<抜本改革が求められる特別会計>

[道路特定財源は「行革推進法」で一般財源化が決まっている] 2006年6月2日 公布
[<霞が関埋蔵金>「試算は96兆円」] 毎日新聞 1月28日21時14分配信
[今回きり?まだある?埋蔵金(予算案に11.7兆円)] 朝日新聞 2007年12月27日
[抜本改革が求められる特別会計] 公明新聞 2005年11月28日
[例外のはずが一般会計の約5倍! 国の「もうひとつの財布」 特別会計っていったい何なの?]


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[道路特定財源は「行革推進法」で一般財源化]
2006年6月2日 公布

2006年7月7日に閣議決定された「骨太の方針2006」においては、「行革推進法に基づき、一般財源化を図ることを前提に、早急に検討を進め、納税者の理解を得つつ、年内に具体案を取りまとめる。」とされました。

→国土交通省道路局

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<霞が関埋蔵金>「試算は96兆円」…予算委で民主・細野氏
2008年1月28日21時14分配信 毎日新聞

 民主党の細野豪志氏は28日の衆院予算委員会で、「霞が関埋蔵金」と呼ばれる特別会計の積立金など余剰資金の総額が約96兆円に上るとする試算を公表し、有効活用を求めた。特別会計や、独立行政法人などの資産から負債を引いた額が「埋蔵金」に当たると主張した。

 細野氏によると、特別会計の余剰金は68兆円(06年度末現在)で、赤字の特別会計と年金や厚生保険、国債整理基金を除いた16特別会計の財務諸表の資産から負債を差し引いた。また、103独立行政法人の余剰金は16兆7000億円(06年4月1日現在)、独立行政法人の関連会社と公益法人の余剰金は11兆1000億円(06年10月現在)という。

 これに対し、福田康夫首相は「特別会計の積立金にはそれぞれの目的がある。無駄があるとは理解していない」としたうえで、「可能な限り財政健全化を図るという観点から、目を見張らしていかなければならない」と述べた。

「霞が関埋蔵金」伝説の真偽とその中身とは?
2008年1月11日 R25

霞が関といえば中央省庁が集まるお役所の街。じつはいま、ここに巨額の「埋蔵金」が隠されているんじゃないか、という論争が自民党内でさかんにおこなわれている。たとえば、ある自民党幹部が「霞が関に徳川幕府の埋蔵金のようなものはない」といえば、ある大物議員は「いや、埋蔵金はある」と反論。すると今度はべつの幹部が「どこにそんな埋蔵金があるのか」とまたいい返すといった調子。とにかく「霞が関埋蔵金」があるのかないのかという笑っちゃうような議論をみんなで大マジメにやっているのだ。

この「霞が関埋蔵金」というのはなんなのか。じつはこれ、もちろん地下深くに眠っている本物の埋蔵金ではなく、霞が関の各省庁が管理している特別会計(特会)の資金のこと。特会は国の基本政策に使われる一般会計と違い、道路整備などの特定の事業を扱っていて、その財源や使い道はほとんど各省庁に委ねられている。しかも運用利益をあげる一方、国会で審議されないので実態がわかりづらく、ムダ遣いの温床ともなっているのだが、この特会の積立金や余剰金が一説に数十兆円もあるという。つまり、それが「埋蔵金」というわけだ。

もともと自民党内には消費税に対する考え方の違いがあった。小泉さん的な成長路線を支持する人たちは消費税引き上げに反対で、特会の積立金(埋蔵金)をとり崩して財政再建にあてたい。一方、べつの人たちは消費税をアップして財政再建をはかりたいから埋蔵金はないと主張する。ようは財政再建をめぐる路線対立=埋蔵金論争ということなのだが、どちらにしても、余ったお金があれば有効に活用するのはあたりまえ。埋蔵金があるとしても、それはもとをたどれば国民みんなの税金だからだ。

ちなみに埋蔵金伝説といえば、福田首相の地元、群馬県・赤城山の山麓に眠るという徳川埋蔵金が超有名。その福田さんは今回の埋蔵金論争について、「埋蔵金なのか確認しに行きましょう」とひとごとのようにコメントしている

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今回きり?まだある?埋蔵金(予算案に11.7兆円)
朝日新聞 2007年(平成19年)12月27日

