[患者の権利]

[イデアフォー] インフォームド・コンセントの推進、さらにはインフォームド・チョイスへ
[インフォームド・コンセントに関する問題] 国立大学医学部附属病院長会議常置委員会
[インフォームド・コンセントの原理とは?]ボストン大学教授ジョージ・J・アナス
[患者の権利章典のモデル]ボストン大学教授ジョージ・J・アナス
[危ない医療から身を守るための20のアドバイス]

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イデアフォー とリンクしています
(ホームページより引用)
イデアは IDEA(理念・考え・意見)、フォーは For(ために)とFour(4者…患者・家族・医療従事者・社会)を意味します。自分たちの乳がん治療体験から医療の閉鎖性に気づき、4者のために、患者の権利の確立した、より良い医療実現を目指して、1989年に発足した市民グループです。会員は乳がん体験者を中心に、家族、医療従事者、情報関係者、一般人を含め、2001年現在、全国で約500名になります。
10年前に私たちが困ったこと:こんな経験は過去のことにしたい!
医者が「乳がん」だと教えてくれない 、病状や治療法の説明もない 、治療法が他にもあることを教えてくれない  
そこで、イデアフォーは次の活動を基本としています:
インフォームド・コンセントの推進、さらにはインフォームド・チョイスへ
「患者の知る権利」と自分のことは自分で決めるという「自己決定権」に基づいて、病状や治療法について十分な説明を 受け(インフォームド)、患者自身が納得して治療法を選ぶ(コンセント、チョイス)、という基本の理念を定着させるために活動しています。 
医療情報の収集と提供
患者が納得して治療法を選択するためには、正確な医療情報へのアクセスが必要です。国や医師に情報公開を求めることも含めて、さまざまな医療情報を収集し提供しています。
乳房温存療法に関する情報の収集と提供
温存療法は約30%の実施率になりましたが、大きな地域差があります。日本のどこにいても、乳房切除のほかに温存療法が選択肢として提供されるよう、いろいろな方法で情報提供しています。
イデアフォー
〒112-0011 東京都文京区千石4-46-14 青山ビル301
TEL/FAX:  03-3944-8198 <事務所地図>
このWEBページに関するご質問・ご感想等がございましたら、お寄せください。尚、医療相談のメールやFAXは受け付けておりませんので、何卒ご了承ください。ご相談は無料電話相談をご利用ください。詳しくは、[患者サポート]をご覧ください。


[インフォームド・コンセントに関する問題]
「医療事故防止のための安全管理体制の確立に向けて(提言)」
平成13年6月 国立大学医学部附属病院長会議常置委員会

インフォームドコンセントの必要性と重要性はすでに周知されていることであるが、インフォームドコンセントに関する問題はしばしば経験されている。インフォームドコンセントの主体は、「患者」であって「医師」でばないことを、今一度確認し、重要と思われる点をここにまとめる。

@患者の意志決定に必要な情報をきちんと提供する

患者自身が、ある医療行為を受けるかどうかを判断、決定するためには

ア) 現在の病状および診断病名
イ) その治療行為を採用する理由
ウ) 治療行為の具体的内容
エ) 治療行為に伴う危険性の程度
オ) 治療を行った場合の予後や改善の見込み、程度
カ) その治療をうけなかった場合の予後
キ) 代替的治療法がある場合には、その内容および利害得失

に関する情報提供が必要である。

これらの中で、治療行為に伴う危険性について、「飛行機事故の程度」のように直感的にはわかりやすいが、人によってリスクの受け取り方に幅のあるような表現を用いると、大きな誤解を生じる可能性もあるので、客観的な数字で表現できるのであれば、きちんと数字で示すことが必要である。また、「他にも治療方法があると知っていたら、この手術は受けなかったのに」というような、保存的治療を含めた代替的治療法の存在とその利害得失に関する説明が不十分であることもしばしば指摘されているので注意を要する。また、医師や診療科によって手術適応や予後、告知の方法などが異ならないよう一貫性を保った情報提供を行うために、患者の受け持ち医グルーブ(上席医、主治医、その他の医師から成る)と執刀医・検査医グループ(上席医師、術者、その他の医師から成る)が異なる場合には、主治医の他に術者と両グルーブの上席医がインフォームドコンセントに必要な情報提供の場に同席する、というルールづくりが必要である。また、複数の診療科で医療を行う場合には、情報提供を合同で行ったり、それに代わる連絡調整を行うなどの工夫が必要である。

