日頃よく患者さんに聞かれる質問と私の答えをなるべく簡潔に短くまとめてみました。各項目をクリックしてください。ただし、私の個人的見解であることをご了解ください。偏見も混じっていると思います。(*^_^*)
外耳道真菌症といって耳の中にカビが生えることがあります。耳鼻科医が診ればすぐに分かりますがほとんどの場合、習慣で頻繁に耳いじりをする人がかかります。頑固な痒みや耳の詰まった感じが続きます。通常は数回の通院で良くなることが多いです。
もし真菌症と診断されたら左右で同じ耳かきを使わないようにしてください。またご家族が感染しないようにアルコールで(お酒でもいいです(^^))耳掻きを毎回よく拭いてください、カビの菌はアルコールに弱い性質があります。後は根気よく通院して処置を受けるようにしてください。
身体障害者に認定されると補聴器が無料で支給されるなどの特典があり、「診断書を書いてくれ」と気軽に診療所を訪れる方がいます。しかし身体障害者に認定されるものは耳の聞こえの程度が数値ではっきりと規定されていますので、実際には聴力検査をしてみないと該当するかどうかは分かりません。また治療で良くなるものも障害者には該当しません。
おおよその目安は静かな場所でもすぐそばでかなり大きな声でゆっくりと話さないと聞こえないくらい、又はそれ以上の場合です。したがってあくまで両方の耳が障害されていることが条件ですから、片耳だけが聞こえない方も該当しません。
身体障害者の申請には専用の書類(診断書)が必要ですのでもよりの役所の福祉課で相談してみてください。またこの診断書は指定医でないと書くことはできないのでどこを受診したらよいかも福祉課でお聞きになるといいでしょう。
結論から言うと別に何も起こりません。耳の中は鼓膜の表面まで皮膚に覆われているからです。傷口でもない限り手で泥水に触れても平気なのと同じです。洗髪時にシャンプーが入ったらシャワーで耳の中をジャーッと洗ってしまっても構いません。
耳の中が普通の皮膚と違うのは柔らかいクッションになるべき皮下組織がないことです。このためこすったりする機械的な刺激には弱いと言えます。ですから耳かきや綿棒を使うときはできるだけそっと優しくやってください。
耳に水が入り、水滴が表面張力で鼓膜に張り付いてしまうと確かにうっとうしいですから、そのときはそのまま乾くのを待つか、ドライヤーの風で乾かすようにすれば安全です。
人工内耳とは手術をして耳の聞こえの神経(内耳)に直接電極を埋め込むタイプの補聴器と考えてください。もともとちゃんと聞こえていた方が事故や何らかの病気で聴力を失った場合が主に手術の適応になります。脳に直接電気刺激を送り込むともいえる方法ですので実際にどんな音声が本人に聞こえるのかは予測が難しい面があります。一口に説明するのも難しいのですが、一般に次のようなことが言えます。ご参考までに日本コクレア社へのリンクを張っておきます。
- それまで普通に言葉を聞き、話をしていた人が聞こえなくなった場合に適している。
- 手術の後、どの程度の聞こえが戻るのかは予測しにくい。
- 聞こえなくなる前の、自然な音としての同じ聞こえに戻るわけではない。過大な期待は持たないこと。
- 手術後のリハビリテーションはふつう少なくとも2ヶ月は必要。
- 相手の口の動きを見て判断する「読話」の訓練も必要。人工内耳の聞こえ方だけで人の話を聞き取ることは難しい。
- 手術の後も定期的に診察を受ける必要がある。
- 人工内耳は極めて精密な電子機器なので電磁調理器など強い磁気を出すものに近づくことは出来ない。またその後の医療においても電気メス(monopolar type)やMRI検査は使えない。
もちろんしますよ。耳鼻科では耳掃除は日常的な処置ですので遠慮なく受診してください。ご自分でそうじしきれない場合や恐くて奥まではできないということはよくありますから。
但し、小さなお子さんで嫌がって暴れる場合は残念ながら危険なため処置できないことがあります。じっとしてさえいてくれればたいていの場合1〜2回の受診で済みます。
あまりに硬く詰まってしまった場合には、そのまま処置するととても痛いですので、耳垢を柔らかくする点耳薬を処方して後日再来院したときに洗い流すという方法をとることもあります。これは最もマイルドで安全な方法でもあります。
急性化膿性中耳炎で鼓膜がパンパンに張ったとき、または登山や飛行機の中での急激な気圧変動による中耳炎は強い痛みを引き起こします。耳の痛みがひどいときはまずご家庭に常備してある鎮痛剤を服用してください。1時間ほどで効いてくるはずです。 一般に中耳炎による痛みは急性期の限られた時間を過ぎると和らいできます。それから耳鼻科を受診しても差し支えはありません。
