などその期間はまちまちなものなのでしょうか。担当の先生にお話するべきような事ばかり申し上げてすみません。お時間の許す限り教えてください。よろしくお願い致します。

(答え)1998.11.8
お答えします。今後の治療方針が決まったということですので、参考までにステージ3Bの肺癌について、教科書的なことを書いておきます。ただ、病気というものは一人一人で違いますので、その人の状況に応じた治療が行われます。本人と家族の考え方と希望を聴いたうえで、主治医の考え方と治療経験(腕)と病院のレベルによって決まります。こうしなければいけないというようなきまりはありませんし、結果はなかなか予想がつきません。

ステージ3Bの肺癌とは、「癌が心臓外膜、大動脈、縱隔、気管、胸椎に浸潤しているもの。リンパ節転移が反対側の肺門に及んでいるもの。」ということになっています。

また、ステージ3Bの肺癌の治療は、「最初に化学療法または放射線療法を行い、癌が小さくなれば手術切除を行う。」ということになっています。そして、ステージ3Bの肺癌の5年生存率は10%から25%となっています。

胸水に癌細胞が入っているかどうかということで、今後の治療の方法が決まると思います。それが認められた場合には、「癌性胸膜炎」という診断となり、外科手術という事はまず考えられません。末期癌と考えたほうがよいでしょう。胸水を抜くことは、専門家が行えば注射と同じ程度のことで容易なことです。胸水を抜けば、かなり痛みが楽になるかも知れません。疼痛治療として、すでにMSコンチンが使われているということは、末期癌治療だと思います。本人には希望を持たせるために、すべて希望的な話しになっているように思えます。疼痛治療は、痛みが取れるまで、薬の量や種類を増やしたり、薬の使い方を変えたりします。何mgというきまりはありません。一日100mgを越すことも稀ではありません。夜になるとかなり痛くなるというのは精神的なもので、だれにでもあることです。普通に行われる化学療法(抗癌剤治療)は、あまり効果が期待できません。無菌室に入って、白血球がゼロになるくらい、生きるか死ぬかというくらい徹底的にしなければ効果は期待できませんが、もし効果があったとしても、一時的な場合がほとんどです。また、化学療法や放射線療法の効果が期待できるのは、一回目だけの場合が多いようです。色々な治療を行った結果が、「5年生存率」ということです。10人のうち9人にとっては、可能性は0%ということです。胸水に癌細胞があれば、残念ながら0%だと思います。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)1998.11.28
先生ご無沙汰しております。いつもお忙しい中ありがとうございます。先週一回目の抗がん剤治療を始めました。土曜日にランダとフィルデシン?という二種類のものを併用で点滴による投与でした。初日はさほど具合も悪くなかったのですが翌日くらいから吐気がひどく、そんな中も背中の痛みも続き本人もかなり辛そうで、せめて吐気だけでもと思い担当の先生にお話したのですが、1日通常一回の吐気止めの点滴でおさまるところ2回の投与を行っているのでそれ以上はほとんど寝たままになってしまうと言われてしまいました。約一週間経ったのですが明日もう一度フィルデシンの投与を行い、抗がん剤は一応終了との事。姉は吐気はやや収まったものの、もう1クルーはとてもやりたくはないと言っているようです。これからも副作用は続くのですよね?なにか食べさせなければといろいろ差し入れたりもいたしましたが、ほとんど手も付けず、傍から見て体力の低下が心配で仕方がありません。さほど食べなくても点滴さえすれば大丈夫なのでしょうか。抗がん剤が始まる数日前に胸水を少しだけ取って検査をしたようですが、今は結果待ちです。結局胸水も自然になくなる方法が一番との事のようです。今本人はかなり精神的に疲れているようで、何もかもやる気がなくなっているように見えます無責任に励ます事もできず、何をしてあげるべきか少々戸惑っております。まただらだらと書き綴ってしまいましたすみません。少し余談ですが、いまキトサンのほかにアガリクスとプロポリスも飲ませています。キトサンは結局、錠剤で何錠も飲むのが飲みにくいと言うので今は飲んでおりません。アガリクスとプロポリスの併用に関して、アガリクスのメーカーの方が一本に絞った方が良いとおっしゃるのですが、本当にそうなのでしょうか(効果が薄れるとのこと)。またアガリクスをカルピスと飲んでおりますが、その乳酸との組み合わせもあまり良くないと言われてます。もし何かご存知でしたら教えてください。3種類はやり過ぎでしょうか・・・・?