Aコミュニケーション

誠意ある態度で、わかりやすい言葉を用いて、患者や家族に質問の機会を与えながら、十分な時間をかけておこなうことが基本である。医師と患者との間で、治療のゴール、期待、認識が解離していることもある。例えば、腹腔鏡下胆嚢摘出術のような低侵襲手術というと安全な手術と誤解されることも多いが、決して低侵襲が低リスクを意味するものではないということを理解できるような説明が必要である。

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インフォームド・コンセントの原理とは?
ボストン大学教授ジョージ・J・アナス

インフォームド・コンセントの原理とは、簡単に言えば、リスクを伴ったり、別の方法があったり、または成功率が低いような治療や処置について患者に同意を求めるにあたっては、あらかじめ、しかるべき情報を提供しなければならない、ということである。この、提供すべき情報には、少なくとも以下のものが含まれる必要があり、また、当然ながら、患者に理解できる言葉で説明されるのでなければならない。

1)医師がすすめる治療または処置に関する概要の説明
2)すすめる治療・処置の、リスクと便益の説明、とくに、死亡や重大な身体傷害のリスクについての説明
3)別の治療法や処置を含め、すすめる治療・処置以外にどんな選択があるかの説明、およびそれらについてのリスクと便益の説明
4)治療を行なわない場合に想定される結果
5)成功する確率、および何をもって成功と考えているか
6)回復時に予想される主要な問題点と、患者が正常な日常活動を再開できるようになるまでの期間
7)信頼にたる医師たちが同じ状況の場合に通常提供している、上記以外の情報

このリストをみればわかるように、むずかしいことや奇妙に感じられるものはひとつもない。これは常識にもとづいたもので、医師がすすめている治療を受けるかどうかについて合理的な判断をくだすためには、およそ誰もが知りたいと思うことばかりである。

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◇患者の権利章典のモデル
ボストン大学教授ジョージ・J・アナス

前文

私たちのつとめとして、当医療施設を訪れたあなたに、医療は、患者であるあなたと医師や病院職員との共同作業であることを思い出していただくよう喚起したいと思います。入院期間中、あなたは患者の権利擁護者を頼むことができます。擁護者の義務は、あなたが決定をくだす必要に迫られた時、あなたの健康や福利が脅かされるような場合に、あなたを助けることです。擁護者が最初に果たすべき任務は、あなたといっしょに仕事をすることになる職員について、それぞれの役割をあなたが理解できるようにすること、そして、患者としてあなたにはどんな権利があるかを理解できるようにすることです。擁護者は、○○○−○○○○にダイヤルすれば、24時間中いつでも連絡できます。以下に、患者としてあなたがもっている権利を列挙してあります。これらの権利があなたに確実に与えられるよう保障することが擁護者のつとめです。以下の諸権利について、なにか疑問や懸念が生じた際には、いつでも擁護者に連絡してください。

1 患者は、自分の治療に関係するすべての意思決定に、情報を提供されたうえで参加する法的権利を有する。

2 当院の患者になろうとしている人は誰でも、当施設ではどのような研究や実験的医療を行なっており、この地域ではほかにどんな方法が利用可能であるか、を知る権利があるものと認める。

3 患者は、治療やケアにかかる費用の支払者についてプライバシーを守る法的権利を有する。この権利には、支払者が誰かにかかわりなく正当な医療を受ける権利、が含まれる。

4 当院の患者になろうとしている人には、当施設における医療や処置に関して完全かつ正確な情報をえる権利があるものと認める。

5 患者は、緊急の場合には、対応を急がせる法的権利を有する。

6 患者は、すすめられているすべての処置について、専門家以外のふつうの人にもわかる言葉を用いた、簡潔で明解な説明を受ける法的権利を有する。その説明には、死亡や重篤な副作用が生じる危険性、回復時に生じる問題、成功する確率、が含まれる。また、自発的・合法的で、理解にもとづいた患者の同意なしには、どんな処置も強要されることはない。このような同意の明細は、同意書に明記し、処置を行なう前に患者の署名をえなければならない。

7 検査や処置について同意を求められる時には、その前に、患者の病状と治療を行なわない場合の予後について、明解で、十分で、かつ正確な評価を知る法的権利を有する。

8患者は、自分自身が意思決定にかかわることができなくなった場合に、自分の指示と価値観にもとづいて自分に代わって判断をくだす人を、指名する権利を有する。当施設はそうやって指名を受けた人の権限を承認することに同意する。

9 患者は、自分のケアや診療に従事するすべての人たちの名前や職業上の身分および経験について知る権利を有する。職員はすべて、自分が誰で、身分が何で、患者の診療に関してどんな役割を担当しているかを説明するよう、指示されている。患者の診療に責任をもつ主治医が誰であるかを知る権利も、この権利に含まれる。