08年度政府予算案では特別会計から11兆7千億円が国債の返済などに充てられる。「一度きりしか使えない」とも言われる「埋蔵金」だが、果たして今回きりなのか。06年度決算などを見ると、予算段階より「剰余金」が膨らむケースも多く、翌年度に繰り越される資金も多い。まだまだ「埋蔵量」に余裕があるという指摘も出ている。(松浦新)

「財投特会」低金利・好況で余裕
「外為特会」増え続ける積立金

「埋蔵金」を支えているのは、いまの低金利と景気の拡大だ。08年度予算案で財政投融資特別会計(財投特会)の中にある「財政融資資金勘定」の積立金9兆8千億円を取り崩すが、06年度も12兆円を取り崩した。「歴史的低金利の継続という特別の事情により生じた1回限りの収入」(財政投融資リポート2006)のはずだったが、積立金は勢いよく増え、すぐ20兆円に迫った=グラフ上。これは国が調違する金利が低い状態が続いたためで、06年度決算でも当初見込みを約4千億円上回る約2兆8千億円の「剰余金」が生じた。財投特会には「投資勘定」もあり、08年度に516億円を一般会計に繰り入れる。「産業投資特会」が統合された勘定だが、06年度には剰余金が約1500億円も発生した。NTTやJTなど政府保有株の配当が増えたことも原因だった。

08年度に43億円を一般会計に繰り入れる特許特会は、06年度にも約15億円を繰り入れた。同年度の決算剰余金は、当初予算段階に比べ約470億円多い約1400億円だった。特許の取得を目指して審査請求料を払う人が増えているためだ。円高時にドルを買う資金を提供する「外国為替資金特会」も06年度末で17兆円を超す積立金を持ち、その残高は増え続けてきた=グラフ下。外為特会は一般会計への繰り入れが例年1兆円を超え、08年度も1兆8千億円が見込まれる。

収入原資は100兆円にのぼる外貨準備につく金利だが、一般会計に入れる時には国の借金である外国為替資金証券を発行して円を調達する。外貨準備を取り崩さず、わざわざ借金をするのは、外貨準備の大半を占める米国債などのドル資産を簡単に売れないからだ。財務省幹部は「超大口保有者の日本政府が売りに動けば、価格が暴落して、結果的に自分の首を絞めることになりかねない」と指摘する。新潟大の桜内文城准教授は「借金をすれば、その分の金利がかかる。民間も巨額の為替取引をする時代だ。そもそも国が為替で果たす役割は小さくなった。規模は縮小できる」と指摘する。

支出自体減る傾向

剰余金や積立金が積み上がる、もう一つの理由は、特会からの支出が滅っているからだ。今回、33億円を繰り入れる「社会資本整備事業特会」は08年度から五つの特会が一つになるが、06年度決算では、この5特会で計約1兆3千億円の剰余金があった。入札改革で工事費が当初予定を下回ったことなどが影響したとみられる。

06年度決算で「雇用勘定」(労働保険特会)には約1兆5千億円の剰余金が出た。雇用の回復で失業保険などの給付が見込みより約7700億円少ない約1兆2800億円で済むなどした結果だ。07年度には保険料が下がったが、01年度末と比べると、20倍近い4兆円超の積立金がある。

「児童手当勘定」(厚生保険特会)も、240億円の児童手当が余った。「農業経営基盤強化措置特会」(07年度から食料安定供給特会)は06年度の支出は当初予算より100億円以上少ない288億円で、467億円の剰余金があった。剰余金は決算段階で当初予算より膨らむことが多いが、一般会計に繰り入れられるのはごく一部だ。

シンクタンクの日医総研で、特別会計の分析をしている前田由美子主席研究員によると05年度当初予算での余剰金は31特会で計約37兆とされたが、決算では計51兆円。ほとんどが翌年度に繰り越されるか、それぞれの積立金に回った。一般会計に繰り入れられるのは、ごく例外的だ。前田主席研究員は「想定以上の剰余金は、埋蔵金といえる。剰余金はいったん一般会計に入れ、必要な額を改めて特会に入れる原則にするべきだ」と指摘している。

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抜本改革が求められる特別会計
公明新聞
 2005年11月28日

財政ゆがめる省庁の聖域 「離れですき焼きを…」塩川財務相(当時)