(答え)1998.11.29
お答えします。奥迫康子著(家の光協会出版1400円)「真利栄ちゃんママがんばってるよー絨毛がんに冒された母と子」という本を読んでみてください。化学療法で癌を治した人が書いた本です。

病院での治療以外の民間療法で、医師がこれがよいとおすすめできるようなものはありません。そのようなものの効果はもしあったとしても、ごくわずかでしょう。何種類も飲んでも、ほとんど効果は無いと思います。精神的な支えにはなると思いますので、なにか一つで良いのではないでしょうか。つまり気休めです。ではまたいつでもメイルをください。

(相談)1999.1.3
先生大変ご無沙汰しております。いつもご相談にのっていただきありがとうございます。抗がん剤の治療も終わり、その後12月半ばに胸水を抜くという事になり一週間近く、管を肺に付け水を抜き癒着剤を入れるという治療が終わりました。肺は水が溜まっていたときよりは大きくなったとの事でしたが、今後も水がたまる可能性も考えられるとの事、もう少し楽な治療と思っておりましたが、抗がん剤の治療よりも本人もかなり辛かったようです。今、本人も含めて家族でも、これ以上の化学療法が本当に望ましいのかという話になってまいりました。担当の先生も正月明けにもし自宅療養が希望であればその方向で考えましょうと、おしゃっております。今、MSコンチンを朝晩60mgその間2回30mg服用、計180mg1日に飲んでおります。本人はもう眠りたくないのにと言いながらも意識がぼんやりする事と、起きている間にイライラするという事を訴えております。薬の副作用なのでしょうか?それに対処する薬はあるのでしょうか?また間に痛み止めとして???(文字化け)を服用するのですが、なかなか我慢しようとしているようですできれば飲まない方がいいのでしょうか?痛みは当初に比べるとかなり和らいできたように見えているのですが、やはり本人でないとわからないのでしょう・・・ただ、あまりぼんやりしている姿を見ていると、MSコンチンをもう少し減らしても・・・とも思えてしまうのですが・・・・・。お忙しい中いつも申し訳ありません。何か教えていただければ幸いです。よろしくお願い致します。

(答え)1999.1.3
お答えします。今年も宜しくお願いします。胸水を抜くために、一週間近く管を入れていたとのこと、大変つらかったと思います。出身大学や病院によって、やり方が違うことが多いのが、日本の医療の特徴ですが、私たちは、局所麻酔で針を刺して、胸水を抜き、抗癌剤を注入するということを1週間位の間隔で、胸水が溜まらなくなるまで行います。1回ですむ人もいます。抗癌剤が癒着剤の役目もします。

痛みの治療は、本人の痛みの感じ方をよく聴いて、痛みをほぼ感じなくなる量まで増やしていきます。量が多くなると、どうしても意識がぼんやりするようなことも起きますので、少し減らしても良いと思います。痛みが強いときに、いつも問題になることですので、担当医に相談してみてください。本人と家族の希望を担当医によく伝えておく必要があります。すでに末期癌の状態のように思いますので、これからは鎮痛と鎮静が必要となり、意識がはっきりしない状態で過ごす時間が多くなると思います。なるべくそばにいてあげて、話を聴いて、苦しみを共に分かち合ってあげてください。みんなで支えてあげてください。ではまたいつでもメイルをください。

(当方からの質問)1999.1.3
今回のメイルで一部文字化けしていて読めないところがありましたので、確認させてください。
現在、使用中の鎮痛剤は、麻薬(モルヒネ)のMSコンチンを朝晩60mgその間2回30mg、1日計180mgを飲んでおられますね。MS(I:]=A]?
その間に痛み止めとして服用している薬は何でしょうか。(I涙拈旱?
?の2ケ所が分かりませんでした。
もう一つ確認させてください。胸水の検査で癌細胞が出ましたか?宜しくお願いします。

(相談)1999.1.4
先生、早速のご回答ありがとうございます。文字化けしていたとの事で全角で送信すれば大丈夫でしょうか。服用している薬はMSコンスチン系180mg、間の痛み止めはボルタレンです。ボルタレンは病院にいるときはさほど使用しないのですが、自宅に外泊時の方が痛みが出るようで、本人もそれを気にして自宅に戻れなくなると言って、外泊時も使わないようにしてしまうようです。薬の使用量の件はもう一度、担当の先生に相談してみます。(ある程度の副作用は仕方が無いとの事でしたが眠気とイライラするのがかなり今は気になっているようです)。MSは処方が難しいとの事ですが量的にどうなのでしょう。(当初は10mgを日に4回、後に20、30と増えてきました)。胸水の検査結果は当初細胞は認められなかったとの事でしたが、治療が終わったところで細胞が認められた旨伺いました。本人には今後の抗がん剤治療の効果の検査を終えて伝える方針でおります。癒着剤は抗がん剤も含まれていたようです。お忙しい中ありがとうございます。よろしくお願い致します。

