1920年代アメリカ。
絢爛と退廃の文化はまさに世紀末の相を呈していた。
ボストンから南に40マイル。
風光明媚なマサチューセッツ湾を横目にひっそりと息づく田舎町、
ニューカム。
どんよりと重い冬の空を背負って、一人の東洋人が訪れた。
草壁健一郎と名乗るその男は、町外れの丘に佇む朽ちた洋館へと赴く。
館の主、ベネディクト・ウェザートップを訪ねて。
「ウェザートップ館だって?」
街の住人達は健一郎の行動を奇異の目で見た。
ウェザートップ館の主人は人付き合いを好まない陰気な男だったが、
何時の頃からかその姿を見掛ける者がいなくなり、
失踪したとも既に死亡したとも噂されている。
また、主を失い、荒れ果てるままの無人の館に、
何か奇妙な者を見た者もいる。
館は「幽霊屋敷」と呼ばれるようになっていた。
健一郎が館に入って戻らぬまま幾日かが過ぎ、
ニューカムの街はもとの平穏な日々を取り戻そうとしていた。
その矢先だった。
人間の仕業と到底思えぬ、惨殺事件が起こった!
「幽霊屋敷」に入り込もうとした腕白盛りの子供達が、
バラバラの死体となって発見されたのだ!
その体には人間とも動物とも考えられない歯形に食いちぎられ、
奇怪な粘液が付着していた!
「幽霊屋敷」に殺されたんだ!!
この怪事件は全米を走り抜け、新聞・ラジオ等のマスコミを引き寄せた。
しかし、警察の捜査はいっこうに進展せず、
新たな手がかりが得られぬまま、押し寄せた人々は潮がひくように散っていった…。
無神経な野次馬達と入れ替わりに、街に奇妙な一団が集まりつつあった。
子供の捜索を依頼された私立探偵、
特ダネを狙うジャーナリスト、
研究の成果を試し名を上げようとする目論む科学者やディレッタント、
何者かに無意識に呼び寄せられたかのような霊能者…。
彼らこそ「ゴーストハンター」と呼ばれる者達!
そして貴方も、そのゴーストハンターの一人なのだ!
ニューカム 1924
「幽霊屋敷」と呼ばれる館に向かう男がいた…。
「ベネディクト・ウェザートップ……」
「彼の企みを、阻止せねば…」
1924年
アメリカは、ボストン近郊にある、片田舎の街、ニューカム。
この、何の特徴も無い寂れた街で、恐ろしい事件が起こった。
町外れにある幽霊屋敷を探索に行った2人の少年が、
無残な姿で殺され、
一緒にいたエイミーと言う少女が行方不明となったのだ。
アメリカ中の注目が、このセンセーショナルな事件に集まった。
警察は、大々的に捜査を行ない、
新聞も、連日の様に事件の情報を求める記事を載せた。
にもかかわらず、手がかりは何一つ無く、
謎は深まるばかりだった。
しかし、街の人達は、
幽霊屋敷の持主であり、今は行方不明となっている
ベネディクト・ウェザートップが犯人だと、噂しあっていた。
そして君は、不可解な事件に興味を覚え、
調査する為に、ニューカムの街を訪れたのであった。