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馬券外してぶっ倒れるということ

00/10/13

 今回は完全な馬券話。私は競馬は馬券だけが楽しみではないと思っているが、また、楽しみ方の原点はやはり馬券だとも思っている。競馬の場合それ以外の付加価値もあるので、より楽しいのだが。

 先日行われたスプリンターズS。単勝ビリ人気のダイタクヤマトが勝ち、単勝も馬連も200倍台の大穴馬券だった。私はこの夏府中の内馬場にできた「裏ターフビジョン」の前で友人2人と観戦したが、片方の友人は単勝を500円買っていたのに対し、もう片方の友人はレースが終わった瞬間その場にぶっ倒れた。

 馬券を外してぶっ倒れる。競馬経験がそれなりにある人で、なおかつ多少は気合いの入った人なら1度は経験することだろう(物理的に倒れるかどうかは別にして倒れそうなぐらいのショックを受けたことぐらいはあるだろう)。一番多い理由は「鉄板と信じて大金を突っ込んだら見事に外れた」(例1)ということであろう。しかし、その友人の理由は「直前まで買おうと思っていて、馬体重を見て来ないと思って買うのをやめた馬が来た。」(例2)というものである。

 馬券でショックを受けるというのは例1のように「カネを失った」ということもあるだろうが、例2のように「本来入ってくる筈の大金を取り逃した」というのもある。どっちのほうがより勝負師らしいショックの受け方なのかというと例2のほうだ。とある馬券師(かつ車券師&舟券師)が「カネは守るためにあるのではなく、増やすためにあるのだ」といったらしい。手持ちのカネがいくら減ったということで素直にショックを受けるよりも、入ってくる筈のカネが入って来なかったということにショックを受けるほうがよりかっこいいのではないだろうか。もちろん、私は例1のようなのを批判するつもりは毛頭ないわけで、比較の問題としてどっちがより勝負師らしいかを言っているだけである。念のため。

 私が馬券が理由でぶっ倒れた時というと、今年(2000年)の阪神大賞典。テイエムオペラオーとナリタトップロードの馬連1点買い1万円勝負!しかし、結果は1着テイエムオペラオー2着ラスカルスズカ(3着がナリタトップロード)である。レースを府中のターフビジョンで見ていて、レースが終わった瞬間その場に倒れ伏した。テイエムオペラオーが勝つのは鉄板だろうなと思っていて、相手をラスカルスズカにするかナリタトップロードにするかで迷ったあげく、3着馬を選んでしまったのである。馬連2点やワイドで買っても儲からないだろうから馬連1点に絞った。おとなしくテイエムの単勝で勝負しておけば当たったのに。それよりも、もし、馬単があったらテイエムから2頭に頭流ししてたところだったのに・・・。1万円を失ったというショックに加え、自分自身の詰めの甘さに対する悔しさや連単馬券が売られていないことに対する無念さが理由でぶっ倒れてしまった。初めての経験である。

 99年の弥生賞ではアドマイヤベガの単勝2万円勝負(しかもその2週間前にも3歳戦の単勝1点勝負で2万円失っていた)の時はぶっ倒れるほどではなかった。それどころか周りにいる人たちの声が聞こえるぐらいの冷静さは保っていた。でも、そらから1年後の阪神大賞典ではその半分の金額の損失でもぶっ倒れた。金額の問題ではなくて、気合いの問題なのかもしれない。1年経って私もより勝負事に真摯な気持ちで挑むように成長したのかもしれない。とはいうものの100円しか買ってなかったら、いくら馬券が外れてもぶっ倒れることはないだろうけどね。

 私が先日某オフ(某競馬メールマガジンの読者懇親会)に参加したときにお会いした人には毎週のようにぶっ倒れているような気合いの入った方もいらっしゃったし、中にはぶっ倒れたら警備員が駆けつけて来たという本格的な(?)方もいらっしゃった。勝負師なら一度は馬券が外れて悔しさのあまりにぶっ倒れるということも経験しておいたほうがいいのかもしれない。さすがに競馬場の便所で首吊り自殺をせざるを得なくなるまでの大勝負はしないほうが幸せだが(最近は聞かないけど昔は結構「殉死」した方がいたらしい)

 念のために書いておくと、私は莫大な財産を突っ込んだ大勝負を推奨しているわけではない(というか、失ったらホントにヤバイ金額をつぎ込んで欲しくはないし、もしやるのなら自己責任でやっていただきたい)。競馬がもとで借金地獄に陥ったり家庭が崩壊したりしたら洒落にならないしね。あくまで気持ちの問題として、負けたらショックのあまりぶっ倒れてしまうほどの意気込みで勝負に挑んだほうが、「賭ける」という行為がよりスリリングでエキサイティングになるといってるだけである。土日は朝から最終レースまでずっと打ってる人なら毎レースこれをやったら疲れるだろうが、たまには真剣勝負をしてみた方が面白いだろう。気持ち次第では「失ったらちょっと痛い程度のカネ」を賭けるだけで十分足りる筈であるから。


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