(答え)1999.1.4
メイルありがとうございました。やっと文字化けの原因が分かりました。ありがとうございました。

さて、癌末期の痛みに対する治療に対して、今まで医師はほとんど無関心でした。そのため知識も経験も少ないのが現状です。担当医に勉強していただくくらいのつもりで、積極的に話して(訴えて)みてください。現在はMSコンチンとボルタレンのどちらも錠剤しか使っていないようですが、座薬もありますし、ちょっと難しいかも知れませんが水薬もあります。我慢せずに、痛みの程度と時間をこまめに(ひつこく)担当医や看護婦さんに、訴えてください。

痛みを取るか、意識を保つかということになりますが、薬をうまく使えば、どちらも満足できる方法があると思います。眠気とイライラは、薬が中途半端に効いているためかも知れません。半日位は眠らせてあげるほうが良いかも知れません。

胸水の検査結果で癌細胞が認められたということですので、残念ながら治すことは困難です。家族の人は、なるべくそばにいてあげて、話を聴いてあげたり、身体に触ってあげたりしてあげてください。それが最高の「手当て」です。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1999.1.4
先生ありがとうございます。また検査の結果、治療方針等わかりましたらメールさせていただきたいかと思います。よろしくお願い致します

(相談)1999.3.7
先生大変ご無沙汰しております。姉は正月明けに千葉の病院を退院MSコンチン、アキネトン、セレネースなどの薬を外来でもらい、家で過ごす事になりその際に東京の聖路加病院に転院となりました。聖路加で外来で薬をもらいながら自宅で過ごしていたここ2ヶ月近く、ほとんど寝ている時間も多かったのですがかなり安定しておりましたが、2週間ほど前から胃痛を訴え先週末発熱、腹痛もかなりひどくなり聖路加に再入院、診断は腸閉塞でした。MSコンチンなどによる腸の機能の低下とのことで1週間の絶食、最初は鼻から管も入れ、首からの点滴でかなり苦痛そうでしたが腸の動きもやや回復し来週くらいから流動食と言われていた矢先に400ccほどの下血がありました。今は点滴に、輸血という状態で大腸や小腸の下の方には異常が無いのでおそらく小腸の上の部分になんらかの異常があるとの事CTで検査した結果は異常は見られなかったのですが本日二度目の下血がありました。赤血球の値が低下しているそうです。父などは腸閉塞はそんなに大変な病気ではないなどと言っていたのですが本当でしょうか。一般的に治癒するのに要する日はどれくらいなのでしょう。ごくまれに小腸に癌が転移するとの事も言われましたが可能性として覚悟は必要でしょうか。点滴だけの日々で体力の衰えが心配です。早く食事ができる状態になってもらいたいです。家に早く帰らせてあげたいのですが難しいのでしょうか・・・・。お忙しい中長々とまたしても申し訳ありませんよろしくお願い致します。

(答え)1999.3.7
お答えします。「聖路加で外来で薬をもらいながら自宅で過ごしていたここ2ヶ月近く、ほとんど寝ている時間も多かったのですがかなり安定しておりました」とのこと、大変よかったと思います。「2週間ほど前から胃痛を訴え先週末発熱、腹痛もかなりひどくなり聖路加に再入院、診断は腸閉塞でした」「MSコンチンなどによる腸の機能の低下とのことで1週間の絶食、最初は鼻から管も入れ、首からの点滴でかなり苦痛そうでしたが腸の動きもやや回復し来週くらいから流動食と言われていた矢先に400CCほどの下血がありました」とのこと、大変ご心配だと思います。

「腸閉塞」は、原因によって大きく2種類に別れます。
まず一つは「腸の機能の低下」などによるもので、麻痺性腸閉塞ともいい、「機能的な腸閉塞」です。この場合は、絶食して腸の運動を促進するような治療をすれば、治ります。
もう一つは、「機械的な腸閉塞」で、腸が部分的に詰まってしまった(またはそれに近い)状態です。この場合は、腸の運動は亢進して(強くなって)差し込むような激しい痛みを感じて、嘔吐もします。腸捻転のように完全に詰まってしまうと手術以外にありません。腫瘍や癌の転移などによる場合には、いきなり完全に詰まることは少なく、狭窄状態(狭くなって通りにくい状態)や不完全閉塞の状態(通ったり通らなかったりする)になり、この場合には絶食などの保存的療法(対症療法)で一時的には、良くなります。

姉上の場合、今までの経過と症状、それに下血と言うことからは、小腸への癌の転移が考えられます。通過障害を改善するためには、手術が必要かも知れません。最近は、小さい傷で、小さい侵襲(身体への負担)で手術できます。もちろん治すための手術ではありません。これも本人の苦痛を取ってあげるための対症療法の一つです。ではまたいつでもメイルをください。

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