中山記念之巻

 弥生3月、中山競馬場。そう、それはスズカが「ゲート潜り」を披露し一躍有名になった舞台である。それから1年後、同じ季節にスズカは中山の舞台に上がることとなった。

 しかし、今回コンビを組むのはあのときのパートナー上村ではない。武豊という香港遠征以来舞台をともにして来ている名優である。残念ながら彼はゲート潜りをともにするにはふさわしいパートナーではなかった。しかし、スズカのもう一つの得意技である馬鹿逃げをやるのにはふさわしいパートナーであるかもしれない。スズカの逃げのもつ魔力を最大限に引き出す男。それがユタカマジックでお馴染みの武豊である。

 前回主役をつとめたバレンタインSに比べれば人気者ローゼンカバリーや渋さがウリの実力派イシノサンデーなどそれなりの役者がそろっている。しかし、スズカにかないそうなメンバーはいない。それどころか、逃げることを売りにりている芸人すらいないのである。

 というわけで今回の舞台も逃げに逃げる。題して「スズカの一人旅」。他の出演者なんておかまいなしのぶっちぎり逃げである。同期のライバルサニーブライアンが引退した今、このような芸当ができるものはスズカしかいないのではないか、と思ってしまうようなみごとな馬鹿逃げ。パートナー武に言わせれば「これが彼本来の走り」だそうだが、自然体でそれができるほどにこの1年間でスズカは成長した。

 そして前回に引き続き一度も他の馬に前を行かれることなく舞台の幕は閉じたのであった。

 お笑い芸人サイレンススズカと名優武豊。この一見似つかわしくないパートナーによってスズカはお笑いから実力派俳優に転向するのか?それとも武をお笑い界に引きづり込むのか?その答えが出るのはこれから先である。乞うご期待!


前へ 次へ

もどる もっともどる