鼓膜が耐え切れずに破れたとき(耳だれが出ます)や、抗生物質の投与で腫れがひいたときは痛みはほとんどなくなりますが決して中耳炎が治ったわけではありません。耳のつまった感じは続きますし、聞こえも悪いままの状態です。中耳炎が完全に治るまでは根気よく治療を続けることが大切です。
風邪の際に中耳炎はよく起こりますが、日本では風邪に対し「二次感染予防」の名目で抗生物質が乱用される傾向があります。また抗生剤が風邪薬だと勘違いしている方も未だにたくさんいます。この場合、特に子供さんでは痛みが表面化せずに中耳炎が見逃されることがかなりありますので注意が必要です。
いわゆる「中耳炎」には急性中耳炎、滲出性中耳炎など状態によって呼び方がありますが本質的にはいずれも耳管機能低下という共通の原因によります。急性中耳炎と滲出性中耳炎とは行ったり来たりする関係にもあります。熱や痛みのある急性期を除けば治療もほとんど共通です。
また すべての中耳炎に共通な症状は「自閉感(耳のつまった感じ)」と「難聴」です。痛みは化膿性の炎症が加わったときに初めて現れますので、病名に惑わされないようにしてください。また「中耳炎は痛いもの」という固定観念も捨ててください。痛みのない中耳炎はいくらでもあります。ただし、同じ中耳炎でも病気の程度や経過には大きな個人差があります。
これは私たち耳鼻科医もしばしば返答に苦慮する質問です。急性中耳炎や滲出性中耳炎の治り具合は非常に個人差が大きく、またすべての人が同じ経過をたどるわけではない事を経験上知っているからです。一般に子供さんで治りが悪いときはご両親の家系に耳の悪い人、中耳炎に罹りやすかった人がいる場合、つまり遺伝的な要素のあることが多いです。
治療開始後は順調に経過すれば2〜3週間で治るものですが、中には滲出性中耳炎の状態が続いて長期間通院を要する場合や手術が必要になることもあります。数ヶ月以上を要する場合もありますが経験上根気よく治療を続けた方が概して結果はいいと思います。
ご自分で経験されると分かりますが、中耳炎は完全に治らないと痛みが去っても耳が詰まった感じが取れずに聞こえも戻りません。子供さんの場合、元気になって痛がらなくなったということで放置されるケースが多々ありますのでご注意ください。
通院が長期になる場合は大変だとは思いますが、特に子供さんの場合は病気に対するご家族の理解が重要です。
急激な気圧の変化によって(航空性)中耳炎や副鼻腔炎を起こし、耳や鼻の痛みを感じることがあります。特に(目的地に近づいて)飛行機が高度を下げて行くとき、また風邪気味などで鼻の具合の悪い人に起こりやすくなります。
これは気圧の低い上空に鼻や耳が慣れたままの状態で、気圧の高い地上に急激に近づくために起こります。 風邪をひいていたり鼻の病気があったりすると特に要注意です。ある程度予防することもできますので旅行を控えて不安な方はもよりの耳鼻科で相談なさってみてください。
この問題は飛行機だけでなく、スキューバダイビングなどの際にも水圧の影響で起こります。「待合室」のページで詳しく説明していますのでそちらをご覧ください。
耳の中でゴソゴソする程度ならいいのですが、時には大きな虫が中で暴れて大変痛いときがあります。「耳鼻科に行くまでがまんできない!。」そんな時は耳の中で虫を殺してしまいましょう。
横向きに寝て油(天ぷら油やサラダオイルでいいです)を耳の中にたっぷりと注ぎます。油は粘性が高いので虫は暴れることなくすぐに死んでしまいます。その後、耳鼻科で虫を摘出してもらえばいいです。摘出するのは翌日でも差し支えありません。
非常によく聞かれる質問ですが、中耳炎になりやすいかどうかは個人差があります。一般的に言いますとご両親やご家族に中耳炎にかかりやすい遺伝性体質のある方、子供さんで8歳未満の場合、鼻やのどに病気のある方、(ちょっと難しいですが)耳管機能の弱い方、免疫機能の弱い方、高齢者の方などが中耳炎になりやすいといえます。
もともとそういった方が中耳炎になりやすいのであって、「一度かかるとクセになる」、というのは間違いです。たった一度だけというのもいくらでもありますし、たとえ中耳炎を繰り返してもその都度治りの良い場合は慢性化や後遺症の心配はほとんどありません。
耳掃除にはちょっとしたコツがあります。耳の穴は頭蓋骨のほぼ真横についているのですが、耳掻きを前方から斜めに入れて外耳道の後ろ側の壁に当たるとかなり痛いです。ここは最も敏感な部分ですのでこの点を注意してみてください。
なるべく明るいところで「見える範囲」を掃除するのがコツです。見えない部分を「手探り」でいじるのは危険です。また耳の穴は入り口からちょっと入るとクッションになるべき柔らかい皮下組織がなく、骨の上に直接皮膚が載っているようなものですから硬い耳掻きを入れるときは優しくやってください。