 国の予算といえば、今年(2005年)度約82兆円が計上された一般会計予算を思い浮かべるのが普通だ。しかし国の予算には、一般会計予算のほかに、約412兆円(重複計上分を除くと約205兆円)に上る特別会計予算がある。一般会計歳出も、その6割近くは、特別会計(特会)経由で支出されているのが現実の姿だ。特会の数は現在31。国が事業を営んだり、資金を運用するなどで、区分経理を行う必要がある場合に設置されている。

 特会というと何か縁遠い感じがするが、厚生年金や政府管掌健康保険のための厚生保険特会をはじめ、国民生活に密着したものが多い。児童手当も、厚生保険特会で一般会計から国庫負担金と事業主の拠出金などが合算され、養育者に給付されている。特会には一般会計からの繰り入れのほか、目的税(使途が特定された税)や保険料などの独自財源がある。特会を一般会計と別に設置することで、受益と負担の関係や事業ごとの収支が明確になるメリットがあった。

 しかしその一方で、各特会が所管省庁の縄張りのようになり、一般会計と比べて、財務省の査定が十分に行われない状況が生まれた。また、特会が多数設置されたことで、予算全体が複雑で分かりにくくなり、財政の一覧性が損なわれた。そのことは国民や国会が財政をコントロールする上で障害となる。実際、国会でも、特会はほとんど審議されてこなかった。こうして聖域と化した特会は、所管省庁の既得権益の温床となり、「固有の財源で不要不急の事業を行っている」「多額の剰余金を放置している」「歳出削減の努力を怠っている」といった批判を受けるようになった。

 2003年2月、塩川財務相(当時)が「母屋(一般会計)でおかゆをすすっているときに、離れ(特会)ですき焼きを食べている」と批判し、財務省が特会見直しの検討に着手した。同年11月には、財務相の諮問機関・財政制度等審議会(財政審)が7特会の廃止検討などを提言したが、具体化には至らなかった。衆院選後の経済財政諮問会議で民間議員は、「撤退、民間委託以外の特会は原則として廃止し一般会計に吸収する」などの原則を示し、財務相に国民の納得する改革案をまとめるよう求めた。

審議会が半減の方向示す

 今月(11月)21日、財制審は特会見直しについての報告を財務相に提出した。財制審報告は特会見直しの視点として、(1)特会の事業を国として行う必要があるか(2)特会として区分経理する必要はあるか(3)特会の現行の区分は妥当か(4)特定財源(使途が特定された財源)に弊害はないか(5)剰余金・積立金に明確な必要性があるかーの5点を提示。

 特会の予算内容の精査についても、純計約205兆円から国債償還・社会保障給付などを除いた約17兆円を対象に、事務事業の効率化を図るとともに、(1)人件費・事務費の精査(2)予算と執行実績の乖離の是正(3)特殊法人等への補助金等の縮減ーを行って、一般会計からの繰り入れや借入金を圧縮するとの考え方を示した。

 財政審報告が、特会の廃止・統合に向けて「国として行う必要性」を検討すべき対象に挙げたのは、国有林野事業など11特会。そのうち自動車検査登録、森林保険などの特会については、民営化や独立行政法人化の検討を求めた。また、国として行う必要性があっても「特会として区分する必要性」を検討する対象として6特会を指摘。そのうち登記特会については、一般会計に統合して廃止することを検討すべきとした。さらに、特会は必要でも「現行の区分経理は妥当か」を検討すべきとしたのが16特会。厚生保険と国民年金、公共事業関係の5特会、エネルギー関係の2特会など多くについて、統合を検討するよう求めた。

 一方、「特定財源の弊害」に関しては、道路整備、空港整備、電源開発促進対策の3特会の特定財源について一般財源化を検討するよう提示。「剰余金・積立金の必要性」に関しては、外国為替資金など4特会について一般会計への繰り入れなどを検討するよう求めた。財制審報告は全体として、31ある特会をほぼ半減させる方向を打ち出したが、実施時期は明示せず、検討を促すにとどまっている。廃止後についても「国以外の主体」などあいまいな表現が多く、民営化を明確に打ち出した特会はない。17兆円を対象とする予算精査も、圧縮の数値目標の明示は見送っている。改革の具体化は政治に委ねられた形だ。

