〔観劇日〕 2001/3/29(木) 〔作・演出〕ベンガル/綾田俊樹 〔出演〕 ベンガル/綾田俊樹/熊谷真美
【あらすじ】
男がいるのではないかと主人は気が気でない様子。でも、話をしているうちに、この主人に問題があるのではないかと私立探偵は感じた。私立探偵をやとっていることが妻に 分かってしまい、私立探偵はこの夫婦が元に戻るにはどうしたらよいかと考える。出た結論は、主人が私立探偵のように妻の行動を一ヶ月間見張りつづけること。というもの だった。ひと言も言葉をかわさずに、相手の行動を見張るだけ。なぜ、こんな提案をしたかというと、私立探偵と質屋の妻との間には、なにかわからないが信頼関係ができあがって いたからだった。妙な話だが、妻は私立探偵とはしらずにこの男の存在を認め、言葉は交わさなくとも意思が通じるような感覚を味わっていたのだった。 そして、質屋の主人は、どんな決断をするのでしょうか?
【感 想】
二人が質屋の中で座っている。部屋の様子と言えば、人探しや指名手配のポスターが貼られていて、棚には預かり物がたくさんのっている。カウンターの右側には出入り口となっていて
紺地に白抜きの文字の「質」の、のれんがかかっている。カウンター左側は、テーブルとソファが置いてあり、二人はそこに座って話をし出す。
ちなみに、人探しのポスターには「柄本明」の顔写真が、指名手配のポスターには、渡辺えり子の笑顔の写真、もう一枚は、顔は分かっているのだけれど名前が出てこない。(TVだと刑事役
かやくざやさん役しか見たことないかも。)そんな遊び心が入っていて、それを見つけたときは何か嬉しいのですね。
登場人物が三人だけなので、セリフの多いことこの上なし。という感じでベンガルも綾田さんも大丈夫?と心配してしまいました(笑) 言葉の遊びと、仕草に、クスッと笑い、ガハハハと大笑い、
そして、のけぞって笑い。手を叩く、膝を叩く、隣の知らない人まで叩きたくなってしまいそうな衝動をこらえてました。
そんな大笑いの後に考えさせる問いを投げてくるのだから、さすがベンガル・綾田。言葉をたくさん使って、いくら説明しても通じない気持ちがある。相手にはこちらの気持ちが届かない。
こちらも悲しいし、相手も悲しい。「この人は何を考えているのだろう?」「私はこの人にとって何なんだろう?」とお互いに考えすぎてしまう。それには反対に無言でしっかり相手をみてあげること。
そうすれば、自分も見えてくるから自然と自分も相手も何が大切で何が必要なのかが分かってくるのではないか。とこの芝居では言いたかったのだと思う。夫婦以外の人間関係のすべてに当てはまることで
、いつも自分がしていることとは別の対処方法を教えてもらったような気分でした。
熊谷真美ちゃんが可愛い。すごい年上のご主人の気持ちがわからなくなって来て、一生懸命コミュニケーションを取ろうとする姿がよく出ていたし、ベンガル扮する私立探偵とのやり取りもまた楽しいものに
なっていた。
この日は、久々の雨降りだったにもかかわらず、99%客席は埋まっていた。 |