[腎臓癌・膀胱癌]

[腎細胞癌で手術をすすめられたが、癌の治療は無数にあるようで手術すべきか]
[膀胱癌(進行癌)で放射線療法と化学療法をしたが、再発を繰り返す]

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[腎細胞癌で手術をすすめられたが、癌の治療は無数にあるようで手術すべきか]

(相談)2000.5.8
突然のメールで失礼ですが、母親のがん治療について、アドバイスをいただけたら。と思います。先日、母親とともに病院に行き、担当医から、「腎細胞ガン」としらされました。CTの画像も見せてもらい、今月末に、手術を行うこととなりました。不安になった私は、計20冊ほどのガン関連本を読み、また、さまざまなウエッブサイトを見、情報をえました。そこでの印象は、ガンの治療は無数に存在し、どの治療法も完璧といえるものはない。しかも、医師の言うことも、必ずしも正しいとはいえないようだ、ということです。どの情報を信じ、どのような判断をし、どの道を選択するのがベターなのでしょうか?先生の御 意見を、お聞かせください。

母親は68歳。 今までこれといった大病はなく、「ガン」と知らされた今でも、外見上は元気そのもの。3月末に、腹部のちょっとした痛みを気にして、病院で数々の検査をうけ、CTにより、「腎細胞ガン」が、確認されました。 3月末時の画像では、腎臓のひとつは全く正常で、ガンに侵された方は、その3倍ほどの大きさで、円形の形になっており、肝臓を圧迫するように密着していました。担当の医師から伝えられたのは、以下の内容です。
・手術で、全摘出したい。しかし、この手術は難しく、「命がけ」の手術になる。手術時に、静脈や、肝臓に転移する可能性が高い。現在、他に転移しているかは不明。
・手術が成功すれば、人工透析等の心配はなく、普通の生活ができる。
・手術の執刀は、その担当医はできず、他の病院から、専門の先生にきてもらい、おこなう。(この点も、術後のフォロー等の心配があります。)
・手術の日程は、なるべく早く、と考えていたが、手術執刀医の都合で、5月29日になる。
等です。また、これらの話をきいたその帰宅後(5月1日)、電話があり、
・5月9日に再度CTをとり、進行具合をみて、場合によっては、手術を早めるかもしれない。とのことでした。 

一方、母親は、ここ1ヶ月ほど、アガリスクの、濃縮液を飲んでおり、「手で触れてみると、硬く大きかった患部が、小さく、かつ柔らかくなった。」といい、私も触れてみて、確かに小さくなったことを確認しました。(もし、5月9日のCTで、実際に小さくなっているとしたら、手術は受けないほうがよいのでは? と、私は考えています。)長くなってしまいましたが、私の不安をまとめると、以下の4点です。
1)手術はするべきか?手術をうけていいものか?
2)別の病院でも検査を受けてみるべきか?(その際、山形県内に、お勧めの病院はありますか?)
3)アガリスクは、腎ガンにきくのか?
4) その他、より良い治療法は、ないものか?
以上です。数野先生の、アドバイスをお待ちしております。 (5月9日・明日に何らかの決断を迫られるかもしれません)時間がありましたら、なるべく早くに、アドバイスが欲しいのですが・・・・・・。一方的なお願いで、大変失礼とは思いますが、よろしくお願いいたします。 ○○ 36歳  大田区新蒲田 在住

(答え)2000.5.9
お答えします。大変ご心配のことと思います。

>ガンの治療は無数に存在し、どの治療法も完璧といえるものはない。しかも、医師の言うことも、必ずしも正しいとはいえないようだ。 ということです。どの情報を信じ、どのような判断をし、どの道を選択するのがベターなのでしょうか?

あなたのご指摘の通りだと思います。現在の医学のレベルでは、癌を確実に治す方法はありません。病院での治療は、手術と化学療法(抗癌剤治療)と放射線療法だけです。これに色々な補助的な治療を組み合わせて行います。病院での治療以外の治療方法は、民間療法と言われていて、健康食品の類を中心に、数えきれないくらいあります。

治療の善し悪しは、医師と病院選びと、その医師との信頼関係によって決まると思います。医師の能力は、知識と経験と人間性で決まると思います。病院の内容は、設備と職員によって決まります。その病気を沢山治療した経験のある医師に、そのような対応ができる病院で治療を受けるのが良いわけです。しかし、現実には、ほとんど情報がなくて判断できないと思います。他の病院から医師が来て手術するということは、その病院には専門家がいないということで、治療の経験も少ないと思います。生きがい療法の指針が参考になりますので紹介しておきます。

「生きがい療法五つの指針」
1)自分が自分の主治医のつもりでガンと闘っていく。
2)今日一日の生きる目標に打ち込んで生きる。
3)人のためになることを実践する。
4)死の不安・恐怖と共存する訓練に取り組む。
5)死を自然界の事実として理解し、もしもの場合の建設的準備をしておく。

>1)手術はするべきか? 手術をうけていいものか?

