’99中山グランドジャンプ観戦記

 ついにというか遅すぎたというか今年から障害の重賞にグレードがつけられた。そして初めて行われるジャンプG1、それがこの中山グランドジャンプである。昨年までは中山大障害(春)という名称だが、今年から装いも新たに中山グランドジャンプという名称になった(中山大障害という名前は暮れの大障害で引き継がれる)。名前は変わっても使用コース等これまでの中山大障害とはある一つの点を除いて変わっていない。ある一つの点とは斤量が定量であるということである。強い馬が勝つレースとなった。障害の難易度も日本一のコースでまさに王座決定戦にふさわしいレースである。

 今年から始まったものといえばJRAカードというクレジットカードによる指定席電話予約もそうだ。JRAカード会員となった私は初めてそのカードを利用し、4/11中山競馬場4階B指定席(喫煙席)を予約し、中山競馬場へと向かった。

 競馬場についてまずレーシングプログラムをもらう。この日阪神では桜花賞(G1)が行われる。つまりG1二本立てである。G1のレープロといえば馬名プロファイル。柳瀬尚紀氏による出走馬の馬名の解釈の紹介である。しかし、桜花賞のそれはレープロにあるものの、中山GJのそれはない。同じG1なんだから中山GJの分も載せて欲しかったな。クラシックと新設G1じゃこんなにも扱いが違うのか。

 そして、指定席へと向かう。4階B指定席エリアにつく。自分の席を探す。ゴールに近いのは禁煙席のほうで、喫煙席は4コーナーよりだった。これって喫煙者に対する差別なんじゃないか!!しかし、ゴールから離れていてもいいことはある。なぜなら私の席は襷コース、つまり大障害コースの真っ正面である。向正面から向かって来て、大竹柵、大生垣を飛び越える馬達の迫力を目の当たりにすることができるすばらしい場所である。

 そして、レース。何故か準メイン。メインではない。G1を同時にやってしまうと窓口が混雑するのでしかたないが。そしてファンファーレが鳴り響く。J・G1専用ファンファーレ。これが初使用。この新しいファンファーレで胸が高まり、いよいよスタート。

 ジャンプ重賞初の重賞である阪神スプリングジャンプの覇者ファイブポインターが逃げる。各馬正面の障害コースを通過し、向こう正面に向かう。そしてJ・G1でしか使うことのない襷コースへ。向こう正面付近にはバンケット(坂を下ってまたすぐ昇ってくる窪みみたいなものね)がある。もう一度書いておくが、私は襷コースのちょうど正面あたりにいる。そしてそこでコースを見ると、向こう正面のバンケットの中から馬達が現れる。馬の視点から見れば「坂を駆け上がった」のだが、私の視点から見れば「現れた」という表現になる。そして高さ160cmの大竹柵を各馬飛越。ここで、逃げていたファイブポインターがもろにつまづいてしまう。落馬こそしなかったが、ハナをメジロファラオに奪われてしまう。そして2周目へ。

 2周目の襷コースでもバンケットから湧き出てくるように馬たちが現れる。そして今度は大生垣。これも高さ160m。日本一の障害。その障害を各馬ジャンプ。今度はメジロファラオがちょっとつまづくが、すぐに立て直す。さすが昨年秋の2着馬。更に一周してきて、最後の障害を越えた時には拍手が起こった。昨年秋の覇者、そして私の本命ビクトリーアップはどうか?4着だ。プラス12キロの体重が響いたか。全着順は以下の通り。

着順 馬番 記号 馬名 負担
重量
騎手 タイム 着差 馬体重 調教師 単勝
人気
15 5メジロファラオ   7 62.0kg大江原隆4:56.2   466Kg-4大久保洋吉 6
28 10ケイティタイガー  11 62.0kg田中剛4:57.2 6馬身 470Kg-4吉岡八郎 4
37 7ヨイドレテンシ   6 62.0kg嘉堂信雄4:59.2 大差 480Kg-16吉岡八郎 9
41 1ビクトリーアップ せん 7 62.0kg横山義行4:59.9 4馬身 462Kg+12吉永正人 2
58 9(抽)イチバンリュウ   6 62.0kg金折知則5:00.3 2 1/2馬身 450Kg-8柴田光陽 5
63 3(父)フジノセイガイハ  6 62.0kg出津孝一5:04.5 大差 524Kg+2菅谷禎高 10
74 4イブキハイシーザー 8 62.0kg林満明5:04.8 1 3/4馬身 470Kg-4中尾謙太郎 7
86 6チアズロッキー   8 62.0kg三浦堅治5:04.8 ハナ 454Kg-8鈴木勝美 8
97 8ゴッドスピード   6 62.0kg西谷誠5:06.7 大差 502Kg-2瀬戸口勉 1
102 2(外)ファイブポインター 5 61.0kg岡富俊一5:12.2 大差 458Kg+2斉藤義美 3

 配当は馬連で4550円。とにかく各馬のレベルが高いのか、一頭も落馬しなかった。中山大障害に落馬は付き物だったのに。すべての馬がゴールしたころにはさっきの拍手よりも更に大きな拍手が待ち受けていた。記念すべき第一回の勝ち馬はメジロファラオ。「障害のメジロ」にふさわしい勝ち馬だ。過去の中山大障害で実績のある馬が上位を独占した。一頭を除いて。その1頭は人気薄で3着に来たヨイドレテンシ。かなりの健闘といえるだろう。

 馬券は外してしまったが、指定席をとってまで見た甲斐のあるすばらしいレースだった。そして何より1頭も落馬しなかったことがすばらしい。

 そして約40分後、阪神競馬場では59回目を迎える平地のG1があるらしい。


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