’96中山大障害(秋)観戦記


1996年12月14日、中山競馬場に足を運んだ。日本一難易度の高い障害レース中山大障害を観るためである。中山に足を運んだのはオールカマーの日以来である。思えば初めて中山を訪れたのは、昨年の秋の大障害の日だった。この日は(毎年のことだが)有馬記念の前売り入場券が発売されるので、競馬場は混んでいた。この人ごみの中のすべての人が大障害を観に競馬場まで来ているのなら喜ばしいことであろうに。

今年も昨年と同じ6頭立て。やや寂しい頭数である。春は9頭立てだったよな。どうして私が競馬場まで観にいくと頭数が少ないのだろう。

出走馬は以下の通り。

  1. ポレール(一番人気)
  2. マイネルトレドール
  3. ファーストレコード
  4. ザスクープ
  5. チアズロッキー
  6. トウショウサーフ
14時10分、いよいよ発走時刻である。関東中央場所用の重賞用のファンファーレが流れ始める。どうしてG1のファンファーレではないのだろう?NHKマイルカップや朝日杯などがG1であるのにそれより格が上であるべき中山大障害がG1でないのは納得しかねることである。

そしてゲートが開きスタート。ザスクープが予想通りハナを切る。そして春の大障害の覇者ポレールが2番手を行く。

レースは順調に流れていく、と思いきや、年に2回しか使われることのない真ん中の大障害のところでザスクープが外に大きくよれる。そして落馬。場内からはどよめきが。ポレールが先頭に変わって進んでゆくが、空馬になったザスクープがポレールに競りかける。私の後ろでは「邪魔するな」と叫んでいる人もいれば「ポレールをバテさせろ」と叫んでいる人がいる。私の内心は前者に近いものがあるが、ここまではそう叫んでも許される範囲である。中には「ポレールも落ちろ!」と叫んでいる人もいる。いくら他の馬の馬券を買っていたとしても落馬してくれと思うのはあんまりではないだろうか。馬だって一生懸命頑張っているのだから。

そして道中でトウショウサーフも落馬してしまう。先頭のポレールが最終障害を飛越し終え第4コーナーに向かうと場内から大歓声とともに拍手が沸き起こる。ポレールが先頭を走っていたが、それに空馬2頭が競りかけているのだ。その2頭のせいで闘争本能に火がついたのかポレールは先頭でゴールイン。そのすぐ後ろで空馬の2頭がゴール板の前を駆け抜けていった。その後ろはだいぶ離されて2着でゴールインしたのはマイネルトレドール。3着には最低人気のファーストレコード。4着にチアズロッキー。この大障害は完走することに意義があるといえるだろう。

それにしてもポレールは強かった。これで春秋中山大障害を圧勝し2連覇。東京障害特別も63キロというハンデを背負いながらも2着に粘って見せたし。もし、有馬記念を制する馬が今年に入ってからG1を勝っていない馬だとしたら、ポレールを年度代表馬にしてやってもいいのではないだろうか。


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