病院での治療は癌を治りやすくするための助けだと思ってください。どんな病気でも同じですが、最終的に癌を治すのは自分の治癒力です。今のところ、最も確実な癌治療の一つは、やはりまず手術で癌を取り除くことです。しかし、選択肢は色々あります。腎臓癌にはインターフェロンが良く効く場合があります。なかには手術をせずに自分で治した人もいます。自分の命ですから、自分が納得した治療方法を選択してもらってください。

>2)別の病院でも検査を受けてみるべきか?(その際、山形県内に、お勧めの病院はありますか?)

具体的な病院についての情報は持ち合わせていませんが、がんセンターか、泌尿器科の専門医がいて腎臓癌の治療を沢山手掛けている病院が良いと思います。

>3)アガリスクは、腎ガンにきくのか?

わかりませんが、アガリクスは免疫療法と一緒に使うと効果が良いという説もあります。腎臓癌にとくに良く効くということはないと思います。

>4)その他、より良い治療法は、ないものか?

あなたが指摘された通り、選択肢は沢山あります。これでなければいけないというようなことは言えません。繰り返しますが、自分の命、自分の人生ですから、自分で決めることです。ではまたいつでもメイルをください。

(返礼)2000.5.9
数野先生、早々のご返答ありがとうございます。こちらからお願いしたとはいえ、これほど早く返答をいただけえるとは・・・先生のような方がいらっしゃる事を知っただけでも救われた気がします。アドバイスを読ませていただき、不安感が、少し和らぎました。やはり、本人の「気持ちの持ちよう」が、大事なのですね。本人が自分の人生を見据え、納得の上で治療にあたるのがいいのですね。この内容はさっそく、母と同居している山形の兄に、転送しました。近くで接する人間としても、心構えの参考になると思います。また、他の病院も、探してみようとも思います。本当に、ありがとうございました。(なれないメイルで読みにくかったところは、ご勘弁ください。) 5月9日 ○○

P.S. 私と同様な悩みを持つ人は、たくさんいるだろうことは、想像に難しくありません。先生、このような人たちが、お互いの顔を合わせ、親身に話し合えるような「場」や、サークルのようなものはご存知ありませんか?ご存知なら是非教えてください。(東京にあればいいのですが?)先生も、お体にはお気をつけて下さい。では、失礼します。

(返事)2000.5.11
○○さんへ、メイル有難うございました。東京には沢山あると思います。まず、「生と死を考える会」に参加してみて、色々な人の話を聴いてみたらいいと思います。私のホームページからリンクしています。ではまたいつでもメイルをください。

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[膀胱癌(進行癌)で放射線療法と化学療法をしたが、再発を繰り返す]

