バッド・ニュース☆グッド・タイミング


〔観劇日〕 2001/10/24(水)
〔作〕       三谷幸喜
〔演出〕     三谷幸喜
〔出演〕    伊東四郎、角野卓造、沢口靖子、生瀬勝久、久野綾希子、伊藤正之、八嶋智人

【あらすじ】
解散していた漫才師を父にもった男女が結婚することになったのだが、父親同士は知らない。半ば喧嘩別れ同然で解散 した漫才師は、それぞれの道を歩んでいたが、息子・娘の秘密裏に進められていた結婚披露宴場所に呼ばれていた。
二人には結婚の話はしていない。まして、結婚の相手の父親が喧嘩同然で解散した漫才の相方なのだから、言える筈もない。 結婚披露宴当日の二人は、結婚する当人や回りの人の話を勝手に誤解し、自分達の漫才復帰記念のパーティと思い込んで しまっている。さて、ラストではどうなるのでしょうか? 可笑しい中、ちゃんとHappy Endで披露宴に出席してくれることに なりました。

【感 想】
三谷幸喜が作るコメディは、計算に計算を重ねて観客を笑わせるために作っているのだ。ただ、笑わせるために・・・。

通常私たちが観ているコメディは、笑いの中にホロッとさせる涙がつきもの。笑わせておいて泣きで感動して、観客も満足して 帰る訳なのだが、三谷さんは「そういうコメディは他の作家さんに任せておいて、自分の書くものはただ笑わせるためのコメディ にしたい」と言っている。
確かに、最近見て来ていた数本を思い出すとホロっとさせるものはない。笑って笑って「ああ〜面白かった」と劇場を出ていたように思う。

さて、出演者といえば、伊東四郎、角野卓造両氏の共演にもワクワクし、ベテラン同士の台詞のやりとりに感心させられ、伊東四郎さんの 間の取り方で笑いを誘う凄さに拍手だった。
沢口靖子、久野綾希子の美しさにホレボレした。沢口さんは、美しさときゃしゃな身体から「楽しい・楽しい」という光線がいっぱい出ていた ように思いました。ご自分も楽しんでこの舞台の上にいるのだなぁと伝わってきました。
久野綾希子さんは、今までとがらっと役柄が変っていて数々のストレートプレイを経験して蓄積されたものが出ていたように思いました。楽天的な 天然ボケのような母親役に可愛らしさも加わって良かったです。久野さんが劇団四季にいらしたときに演じた「エビータ」を観たのが最初で、 素敵な歌声に聞き惚れたものでした。

生瀬さんと伊藤さんが真面目に演じればれば演じるほど可笑しさが出て来るというのが、この舞台でのポイントでしたね。生瀬さんが伊東四郎 さんの息子役なのだが、少々セリフで聞き取り難いところもあったけれど見て行くうちにそれも「まあいいか!」(笑)。

八嶋さんは、披露宴会場となるホテルのロビー&カフェを担当するウエイターの役で最初から最後まで舞台に出ずっぱりなのです。うわーっ、 これは大変な役だわぁ。二組の親子と親同士、そして婚約者同士に対応するたびに、その時の状況を把握していて一緒に気を遣う約なのですから、 どんな表情で動き、笑わすタイミングはどこで・・・などなど苦労したと思うけれど、とても良い役ですよね。惜しかったのは、舞台の奥行きが あるので右奥で台詞なく動いて見せているその動きが見えなかったのではないか? 私の席でギリギリだったから私より右サイドに座っている 人には、何で笑っているのか見えなくて可哀相だった。同じS席なのに笑いを共有できないのですから・・・。

贅沢なキャストでの笑いに「ありがとうございました。」と言いたい。




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