10 患者は、医療や看護を受けるに際して、人種・宗教・出身国・性別あるいは障害を理由として差別されない法的権利を有する。

11 英語を話せないかもしくは聴覚障害がある患者は、通訳者を頼む権利を有する。

12 患者には、入院期間中、自分の診療記録に書かれている情報について知る権利があり、要請すれば診療記録を閲覧できる権利を有する。

13 患者は、自分が希望しかつ自分で費用を払うのであれば、自分の病状について専門医の意見を聞く権利を有する。

14 患者は、自分に対して行なわれる検査や処置で、患者である自分にとっての直接的利益よりもむしろ、教育上の目的を主として計画されているものについては、これを拒否できる法的権利を有する。

15 患者は、特定の薬、検査、勉置、治療法について拒否できる法的権利を有する。

16 患者は、スタッフ、他の医師、レジデント、インターン、医学生、研究者、看護婦、他の病院職員そして他の患者に対して、個人的秘密と、自身に関する情報についてのプライバシーをともに尊重するよう要請できる法的権利を有する。

17 面会や電話によって病院の外の人たちと連絡がとれるようにすることは患者の権利であると認める。両親が子どものそばに、親族が末期の患者さんのそばに24時間ずっと付き添うことも許される。

18 患者は、その身体状態や財政状態の如何にかかわらず、退院する法的権利を有する。ただし、その際には、患者が担当医やスタッフの医学的判断に背いて退院するものであることを示す権利放棄証書への署名を求められる場合がある。

19 転院が望ましく、かつ必要であることが十分に説明されており、相手施設が患者を受け入れることをすでに承諾し、患者が転院に同意しているのでなければ、患者は他の施設に移されない権利を有する。患者が転院に賛同していない場合には、転院したほうがよいか、転院がほんとうに必要か、について顧問医の意見を求める権利がある。

20 患者は、退院が近いことを、少なくとも退院日の一日前までには知らされる権利を有し、また転院の是非、要否を専門家に相談したり、患者が選んだ人に退院のことを前もって通知してもらう権利を有する。

21 支払者が誰であるかにかかわらず、患者は当医療施設で受けた医療その他のサービスに対する請求書について項目ごとのくわしい説明を受け、これを検討する権利を有する。

22 患者には、当施設で受けたサービスの費用を支払うために、政府または民間の基金から財政援助を受けられるよう病院職員から適切な助言を受ける権利があるものと認める。

23 ケアに要した費用を第三者支払機関が償還しており、その有資格期限がきれる場合には、患者は、適切な時期に前もってそのことを知らされる権利を有する。

24 患者は、入院を終えるにあたって、自分の診療記録に書かれている情報について完全なコピーを入手する権利を有する。

25  患者は、ここに列挙した諸権利を患者に代わつて主張または保護すべく行動する患者の権利擁護者に、24時間いつでも相談できる権利を有するものと認める。

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危ない医療から身を守るための20のアドバイス

1)治療したら必ずよくなるという幻想を捨てよう
2)診断基準や治療法は病院や医師によって違うことを知っておこう
3)医師のうでまえは、ピンからキリ
4)情報収集には、医大図書館、インターネットなども利用しよう
5)医療情報は玉石混交
6)名医の評判、ランキング本はあてにならない
7)患者会や市民団体は情報の宝庫。積極的に活用しよう
8)医師に聞きたいことはあらかじめメモしておこう
9)複数の治療法の説明を医師に求めよう
10)薬の副作用、手術の後遺症をしっかり聞こう
11)質問をうるさがる医師は見限ろう
12)説明をうのみにしないで。医師の誘導に気をつけよう
13)セカンドオピニオンは、今日の常識
14)検査データやレントゲン写真は患者のもの。臆することなく借りだそう
15)患者として自分の直感を大事にしよう
16)不要と思う検査、手術から逃れよう
17)いきなり5種類以上の薬を出す医師は、要注意
18)挨拶しない医師、患者の顔を見ない医師、患者を見下す医師はやめよう
19)入院後、転院するのも「患者の権利」
20)お任せ医療よ、さようなら。自分で治療法を選ぼう

「いい治療わるい治療の見分け方」<公開座談会の記録>(2000年4月30日発行)より
発行:医療消費者ネットワーク MECON、 医療を良くする会、イデアフォー、 子宮筋腫・内膜症体験者の会 たんぽぽ

問い合わせ先
医療消費者ネットワーク MECON : Tel/Fax 03-3332-8119
たんぽぽ : Tel 045-252-6228 Fax 045-252-6287

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