診察室(鼻について)

日頃よく患者さんに聞かれる質問と私の答えをなるべく簡潔に短くまとめてみました。各項目をクリックしてください。ただし、私の個人的見解であることをご了解ください。偏見も混じっていると思います。(*^_^*)

◇ 男の子(又は女の子)の鼻血はよくないと聞きますが

根拠のない迷信です、忘れてください。耳や鼻には昔から言い伝えられてきた迷信が多いものです。言い換えれば良い出血などあるはずがありませんから、なかなか止まらない、頻繁に起こる、(何か病気がないか)心配だ、という時は診察を受けることをお奨めします。

◇ 花粉症のレーザー治療は受けられますか?

イラスト私の診療所では行っておりません。差し障りがあるかもしれませんが、敢えて私の個人的見解を記載します。

花粉症のレーザー治療は比較的新しい治療法ではありますが、一応麻酔はするものの、かなりの苦痛を伴うようです。先にレーザー治療器を導入した複数の同じ耳鼻科医仲間から「患者があまり痛がるのでもうやっていない」との情報を聞き、導入を見送ることにしました。関西地方のある耳鼻科でレーザー治療を受けたことがあるという子供の患者は診療所に入ってきたときからかなり怯えていました。

しかも鼻の粘膜は再生しますから治療の効果は半年程度とされています。レーザーによる蒸散は「焼く」ことをはるかに越える高温ですから相当厳重な麻酔下でなければその苦痛は想像できます。お薬による治療でかなりの症状を抑えられる現在ではあまりお奨めできる治療法とは私は考えていません。

新しい治療法、検査法が必ずしも良いものとは限りません。10年先がどうなっているかまでは私にも分かりませんが、「現れては、消え」というものが医療の世界にもたくさんあります。

かと言ってレーザー治療を否定するつもりは毛頭ありません。私などと違って腕の良いドクターもたくさんいます。大学時代のある同僚はこの治療を実施していますが彼は非常に優秀な医者です。中には薬では改善できないほどひどい鼻閉の方もいますのでどの治療を選択するかは患者さん次第です。

◇ 最近においがしなくなってしまった・・・

イラストにおい(嗅覚)は鼻の中でも大変デリケートな部分です。風邪はもちろん花粉症や副鼻腔炎などでも障害を受けることがよくあります。嗅覚が弱くなると味覚もにぶくなって味ききができなくなり、主婦の方などは料理などにも支障をきたします。

一般ににおいがしなくなってから1ヶ月以上経過したもの、完全に臭わなくなってしまったものは治りが悪いことが多いので早めの治療を心がけてください。またすぐには治らないことが多いのである程度根気よく通院治療を続けることを考えておいてください。

◇ アレルギーの検査について

イラストアレルギーの原因は一つとは限りませんし常に同じものに対してアレルギー反応を起こすとも限らないのです。薬による過敏症にも同じ事が言えます。人の体質も原因となるタンパク質も時と共に、環境と共に変化しうるからです。むしろアレルギーの根本的な原因は物質(抗原)ではなく人の体質にあると考えるのが正解です。

またアレルギー検査で陽性に出たものが正確に症状の原因とはいえないこともあります。理論的にはあらゆるタンパク質はアレルギーの原因になりうるわけですが、すべてのたんぱく質を検査することは不可能です。症状のあるなしにかかわらずスギ花粉やハウスダストなどはほとんどの人が陽性反応を示してしまいます。

さらにアレルギー検査はその結果を元にした減感作療法を行わない限り治療に結びつくものではないので、「今日は○○○と○○○に反応が出た」という程度の意味しかありません。その減感作療法も残念ながら今のところ患者さんの負担が大きい割になかなか期待通りの効果が得られません。

つまり減感作療法以外はどんな結果が出ても行う治療は同じなのです。

以上の理由から当院ではアレルギー検査は行っておりません、また廃止する医療機関も増えているようです。アレルギーの研究については今後の発展に期待しましょう。

◇ 水にもぐると頭痛でスキューバダイビングができなかった

アイコンこれは急性副鼻腔炎によるものです。風邪をひいているときや鼻アレルギーのある方は鼻粘膜が腫れていると鼻と副鼻腔との細い交通路がふさがって水圧による副鼻腔炎を起こしやすくなります。

このような方は適切な鼻の治療をしてからダイビングを行ってください。同時に中耳炎も起こしやすいので無理をして続けると大変危険です。飛行機による旅行先でダイビングをする場合も、飛行機に搭乗する当日のダイビングは避けてください。

◇ このごろ点鼻薬でも鼻づまりがとれない・・・

これはむしろ点鼻薬の乱用による鼻炎のせいだと思います。点鼻薬の主成分は血管収縮剤ですから一時的には鼻づまりが取れますが効果が切れるとリバウンド現象(反動)によって以前よりもっと鼻がつまります。さらに点鼻を繰り返していると鼻づまりに対する効果も次第に弱くなり、効いている時間も短くなるので、ますます頻繁に使用するようになります。つまり悪循環に陥ります。

他に鼻の病気がない限り、点鼻薬の使用を中止するだけで鼻づまりはたいてい治ります。最初は苦しく感じるかもしれないので、習慣になってしまっている人には一大決心が必要です。点鼻薬は特別な場合に限り短期間の使用にとどめるべきものです。

◇ 冬になると鼻がつまって苦しい・・・

アイコンこれは空気が冷たいだけでなく日本の冬は極度に乾燥するためです。鼻には吸い込んだ空気を加温、加湿するエアコンとしての働きがありますがこれが追いつかないほど気温が低く乾燥していると(正常な機能として)鼻が詰まるのです。冬は部屋を暖めるだけでなく加湿器を使うことをお勧めします。簡便な方法として部屋の中に濡れたタオルを干すだけでも効果がありますのでぜひ試してみてください。鼻の湿気を逃がさないためにマスクを着用するのも良いことです。

高齢者の方は鼻の加湿機能の衰えのために特に鼻づまりを感じると思います。水分を多く取ることを心がけてください。また市販の蒸気吸入器(電気店で\5,000〜\7,000くらい)などで適度な温度と湿度を鼻に与えてやってください。また温めた食塩水(1%弱)を時々点鼻するのも良いことです。

◇ アデノイドって何のことですか?

