〔観劇日〕 2001/07/08(日) 〔作〕 山崎洋子 〔構成・演出〕小池修一郎 〔振付〕 前田清実/上島雪夫/金森 穣 〔出演〕 西島千博/吉本真悟/山本隆之/金森 穣/平野啓一/平野亮一/ YOUYA/JOEY/島田衣子/松橋 登 【あらすじ】 詩人ジャン・コクトーが愛した天才作家が、19歳の若さでこの世を去った。コクトーは悲しみのあまり阿片におぼれていく。 阿片から抜け出すための治療を受けるコクトーは、幻覚と狂気をさまよいながら、医師に対して若き日の自分を回想する。 旧友ダルジュロスへの思慕と憧れを心に秘め18歳で詩人としてデビュー、公爵の愛人との初恋、華やかな社交界での日々、 阿片の誘惑、ダルジュロスの幻影に翻弄される日々、封印していた幼いころの記憶などが徐々に思い出される。 ひとりの少年ラディゲが現れコクトーを阿片から救う。その間も嫉妬するダンジュロスの幻影に苦しめられる。幻影がコクトー を苦しみと悲しみに追い込んでいく。ダンジュロスと父親の隠された関係を目撃したことが原因で父親が自殺したことも思い出して しまった。 医師との会話のなかから、自分の心の傷を認識し、ラディゲの死を父親のトラウマを乗り越え、やはりコクトーは「詩人」として 生きていく。
【感 想】
この舞台では、ただひとりの俳優、松橋登が医師と父親とストーリーテラーとして登場する。若いころの松橋登はストイックな
感じの役が多く個性的だった。細くてきゃしゃな身体は昔と全然変わらず、デリケートな演技が体中で表現できる人だ。
西島くんはコクトー役だから苦悩する、悲しむ、恋にうかれる、といろいろな表情のバレエを見せてくれたけれど、もうすこし
踊るシーンが多いのを期待していたから、ちょっと残念だったかなぁ。
金森穣くんは、旧友ダンジュロスとして、幻影として、父親の隠れた相手として出てくるのだが、金森くんの踊りのほうが、
嫉妬・悪・情熱の表現をうまく出していたように思えた。自分で振付もするせいか、自分の良さをよくわかっているのかも
しれない。
芸術家というのは、なんで波乱万丈な人生を送る人が多いのだろうか。とくにコクトーの青春時代のフランスで阿片が
手に入るというのも悲劇の一端をなしていたのね。
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