有馬記念特集

第43回 有馬記念(グランプリ) (G I)
1998年12月27日中山競馬場芝2500m4歳上馬齢

傾向:JC激走馬は来ないの法則

 普通中3週だとゆとりのあるローテーションだといわれる。しかし、JCに限って言えばそれは当てはまらない。それだけ激しいレースなので疲れがなかなか抜けないからであろう。過去の例を見ても、一昨年のファビラスラフィン以下、ヒシアマゾン、レガシーワールド、トウカイテイオーなどJCで連にからむほどの強豪が人気を背負いながらことごとく散っている(テイオーは有馬を勝ったが、それはJCに出ていない年であり、JCを勝った年は惨敗している)。昨年のエアグルーヴも連に絡んではいない。3着だったが頑張ったほうだろう。

 今年はJCでエルコンドルパサー、エアグルーヴ、スペシャルウイークの3頭が激走。JCが終わった直後は、これで有馬で人気を背負って消える馬が3頭決まったと思ったが、結局出てくるのはエアグルーヴだけである。JCは2年連続2着だったが、有馬は2年連続3着か(笑)昨年のJC以来G1では2着、3着を繰り返しイマイチ化しつつあるし。

今年の4歳馬はレベルが高いぞ

 今年の4歳馬はレベルが高い。セイウンスカイの京都大賞典、エルコンドルパサーのJC制覇、更にスプリンターズSはマイネルラヴがフランスG1馬に勝ってしまった。レベルが高く層も厚そう。2冠馬セイウンスカイ、昨年の3歳チャンピオングラスワンダー、3強の一角といわれたキングヘイローあたりにもチャンスがあるかも。エモシオンは・・・どうかな?

傾向:宝塚記念と有馬記念

 まずは昨年書いた文章を。

ファン投票のある2つのGI連対馬は対照的な成績を残している。過去10年その年の宝塚記念連対馬が【3,3,0,4】なのに対し、前年の有馬記念連対馬は【0,0,1,7】なのである。しかし、その両方にあてはまるのがマーベラスサンデーであり、それ以外の馬はどちらにもあてはまらない。だからこのデータは今年に関しては使えないかな?さて、マーベラスにどっちのデータの裏付けが味方するか?

 そして昨年マーベラスサンデーは2着と連に絡んだ。ということは宝塚連対馬は有利なのか?当てはまるのがステイゴールドだ。ちなみに昨年の連対馬で出走してくるのはシルクジャスティス。

出走予定馬とコメント
馬名コメント
エアグルーヴ JC2着馬。JCで激走した馬は毎年人気を背負って連を外すのがお決まりなんだよね。昨年秋の天皇賞を勝って以来G1ではイマイチ化しているし。
セイウンスカイ菊花賞は大逃げで圧勝の2冠馬。京都大賞典で古馬をも破っている。今年の年度代表馬の最有力候補である。有馬も逃げ切るか。ここ数年菊花賞馬は出てくれば連に絡んでるのも心強く、有馬でも期待を持てる。
メジロドーベル牝馬だけのレースならめちゃくちゃ強い馬。ただ牝馬は有馬では苦戦するんだよな。しかも、この馬は牡牝混合ではそんなに強くないし。
メジロブライト長距離には滅法強いステイヤー。昨年はステイヤーズSを取りにいって有馬には出走せず。セイウンスカイが飛ばしてハイペースになってくれれば末脚も生きるだろう。
シルクジャスティス昨年の覇者である。近走イマイチだが、叩き良化型で忘れたころにやってくる馬でもある。そろそろ一発があるかも。
ステイゴールド春天、宝塚、秋天でG1三連続2着。JCは惨敗だったが、その分人気は下がるだろう。鞍上がダイユウサクとのコンビでおなじみの熊沢であり、一発がありそうだ。
オフサイドトラップ屈腱炎を克服し、8歳にして重賞初勝利、更に秋の天皇賞まで勝ってしまった努力型の馬である。しかし、2000mがベストであり天皇賞を目標に仕上げたことが天皇賞での勝因であることを考えると、ここは苦しいか。
マチカネフクキタル昨年の菊花賞馬。昨年の秋の勢いは凄かったが今年になってからはパッとしない。4歳時がピークだったか。
キングヘイロー3強の一角と言われながら今年になって1勝もしていない。ここで勝たなきゃ誰もこの世代の3強の一角とは認めてくれなくなるだろう。
グラスワンダー昨年の3歳チャンピオンも今年は骨折で棒に振った。復帰後もパッとしないが、叩き3戦目で変わり目はある。素質はかなりのものを持っているし、復活しなかったらエルコンドルパサーを捨ててこの馬を選んだ的場が浮かばれない。距離云々いわれるが、血統的にはこなせる筈。
ユーセイトップランアルゼンチン共和国杯では穴を開けたが、ここでは・・・。
ビッグサンデー基本的にマイラーのような気がする。距離が持たないだろう。
インターフラッグ回避予定
サンライスフラッグ鳴尾記念でエアグルーヴを下した馬。毎日王冠、天皇賞・秋と3着が続いているが、リアルシャダイ産駒だけに距離が延びる今回はチャンスかも。
ロードアックス回避予定
オースミタイクーン「マイラーが何故有馬に出てくるの?」と思った去年が5着と健闘。しかし、8歳という年齢を考えると上積みは望めない。
ダイワオーシュウ昨年の菊花賞2着馬。叩き3戦目だけに怖い存在だ。秋のG2では安定しているし。
エモシオン菊花賞3着馬。重賞未勝利だけにこはどうかと思われるが侮れない。
マジックシンガー大した実績もない。除外される可能性もある。
エーピーランドアルゼンチン共和国杯2着は評価できるが、ここではどうかな?
結論