アデノイドは正式には咽頭扁桃といいます。つまりこれは病気ではなくのどの扁桃組織の一部です。アデノイドは鼻の奥の突き当たり、のどちんこの裏側にあって口を開いただけでは見えない部分です。

これは一般に3歳〜8歳で大きくなり、それ以後は小さくなって15〜16歳でほとんど目立たなくなります。多くの場合は放っておいてかまいませんが、この期間に中耳炎の反復など特に問題がある場合に治療(手術)の対象となります。

◇ 鼻血が出たときはどうすればいいの?

イラストほとんどの鼻血は入り口から2〜3cmのところから出ます。太めの棒状にした脱脂綿を深くつめて外側から手で抑えると出血部位を圧迫できます。少量の出血の場合や耳鼻科に駆け込むまでに時間がかかるときはぜひ試してみてください。

「頭を低くして寝かせる。」という方がいますが、まったく逆ですから注意してください。起きていた方がいいです。また血圧を気にして内科を受診する方も多いのですが、高血圧のせいで鼻血が出やすいということは普通ありません。

大量に出るときは動脈から、もしくは鼻の奥の大きな血管から出血していると思われますのでできるだけ早く止血処置を受けてください。

◇ 子供が鼻に異物を入れたとき

特に小さなお子さんが「遊び」でやってくれます(^^;)。一般的なものの中では最も緊急を要するのはボタン電池です。短時間で鼻の軟骨が腐って穴があいたりしますので、ボタン電池は絶対に子供の手の届く場所には置かないよう普段から心がけてください。

次はティッシュなど繊維性のものです。鼻の中で腐ってひどい臭いを出すようになります。小さな子供の片方の鼻だけの悪臭はほとんどが異物によります。一方でBB弾などの腐らない固形の異物は慌てる必要はありません。鼻を診られるのを嫌がって暴れる場合には摘出できませんので、子供さんをよくいいきかせてから受診させてください。

◇ 鼻アレルギー(花粉症を含む)について

イラスト日本では「花粉症」という言葉があまりにも一人歩きしています。アレルギー体質の人はいろいろな物質(たんぱく質)に過敏反応を起こす可能性がありますが「花粉」もそのひとつに過ぎないのです。決してロマンチックな病気ではありません。ちなみに「スギ花粉症」というのも日本独特のものです。

何らかのアレルギー反応を起こした経験があればその人はアレルギー体質を持っているということになります。理論的にはたんぱく質であれば何でもアレルギーの原因物質になり得ます。但し、この体質は多くの場合一生涯不変のものとは限らず時としてその性質が変わります。つまりあるときアレルギー反応を起こした物質(抗原)でも、別のときは何も起こらなかったりします。もちろんこの逆もありますし、一部には自然治癒もあり得ます。

ですからアレルギーは程度にもよりますが「病気」というよりは「自分の体質」と考えてあまり目の敵にせず上手に付き合う気持ちが大切です。私自身もアレルギー体質ですので症状が出たときにはそれなりのお薬を服用しています。

◇ 1回の注射で花粉症が1シーズン押さえられると聞いたのですが

イラストそれはケナコルトというステロイド剤ではないでしょうか。当院では、ケナコルトは使用しておりません。これは体内に貯留しステロイドを外部から補充し続けますから花粉症の症状は確かに抑制されます。

しかし同時に人体の副腎皮質の活動も1シーズンは抑制され続けます。その間人体は注入されたステロイドの強制的な放出をコントロールすることはできません。アトピー性皮膚炎に対するステロイド軟膏でさえ副作用が問題になることがあります。軟膏は塗布を止めれば作用も中断しますが、ケナコルトの注射は前述のようにコントロール不可能です。

ケナコルトの作用で抑制された副腎皮質の機能が十分に回復しない可能性さえありますし、これは危険な治療と考えます。花粉症にケナコルトを使用するのはやり過ぎだと思いますので私はお薦めしません。ステロイドの力を借りなければならないことはたくさんありますがあくまでコントロールできる範囲で使用すべきでしょう。

最近では製薬会社もケナコルトの自主回収を行っているようです。

◇ 蓄膿症(副鼻腔炎)ってどういう病気?

イラスト頭蓋骨には鼻の中と細いトンネルでつながった空洞がたくさんあります。これらを総称して「副鼻腔」と呼びます。この副鼻腔の炎症を副鼻腔炎といい、俗に蓄膿症と呼ばれています。

この鼻と副鼻腔をつなぐ小さなトンネルが何らかの原因でふさがることによって蓄膿症が起こります。孤立した空洞では細菌が急激に増えて化膿性の炎症が起こるのです。多くの場合、頭痛がしたり膿性のドロドロした鼻汁が出るようになります。

トンネルがふさがる原因としては風邪やその他の鼻炎、花粉症、ガンなどがあります。また一部のものは歯の炎症から起こることもありますので歯医者さんから指摘されることもあります。これといった原因の見あたらない場合は遺伝的な体質による場合がほとんどです。