改革は政治に委ねられた

 自民、公明両党の政策責任者は10日、与党財政等改革協議会の下に「財政改革・事業仕分けに関するプロジェクトチーム」を設置し、特別会計見直しの検討を開始している。一方、経済財政諮問会議では22日、谷垣財務相が財制審報告について説明するとともに、与党の議論と密接に連携して年内に改革工程表を作成・決定する方針を示した。

 これに対して民間議員は、財制審報告について「さらなる切り込みが必要」と指摘。改革の手法などについて提案を行った。特に、特会の民営化と独立行政法人化の可能性を徹底して追及していくことを主張。すべての特会の事業を市場化テスト(官民競争入札)の対象とすることを求めた。また、一般会計からの繰り入れが多く区分経理の意味が薄れている国有林野事業、道路整備、空港整備について、一般会計への吸収の検討を求めた。17兆円を対象とする予算圧縮についても、年次報告書で数値目標を設定して取り組むべきだと主張した。諮問会議は、こうした民間議員の指摘を踏まえて、財務相が関係大臣と協議して早い段階で改革工程表を作成することで合意している。

<財制審の特別会計見直し案>

民営化・独立行政法人化など
森林保険(民営化や独立行政法人化)、国立高度専門医療センター(独立行政法人化)、自動車検査登録(独立行政法人化あるいは民営化)、
自動車損害賠償保障事業(国以外に移管)、船員保険の健康保険部分(国以外に移管)

一般会計に吸収
国営土地改良事業(将来検討)、登記(2010年度見込み)、特定国有財産整備(将来検討)

統  合
厚生保険+国民年金、船員保険の労災・雇用保険部分+労働保険、農業共済再保険+漁船再保険及び漁業共済保険、
道路整備+治水+港湾整備+空港整備+(都市開発資金融通)、電源開発促進対策+石油及びエネルギー需給構造高度化対策、
食糧管理+農業経営基盤強化措置、財政融資資金+産業投資+(都市開発資金融通)

当面現状維持
地震再保険、貿易再保険、特許、外国為替資金、交付税及び譲与税配布金、国債整理基金

その他
国有林野事業(将来的には事業の在り方を検討)

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例外のはずが一般会計の約5倍!
国の「もうひとつの財布」 特別会計っていったい何なの?
RxRランキングレビュー No.79 政治

郵政民営化にひと区切りつけたことで、政府では「特別会計」の見直し作業が始まった。これは政府系金融機関の統合や三位一体改革と並ぶポスト郵政の目玉で、改革を旗印にする小泉首相としては何とか任期中に特別会計の整理に道筋をつけたいらしいのだ。

ところで、この「特別会計」とはいったい何なのか。じつは国の予算には、教育費や防衛費といった普通の政策にお金を使う一般会計のほかに、特定の事業や資金について管理する「もうひとつの財布」が存在する。このいわば裏の財布が特別会計(略称・特会)で、その数は、厚生保険特別会計や道路整備特別会計など合計31__。ほんとうなら予算は一般会計ですべて管理すべきものだが、国が特定の事業をおこなう場合に収支をわかりやすくするため、例外的に特会が認められているのだという。

ではなぜ特別会計を見直す必要があるのか。じつこの財布、もともと例外的に設置されたはずだったのに、その規模は2005年度の歳出総額で412兆円と、本来の財布である一般会計(82兆円)の約5倍もあるのだ。しかも、一般会計から借金を回したり民間からの借り入れもあったりとお金の出入りが複雑かつ不透明で、その実態がさっぱりわからない。おまけにその巨額予算が不採算の保養施設建設に使われたり、天下りした官僚OBの高額報酬に使われて問題になったりと、いまや各省庁の既得権益の温床にもなっているありさまノ。

「母屋(一般会計)でおかゆを食っているのに、離れ(特別会計)では子どもがすき焼きを食っている」__。これは3年前に塩ジイこと当時の塩川正十郎財務相が特別会計を批判した至言だが、問題は、ほんとうに特別会計のあり方を見直すことなどできるのか、ということ。思えば、小泉さんの改革は口先ばかりで、道路公団にしろ郵政にしろ中身の伴わないものが多かった。財政再建には特別会計の改革が不可欠でもあるだけに、小泉首相には今度こそちゃんとやってもらいたいものだ。(押尾銅山)

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