(相談)仙台1999.2.25
初めまして。○○と申します。今回は51歳の父の癌についての相談のためメールお送りました。父は94年の10月に仙台の日赤病院で膀胱癌と診断されました。医者がいうにはここまで進行した癌は見たことがない、5年は持っていたといわれたそうです。レントゲンの写真を見た母は膀胱の左側がかなり膨張していたと言っていました。このままでは手術は不可と言うことで抗ガン剤治療が施されてまた、放射線治療も行われました。その治療が功を奏したのかガン細胞はレントゲンに写らないくらいほどになり、そのまま退院しました。が、半年後に細胞検査をした際、癌が見つかりその細胞はたちが悪いものと医者が言ったそうです。再び抗ガン剤治療で2ヶ月の入院の予定でしたが、東北大学病院の医師との相談の結果入院せず抗ガン剤を打つとのことでした。で、治療が行われましたが、その時の父の苦しみ用は見てて苦しいものがありました。吐き気などは全然なくとにかく膀胱がひりひり痛いというものだったようです。その後定期的に尿検査が行われましたが、ガン細胞がでたり、でなかったりの状態で、半年のペースで抗ガン剤を打っていました。父も常に座薬をしている状態でした。また、便がでにくいという症状もでて、(前からあったが膀胱の痛みで気づかなかった)検査したところ直腸が狭くなって言うとのことでした。尿意も頻繁にあるらしく医師に手術してとってくれと頼んだところ、一回放射線治療をすると手術は難しいとのことでした。その後食欲が急激になくなり見る見るやせていき検査をしたところ小腸の腸閉塞でした。そして、一昨年の12月に手術しました。病理検査で閉塞した部分から膀胱癌の細胞が見つかったと言うことでした。医師も不思議がって何度も検査をしたようですが結果は同じだったようです。その後尿検査で再び細胞が検出され抗ガン剤を打つとのことでしたが、父はもう耐えられないと言って、親戚の勧めもあって板橋の日大病院に移りました。その後の検査で膀胱の大きさがお猪口程度しかなくしかも左の弁が癌で破壊され尿が逆流していて癌よりも尿毒症の方が怖いと言うことでした。そして、摘出した方が社会生活する上でいいが手術はかなり難しい部類に入るとのことでした。そして去年の7月に手術を行いました。手術の結果はかなりの癒着はあったが全摘は成功、ただ左側にガン細胞が残っている可能性がたかい、根治させようとなると骨盤の一部もとらなければならず無理、半年〜1年後に再発する可能性が高い。それを抑えるため抗ガン剤を打つとのことでした。で、直腸が狭くなっているのは放射線のせいか、癌のせいかわからないとのことでした。本当は人工膀胱、人工肛門の両方を行う予定でしたが人工肛門の方は様子を見るために見送ったのことでした。2週間後病理検査の結果がでて、リンパ節の検査は5個中0、左側は若干脂肪に浸潤あり、尿管、等ほかの組織からはガン細胞は検出されずでした。ただ左側の尿管は逆流の性もあって太くなっていたとのことでした。その後抗ガン剤治療が行われましたが、全く食べられなくなったため途中で中止、人工肛門の手術を行い退院し、月一度の定期検診を行っています。その後今年の一月尿道口から出血しました。一月の定期検診で膀胱を摘出したところに影が見える、来月細胞検査をすると言われて、今日の定期検診で医師が、「その後、三人で(院長を含めて?)検討しましたが、ほぼ間違いなく再発していると思います。」といわれました。今後の治療としては本当は放射線治療をしたいが過去に大量の放射線治療を行っているので効果がない。よって抗ガン剤治療となる。尿道口からの出血はガン細胞が死んででているのかガン細胞が流れているのかわからない。血液検査の結果、肝臓の数値が悪い。すぐに治療にかかりたいのだが、腎臓の機能が低下していてこのままの状態で行うとかなり危険なので回復次第行いたい。栄養の摂取状態はいいとのことでした。(要するに見た目は健康)結局3/19日に肝臓、骨への転移がないかを検査をして腎臓の状態もよければ、抗ガン剤治療を行うとのことでした。またもし、肝臓に転移が見つかったら抗ガン剤も効かず、手の施しようがないとのことです。本人は術後今が一番体調がよく、食欲も旺盛なのに、とかなりのショックを受けています。

ここで質問なのですが、

1.抗ガン剤治療は効果があるのでしょうか。
2.今後どのような症状をたどるのでしょうか。

また、骨への転移はかなりの痛みがあって放射線治療が有効だと書いてあったのですが放射線治療が効かないとなると非常に心配です。癌を治すことがほぼ不可能になった今、せめて痛みもなくできるだけ長生きし、幸せな最後を迎えて欲しいというのが今の正直な心境です。どうか宜しくお願いします。

(答え)1999.2.25
お答えします。まず、私の疑問です。ご本人と家族は、これまでの経過の中で医師から病気についての説明や治療についての説明を聴いて、納得していたのでしょうか。あなたのメイルの内容からは、わからないまま医師の言うなりにしてきたように受け取れます。

「医者がいうにはここまで進行した癌は見たことがない、5年は持っていた」というようなことは、問題の本質とは関係のないことです。発見された時点での癌の状況と考えられる治療方法と予想される経過を理解していたでしょうか。「このままでは手術は不可と言うことで抗ガン剤治療が施されてまた、放射線治療も行われました。その治療が功を奏したのかガン細胞はレントゲンに写らないくらいほどになり、そのまま退院しました」ということですが、最初から手術をする考えは無かったのではないでしょうか。

半年後に細胞検査で癌が見つかった時にも、再び抗ガン剤治療を行ったようですが、手術はできなかったのでしょうか。「一回放射線治療をすると手術は難しい」と言われながら、結局「去年の7月に手術」を行ったということですね。そして「ほぼ間違いなく再発している」「肝臓に転移が見つかったら抗ガン剤も効かず、手の施しようがない」とのことですが、いままでのことについて、説明を受けて、納得して、承諾して行われたことでしょうか。もしそうであれば、何も言うことはありません。

>ここで質問なのですが、
>1.抗ガン剤治療は効果があるのでしょうか。
ある程度の効果はあると思います。

>2.今後どのような症状をたどるのでしょうか。

肝臓に転移があるかどうかで違うと思いますが、担当医に良く聴いてみてください。

「せめて痛みもなくできるだけ長生きし、幸せな最後を迎えて欲しい」ということを担当医に良く話をして、そのようにしてもらわなければいけません。ではまたいつでもメイルをください。

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