耳の中(鼓膜の奥)と鼻の奥は耳管という管でつながっていますが、この耳管の働きが悪いときに中耳炎(急性中耳炎や滲出性中耳炎)が起こります。
「中耳炎を起こしやすい状態」というのは風邪や鼻炎、花粉症、副鼻腔炎で粘膜が腫れているとき、耳管機能の弱い小児や高齢者、アデノイドの肥大、口蓋裂のお子さん、鼻の奥のガン、遺伝的に耳管機能の弱い方(中耳炎になりやすい家系)、登山やスキューバダイビング、飛行機に乗った場合などです。
中耳炎はマスコミによって非常にゆがんだ報道をされることが多い病気のひとつです。原因はひとえにこの耳管機能の低下によって起こると言っても過言ではありません。薬の使い方や鼓膜切開だけですべて治るわけではないことを知っておいてください。
「耳鳴り」というのは聞こえているはずのない(他人には聞こえていない)音が自分の耳にだけ鳴っていることを指します。「詰まった感じ」ではありません。「耳鳴り」という言葉は患者さんによって実にいろいろな意味で使われますので私たち医者を困らせています(^_^;)。
これは「キーン」という高い音やセミが鳴いているような音、ゴーッという機械音などさまざまです。また耳アカや髪の毛などが鼓膜に触れて、ゴソゴソする場合もあります。「耳鳴り」は一時的なもの(短期間で自然に治る場合)と、処置で治るもの、残念ながら治らない場合がありますので一概には言えませんがお薬である程度押さえられることもあります。高齢者の聴力の衰えに伴う耳鳴りは治療は困難です。
これは単なる体質であって病気ではないので、生涯変わることはありません。耳アカには乾いたタイプと湿ったタイプがあります。日本人の場合約80%が乾いたタイプ、約20%が湿ったタイプといわれています。色も人によって黄色っぽいものやかなり赤みを帯びたものまで様々です。
余談ですが、北方のツングース人や中国人、韓国人ではほとんどが乾いた耳であり、ミクロネシア人や台湾人では60〜70%が湿った耳です。このことから日本人は北方系民族と南方系民族の混血であると推測する学者もいます。英語では耳垢はear waxと表現されるように白人や黒人系の人たちはほとんど100%湿った耳です。
ご参考までに最近普及してきたデジタル補聴器の特徴を書いておきます。
- ◆ノンリニア増幅
- 難しい用語ですが、要は小さな音は大きく、元々大きな音は余り大きくしないという機能です。デジタル回路でこのようなことが可能になりました。
- ◆雑音抑制
- 完全な雑音遮断は不可能です。これはエアコンや車のエンジン音のような定常的な音を雑音と判断して抑制する機能です。残念ながら人混みでの雑音などに対しては効果がありません。また補聴器を主に家庭で使用する人にとってもあまり必要のない機能と言えます。
- ◆指向性
- 前方からの音を大きく増幅し、後方からの音は小さくする機能です。例えばパーティ会場などでは周囲のザワザワ音よりも目の前の相手との会話が重要です。但し、指向性を備えた補聴器は未だに高価ですので必要性を良く考慮して購入を検討してください。
- ◆ハウリングコントロール
- これもデジタル補聴器で可能になった機能です。従来の補聴器はイヤホンで耳の穴をぴったりと密閉する必要がありましたがこのデジタル回路を内蔵した補聴器は傘型のイヤホンを耳の中に軽く挿入しておけばよいので圧迫感もなく快適です。但し、このタイプは比較的軽度の難聴者にのみ向いた機種です。
確かに固い耳垢もありますが、それは耳垢ではなく外耳道真珠腫の可能性があります。外耳道壁にしっかりとくっついていて水でふやかそうとしてもほとんど変わりません。またゆっくりと外耳道を浸食しながら大きくなっていきます。
時間をかけて少しずつはがしながら摘出するのですが私たち耳鼻科医もかなり苦労することが多いです。何度か通院するつもりでいた方がいいでしょう。一度診断を受けたらあまり大きくならないように定期的に(数ヶ月に一度は)通院処置を受けた方がいいです。
真珠腫性中耳炎は慢性中耳炎の一種で鼓室(鼓膜の内側)に起こります。難聴の他、感染があれば耳漏(耳だれ)を伴います。長い滲出性中耳炎の経過から移行する場合もあります。鼓膜上部に穿孔が見られ、診察のみで診断は確定します(…というか耳内所見が一番確実です)。根治には手術が必要な場合が多いですが悪性の病気ではないので一刻を争うものではなく経過を見ながら考慮することもありますし、通院処置で良い状態を保てる例も少なくありません。
メディアでは顔面神経麻痺や頭蓋内合併症に発展するなどと脅迫めいた報道が散見されますが、あくまで最悪の経過をたどった場合であってそういうものは今日ではまれなケースです。とはいえ、難治性の慢性中耳炎であることは認識しておいてください。
