[再発・転移について]

[リンパ行性転移は原発巣近くのリンパ節のみに転移をするだけなのか?]
[大腸癌手術後の再発防止について]
[再発・転移とは]
[直腸癌の手術を受けたが腹膜に転移していると言われた]

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[リンパ行性転移は原発巣近くのリンパ節のみに転移をするだけなのか?]

(相談)2000.1.30
はじめてメール致します。転移に関しての質問ですが、転移には「血行性転移」と「リンパ行性転移」があるとこのホームページでみました。この「リンパ行性転移」はリンパの流れに乗って原発巣近くのリンパ節のみに転移をするだけなのでしょうか?「血行性」とは違い他の臓器に流れ込むという事はないのでしょうか。リンパ節とは「関所」みたいな所で、ここで止める働きがあると聞きました。よくわからってないだけに質問にならないかもしれませんがよろしくお願い致します。

(答え)2000.1.31
お答えします。近くのリンパ節とは限りません。近くを通り越して遠くへ転移することもありますし、他の臓器にまで流れ込むこともあります。リンパの流れは首の付け根で、静脈に流れ込んで一緒になりますので、血行性となることもあります。

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[大腸癌手術後の再発防止について]

(相談)出雲市1998.12.31
大腸癌手術後、何か再発防止につながるヒントがないか調べていましたら、先生の温かいコメントを拝見しご相談させていただきます。小生は47歳の男性です。今までほとんど病気をせず来ましたが、今年8月12日人間ドックで便潜血が認められ8月26日カメラで1.5cm大の癌腫瘍が認められ9月1日入院、8日に手術を受けました。順調に回復し9月29日から48時間の抗ガン剤点滴治療を受け、10月1日退院しました。1か月間自宅養療し11月2日から職場(デスクワーク)復帰しました。癌の腫瘍は肛門から15cm上方で、手術では腫瘍部から下5cm、上10cm計15cmを切除され、21個のリンパ節も取り除かれました。癌腫瘍はわずかに筋層に達し組織検査ではリンパ節3個にもガン細胞が認められ進行ガンとの説明でした。手術は現段階で危険な箇所を切り取る根治手術が行えたがリンパへの転移が認められたことから肝等への転移による再発の可能性は30〜40%とのことでした。現在、抗ガン剤(土、日除く)と十全大補湯(48)を飲んでいます。2週間毎に通院し健康チェックを受け先月は白血球(5000)、腫瘍マーカー(AFP,CEA,CA19-9)を調べいずれも正常値内の数値でした。体調はすこぶる良く食欲も旺盛です。少しあるのは便秘気味になり1日出ないとラキソベロンを10〜15滴飲み調整しています。

ご相談というのはリンパ節に転移していましたが3個にガン細胞が認められたというのは進行ガンとしてはどのレベルのものでしょうか。再発防止のためAHCCを1日4.5g(1.5g/1袋)飲んでいますが防止効果があるでしょうか。この2点について教えて頂きたいと思います。主治医には病気と闘うため全て教えていただくようお願いし、相談していますがこの2点は聞きずらいものですのでおたずねします。なお、たばこは10年前、酒はかなり飲んでいましたが、この病気以降、肝臓の負担を少なくするつもりで全く飲んでいませんが再発防止のため、酒を含めて生活上どのような注意をしたが良いかご教授願います。正月の忙しい時期ですがよろしくお願いします。

(答え)1998.12.31
お答えします。「癌が筋層に達し、組織検査でリンパ節にもガン細胞が認められた」ということは、大腸癌取り扱い規約では第3期、デュークス分類ではCです。早期発見されていますが、一応かなりの進行癌ということになります。手術の根治度は最も良いAですので、ベストの状態でスタートラインにつけたということになります。やはり再発・転移の可能性は約40%で、特に肝臓への転移に注意しなければいけません。もし転移したとしても、早期発見すればちゃんと治療を受けることができます。再発防止のためには、病院での治療と定期的な診察・検査が最も大切です。病院での治療以外では、まずタバコを止めること、肉食を止めて野菜中心の食事にするなどの食事療法、肥り過ぎないこと、規則正しい生活と呼吸法や適度の運動などの生活習慣の改善、明るく前向きの心の持ち方、などが大切です。AHCCの効果については知りません。お酒を止めたことも良いことです。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)1998.12.31
早速 大腸癌の再発防止についての返事を頂きありがとうございました。病気のレベルを教えていただきましたので自覚してガン細胞と闘いたいと思います。自分ではあまり怖さを覚えず前向きに考えていますが家族特に老いた両親に心配をかけると言うのが一番気になることです。またご相談する事があると思いますがよろしくお願いします。それでは良いお年をお迎え下さい。

(返信)1998.12.31
メイルありがとうございました。またいつでもメイルをください。それでは良いお年をお迎え下さい。

<ドクターちゃびんの解説>その後、タガメットという胃潰瘍の薬がガン(特に大腸ガン)の再発予防に大変役に立つということを知りました。

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[再発・転移とは]

(質問)1998.1.12
再発転移の意味でありますが,再発と転移は別々の病気進行状態を言うものでしょうか,医学上区分されているものなのでしょうか?

