中山大障害は定量にすべき

 これを書いている97年現在の障害最強馬といえばポレール。そんな彼は障害ではなく平地の重賞を走ることもあり、春の天皇賞では話題になった。なぜ、平地を使ってくるのかといえば、障害だと負担重量が大きすぎるからである。主戦騎手星野忍の引退後はオープン平場で見習い騎手が騎乗することも多くなった。もちろん減量特典で斤量を減らすという苦肉の策である。

 障害レースのオープンレースはすべて別定かハンデ戦である。しかも別定も「G1馬は2キロ増」という程度のものではなく、優勝回数などによって無制限に上乗せされる。平地よりももともとベースとなっている斤量が多い障害がこれである。

 つまり、勝てば勝つほど競走馬としての寿命が減るのである。オープン平場という概念は現在では平場にはなく障害にしか残されていない。そんな平場でさえもが、別定なのである。平地では平場はすべて馬齢や定量だというのに。だったら。特別にすればいいのにね。

 障害重賞には「グレード」という概念がない。これは障害に対する差別であるので、グレード制を導入して欲しい。グレードをつけるとすれば阪神障害特別はG3、東京障害特別、京都大障害はG2、そして中山大障害はG1であろう。障害のグレードは賞金や伝統だけではなく、「障害そのもの(竹柵、水郷、生け垣など)」の難易度も加味してつけたほうが良い。

 そして、G1である中山大障害はもちろん定量で行うのだ。ただでさえ頭数が少なく強い馬とそうでないものの差の大きい障害で定量にすると馬券的妙味がうすれるかもしれないが、馬券だけが競馬ではない。「強い者が勝つ」というレースをつくりスターホースが育ったほうが、スポーツとして面白いし、これによって障害の魅力に気づくファンも多いと思うので、長期的にみれば馬券の売り上げもプラスになるだろう。

 いつの日か暮れの有馬記念1週間前の中山競馬場にG1ファンファーレが2日連続で演奏される日がくることを望む。


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