「夏ホテル」


〔観劇日〕 2001/05/17(木)
〔脚本〕    岩松 了
〔演出〕    岩松 了
〔出演〕    松本幸四郎/松たか子/松本紀保/岩松 了/串田和美/岩崎加根子

【あらすじ】
  舞台は、南ドイツのバーデンワイラーのホテル ゾンマ・バーデンワイラーの中庭。
ここ、静かな湯治場では、3年に1度開かれるマジック大会の準備が進められている。日本から参加するマジシャン のヒデ・ノグチと助手のトミとカオル、そして、マネージャーの相良がホテル ゾンマに滞在している。 そのホテルには、ノグチのファンである花塚とトミの愛人の鍋田も来ていたのである。

中庭のカフェでのノグチ達の団欒の時間も穏やかに過ぎているが、ノグチのダミーで長くコンビを組んでいた アンドウが日本から来られないと知らせが入り、だんだんに穏やかな空気が崩れ始めていくのである。

【感 想】
  私の体調の悪いまま観劇してしまったので、二幕物の芝居はつらいものがあった。それも、二日間のことを 二幕かけて長々とやっているのだから・・・。体調の良い時なら、こんな書き始めではないと思うけれど。 一幕目は、のんべんだらりとした展開にさらに具合が悪くなりそうだった。

ホテルの建物と草木が植わっている中庭の雰囲気のところに、円テーブルと椅子のセットが三組置いてある。 松本幸四郎さんと串田和美さんがマジシャンとマネージャーという間柄で登場する。幸四郎さんは、体型も 変らずスマートで年齢も感じさせない。ただ、幸四郎さんが演じているノグチという人間がどのような 人生を生きて来た人なのかが見えて来なくてつまらなかった。なんか、インチキ臭くて世界大会に出場する ようなマジシャンなのかと思えてしまった。

串田さんは、今回は身奇麗な男性で登場。いつも汚い男の役ばかり見てきたから、新鮮だった。串田さんで いつも私が感じていることは、台詞を忘れるのではないかとヒヤヒヤしながら見ている。ということだ。 すんなり台詞が出て来ない時の身振り手振りが分ってしまっているからなのか、どうも串田さんの演技を 見ているときは、役柄でなく串田さんとして観てしまう。串田さんが素のままで演じているからか?(笑)

松たか子さんは、それなりにさらっと演じていたように見えた。なんの役を演じていても「松たか子」。 紀保さんの方がいろんな役が出来て面白い存在だと感じる。それでも、ノグチに好意か恋心を抱いている のに、それを見せまいとする感情と分ってほしい感情が交錯しているところは十分に理解できた。 まあこの役は、松たか子で良かったのね。

岩松さんの作品は、難解なものが多く見る側がいろいろな考えが浮かんでしまって疲れる。演じる側は 楽しいのかもしれないが・・・。ちょっと油断して見逃してしまうところがあると、 何故あのひとは、あのような行動をしてたのか?と最後までわからないまま過ぎてしまうような作品。 紀保さんの演じたトミも攻撃的で詮索好きな女性ってぐらいの感じで、いまひとつどんな人間性 なのか、わからなかった。

分かりやすい人物と言えば、岩崎加根子さんが演じたノグチのファンの花塚という女性。ノグチを応援する あまりドイツまで追いかけてしまうほど猪突猛進型なのだけれど、女性の可愛いらしさも十分に持っている。 というのは非常にわかりやすい。

作者の岩松了さんといえば、自分の役には必ず女性をからませているな(笑) 私が観る時はいつもそうなんだなぁ。 それも、なんか意味ありげのような嫌がられるような、そんな男性の役が多い。今回の夏ホテルに出てくる 鍋田という役もトミの愛人という設定だが、愛人というのも当てはまらないような、恋人でもないような 曖昧模糊とした感じだが、最後まで観ていくとやっぱり愛人だったのかな?って思うような。 ああ〜まどろっこしい(笑)

全体的に、また観たいとは思わなかったから、理解できないところもそのままだわ(笑) でも、岩松作のチラシ を見ると、今度はどんなもんかいな?と難解さを確かめたくなるのだから面白い。次はもういいや。と思って いながら、いつのまにはチケットが手に・・・(笑) ('01/05/20)



観劇日程へ戻る