(答え)1998.1.13
「再発」とは、癌が再び目に見えるかたちででてきたものをいいます。「転移」とは、癌が最初にできた場所(原発巣)から離れた場所に癌細胞が飛んで、そこで大きくなったものをいいます。
「再発」のしかたは、癌が最初にできた場所に残っていて、同じ場所にでてくる場合(局所再発)と、離れた別の場所に癌がでてくる場合(転移)とがあります。どちらか区別がつかない場合もあります。最初の手術の時点で、リンパ節転移があっても、手術で取ってしまえば治る場合もあります。

しかし、「癌」にたいしては今のところ決め手はありません。病気はすべて結局、人間の「自然(自己)治癒力」で治るわけですから、「風邪」と同じです。今のところ、「早期発見、早期治療(手術)」が癌を治すために最も有力な方法というわけです。

[転移]

「転移」とは、癌が最初にできた場所(原発巣)から離れた場所に癌細胞が飛んで、そこで大きくなったものをいいます。癌細胞は、血液の流れに入ってしまうと、身体のどこにでも転移する可能性があります。これを「血行性転移」といいます。これに対してリンパの流れに乗って転移するものを「リンパ行性転移」といい、リンパ節(リンパ腺)に転移します。また、肺癌のように胸にある臓器の場合には、癌細胞が直接肺の外に出て胸腔内に散らばることがあり、これを「胸膜播種(はしゅ)」といい血性胸水が貯まります。腹部の臓器の場合には、同じように癌細胞が直接腹腔内に散らばることがあり、これを「腹膜播種」といいます。

癌の血行性転移は一般的には、血流量の多い 肝臓、肺、脳、骨などに起きることが多いわけですが、身体中どこにでも起きる可能性があります。

<ドクターちゃびんの解説>癌に対する一番確実な治療方法は手術ですが、同じような状態で同じように手術しても、治る人と治らない人がいます。今のところ、「早期発見、早期治療(手術)」が癌を治すために最も有力な方法というわけです。進行癌の場合には、目に見えない転移は手術後も残っていると考えられます。それが目に見えるようになれば転移・再発ということになります。治った人は自分で治したということになります。病院での治療は癌を治りやすくするための手助けなのです。退院の日が本当の意味での癌治療のスタートラインなのです。病気はすべて結局、人間の「自然(自己)治癒力」で治るわけですから、癌も「風邪」と同じです。癌も自分でつくった病気ですから、またつくらないようにしなければいけません。心の持ち方と生活習慣の改善が大切です。

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[直腸癌の手術を受けたが腹膜に転移していると言われた]

(相談)1998.12.24
はじめまして。私は29歳の会社員です。突然のお便りですが、先日(12月15日)に父が直腸癌の手術をしまして手術は成功したのですが、肝臓と腹膜に転移していると言われ腹膜の方は治療の方法がなく、命も後1年と言われました。肝臓は手術前から転移していると言われ当初は肝臓に向けて管のようなものを通して肝臓だけに抗ガン剤を注入できるように手術する予定でしたが、腹膜に転移していた為直腸を切るだけに終わりました。父には前述のような手術の内容を知っているので転移はなかったと話しています(何故管を通してないか疑問に思われる為)。ほんとうに腹膜(腹膜の癌はほとんど聞いたことがないのですが)の治療方法はないのでしょうか?父は65歳で、今現在は歩くことができるまで回復して自覚症状はありません。

(答え)1998.12.25
お答えします。医学の常識から言うと、残念ながら父上は大変厳しい状態だと思います。「腹膜の癌」とは、癌が腹膜に転移しているということで「腹膜播種(はしゅ)」と言います。

「転移」とは、癌が最初にできた場所(原発巣)から離れた場所に癌細胞が飛んで、そこで大きくなったものをいいます。癌細胞は、血液の流れに入ってしまうと、身体のどこにでも転移する可能性があります。これを「血行性転移」といいます。これに対してリンパの流れに乗って転移するものを「リンパ行性転移」といい、リンパ節(リンパ腺)に転移します。また、肺癌のように胸にある臓器の場合には、癌細胞が直接肺の外に出て胸腔内に散らばることがあり、これを「胸膜播種(はしゅ)」といい血性胸水が貯まります。腹部の臓器の場合には、同じように癌細胞が直接腹腔内に散らばることがあり、これを「腹膜播種」といいます。癌の血行性転移は一般的には、血流量の多い 肝臓、肺、脳、骨などに起きることが多いわけですが、身体中どこにでも起きる可能性があります。

「腹膜播種」の状態から、やがて腹水がたまって「癌性腹膜炎」の状態になることが多いと思います。それまでは、自覚症状はありません。今が一番良い状態だと思います。ただこれは一般論でして、一人一人で違いますので、必ずこうなるとは限りません。今は、奇跡を信じて身体に良いと思うことをしてみることです。しかし、残された時間は少ない可能性が高いわけですから、その残された時間をどのように使うかということや、楽しい想い出を作ることを考え、心の準備もしておきましょう。ではいつでもメイルをください。

(返礼)1998.12.25
先生のおっしゃるとおり、奇跡を信じて今を大切にします。また何かありましたら、相談にのって頂きますようお願いします。

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