 なんだかんだいっても本命はセイウンスカイ。他に逃げ馬がいないこのメンバーでは一人旅だろう。ダービーみたいにキングヘイローが飛ばしてくれたらどうかわからないが、さすがにそんなことはもう無いだろう。菊花賞を勝った4歳馬は過去の傾向からも有利である。単なる逃げ馬ではなくため逃げの打てる馬なので、最後の直線でバテるということも考えにくい。

 セイウンスカイの相手はというとセイウンスカイを意識せずレースができる馬を狙ってみる。メジロブライトである。秋の天皇賞は距離不足。2500mになって彼のスタミナも生きるであろう。また、京都大賞典でもセイウンスカイに0.1秒差まで攻め寄っているし、実力的にも差はないはず。はるか前を行く(であろう)セイウンスカイを捕らえるところまでいけると思う。

 もう一頭セイウンスカイを意識せずレースを進められる馬としてシルクジャスティスを推す。昨年の覇者である。近走はイマイチだが、叩き良化型の馬である。そろそろ一発がありそうで怖い。

 そしてレベルの高い4歳馬からグラスワンダー。骨折に泣いたがそろそろ復活してもよいころ。距離適性が無いと思われているが、血統的にはあるはずである。なんだかんだいっても的場がエルコンドルパサーを捨てて選んだ馬である。エルコンドルパサー以上に潜在能力はあることだろう。

 それからステイゴールドの魅力も捨てがたい。JCこそ惨敗だがその他のG1では2着続きである。サンデー産駒にしては珍しいステイヤー型の馬であるし人気を落とした今回は狙い目。

 それから天皇賞馬オフサイドトラップ・・・といきたいところだがやめにして代わりにダイワオーシュウを狙ってみる。理由は善臣が選んだ馬だということで。天皇賞をピークに持ってきた8歳馬よりも、晩成血統のリアルシャダイ産駒でありまだまだ成長が見込める5歳馬のほうが狙い安い。

買い目

セイウンスカイメジロブライト4000pts
シルクジャスティス2000pts
グラスワンダー
ステイゴールド1000pts
ダイワオーシュウ

結果&コメント

1着グラスワンダー
2着メジロブライト
3着ステイゴールド
4着セイウンスカイ
5着エアグルーヴ
馬連配当 4430

 4歳馬は4歳馬でも勝ったのはグラスワンダー。去年の3歳チャンピオンである。今年は骨折で1年を棒に振ったが、最後の最後でグランプリ制覇。やはり有馬記念にはドラマが待っていたのだ。秘められた素質はナンバーワン。去年の朝日杯1,2着が2週連続でG1制覇だ。ここで勝てなければ毎日王冠の時に後のJC馬エルコンドルパサーではなくグラスワンダーを選んだ的場騎手も浮かばれないだろう。それにしても今年の4歳馬は強いのだから、その中のナンバーワンの馬が勝つのが自然な流れだったのかな。

 2着はメジロブライト。G1では常に掲示板を確保するイマイチ堅実な馬が、ここでも2着と健闘した。またしてもG1にはあと一歩のところで届かなかったか。やはり「血は争えない」のである。それといいところまでいってもあと一歩なのは追い込み馬の宿命なのかもしれない。

 3着はステイゴールド。有馬記念3着といえばナイスネイチャやライスシャワーなどの豪華メンバーが揃ってる(何故かマイネルブリッジが3着だったこともあるが)が、その栄光の座にはG1出走機会3連続2着という偉業を達成したステイゴールドが輝いた。指定席の2着には一歩足りなかったが。

 私の本命セイウンスカイは4着。逃げ馬といえばあっさり勝つかボロ負けするかのどちらなのに、この馬はダービーでもそうだったが負けても4着である。普通の馬ならバテてボロボロになるところを4着で収まっているのだから、やはり強い逃げ馬なのだろう。しっかし、この馬より先にゴールに来た馬3頭は私が連の相手に選んだ馬だな。

 そして5着はこのレースがラストランとなる女傑エアグルーヴ。見えない疲れが残っているのが敗因と思ったが、実はスタート直後に落鉄していたらしい。それで5着に来るのだからやはり凄い馬である。

 予想は見事に外してしまったが(馬券も:上記の馬連の他にセイウンスカイの単勝で勝負してた)グラスワンダーの見事な復活劇は感動的だった。私が4歳前半限定のPOG(3歳時の成績はハンデとなる)で1位指名をした馬なので愛着もあったが、素質はありながら一年間を棒に振って来た馬である。その復活は素直に喜びたい。復活劇といえばオグリキャップやトウカイテイオーが有名だが、有馬がラストランとなったそれらの馬と違い、グラスワンダーはまだ4歳。来年以降も期待の持てる馬であるので頑張って欲しい。

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