あたっくNo.1


〔観劇日〕 2001/6/29(金)
〔作・演出〕  樫田 正剛
〔出演〕    近江谷太朗/西ノ園達大/岡森 諦/川渕良和/平賀雅臣/鈴木謙介/積 圭祐/永森英二/平尾良樹/幸野友之/長野和也/ 日替わりゲスト・山本由湖・小林美江・中村房代・武藤陶子

【あらすじ】
  第二次世界大戦が始まる少し前、秘密指令を受けた潜水艦がパールハーバーへ向けて出港した。乗組員は目的や行き先を知らされてない。 古瀬中尉は、もうすぐ来る横川一等兵の誕生日を祝ってあげようと、有志たちを集め計画をしていたのだ。また、寺内中尉を昇進させよう とする北少尉もいた。古瀬中尉と寺西中尉のどちらかが大尉になると北少尉は言う。
そんな中、村松軍医の口が滑ってこの船の行き先と目的が分ったのだった。ゼロ戦がパールハーバーに着くまえに、潜水艦から魚雷を 発射させる。という計画だった。アメリカに最初の一発を打ち込むのは、北少尉の言葉もあり自分だと寺内中尉は信じていた。 だが、魚雷艇(小さい潜水艦)に乗り込むのは横川一等兵だと知り憮然とする寺内中尉。

時間が経つうちにつれ、古瀬中尉も魚雷艇に乗り込むのだと聞いた寺内中尉は、自分が魚雷艇にのって最初の一発 打ちたい。ということにこだわり続け、自分と代われと言う。だが、横川一等兵の言葉で分ってしまうのだった。「寺内中尉は長男だから駄目です。」 という言葉の裏に隠されていた意味を。横川は三男、古瀬は次男で家の跡取りではないことだ。その裏の意味とは、命を魚雷と一緒にアメリカの船体に ぶつけるということだったのだ。

【感 想】
  今回、方南ぐみの舞台を観に来たのは、ジンギスファームの平尾良樹さんが出演されるからだった。潜水艦の中、白い海軍の軍服に身を包んだ男たち が出て来る。軍服って誰が着ても似合って素敵に見えるけど、平尾さんは、背も高くやっぱり一番素敵!(ごひいきだから) 始まると平尾さんは、海軍の中に呼ばれた空軍の 飛行機乗りだったというのがわかった。空軍と海軍では、同じ軍隊でも空気がまったく違うためあまりじぶんから馴染まない一匹オオカミのような役。斜に構えた 男の役が似合う平尾さんなのでした。
やっぱり、ライト・ハスキーな声がいいわ〜。厨房担当の永井二等兵が寺内中尉に恋文を書いたことが元で、 通りすがりの大滝少尉(平尾さん)が永井二等兵にキスをするところがあるのだが、予想が出来たのでキスする前から「やめて〜」と声が出てしまった。 口へのキスなのだけれど、口の右端にちょっとかかるくらいで安心。何が安心なんだ〜?(笑) この後、北少尉がキスをしたことがないというのを聞いて いた大滝少尉が、またまたキスしてあげるのだぁ。なんなんだぁ〜。平尾さん、キスはやっぱり男にはしたくないよねぇ(笑)

うまい役者揃いで、感想書くのも大変なんだなぁ。
近江谷さんが演じていた寺内中尉も、人が良いので第三者の意見になびいてしまうようなところもあり、その結果自分を含め同僚をも傷つけてしまうことに なってしまうが、中身は本当は温かい人なのだ。近江谷さんが演じると結構それがうまく表現されていて伝わってくるものがあった。新婚の役で日本に残して来た 奥さんの名前が「みちよ」私と同じ(笑)。奥さんの写真を見ながら「みちよ〜。みちよ〜」と呼ぶので、「は〜い」と返事をしてしまいそうになった(笑) できれば、平尾さんに呼んでほしかったなぁ。なんてストーリーとは全く関係ないことを考えたりして・・・^ ^ゞ  最後のシーンで古瀬中尉と横川一等兵に声を限りに叫ぶときの近江谷さん声は、タンが絡んじゃっているような感じでちょっと嫌だったかな。

西ノ園さんは、声も良いし顔の表情も豊かできりっとした二枚目半の素敵な役者さんです。苦しさを隠して魚雷の計画を悟られないように明るく振る舞う 役柄が良く出ていた。

軍医役の川渕さんは、いつも通りヒョウヒョウとした良い味を出して楽しませてくれた。方南ぐみには、なくてはならない人なのでしょうね。

北少尉役の積さんは「いやなやっちゃなぁ。」と思わせる役になりきっていたし、その中にも純な気持も持ち合わせている面も嫌味なくだしていて面白かった。

あの頃の若者は、こんなにも純粋でまっすぐな心をもっていたんだ。と思わせてくれた横川一等兵役の永森さんに拍手したい。横川は言う「海軍に入って、 初めてYシャツを着れました。初めて靴下もはけました。初めて靴も履けました。給料で田舎の家族を養うことができました。だから海軍にはお返しをしたいのです。」 と言ったとき涙が溢れてきました。苦しさをこらえている表情、わかってください。という表情。死ぬことは自分の海軍への感謝の気持ちだと訴える表情。 それが永森さんの爽やかさと一致して、さらに感動を与えてくれた。

宇津木整備兵曹長役の平賀さんの最後の泣きながらの台詞には、泣かされました。男が我を忘れて泣いて「死ぬなよ〜。帰って来いよ〜」と訴える様は、 「これは芝居だ」と言うことを忘れさせる魂があったように感じた。感謝の気持ち、生きることへの一生懸命さ、お互いに感じる愛が客席全体を包んだのではないでしょうか? こんな素敵な舞台を見せてくれる方南ぐみに拍手。そして、年末ライブも絶対見に行くぞ〜。
('01/07/01)



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